第二〇八回
閣第二〇号
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案
第一条 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成三十年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
目次中「円滑化」の下に「及び管理の適正化」を加え、「第三節 不在者の財産及び相続財産の管理に関する民法の特例(第三十八条)」を
「 |
第三節 所有者不明土地の管理の適正化のための措置(第三十八条−第四十一条) |
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第四節 不在者の財産及び相続財産の管理に関する民法の特例(第四十二条) |
」 |
に、「第三十九条」を「第四十三条」に、「第四十条」を「第四十四条」に、
「 |
第五章 雑則(第四十一条−第四十八条) |
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第六章 罰則(第四十九条−第五十一条) |
」 |
を
「 |
第五章 所有者不明土地対策計画等(第四十五条・第四十六条) |
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第六章 所有者不明土地利用円滑化等推進法人(第四十七条−第五十二条) |
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第七章 雑則(第五十三条−第六十条) |
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第八章 罰則(第六十一条−第六十三条) |
」 |
に改める。
第一条中「円滑化及び」の下に「管理の適正化並びに」を加える。
第二条第二項中「(以下「簡易建築物」を「又はその利用が困難であり、かつ、引き続き利用されないことが確実であると見込まれる建築物として建築物の損傷、腐食その他の劣化の状況、建築時からの経過年数その他の事情を勘案して政令で定める基準に該当するもの(以下「簡易建築物等」に改め、同条第三項中第十号を第十二号とし、第九号を第十一号とし、第八号の次に次の二号を加える。
九 備蓄倉庫、非常用電気等供給施設(非常用の電気又は熱の供給施設をいう。)その他の施設で災害対策の実施の用に供するものとして政令で定めるものの整備に関する事業
十 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)による再生可能エネルギー発電設備のうち、地域住民その他の者の共同の福祉又は利便の増進に資するものとして政令で定める要件に適合するものの整備に関する事業
第二条第四項中「第三十九条第一項」を「第四十三条第一項」に改める。
第三条第一項中「円滑化及び」の下に「管理の適正化並びに」を加え、同条第二項中第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。
五 第四十五条第一項に規定する所有者不明土地対策計画の作成に関する基本的な事項
第五条に次の二項を加える。
2 市町村は、その区域内における所有者不明土地の利用の円滑化等の的確な実施が図られるよう、この法律に基づく措置その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 都道府県は、前項の市町村の責務が十分に果たされるよう、市町村相互間の連絡調整を行うとともに、市町村に対し、市町村の区域を超えた広域的な見地からの助言その他の援助を行うよう努めなければならない。
第三章の章名中「円滑化」の下に「及び管理の適正化」を加える。
第六条中「簡易建築物」を「簡易建築物等」に改める。
第十条第二項第七号中「以下」を「第十三条第二項第二号及び第二十四条において」に改め、同条第三項第二号ホ中「内訳」の下に「並びに当該補償金の支払の時期」を加える。
第十一条第四項中「六月間」を「二月間」に改める。
第十三条第二項第四号中「額」の下に「及びその支払の時期」を加え、同条第三項中「十年」の下に「(第二条第三項第一号、第六号及び第八号から第十号までに掲げる事業のうち、当該事業の内容その他の事情を勘案して長期にわたる土地の使用を要するものとして政令で定める事業にあっては、二十年)」を加え、「同項第四号」を「前項第四号」に改め、同条第四項中「事項」の下に「(同号の補償金の額に係るものに限る。)」を加え、同条第五項中「簡易建築物」を「簡易建築物等」に改める。
第十六条第三項中「相当の額」の下に「(土地等使用権の取得に係る当該補償金の額にあっては、当該相当の額から特定所有者不明土地等の管理に要する費用に相当する額を控除して得た額)」を加える。
第十七条第一項及び第十八条中「土地使用権等の始期」を「補償金の支払の時期」に改める。
第十九条第一項中「九月前から六月前まで」を「七月前から四月前まで」に改め、同条第二項の表第十一条第四項の項中「六月間」を「二月間」に、「三月間」を「一月間」に改め、同条第四項の表第十五条及び第十七条第一項の項中「第十五条」の下に「、第十六条第三項」を加え、同表第十六条第三項の項を次のように改める。
第十六条第三項 |
土地使用権等の取得 |
土地等使用権の存続期間の延長 |
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(土地等使用権の取得に係る当該補償金の額にあっては、当該相当の額から |
から |
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額) |
額 |
第十九条第四項の表第十七条第一項及び前条の項を削る。
第二十四条中「満了したとき」の下に「、土地使用権等の始期後に第十八条(第十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により裁定が失効したとき」を加える。
第三十二条第五項及び第三十六条第一項中「簡易建築物」を「簡易建築物等」に改める。
第三十七条第一項中「第三十九条第一項及び第四十六条第二号」を「第四十三条第一項及び第五十八条第二号」に改める。
第五十一条を第六十三条とする。
第五十条第一項中「該当する」の下に「場合には、その違反行為をした」を加え、同項第一号中「)又は」を「)、」に、「の規定による」を「又は第四十一条第一項の規定による」に、「者」を「とき。」に改め、同項第二号及び第三号中「者」を「とき。」に改め、同項に次の一号を加える。
四 第三十九条の規定による命令に違反したとき。
第五十条を第六十二条とする。
第四十九条中「違反した」の下に「ときは、その違反行為をした」を加え、同条を第六十一条とする。
第六章を第八章とする。
第五章中第四十八条を第六十条とし、第四十三条から第四十七条までを十二条ずつ繰り下げる。
第四十二条中「前条」を「前条各項」に改め、同条を第五十四条とする。
第四十一条中「地方公共団体の長」を「都道府県知事」に改め、同条に次の一項を加える。
2 市町村長は、次に掲げる場合においては、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に対し、国土交通省の職員の派遣を要請することができる。
一 地域福利増進事業等の実施の準備のため又は第三十八条第一項の規定による勧告を適切に行うためその職員に土地所有者等の探索に関する専門的な知識を習得させる必要があるとき。
二 所有者不明土地対策計画の作成若しくは変更又は所有者不明土地の管理の適正化を図るために行う事業若しくは事務の実施の準備若しくは実施のため必要があるとき。
第四十一条を第五十三条とする。
第五章を第七章とする。
第四章第二節中第四十条を第四十四条とし、同章の次に次の二章を加える。
第五章 所有者不明土地対策計画等
(所有者不明土地対策計画)
第四十五条 市町村は、単独で又は共同して、基本方針に基づき、所有者不明土地の利用の円滑化等を図るための施策に関する計画(以下「所有者不明土地対策計画」という。)を作成することができる。
2 所有者不明土地対策計画には、おおむね次に掲げる事項を記載するものとする。
一 所有者不明土地の利用の円滑化等を図るための施策に関する基本的な方針
二 地域福利増進事業を実施しようとする者に対する情報の提供又は助言その他の所有者不明土地の利用の円滑化を図るために講ずべき施策に関する事項
三 所有者不明土地の確知所有者に対する情報の提供又は助言その他の所有者不明土地の管理の適正化を図るために講ずべき施策に関する事項
四 地域福利増進事業等を実施しようとする区域内の土地その他の土地に係る土地所有者等の効果的な探索を図るために講ずべき施策に関する事項
五 低未利用土地(土地基本法(平成元年法律第八十四号)第十三条第四項に規定する低未利用土地をいう。第四十八条第六号において同じ。)の適正な利用及び管理の促進その他所有者不明土地の発生の抑制のために講ずべき施策に関する事項
六 所有者不明土地の利用の円滑化等を図るための体制の整備に関する事項
七 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する普及啓発に関する事項
八 前各号に掲げるもののほか、所有者不明土地の利用の円滑化等を図るために必要な事項
3 市町村は、所有者不明土地対策計画を作成しようとする場合において、次条第一項に規定する協議会が組織されているときは、当該所有者不明土地対策計画に記載する事項について当該協議会において協議しなければならない。
4 市町村は、所有者不明土地対策計画を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県にその写しを送付しなければならない。
5 前二項の規定は、所有者不明土地対策計画の変更について準用する。
6 国は、所有者不明土地対策計画に基づいて所有者不明土地の利用の円滑化等を図るために必要な事業又は事務を行う市町村に対し、予算の範囲内において、当該事業又は事務に要する費用の一部を補助することができる。
(所有者不明土地対策協議会)
第四十六条 市町村は、単独で又は共同して、所有者不明土地対策計画の作成及び変更に関する協議その他所有者不明土地の利用の円滑化等を図るための施策に関し必要な協議を行うため、所有者不明土地対策協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。
一 前項の市町村
二 次条第一項に規定する推進法人
三 前項の市町村の区域において地域福利増進事業等を実施し、又は実施しようとする者
3 第一項の規定により協議会を組織する市町村は、必要があると認めるときは、前項各号に掲げる者のほか、協議会に、次に掲げる者を構成員として加えることができる。
一 関係都道府県
二 国の関係行政機関、学識経験者その他の当該市町村が必要と認める者
4 協議会は、必要があると認めるときは、その構成員以外の関係行政機関に対し、資料の提供、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
5 協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
6 前各項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
第六章 所有者不明土地利用円滑化等推進法人
(所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定)
第四十七条 市町村長は、特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人又は所有者不明土地の利用の円滑化等の推進を図る活動を行うことを目的とする会社であって、次条各号に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、所有者不明土地利用円滑化等推進法人(以下「推進法人」という。)として指定することができる。
2 市町村長は、前項の規定による指定をしたときは、当該推進法人の名称又は商号、住所及び事務所又は営業所の所在地を公示しなければならない。
3 推進法人は、その名称若しくは商号、住所又は事務所若しくは営業所の所在地を変更するときは、あらかじめ、その旨を市町村長に届け出なければならない。
4 市町村長は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(推進法人の業務)
第四十八条 推進法人は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 地域福利増進事業等を実施し、又は実施しようとする者に対し、情報の提供、相談その他の援助を行うこと。
二 地域福利増進事業を実施すること又は地域福利増進事業に参加すること。
三 所有者不明土地(当該所有者不明土地に隣接する土地であって、地目、地形その他の条件が類似しているものを含む。以下この号において同じ。)の所有者に対し、当該所有者不明土地の管理の方法に関する情報の提供又は相談その他の当該所有者不明土地の適正な管理を図るために必要な援助を行うこと。
四 所有者不明土地の利用の円滑化又は管理の適正化を図るために必要な土地の取得、管理又は譲渡を行うこと。
五 委託に基づき、地域福利増進事業等を実施しようとする区域内の土地その他の土地の土地所有者等の探索を行うこと。
六 低未利用土地の適正な利用及び管理の促進その他所有者不明土地の発生の抑制を図るために必要な事業又は事務を行うこと。
七 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する調査研究を行うこと。
八 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する普及啓発を行うこと。
九 前各号に掲げるもののほか、所有者不明土地の利用の円滑化等を図るために必要な事業又は事務を行うこと。
(監督等)
第四十九条 市町村長は、前条各号に掲げる業務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、推進法人に対し、その業務に関し報告をさせることができる。
2 市町村長は、推進法人が前条各号に掲げる業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときは、推進法人に対し、その業務の運営の改善に関し必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。
3 市町村長は、推進法人が前項の規定による命令に違反したときは、第四十七条第一項の規定による指定を取り消すことができる。
4 市町村長は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
(情報の提供等)
第五十条 国及び関係地方公共団体は、推進法人に対し、その業務の実施に関し必要な情報の提供又は指導若しくは助言をするものとする。
(市町村長への要請)
第五十一条 推進法人は、所有者不明土地につきその適切な管理のため特に必要があると認めるときは、市町村長に対し、第四十二条の規定による請求をするよう要請することができる。
2 市町村長は、前項の規定による要請があった場合において、必要があると認めるときは、第四十二条の規定による請求をするものとする。
3 市町村長は、第一項の規定による要請があった場合において、第四十二条の規定による請求をする必要がないと判断したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を、当該要請をした推進法人に通知しなければならない。
(推進法人による所有者不明土地対策計画の作成等の提案)
第五十二条 推進法人は、その業務を行うために必要があると認めるときは、市町村に対し、国土交通省令で定めるところにより、所有者不明土地対策計画の作成又は変更をすることを提案することができる。この場合においては、基本方針に即して、当該提案に係る所有者不明土地対策計画の素案を作成して、これを提示しなければならない。
2 前項の規定による提案を受けた市町村は、当該提案に基づき所有者不明土地対策計画の作成又は変更をするか否かについて、遅滞なく、当該提案をした推進法人に通知しなければならない。この場合において、所有者不明土地対策計画の作成又は変更をしないこととするときは、その理由を明らかにしなければならない。
第三十九条第一項中「とき」の下に「、第三十八条第一項の規定による勧告を行うため当該勧告に係る土地の土地所有者等を知る必要があるとき又は前条の規定による請求を行うため当該請求に係る土地の土地所有者等を知る必要があるとき」を加え、同条第二項中「として」の下に「、当該市町村長以外の市町村長から第三十八条第一項の規定による勧告を行うため当該勧告に係る土地の土地所有者等を知る必要があるとして、又は国の行政機関の長等から前条の規定による請求を行うため当該請求に係る土地の土地所有者等を知る必要があるとして、」を加え、「に対し」を「、当該市町村長又は当該国の行政機関の長等に対し」に改め、同条第五項中「とき」の下に「、第三十八条第一項の規定による勧告を行うため当該勧告に係る土地の土地所有者等を知る必要があるとき又は前条の規定による請求を行うため当該請求に係る土地の土地所有者等を知る必要があるとき」を加え、第四章第一節中同条を第四十三条とする。
第三十八条中「次条第五項」を「次条第二項及び第五項」に改め、第三章第三節中同条を第四十二条とする。
第三章中第三節を第四節とし、第二節の次に次の一節を加える。
第三節 所有者不明土地の管理の適正化のための措置
(勧告)
第三十八条 市町村長は、所有者不明土地のうち、所有者による管理が実施されておらず、かつ、引き続き管理が実施されないことが確実であると見込まれるもの(以下この節において「管理不全所有者不明土地」という。)による次に掲げる事態の発生を防止するために必要かつ適当であると認める場合には、その必要の限度において、当該管理不全所有者不明土地の確知所有者に対し、期限を定めて、当該事態の発生の防止のために必要な措置(次条及び第四十条第一項において「災害等防止措置」という。)を講ずべきことを勧告することができる。
一 当該管理不全所有者不明土地における土砂の流出又は崩壊その他の事象によりその周辺の土地において災害を発生させること。
二 当該管理不全所有者不明土地の周辺の地域において環境を著しく悪化させること。
2 市町村長は、前項の規定による勧告をする場合において、当該勧告に係る管理不全所有者不明土地に隣接する土地であって、地目、地形その他の条件が類似し、かつ、当該土地の管理の状況が当該管理不全所有者不明土地と同一の状況にあるもの(以下この項及び第四十一条第一項において「管理不全隣接土地」という。)による次に掲げる事態の発生を防止するために必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該管理不全隣接土地の所有者に対しても、期限を定めて、当該管理不全隣接土地について、当該事態の発生の防止のために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
一 当該管理不全隣接土地及び当該管理不全隣接土地に係る管理不全所有者不明土地における土砂の流出又は崩壊その他の事象によりその周辺の土地において災害を発生させること。
二 当該管理不全隣接土地及び当該管理不全隣接土地に係る管理不全所有者不明土地の周辺の地域において環境を著しく悪化させること。
(災害等防止措置命令)
第三十九条 市町村長は、前条第一項の勧告に係る確知所有者が正当な理由がなくて当該勧告に係る災害等防止措置を講じないときは、当該確知所有者に対し、相当の期限を定めて、当該災害等防止措置を講ずべきことを命ずることができる。ただし、当該確知所有者が当該災害等防止措置の実施に必要な共有持分を有しない者である場合は、この限りでない。
(代執行)
第四十条 市町村長は、次の各号のいずれかに該当する場合において、管理不全所有者不明土地における災害等防止措置に係る事態を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該管理不全所有者不明土地の所有者の負担において、当該災害等防止措置を自ら講じ、又はその命じた者若しくは委任した者(以下この項において「措置実施者」という。)に当該災害等防止措置を講じさせることができる。この場合において、第一号又は第二号に該当すると認めるときは、市町村長は、相当の期限を定めて、当該災害等防止措置を講ずべき旨及びその期限までに当該災害等防止措置を講じないときは市町村長又は措置実施者が当該災害等防止措置を講ずる旨を、あらかじめ公告しなければならない。
一 管理不全所有者不明土地の確知所有者がいない場合
二 前条ただし書に規定する場合
三 前条の規定により災害等防止措置を講ずべきことを命ぜられた確知所有者が、当該命令に係る期限までに当該命令に係る災害等防止措置を講じない場合、講じても十分でない場合又は講ずる見込みがない場合
2 前項の規定により負担させる費用の徴収については、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)第五条及び第六条の規定を準用する。
(立入調査)
第四十一条 市町村長は、この節の規定の施行に必要な限度において、その職員に、管理不全所有者不明土地又は管理不全隣接土地に立ち入り、その状況を調査させることができる。
2 第十三条第六項及び第七項の規定は、前項の規定による立入調査について準用する。
第二条 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を次のように改正する。
第三十八条第一項中「この節において」を削り、同条第二項中「この項及び第四十一条第一項において」を削る。
第四十二条第一項中「次項」を「次項及び第五項」に改め、同条に次の三項を加える。
3 市町村長は、管理不全所有者不明土地につき、次に掲げる事態の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、民法第二百六十四条の九第一項の規定による命令の請求をすることができる。
一 当該管理不全所有者不明土地における土砂の流出又は崩壊その他の事象によりその周辺の土地において災害を発生させること。
二 当該管理不全所有者不明土地の周辺の地域において環境を著しく悪化させること。
4 市町村長は、管理不全隣接土地につき、次に掲げる事態の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、民法第二百六十四条の九第一項の規定による命令の請求をすることができる。
一 当該管理不全隣接土地及び当該管理不全隣接土地に係る管理不全所有者不明土地における土砂の流出又は崩壊その他の事象によりその周辺の土地において災害を発生させること。
二 当該管理不全隣接土地及び当該管理不全隣接土地に係る管理不全所有者不明土地の周辺の地域において環境を著しく悪化させること。
5 国の行政機関の長等は、第二項(市町村長にあっては、前三項)の規定による請求をする場合において、当該請求に係る土地にある建物につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、当該請求と併せて民法第二百六十四条の八第一項又は第二百六十四条の十四第一項の規定による命令の請求をすることができる。
第四十三条第一項、第二項及び第五項中「前条」を「前条第一項から第三項まで若しくは第五項(第四項に係る部分を除く。)」に改める。
第五十一条第一項中「とき」の下に「又は管理不全所有者不明土地若しくは管理不全隣接土地につき第四十二条第三項各号若しくは第四項各号に掲げる事態の発生を防止するため特に必要があると認めるとき」を加え、「第四十二条」を「同条各項」に改め、同条第二項及び第三項中「第四十二条」を「第四十二条各項」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第三条の規定 公布の日
二 第二条の規定 民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)の施行の日
(所有者不明土地に係る裁定に関する経過措置)
第二条 第一条の規定による改正後の所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下この条において「新法」という。)第二条第二項の規定は、この法律の施行の日(以下この条において「施行日」という。)以後に所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(以下この条において「所有者不明土地法」という。)第十条第一項、第二十七条第一項又は第三十七条第一項の規定による裁定の申請があった場合における当該裁定に係る所有者不明土地について適用し、施行日前にこれらの規定による裁定の申請があった場合における当該裁定に係る所有者不明土地については、なお従前の例による。
2 新法第十一条第四項(新法第十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日以後に所有者不明土地法第十条第一項又は新法第十九条第一項の規定による裁定の申請があった場合における当該申請に係る縦覧について適用し、施行日前に所有者不明土地法第十条第一項の規定による裁定の申請があった場合における当該申請に係る縦覧については、なお従前の例による。
3 新法第十三条第二項及び第三項並びに第十六条第三項(新法第十九条第四項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定は、施行日以後に所有者不明土地法第十条第一項又は新法第十九条第一項の規定による裁定の申請があった場合における当該裁定において定める事項及び当該裁定に係る補償金の額について適用し、施行日前に所有者不明土地法第十条第一項の規定による裁定の申請があった場合における当該裁定において定める事項及び当該裁定に係る補償金の額については、なお従前の例による。
4 新法第十七条第一項及び第十八条(新法第十九条第四項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定は、施行日以後に所有者不明土地法第十条第一項又は新法第十九条第一項の規定による裁定の申請があった場合における当該裁定に係る補償金の供託について適用し、施行日前に所有者不明土地法第十条第一項の規定による裁定の申請があった場合における当該裁定に係る補償金の供託については、なお従前の例による。
(政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)
第四条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の規定について、その施行の状況等を勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(民法等の一部を改正する法律の一部改正)
第五条 民法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。
附則第三十二条のうち所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第三章第三節の節名の改正規定を次のように改める。
第三章第四節の節名を次のように改める。
第四節 所有者不明土地の管理に関する民法の特例
附則第三十二条のうち所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第三十八条の改正規定中「第三十八条」を「第四十二条」に、「及び」を「並びに」に改める。
(デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の一部改正)
第六条 デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和三年法律第三十七号)の一部を次のように改正する。
附則第五十七条のうち所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第三十九条第三項ただし書を削る改正規定中「第三十九条第三項ただし書」を「第四十三条第三項ただし書」に改める。
(国土交通省設置法の一部改正)
第七条 国土交通省設置法(平成十一年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第三十一条第一項中第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 所有者不明土地の利用の円滑化等(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成三十年法律第四十九号)第三条第一項に規定する所有者不明土地の利用の円滑化等をいう。第三十三条第一項第四号において同じ。)を図るための施策に関する調査及び調整その他当該施策の推進に関すること。
第三十三条第一項中第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 所有者不明土地の利用の円滑化等を図るための施策に関する調査及び調整その他当該施策の推進に関すること。
理 由
所有者不明土地の利用の円滑化及び管理の適正化等を図るため、特定所有者不明土地となる土地の範囲の拡大並びに地域福利増進事業における対象事業の拡充、裁定申請書等の縦覧期間の短縮及び土地等使用権の存続期間の上限の延長等の措置を講ずるとともに、市町村長による管理が実施されていない所有者不明土地に対する災害等の発生の防止のための命令制度の創設、所有者不明土地の利用の円滑化等を図るための計画の作成、所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。