衆議院

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第二〇八回

参第七号

   困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条−第六条)

 第二章 基本方針及び都道府県基本計画等(第七条・第八条)

 第三章 女性相談支援センターによる支援等(第九条−第十五条)

 第四章 雑則(第十六条−第二十二条)

 第五章 罰則(第二十三条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、女性が日常生活又は社会生活を営むに当たり女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多いことに鑑み、困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図るため、困難な問題を抱える女性への支援に関する必要な事項を定めることにより、困難な問題を抱える女性への支援のための施策を推進し、もって人権が尊重され、及び女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「困難な問題を抱える女性」とは、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性(そのおそれのある女性を含む。)をいう。

 (基本理念)

第三条 困難な問題を抱える女性への支援のための施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

 一 女性の抱える問題が多様化するとともに複合化し、そのために複雑化していることを踏まえ、困難な問題を抱える女性が、それぞれの意思が尊重されながら、抱えている問題及びその背景、心身の状況等に応じた最適な支援を受けられるようにすることにより、その福祉が増進されるよう、その発見、相談、心身の健康の回復のための援助、自立して生活するための援助等の多様な支援を包括的に提供する体制を整備すること。

 二 困難な問題を抱える女性への支援が、関係機関及び民間の団体の協働により、早期から切れ目なく実施されるようにすること。

 三 人権の擁護を図るとともに、男女平等の実現に資することを旨とすること。

 (国及び地方公共団体の責務)

第四条 国及び地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、困難な問題を抱える女性への支援のために必要な施策を講ずる責務を有する。

 (関連施策の活用)

第五条 国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策を講ずるに当たっては、必要に応じて福祉、保健医療、労働、住まい及び教育に関する施策その他の関連施策の活用が図られるよう努めなければならない。

 (緊密な連携)

第六条 国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策を講ずるに当たっては、関係地方公共団体相互間の緊密な連携が図られるとともに、この法律に基づく支援を行う機関と福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所をいう。)、児童相談所、児童福祉施設(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設をいう。)、保健所、医療機関、職業紹介機関(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)第二条に規定する職業紹介機関をいう。)、職業訓練機関、教育機関、都道府県警察、日本司法支援センター(総合法律支援法(平成十六年法律第七十四号)第十三条に規定する日本司法支援センターをいう。)、配偶者暴力相談支援センター(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第三条第一項に規定する配偶者暴力相談支援センターをいう。)その他の関係機関との緊密な連携が図られるよう配慮しなければならない。

   第二章 基本方針及び都道府県基本計画等

 (基本方針)

第七条 厚生労働大臣は、困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の都道府県基本計画及び同条第三項の市町村基本計画の指針となるべきものを定めるものとする。

 一 困難な問題を抱える女性への支援に関する基本的な事項

 二 困難な問題を抱える女性への支援のための施策の内容に関する事項

 三 その他困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する重要事項

3 厚生労働大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。

4 厚生労働大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (都道府県基本計画等)

第八条 都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県における困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「都道府県基本計画」という。)を定めなければならない。

2 都道府県基本計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 困難な問題を抱える女性への支援に関する基本的な方針

 二 困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施内容に関する事項

 三 その他困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する重要事項

3 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、基本方針に即し、かつ、都道府県基本計画を勘案して、当該市町村における困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画(以下この条において「市町村基本計画」という。)を定めるよう努めなければならない。

4 都道府県又は市町村は、都道府県基本計画又は市町村基本計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 厚生労働大臣は、都道府県又は市町村に対し、都道府県基本計画又は市町村基本計画の作成のために必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならない。

   第三章 女性相談支援センターによる支援等

 (女性相談支援センター)

第九条 都道府県は、女性相談支援センターを設置しなければならない。

2 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)は、女性相談支援センターを設置することができる。

3 女性相談支援センターは、困難な問題を抱える女性への支援に関し、主として次に掲げる業務を行うものとする。

 一 困難な問題を抱える女性に関する各般の問題について、困難な問題を抱える女性の立場に立って相談に応ずること又は第十一条第一項に規定する女性相談支援員若しくは相談を行う機関を紹介すること。

 二 困難な問題を抱える女性(困難な問題を抱える女性がその家族を同伴する場合にあっては、困難な問題を抱える女性及びその同伴する家族。次号から第五号まで及び第十二条第一項において同じ。)の緊急時における安全の確保及び一時保護を行うこと。

 三 困難な問題を抱える女性の心身の健康の回復を図るため、医学的又は心理学的な援助その他の必要な援助を行うこと。

 四 困難な問題を抱える女性が自立して生活することを促進するため、就労の支援、住宅の確保、援護、児童の保育等に関する制度の利用等について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助を行うこと。

 五 困難な問題を抱える女性が居住して保護を受けることができる施設の利用について、情報の提供、助言、関係機関との連絡調整その他の援助を行うこと。

4 女性相談支援センターは、その業務を行うに当たっては、その支援の対象となる者の抱えている問題及びその背景、心身の状況等を適切に把握した上で、その者の意向を踏まえながら、最適な支援を行うものとする。

5 女性相談支援センターに、所長その他所要の職員を置く。

6 女性相談支援センターには、第三項第二号の一時保護を行う施設を設けなければならない。

7 第三項第二号の一時保護は、緊急に保護することが必要と認められる場合その他厚生労働省令で定める場合に、女性相談支援センターが、自ら行い、又は厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行うものとする。

8 前項の規定による委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、その委託を受けた業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

9 第三項第二号の一時保護に当たっては、その対象となる者が監護すべき児童を同伴する場合には、当該児童の状況に応じて、当該児童への学習に関する支援が行われるものとする。

10 女性相談支援センターは、その業務を行うに当たっては、必要に応じ、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体との連携に努めるものとする。

11 前各項に定めるもののほか、女性相談支援センターに関し必要な事項は、政令で定める。

 (女性相談支援センターの所長による報告等)

第十条 女性相談支援センターの所長は、困難な問題を抱える女性であって配偶者のないもの又はこれに準ずる事情にあるもの及びその者の監護すべき児童について、児童福祉法第二十三条第二項に規定する母子保護の実施が適当であると認めたときは、これらの者を当該母子保護の実施に係る都道府県又は市町村の長に報告し、又は通知しなければならない。

 (女性相談支援員)

第十一条 都道府県(女性相談支援センターを設置する指定都市を含む。第二十条第一項(第四号から第六号までを除く。)並びに第二十二条第一項及び第二項第一号において同じ。)は、困難な問題を抱える女性について、その発見に努め、その立場に立って相談に応じ、及び専門的技術に基づいて必要な援助を行う職務に従事する職員(以下「女性相談支援員」という。)を置くものとする。

2 市町村(女性相談支援センターを設置する指定都市を除く。第二十条第二項及び第二十二条第二項第二号において同じ。)は、女性相談支援員を置くよう努めるものとする。

3 女性相談支援員の任用に当たっては、その職務を行うのに必要な能力及び専門的な知識経験を有する人材の登用に特に配慮しなければならない。

 (女性自立支援施設)

第十二条 都道府県は、困難な問題を抱える女性を入所させて、その保護を行うとともに、その心身の健康の回復を図るための医学的又は心理学的な援助を行い、及びその自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うこと(以下「自立支援」という。)を目的とする施設(以下「女性自立支援施設」という。)を設置することができる。

2 都道府県は、女性自立支援施設における自立支援を、その対象となる者の意向を踏まえながら、自ら行い、又は市町村、社会福祉法人その他適当と認める者に委託して行うことができる。

3 女性自立支援施設における自立支援に当たっては、その対象となる者が監護すべき児童を同伴する場合には、当該児童の状況に応じて、当該児童への学習及び生活に関する支援が行われるものとする。

 (民間の団体との協働による支援)

第十三条 都道府県は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体と協働して、その自主性を尊重しつつ、困難な問題を抱える女性について、その意向に留意しながら、訪問、巡回、居場所の提供、インターネットの活用、関係機関への同行その他の厚生労働省令で定める方法により、その発見、相談その他の支援に関する業務を行うものとする。

2 市町村は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体と協働して、その自主性を尊重しつつ、困難な問題を抱える女性について、その意向に留意しながら、前項の業務を行うことができる。

 (民生委員等の協力)

第十四条 民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員、児童福祉法に定める児童委員、人権擁護委員法(昭和二十四年法律第百三十九号)に定める人権擁護委員、保護司法(昭和二十五年法律第二百四号)に定める保護司及び更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)に定める更生保護事業を営む者は、この法律の施行に関し、女性相談支援センター及び女性相談支援員に協力するものとする。

 (支援調整会議)

第十五条 地方公共団体は、単独で又は共同して、困難な問題を抱える女性への支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、第九条第七項又は第十二条第二項の規定による委託を受けた者、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体及び困難な問題を抱える女性への支援に従事する者その他の関係者(以下この条において「関係機関等」という。)により構成される会議(以下この条において「支援調整会議」という。)を組織するよう努めるものとする。

2 支援調整会議は、困難な問題を抱える女性への支援を適切かつ円滑に行うために必要な情報の交換を行うとともに、困難な問題を抱える女性への支援の内容に関する協議を行うものとする。

3 支援調整会議は、前項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるときは、関係機関等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。

4 関係機関等は、前項の規定による求めがあった場合には、これに協力するよう努めるものとする。

5 次の各号に掲げる支援調整会議を構成する関係機関等の区分に従い、当該各号に定める者は、正当な理由がなく、支援調整会議の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 一 国又は地方公共団体の機関 当該機関の職員又は職員であった者

 二 法人 当該法人の役員若しくは職員又はこれらの者であった者

 三 前二号に掲げる者以外の者 支援調整会議を構成する者又は当該者であった者

6 前各項に定めるもののほか、支援調整会議の組織及び運営に関し必要な事項は、支援調整会議が定める。

   第四章 雑則

 (教育及び啓発)

第十六条 国及び地方公共団体は、この法律に基づく困難な問題を抱える女性への支援に関し国民の関心と理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。

2 国及び地方公共団体は、自己がかけがえのない個人であることについての意識の涵養に資する教育及び啓発を含め、女性が困難な問題を抱えた場合にこの法律に基づく支援を適切に受けることができるようにするための教育及び啓発に努めるものとする。

 (調査研究の推進)

第十七条 国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に資するため、効果的な支援の方法、その心身の健康の回復を図るための方法等に関する調査研究の推進に努めるものとする。

 (人材の確保等)

第十八条 国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に従事する者の適切な処遇の確保のための措置、研修の実施その他の措置を講ずることにより、困難な問題を抱える女性への支援に係る人材の確保、養成及び資質の向上を図るよう努めるものとする。

 (民間の団体に対する援助)

第十九条 国及び地方公共団体は、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとする。

 (都道府県及び市町村の支弁)

第二十条 都道府県は、次に掲げる費用(女性相談支援センターを設置する指定都市にあっては、第一号から第三号までに掲げる費用に限る。)を支弁しなければならない。

 一 女性相談支援センターに要する費用(次号に掲げる費用を除く。)

 二 女性相談支援センターが行う第九条第三項第二号の一時保護(同条第七項に規定する厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行う場合を含む。)及びこれに伴い必要な事務に要する費用

 三 都道府県が置く女性相談支援員に要する費用

 四 都道府県が設置する女性自立支援施設の設備に要する費用

 五 都道府県が行う自立支援(市町村、社会福祉法人その他適当と認める者に委託して行う場合を含む。)及びこれに伴い必要な事務に要する費用

 六 第十三条第一項の規定により都道府県が自ら行い、又は民間の団体に委託して行う困難な問題を抱える女性への支援に要する費用

2 市町村は、市町村が置く女性相談支援員に要する費用を支弁しなければならない。

3 市町村は、第十三条第二項の規定により市町村が自ら行い、又は民間の団体に委託して行う困難な問題を抱える女性への支援に要する費用を支弁しなければならない。

 (都道府県等の補助)

第二十一条 都道府県は、社会福祉法人が設置する女性自立支援施設の設備に要する費用の四分の三以内を補助することができる。

2 都道府県又は市町村は、第十三条第一項又は第二項の規定に基づく業務を行うに当たって、法令及び予算の範囲内において、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体の当該活動に要する費用(前条第一項第六号の委託及び同条第三項の委託に係る委託費の対象となる費用を除く。)の全部又は一部を補助することができる。

 (国の負担及び補助)

第二十二条 国は、政令で定めるところにより、都道府県が第二十条第一項の規定により支弁した費用のうち、同項第一号及び第二号に掲げるものについては、その十分の五を負担するものとする。

2 国は、予算の範囲内において、次に掲げる費用の十分の五以内を補助することができる。

 一 都道府県が第二十条第一項の規定により支弁した費用のうち、同項第三号及び第五号に掲げるもの(女性相談支援センターを設置する指定都市にあっては、同項第三号に掲げるものに限る。)

 二 市町村が第二十条第二項の規定により支弁した費用

3 国は、予算の範囲内において、都道府県が第二十条第一項の規定により支弁した費用のうち同項第六号に掲げるもの及び市町村が同条第三項の規定により支弁した費用並びに都道府県及び市町村が前条第二項の規定により補助した金額の全部又は一部を補助することができる。

   第五章 罰則

第二十三条 第九条第八項又は第十五条第五項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和六年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 次条並びに附則第三条、第五条及び第三十八条の規定 公布の日

 二 附則第三十四条の規定 この法律の公布の日又は児童福祉法等の一部を改正する法律(令和四年法律第▼▼▼号)の公布の日のいずれか遅い日

 三 附則第三十五条の規定 この法律の公布の日又は刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第▼▼▼号)の公布の日のいずれか遅い日

 四 附則第三十六条の規定 この法律の公布の日又は刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)の公布の日のいずれか遅い日

 (検討)

第二条 政府は、この法律の公布後三年を目途として、この法律に基づく支援を受ける者の権利を擁護する仕組みの構築及び当該支援の質を公正かつ適切に評価する仕組みの構築について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 政府は、前項に定める事項のほか、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (準備行為)

第三条 厚生労働大臣は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、第七条第一項から第三項までの規定の例により、基本方針を定めることができる。この場合において、厚生労働大臣は、同条第四項の規定の例により、これを公表することができる。

2 前項の規定により定められ、公表された基本方針は、施行日において、第七条第一項から第三項までの規定により定められ、同条第四項の規定により公表された基本方針とみなす。

 (売春防止法の一部改正)

第四条 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)の一部を次のように改正する。

  目次中

第三章 補導処分(第十七条−第三十三条)

 

 

第四章 保護更生(第三十四条−第四十条)

 

 

附則

 を「附則」に改める。

  第一条中「かんがみ」を「鑑み」に改め、「とともに、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずる」を削る。

  第三章及び第四章を削る。

 (補導処分に付された者に係る措置)

第五条 政府は、前条の規定による改正前の売春防止法(以下「旧売春防止法」という。)第十七条の規定により補導処分に付された者であって、施行日前に婦人補導院(附則第十条の規定による廃止前の婦人補導院法(昭和三十三年法律第十七号。附則第十一条において「旧婦人補導院法」という。)第一条第一項に規定する婦人補導院をいう。以下同じ。)から退院し、又は旧売春防止法第三十条の規定により補導処分の執行を受け終わったものとされた者以外のものが、施行日以後において必要に応じてこの法律に基づく支援を受けることができるよう、その者に対する当該支援に関する情報の提供、関係機関の連携を図るための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

第六条 前条の者であって施行日前に婦人補導院に収容されたものについては、この法律の施行の時において刑の執行猶予の期間を経過したものとみなす。

2 旧売春防止法第五条の罪と他の罪とにつき懲役又は禁錮に処せられ、旧売春防止法第十七条の規定により補導処分に付された者については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第五十四条第一項の規定により旧売春防止法第五条の罪の刑によって処断された場合を除き、前項の規定を適用しない。

第七条 施行日前に婦人補導院から退院した者及び旧売春防止法第三十条の規定により補導処分の執行を受け終わったものとされた者に係る更生緊急保護(更生保護法(平成十九年法律第八十八号)第八十五条第一項に規定する更生緊急保護をいう。次項において同じ。)及び刑執行終了者等に対する援助(刑法等の一部を改正する法律第六条の規定による改正後の更生保護法第八十八条の二に規定する援助をいう。同項において同じ。)については、なお従前の例による。ただし、更生保護法第八十六条第三項の規定は、適用しない。

2 前条第一項に規定する者に係る更生緊急保護及び刑執行終了者等に対する援助については、前項に規定する者の例による。

 (婦人相談所に関する経過措置等)

第八条 この法律の施行の際現に存する旧売春防止法第三十四条第一項に規定する婦人相談所は、女性相談支援センターとみなす。この場合において、この法律の施行の際現に行われている同条第三項第三号の一時保護及びその委託は、第九条第七項の規定により行われる同条第三項第二号の一時保護及びその委託とみなす。

2 この法律の施行後に行われる女性相談支援員の任用に当たっては、この法律の施行の際現に旧売春防止法第三十五条第一項又は第二項の規定により婦人相談員を委嘱されている者については、第十一条第三項に規定する人材として、その登用に特に配慮しなければならない。

3 この法律の施行の際現に存する旧売春防止法第三十六条に規定する婦人保護施設は、女性自立支援施設とみなす。この場合において、この法律の施行の際現に行われている同条の収容保護及びその委託は、第十二条第二項の規定により行われる自立支援及びその委託とみなす。

 (旧売春防止法に規定する費用に関する経過措置)

第九条 施行日前に行われ、又は行われるべきであった旧売春防止法第三十八条に規定する費用についての都道府県及び市の支弁並びに国の負担及び補助並びに旧売春防止法第三十九条に規定する費用についての都道府県の補助については、なお従前の例による。

 (婦人補導院法の廃止)

第十条 婦人補導院法は、廃止する。

 (婦人補導院法の廃止に伴う経過措置)

第十一条 旧婦人補導院法第十二条の規定による手当金の支給及び旧婦人補導院法第十九条の規定による遺留金品の措置については、なお従前の例による。この場合において、これらに関する事務は、法務省令で定める法務省の職員が行うものとする。

 (地方自治法の一部改正)

第十二条 地方自治法の一部を次のように改正する。

  別表第一売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)の項を削る。

 (児童福祉法の一部改正)

第十三条 児童福祉法の一部を次のように改正する。

  第二十三条第四項中「売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第三十六条の二」を「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第十条」に改める。

 (地方財政法及びストーカー行為等の規制等に関する法律の一部改正)

第十四条 次に掲げる法律の規定中「婦人相談所」を「女性相談支援センター」に改める。

 一 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十条第十号

 二 ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成十二年法律第八十一号)第九条第一項

 (公職選挙法及び日本国憲法の改正手続に関する法律の一部改正)

第十五条 次に掲げる法律の規定中「、少年鑑別所若しくは婦人補導院」を「若しくは少年鑑別所」に改める。

 一 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第四十八条の二第一項第三号

 二 日本国憲法の改正手続に関する法律(平成十九年法律第五十一号)第六十条第一項第三号

 (精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部改正)

第十六条 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。

  第二十六条中「、少年鑑別所及び婦人補導院」を「及び少年鑑別所」に、「疑」を「疑い」に、「左の」を「次の」に改める。

  第四十三条第一項中「行ない」を「行い」に改め、「若しくは補導処分」を削る。

 (電波法の一部改正)

第十七条 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第百三条の二第十四項第三号中「、少年鑑別所法」を「及び少年鑑別所法」に改め、「及び婦人補導院法(昭和三十三年法律第十七号)第一条第一項に規定する婦人補導院」を削る。

 (社会福祉法の一部改正)

第十八条 社会福祉法の一部を次のように改正する。

  第二条第二項第六号中「売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)」を「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)」に、「婦人保護施設」を「女性自立支援施設」に改める。

 (出入国管理及び難民認定法の一部改正)

第十九条 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)の一部を次のように改正する。

  第六十二条第三項中「少年法」を「又は少年法」に改め、「、又は売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第十七条の処分を受けて退院するとき」を削り、同条第四項中「若しくは売春防止法第十七条の処分を受けて婦人補導院に在院している場合」を削る。

  第六十三条第一項中「若しくは婦人補導院」を削り、同条第二項中「基き」を「基づき」に改め、「若しくは婦人補導院」を削り、同項ただし書中「但し」を「ただし」に改める。

 (麻薬及び向精神薬取締法等の一部改正)

第二十条 次に掲げる法律の規定中「、少年鑑別所及び婦人補導院」を「及び少年鑑別所」に改める。

 一 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第五十八条の五

 二 矯正医官の兼業の特例等に関する法律(平成二十七年法律第六十二号)第二条第一号

 三 再犯の防止等の推進に関する法律(平成二十八年法律第百四号)第三条第二項

 (国家公務員共済組合法の一部改正)

第二十一条 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。

  第三条第二項第一号中「、婦人補導院」を削る。

 (矯正医官修学資金貸与法の一部改正)

第二十二条 矯正医官修学資金貸与法(昭和三十六年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「、少年鑑別所及び婦人補導院」を「及び少年鑑別所」に、「かんがみ」を「鑑み」に改める。

 (激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部改正)

第二十三条 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第九号中「売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第三十六条」を「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第十二条第一項」に、「婦人保護施設」を「女性自立支援施設」に、「収容保護」を「同項に規定する自立支援」に改める。

 (母子及び父子並びに寡婦福祉法の一部改正)

第二十四条 母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)の一部を次のように改正する。

  第三条の二第一項中「売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第三十五条第一項」を「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第十一条第一項」に、「婦人相談員」を「女性相談支援員」に改める。

 (児童手当法の一部改正)

第二十五条 児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第三項第四号中「売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第三十六条に規定する婦人保護施設(以下「婦人保護施設」を「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第十二条第一項に規定する女性自立支援施設(同号において「女性自立支援施設」に改める。

  第四条第一項第四号中「婦人保護施設」を「女性自立支援施設」に改める。

 (行政手続法及び行政不服審査法の一部改正)

第二十六条 次に掲げる法律の規定中「、少年鑑別所又は婦人補導院」を「又は少年鑑別所」に改める。

 一 行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三条第一項第八号

 二 行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第七条第一項第九号

 (更生保護事業法の一部改正)

第二十七条 更生保護事業法の一部を次のように改正する。

  第二条第二項第八号中「。次号において同じ」を削り、同項第九号を削り、同項第十号を同項第九号とする。

 (更生保護事業法の一部改正に伴う経過措置)

第二十八条 施行日前に婦人補導院に収容された者については、施行日以後は、更生保護事業法第二条第五項に規定する被保護者とみなす。

 (児童虐待の防止等に関する法律の一部改正)

第二十九条 児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項中「婦人相談所」を「女性相談支援センター」に、「婦人相談員」を「女性相談支援員」に改める。

 (配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部改正)

第三十条 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を次のように改正する。

  第三条第一項中「婦人相談所」を「女性相談支援センター」に改め、同条第三項第一号中「婦人相談員」を「女性相談支援員」に改め、同条第四項中「婦人相談所」を「女性相談支援センター」に改める。

  第四条(見出しを含む。)中「婦人相談員」を「女性相談支援員」に改める。

  第五条(見出しを含む。)中「婦人保護施設」を「女性自立支援施設」に改める。

  第二十七条の見出し中「市」を「市町村」に改め、同条第一項第一号中「婦人相談所」を「女性相談支援センター」に改め、同項第二号中「婦人相談所」を「女性相談支援センター」に改め、「含む。)」の下に「及びこれに伴い必要な事務」を加え、同項第三号中「都道府県知事の委嘱する婦人相談員」を「都道府県が置く女性相談支援員」に改め、同条第二項中「市」を「市町村」に、「その長の委嘱する婦人相談員」を「市町村が置く女性相談支援員」に改める。

  第二十八条第二項第二号中「市」を「市町村」に改める。

 (更生保護法の一部改正)

第三十一条 更生保護法の一部を次のように改正する。

  第十三条中「、婦人補導院の長」を削る。

  第十六条中第七号を削り、第八号を第七号とし、第九号を第八号とする。

  第二十三条第一項第二号中「並びに売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第二十五条第四項」を削り、同項第三号中「並びに売春防止法第二十五条第四項」を削る。

  第二十七条第三項中「若しくは婦人補導院」を削り、「、少年院の長又は婦人補導院の長」を「又は少年院の長」に改め、同条第四項中「(売春防止法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)」及び「(同法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)」を削る。

  第二十九条第一号中「この法律及び売春防止法の定めるところにより、」を削る。

 (更生保護法の一部改正に伴う調整規定)

第三十二条 施行日が刑法等の一部を改正する法律附則第一項第二号に掲げる規定の施行の日以後である場合には、前条のうち更生保護法第十六条中第七号を削り、第八号を第七号とし、第九号を第八号とする改正規定中「第七号を削り、第八号を第七号とし、第九号を第八号」とあるのは、「第六号を削り、第七号を第六号とし、第八号を第七号」とする。

 (平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法の一部改正)

第三十三条 平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法(平成二十三年法律第百七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第三項第四号中「売春防止法」を「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)附則第四条の規定による改正前の売春防止法」に改める。

 (児童福祉法等の一部を改正する法律の一部改正)

第三十四条 児童福祉法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。

  第二条のうち児童福祉法第二十三条の次に二条を加える改正規定のうち第二十三条の三中「売春防止法第三十六条の二」を「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律第十条」に改める。

  第六条を次のように改める。

 第六条 削除

  本則に次の一条を加える。

  (困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の一部改正)

 第十条 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)の一部を次のように改正する。

   第十条中「第二十三条第二項」を「第六条の三第十八項に規定する妊産婦等生活援助事業の実施又は同法第二十三条第二項」に、「当該」を「当該妊産婦等生活援助事業の実施又は当該」に改める。

 (刑法等の一部を改正する法律の一部改正)

第三十五条 刑法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。

  第九条のうち更生保護事業法第二条第二項第十号の改正規定中「同項第十号」を「同項第九号」に改める。

 (刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律の一部改正)

第三十六条 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律の一部を次のように改正する。

  第三十条中売春防止法第十七条第一項の改正規定、同法第二十六条第二項の改正規定並びに同法第三十二条第一項及び第二項の改正規定を削る。

  第二百二十一条に次の一号を加える。

  八十九 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第二十三条

  第四百七十一条中「第二条第二項第十号」を「第二条第二項第九号」に改める。

  第四百八十四条第二項中「及び旧売春防止法第三章に規定する補導処分に関する事項」を削り、同条第三項を削る。

 (法務省設置法の一部改正)

第三十七条 法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第十二号中「、補導処分」を削り、同項第十五号中「、少年院又は婦人補導院」を「又は少年院」に改める。

  第八条第一項中「婦人補導院」を削る。

  第十二条及び第十三条を次のように改める。

 第十二条及び第十三条 削除

  第十六条第一項中「、少年鑑別所及び婦人補導院」を「及び少年鑑別所」に改める。

 (政令への委任)

第三十八条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 女性が日常生活又は社会生活を営むに当たり女性であることにより様々な困難な問題に直面することが多いことに鑑み、困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図るため、困難な問題を抱える女性への支援に関する必要な事項を定めることにより、困難な問題を抱える女性への支援のための施策を推進し、もって人権が尊重され、及び女性が安心して、かつ、自立して暮らせる社会の実現に寄与する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   この法律の施行に伴い必要となる経費

 この法律の施行に伴い必要となる経費は、令和六年度において約四十三億円の見込みである。

衆議院
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