第二〇八回
衆第二〇号
新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案
(趣旨)
第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。以下同じ。)に対する対策が必要な状況が継続している中で、重症化リスクの高い者等が新型コロナウイルス感染症に関し必要な医療等を確実に受けることができるよう、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制を確保するための措置等について定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等」とは、新型コロナウイルス感染症にかかった場合の病状の程度が重篤化するおそれの高い者その他新型コロナウイルス感染症に関する医療等を地域において一貫した体制の下で受けることを希望する地域住民(以下「重症化リスクの高い者等」という。)について行う次に掲げる業務をいう。
一 新型コロナウイルス感染症その他健康上の問題に関する相談を行うこと。
二 重症化リスクの高い者等が新型コロナウイルス感染症の疑似症患者(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。次号及び第四号において「感染症法」という。)第六条第十項に規定する疑似症患者をいう。)となった場合において新型コロナウイルス感染症に係る検査(次号及び第四号において単に「検査」という。)及び医療の提供を行うこと。
三 重症化リスクの高い者等が新型コロナウイルス感染症に係る濃厚接触者(都道府県知事又は保健所を設置する市若しくは特別区の長が新型コロナウイルス感染症の患者(感染症法第六条第十一項に規定する無症状病原体保有者を含む。次号において同じ。)と一定の期間内に接触があったために当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者と認めるものをいう。)となった場合において健康状態の観察、検査及び医療の提供を行うこと。
四 重症化リスクの高い者等が新型コロナウイルス感染症の患者となり、感染症法第四十四条の三第二項の規定により報告を求められた場合において健康状態の観察、検査及び医療の提供を行うこと。
五 前号の報告を求められた者の病状が急変した場合等において迅速かつ確実な医療の提供を行うため、都道府県又は保健所を設置する市若しくは特別区(以下「都道府県等」という。)及び他の医療機関との連絡調整を行うこと。
六 前各号に掲げる業務の実施に必要となる都道府県等及び他の医療機関との連絡調整を行うこと。
2 この法律において「新型コロナウイルス感染症登録かかりつけ医制度」とは、重症化リスクの高い者等が、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等を行うことを都道府県等に対して申し出た医師のうちから、自らの新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等を一貫して担うこととなる医師を登録することができる制度をいう。
(新型コロナウイルス感染症登録かかりつけ医制度の導入等)
第三条 政府は、重症化リスクの高い者等が新型コロナウイルス感染症に関し必要な医療等を確実に受けることができるよう、新型コロナウイルス感染症登録かかりつけ医制度を導入するために必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、前項の措置を講ずるに当たっては、オンライン診療の活用その他の新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等を受ける者の利便性の向上を図るために必要な措置を講ずるものとする。
3 政府は、第一項の措置を講ずるに当たっては、重症化リスクの高い者等による病院又は診療所の自主的な選択を阻害することのないよう配慮するものとする。
4 政府は、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等を都道府県等と協力して行う医師の属する医療機関に対する協力金、補助金等の支給に係る財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。
(啓発活動)
第四条 国及び地方公共団体は、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等及び新型コロナウイルス感染症登録かかりつけ医制度の重要性について、国民の理解と関心を深めるとともに、必要な啓発活動を行うものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
新型コロナウイルス感染症に対する対策が必要な状況が継続している中で、重症化リスクの高い者等が新型コロナウイルス感染症に関し必要な医療等を確実に受けることができるよう、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制を確保するための措置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。