衆議院

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第二〇八回

衆第二号

   令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の支給を受けていない特定養育者を支援するための特定養育者支援給付金の支給等に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 特定養育者支援給付金の支給(第三条−第十条)

 第三章 特定非養育者に支給された令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の返還請求等(第十一条−第十三条)

 第四章 雑則(第十四条−第十六条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。)及びそのまん延防止のための措置の影響(以下「新型コロナウイルス感染症等の影響」という。)を受けた子育て世帯への支援である令和三年度子育て世帯臨時特別給付金を支給する事業において、現に児童を養育している者にその支給がされない状況が生じている現状に鑑み、これらの者を支援するための特定養育者支援給付金の支給に関し必要な事項を定め、あわせて、特定非養育者に支給された令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の返還請求等について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「児童」とは、令和四年三月三十一日において十八歳以下である者であって、日本国内に住所を有するもの又は留学その他の児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第三条第一項の内閣府令で定める理由により日本国内に住所を有しないものをいう。

2 この法律において「令和三年度子育て世帯臨時特別給付金」とは、新型コロナウイルス感染症等の影響に鑑み、子育て世帯への支援の観点から市町村(特別区を含む。以下同じ。)が支給する給付金(金銭以外の財産により行われる給付を含む。以下この項及び附則第二条第一項において同じ。)であって、令和三年十一月二十六日に閣議において決定された令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の使用に基づく子育て世帯等臨時特別支援事業費補助金又は令和三年度の一般会計補正予算(第1号)における子育て世帯等臨時特別支援事業費補助金を財源とするもののうち、同月十九日に閣議において決定されたコロナ克服・新時代開拓のための経済対策に記載された措置に該当するもの(その額の算定の基礎となる児童が二人以上である場合にあっては、支給される給付金のうち当該児童のそれぞれに係る部分)をいう。

3 この法律において「特定養育者」とは、令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の額の算定の基礎となる児童であって当該児童に係る令和三年度子育て世帯臨時特別給付金が当該児童を現に養育する者に支給されなかったもの又は令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の額の算定の基礎とならなかった児童を養育する者のうち、次に掲げる者をいう。

 一 十五歳に達する日以後最初の三月三十一日までの間にある児童を養育する者であって、当該児童に係る児童手当法第七条の規定による認定を受けているもの

 二 十五歳に達する日以後最初の三月三十一日を経過した児童を養育する者であって、当該児童について児童手当の支給要件に準ずる要件として政令で定める要件に該当するもの

4 この法律において「特定非養育者」とは、令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の支給を受けた者であって、その支給を受けた時にその額の算定の基礎となる児童を養育していなかったものをいう。

   第二章 特定養育者支援給付金の支給

 (特定養育者支援給付金の支給)

第三条 市町村は、この法律の定めるところにより、特定養育者支援給付金の支給を行うことができる。

 (特定養育者支援給付金の支給対象者)

第四条 特定養育者支援給付金の支給は、特定養育者に対して、行うものとする。

2 特定養育者支援給付金の支給は、その支給を受けようとする者からの申請に基づき行うものとする。

 (特定養育者支援給付金の額等)

第五条 特定養育者支援給付金の額は、その支給を実施する市町村の令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の額に相当する額とする。

2 特定非養育者がその支給を受けた令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の額の全部又は一部に相当する額を当該令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の額の算定の基礎となる児童を現に養育する者に交付し、又は当該児童のために消費した場合には、特定養育者支援給付金の額は、前項の規定にかかわらず、同項の額から当該相当する額を控除した額とする。

3 特定養育者支援給付金の支給において、これに係る児童について同一の事由により既に支給された額があるときは、当該額を支給しない。

 (特定養育者支援給付金の支給を受けた者の責務)

第六条 特定養育者支援給付金の支給を受けた者は、特定養育者支援給付金が新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた子育て世帯において現に児童を養育する者を支援するために支給されるものである趣旨に鑑み、これをその趣旨に従って用いなければならない。

 (特定養育者支援給付金の周知等)

第七条 市町村は、特定養育者支援給付金の支給手続の実施等について周知するための措置その他特定養育者支援給付金の申請に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとする。

2 市町村は、特定養育者支援給付金の支給事務を行うに当たっては、その支給を受けようとする者が当該市町村の住民基本台帳に記録されていない等の事情がある場合において、必要な配慮をするものとする。

 (不正利得の徴収)

第八条 偽りその他不正の手段により特定養育者支援給付金の支給を受けた者があるときは、市町村の長は、国税徴収の例により、その者から、当該特定養育者支援給付金の価額の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

 (譲渡等の禁止)

第九条 特定養育者支援給付金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

2 特定養育者支援給付金として支給を受けた金銭その他の財産は、差し押さえることができない。

 (公課の禁止)

第十条 租税その他の公課は、特定養育者支援給付金として支給を受けた金銭その他の財産を標準として、課することができない。

   第三章 特定非養育者に支給された令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の返還請求等

 (特定非養育者の責務)

第十一条 特定非養育者は、令和三年度子育て世帯臨時特別給付金が新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた子育て世帯を支援するために支給されるものであることに鑑み、その支給を受けた令和三年度子育て世帯臨時特別給付金をその額の算定の基礎となる児童を現に養育する者に交付し、又は当該児童のために消費しなければならない。

 (令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の返還請求)

第十二条 特定非養育者に令和三年度子育て世帯臨時特別給付金を支給した市町村は、当該令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の額の算定の基礎となる児童について特定養育者支援給付金の支給がされた場合において、当該特定養育者支援給付金が支給されるまでの間に当該令和三年度子育て世帯臨時特別給付金のうち当該児童を現に養育する者に対して交付されず、又は当該児童のために消費されていない部分があるときは、当該特定非養育者に対し、当該部分に相当する額の返還を請求することができる。

2 政府は、前項の規定により返還の請求を行う市町村に対し、必要な支援を行わなければならない。

 (令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の支給の適正化)

第十三条 政府は、令和三年度子育て世帯臨時特別給付金について、現に児童を養育していない者がその支給を受けることのないよう、支給対象者の見直しその他の必要な措置を講じなければならない。

   第四章 雑則

 (費用負担)

第十四条 特定養育者支援給付金の支給及び第十二条第一項の規定による令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の返還の請求に要する費用は、その全額を国庫が負担する。

 (資料の提供等)

第十五条 市町村の長は、特定養育者支援給付金の支給又は第十二条第一項の規定による令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の返還の請求のために必要があると認めるときは、官公署に対し、必要な書類の閲覧又は資料の提供を求めることができる。

 (政令への委任)

第十六条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他その施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行前に特定養育者に対し市町村から支給された給付金であって、その支給の趣旨、額及び対象者に照らして特定養育者支援給付金に相当するものとして内閣総理大臣が指定するものは、これを特定養育者支援給付金とみなして、この法律の規定(第五条第二項を除く。)を適用する。ただし、第九条第二項の規定の適用については、この法律の施行前に生じた効力を妨げない。

2 前項に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた子育て世帯への支援である令和三年度子育て世帯臨時特別給付金を支給する事業において、現に児童を養育している者にその支給がされない状況が生じている現状に鑑み、これらの者を支援するための特定養育者支援給付金の支給に関し必要な事項を定め、あわせて、特定非養育者に支給された令和三年度子育て世帯臨時特別給付金の返還請求等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、約四十八億四千万円の見込みである。

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