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第二〇四回

衆第三〇号

   公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成二十二年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。

 題名中「公共建築物」を「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物」に改める。

 目次を次のように改める。

目次

 第一章 総則(第一条−第九条)

 第二章 建築物における木材の利用の促進に関する施策

  第一節 基本方針等(第十条−第十二条)

  第二節 建築物における木材の利用の促進(第十三条−第十五条)

  第三節 建築用木材の適切かつ安定的な供給の確保(第十六条−第二十一条)

 第三章 建築物以外における木材の利用の促進に関する施策(第二十二条−第二十四条)

 第四章 木材利用促進本部(第二十五条−第三十条)

 第五章 雑則(第三十一条−第三十三条)

 第六章 罰則(第三十四条)

 附則

 第一条中「かん養」を「涵養」に、「かんがみ、公共建築物」を「鑑み、建築物」に、「農林水産大臣及び国土交通大臣が策定する」を「木材の利用の促進に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、並びに建築物における木材の利用の促進に関する」に、「について定めるとともに、公共建築物の整備の用に供する木材」を「の策定、建築物における木材の利用の促進及び建築用木材」に、「適切な」を「適切かつ安定的な」に、「を講ずること等」を「等について定めるとともに、木材利用促進本部を設置すること」に改め、「林業」の下に「及び木材産業」を、「寄与する」の下に「とともに、脱炭素社会(地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第二条の二に規定する脱炭素社会をいう。第三条第一項において同じ。)の実現に資する」を加える。

 第二条第三項中「の整備の用に供する木材」を「に係る建築用木材」に改め、同項を同条第五項とし、同条第二項を同条第三項とし、同項の次に次の一項を加える。

4 この法律において「建築用木材」とは、建築材料として使用される木材をいう。

 第二条第一項中「(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)」を削り、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

  この法律において「建築物」とは、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。

 第二十条中「かんがみ」を「鑑み」に改め、同条を第二十四条とする。

 第十九条中「原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭(以下「化石資源」という。)」を「化石資源」に改め、同条を第二十三条とする。

 第十八条中「柵」を「柵」に、「かんがみ」を「鑑み」に改め、同条を第二十二条とする。

 第十七条を削る。

 第三章の章名中「公共建築物における木材の利用以外の」を「建築物以外における」に改める。

 第十五条及び第十六条を削る。

 第十四条中「の整備の用に供する木材」を「に係る建築用木材」に改め、第二章中同条を第二十一条とする。

 第十三条中「第十条第二項第四号」を「第十七条第二項第四号」に改め、同条を第二十条とし、第十二条を第十九条とし、第十一条を第十八条とする。

 第十条第二項第三号中「の整備の用に供する木材」を「に係る建築用木材」に改め、同条を第十七条とする。

 第九条第一項並びに第二項第一号及び第三号中「公共建築物」を「建築物」に改め、同条第三項中「公共建築物の整備の用に供する木材の適切な」を「建築用木材の適切かつ安定的な」に改め、同条を第十二条とし、同条の次に次の一節並びに節名及び一条を加える。

    第二節 建築物における木材の利用の促進

 (木造建築物の設計及び施工に係る先進的な技術の普及の促進等)

第十三条 国及び地方公共団体は、建築物における木材の利用を促進するため、木造建築物の設計及び施工に係る先進的な技術の普及の促進、中高層の木造建築物又は大規模な木造建築物の設計及び施工に関する知識及び技能を有する人材の育成、建築用木材及び木造建築物の安全性に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (住宅における木材の利用)

第十四条 国及び地方公共団体は、木材が断熱性、調湿性等に優れ、紫外線を吸収する効果が高いこと、国民の木造住宅への志向が強いこと、木材の利用が地域経済の活性化に貢献するものであること等に鑑み、木材を利用した住宅の建築等を促進するため、木造住宅を建築する者に対する情報の提供等の援助、木造住宅に関する展示会の開催その他のその需要の開拓のための支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (建築物木材利用促進協定)

第十五条 国又は地方公共団体及び事業者等(事業者又は事業者団体をいう。以下この条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、事業者が建築主である建築物における木材の利用に関する構想その他の事業者等による建築物における木材の利用の促進に関する構想(以下この条において「建築物木材利用促進構想」という。)及び国又は地方公共団体による建築物木材利用促進構想の達成に資するための情報の提供その他の支援に関する事項を定めた協定(以下この条において「建築物木材利用促進協定」という。)を締結することができる。

2 国は、建築物木材利用促進協定を締結したときは、インターネットの利用その他適切な方法により建築物木材利用促進協定の内容その他主務省令で定める事項を公表するものとする。

3 国、地方公共団体及び事業者等は、建築物木材利用促進協定を締結したときは、当該建築物木材利用促進協定に定められた事項を誠実に履行するものとする。

4 国は、その締結した建築物木材利用促進協定に係る建築物木材利用促進構想の達成のための事業者等の取組を促進するため、当該建築物木材利用促進協定に従って行われる建築物における木材の利用による環境の保全に対する寄与の程度の評価の実施及び公表、必要な財政上の配慮その他の必要な支援を行うものとする。

5 地方公共団体は、建築物木材利用促進協定を締結したときは、第二項及び前項の国の措置に準じて、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

    第三節 建築用木材の適切かつ安定的な供給の確保

 (強度等に優れた建築用木材の製造に係る技術の開発及び普及の促進等)

第十六条 国及び地方公共団体は、建築用木材の適切かつ安定的な供給の確保を図るため、強度又は耐火性に優れた建築用木材として農林水産省令で定める建築用木材の製造に係る技術及びその製造に要する費用の低廉化に資する技術の開発及び普及の促進その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 第八条第一項及び第二項第一号中「公共建築物」を「建築物」に改め、同項第三号中「公共建築物の整備の用に供する木材の適切な」を「建築用木材の適切かつ安定的な」に改め、同項第四号中「公共建築物」を「建築物」に改め、同条を第十一条とする。

 第七条第一項中「農林水産大臣及び国土交通大臣は、公共建築物」を「木材利用促進本部は、建築物」に改め、「以下」の下に「単に」を加え、同条第二項第一号及び第二号中「公共建築物」を「建築物」に改め、同項第五号中「公共建築物の整備の用に供する木材の適切な」を「建築用木材の適切かつ安定的な」に改め、同項第六号及び同条第三項中「公共建築物」を「建築物」に改め、同条第四項から第七項までの規定中「農林水産大臣及び国土交通大臣」を「木材利用促進本部」に改め、同条を第十条とし、第二章中同条の前に次の節名を付する。

    第一節 基本方針等

 第二章の章名中「公共建築物」を「建築物」に改める。

 第六条中「国民は」の下に「、基本理念にのっとり」を加え、同条を第七条とし、第一章中同条の次に次の二条を加える。

 (関係者相互の連携及び協力)

第八条 国、地方公共団体、事業者その他の関係者は、基本理念にのっとり、木材の利用の促進のため、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。

 (木材利用促進の日及び木材利用促進月間)

第九条 国民の間に広く木材の利用の促進についての関心と理解を深めるため、木材利用促進の日及び木材利用促進月間を設ける。

2 木材利用促進の日は十月八日とし、木材利用促進月間は同月一日から同月三十一日までとする。

3 国及び地方公共団体は、木材利用促進の日をはじめ木材利用促進月間において、その趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めるものとする。

 第五条中「事業者は」の下に「、基本理念にのっとり」を加え、同条に次の一項を加え、同条を第六条とする。

2 林業及び木材産業の事業者は、基本理念にのっとり、建築用木材等の適切かつ安定的な供給に努めるものとする。

 第四条中「地方公共団体は」の下に「、基本理念にのっとり」を加え、同条を第五条とする。

 第三条第一項中「国は」の下に「、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり」を加え、同条第二項中「前条第一項第一号」を「第二条第二項第一号」に、「かんがみ」を「鑑み」に改め、同条第四項中「公共建築物の整備等の用に供する木材」を「建築用木材等」に、「適切に」を「適切かつ安定的に」に、「かんがみ」を「鑑み」に、「適切な」を「適切かつ安定的な」に改め、同条第五項中「の建築物」の下に「(第十三条において「木造建築物」という。)」を加え、同条を第四条とする。

 第二条の次に次の一条を加える。

 (基本理念)

第三条 木材の利用の促進は、地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、そのための脱炭素社会の実現が我が国の緊要な課題となっていることに鑑み、森林における造林、保育及び伐採、木材の製造、建築物等における木材の利用並びに森林における伐採後の造林という循環が安定的かつ持続的に行われることにより、森林による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化が十分に図られることを旨として行われなければならない。

2 木材の利用の促進は、製造過程における多量の二酸化炭素の排出等による環境への負荷の程度が高い資材又は化石資源(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭をいう。以下同じ。)に代替して、森林から再生産することが可能である木材を利用することにより、二酸化炭素の排出の抑制その他の環境への負荷の低減が図られることを旨として行われなければならない。

3 木材の利用の促進は、森林の有する国土の保全、水源の涵養その他の多面的機能が持続的に発揮されるとともに、林業及び木材産業の持続的かつ健全な発展を通じて山村その他の地域の経済の活性化に資することを旨として行われなければならない。

 本則に次の三章を加える。

   第四章 木材利用促進本部

 (設置及び所掌事務)

第二十五条 農林水産省に、特別の機関として、木材利用促進本部(以下「本部」という。)を置く。

2 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 基本方針の策定及び実施の推進に関すること。

 二 前号に掲げるもののほか、木材の利用の促進に関する重要事項に関する審議及び木材の利用の促進に関する施策の実施の推進に関すること。

 (組織)

第二十六条 本部は、木材利用促進本部長及び木材利用促進本部員をもって組織する。

 (木材利用促進本部長)

第二十七条 本部の長は、木材利用促進本部長とし、農林水産大臣をもって充てる。

 (木材利用促進本部員)

第二十八条 本部に、木材利用促進本部員(次項において「本部員」という。)を置く。

2 本部員は、次に掲げる者をもって充てる。

 一 総務大臣

 二 文部科学大臣

 三 経済産業大臣

 四 国土交通大臣

 五 環境大臣

 六 前各号に掲げる者のほか、農林水産大臣以外の国務大臣のうちから、農林水産大臣の申出により、内閣総理大臣が指定する者

 (資料提出の要求等)

第二十九条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。

2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

 (政令への委任)

第三十条 第二十五条から前条までに定めるもののほか、本部の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

   第五章 雑則

 (表彰)

第三十一条 国及び地方公共団体は、木材の利用の促進に関し特に顕著な功績があると認められる者に対し、表彰を行うよう努めるものとする。

 (報告の徴収)

第三十二条 農林水産大臣は、認定木材製造業者に対し、認定木材製造高度化計画の実施状況について報告を求めることができる。

 (主務省令)

第三十三条 この法律における主務省令は、農林水産大臣、総務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣、国土交通大臣及び環境大臣が共同で発する命令とする。

   第六章 罰則

第三十四条 第三十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和三年十月一日から施行する。

 (東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律の一部改正)

第二条 東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成二十三年法律第四十号)の一部を次のように改正する。

  第百二十五条の見出しを「(脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律の特例)」に改め、同条中「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に、「第十二条」を「第十九条」に改める。

 (森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律の一部改正)

第三条 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律(平成三十一年法律第三号)の一部を次のように改正する。

  第三十四条第一項第二号中「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」に、「第二条第二項」を「第二条第三項」に改める。

 (内閣府設置法の一部改正)

第四条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  第四十四条第一項第二号中「から第六十三号まで」を「、第六十二号、第六十三号」に改める。

 (農林水産省設置法の一部改正)

第五条 農林水産省設置法(平成十一年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第十六条の三」を「第十六条の四」に改める。

  第四条第一項第六十二号の次に次の一号を加える。

  六十二の二 脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(平成二十二年法律第三十六号)第二十五条第二項に規定する事務

  第十二条第二項中「農林水産物・食品輸出本部」を

農林水産物・食品輸出本部

 

 

木材利用促進本部

 に改める。

  第三章第四節中第十六条の三の次に次の一条を加える。

  (木材利用促進本部)

 第十六条の四 木材利用促進本部については、脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。


     理 由

 脱炭素社会の実現に向けて、建築物等における木材の利用の一層の促進を図るため、木材の利用の促進に関する基本理念を定め、基本方針、都道府県方針及び市町村方針の対象を公共建築物から建築物一般に拡大するとともに、建築物における木材の利用の促進及び建築用木材の適切かつ安定的な供給の確保に関する措置を拡充し、あわせて木材利用促進本部を設置する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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