第二一七回
衆第一号
医療保険の被保険者証等の交付等の特例に関する法律案
(趣旨)
第一条 この法律は、医療保険の電子資格確認に係る問題が多発し国民の間で電子資格確認に対する信頼が損なわれていること、医療保険の電子資格確認の利用が低迷していること等に鑑み、医療保険の被保険者証等の交付等の特例について定めるものとする。
(健康保険法等における被保険者証等の交付等の特例)
第二条 次の表の第一欄に掲げる法律(以下この項及び第五条において「医療保険各法」という。)の規定による同表の第二欄に掲げる者は、別に法律で定める日までの間、同表の第三欄に掲げる命令で定めるところにより、医療保険各法の規定による同表の第四欄に掲げる者(以下「被保険者等」という。)に対し、同表の第五欄に掲げるもの(以下「被保険者証等」という。)を交付するものとする。
健康保険法(大正十一年法律第七十号) |
全国健康保険協会又は健康保険組合 |
厚生労働省令 |
被保険者 |
被保険者証又は被保険者資格証明書 |
船員保険法(昭和十四年法律第七十三号) |
全国健康保険協会 |
厚生労働省令 |
被保険者 |
被保険者証又は被保険者資格証明書 |
私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号) |
日本私立学校振興・共済事業団 |
文部科学省令 |
加入者 |
加入者証及び加入者被扶養者証 |
国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号) |
国家公務員共済組合 |
財務省令 |
組合員 |
組合員証及び組合員被扶養者証 |
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号) |
市町村又は国民健康保険組合 |
厚生労働省令 |
被保険者が属する世帯の世帯主又は組合員 |
被保険者証又は被保険者資格証明書 |
地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号) |
地方公務員共済組合 |
内閣府令・総務省令・文部科学省令 |
組合員 |
組合員証及び組合員被扶養者証 |
高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号) |
後期高齢者医療広域連合 |
厚生労働省令 |
被保険者 |
被保険者証又は被保険者資格証明書 |
2 前項の規定により交付された被保険者証等は、同項の別に法律で定める日までの間、同項の表の第三欄に掲げる命令で定めるところにより、被保険者等であることの確認を受けるために用いることができる。
(その他被保険者証等の交付等に関し必要な事項)
第三条 前条に定めるもののほか、被保険者証等の交付及び利用等に関し必要な事項は、別に法律で定める。
(被保険者等の資格の確認に必要な書面の交付等に関する特例)
第四条 次に掲げる規定は、第二条第一項の別に法律で定める日までの間、適用しない。
一 健康保険法第五十一条の三
二 船員保険法第二十八条の二
三 防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号)第二十二条第六項
四 国家公務員共済組合法第五十三条の二(私立学校教職員共済法第二十五条において準用する場合を含む。)
五 国民健康保険法第九条第二項及び第三項(同法第二十二条において準用する場合を含む。)
六 地方公務員等共済組合法第五十五条の二
七 高齢者の医療の確保に関する法律第五十四条第三項及び第四項
八 その他政令で定める規定
(別に法律で定める日の検討)
第五条 第二条第一項の別に法律で定める日については、医療保険各法の規定による電子資格確認による被保険者等であることの確認が安全かつ確実に行われるための環境整備の状況、被保険者等が療養を受ける際の被保険者証等の利用の状況、被保険者証等の廃止が高齢者及び障害者をはじめとする被保険者等に支障を及ぼさないようにするための施策の策定及び実施の状況、被保険者証等の廃止に関する国民世論の動向その他の事情を勘案して検討し、その結果に基づいて定められるものとする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に交付を受けている被保険者証等(国民健康保険法の規定による保険者としての市町村又は国民健康保険組合から交付を受けている被保険者証等及び高齢者の医療の確保に関する法律の規定による後期高齢者医療広域連合から交付を受けている被保険者証等を除く。)は、第二条第一項の別に法律で定める日までの間、同項の表の第三欄に掲げる命令で定めるところにより、被保険者等であることの確認を受けるために用いることができる。
2 第四条の規定にかかわらず、この法律の施行の際現に交付されている同条各号に掲げる規定に基づく被保険者等の資格の確認に必要な書面の利用については、なお従前の例による。
3 前二項に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正)
第三条 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律(令和五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
附則第十六条及び第十八条中「(当該有効期間の末日が第二号施行日から起算して一年を経過する日の翌日以後であるときは、第二号施行日から起算して一年間とする。)」を削る。
(関係法律の整備)
第四条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に伴う関係法律の整備については、別に法律で定める。
理 由
医療保険の電子資格確認に係る問題が多発し国民の間で電子資格確認に対する信頼が損なわれていること、医療保険の電子資格確認の利用が低迷していること等に鑑み、医療保険の被保険者証等の交付等の特例について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
本案施行に要する経費
本案施行に要する経費としては、初年度約百九十三億円の見込みである。