第二一七回
参第一号
特定生殖補助医療に関する法律案
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 この法律の規定により行うことができる特定生殖補助医療(第三条・第四条)
第三章 提供型特定生殖補助医療の実施(第五条−第十七条)
第四章 提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の供給(第十八条−第三十一条)
第五章 業として行う特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子のあっせんの許可等(第三十二条−第四十一条)
第六章 提供型特定生殖補助医療基準(第四十二条)
第七章 監督(第四十三条−第五十条)
第八章 提供型特定生殖補助医療により出生した子による精子又は卵子の提供者の情報の入手等(第五十一条−第六十三条)
第九章 提供型特定生殖補助医療により出生した子がその事実を知ることができるようにするための配慮等(第六十四条・第六十五条)
第十章 特定生殖補助医療に用いられるための精子、卵子及び胚の提供等並びにそのあっせんに係る利益の授受の禁止(第六十六条・第六十七条)
第十一章 雑則(第六十八条−第七十条)
第十二章 罰則(第七十一条−第八十条)
附則
第一章 総則
(趣旨)
第一条 この法律は、特定生殖補助医療をめぐる現状等に鑑み、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律(令和二年法律第七十六号)の趣旨にのっとり、特定生殖補助医療の適正な実施を確保するための制度、特定生殖補助医療により出生した子が自らの出自に関する情報を知ることに資する制度等について必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第二条 この法律において「特定生殖補助医療」とは、子をもうけようとする男女の当事者である男性以外の男性の精子又は当該当事者である女性以外の女性の卵子を用いて行われる人工授精又は体外受精若しくは体外受精胚移植による医療をいう。
2 この法律において「人工授精」とは、男性から提供され、処置された精子を、女性の生殖器に注入することをいう。
3 この法律において「体外受精」とは、女性の卵巣から採取され、処置された未受精卵を、男性から提供され、処置された精子により受精させることをいう。
4 この法律において「体外受精胚移植」とは、体外受精により生じた胚を女性の子宮に移植することをいう。
第二章 この法律の規定により行うことができる特定生殖補助医療
(特定生殖補助医療のうち行うことができるもの)
第三条 医師は、特定生殖補助医療のうち、医学的に夫の精子又は妻の卵子により妻が子を懐胎することができない夫婦に係る次の各号のいずれかに該当するものに限り、これを行うことができる。
一 夫以外の男性から提供された精子による妻に対する人工授精
二 夫以外の男性から提供された精子と妻の卵子による体外受精並びに当該体外受精により生じた当該精子及び当該卵子に由来する胚の妻に対する体外受精胚移植
三 夫の精子と妻以外の女性から提供された卵子による体外受精並びに当該体外受精により生じた当該精子及び当該卵子に由来する胚の妻に対する体外受精胚移植
(提供型特定生殖補助医療に関する基本理念)
第四条 前条の規定により行うことができる特定生殖補助医療(以下「提供型特定生殖補助医療」という。)は、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律第三条に定める基本理念にのっとり、提供型特定生殖補助医療を受ける夫婦以外の者の提供による精子又は卵子が用いられるという特質(次項及び第五項において「提供型特定生殖補助医療に係る特質」という。)を踏まえ、適正に行われなければならない。
2 提供型特定生殖補助医療の実施に当たっては、これを受ける夫婦に対して、提供型特定生殖補助医療に係る特質、これにより出生した子がその事実及び自らの出自に関する情報を知ることができることの重要性等に関し、必要かつ適切な説明が行われ、その十分な理解を得た上で、その意思に基づいて行われるようにしなければならない。
3 提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の提供は、当該精子を提供する者又は当該卵子を提供する者に対する必要かつ適切な説明が行われ、その十分な理解を得た上で、任意に行われるものでなければならない。
4 提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の提供については、当該精子を提供する者又は当該卵子を提供する者の健康の保護について十分に考慮されなければならない。
5 提供型特定生殖補助医療により出生した子については、提供型特定生殖補助医療に係る特質に鑑み、その年齢及び発達の程度に応じて提供型特定生殖補助医療により出生した事実を知ることができるようにするとともに、その希望に応じて自らの出自に関する情報を知ることができるよう、必要な配慮がなされなければならない。
第三章 提供型特定生殖補助医療の実施
(提供型特定生殖補助医療を実施する病院等の認定)
第五条 提供型特定生殖補助医療を実施しようとする医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第一条の五第一項に規定する病院又は同条第二項に規定する診療所(以下「病院等」という。)は、当該病院等が第三項各号に掲げる要件に適合していることについて、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 前項の認定を受けようとする病院等の開設者は、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に申請をしなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の申請があった場合において、当該申請に係る病院等が次に掲げる要件に適合すると認めるときは、第一項の認定をするものとする。
一 その構造設備及びその有する人員が、提供型特定生殖補助医療を適切に実施するために必要なものとして内閣府令で定める基準に適合するものであること。
二 提供型特定生殖補助医療の個々の実施の適否について適切に判断することができる体制、提供型特定生殖補助医療の実施に関して知り得た情報の適正な管理及び秘密の保持を確保するために必要な体制その他の提供型特定生殖補助医療を適切に実施するために必要なものとして内閣府令で定める体制が整備されていること。
三 前二号に掲げるもののほか、提供型特定生殖補助医療を適切に実施するために必要なものとして内閣府令で定める基準に適合するものであること。
4 次の各号のいずれかに該当する病院等は、第一項の認定を受けることができない。
一 申請者がこの法律の規定に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者であるもの
二 第四十七条第一項の規定により第一項の認定を取り消され、若しくは同条第二項の規定により第十八条第一項の認定を取り消され、又は第五十条第一項の規定により第三十二条第一項の許可を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しないもの
5 内閣総理大臣は、第一項の認定をしたときは、当該認定を受けた病院等(以下「認定実施医療機関」という。)の名称、所在地その他内閣府令で定める事項を公示しなければならない。
(変更の届出等)
第六条 認定実施医療機関の開設者は、当該認定実施医療機関の構造設備、その有する人員その他の前条第三項各号に掲げる要件に係る事項として内閣府令で定める事項を変更するときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 認定実施医療機関の開設者は、当該認定実施医療機関の名称その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
3 前条第五項の規定は、前項の規定による届出があった場合について準用する。
(認定の有効期間等)
第七条 第五条第一項の認定の有効期間(次項の有効期間の更新がされた場合にあっては、当該更新された有効期間。以下この条において同じ。)は、当該認定の日(次項の有効期間の更新がされた場合にあっては、従前の認定の有効期間の満了の日の翌日)から起算して六年とする。
2 前項の有効期間の満了後引き続き提供型特定生殖補助医療を実施しようとする認定実施医療機関は、その有効期間の更新を受けなければならない。
3 前項の有効期間の更新を受けようとする認定実施医療機関の開設者は、内閣府令で定める期間内に、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に有効期間の更新の申請をしなければならない。
4 前項の申請があった場合において、第一項の有効期間の満了の日までに当該申請に対する処分がされないときは、従前の認定は、同項の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。
5 第五条第三項から第五項までの規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。
(業務の休廃止等)
第八条 認定実施医療機関の開設者は、当該認定実施医療機関の提供型特定生殖補助医療の実施の業務を休止し、若しくは廃止し、又は休止した当該提供型特定生殖補助医療の実施の業務を再開するときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
(提供型特定生殖補助医療に関する説明及び同意等)
第九条 医師は、認定実施医療機関において提供型特定生殖補助医療を行うとともに、提供型特定生殖補助医療の実施の度ごとに、これを受ける夫婦に対して、当該提供型特定生殖補助医療について、適切な説明を行い、当該夫婦の夫及び妻それぞれの書面による同意を得なければならない。
(あっせん機関の利用等)
第十条 認定実施医療機関は、提供型特定生殖補助医療を実施するに当たっては、これに用いる精子又は卵子については、第三十二条第三項に規定するあっせん機関(以下この章及び次章において「あっせん機関」という。)によるあっせんを通じて、第十八条第五項に規定する認定供給医療機関(次項及び第十二条第四項において「認定供給医療機関」という。)から、供給を受けるものとする。ただし、提供型特定生殖補助医療に用いる精子又は卵子が当該提供型特定生殖補助医療を受ける夫婦の兄弟姉妹等であって内閣府令で定めるものから提供される場合については、あっせん機関によるあっせんを通じてその供給を受けることを要しないものとする。
2 認定実施医療機関の管理者は、当該認定実施医療機関があっせん機関によるあっせんを通じて認定供給医療機関から提供型特定生殖補助医療に用いる精子又は卵子の供給を受けようとするときは、内閣府令で定めるところにより、あっせん機関に対し、当該提供型特定生殖補助医療に用いるために必要な精子又は卵子の別その他の当該提供型特定生殖補助医療に関する情報として内閣府令で定める情報を提出するものとする。
(同意に係る書面等の内閣総理大臣に対する提出等)
第十一条 認定実施医療機関の管理者は、当該認定実施医療機関において提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦の妻がこれにより懐胎したことを確認したとき又は当該提供型特定生殖補助医療の実施の日から三月以内にその懐胎の有無を確認することができなかったときは、内閣府令で定めるところにより、当該夫婦の第九条の同意に係る書面及び当該夫婦の氏名、住所、生年月日、個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第五項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)その他内閣府令で定める基本的な情報(前条第一項ただし書に規定する場合であってあっせん機関によるあっせんを通じて精子又は卵子の供給を受けることをしなかったとき(以下この項において「あっせん機関によるあっせんを受けなかったとき」という。)にあっては、当該書面及びこれらの情報並びにあっせん機関によるあっせんを受けなかったときに該当することを証するものとして内閣府令で定める書類)を内閣総理大臣に提出するとともに、その提出後五年間、当該書面の写し及び当該提出に係る情報(あっせん機関によるあっせんを受けなかったときにあっては、当該書類の写しを含む。)を保存しなければならない。
2 認定実施医療機関の管理者は、当該認定実施医療機関において提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦の妻がこれにより懐胎しなかったことを確認したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。
3 認定実施医療機関において提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦の夫又は妻は、当該妻がこれにより懐胎した子が出生したときは、当該子の氏名、住所、生年月日、個人番号その他の内閣府令で定める事項を、当該懐胎した子が出生するに至らなかったときは、その旨を、内閣府令で定めるところにより、当該提供型特定生殖補助医療の実施の日から一年以内に当該認定実施医療機関に報告しなければならない。
4 第一項の場合において、当該認定実施医療機関の管理者は、内閣府令で定めるところにより、前項の規定による報告等により当該提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦の妻がこれにより懐胎した子が出生したことを確認したときは、当該子の氏名、住所、生年月日、個人番号その他の内閣府令で定める基本的な情報を内閣総理大臣に提出し、同項の規定による報告等により当該提供型特定生殖補助医療により子が出生するに至らなかったことを確認したときは、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。
5 前項の規定による情報の提出をしたときは、当該認定実施医療機関の管理者は、内閣府令で定めるところにより、その提出後五年間、当該提出に係る情報を保存しなければならない。
6 第一項又は第二項の場合において、当該認定実施医療機関の管理者は、当該提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦に対し、当該夫婦について供給を受けた精子又は卵子に係る提供型特定生殖補助医療が更に行われることがないことを確認したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。
(同意の撤回等)
第十二条 提供型特定生殖補助医療を受けることについて第九条の同意をした夫婦の夫又は妻は、当該提供型特定生殖補助医療が人工授精を用いるものである場合にあっては当該妻に対する当該人工授精が開始される前まで、当該提供型特定生殖補助医療が体外受精を用いるものである場合にあっては当該体外受精により生じた胚の当該妻に対する体外受精胚移植が開始される前までは、当該同意を撤回することができる。
2 前項の規定による同意の撤回があったときは、認定実施医療機関において当該同意に係る提供型特定生殖補助医療を行う医師は、直ちに当該提供型特定生殖補助医療を中止しなければならない。
3 第一項の規定による同意の撤回があった場合であって、当該同意に係る提供型特定生殖補助医療を実施する認定実施医療機関が当該提供型特定生殖補助医療に用いる精子又は卵子の供給を受けていたときにおいて、当該認定実施医療機関の管理者は、当該同意をした夫婦に対し、当該精子又は卵子に係る提供型特定生殖補助医療が行われることがないことを確認したときは、前条第六項の規定により報告すべき場合を除き、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、第一項の規定による同意の撤回があった場合における当該同意に係る提供型特定生殖補助医療が実施される認定実施医療機関からのあっせん機関及び認定供給医療機関に対する通知その他の同項の規定による同意の撤回に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
(情報の適切な管理)
第十三条 認定実施医療機関の管理者は、当該認定実施医療機関が提供型特定生殖補助医療を実施するに当たっては、これを受ける夫婦が当該提供型特定生殖補助医療に用いる精子又は卵子の提供者を特定することができることとなる情報を知ることがないよう、必要な措置を講じなければならない。ただし、第十条第一項ただし書に規定する場合であってあっせん機関によるあっせんを通じて精子又は卵子の供給を受けることをしないときにあっては、この限りでない。
2 前項に定めるもののほか、認定実施医療機関の管理者は、当該認定実施医療機関の提供型特定生殖補助医療の実施の業務に関する情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
(秘密保持義務)
第十四条 認定実施医療機関の管理者若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、当該認定実施医療機関の提供型特定生殖補助医療の実施の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(帳簿の備付け等)
第十五条 認定実施医療機関の管理者は、内閣府令で定めるところにより、当該認定実施医療機関の提供型特定生殖補助医療の実施の業務に関する事項で内閣府令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
(引継ぎ)
第十六条 認定実施医療機関は、第七条第二項の有効期間の更新を受けなかったとき、提供型特定生殖補助医療の実施の業務を廃止しようとするとき又は第四十七条第一項の規定により第五条第一項の認定を取り消されたときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げるものを、他の認定実施医療機関に引き継がなければならない。
一 第十一条第一項の規定による保存に係る書面の写し、情報及び書類の写し並びに同条第五項の規定による保存に係る情報
二 前条の規定による保存に係る帳簿
2 前項の規定により同項各号に掲げるものの引継ぎを受けた認定実施医療機関の管理者は、内閣府令で定めるところにより、これらを保存しなければならない。
3 認定実施医療機関は、第一項の場合において、当該認定実施医療機関に、提供型特定生殖補助医療を受ける夫婦について供給を受けた精子若しくは卵子、当該精子若しくは卵子に由来する胚又は当該夫婦の夫の精子若しくは妻の卵子があるときは、これらを、同項の規定により引継ぎを受ける認定実施医療機関に引き継がなければならない。
(実施状況の報告)
第十七条 認定実施医療機関の管理者は、毎年度、内閣府令で定めるところにより、当該認定実施医療機関における提供型特定生殖補助医療の実施の状況に関し内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。
第四章 提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の供給
(供給業務を行う病院等の認定)
第十八条 提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の提供を受けて、これを処置し、提供型特定生殖補助医療を実施する認定実施医療機関に供給する業務(以下「供給業務」という。)を行おうとする病院等は、当該病院等が第三項各号に掲げる要件に適合していることについて、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 前項の認定を受けようとする病院等の開設者は、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に申請をしなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の申請があった場合において、当該申請に係る病院等が次に掲げる要件に適合すると認めるときは、第一項の認定をするものとする。
一 その構造設備及びその有する人員が、供給業務を適切に行うために必要なものとして内閣府令で定める基準に適合するものであること。
二 供給業務に関して知り得た情報の適正な管理及び秘密の保持を確保するために必要な体制その他の供給業務を適切に行うために必要なものとして内閣府令で定める体制が整備されていること。
三 前二号に掲げるもののほか、供給業務を適切に行うために必要なものとして内閣府令で定める基準に適合するものであること。
4 次の各号のいずれかに該当する病院等は、第一項の認定を受けることができない。
一 申請者がこの法律の規定に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者であるもの
二 第四十七条第一項の規定により第五条第一項の認定を取り消され、若しくは第四十七条第二項の規定により第一項の認定を取り消され、又は第五十条第一項の規定により第三十二条第一項の許可を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しないもの
5 内閣総理大臣は、第一項の認定をしたときは、当該認定を受けた病院等(以下「認定供給医療機関」という。)の名称、所在地その他内閣府令で定める事項を公示しなければならない。
(変更の届出等)
第十九条 認定供給医療機関の開設者は、当該認定供給医療機関の構造設備、その有する人員その他の前条第三項各号に掲げる要件に係る事項として内閣府令で定める事項を変更するときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 認定供給医療機関の開設者は、当該認定供給医療機関の名称その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
3 前条第五項の規定は、前項の規定による届出があった場合について準用する。
(認定の有効期間等)
第二十条 第十八条第一項の認定の有効期間(次項の有効期間の更新がされた場合にあっては、当該更新された有効期間。以下この条において同じ。)は、当該認定の日(次項の有効期間の更新がされた場合にあっては、従前の認定の有効期間の満了の日の翌日)から起算して六年とする。
2 前項の有効期間の満了後引き続き供給業務を行おうとする認定供給医療機関は、その有効期間の更新を受けなければならない。
3 前項の有効期間の更新を受けようとする認定供給医療機関の開設者は、内閣府令で定める期間内に、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に有効期間の更新の申請をしなければならない。
4 前項の申請があった場合において、第一項の有効期間の満了の日までに当該申請に対する処分がされないときは、従前の認定は、同項の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。
5 第十八条第三項から第五項までの規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。
(業務の休廃止等)
第二十一条 認定供給医療機関の開設者は、当該認定供給医療機関の供給業務を休止し、若しくは廃止し、又は休止した当該供給業務を再開するときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
(精子又は卵子の提供に関する説明及び同意)
第二十二条 医師は、認定供給医療機関において提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の提供を受けるに当たっては、その提供者に対して、当該精子又は卵子の提供型特定生殖補助医療のための提供及び提供型特定生殖補助医療における使用について、適切な説明を行い、当該提供者の書面による同意(第五十三条第一項に規定する個人非特定情報の開示についての同意を含む。)を得なければならない。
2 前項の場合において、医師は、当該提供者に対して、第五十五条第三項第二号の同意をするかどうかを、書面により確認しなければならない。
(内閣総理大臣に対する精子又は卵子の提供者に関する情報の提供の求め等)
第二十三条 認定供給医療機関の管理者は、当該認定供給医療機関が提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の提供を受けようとするときは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し、当該精子又は卵子を提供しようとする者の氏名、生年月日、個人番号その他内閣府令で定める情報を提出し、当該提供しようとする者の精子又は卵子が用いられた提供型特定生殖補助医療により懐胎に至った回数に関する情報の提供を求めるものとする。
2 認定供給医療機関の管理者は、当該認定供給医療機関が提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子を供給する前に、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し、当該精子又は卵子の提供者の氏名、生年月日、個人番号その他内閣府令で定める情報を提出し、当該精子又は卵子の提供者が生存しているかどうかについて確認を求めるものとする。
3 内閣総理大臣は、前二項の規定による求めがあったときは、内閣府令で定めるところにより、当該求めに係る事項の確認を行い、当該求めをした認定供給医療機関の管理者に回答しなければならない。
(あっせん機関の利用等)
第二十四条 認定供給医療機関は、供給業務を行うに当たっては、あっせん機関によるあっせんを通じて、提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の供給を行うものとする。ただし、第十条第一項ただし書に規定する場合であって認定実施医療機関があっせん機関によるあっせんを通じてその供給を受けることをしないときは、あっせん機関によるあっせんを通じてその供給を行うことを要しないものとする。
2 認定供給医療機関の管理者は、当該認定供給医療機関があっせん機関によるあっせんを通じて提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の供給を行おうとするときは、内閣府令で定めるところにより、あっせん機関に対し、当該精子又は卵子に関する情報その他のあっせんに必要な情報として内閣府令で定める情報を提出するものとする。
(同意に係る書面等の内閣総理大臣に対する提出等)
第二十五条 認定供給医療機関の管理者は、当該認定供給医療機関が認定実施医療機関に提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の供給を行ったときは、内閣府令で定めるところにより、当該精子又は卵子の提供者の第二十二条第一項の同意に係る書面、当該提供者の氏名、住所、生年月日、個人番号その他内閣府令で定める基本的な情報及び第五十三条第一項に規定する個人非特定情報並びに第二十二条第二項の規定による確認に係る書面(前条第一項ただし書に規定する場合であってあっせん機関によるあっせんを通じて精子又は卵子の供給を行うことをしなかったとき(以下この条において「あっせん機関によるあっせんを受けなかったとき」という。)にあっては、これらの書面及びこれらの情報並びにあっせん機関によるあっせんを受けなかったときに該当することを証するものとして内閣府令で定める書類)を内閣総理大臣に提出するとともに、その提出後五年間、これらの書面の写し及び当該提出に係る情報(あっせん機関によるあっせんを受けなかったときにあっては、当該書類の写しを含む。)を保存しなければならない。
(同意の撤回等)
第二十六条 提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の提供及び使用について第二十二条第一項の同意をした者は、当該同意に係る認定供給医療機関に申し出ることにより、当該同意を撤回することができる。この場合において、当該申出を受けた認定供給医療機関が当該同意に係る精子又は卵子を認定実施医療機関に供給しているときは、当該認定供給医療機関の管理者は、内閣府令で定めるところにより、直ちに当該認定実施医療機関に対して内閣府令で定める事項を通知しなければならない。
2 前項の規定による同意の撤回の効果は、同項の規定による通知を受けた認定実施医療機関において提供型特定生殖補助医療を受ける夫婦の妻に対する当該同意に係る精子を用いた人工授精が当該通知を受ける前に行われた場合における当該人工授精に用いられた精子又は当該同意に係る精子若しくは卵子と提供型特定生殖補助医療を受ける夫婦の妻の卵子若しくは夫の精子による体外受精が当該通知を受ける前に行われた場合における当該体外受精に用いられた精子若しくは卵子については、及ばないものとする。
3 第一項の規定による通知を受けた認定実施医療機関において提供型特定生殖補助医療を行う医師は、同項の規定により撤回された同意に係る精子又は卵子が前項の規定により当該撤回の効果が及ばない場合における精子又は卵子に該当するときを除き、当該同意に係る精子又は卵子を用いた提供型特定生殖補助医療を行ってはならない。
4 第一項の規定による通知を受けた認定実施医療機関の管理者は、当該認定実施医療機関が同項の認定供給医療機関から供給を受けた精子又は卵子のうちに第二項の規定により第一項の規定による同意の撤回の効果が及ばない場合における精子又は卵子に該当するものがない場合においては、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。
5 前各項に定めるもののほか、第一項の規定による同意の撤回があった場合における当該同意に係る精子又は卵子の供給業務を行う認定供給医療機関からのあっせん機関及び認定実施医療機関に対する通知その他の同項の規定による同意の撤回に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
(情報の適切な管理)
第二十七条 認定供給医療機関の管理者は、当該認定供給医療機関が供給業務を行うに当たっては、提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の提供者が、当該精子又は卵子が用いられる提供型特定生殖補助医療を受ける夫婦を特定することができることとなる情報を知ることがないよう、必要な措置を講じなければならない。ただし、第二十四条第一項ただし書に規定する場合であってあっせん機関によるあっせんを通じて精子又は卵子の供給を行うことをしないときにあっては、この限りでない。
2 前項に定めるもののほか、認定供給医療機関の管理者は、当該認定供給医療機関の供給業務に関する情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
(秘密保持義務)
第二十八条 認定供給医療機関の管理者若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、当該認定供給医療機関の供給業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(帳簿の備付け等)
第二十九条 認定供給医療機関の管理者は、内閣府令で定めるところにより、当該認定供給医療機関の供給業務に関する事項で内閣府令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
(引継ぎ)
第三十条 認定供給医療機関は、第二十条第二項の有効期間の更新を受けなかったとき、供給業務を廃止しようとするとき又は第四十七条第二項の規定により第十八条第一項の認定を取り消されたときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げるものを、他の認定供給医療機関に引き継がなければならない。
一 第二十五条の規定による保存に係る書面の写し、情報及び書類の写し
二 前条の規定による保存に係る帳簿
2 前項の規定により同項各号に掲げるものの引継ぎを受けた認定供給医療機関の管理者は、内閣府令で定めるところにより、これらを保存しなければならない。
3 認定供給医療機関は、第一項の場合において、提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子でまだ供給を行っていないものがあるときは、当該精子又は卵子を、同項の規定により引継ぎを受ける認定供給医療機関に引き継がなければならない。
(実施状況の報告)
第三十一条 認定供給医療機関の管理者は、毎年度、内閣府令で定めるところにより、当該認定供給医療機関における供給業務の実施の状況に関し内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。
第五章 業として行う特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子のあっせんの許可等
(業として行う精子又は卵子のあっせんの許可)
第三十二条 業として特定生殖補助医療に用いられる精子若しくは卵子の提供(当該精子又は卵子の供給を含むものとする。以下この項において同じ。)をすること又はその提供を受けることのあっせん(以下「業として行う精子又は卵子のあっせん」という。)をしようとする者は、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の許可の申請をした者が次の各号のいずれかに該当する場合には、同項の許可をしてはならない。
一 営利を目的とするおそれがあると認められる者
二 業として行う精子又は卵子のあっせんを公平かつ適正に行わないおそれがある者
三 この法律の規定により刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
四 第四十七条第一項の規定により第五条第一項の認定を取り消され、若しくは第四十七条第二項の規定により第十八条第一項の認定を取り消され、又は第五十条第一項の規定により前項の許可を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者
五 法人であって、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
3 内閣総理大臣は、第一項の許可をしたときは、当該許可を受けた者(以下「あっせん機関」という。)の氏名又は名称及び住所その他内閣府令で定める事項を公示しなければならない。
4 あっせん機関は、前項の規定により公示された事項を変更したときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
5 第三項の規定は、前項の規定による届出があった場合について準用する。
(許可の有効期間等)
第三十三条 前条第一項の許可の有効期間(次項の有効期間の更新がされた場合にあっては、当該更新された有効期間。以下この条において同じ。)は、当該許可の日(次項の有効期間の更新がされた場合にあっては、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日)から起算して六年とする。
2 前項の有効期間の満了後引き続き業として行う精子又は卵子のあっせんをしようとする者は、その有効期間の更新を受けなければならない。
3 前項の有効期間の更新を受けようとする者は、内閣府令で定める期間内に、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に有効期間の更新の申請をしなければならない。
4 前項の申請があった場合において、第一項の有効期間の満了の日までに当該申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、同項の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なお効力を有する。
5 前条第二項及び第三項の規定は、第二項の有効期間の更新について準用する。
(業務の休廃止等)
第三十四条 あっせん機関は、業として行う精子又は卵子のあっせんを休止し、若しくは廃止し、又は休止した当該業として行う精子又は卵子のあっせんを再開するときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨を公示しなければならない。
(あっせん業務の実施)
第三十五条 あっせん機関は、認定供給医療機関が提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子を供給すること及び認定実施医療機関がその供給を受けることのあっせんの業務(以下「あっせん業務」という。)を行うものとする。
2 あっせん業務として行う個々のあっせんは、第十条第二項及び第二十四条第二項の規定により提出された情報に基づいて行うものとする。
(内閣総理大臣への情報の提出等)
第三十六条 あっせん機関は、内閣府令で定めるところにより、そのあっせん業務として行った個々のあっせんに関する内閣府令で定める基本的な情報を内閣総理大臣に提出するとともに、その提出後五年間、当該提出に係る情報を保存しなければならない。
(情報の適切な管理)
第三十七条 あっせん機関は、そのあっせん業務に関する情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の当該情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
(秘密保持義務)
第三十八条 あっせん機関若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、そのあっせん業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(帳簿の備付け等)
第三十九条 あっせん機関は、内閣府令で定めるところにより、そのあっせん業務に関する事項で内閣府令で定めるものを記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならない。
(引継ぎ)
第四十条 あっせん機関は、第三十三条第二項の有効期間の更新を受けなかったとき、業として行う精子又は卵子のあっせんを廃止しようとするとき又は第五十条第一項の規定により第三十二条第一項の許可を取り消されたときは、内閣府令で定めるところにより、次に掲げるものを、他のあっせん機関に引き継がなければならない。
一 第三十六条の規定による保存に係る情報
二 前条の規定による保存に係る帳簿
2 前項の規定により同項各号に掲げるものの引継ぎを受けたあっせん機関は、内閣府令で定めるところにより、これらを保存しなければならない。
(実施状況の報告)
第四十一条 あっせん機関は、毎年度、内閣府令で定めるところにより、当該あっせん機関におけるあっせん業務の実施の状況に関し内閣府令で定める事項を内閣総理大臣に報告しなければならない。
第六章 提供型特定生殖補助医療基準
第四十二条 第二章から前章までに定めるもののほか、内閣総理大臣は、内閣府令で、提供型特定生殖補助医療の実施、供給業務及びあっせん業務に関する基準を定めるものとする。
2 第二章から前章までに定めるもののほか、提供型特定生殖補助医療の実施、供給業務及びあっせん業務は、前項の基準に従って行われなければならない。
第七章 監督
(立入検査等)
第四十三条 内閣総理大臣は、この法律の施行に必要な限度において、病院等の開設者若しくは管理者、医師その他の従業者、特定生殖補助医療に用いられる精子、卵子若しくは胚の提供(当該精子、卵子又は胚の供給を含むものとする。以下この項及び第四十六条第三項において同じ。)をする業務を行っている者若しくは特定生殖補助医療に用いられる精子、卵子若しくは胚の提供をすること若しくはその提供を受けることのあっせんの業務を行っている者に対し、必要な報告をさせ、又は当該職員に、病院等若しくはこれらの者の施設、事務所その他の場所に立ち入り、当該病院等の構造設備若しくはその有する人員の状況若しくは当該病院等若しくはこれらの者の業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(認定実施医療機関等の開設者又は管理者に対する助言等)
第四十四条 内閣総理大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、認定実施医療機関又は認定供給医療機関(以下「認定実施医療機関等」という。)の開設者又は管理者に対し、当該認定実施医療機関等の提供型特定生殖補助医療の実施又は供給業務に関し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
(認定実施医療機関等の管理者に対する指示)
第四十五条 内閣総理大臣は、認定実施医療機関等の管理者又はこれらに所属する医師がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していると認めるときは、その管理者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを指示することができる。
(認定実施医療機関等の管理者に対する命令等)
第四十六条 内閣総理大臣は、前条の規定による指示を受けた認定実施医療機関等の管理者が当該指示に従わないときは、当該管理者に対し、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定に違反する行為の中止その他の必要な措置を命じ、又は期間を定めて当該違反する行為に係る業務の停止を命ずることができる。
2 内閣総理大臣は、提供型特定生殖補助医療以外の特定生殖補助医療が行われていると認めるとき又は認定実施医療機関以外の場所において提供型特定生殖補助医療が行われていると認めるときは、これらの特定生殖補助医療が行われている病院等の管理者又はこれらの特定生殖補助医療を行っている医師に対し、その中止その他の必要な措置を命ずることができる。
3 内閣総理大臣は、提供型特定生殖補助医療以外の特定生殖補助医療に用いられる精子、卵子若しくは胚の提供をする業務が行われていると認めるとき、認定実施医療機関以外の場所において行われる提供型特定生殖補助医療に用いられる精子若しくは卵子の提供(提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の供給を含むものとする。以下同じ。)をする業務が行われていると認めるとき又は認定供給医療機関以外のものにより提供型特定生殖補助医療に用いられる精子若しくは卵子の提供をする業務が行われていると認めるときは、それぞれその業務が行われ、若しくはその提供を受けている病院等の管理者又は当該業務を行っている者に対し、その中止その他の必要な措置を命ずることができる。
4 内閣総理大臣は、前三項の規定による命令をしたときは、その旨を公示しなければならない。
(認定実施医療機関等の認定の取消し)
第四十七条 内閣総理大臣は、認定実施医療機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第五条第一項の認定を取り消すことができる。
一 偽りその他不正の手段により、第五条第一項の認定又は第七条第二項の有効期間の更新を受けたとき。
二 第五条第三項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。
三 その申請者が第五条第四項第一号に該当するに至ったとき。
四 その管理者が前条第一項から第三項までの規定による命令に違反したとき。
2 内閣総理大臣は、認定供給医療機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第十八条第一項の認定を取り消すことができる。
一 偽りその他不正の手段により、第十八条第一項の認定又は第二十条第二項の有効期間の更新を受けたとき。
二 第十八条第三項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなったとき。
三 その申請者が第十八条第四項第一号に該当するに至ったとき。
四 その管理者が前条第一項から第三項までの規定による命令に違反したとき。
3 内閣総理大臣は、前二項の規定により第五条第一項又は第十八条第一項の認定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
(あっせん機関に対する助言等)
第四十八条 内閣総理大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、あっせん機関に対し、そのあっせん業務に関し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
(あっせん機関に対する改善命令)
第四十九条 内閣総理大臣は、あっせん業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、その必要の限度において、あっせん機関に対し、その改善に必要な措置を命ずることができる。
(あっせん機関の許可の取消し等)
第五十条 内閣総理大臣は、あっせん機関が次の各号のいずれかに該当するときは、第三十二条第一項の許可を取り消し、又は期間を定めてそのあっせん業務の停止を命ずることができる。
一 第三十二条第二項第三号又は第五号(同項第三号に係る部分に限る。)に該当するに至ったとき。
二 第五章の規定(これに基づく命令の規定を含む。)に違反したとき。
三 あっせん業務に関し、第四十二条第一項の基準に違反したとき。
四 前条の規定による命令に違反したとき。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により第三十二条第一項の許可を取り消し、又はあっせん業務の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
第八章 提供型特定生殖補助医療により出生した子による精子又は卵子の提供者の情報の入手等
(同意書等の保存)
第五十一条 内閣総理大臣は、内閣府令で定めるところにより、第十一条第一項及び第四項、第二十五条並びに第三十六条の規定により提出された書面、情報及び書類(以下「同意書等」という。)(提供型特定生殖補助医療が実施された場合のものに限る。)を、その提出があった日から、当該提供型特定生殖補助医療の実施の日から百年を経過する日までの間、保存しなければならない。ただし、第十一条第六項の規定による報告を受け、かつ、当該報告に係る提供型特定生殖補助医療により子が出生するに至らなかった場合における当該提供型特定生殖補助医療に係る同意書等については、この限りでない。
(出生した子の情報の保存の確認)
第五十二条 自らが提供型特定生殖補助医療により出生した子であると思料する者であって成年に達したものは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し、自己に係る第十一条第四項の規定により提出された情報を保存しているかどうかについての確認を請求することができる。
2 前項の規定による確認の請求(以下「確認請求」という。)は、確認請求をする者の氏名、個人番号その他の内閣府令で定める事項を記載した書面を内閣総理大臣に提出してしなければならない。
3 前項の場合において、確認請求をする者は、内閣府令で定めるところにより、本人であることを示す書類を提示し、又は提出しなければならない。
4 内閣総理大臣は、確認請求があったときは、当該確認請求をした者に係る第一項の情報を保存しているかどうかを確認し、当該確認請求をした者に対し、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その結果について回答しなければならない。
(精子又は卵子の提供者の個人非特定情報の開示)
第五十三条 前条第四項の規定により自己に係る同条第一項の情報を内閣総理大臣が保存していることが確認された者(以下「被確認者」という。)は、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し、当該被確認者の出生に係る提供型特定生殖補助医療に用いられた精子又は卵子の提供者の情報であって個人を特定しないものとして内閣府令で定めるもの(第四項において「個人非特定情報」という。)の開示を請求することができる。
2 前項の規定による開示の請求(以下「個人非特定情報開示請求」という。)は、個人非特定情報開示請求をする者の氏名、個人番号その他の内閣府令で定める事項を記載した書面を内閣総理大臣に提出してしなければならない。
3 前項の場合において、個人非特定情報開示請求をする者は、内閣府令で定めるところにより、本人であることを示す書類及び被確認者であることを示す書類を提示し、又は提出しなければならない。
4 内閣総理大臣は、個人非特定情報開示請求があったときは、当該個人非特定情報開示請求をした者に対し、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、当該個人非特定情報開示請求に係る個人非特定情報を開示しなければならない。
(内閣総理大臣による要請に基づく精子又は卵子の提供者からの情報の提供)
第五十四条 被確認者は、当該被確認者の出生に係る提供型特定生殖補助医療に用いられた精子又は卵子の提供者の情報を当該被確認者に提供するために内閣総理大臣に提出することを当該提供者に対して要請するよう、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に請求することができる。
2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による要請の請求(以下「要請請求」という。)について準用する。
3 内閣総理大臣は、要請請求があったときは、当該要請請求に係る精子又は卵子の提供者が死亡その他の内閣府令で定める事由に該当する場合を除き、当該提供者に対し、内閣府令で定めるところにより、速やかに、内閣総理大臣に対して当該要請請求をした者に提供するための当該提供者の情報を提出するよう要請しなければならない。
4 内閣総理大臣は、要請請求に係る精子又は卵子の提供者が前項の内閣府令で定める事由に該当し、当該提供者に対し当該提供者の情報を提出することを要請しなかったときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該要請請求をした者に通知しなければならない。
5 内閣総理大臣は、要請請求に係る精子又は卵子の提供者から、第三項の規定による要請に係る回答があったときはその回答をそのまま、内閣府令で定める期間内に当該要請に係る回答がなかったときはその旨を、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、当該要請請求をした者に通知しなければならない。
(精子又は卵子の提供者が死亡等に該当する場合における提供時の同意に基づく氏名の開示)
第五十五条 被確認者は、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し、当該被確認者の出生に係る提供型特定生殖補助医療に用いられた精子又は卵子の提供者の氏名の開示を請求することができる。
2 第五十三条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による開示の請求(以下「氏名開示請求」という。)について準用する。
3 内閣総理大臣は、氏名開示請求があった場合には、当該氏名開示請求に係る精子又は卵子の提供者について次の各号のいずれにも該当するときに限り、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、当該氏名開示請求をした者に対して当該提供者の氏名を開示するものとする。
一 死亡その他の内閣府令で定める事由に該当していること。
二 前号の事由に該当する場合の氏名の開示についての同意をする旨が第二十二条第二項の規定による確認に係る書面に記載されていること。
4 内閣総理大臣は、氏名開示請求があった場合において、当該氏名開示請求に係る精子又は卵子の提供者について前項各号のいずれかに該当しないときは、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該氏名開示請求をした者に通知しなければならない。
(同意に係る書面の開示)
第五十六条 次の各号に掲げる者は、当該提供型特定生殖補助医療により出生した子の親子関係に関して紛争があり、かつ、その解決のために必要があるときは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に対し、それぞれ当該各号に定める書面の開示を請求することができる。
一 提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦の夫若しくは妻又は提供型特定生殖補助医療により出生した子 当該提供型特定生殖補助医療に係る第十一条第一項の規定により提出された第九条の同意に係る書面
二 提供型特定生殖補助医療に用いられた精子又は卵子の提供者 当該提供型特定生殖補助医療に係る第二十五条の規定により提出された第二十二条第一項の同意に係る書面
2 前項の規定による開示の請求(以下「同意書開示請求」という。)は、同意書開示請求をする者の氏名、個人番号、当該開示を必要とする理由その他の内閣府令で定める事項を記載した書面を内閣総理大臣に提出してしなければならない。
3 前項の場合において、同意書開示請求をする者は、内閣府令で定めるところにより、本人であること(代理人による同意書開示請求にあっては、本人の代理人であること)を示す書類を提示し、又は提出しなければならない。
4 内閣総理大臣は、同意書開示請求があったときは、当該同意書開示請求に理由がない場合を除き、当該同意書開示請求をした者に対し、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、当該同意書開示請求に係る同意に係る書面を開示しなければならない。
(国立成育医療研究センターへの事務の委任)
第五十七条 内閣総理大臣は、第十一条第一項、第二項、第四項及び第六項、第十二条第三項、第二十三条、第二十五条、第二十六条第四項、第三十六条並びに第五十一条の規定による内閣総理大臣の事務並びに第五十二条から前条までの規定による内閣総理大臣の権限に係る事務を、国立研究開発法人国立成育医療研究センター(以下「国立成育医療研究センター」という。)に行わせるものとする。
(納付金等)
第五十八条 国立成育医療研究センターの第二十三条及び第五十一条の規定による事務に要する費用に充てるため、認定実施医療機関は、内閣府令で定めるところにより、実費を勘案して内閣府令で定める額の納付金を国立成育医療研究センターに納付しなければならない。
2 確認請求、個人非特定情報開示請求、要請請求、氏名開示請求又は同意書開示請求をする者は、内閣府令で定めるところにより、実費を勘案して内閣府令で定める額の手数料を国立成育医療研究センターに納付しなければならない。
3 前二項の規定により国立成育医療研究センターに納付された納付金及び手数料は、国立成育医療研究センターの収入とする。
(同意書等に係る情報の適切な管理)
第五十九条 国立成育医療研究センターは、第五十七条に規定する事務並びに前条及び第六十二条の規定による事務を行うに当たっては、同意書等並びに第二十三条第一項及び第二項の規定による求め、同条第三項の規定による回答、確認請求、第五十二条第四項の規定による回答、個人非特定情報開示請求、第五十三条第四項の規定による開示、要請請求、第五十四条第三項の精子又は卵子の提供者の同項の内閣府令で定める事由についての該当性、同項の規定による要請、同条第四項の規定による通知、同条第五項の回答、同項の規定による通知、氏名開示請求、第五十五条第三項の精子又は卵子の提供者の同項第一号の要件についての該当性、同項の規定による開示、同条第四項の規定による通知、同意書開示請求並びに第五十六条第四項の規定による開示(第六十一条第一項において「特定事項」という。)に係る情報(以下「同意書等に係る情報」という。)の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の同意書等に係る情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。
(同意書等に係る情報の利用等の制限)
第六十条 国立成育医療研究センターは、第二十三条、第五十一条から第五十六条まで、第五十八条及び第六十二条の規定による場合を除き、同意書等に係る情報を利用し、又は提供してはならない。
(適用除外)
第六十一条 同意書等及び特定事項に係る文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)については、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の規定は、適用しない。
2 同意書等に係る情報に含まれる保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第百二十五条第二項の規定により適用される同法第五章第四節の規定は、適用しない。
(特定生殖補助医療に係る国立成育医療研究センターのその他の事務)
第六十二条 第五十七条に規定する事務並びに第五十八条及び第五十九条の規定による事務のほか、国立成育医療研究センターは、特定生殖補助医療に関する情報の収集、調査及び研究を行うものとする。
(実施状況の報告)
第六十三条 国立成育医療研究センターは、毎年度、第五十七条に規定する事務並びに第五十八条、第五十九条及び前条の規定による事務の実施状況について、内閣総理大臣に報告しなければならない。
第九章 提供型特定生殖補助医療により出生した子がその事実を知ることができるようにするための配慮等
(提供型特定生殖補助医療により出生した子がその事実を知ることができるようにするための配慮)
第六十四条 提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦は、当該提供型特定生殖補助医療により出生した子がその事実を知ることができるよう、当該子の年齢及び発達の程度に応じた適切な配慮をするよう努めなければならない。
(提供型特定生殖補助医療により出生した子がその事実を知ることができるようにするための配慮に係る支援体制等の整備)
第六十五条 国は、提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦による前条の配慮に資するよう、関係機関及び関係団体の協力を得て、当該夫婦に対する情報の提供、相談その他の支援を行うために必要な体制の整備を図らなければならない。
2 国は、提供型特定生殖補助医療を受けた夫婦による前条の配慮に関連して、提供型特定生殖補助医療により出生した子(自らが提供型特定生殖補助医療により出生した子であると思料する者を含む。)に対し、当該子が受けた同条の配慮の状況並びに当該子の年齢及び発達の程度、置かれている環境等に応じた相談支援が提供されるよう、関係機関及び関係団体の協力を得て、必要な体制の整備を図らなければならない。
第十章 特定生殖補助医療に用いられるための精子、卵子及び胚の提供等並びにそのあっせんに係る利益の授受の禁止
(特定生殖補助医療に用いられるための精子、卵子及び胚の提供等に係る利益の授受の禁止)
第六十六条 何人も、特定生殖補助医療(特定生殖補助医療以外の人工授精又は体外受精若しくは体外受精胚移植による医療のうち、夫婦に係るもの以外のものを含む。次条第一項並びに附則第四条第一項及び第三項において同じ。)に用いられるための精子、卵子又は胚の提供(当該精子、卵子又は胚の供給を含むものとする。以下同じ。)をすること又はしたことの対価として、財産上の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。
2 何人も、代理懐胎等(特定生殖補助医療により他人に代わってする懐胎又は当該懐胎に係る出産をいう。以下同じ。)をすること又はしたことの対価として、財産上の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。
3 何人も、前二項に規定する対価として、財産上の利益の供与をし、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
4 第一項及び前項(第一項に係る部分に限る。)に規定する対価には、交通、通信、提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の採取、処置、保存又は移送等に要する費用であって提供型特定生殖補助医療に用いられる精子又は卵子の提供をすることに関して通常必要であると認められるものを含まないものとする。
(特定生殖補助医療に用いられるための精子、卵子及び胚の提供等のあっせんに係る利益の授受の禁止)
第六十七条 何人も、特定生殖補助医療に用いられるための精子、卵子若しくは胚の提供をすること又はその提供を受けることについてあっせんをすること又はしたことの報酬として、財産上の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。
2 何人も、代理懐胎等をすること又は代理懐胎等をすることを依頼することについてあっせんをすること又はしたことの報酬として、財産上の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。
3 何人も、前二項に規定する報酬として、財産上の利益の供与をし、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
4 第一項及び前項(第一項に係る部分に限る。)に規定する報酬には、通信、情報処理等に要する費用であって提供型特定生殖補助医療に用いられる精子若しくは卵子の提供をすること又はその提供を受けることについてあっせんをすることに関して通常必要であると認められるものを含まないものとする。
第十一章 雑則
(権限の委任)
第六十八条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)をこども家庭庁長官に委任する。
2 こども家庭庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を地方厚生局長又は地方厚生支局長に委任することができる。
(内閣府令への委任)
第六十九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な手続その他の事項は、内閣府令で定める。
(経過措置)
第七十条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要とされる範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第十二章 罰則
第七十一条 第六十六条第一項から第三項まで又は第六十七条第一項から第三項までの規定に違反したときは、当該違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第三条の例に従う。
第七十二条 前条第一項(第六十六条第一項及び第二項並びに第六十七条第一項及び第二項に係る部分に限る。)の場合において供与を受けた財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第七十三条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三十二条第一項の許可を受けないで業として行う精子又は卵子のあっせんをしたとき。
二 偽りその他不正の手段により、第三十二条第一項の許可又は第三十三条第二項の有効期間の更新を受けたとき。
三 第四十六条第一項から第三項までの規定による命令に違反したとき。
四 第五十条第一項の規定による命令に違反したとき。
第七十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
一 第十四条、第二十八条又は第三十八条の規定に違反した者
二 正当な理由がなく、第十一条第一項、第二項、第四項若しくは第六項、第十二条第三項、第二十三条、第二十五条、第二十六条第四項、第三十六条、第五十一条から第五十六条まで、第五十八条又は第六十二条の規定による事務に関して知り得た秘密を漏らした国立成育医療研究センターの役員若しくは職員又はこれらの者であった者
第七十五条 第四十九条の規定による命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第七十六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十五条、第二十九条又は第三十九条の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
二 第十六条第二項、第三十条第二項又は第四十条第二項の規定に違反して、帳簿を保存しなかったとき。
三 第四十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
第七十七条 偽りその他不正の手段により、第五十二条第四項の規定による回答、第五十三条第四項の規定による開示、第五十四条第四項若しくは第五項の規定による通知、第五十五条第三項の規定による開示、同条第四項の規定による通知又は第五十六条第四項の規定による開示を受けた者は、三十万円以下の罰金に処する。
第七十八条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第七十一条第一項、第七十三条、第七十五条又は第七十六条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
2 前項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第七十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。
一 第六条第一項若しくは第二項、第八条第一項、第十九条第一項若しくは第二項、第二十一条第一項、第三十二条第四項又は第三十四条第一項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十一条第一項の規定に違反して、書面、情報若しくは書類の提出をせず、若しくは虚偽の書面、情報若しくは書類の提出をし、又は書面の写し、情報若しくは書類の写しの保存をしなかった者
三 第十一条第二項、第四項若しくは第六項、第十二条第三項又は第二十六条第四項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をした者
四 第十一条第四項の規定に違反して、情報の提出をせず、又は虚偽の情報の提出をした者
五 第十一条第五項の規定に違反して、情報の保存をしなかった者
六 第十六条第二項の規定に違反して、同条第一項第一号に掲げるものの保存をしなかった者
七 第二十五条の規定に違反して、書面、情報若しくは書類の提出をせず、若しくは虚偽の書面、情報若しくは書類の提出をし、又は書面の写し、情報若しくは書類の写しの保存をしなかった者
八 第三十条第二項の規定に違反して、同条第一項第一号に掲げるものの保存をしなかった者
九 第三十六条の規定に違反して、情報の提出をせず、若しくは虚偽の情報の提出をし、又は情報の保存をしなかった者
十 第四十条第二項の規定に違反して、同条第一項第一号に掲げるものの保存をしなかった者
第八十条 正当な理由がなく、第十一条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第二条並びに次条並びに附則第三条、第七条、第八条、第十二条及び第十四条の規定 公布の日
二 第十章、第七十一条、第七十二条及び第七十八条(第七十一条第一項に係る部分に限る。)並びに附則第四条及び第五条の規定 公布の日から起算して三月を経過した日
(検討)
第二条 特定生殖補助医療を受けることができる者の範囲については、特定生殖補助医療により生まれる子の福祉を踏まえ、特定生殖補助医療により子をもうけることを希望する者が置かれている状況に鑑み、この法律の公布後五年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
2 特定生殖補助医療により出生した子が自らの出自に関する情報を知ることに資する制度の在り方については、当該子の福祉を踏まえ、精子又は卵子の提供に係る状況を考慮しつつ、この法律の公布後五年を目途として検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
3 政府は、前項の制度が設けられたことを踏まえ、特定生殖補助医療により出生した子以外の者であって自らの出自に関する情報を知ることが困難な状況にあるものがそれを知ることに資する制度を設けることについて検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
4 この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
(準備行為)
第三条 第五条第一項の認定を受けようとする病院等の開設者は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、同条第二項の規定の例により、その認定の申請をすることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による認定の申請があった場合には、施行日前においても、第五条第三項から第五項までの規定の例により、その認定及び公示をすることができる。この場合において、その認定を受けた病院等は施行日において同条第一項の認定を受けたものと、その公示は施行日において同条第五項の規定によりした公示とみなす。
3 第十八条第一項の認定を受けようとする病院等の開設者は、施行日前においても、同条第二項の規定の例により、その認定の申請をすることができる。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による認定の申請があった場合には、施行日前においても、第十八条第三項から第五項までの規定の例により、その認定及び公示をすることができる。この場合において、その認定を受けた病院等は施行日において同条第一項の認定を受けたものと、その公示は施行日において同条第五項の規定によりした公示とみなす。
5 第三十二条第一項の許可を受けようとする者は、施行日前においても、その許可の申請をすることができる。
6 内閣総理大臣は、前項の規定による許可の申請があった場合には、施行日前においても、第三十二条第二項及び第三項の規定の例により、その許可及び公示をすることができる。この場合において、その許可を受けた者は施行日において同条第一項の許可を受けたものと、その公示は施行日において同条第三項の規定によりした公示とみなす。
(経過措置)
第四条 第六十六条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の規定は、特定生殖補助医療に用いられるための精子、卵子又は胚の提供が附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条及び次条において「第二号施行日」という。)以後に行われる場合(当該提供をすること又はしたことの対価として、第二号施行日以後に、財産上の利益の供与を受け、若しくはその要求若しくは約束をし、又は財産上の利益の供与をし、若しくはその申込み若しくは約束をする場合に限る。)について適用する。
2 第六十六条第二項及び第三項(同条第二項に係る部分に限る。)の規定は、代理懐胎等に係る人工授精又は体外受精胚移植が第二号施行日以後に行われる場合(当該代理懐胎等をすること又はしたことの対価として、第二号施行日以後に、財産上の利益の供与を受け、若しくはその要求若しくは約束をし、又は財産上の利益の供与をし、若しくはその申込み若しくは約束をする場合に限る。)について適用する。
3 第六十七条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の規定は、特定生殖補助医療に用いられるための精子、卵子若しくは胚の提供をすること又はその提供を受けることについてのあっせんが第二号施行日以後に行われる場合(当該あっせんをすること又はしたことの報酬として、第二号施行日以後に、財産上の利益の供与を受け、若しくはその要求若しくは約束をし、又は財産上の利益の供与をし、若しくはその申込み若しくは約束をする場合に限る。)について適用する。
4 第六十七条第二項及び第三項(同条第二項に係る部分に限る。)の規定は、代理懐胎等をすること又は代理懐胎等をすることを依頼することについてのあっせんが第二号施行日以後に行われる場合(当該あっせんをすること又はしたことの報酬として、第二号施行日以後に、財産上の利益の供与を受け、若しくはその要求若しくは約束をし、又は財産上の利益の供与をし、若しくはその申込み若しくは約束をする場合に限る。)について適用する。
第五条 第二号施行日から施行日の前日までの間においては、第六十六条第四項及び第六十七条第四項に規定する「提供型特定生殖補助医療」とは、特定生殖補助医療のうち、医学的に夫の精子又は妻の卵子により妻が子を懐胎することができない夫婦に係る次の各号のいずれかに該当するものをいうものとし、第六十六条第四項中「精子又は卵子の提供」とあるのは、「精子又は卵子の提供(当該精子又は卵子の供給を含むものとする。次条第四項において同じ。)」とする。
一 夫以外の男性から提供された精子による妻に対する人工授精
二 夫以外の男性から提供された精子と妻の卵子による体外受精並びに当該体外受精により生じた当該精子及び当該卵子に由来する胚の妻に対する体外受精胚移植
三 夫の精子と妻以外の女性から提供された卵子による体外受精並びに当該体外受精により生じた当該精子及び当該卵子に由来する胚の妻に対する体外受精胚移植
(土地収用法の一部改正)
第六条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第三十四号の三中「第十六条第一号」を「第十六条第一項第一号」に改める。
(登録免許税法の一部改正)
第七条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第五十号の三の次に次のように加える。
五十の四 認定実施医療機関若しくは認定供給医療機関の認定又は業として行う精子又は卵子のあつせんの許可 |
||
(一) 特定生殖補助医療に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第五条第一項(提供型特定生殖補助医療を実施する病院等の認定)の認定実施医療機関の認定(更新の認定を除く。) |
認定件数 |
一件につき九万円 |
(二) 特定生殖補助医療に関する法律第十八条第一項(供給業務を行う病院等の認定)の認定供給医療機関の認定(更新の認定を除く。) |
認定件数 |
一件につき九万円 |
(三) 特定生殖補助医療に関する法律第三十二条第一項(業として行う精子又は卵子のあつせんの許可)の業として行う精子又は卵子のあつせんの許可(更新の許可を除く。) |
許可件数 |
一件につき九万円 |
(登録免許税法の一部改正に伴う経過措置)
第八条 この法律の公布の日から施行日の前日までの間に受ける前条の規定による改正後の登録免許税法別表第一第五十号の四(一)及び(二)に掲げる認定並びに同号(三)に掲げる許可に係る同号の規定の適用については、同号(一)中「第五条第一項(提供型特定生殖補助医療を実施する病院等の認定)の認定実施医療機関の認定(更新の認定を除く。)」とあるのは「附則第三条第二項前段(準備行為)の認定」と、同号(二)中「第十八条第一項(供給業務を行う病院等の認定)の認定供給医療機関の認定(更新の認定を除く。)」とあるのは「附則第三条第四項前段の認定」と、同号(三)中「第三十二条第一項(業として行う精子又は卵子のあつせんの許可)の業として行う精子又は卵子のあつせんの許可(更新の許可を除く。)」とあるのは「附則第三条第六項前段の許可」とする。
(住民基本台帳法の一部改正)
第九条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。
別表第一中十五の三の項を十五の四の項とし、十五の二の項を十五の三の項とし、十五の項の次に次のように加える。
十五の二 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
特定生殖補助医療に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)による同法第二十三条第三項の確認、同法第五十一条の同意書等の保存、同法第五十二条第四項の回答、同法第五十三条第四項の開示、同法第五十四条第三項の要請、同条第四項の通知、同法第五十五条第三項の開示、同条第四項の通知又は同法第五十六条第四項の開示に関する事務であつて総務省令で定めるもの |
(高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律の一部改正)
第十条 高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律(平成二十年法律第九十三号)の一部を次のように改正する。
第三条中第五項を第六項とし、第四項の次に次の一項を加える。
5 国立成育医療研究センターは、前項に規定するもののほか、特定生殖補助医療に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)に基づき、同法第五十七条に規定する事務並びに特定生殖補助医療(同法第二条第一項に規定する特定生殖補助医療をいう。第十六条第二項第二号及び第二十七条第二項第三号において同じ。)に関する情報の収集、調査及び研究を行うことを目的とする。
第十六条に次の一項を加える。
2 国立成育医療研究センターは、第三条第五項の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 特定生殖補助医療に関する法律第五十七条に規定する事務を行うこと。
二 特定生殖補助医療に関する法律第六十二条の規定により特定生殖補助医療に関する情報の収集、調査及び研究を行うこと(前項第一号に掲げるものを除く。)。
三 前二号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
第十七条中「第三条第五項」を「第三条第六項」に改める。
第二十四条第一項中「第十六条第一号」を「第十六条第一項第一号」に改める。
第二十七条中「国立高度専門医療研究センター」の下に「(国立成育医療研究センターを除く。)」を加え、同条に次の二項を加える。
2 国立成育医療研究センターに係る通則法における主務大臣は、次のとおりとする。
一 役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務に関する事項については、厚生労働大臣
二 第十六条第一項に規定する業務(次号に規定するものを除く。)に関する事項については、厚生労働大臣
三 第十六条第一項第一号に掲げる業務のうち特定生殖補助医療に係るもの(これに附帯する業務を含む。)に関する事項については、厚生労働大臣及び内閣総理大臣
四 第十六条第二項に規定する業務に関する事項については、内閣総理大臣
3 国立成育医療研究センターに係る通則法における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。
(高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第十一条 国立成育医療研究センターの施行日の属する事業年度の独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第三十五条の八において読み替えて準用する同法第三十一条第一項に規定する年度計画に係る同項の規定の適用については、同項中「毎事業年度の開始前に、第三十五条の五第一項の認可を受けた」とあるのは、「その第三十五条の五第一項の中長期計画について特定生殖補助医療に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)の施行の日以後最初に同項の認可を受けた後遅滞なく、当該認可に係る」とする。
(高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律の一部改正に伴う準備行為)
第十二条 次の各号に掲げる大臣は、施行日前においても、独立行政法人通則法第三十五条の四第三項及び第四項並びに同法第六十七条(第二号に係る部分に限る。)の規定の例により、それぞれ当該各号に定める事項に関する同法第三十五条の四第一項の規定による中長期目標の策定又は変更について、独立行政法人評価制度委員会及び同条第四項に規定する研究開発に関する審議会の意見を聴くこと並びに財務大臣との協議を行うことができる。
一 厚生労働大臣及び内閣総理大臣 附則第十条の規定による改正後の高度専門医療に関する研究等を行う国立研究開発法人に関する法律(次号において「新高度専門医療国立研究開発法人法」という。)第二十七条第二項第三号に規定する事項
二 内閣総理大臣 新高度専門医療国立研究開発法人法第二十七条第二項第四号に規定する事項
(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部改正)
第十三条 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を次のように改正する。
別表に次のように加える。
百三十七 内閣総理大臣 |
特定生殖補助医療に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)による提供型特定生殖補助医療に係る確認、同意書等の保存、確認請求に対する回答、個人非特定情報の開示、要請請求に係る要請若しくは通知、氏名開示請求に係る開示若しくは通知又は同意に係る書面の開示に関する事務であって主務省令で定めるもの |
(政令への委任)
第十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
理 由
特定生殖補助医療をめぐる現状等に鑑み、生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律の趣旨にのっとり、特定生殖補助医療の適正な実施を確保するための制度、特定生殖補助医療により出生した子が自らの出自に関する情報を知ることに資する制度等について必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
この法律の施行に伴い必要となる経費
この法律の施行に伴い必要となる経費は、提供型特定生殖補助医療により出生した子の情報の保存の確認、精子又は卵子の提供者の情報の開示等に係る事務の開始以降において平年度約六億円の見込みである。