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第二〇八回

衆第五七号

   国等によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、脱炭素社会(地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第二条の二に規定する脱炭素社会をいう。)の実現が我が国の緊要な課題となっていることに鑑み、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人によるその設置する施設(文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の規定により国宝又は重要文化財として指定された建造物その他の政令で定めるものを除き、学校、病院、庁舎その他の政令で定めるものに限る。以下同じ。)の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関し、実施目標及びこれを達成するための方針、改修等計画の作成その他必要な事項を定めることにより、民間におけるエネルギーの使用の合理化に資する設備及び建築材料並びに再生可能エネルギー源を利用する設備の需要の増進に寄与し、もってエネルギーの使用の合理化及び再生可能エネルギー源の利用の一層の促進に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等」とは、エネルギーの使用の合理化又は再生可能エネルギー源の利用を目的として、増築、改築、修繕、改良、模様替若しくは一部の除却又は敷地の整備をすること並びに政令で定めるところによりエネルギーの使用の状況及び再生可能エネルギー源の利用の状況を評価することをいう。

2 この法律において「再生可能エネルギー源」とは、次に掲げるエネルギー源をいう。

 一 太陽光

 二 風力

 三 水力

 四 地熱

 五 太陽熱

 六 大気中の熱その他の自然界に存する熱(前二号に掲げるものを除く。)

 七 バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)をいう。)

 八 前各号に掲げるもののほか、原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品以外のエネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの

3 この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)又は特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。第六条第一項において同じ。)のうち、その資本金の全部若しくは大部分が国からの出資による法人又はその事業の運営のために必要な経費の主たる財源を国からの交付金若しくは補助金によって得ている法人であって、政令で定めるものをいう。

4 この法律において「地方独立行政法人」とは、地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。

5 この法律において「各省各庁の長」とは、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第四条第二項に規定する各省各庁の長をいう。

 (実施目標)

第三条 国及び独立行政法人等によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施に関し、国及び独立行政法人等が達成すべき目標(次条において「実施目標」という。)は、次のとおりとする。

 一 その施設のエネルギーの使用の効率性その他の性能を都市の低炭素化の促進に関する法律(平成二十四年法律第八十四号)第五十四条第一項第一号の経済産業大臣、国土交通大臣及び環境大臣が定める基準及び建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成二十七年法律第五十三号)第三十五条第一項第一号に規定する建築物エネルギー消費性能誘導基準を勘案して政令で定める基準に適合させること。

 二 その施設における政令で定めるところにより算定したエネルギーの年度(四月一日から翌年三月三十一日までをいう。)の使用量のうち政令で定めるところにより算定した再生可能エネルギー源をエネルギー源として利用したエネルギーの使用量の占める割合を百分の二十以上とすること。

 (実施目標を達成するための方針)

第四条 国及び独立行政法人等は、その設置する施設について、令和十二年度までに実施目標が達成されるよう、省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を計画的かつ着実に実施することを方針とする。

 (所管施設改修等計画)

第五条 各省各庁の長は、前条の方針に即して、当該各省各庁の長の所管に属する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を実施するための計画(以下この条及び第七条において「所管施設改修等計画」という。)を作成しなければならない。

2 所管施設改修等計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を実施する施設の名称及び所在地並びに省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を実施しない施設の名称及び所在地並びに省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を実施しない理由

 二 令和十二年度までの間における省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施に関する基本的な方針、省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の内容及び実施時期等を明らかにした工程表

 三 前二号に掲げるもののほか、省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を計画的かつ着実に実施するために必要な事項

3 各省各庁の長は、所管施設改修等計画を作成しようとするときは、財務大臣(前項第二号に掲げる事項に官公庁施設の建設等に関する法律(昭和二十六年法律第百八十一号)第十条の規定により国土交通大臣が行う営繕又は建設が含まれる場合にあっては、財務大臣及び国土交通大臣)に協議しなければならない。

4 各省各庁の長は、所管施設改修等計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 各省各庁の長は、所管施設改修等計画の実施状況その他の事情を勘案して必要があると認めるときは、速やかに所管施設改修等計画を変更するものとする。

6 第三項及び第四項の規定は、所管施設改修等計画の変更について準用する。

 (独立行政法人等施設改修等計画)

第六条 独立行政法人等の長(当該独立行政法人等が特殊法人である場合にあっては、その代表者。以下同じ。)は、第四条の方針に即して、当該独立行政法人等の設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を実施するための計画(以下この条及び次条において「独立行政法人等施設改修等計画」という。)を作成し、当該独立行政法人等の主務大臣の認可を受けなければならない。

2 独立行政法人等施設改修等計画は、前条第二項各号に掲げる事項について定めるものとする。

3 第一項の主務大臣は、同項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

4 独立行政法人等の長は、第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、その独立行政法人等施設改修等計画を公表しなければならない。

5 独立行政法人等の長は、独立行政法人等施設改修等計画の実施状況その他の事情を勘案して必要があると認めるときは、速やかに独立行政法人等施設改修等計画を変更するものとする。

6 独立行政法人等の長は、独立行政法人等施設改修等計画を変更しようとするときは、当該独立行政法人等の主務大臣の認可を受けなければならない。

7 第三項及び第四項の規定は、前項の認可について準用する。

 (省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施)

第七条 国及び独立行政法人等は、所管施設改修等計画又は独立行政法人等施設改修等計画(次条第一項において「改修等計画」という。)に基づき、その設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を実施するものとする。

 (改修等計画の実施状況の評価の公表等)

第八条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎年少なくとも一回、改修等計画の実施状況を評価し、及びその結果を公表するとともに、これを環境大臣に通知するものとする。

2 前項の規定による環境大臣への通知は、独立行政法人等の長にあっては、当該独立行政法人等の主務大臣を通じて行うものとする。

 (環境大臣の要請)

第九条 環境大臣は、各省各庁の長及び独立行政法人等の主務大臣に対し、省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施のため特に必要があると認められる措置をとるべきことを要請することができる。

 (施設を新築する場合等の措置)

第十条 国及び独立行政法人等は、施設を新築し、又は新設する場合は、当該施設を第三条各号に掲げる事項に適合させるために必要な措置を講じなければならない。

 (省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を実施した施設等の維持保全)

第十一条 各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、第七条の規定により省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等を実施した施設及び前条の措置を講じた施設について、これらの施設におけるエネルギーの使用の合理化及び再生可能エネルギー源の利用の効果が長期にわたり適切に確保されるよう、これらの施設の維持保全に必要な措置を講じなければならない。

 (地方公共団体及び地方独立行政法人の努力)

第十二条 地方公共団体は、第三条から前条まで(第六条及び第九条を除く。)の規定に基づく国の施策に準じて、その設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関し必要な施策を講ずるように努めるものとする。

2 地方独立行政法人は、前項の規定に基づきその設立に係る地方公共団体が講ずる措置に準じて、その設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関し必要な措置を講ずるように努めるものとする。

 (国の援助)

第十三条 国は、地方公共団体及び地方独立行政法人並びに民間事業者その他の者に対し、その設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関し、必要な資金の融通又はあっせんに努めるものとする。

2 環境大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣は、地方公共団体及び地方独立行政法人並びに民間事業者その他の者に対し、その求めに応じて、その設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関し、技術上の指導又は助言を行うことができる。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、令和五年四月一日から施行する。

 (適用区分)

2 第十条の規定は、この法律の施行の日以後にその新築又は新設の工事に着手する施設について適用する。

 (脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正)

3 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和四年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。

  附則第九条に次の一号を加える。

  四 国等によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第三条第一号

  附則第十三条を附則第十四条とし、附則第十二条の次に次の一条を加える。

  (国等によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関する法律の一部改正)

 第十三条 国等によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関する法律の一部を次のように改正する。

   第三条第一号中「第三十五条第一項第一号」を「第三十条第一項第一号」に改める。


     理 由

 脱炭素社会の実現が我が国の緊要な課題となっていることに鑑み、民間におけるエネルギーの使用の合理化に資する設備及び建築材料並びに再生可能エネルギー源を利用する設備の需要の増進に寄与し、もってエネルギーの使用の合理化及び再生可能エネルギー源の利用の一層の促進に資するため、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関し、実施目標及びこれを達成するための方針、改修等計画の作成その他必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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