第二〇八回
閣第五七号
刑法等の一部を改正する法律案
(刑法の一部改正)
第一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。
第二百三十一条中「拘留又は科料」を「一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に改める。
第二条 刑法の一部を次のように改正する。
第九条中「、懲役、禁錮」を「、拘禁刑」に改める。
第十条第一項ただし書を削る。
第十二条の見出しを「(拘禁刑)」に改め、同条第一項中「懲役は、無期」を「拘禁刑は、無期」に、「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 拘禁刑は、刑事施設に拘置する。
第十二条に次の一項を加える。
3 拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。
第十三条を次のように改める。
第十三条 削除
第十四条の見出しを「(有期拘禁刑の加減の限度)」に改め、同条第一項中「無期の懲役若しくは禁錮」を「無期拘禁刑」に、「有期の懲役又は禁錮」を「有期拘禁刑」に改め、同条第二項中「有期の懲役又は禁錮」を「有期拘禁刑」に改める。
第十六条に次の一項を加える。
2 拘留に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。
第二十五条第一項中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改め、同項第一号及び第二号中「禁錮」を「拘禁刑」に改め、同条第二項中「禁錮以上の刑」を「拘禁刑」に、「一年以下の懲役又は禁錮」を「二年以下の拘禁刑」に改め、同項ただし書中「ただし」の下に「、この項本文の規定により刑の全部の執行を猶予されて」を加える。
第二十六条各号中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二十六条の二第三号中「禁錮以上の刑」を「拘禁刑」に改める。
第二十六条の三中「禁錮以上の刑の」を「拘禁刑の」に、「禁錮以上の刑に」を「拘禁刑(次条第二項後段又は第二十七条の七第二項後段の規定によりその執行を猶予されているものを除く。次条第六項、第二十七条の六及び第二十七条の七第六項において同じ。)に」に改める。
第二十七条に次の五項を加える。
2 前項の規定にかかわらず、刑の全部の執行猶予の期間内に更に犯した罪(罰金以上の刑に当たるものに限る。)について公訴の提起がされているときは、同項の刑の言渡しは、当該期間が経過した日から第四項又は第五項の規定によりこの項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しが取り消されることがなくなるまでの間(以下この項及び次項において「効力継続期間」という。)、引き続きその効力を有するものとする。この場合においては、当該刑については、当該効力継続期間はその全部の執行猶予の言渡しがされているものとみなす。
3 前項前段の規定にかかわらず、効力継続期間における次に掲げる規定の適用については、同項の刑の言渡しは、効力を失っているものとみなす。
一 第二十五条、第二十六条、第二十六条の二、次条第一項及び第三項、第二十七条の四(第三号に係る部分に限る。)並びに第三十四条の二の規定
二 人の資格に関する法令の規定
4 第二項前段の場合において、当該罪について拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないときは、同項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、当該罪が同項前段の猶予の期間の経過後に犯した罪と併合罪として処断された場合において、犯情その他の情状を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
5 第二項前段の場合において、当該罪について罰金に処せられたときは、同項後段の規定による刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
6 前二項の規定により刑の全部の執行猶予の言渡しを取り消したときは、執行猶予中の他の拘禁刑についても、その猶予の言渡しを取り消さなければならない。
第二十七条の二第一項中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改め、同項第一号中「禁錮」を「拘禁刑」に改め、同項第二号中「禁錮以上の刑」を「拘禁刑」に改め、同項第三号中「禁錮」を「拘禁刑」に改め、同条第三項中「懲役又は禁錮」及び「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二十七条の四各号中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二十七条の六中「禁錮以上の刑」を「拘禁刑」に改める。
第二十七条の七中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改め、同条に次の五項を加える。
2 前項の規定にかかわらず、刑の一部の執行猶予の言渡し後その猶予の期間を経過するまでに更に犯した罪(罰金以上の刑に当たるものに限る。)について公訴の提起がされているときは、当該期間が経過した日から第四項又は第五項の規定によりこの項後段の規定による刑の一部の執行猶予の言渡しが取り消されることがなくなるまでの間(以下この項及び次項において「効力継続期間」という。)、前項前段の規定による減軽は、されないものとする。この場合においては、同項の刑については、当該効力継続期間は当該猶予された部分の刑の執行猶予の言渡しがされているものとみなす。
3 前項前段の規定にかかわらず、効力継続期間における次に掲げる規定の適用については、同項の刑は、第一項前段の規定による減軽がされ、同項後段に規定する日にその執行を受け終わったものとみなす。
一 第二十五条第一項(第二号に係る部分に限る。)、第二十七条の二第一項(第三号に係る部分に限る。)及び第三項、第二十七条の四、第二十七条の五、第三十四条の二並びに第五十六条第一項の規定
二 人の資格に関する法令の規定
4 第二項前段の場合において、当該罪について拘禁刑以上の刑に処せられたときは、同項後段の規定による刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消さなければならない。ただし、当該罪が同項前段の猶予の期間の経過後に犯した罪と併合罪として処断された場合において、犯情その他の情状を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
5 第二項前段の場合において、当該罪について罰金に処せられたときは、同項後段の規定による刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
6 前二項の規定により刑の一部の執行猶予の言渡しを取り消したときは、執行猶予中の他の拘禁刑についても、その猶予の言渡しを取り消さなければならない。
第二十八条中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三十二条第一号中「無期の懲役又は禁錮」を「無期拘禁刑」に改め、同条第二号中「有期の懲役又は禁錮」を「有期拘禁刑」に改め、同条第三号及び第四号中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三十四条第一項中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三十四条の二第一項及び第四十五条中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第四十六条第二項中「無期の懲役又は禁錮」を「無期拘禁刑」に改める。
第四十七条の見出しを「(有期拘禁刑の加重)」に改め、同条中「有期の懲役又は禁錮」を「有期拘禁刑」に改める。
第五十一条第一項ただし書中「無期の懲役又は禁錮」を「無期拘禁刑」に改め、同条第二項中「有期の懲役又は禁錮」を「有期拘禁刑」に改める。
第五十六条第一項中「懲役に処せられた」を「拘禁刑に処せられた」に、「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改め、同条第二項中「懲役に当たる罪と同質の罪により」を削り、「により懲役」を「により拘禁刑」に、「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改め、同条第三項を削る。
第五十七条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第六十八条第一号中「無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮」を「無期又は十年以上の拘禁刑」に改め、同条第二号中「無期の懲役又は禁錮」を「無期拘禁刑」に、「有期の懲役又は禁錮」を「有期拘禁刑」に改め、同条第三号中「有期の懲役又は禁錮」を「有期拘禁刑」に改める。
第七十条中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第七十七条第一項第一号中「無期禁錮」を「無期拘禁刑」に改め、同項第二号及び第三号中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第七十八条及び第七十九条中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第八十二条、第八十八条及び第九十二条第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第九十三条及び第九十四条中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第九十五条第一項中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第九十六条、第九十六条の二、第九十六条の三第一項、第九十六条の四、第九十六条の五、第九十六条の六第一項、第九十七条から第百一条までの規定、第百三条、第百四条及び第百五条の二中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百六条第一号及び第二号並びに第百七条中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第百八条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百九条第一項中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改め、同条第二項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百十条、第百十一条、第百十三条及び第百十四条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百十七条の二中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第百十八条第一項、第百十九条、第百二十条第一項及び第百二十一条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百二十三条中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第百二十四条第一項中「閉塞して」を「閉塞して」に、「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百二十五条第一項中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第百二十六条第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改め、同条第三項中「無期懲役」を「無期拘禁刑」に改める。
第百二十九条第二項中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第百三十条、第百三十三条、第百三十四条第一項、第百三十六条から第百四十条までの規定及び第百四十二条から第百四十四条までの規定中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百四十六条中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に、「の懲役」を「の拘禁刑」に改める。
第百四十七条及び第百四十八条第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百四十九条第一項中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第百五十条、第百五十三条、第百五十四条第一項、第百五十五条第一項及び第三項、第百五十七条第一項及び第二項並びに第百五十九条第一項及び第三項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百六十条中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第百六十一条の二第一項及び第二項、第百六十二条第一項、第百六十三条第一項、第百六十三条の二第一項、第百六十三条の三並びに第百六十三条の四第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百六十四条第一項中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第百六十五条第一項、第百六十六条第一項、第百六十七条第一項、第百六十八条の二第一項、第百六十八条の三、第百六十九条、第百七十二条、第百七十四条、第百七十五条第一項及び第百七十六条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百七十七条中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第百八十一条、第百八十二条、第百八十四条、第百八十六条並びに第百八十七条第一項及び第二項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百八十八条中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第百八十九条から第百九十一条までの規定中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百九十三条、第百九十四条及び第百九十五条第一項中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第百九十七条第一項中「賄賂」を「賄賂」に、「懲役」を「拘禁刑」に改め、同条第二項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百九十七条の二中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百九十七条の三第一項中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改め、同条第三項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第百九十七条の四、第百九十八条、第百九十九条及び第二百一条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百二条中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二百四条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百五条中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第二百六条、第二百八条及び第二百八条の二中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百十一条中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二百十二条から第二百十四条までの規定、第二百十五条第一項、第二百十七条、第二百十八条、第二百二十条、第二百二十二条第一項、第二百二十三条第一項、第二百二十四条、第二百二十五条及び第二百二十五条の二第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百二十六条中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第二百二十六条の二第一項から第三項までの規定中「懲役」を「拘禁刑」に改め、同条第五項中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第二百二十六条の三中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第二百二十七条第一項から第三項までの規定中「懲役」を「拘禁刑」に改め、同条第四項中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第二百二十八条の三中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百三十条の見出しを「(名誉毀損)」に改め、同条第一項中「毀損した」を「毀損した」に、「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二百三十一条中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二百三十三条、第二百三十四条の二第一項、第二百三十五条及び第二百三十五条の二中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百三十六条第一項中「有期懲役」を「有期拘禁刑」に改める。
第二百三十七条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百四十条中「の懲役」を「の拘禁刑」に、「無期懲役」を「無期拘禁刑」に改める。
第二百四十一条第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改め、同条第三項中「無期懲役」を「無期拘禁刑」に改める。
第二百四十六条第一項、第二百四十六条の二から第二百四十八条までの規定、第二百四十九条第一項、第二百五十二条第一項、第二百五十三条、第二百五十四条、第二百五十六条、第二百五十八条から第二百六十一条までの規定及び第二百六十二条の二中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百六十三条中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
(刑事訴訟法の一部改正)
第三条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第三十七条の五中「無期の懲役若しくは禁錮」を「無期拘禁刑」に改める。
第八十九条第一号及び第二号中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改め、同条第三号中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改め、同条第五号中「畏怖させる」を「畏怖させる」に改める。
第百五十一条及び第百六十一条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百十条第一項中「懲役若しくは禁錮にあたる」を「拘禁刑に当たる」に、「充分な」を「十分な」に改める。
第二百五十条第一項中「禁錮以上の刑」を「拘禁刑」に改め、「(死刑に当たるものを除く。)」を削り、同項第一号中「無期の懲役又は禁錮」を「無期拘禁刑」に改め、同項第二号中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改め、同条第二項中「禁錮以上の刑」を「拘禁刑以上の刑」に改め、同項第二号中「無期の懲役又は禁錮」を「無期拘禁刑」に改め、同項第三号から第五号までの規定中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改め、同項第六号中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二百八十一条の五第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百八十五条第一項中「あたる」を「当たる」に改め、同条第二項中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第二百八十九条第一項中「懲役若しくは禁錮にあたる」を「拘禁刑に当たる」に改める。
第二百九十一条の二ただし書中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三百一条の二第一項第一号中「無期の懲役若しくは禁錮」を「無期拘禁刑」に改め、同項第二号中「有期の懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三百四十三条中「禁錮」を「拘禁刑」に、「あらたに」を「新たに」に改める。
第三百四十四条中「禁錮」を「拘禁刑」に、「第六十条第二項但書」を「第六十条第二項ただし書」に改める。
第三百四十九条第一項中「言渡」を「言渡し」に改め、同条に次の一項を加える。
刑法第二十七条第四項若しくは第五項又は第二十七条の七第四項若しくは第五項の規定により刑の執行猶予の言渡しを取り消すべき場合には、第一項の請求は、同法第二十七条第二項前段に規定する刑の全部の執行猶予の期間内又は同法第二十七条の七第二項前段に規定する刑の一部の執行猶予の言渡し後その猶予の期間を経過するまでに更に犯した罪であつて当該請求の理由に係るものについて罰金以上の刑に処する裁判が確定した日から二箇月を経過した後は、これをすることができない。
第三百五十条の二第二項中「無期の懲役若しくは禁錮」を「無期拘禁刑」に改める。
第三百五十条の十五第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第三百五十条の十六第一項ただし書中「懲役若しくは禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三百五十条の二十九中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三百六十条の二中「無期の懲役若しくは禁錮」を「無期拘禁刑」に改める。
第四百八十条中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に、「言渡」を「言渡し」に、「在る」を「ある」に改める。
第四百八十二条中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に、「言渡」を「言渡し」に、「左の」を「次に掲げる」に改め、同条第一号及び第五号中「虞」を「おそれ」に改める。
第四百八十四条、第四百八十五条及び第四百八十六条第一項中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に改める。
(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の一部改正)
第四条 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)の一部を次のように改正する。
目次中「外出及び外泊」を「社会復帰支援等」に改める。
第三十条中「その者の」の下に「年齢、」を加える。
第四十二条第一項第四号及び第五十四条第一項第三号中「第百六条第一項」を「第百六条の二第一項」に改める。
第七十四条第二項第十一号中「第百六条第二項」を「第百六条の二第二項」に改める。
第八十一条第二号中「第百六条第一項」を「第百六条の二第一項」に改める。
第八十四条第二項中「この条」の下に「及び次条第一項」を加え、同条第三項中「受刑者の」の下に「年齢を考慮し、その」を加え、同条の次に次の一条を加える。
(被害者等の心情等の考慮)
第八十四条の二 刑事施設の長は、処遇要領を定めるに当たっては、法務省令で定めるところにより、被害者等(受刑者が刑を言い渡される理由となった犯罪により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下この節において同じ。)の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況及び第三項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。処遇要領を変更しようとするときも、同様とする。
2 刑事施設の長は、矯正処遇を行うに当たっては、前項の心情及び状況並びに次項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。
3 刑事施設の長は、法務省令で定める受刑者について、被害者等から、被害に関する心情、被害者等の置かれている状況又は当該受刑者の生活及び行動に関する意見(以下この節において「心情等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、法務省令で定めるところにより、当該心情等を聴取するものとする。ただし、当該被害に係る事件の性質、当該被害者等と当該受刑者との関係その他の被害者等に関する事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
第八十五条第二項及び第九十八条第五項第三号中「第百六条第一項」を「第百六条の二第一項」に改める。
第百三条に次の二項を加える。
3 刑事施設の長は、第一項の指導を行うに当たっては、被害者等の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況及び第八十四条の二第三項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。
4 刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被害者等から、第八十四条の二第三項の規定により聴取した心情等を受刑者に伝達することを希望する旨の申出があったときは、第一項の指導を行うに当たり、当該心情等を受刑者に伝達するものとする。ただし、その伝達をすることが当該受刑者の改善更生を妨げるおそれがあるときその他当該被害に係る事件の性質、矯正処遇の実施状況その他の処遇に関する事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
第二編第二章第十節第四款の款名を次のように改める。
第四款 社会復帰支援等
第二編第二章第十節第四款中第百六条を第百六条の二とし、同条の前に次の一条を加える。
(社会復帰支援)
第百六条 刑事施設の長は、受刑者の円滑な社会復帰を図るため、釈放後に自立した生活を営む上での困難を有する受刑者に対しては、その意向を尊重しつつ、次に掲げる支援を行うものとする。
一 適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。
二 医療及び療養を受けることを助けること。
三 就業又は修学を助けること。
四 前三号に掲げるもののほか、受刑者が健全な社会生活を営むために必要な援助を行うこと。
2 前項の支援は、その効果的な実施を図るため必要な限度において、刑事施設の外の適当な場所で行うことができる。
3 刑事施設の長は、第一項の支援を行うに当たっては、矯正処遇の実施状況、第八十四条の二第三項の規定により聴取した心情等その他の被害者等に関する事情及び受刑者が社会復帰をするに際し支援を必要とする事情を考慮するものとする。
4 刑事施設の長は、第一項の支援を行うに当たっては、保護観察所の長と連携を図るように努めなければならない。
第百八条中「第百六条第一項」を「第百六条の二第一項」に改める。
第百九条第二項中「及び前款」を「、第百六条第二項及び第百六条の二から前条まで」に改める。
第百五十条第一項中「第百六条第二項」を「第百六条の二第二項」に改める。
第二百八十六条中「第八十六条第二項及び第三項」を「第八十六条」に、「並びに第九十三条」を「及び第九十三条」に改める。
第二百九十三条第二項第二号中「第百六条第一項」を「第百六条の二第一項」に改める。
第五条 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の一部を次のように改正する。
目次中「第九十一条」を「第九十二条」に、「第九十二条」を「第九十三条」に改める。
第二条第四号中「懲役受刑者、禁錮受刑者」を「拘禁刑受刑者」に改め、同条第五号中「懲役受刑者」を「拘禁刑受刑者」に、「懲役の刑」を「拘禁刑」に、「第十六条第一項第一号の」を「第十六条第一項の規定により執行する」に、「以下同じ」を「次条第一号及び第十五条第一項第一号において同じ」に改め、同条中第六号を削り、第七号を第六号とし、同条第八号中「被勾留者」を「被勾留者」に改め、同号を同条第七号とし、同条中第九号を第八号とし、第十号から第十二号までを一号ずつ繰り上げる。
第三条第一号中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第四条第一項第三号中「懲役受刑者、禁錮受刑者」を「拘禁刑受刑者」に改め、同条第二項中「第九十二条又は」を削る。
第十五条第一項第一号中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三十八条第二号中「第八十六条第一項」を「第八十七条第一項」に改める。
第七十四条第二項第九号中「第九十二条若しくは」を削り、「第八十五条第一項各号」を「第八十六条第一項各号」に改める。
第八十四条第一項中「第九十二条又は」を削り、同条第三項中「基づき」の下に「、できる限り速やかに」を加え、「する」を「し、矯正処遇の目標並びに第九十三条に規定する作業並びに第百三条及び第百四条に規定する指導ごとの内容及び方法をできる限り具体的に記載するものとする」に改め、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。
5 刑事施設の長は、第二項の規定にかかわらず、処遇要領を定めるまでの間は、受刑者の年齢、その時点において把握している資質及び環境を考慮し、必要と認められる範囲内において、法務省令で定めるところにより、矯正処遇を行うものとする。
第九十二条を削り、第二編第二章第十節第一款中第九十一条を第九十二条とし、第八十五条から第九十条までを一条ずつ繰り下げ、第八十四条の二を第八十五条とする。
第九十三条を次のように改める。
(受刑者の作業)
第九十三条 刑事施設の長は、受刑者に対し、その改善更生及び円滑な社会復帰を図るため必要と認められる場合には、作業を行わせるものとする。ただし、作業を行わせることが相当でないと認めるときは、この限りでない。
第九十四条第二項中「受刑者に」を「刑事施設の長は、」に、「必要がある場合において」を「ことが改善更生及び円滑な社会復帰に資すると認められる受刑者に対し」に改める。
第九十五条第一項中「一日の作業時間及び作業を行わない日」を「作業を行う日及び時間」に改める。
第九十六条第一項中「懲役受刑者又は禁錮受刑者が、第八十八条第二項」を「拘禁刑受刑者が、第八十九条第二項」に改める。
第百三条第三項及び第四項並びに第百六条第三項中「第八十四条の二第三項」を「第八十五条第三項」に改める。
第百六条の二第一項中「懲役受刑者又は禁錮受刑者が、第八十八条第二項」を「拘禁刑受刑者が、第八十九条第二項」に改める。
第百九条第一項中「及び第八十九条」を「及び第九十条」に、「第八十九条第三号」を「第九十条第三号」に改め、同条第二項中「第八十六条から第八十八条」を「第八十七条から第八十九条」に改める。
第百四十六条第一項中「第八十八条第二項」を「第八十九条第二項」に改める。
第百五十一条第一項第二号を削り、同項中第三号を第二号とし、第四号から第六号までを一号ずつ繰り上げ、同条第二項中「第五号まで」を「第四号まで」に、「同項第六号」を「同項第五号」に、「同項第五号」を「同項第四号」に改める。
第二百八十八条を次のように改める。
(労役場留置者の処遇)
第二百八十八条 労役場に留置されている者(以下「労役場留置者」という。)に行わせる作業は、労役場留置者ごとに、当該労役場が附置された刑事施設の長が指定する。
2 労役場が附置された刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、一日の作業時間及び作業を行わない日を定める。
3 前二項に定めるもののほか、労役場留置者の処遇については、その性質に反しない限り、前編第二章中の受刑者に関する規定を準用する。この場合において、第七十四条第二項第九号中「第九十三条に規定する作業を怠り、又は第八十六条第一項各号、第百三条若しくは第百四条に規定する指導を拒んではならない」とあるのは、「第二百八十八条第一項に規定する作業を怠ってはならない」と読み替えるものとする。
第二百九十二条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
第二百九十三条第一項中「第二百八十八条」を「第二百八十八条第三項」に、「懲役」を「拘禁刑」に改める。
(更生保護法の一部改正)
第六条 更生保護法(平成十九年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第六章 恩赦の申出(第八十九条・第九十条)」を
「 |
第五章の二 更生保護に関するその他の援助(第八十八条の二・第八十八条の三) |
|
|
第六章 恩赦の申出(第八十九条・第九十条) |
」 |
に改める。
第三条中「交友関係等」を「交友関係、被害者等(犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為により害を被った者(以下この条において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況等」に、「その者」を「当該措置を受ける者」に改める。
第十四条中「その他の者」の下に「(以下「関係機関等」という。)」を加える。
第十六条中第六号を削り、第七号を第六号とし、第八号を第七号とし、第九号を第八号とする。
第三十条中「官公署、学校、病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者」を「関係機関等」に改める。
第三十八条第一項中「被害者等(審理対象者が刑を言い渡される理由となった犯罪により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。次項において同じ。)から、審理対象者の仮釈放に関する意見及び」を「審理対象者が刑を言い渡される理由となった犯罪に係る被害者等から、審理対象者の仮釈放、仮釈放中の保護観察及び第八十二条第一項の規定による生活環境の調整に関する意見並びに」に改め、同条第二項中「地方委員会は、」の下に「前項の」を加え、「前項」を「同項」に改め、「同項の」の下に「規定による」を加え、同条に次の二項を加える。
3 地方委員会は、第一項の規定により仮釈放中の保護観察に関する意見を聴取した場合において、同項の審理対象者について刑法第二十八条の規定による仮釈放を許す処分をしたときは、当該審理対象者の仮釈放中の保護観察をつかさどることとなる保護観察所の長に対し、当該意見その他の仮釈放中の保護観察の実施に必要な事項を通知するものとする。
4 地方委員会は、第一項の規定により第八十二条第一項の規定による生活環境の調整に関する意見を聴取した場合において、必要があると認めるときは、第一項の審理対象者について同条第一項の規定による生活環境の調整を行う保護観察所の長に対し、当該意見その他の同項の規定による生活環境の調整の実施に必要な事項を通知するものとする。
第四十二条及び第四十七条の三中「若しくは」を「又は」に改める。
第四十八条第四号中「薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律」の下に「(平成二十五年法律第五十号)」を加える。
第四十九条第一項中「目的として」の下に「、その犯罪又は非行に結び付く要因及び改善更生に資する事項を的確に把握しつつ」を加え、同条に次の一項を加える。
3 保護観察所の長は、保護観察を適切に実施するため、保護観察対象者の改善更生に資する援助を行う関係機関等に対し第三十条の規定により必要な情報の提供を求めるなどして、当該関係機関等との間の緊密な連携の確保に努めるものとする。
第五十条第一項第二号に次のように加える。
ハ 保護観察官又は保護司から、健全な生活態度を保持するために実行し、又は継続している行動の状況、特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助を受けることに関してとった行動の状況、被害者等の被害を回復し、又は軽減するためにとった行動の状況その他の行動の状況を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。
第五十一条第二項中第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。
七 更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者が行う特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助であって法務大臣が定める基準に適合するものを受けること。
第五十七条第一項第二号中「とること」の下に「(第四号に定めるものを除く。)」を加え、同項に次の二号を加える。
四 保護観察対象者が、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者その他の適当な者が行う特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助であって法務大臣が定める基準に適合するものを受けるよう、必要な指示その他の措置をとること。
五 保護観察対象者が、当該保護観察対象者が刑又は保護処分を言い渡される理由となった犯罪又は刑罰法令に触れる行為に係る被害者等の被害の回復又は軽減に誠実に努めるよう、必要な指示その他の措置をとること。
第五十七条に次の四項を加える。
3 保護観察所の長は、第一項第四号に規定する措置をとろうとするときは、あらかじめ、同号に規定する援助を受けることが保護観察対象者の意思に反しないことを確認するとともに、当該援助を提供することについて、これを行う者に協議しなければならない。ただし、第五十一条第二項第七号の規定により当該援助を受けることを特別遵守事項として定めている場合は、保護観察対象者の意思に反しないことを確認することを要しない。
4 保護観察所の長は、第一項第四号に規定する措置をとったときは、同号に規定する援助の状況を把握するとともに、当該援助を行う者と必要な協議を行うものとする。
5 第五十一条第二項第四号に規定する処遇を受けることを特別遵守事項として定められた保護観察対象者について、第一項第四号に規定する措置をとったときは、当該処遇は、当該保護観察対象者が受けた同号に規定する援助の内容に応じ、その処遇の一部を受け終わったものとして実施することができる。
6 保護観察所の長は、第一項第五号に規定する措置をとる場合において、第三十八条第三項の規定により同項に規定する事項が通知され又は第六十五条第一項の規定により同項に規定する心情等を聴取したときは、当該通知された事項又は当該聴取した心情等を踏まえるものとする。
第六十一条第二項中「(平成七年法律第八十六号)」を削る。
第六十三条第九項中「、第七十五条第一項の決定又は第八十一条第五項の決定」を「又は第七十五条第一項の決定」に改める。
第六十五条の見出し中「心情等の」の下に「聴取及び」を加え、同条第二項中「保護観察所の長は、」の下に「第一項の」を加え、「前項」を「前二項」に改め、「及び」の下に「第一項の規定による」を加え、「同項ただし書」を「前項ただし書」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項中「について、」の下に「前項の」を加え、「(当該保護観察対象者が刑若しくは保護処分を言い渡される理由となった犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下この条において同じ。)」を削り、「被害に関する心情、被害者等の置かれている状況又は保護観察対象者の生活若しくは行動に関する意見(以下この条において「心情等」という。)」を「同項の規定により聴取した心情等」に改め、「、当該心情等を聴取し」を削り、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。
保護観察所の長は、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者が刑又は保護処分を言い渡される理由となった犯罪又は刑罰法令に触れる行為に係る被害者等から、被害に関する心情、当該被害者等の置かれている状況又は保護観察対象者の生活若しくは行動に関する意見(以下この条において「心情等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、当該心情等を聴取するものとする。ただし、当該被害に係る事件の性質その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
第六十五条の三第二項を次のように改める。
2 第五十七条第三項及び第四項の規定は前項各号に規定する措置について、同条第五項の規定は前項第二号に規定する措置について、それぞれ準用する。この場合において、第五十七条第三項及び第四項中「援助」とあるのは「医療又は援助」と、同条第五項中「第五十一条第二項第四号に規定する処遇」とあるのは「規制薬物等の使用を反復する犯罪的傾向を改善するための第五十一条第二項第四号に規定する処遇」と読み替えるものとする。
第六十五条の三第三項及び第四項を削る。
第七十条第三項中「第二号ロ及び」の下に「ハ並びに」を加える。
第八十一条第一項中「地方委員会が、保護観察所の長の申出により、決定をもって」を「保護観察所の長が、保護観察付執行猶予者について、遵守事項及び生活行動指針の遵守状況その他法務省令で定める事項を考慮し、現に健全な生活態度を保持しており、保護観察を仮に解除しても、当該生活態度を保持し、善良な社会の一員として自立し、改善更生することができると認めるときに」に改め、同条第三項中「第二号ロ及び」の下に「ハ並びに」を加え、同条第五項中「地方委員会」を「保護観察所の長」に改め、「、保護観察所の長の申出があった場合において」及び「、決定をもって」を削る。
第八十二条第一項中「この条において」を削る。
第八十三条の次に次の一条を加える。
(勾留中の被疑者に対する生活環境の調整)
第八十三条の二 保護観察所の長は、勾留されている被疑者であって検察官が罪を犯したと認めたものについて、身体の拘束を解かれた場合の社会復帰を円滑にするため必要があると認めるときは、その者の同意を得て、第八十二条第一項に規定する方法により、釈放後の住居、就業先その他の生活環境の調整を行うことができる。
2 保護観察所の長は、前項の規定による調整を行うに当たっては、同項の被疑者の刑事上の手続に関与している検察官の意見を聴かなければならない。
3 保護観察所の長は、前項に規定する検察官が捜査に支障を生ずるおそれがあり相当でない旨の意見を述べたときは、第一項の規定による調整を行うことができない。
第八十四条中「及び前条」を「、第八十三条及び前条第一項」に改める。
第八十五条第一項第六号を次のように改める。
六 検察官が直ちに訴追を必要としないと認めた者
第八十五条第四項ただし書中「更に六月を」を「第一項の措置のうち、金品の給与又は貸与及び宿泊場所の供与については更に六月を、その他のものについては更に一年六月を、それぞれ」に改める。
第八十六条第一項に後段として次のように加える。
収容中の者から申出があり、その者が同項第一号、第二号、第五号又は第九号に掲げる者(第八十八条の二において「刑執行終了者等」という。)に該当することとなった場合において、保護観察所の長が必要があると認めたときも、同様とする。
第八十六条第二項に後段として次のように加える。
収容中の者について、必要があると認めるときも、同様とする。
第八十八条中「第二号及び第三号を除く」を「第一号に係る部分に限る」に改める。
第五章の次に次の一章を加える。
第五章の二 更生保護に関するその他の援助
(刑執行終了者等に対する援助)
第八十八条の二 保護観察所の長は、刑執行終了者等の改善更生を図るため必要があると認めるときは、その者の意思に反しないことを確認した上で、その者に対し、更生保護に関する専門的知識を活用し、情報の提供、助言その他の必要な援助を行うことができる。
(更生保護に関する地域援助)
第八十八条の三 保護観察所の長は、地域社会における犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生並びに犯罪の予防に寄与するため、地域住民又は関係機関等からの相談に応じ、更生保護に関する専門的知識を活用し、情報の提供、助言その他の必要な援助を行うものとする。
第七条 更生保護法の一部を次のように改正する。
目次中「第五節 保護観察付執行猶予者(第七十八条の二−第八十一条)」を
「 |
第五節 保護観察付執行猶予者 |
|
|
第一款 通則(第七十八条の二−第八十一条) |
|
|
第二款 再保護観察付執行猶予者に関する特則(第八十一条の二−第八十一条の五) |
」 |
に改める。
第九条第一項中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第三十三条及び第三十四条第一項中「懲役又は禁錮の刑」を「拘禁刑」に改める。
第五十四条第二項中「懲役若しくは禁錮の刑」及び「懲役又は禁錮の刑」を「拘禁刑」に改める。
第五十五条第二項中「懲役若しくは禁錮の刑」を「拘禁刑」に改める。
第三章第五節中第七十八条の二の前に次の款名を付する。
第一款 通則
第八十一条に次の一項を加える。
6 刑法第二十五条の二第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者が、同条第一項の規定により保護観察に付された場合には、同条第二項の規定による処分は、その効力を失う。
第三章第五節中第八十一条の次に次の一款を加える。
第二款 再保護観察付執行猶予者に関する特則
(保護観察の実施方法)
第八十一条の二 刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付されている期間中に更に同項の規定により保護観察に付された保護観察付執行猶予者(以下「再保護観察付執行猶予者」という。)に対する保護観察は、当該再保護観察付執行猶予者が保護観察に付されている期間中に犯罪をしたことを踏まえ、当該犯罪に結び付いた要因の的確な把握に留意して実施しなければならない。
(鑑別の求め)
第八十一条の三 保護観察所の長は、再保護観察付執行猶予者について、保護観察に付されている期間中に更に刑法第二十五条の二第一項の規定により付された保護観察(次条において「再度の保護観察」という。)の開始に際し、前条に規定する要因を的確に把握するため、少年鑑別所の長に対し、当該再保護観察付執行猶予者の鑑別を求めるものとする。ただし、保護観察の実施のために特に必要とは認められないときは、この限りでない。
(特別遵守事項)
第八十一条の四 保護観察所の長は、再保護観察付執行猶予者について、先に付されている保護観察(刑法第二十五条の二第一項の規定により付されたものに限る。以下この項及び次項において「先の保護観察」という。)において特別遵守事項が定められているときは、第五十二条第五項の規定にかかわらず、再度の保護観察の開始に際し、当該先の保護観察における特別遵守事項を再度の保護観察においても特別遵守事項として定めなければならない。ただし、当該先の保護観察における特別遵守事項の内容に照らし相当でないと認めるときは、この限りでない。
2 前項に規定する場合のほか、保護観察所の長は、再保護観察付執行猶予者について、第五十二条第五項の規定により特別遵守事項を定めるとき、若しくは同条第六項の規定により特別遵守事項を定め、若しくは変更するとき、又は第五十三条第一項の規定により特別遵守事項を取り消すときは、当該再保護観察付執行猶予者が付されている先の保護観察においても、当該特別遵守事項を定め、若しくは変更し、又は取り消さなければならない。ただし、当該特別遵守事項の内容に照らし相当でないと認めるときは、この限りでない。
3 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第二条第二項に規定する薬物使用等の罪を犯して刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付されている者が、再び当該薬物使用等の罪を犯して再度の保護観察に付された場合には、規制薬物等の使用を反復する犯罪的傾向を改善するための第五十一条第二項第四号に規定する処遇を受けることを特別遵守事項として定めなければならない。ただし、これに違反した場合に同法第二十六条の二に規定する処分がされることがあることを踏まえ、その改善更生のために特に必要とは認められないときは、この限りでない。
(保護観察の仮解除)
第八十一条の五 刑法第二十五条の二第二項の規定により保護観察を仮に解除されている再保護観察付執行猶予者に対する第五十条の規定の適用については、第八十一条第三項の規定にかかわらず、第五十条第一項中「以下「一般遵守事項」という」とあるのは「第二号ハ及び第三号に掲げる事項を除く」と、同項第二号中「守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受ける」とあるのは「守る」と、同号ロ中「指導監督を行うため把握すべきもの」とあるのは「その行状を把握するため必要なもの」と、同項第五号中「転居(第四十七条の二の決定又は少年法第六十四条第二項の規定により定められた期間(以下「収容可能期間」という。)の満了により釈放された場合に前号の規定により居住することとされている住居に転居する場合を除く。)又は七日以上の旅行」とあるのは「転居」とする。
第八十五条第一項第一号及び第二号中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に改め、同項第三号から第五号までの規定中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。
(更生保護事業法の一部改正)
第八条 更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「継続保護事業、一時保護事業及び連絡助成事業」を「宿泊型保護事業、通所・訪問型保護事業及び地域連携・助成事業」に改め、同条第二項中「継続保護事業」を「宿泊型保護事業」に、「収容して」を「宿泊させて」に改め、「、宿泊場所を供与し」を削り、「生活指導」の下に「又は特定の犯罪的傾向を改善するための援助」を加え、同項第七号中「訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受け」を「直ちに訴追を必要としないと認められ」に改め、同条第三項及び第四項を次のように改める。
3 この法律において「通所・訪問型保護事業」とは、前項に規定する者を更生保護施設その他の適当な施設に通わせ、又は訪問する等の方法により、その者に対し、宿泊場所への帰住、教養訓練、医療又は就職を助け、職業を補導し、社会生活に適応させるために必要な生活指導又は特定の犯罪的傾向を改善するための援助を行い、生活環境の改善又は調整を図り、金品を給与し、又は貸与し、生活の相談に応ずる等その改善更生に必要な保護を行う事業をいう。
4 この法律において「地域連携・助成事業」とは、次に掲げる事業をいう。
一 第二項各号に掲げる者の改善更生に資する援助を行う公共の衛生福祉に関する機関その他の者との地域における連携協力体制の整備を行う事業
二 第二項各号に掲げる者の改善更生に資する活動への地域住民の参加の促進を行う事業
三 宿泊型保護事業、通所・訪問型保護事業その他第二項各号に掲げる者の改善更生を助けることを目的とする事業に従事する者の確保、養成及び研修を行う事業
四 前三号に掲げるもののほか、宿泊型保護事業、通所・訪問型保護事業その他第二項各号に掲げる者の改善更生を助けることを目的とする事業に関する啓発、連絡、調整又は助成を行う事業
第二条第五項中「継続保護事業又は一時保護事業」を「宿泊型保護事業又は通所・訪問型保護事業」に改める。
第十一条第三項及び第三十二条第二項中「継続保護事業」を「宿泊型保護事業」に、「一時保護事業」を「通所・訪問型保護事業」に、「連絡助成事業」を「地域連携・助成事業」に改める。
第四十五条(見出しを含む。)、第四十六条第二項及び第四十七条第三項中「継続保護事業」を「宿泊型保護事業」に改める。
第四十七条の二(見出しを含む。)中「一時保護事業」を「通所・訪問型保護事業」に、「連絡助成事業」を「地域連携・助成事業」に改める。
第四十八条第二項中「継続保護事業」を「宿泊型保護事業」に改め、同条第三項中「一時保護事業又は連絡助成事業」を「通所・訪問型保護事業又は地域連携・助成事業」に、「第四十七条の二第一号」を「前条第一号」に改める。
第四十九条中「継続保護事業又は一時保護事業」を「宿泊型保護事業又は通所・訪問型保護事業」に改める。
第五十条中「一時保護事業」を「通所・訪問型保護事業」に改める。
第五十六条の二第一項中「一時保護事業又は連絡助成事業」を「通所・訪問型保護事業又は地域連携・助成事業」に改める。
第九条 更生保護事業法の一部を次のように改正する。
第二条第二項第二号中「懲役、禁錮」を「拘禁刑」に改め、同項第三号及び第四号中「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改め、同項第十号中「第十六条第一項第一号若しくは第二号の」を「第十六条第一項の規定による」に改める。
第二十一条第三号中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
第六十六条中「一に」を「いずれかに」に、「懲役」を「拘禁刑」に改める。
(少年院法の一部改正)
第十条 少年院法(平成二十六年法律第五十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第二十三条」を「第二十三条・第二十三条の二」に改める。
第二条第三号中「懲役若しくは禁錮の刑」を「拘禁刑」に、「第十六条第一項各号の」を「第十六条第一項の規定による」に改める。
第三条第二号中「懲役又は禁錮の刑」を「拘禁刑」に、「第十六条第一項各号の」を「第十六条第一項の規定により執行する」に、「以下単に「刑」という」を「次条第一項第四号及び第百四十一条第一項ただし書において同じ」に改める。
第四条第一項第四号中「刑」を「拘禁刑」に改める。
第二十三条に見出しとして「(矯正教育の目的及び体系的実施)」を付し、第五章第一節中同条の次に次の一条を加える。
(被害者等の心情等の考慮)
第二十三条の二 少年院の長は、矯正教育を行うに当たっては、被害者等(在院者が刑若しくは保護処分を言い渡される理由となった犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下この章及び第四十四条第三項において同じ。)の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況及び次項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。
2 少年院の長は、在院者について、被害者等から、被害に関する心情、被害者等の置かれている状況又は当該在院者の生活及び行動に関する意見(以下この章及び第四十四条第三項において「心情等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、法務省令で定めるところにより、当該心情等を聴取するものとする。ただし、当該被害に係る事件の性質、当該被害者等と当該在院者との関係その他の被害者等に関する事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
第二十四条に次の二項を加える。
4 少年院の長は、第一項の生活指導を行うに当たっては、被害者等の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況及び前条第二項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。
5 少年院の長は、法務省令で定めるところにより、被害者等から、前条第二項の規定により聴取した心情等を在院者に伝達することを希望する旨の申出があったときは、第一項の生活指導を行うに当たり、当該心情等を在院者に伝達するものとする。ただし、その伝達をすることが当該在院者の改善更生を妨げるおそれがあるときその他当該被害に係る事件の性質、矯正教育の実施状況その他の処遇に関する事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
第三十四条第七項中「第五項」を「第六項」に改め、同項を同条第八項とし、同条第六項を同条第七項とし、同条第五項を同条第六項とし、同条第四項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 少年院の長は、個人別矯正教育計画を策定するに当たっては、法務省令で定めるところにより、被害者等の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況及び第二十三条の二第二項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。
第三十六条第一項中「同条第六項」を「同条第七項」に改める。
第四十四条第三項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 少年院の長は、第一項の支援を行うに当たっては、矯正教育の実施状況、第二十三条の二第二項の規定により聴取した心情等その他の被害者等に関する事情及び在院者が社会復帰をするに際し支援を必要とする事情を考慮するものとする。
第百四十一条第一項ただし書中「刑」を「拘禁刑」に改める。
第百四十七条第一項中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
(少年鑑別所法の一部改正)
第十一条 少年鑑別所法(平成二十六年法律第五十九号)の一部を次のように改正する。
第十六条第二項中「非行の状況」を「非行又は犯罪の状況」に改める。
第十七条第一項第三号中「であって、二十歳未満のもの」を削り、同項に次の一号を加える。
四 更生保護法第四十条の規定(国際受刑者移送法(平成十四年法律第六十六号)第二十一条の規定によりみなして適用する場合を含む。)又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十五条の二第一項若しくは第二十七条の三第一項若しくは薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(平成二十五年法律第五十号)第四条第一項の規定により保護観察に付されている者
第百三十二条中「(明治四十年法律第四十五号)」を削る。
第十二条 少年鑑別所法の一部を次のように改正する。
第十七条第一項第三号中「懲役又は禁錮の刑」を「拘禁刑(国際受刑者移送法(平成十四年法律第六十六号)第十六条第一項の規定により執行する共助刑を含む。)」に改め、同項第四号中「(平成十四年法律第六十六号)」を削る。
第百三十二条中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条の規定 公布の日から起算して二十日を経過した日
二 第四条、第六条、第八条、第十条(少年院法第二条第三号、第三条第二号、第四条第一項第四号、第百四十一条第一項ただし書及び第百四十七条第一項の改正規定を除く。)及び第十一条の規定 公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日
(経過措置)
2 この法律の施行に伴い必要な経過措置その他の事項は、別に法律で定めるところによる。
理 由
刑事施設における受刑者の処遇及び執行猶予制度等のより一層の充実を図るため、懲役及び禁錮を廃止して拘禁刑を創設し、その処遇内容等を定めるとともに、執行猶予の言渡しをすることができる対象者の拡大等の措置を講じ、並びに罪を犯した者に対する刑事施設その他の施設内及び社会内における処遇の充実を図るための規定の整備を行うほか、近年における公然と人を侮辱する犯罪の実情等に鑑み、侮辱罪の法定刑を引き上げる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。