第二〇八回
参第三三号
こどもに関する公的給付の所得制限の撤廃等に係る施策の推進に関する法律案
(目的)
第一条 この法律は、こどもがひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に寄与するため、こどもに関する公的給付の所得による支給の制限の撤廃、こどもに関する公的給付の拡充その他のこどもに関する公的給付の見直し(以下「こどもに関する公的給付の所得制限の撤廃等」という。)に係る施策について、基本理念、国の責務その他の必要な事項を定めることにより、これを集中的かつ計画的に推進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「こどもに関する公的給付」とは、児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)に規定する児童手当その他こどもの養育に関して行われる給付(資金の貸与を含む。以下この条において同じ。)及び教育、保育、医療その他こどもに対する役務又は物品の提供に要する費用に関して行われる給付であって、国又は地方公共団体がその給付に要する費用の全部又は一部を負担し、又は補助することとされているものをいう。
(基本理念)
第三条 こどもに関する公的給付の所得制限の撤廃等に係る施策は、次代の社会を担う全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されることその他のこどもの福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育を受ける機会が等しく与えられるべきであることを踏まえつつ、こどもに関する公的給付が本来はこども本人に支給されるべきものであるとの観点に立って、こどもの家庭の所得の状況その他の経済的な状況によってその支給が制限されないようにすることを旨として、こどもに関する公的給付の支給要件の見直し、こどもに関する公的給付の拡充その他のこどもに関する公的給付の見直しに係る措置を集中的かつ計画的に講ずることにより、行われなければならない。
(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、こどもに関する公的給付の所得制限の撤廃等に係る施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(計画の作成等)
第五条 政府は、この法律の施行後六月以内に、こどもに関する公的給付の所得制限の撤廃等に係る施策を実施するために講ずべき措置を定めた計画を作成しなければならない。
2 政府は、前項の計画を作成したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
(法制上の措置等)
第六条 政府は、前条第一項の計画に基づき、こどもに関する公的給付の所得制限の撤廃等に係る施策を実施するために必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。この場合において、必要となる法制上の措置については、同項の計画の作成後三年以内に講ずるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
こどもがひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に寄与するため、こどもに関する公的給付の所得制限の撤廃等に係る施策について、基本理念、国の責務その他の必要な事項を定めることにより、これを集中的かつ計画的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。