第二〇八回
参第三一号
農業用植物の優良な品種を確保するための公的新品種育成の促進等に関する法律案
(目的)
第一条 この法律は、地域における農業の基盤である農業用植物の優良な品種を確保する上で農業用植物の新品種の育成が継続的かつ安定的に行われることが重要であることに鑑み、公的新品種育成の促進及び公的育成品種の有効かつ適正な利用の確保(第三条第一項及び第二項において「公的新品種育成の促進等」という。)に関し、基本方針の策定その他の必要な事項を定めることにより、地域における農業の持続的な発展を図り、もって国民生活の安定向上に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「農業用植物」とは、農産物の生産のために栽培される植物をいう。
2 この法律において「公的新品種育成」とは、地方公共団体の試験研究機関又は独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)若しくは地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)であって試験研究に関する業務を行うもの(次項において「公的試験研究機関」という。)における農業用植物の新品種の育成(遺伝子組換え技術又はゲノム編集技術を用いるものを除く。)をいう。
3 この法律において「公的育成品種」とは、公的試験研究機関において育成された農業用植物の品種をいう。
(基本方針)
第三条 農林水産大臣は、公的新品種育成の促進等に関する基本方針(以下この条において「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 公的新品種育成の促進等の意義及び基本的な方向に関する事項
二 公的新品種育成の促進に関する事項
三 公的育成品種の有効かつ適正な利用の確保に関する事項
四 公的育成品種の種苗の生産に係る技術を有する人材の育成に関する事項
五 その他公的新品種育成の促進等に関し必要な事項
3 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
(公的新品種育成の促進)
第四条 国は、農業用植物の新品種の育成が継続的かつ安定的に行われるよう、公的新品種育成の促進に必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。
(公的育成品種の有効かつ適正な利用の確保)
第五条 国及び地方公共団体は、公的育成品種の有効かつ適正な利用を図るため、公的育成品種を農業者が低廉な対価で利用することができる環境の整備、公的育成品種に係る知的財産権に関する国民の理解と関心を深めるための啓発活動その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(公的育成品種の種苗の生産に係る技術を有する人材の育成)
第六条 国及び地方公共団体は、公的育成品種の有効な利用を図る上で公的育成品種の種苗の生産に係る技術が継承されることが重要であることに鑑み、当該技術を有する人材を育成するため、当該技術の普及指導その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
地域における農業の基盤である農業用植物の優良な品種を確保する上で農業用植物の新品種の育成が継続的かつ安定的に行われることが重要であることに鑑み、地域における農業の持続的な発展を図るため、公的新品種育成の促進等に関し、基本方針の策定その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。