第二〇八回
衆第一二号
豪雪地帯対策特別措置法の一部を改正する法律案
豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。
第一条中「はなはだしい」を「甚だしい」に改め、「ついて」の下に「、当該地域が人口の減少、高齢化の進展その他の社会経済情勢の変化に加えて気候変動による降雪の態様の変化等により困難な状況に直面していることをも踏まえ」を加え、「改善」を「改善等」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(基本理念)
第一条の二 豪雪地帯対策(豪雪地帯における雪害の防除その他積雪により不利となつている産業等の基礎条件の改善等に関する施策をいう。以下同じ。)は、国土強靱化の観点を踏まえて雪に強く、豪雪地帯の住民が安全に安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向けた克雪対策(克雪(積雪に関する諸問題を克服することをいう。第十三条の四の三において同じ。)のための対策をいう。)を充実させること及び親雪(雪に親しむことをいう。)又は利雪(雪を資源として有効に利用することをいう。第十三条の六において同じ。)の観点から豪雪地帯における自然的特性、固有の文化等を生かした取組を積極的に支援することにより、豪雪地帯における農業、林業その他の産業の振興及び地域の活性化並びに豪雪地帯の住民の生活及び生命の保護等を図ることを旨として、行われなければならない。
第二条第一項中「前条」を「第一条」に改める。
第三条第一項中「豪雪地帯における雪害の防除その他積雪により劣つている産業等の基礎条件の改善に関する施策(以下「豪雪地帯対策」という。)」を「豪雪地帯対策」に改める。
第六条の次に次の一条を加える。
(豪雪地帯の特性を踏まえた防災に関する施策の促進)
第六条の二 国及び地方公共団体は、基本計画及び道府県計画を定めるに当たつては、積雪期における交通の確保の困難性その他の豪雪地帯における地域の特性を踏まえた地震、津波等に係る防災に関する施策を促進するものとなるよう適切な配慮をするものとする。
第十一条を次のように改める。
(財政上の措置等)
第十一条 国は、毎年度、予算で定めるところにより、基本計画の円滑な実施その他豪雪地帯対策の実施に必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。
第十三条の二を第十三条の二の二とし、同条の次に次の一条を加える。
(命綱固定アンカーの設置の促進等)
第十三条の二の三 国及び地方公共団体は、除排雪中の事故の発生を防止するため、既存の住宅等への命綱固定アンカー(命綱(転落を防止するために人が装着する墜落制止用器具に接続するロープをいう。以下この条において同じ。)の一端を固定するために建築物の屋根に堅固に固定された金具その他これに類する設備をいう。)の設置の促進及び命綱等の除排雪の安全を確保するための装備の普及が図られるよう適切な配慮をするものとする。
第十三条の次に次の一条を加える。
(幹線道路の交通の確保)
第十三条の二 国及び地方公共団体は、短期間に集中的な降雪が生じた場合においても豪雪地帯における幹線道路の交通が確保されるよう、幹線道路に係る除排雪の体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
第十三条の四の次に次の二条を加える。
(地域における除排雪の安全確保等)
第十三条の四の二 国は、地域における持続可能な除排雪の体制の整備の促進その他地域における除排雪の安全を確保するための取組であつて豪雪地帯に係る地方公共団体が実施するものについて、当該地方公共団体に対する交付金の交付その他の必要な措置を講ずるものとする。
(克雪に関する技術の開発及び普及)
第十三条の四の三 国及び地方公共団体は、除排雪中の事故の発生を防止する等のため、克雪に関する技術の開発及び普及を図るよう適切な配慮をするものとする。
第十三条の六中「雪を資源として活用するための」を削る。
第十四条第一項中「平成三十四年三月三十一日」を「令和十四年三月三十一日」に改める。
第十五条第一項及び第三項中「平成三十三年度」を「令和十三年度」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(水源地域対策特別措置法の一部改正)
2 水源地域対策特別措置法(昭和四十八年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。
附則第六項の表豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)第十五条第一項の項中「平成三十三年度」を「令和十三年度」に改める。
理 由
豪雪地帯の現状に鑑み、基本理念を定め、豪雪地帯の特性を踏まえた防災に関する施策の促進、財政上の措置等、幹線道路の交通の確保、命綱固定アンカーの設置の促進等、地域における除排雪の安全確保等並びに克雪に関する技術の開発及び普及等の規定の追加等を行うとともに、特別豪雪地帯における基幹的な市町村道の整備の特例並びに公立の小学校及び中学校等の施設等に対する国の負担割合の特例の措置を引き続き十年間講ずる等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
本案施行に要する経費
本案施行に要する経費としては、平年度約一億円の見込みである。