第二一七回
閣第三六号
日本学術会議法案
目次
第一章 総則(第一条−第七条)
第二章 機関
第一節 総則(第八条)
第二節 日本学術会議会員(第九条)
第三節 総会(第十条−第十五条)
第四節 役員及び役員会(第十六条−第二十四条)
第五節 会員候補者選定委員会、選定助言委員会及び運営助言委員会(第二十五条−第二十七条)
第六節 会員の選任及び解任(第二十八条−第三十二条)
第七節 役員等の責任及び義務(第三十三条−第三十五条)
第八節 会議の運営に関する重要事項の決定(第三十六条)
第三章 業務(第三十七条−第四十一条)
第四章 中期的な活動計画等(第四十二条−第四十四条)
第五章 財務及び会計(第四十五条−第四十八条)
第六章 雑則(第四十九条−第五十四条)
第七章 罰則(第五十五条−第五十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 日本学術会議(以下「会議」という。)は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、学術に関する重要事項に係る審議、大学、研究機関、学会その他の学術に関係する者の間における連携の確保及び強化、学術に関する研究を円滑に進めるための社会環境の整備、学術に関する外国の団体及び国際団体との交流等を行うことにより、学術の向上発達を図るとともに、学術に関する知見を活用して社会の課題の解決に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第二条 会議は、学術に関する知見が人類共有の知的資源であるとともに経済社会の健全な発展の基盤となるものであることに鑑み、世界の学界と連携協力して学術の向上発達及び学術に関する知見の活用の推進を図り、もって人類社会の持続的な発展及び国民の福祉の向上に貢献するものとする。
2 国は、この法律の運用に当たっては、我が国の科学者の内外に対する代表機関として政府の諮問に対する答申等を行うという会議の組織及び業務の特性に鑑み、その運営における自主性及び自律性に常に配慮しなければならない。
(法人格)
第三条 会議は、法人とする。
(事務所)
第四条 会議は、主たる事務所を東京都に置く。
(資本金)
第五条 会議の資本金は、附則第十八条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額の合計額とする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、会議に追加して出資することができる。
3 会議は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
(日本学術会議規則)
第六条 会議は、次に掲げる事項について、日本学術会議規則を定めるものとする。
一 この法律の他の規定により日本学術会議規則で定めることとされている事項
二 前号に掲げるもののほか、会議の運営に係る基本的な事項
(名称の使用制限)
第七条 会議でない者は、日本学術会議という名称を用いてはならない。
第二章 機関
第一節 総則
第八条 会議に、日本学術会議会員、総会、会長、副会長、役員会、監事、会員候補者選定委員会、選定助言委員会及び運営助言委員会を置く。
2 会議の役員は、会長、副会長及び監事とする。
第二節 日本学術会議会員
第九条 日本学術会議会員(以下「会員」という。)の員数は、二百五十人とする。
2 会員は、優れた研究又は業績がある科学者のうちから、第二十八条から第三十一条までに定めるところにより、総会が選任する。
3 会員の任期は、六年とする。ただし、補欠の会員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 会員は、一回に限り再任されることができる。
5 政府又は地方公共団体の職員(非常勤のもの及び政令で定める教育公務員又は研究公務員であるものを除く。)は、会員となることができない。
6 会員は、満七十五歳に達する日以後の最初の九月三十日を経過したときに退職する。
第三節 総会
(総会の職務)
第十条 総会は、次に掲げる職務を行う。
一 この法律の他の規定又は準用通則法(第五十二条において準用する独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)をいう。以下同じ。)の規定により総会の決議、承認又は同意を要する事項についての決議、承認又は同意
二 前号に掲げるもののほか、第三十七条に規定する業務(会議の経営に関する事務を除く。)をつかさどること。
三 会長及び副会長の職務の監督
四 前三号に掲げるもののほか、日本学術会議規則で定めるところにより総会が行うこととされている職務
(総会の組織)
第十一条 総会は、全ての会員をもって組織する。
2 総会に、議長を置く。
3 総会の議長(以下「議長」という。)は、会長とする。
4 議長は、総会の会務を総理する。
5 会長は、あらかじめ、副会長のうちから、会長に事故がある場合に議長の職務を代理する者を定めておかなければならない。
(総会の招集)
第十二条 総会は、議長(議長に事故があるときは、前条第五項に規定する議長の職務を代理する者。以下この節において同じ。)が招集する。
2 議長は、日本学術会議規則で定めるところにより、定期的に総会を招集しなければならない。
3 議長は、第二十八条第一項の規定により行う会員の選任後、遅滞なく、会長を選任するための総会を招集しなければならない。
4 議長は、必要があると認めるときは、総会を招集することができる。
5 議長は、会員の総数の三分の一以上の会員が必要と認めて議長に対しその招集を請求したとき、又は監事が第二十条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による報告のため議長に対しその招集を請求したときは、これらの請求があった日以後二十日以内に総会を招集しなければならない。
(議事の運営)
第十三条 総会は、議長が出席し、かつ、会員の総数の二分の一以上の出席がなければ、開くことができない。
2 総会の議事は、議決に加わることができる会員の二分の一以上が出席し、出席した当該会員の過半数をもって決する。可否同数のときは、議長が決する。
3 前項の規定にかかわらず、次に掲げる総会の決議は、議決に加わることができる会員の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
一 第三十二条第四項の総会の決議
二 第三十三条第二項の承認に係る第三十六条第一項の総会の決議
4 前二項の決議について特別の利害関係を有する会員は、議決に加わることができない。
5 この法律に定めるもののほか、議事の手続その他総会の運営に関し必要な事項は、日本学術会議規則で定める。
(議長の権限)
第十四条 議長は、総会の秩序を維持し、議事を整理する。
2 議長は、その命令に従わない者その他総会の秩序を乱す者を退場させることができる。
(議事録の公表)
第十五条 会議は、総会の定めるところにより、総会の議事録を作成し、速やかに、公表しなければならない。
第四節 役員及び役員会
(会長の職務)
第十六条 会長は、会議を代表し、及び議長の職務を行うほか、総会の定めるところに従い、会議の経営に関する事務を総理する。
2 会長は、定期的に、会議の経営の状況について、総会に報告しなければならない。
(副会長の職務)
第十七条 副会長は、会長の定めるところにより、会長を補佐して総会の会務及び会議の経営に関する事務を掌理する。
2 副会長は、会長の定めるところにより、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。
(役員会)
第十八条 役員会は、第三十六条第二項の規定により役員会の議を経なければならないとされている事項及び会長の職務に関し役員会が特に必要と認める重要事項を審議する。
2 役員会は、会長及び副会長並びに役員以外の会員のうちから会長が指名する者をもって組織する。
(監事の職務等)
第十九条 監事は、会議の業務を監査する。この場合において、監事は、内閣府令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
2 監事は、いつでも、役員(監事を除く。)、役員以外の会員及び職員に対して事務及び事業の報告を求め、又は会議の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、会議がこの法律又は準用通則法の規定による認可、承認及び届出に係る書類並びに報告書その他の内閣府令で定める書類を内閣総理大臣に提出しようとするときは、これらの書類を調査しなければならない。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、会長又は内閣総理大臣に意見を提出することができる。
(会長等への報告義務等)
第二十条 監事は、役員(監事を除く。)、役員以外の会員又は職員について、不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれのある事実があると認めるとき、又はこの法律若しくは他の法令に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に報告しなければならない。
一 当該事実が役員(監事を除く。)に係るものである場合 会長、総会及び内閣総理大臣
二 当該事実が役員以外の会員に係るものである場合 会長、会員候補者選定委員会及び内閣総理大臣
三 当該事実が職員に係るものである場合 会長及び内閣総理大臣
2 会長は、前項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく必要な措置を講ずるとともに、当該措置の内容を次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める者に報告しなければならない。
一 当該措置が役員(監事を除く。)に係るものである場合 監事、総会及び内閣総理大臣
二 当該措置が役員以外の会員に係るものである場合 監事、会員候補者選定委員会及び内閣総理大臣
三 当該措置が職員に係るものである場合 監事及び内閣総理大臣
3 会員候補者選定委員会は、第一項(第二号に係る部分に限る。)又は前項(第二号に係る部分に限る。)の規定による報告を受けたときは、当該報告に係る会員に対し、当該報告に係る事案について報告を求めることができる。
(会長の選任等)
第二十一条 会長は、特に優れた研究又は業績があり、人格が高潔で、かつ、会議の業務を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する会員のうちから、総会が、その決議により選任する。
2 会長の任期は、選任の時から、当該選任後三年以内に到来する会員の任期の末日以後最初に開催される総会において次の会長が選任される時までとする。
3 会長は、会長としての職務の執行が特に優れたものであるときは、一回に限り再任されることができる。
4 会議は、会長が選任されたときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出るとともに、会長の選任の理由その他内閣府令で定める事項を公表しなければならない。
(副会長の任命等)
第二十二条 副会長の員数は、三人以内とする。
2 副会長は、会員のうちから、総会の同意を得て、会長が任命する。
3 副会長の任期は、当該副会長について会長が定める期間(その末日が会長の任期の末日以前であるものに限る。)とする。ただし、補欠の副会長の任期は、前任者の残任期間とする。
4 副会長は、再任されることができる。
5 前条第四項の規定は、副会長が任命されたときについて準用する。
(監事の任命等)
第二十三条 監事の員数は、二人とする。
2 監事は、会員以外の者から、内閣総理大臣が任命する。
3 監事の任期は、その任命後三年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する第四十五条第一項の規定による同項の財務諸表の承認の日までとする。ただし、補欠の監事の任期は、前任者の残任期間とする。
4 監事は、再任されることができる。
5 第九条第五項の規定は、監事について準用する。
(役員の解任等)
第二十四条 会長及び副会長は、会員の地位を失ったとき(会員の任期が満了したときを除く。)は、それぞれその職を失うものとする。
2 内閣総理大臣は、監事が、会員に選任されたとき、又は前条第五項において準用する第九条第五項の規定により監事となることができない者に該当するに至ったときは、その監事を解任しなければならない。
3 内閣総理大臣、総会又は会長は、それぞれその任命又は選任に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
4 総会は、副会長が前項各号のいずれかに該当すると認めるときは、会長に対し、同項の規定により当該副会長を解任することを求めることができる。
5 会長は、第三項の規定により副会長を解任しようとするとき(前項の規定による解任の求めがあった場合を除く。)は、総会の同意を得なければならない。
6 第二十一条第四項の規定は、会長又は副会長が、第一項の規定によりその職を失ったとき又は第三項の規定により解任されたときについて準用する。
第五節 会員候補者選定委員会、選定助言委員会及び運営助言委員会
(会員候補者選定委員会)
第二十五条 会員候補者選定委員会は、次に掲げる職務を行う。
一 第三十条の規定による会員の候補者の選定
二 第三十一条第一項に規定する選定方針(第五項及び次条第一項第一号において「選定方針」という。)の案の作成
三 第三十二条第二項の規定による会員の解任の求め
四 前三号に掲げるもののほか、会員の選任及び解任に関する事務のうち、日本学術会議規則で定めるところにより会員候補者選定委員会が行うこととされているもの
2 会員候補者選定委員会は、会員候補者選定委員十人以上二十人以内をもって組織する。
3 会員候補者選定委員は、会員のうちから、総会が選任する。
4 会員候補者選定委員の任期は、選任の時から、当該選任後三年以内に到来する会員の任期の末日までとする。
5 会員の候補者の研究又は業績に関する審査を行うため、会員候補者選定委員会に、選定方針で定める研究分野ごとに、分野別業績審査委員会を置く。
6 分野別業績審査委員会の委員は、当該分野別業績審査委員会に係る研究分野における会員の候補者の研究又は業績の審査を行うために必要な専門的知識を有する者のうちから、会員候補者選定委員会が選任する。
(選定助言委員会)
第二十六条 選定助言委員会は、次に掲げる職務を行う。
一 選定方針の案の作成に関し、会員候補者選定委員会に対し、意見を述べること。
二 前号に掲げるもののほか、会員の候補者の選定に関し、会員候補者選定委員会の諮問に応じて意見を述べること。
2 選定助言委員会は、選定助言委員五人以上七人以内をもって組織する。
3 選定助言委員は、優れた研究又は業績を有する科学者(会員その他内閣府令で定める者を除く。)であって、学術に関する研究の動向及びこれを取り巻く内外の社会経済情勢又は産業若しくは国民生活における学術に関する研究成果の活用の状況に関し広い経験と高い識見を有するもののうちから、総会が選任する。
4 選定助言委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の選定助言委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 選定助言委員は、一回に限り再任されることができる。
(運営助言委員会)
第二十七条 運営助言委員会は、次に掲げる職務を行う。
一 第三十六条第三項に規定する議案の作成に関し、会長に対し、意見を述べること。
二 前号に掲げるもののほか、会長の職務に関し、会長の諮問に応じて意見を述べること。
2 運営助言委員会は、運営助言委員十人以上十五人以内をもって組織する。
3 運営助言委員は、会員その他内閣府令で定める者以外の者であって、学術に関する研究の動向及びこれを取り巻く内外の社会経済情勢、産業若しくは国民生活における学術に関する研究成果の活用の状況又は組織の経営に関し広い経験と高い識見を有するもののうちから、会長が任命する。
4 運営助言委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の運営助言委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 運営助言委員は、一回に限り再任されることができる。
第六節 会員の選任及び解任
(会員の選任の時期及び人数)
第二十八条 会員の選任は、三年ごとに、その員数の半数について行う。
2 総会は、会員が欠けたときは、その補欠の会員を選任することができる。
(会員の選任の決議等)
第二十九条 会員の選任は、会員候補者選定委員会が選定した会員の候補者のうちから、総会の決議により行う。
2 会議は、選任された会員の研究又は業績の内容及び選任した理由の公表その他の措置を講ずることにより、会員の選任の過程を国民に明らかにするよう努めなければならない。
(会員の候補者の選定)
第三十条 会員候補者選定委員会は、次条第一項に規定する選定方針に従って、会員の候補者を選定する。
2 会員候補者選定委員会は、会員、大学、研究機関、学会、経済団体その他の民間の団体等の多様な関係者から推薦を求めることその他の幅広い候補者を得るために必要な措置を講じなければならない。
3 優れた研究又は業績があるか否かの審査は、分野別業績審査委員会において行う。
4 会員候補者選定委員会は、分野別業績審査委員会が優れた研究又は業績があると認めた科学者のうちから会員の候補者の選定(補欠の会員の候補者の選定を除く。)を行うに当たっては、会員の候補者の構成について、次に掲げる事項に配慮しなければならない。
一 年齢、性別、所属する機関の種類及び所在地域等に著しい偏りが生じないようにすること。
二 先端的、学際的又は総合的な研究分野を含む多様な研究分野の科学者が含まれるようにすること。
三 国際的な研究活動、行政、産業界等との連携による活動、研究成果の活用に関する活動その他の多様な活動の実績のある科学者が含まれるようにすること。
5 前各項に定めるもののほか、会員の候補者の選定に関し必要な事項は、日本学術会議規則で定める。
(選定方針)
第三十一条 会議は、会員の任期の末日の六月前までに、当該任期を満了する会員の次の会員の候補者の選定及び当該次の会員の選任後三年以内に到来する会員の任期の末日までの間に行われる補欠の会員の候補者の選定に関する方針(以下「選定方針」という。)を作成しなければならない。
2 選定方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 前条第二項に規定する措置の実施に関する方針
二 会員候補者選定委員会に置く分野別業績審査委員会の研究分野の別
三 分野別業績審査委員会が行う研究又は業績の審査の基準及び方法
四 分野別業績審査委員会が優れた研究又は業績があると認めた科学者のうちから会員の候補者を選定するための基準及び方法
五 前各号に掲げるもののほか、会員の候補者の選定に関する重要事項
3 選定方針の作成に関する決定は、総会の決議によらなければならない。
4 会員候補者選定委員会は、選定助言委員会の意見を聴いて、選定方針の案を作成し、総会に提出する。
5 会議は、選定方針を作成したときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。
6 前三項の規定は、選定方針の変更について準用する。
(会員の解任)
第三十二条 総会は、会員が第九条第五項の規定により会員となることができない者に該当するに至ったときは、当該会員を解任しなければならない。
2 会員候補者選定委員会は、会員が会議の業務に関し著しく不適当な行為をしたと認めるときは、総会に対し、当該会員の解任を求めることができる。
3 総会は、前項の規定による解任の求めがあった場合において、当該会員が会議の業務に関し著しく不適当な行為をしたと認めるときは、当該会員を解任することができる。
4 第一項及び前項の規定による解任は、総会の決議により行う。
第七節 役員等の責任及び義務
(役員等の損害賠償責任)
第三十三条 会議の役員及び役員以外の会員は、それぞれの任務を怠ったときは、会議に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
2 前項の責任は、内閣総理大臣の承認がなければ、免除することができない。
(役員等の秘密保持義務)
第三十四条 会議の役員、役員以外の会員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
(役員等の地位)
第三十五条 会議の役員、役員以外の会員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第八節 会議の運営に関する重要事項の決定
第三十六条 この法律の他の規定により総会の決議によることとされているもののほか、次に掲げる事項の決定は、総会の決議によらなければならない。
一 この法律(第四十一条を除く。)又は準用通則法の規定により内閣総理大臣の認可又は承認を受けなければならない事項
二 第三十八条の規定による諮問に対する答申及び第三十九条の規定による勧告
三 第四十一条の規定による国際団体への加入
四 第四十二条第一項に規定する中期的な活動計画及び第四十三条に規定する年度計画の作成又は変更
五 第四十四条第二項に規定する自己点検評価書の作成
六 予算の作成
七 準用通則法第五十条の二第二項に規定する報酬等の支給の基準及び準用通則法第五十条の十第二項に規定する給与等の支給の基準の策定又は変更
八 日本学術会議規則の制定又は改廃
2 前項第一号及び第四号から第八号までに掲げる事項に関する議案は、会長が、役員会の議を経て、総会に提出する。
3 会長は、第一項第一号及び第四号から第七号までに掲げる事項に関する議案を総会に提出しようとするときは、運営助言委員会の意見を聴かなければならない。
第三章 業務
(会議の業務)
第三十七条 会議は、第一条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
一 学術に関する重要事項を審議し、その実現を図ること。
二 大学、研究機関、学会その他の学術に関係する者の間における連携の確保及び強化を図ること。
三 学術に関する国民の関心及び理解の増進その他の学術に関する研究を円滑に進めるための社会環境の整備を図ること。
四 学術に関する外国の団体及び国際団体との交流に関する業務を行うこと。
五 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(諮問)
第三十八条 政府は、学術に関する重要事項について、会議に諮問することができる。
(勧告)
第三十九条 会議は、学術に関する重要事項について、政府に勧告することができる。
(協力の求め)
第四十条 会議は、第三十七条に規定する業務を行うため必要があると認めるときは、政府に対し、資料の提出、意見の開陳又は説明その他の協力を求めることができる。
(国際団体への加入)
第四十一条 会議は、第三十七条第四号に掲げる業務を行うため、学術に関する国際団体に加入することができる。この場合において、国際団体に加入することにより会議が当該国際団体に対して会費その他の費用(内閣総理大臣の承認を受けて会議が定める額を超える額の費用に限る。)を負担する義務を負うこととなるときは、あらかじめ、当該国際団体への加入について内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
第四章 中期的な活動計画等
(中期的な活動計画)
第四十二条 会議は、六事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、当該事業年度以後の六事業年度についての会議の業務の運営に関する計画(以下「中期的な活動計画」という。)を定めなければならない。
2 中期的な活動計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 第三十七条に規定する業務に関する目標及びこれを達成するためにとるべき措置
二 業務運営及び財務内容の改善に関する目標並びにこれらを達成するためにとるべき措置
三 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、内閣府令で定める会議の活動に関する事項
3 会議は、中期的な活動計画を定めようとするときは、日本学術会議評価委員会の意見を聴かなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
4 会議は、中期的な活動計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、その中期的な活動計画を公表しなければならない。
(年度計画)
第四十三条 会議は、毎事業年度の開始前に、中期的な活動計画に基づき、内閣府令で定めるところにより、その事業年度の活動に関する計画(以下「年度計画」という。)を定めるとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
(各事業年度に係る業務の実績等に関する評価等)
第四十四条 会議は、毎事業年度の終了後、当該事業年度が次の各号に掲げる事業年度のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める事項について、内閣府令で定めるところにより、自ら点検及び評価を行わなければならない。
一 次号及び第三号に掲げる事業年度以外の事業年度 当該事業年度における業務の実績
二 中期的な活動計画に係る期間の最後の事業年度の直前の事業年度 当該事業年度における業務の実績及び中期的な活動計画に係る期間の終了時に見込まれる当該期間における業務の実績
三 中期的な活動計画に係る期間の最後の事業年度 当該事業年度における業務の実績及び中期的な活動計画に係る期間における業務の実績
2 会議は、内閣府令で定めるところにより、前項各号に掲げる事業年度の終了後三月以内に、当該各号に定める事項について行った同項の点検及び評価(以下「自己点検評価」という。)の方法及び結果に関する報告書(以下「自己点検評価書」という。)を日本学術会議評価委員会に提出するとともに、公表しなければならない。
3 日本学術会議評価委員会は、自己点検評価書に記載された自己点検評価の方法及び結果について調査審議し、必要があると認めるときは、会議に対して意見を述べることができる。
4 日本学術会議評価委員会は、会議に対して前項の意見を述べたときは、遅滞なく、内閣総理大臣に当該意見の内容を通知しなければならない。
5 会議は、自己点検評価の結果を中期的な活動計画及び年度計画並びに業務の運営の改善に適切に反映させるとともに、毎年度、当該結果の反映状況を公表しなければならない。
6 会議は、第三項の規定による日本学術会議評価委員会の意見を自己点検評価の方法の改善に適切に反映させなければならない。
第五章 財務及び会計
(財務諸表等)
第四十五条 会議は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他内閣府令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に内閣総理大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 会議は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣に提出するときは、これに内閣府令で定めるところにより作成した当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監査報告を添付しなければならない。
3 会議は、第一項の内閣総理大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに前項の事業報告書、決算報告書及び監査報告を、事務所に備えて置き、内閣府令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
4 会議は、財務諸表のうち第一項の附属明細書その他内閣府令で定める書類については、前項の規定による公告に代えて、次に掲げる方法のいずれかにより公告することができる。
一 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
二 電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって内閣府令で定めるものにより不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって内閣府令で定めるものをとることにより行う公告の方法
5 会議が前項第二号に掲げる方法による公告をする場合には、第三項の内閣府令で定める期間、継続して当該公告をしなければならない。
(利益及び損失の処理)
第四十六条 会議は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。ただし、第三項の規定により同項の使途に充てる場合は、この限りでない。
2 会議は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
3 会議は、第一項に規定する残余があるときは、その残余の額のうち内閣総理大臣の承認を受けた金額を内閣総理大臣の承認を受けた使途に充てることができる。
(積立金の処分)
第四十七条 会議は、中期的な活動計画に係る期間の最後の事業年度に係る前条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち内閣総理大臣の承認を受けた金額を、内閣総理大臣の認可を受けて会議が定めるところにより、当該中期的な活動計画に係る期間の次の中期的な活動計画に係る期間における第三十七条に規定する業務の財源に充てることができる。
2 会議は、前項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。
(財源措置)
第四十八条 政府は、予算の範囲内において、会議に対し、その業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができる。
2 会議は、業務運営に当たっては、前項の規定による補助金について、国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに留意し、法令の規定、中期的な活動計画及び年度計画に従って適切かつ効率的に使用するよう努めなければならない。
第六章 雑則
(報告及び検査)
第四十九条 内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、会議に対し、その業務並びに資産及び債務の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、会議の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(違法行為等の是正)
第五十条 内閣総理大臣は、会議又はその役員、役員以外の会員若しくは職員が、不正の行為若しくはこの法律若しくは他の法令に違反する行為をし、又はこれらの行為をするおそれがあると認めるときは、会議に対し、当該行為の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができる。
2 会議は、前項の規定による内閣総理大臣の求めがあったときは、速やかに当該行為の是正その他の必要と認める措置を講じなければならない。
3 会議は、前項の措置を講じたときは、速やかに、当該措置の内容を内閣総理大臣に報告するとともに、公表しなければならない。
(日本学術会議評価委員会)
第五十一条 内閣府に、日本学術会議評価委員会を置く。
2 日本学術会議評価委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 自己点検評価書に記載された自己点検評価の方法及び結果について、調査審議し、及び会議に対し意見を述べること。
二 中期的な活動計画について、会議に対し意見を述べること。
3 日本学術会議評価委員会は、日本学術会議評価委員五人以上七人以内をもって組織する。
4 日本学術会議評価委員は、会員その他内閣府令で定める者以外の者であって、学術に関する研究の動向及びこれを取り巻く内外の社会経済情勢、産業若しくは国民生活における学術に関する研究成果の活用の状況又は組織の経営に関し広い経験と高い識見を有するもののうちから、内閣総理大臣が任命する。
5 日本学術会議評価委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の日本学術会議評価委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 日本学術会議評価委員は、一回に限り再任されることができる。
7 前各項に定めるもののほか、日本学術会議評価委員会に関し必要な事項については、政令で定める。
(独立行政法人通則法の規定の準用)
第五十二条 独立行政法人通則法第八条第一項及び第三項、第九条、第十一条、第二十一条の四、第二十一条の五、第二十四条、第二十六条、第二十八条、第三十六条第一項、第三十七条、第四十五条第一項から第三項まで、第四十六条の二第一項本文、第二項本文及び第三項から第五項まで、第四十七条並びに第四十九条から第五十条の十まで(第五十条の四第二項(第五号に係る部分に限る。)を除く。)の規定は、会議について準用する。この場合において、これらの規定(見出しを含み、同法第八条第三項、第五十条の四第四項及び第五十条の六各号列記以外の部分を除く。)中「主務大臣」とあるのは「内閣総理大臣」と、「主務省令」とあるのは「内閣府令」と、「中期目標管理法人役職員」とあるのは「会議役職員」と、「中期目標管理法人の長」とあるのは「会長」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
読み替えられる独立行政法人通則法の規定 |
読み替えられる字句 |
読み替える字句 |
第八条第三項 |
主務省令(当該独立行政法人を所管する内閣府又は各省の内閣府令又は省令をいう。ただし、原子力規制委員会が所管する独立行政法人については、原子力規制委員会規則とする。以下同じ。) |
内閣府令 |
|
又は第四十六条の三の規定 |
の規定 |
第二十一条の四の見出し |
役員 |
役員及び役員以外の会員 |
第二十一条の四 |
役員 |
役員及び役員以外の日本学術会議会員(以下「会員」という。) |
第二十一条の五の見出し |
役員 |
役員及び役員以外の会員 |
第二十一条の五 |
除く。) |
除く。)及び役員以外の会員 |
第二十四条及び第二十六条 |
法人の長 |
会長 |
第二十八条第二項 |
個別法 |
日本学術会議法(以下「会議法」という。) |
第四十五条第一項 |
中期目標管理法人の中期計画の第三十条第二項第四号、国立研究開発法人の中長期計画の第三十五条の五第二項第四号又は行政執行法人の事業計画(第三十五条の十第一項の認可を受けた同項の事業計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)をいう。以下同じ。)の第三十五条の十第三項第四号の |
内閣総理大臣の認可を受けて定めた |
第五十条 |
これ |
会議法並びにこれら |
第五十条の四第一項 |
役員 |
役員、役員以外の会員 |
第五十条の四第二項第一号 |
政令 |
内閣府令 |
第五十条の四第二項第四号 |
第三十二条第一項の評価(同項第二号に規定する中期目標の期間の終了時に見込まれる中期目標の期間における業務の実績に関する評価を除く。) |
会議法第四十四条第一項第三号に規定する中期的な活動計画に係る期間における業務の実績に関する評価 |
第五十条の四第三項 |
政令 |
内閣府令 |
第五十条の四第四項 |
総務大臣 |
内閣総理大臣 |
|
中期目標管理法人役職員 |
会議役職員 |
|
当該中期目標管理法人の長 |
会長 |
第五十条の四第五項 |
政令 |
内閣府令 |
第五十条の四第六項 |
役員 |
役員、役員以外の会員 |
|
個別法 |
会議法 |
第五十条の五 |
役員 |
役員、役員以外の会員 |
第五十条の六各号列記以外の部分 |
役員 |
役員、役員以外の会員 |
|
政令 |
内閣府令 |
|
当該中期目標管理法人の長 |
会長 |
第五十条の六第一号 |
役員 |
役員、役員以外の会員 |
第五十条の六第二号 |
又は職員 |
、役員以外の会員又は職員 |
第五十条の七第一項 |
政令 |
内閣府令 |
第五十条の八第一項 |
役員 |
役員、役員以外の会員 |
第五十条の八第三項及び第五十条の九(見出しを含む。) |
政令 |
内閣府令 |
(財務大臣との協議)
第五十三条 内閣総理大臣は、次に掲げる場合には、財務大臣に協議しなければならない。
一 第三十三条第二項、第四十一条、第四十五条第一項、第四十六条第三項又は第四十七条第一項の承認をしようとするとき。
二 第四十七条第一項の認可をしようとするとき。
三 準用通則法第四十五条第一項若しくは第二項ただし書又は第四十六条の二第一項本文、第二項本文若しくは第三項ただし書の認可をしようとするとき。
四 準用通則法第四十七条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
(解散)
第五十四条 会議の解散については、別に法律で定める。
第七章 罰則
第五十五条 第三十四条の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第五十六条 第四十九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会議の役員、役員以外の会員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
第五十七条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会議の役員又は役員以外の会員は、二十万円以下の過料に処する。
一 この法律(準用通則法の規定を含む。次号及び第三号において同じ。)の規定により内閣総理大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二 この法律の規定により内閣総理大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
三 この法律の規定により公表をしなければならない場合において、その公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
四 第十九条第二項又は第三項の規定による調査を妨げたとき。
五 第三十七条に規定する業務以外の業務を行ったとき。
六 第四十四条第二項の規定による自己点検評価書の提出をせず、又は自己点検評価書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして自己点検評価書を提出したとき。
七 第四十五条第三項の規定に違反して財務諸表、事業報告書、決算報告書又は監査報告を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。
八 準用通則法第九条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。
九 準用通則法第四十七条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
十 準用通則法第五十条の八第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
第五十八条 第七条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、令和八年十月一日から施行する。ただし、次条から附則第九条まで並びに附則第十八条第三項及び第四項、第二十二条並びに第二十六条の規定は、公布の日から施行する。
(定年に関する特例)
第二条 前条ただし書に規定する規定の施行の際現に日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号。以下この条並びに附則第四条、第五条及び第十二条において「現行日学法」という。)第七条第一項に規定する日本学術会議会員(附則第十一条第一項及び第二十二条第二項において「現会員」という。)である者については、現行日学法第七条第六項の規定は、適用しない。
(会員予定者の指名)
第三条 内閣総理大臣は、次条の規定による推薦に基づいて、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)に会員となるべき者(以下「会員予定者」という。)百二十五人を指名する。
2 前項の規定により会員予定者として指名された者は、施行日において、第九条第二項の規定により会員に選任されたものとみなす。
(会員予定者の候補者の推薦)
第四条 現行日本学術会議(現行日学法に規定する日本学術会議をいう。附則第六条第一項、第十九条及び第二十条において同じ。)は、次条から附則第七条までの規定により、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員予定者の候補者を選定し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。
(会員予定者の候補者の選定)
第五条 会員予定者の候補者の選定は、次条第一項に規定する候補者選考委員会の選考に基づいて、現会長(現行日学法第八条第一項に規定する会長をいう。次項並びに次条第四項及び第五項において同じ。)が行う。
2 現会長は、会員予定者の候補者を選定しようとするときは、現行日学法第十四条第一項に規定する幹事会の議を経るとともに、現行日学法第二十三条第一項に規定する総会の承認を受けるものとする。
(候補者選考委員会)
第六条 施行日の前日までの間、現行日本学術会議に、候補者選考委員会を置く。
2 候補者選考委員会は、会員予定者の候補者の選考を行う。
3 候補者選考委員会は、候補者選考委員十人以上二十人以内をもって組織する。
4 候補者選考委員は、優れた研究又は業績がある科学者のうちから、現会長が任命する。
5 現会長は、候補者選考委員の任命をしようとするときは、当該任命をしようとする者について、次に掲げる者のうちから内閣総理大臣が指定するものと協議しなければならない。
一 科学の振興及び技術の発達に関する政策に関し広い経験と高い識見を有する者
二 学術に関する研究の動向に関し広い経験と高い識見を有する者
6 前各項に定めるもののほか、候補者選考委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
(会員予定者の候補者の選考)
第七条 会員予定者の候補者の選考の基準及び方法その他の会員予定者の候補者の選考に関し必要な事項は、候補者選考委員会が定める。
2 候補者選考委員会は、前項に規定する事項のうち内閣府令で定めるものを定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
3 候補者選考委員会は、会員予定者の候補者を選考するに当たっては、大学、研究機関、学会、経済団体その他の民間の団体等の多様な関係者から推薦を求めることその他の幅広い候補者を得るために必要な措置を講ずるものとする。
4 候補者選考委員会は、会員予定者の候補者を選考するに当たっては、会員予定者の候補者の構成について、次に掲げる事項に配慮するものとする。
一 年齢、性別、所属する機関の種類及び所在地域等に著しい偏りが生じないようにすること。
二 先端的、学際的又は総合的な研究分野を含む多様な研究分野の科学者が含まれるようにすること。
三 国際的な研究活動、行政、産業界等との連携による活動、研究成果の活用に関する活動その他の多様な活動の実績のある科学者が含まれるようにすること。
(会長の職務を行う者等)
第八条 内閣総理大臣は、施行日前に、附則第三条第一項の規定により会員予定者として指名した者のうちから、会長が選任されるまでの間会長の職務並びに附則第二十二条第二項及び第四項に規定する職務を行う者を指名する。
2 内閣総理大臣は、施行日前に会議の監事となるべき者を指名する。
3 前項の規定により指名された監事となるべき者は、会議の成立の時において、第二十三条第二項の規定により、監事に任命されたものとする。
(設立委員等)
第九条 内閣総理大臣は、設立委員を命じて、会議の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員のうちには、優れた研究又は業績がある科学者を含むものとする。
3 内閣総理大臣は、附則第三条第一項及び第四条並びに前条第一項の規定による権限を設立委員のうちから指名した者(優れた研究又は業績がある科学者であるものに限る。)に委任する。
4 設立委員は、会議の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された者(附則第二十二条第二項及び第四項において「会長職務代行者」という。)に引き継がなければならない。
(会議の成立)
第十条 会議は、この法律の施行の時に成立する。
2 会議は、会議の成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。
(承継会員に関する経過措置)
第十一条 会議の成立の際現に現会員である者は、会議の成立の日において、会議の会員となるものとする。
2 前項の規定により会員となった者(次項において「承継会員」という。)の任期は、第九条第三項本文の規定にかかわらず、令和十一年九月三十日までとする。
3 承継会員は、第九条第四項の規定にかかわらず、再任されることができない。
(職員の引継ぎ等)
第十二条 会議の成立の際現に現行日学法第十六条第二項に規定する職員(以下「現日本学術会議職員」という。)である者は、別に辞令を発せられない限り、会議の成立の日において、会議の職員となるものとする。
第十三条 前条の規定により会議の職員となった者に対する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第二項の規定の適用については、会議の職員を同項に規定する特別職国家公務員等と、前条の規定により国家公務員としての身分を失ったことを任命権者の要請に応じ同項に規定する特別職国家公務員等となるため退職したこととみなす。
(会議の職員の退職手当に関する経過措置)
第十四条 附則第十二条の規定により現日本学術会議職員が会議の職員となる場合には、その者に対しては、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当は、支給しない。
2 会議は、前項の規定の適用を受けた会議の職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(同条第二項の規定により職員とみなされる者を含む。)としての引き続いた在職期間を会議の職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。
3 会議の成立の日の前日に現日本学術会議職員として在職する者が、附則第十二条の規定により引き続いて会議の職員となり、かつ、引き続き会議の職員として在職した後引き続いて国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員となった場合におけるその者の同法に基づいて支給する退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者の会議の職員としての在職期間を同項に規定する職員としての引き続いた在職期間とみなす。ただし、その者が会議を退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。
4 会議は、会議の成立の日の前日に現日本学術会議職員として在職し、附則第十二条の規定により引き続いて会議の職員となった者のうち会議の成立の日から雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)による失業等給付の受給資格を取得するまでの間に会議を退職したものであって、その退職した日まで現日本学術会議職員として在職したものとしたならば国家公務員退職手当法第十条の規定による退職手当の支給を受けることができるものに対しては、同条の規定の例により算定した退職手当の額に相当する額を退職手当として支給するものとする。
(児童手当に関する経過措置)
第十五条 附則第十二条の規定により会議の職員となった者であって、会議の成立の日の前日において内閣総理大臣又はその委任を受けた者から児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条第一項の規定による認定を受けているものが、会議の成立の日において児童手当の支給要件に該当するときは、その者に対する児童手当の支給に関しては、会議の成立の日において同項の規定による市町村長(特別区の区長を含む。)の認定があったものとみなす。この場合において、その認定があったものとみなされた児童手当の支給は、同法第八条第二項の規定にかかわらず、会議の成立の日の前日の属する月の翌月から始める。
(国家公務員共済組合法の適用に関する経過措置)
第十六条 施行日の前日において現日本学術会議職員として在職する者(同日において国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第三条第一項の規定により内閣府に属する同法第二条第一項第一号に規定する職員をもって組織された国家公務員共済組合(以下この項及び第三項において「内閣共済組合」という。)の組合員であるものに限る。)が施行日において引き続いて会議の職員(同法第百二十四条の三の規定により同号に規定する職員とみなされるものに相当するものに限る。以下この条において「会議職員」という。)となる場合であって、かつ、引き続き施行日以後において会議職員である場合には、同法の規定の適用については、当該会議職員は、施行日から起算して二十日を経過する日(正当な理由があると内閣共済組合が認めた場合には、その認めた日)までに内閣共済組合に申出をしたときは、施行日以後引き続く当該会議職員である期間内閣共済組合を組織する同号に規定する職員に該当するものとする。
2 前項に規定する会議職員が同項に規定する期限内に同項の申出を行うことなく死亡した場合には、その申出は、当該期限内に当該会議職員の遺族(国家公務員共済組合法第二条第一項第三号に規定する遺族に相当する者に限る。次項において同じ。)がすることができる。
3 施行日の前日において現日本学術会議職員として在職する者(同日において内閣共済組合の組合員であるものに限る。)が施行日において引き続いて会議職員となる場合であって、かつ、当該会議職員又はその遺族が第一項に規定する期限内に同項の申出を行わなかった場合には、当該会議職員は、国家公務員共済組合法の適用については、施行日の前日に同法第二条第一項第四号に規定する退職をしたものとみなす。
(会議の職員となる者の職員団体についての経過措置)
第十七条 会議の成立の際現に存する国家公務員法第百八条の二第一項に規定する職員団体であって、その構成員の過半数が附則第十二条の規定により会議に引き継がれる者であるものは、会議の成立の際労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)の適用を受ける労働組合となるものとする。この場合において、当該職員団体が法人であるときは、法人である労働組合となるものとする。
2 前項の規定により法人である労働組合となったものは、会議の成立の日から起算して六十日を経過する日までに、労働組合法第二条及び第五条第二項の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受け、かつ、その主たる事務所の所在地において登記しなければ、その日の経過により解散するものとする。
3 第一項の規定により労働組合となったものについては、会議の成立の日から起算して六十日を経過する日までは、労働組合法第二条ただし書(第一号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
(権利義務の承継等)
第十八条 会議の成立の際、第三十七条に規定する業務に関し、現に国が有する権利及び義務のうち政令で定めるものは、会議の成立の時において会議が承継する。
2 前項の規定により会議が国の有する権利及び義務を承継したときは、会議に承継される権利に係る資産で政令で定めるものの価額の合計額から、承継される義務に係る負債で政令で定めるものの価額の合計額を差し引いた額に相当する金額は、政令で定めるところにより、政府から会議に対し出資されたものとする。
3 前項の資産の価額は、会議の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
4 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(国有財産の無償使用)
第十九条 国は、会議の成立の際現に現行日本学術会議に使用されている国有財産であって政令で定めるものを、政令で定めるところにより、会議の用に供するため、会議に無償で使用させることができる。
(国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律に関する経過措置)
第二十条 会議の成立の際現に係属している現行日本学術会議の所掌事務に関する訴訟事件又は非訟事件であって会議が受け継ぐものについては、政令で定めるところにより、会議を国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)に規定する国又は行政庁とみなし、同法を適用する。
(名称の使用制限に関する経過措置)
第二十一条 この法律の施行の際現に日本学術会議という名称を使用している者については、第七条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(成立時総会)
第二十二条 会議は、会長の選任、業務方法書の決定その他会議の業務の開始に必要な事務を処理するため、成立後直ちに総会を開催しなければならない。
2 会長職務代行者は、内閣府令で定めるところにより、施行日の二週間前までに、附則第三条第一項の規定により会員予定者として指名された者及び現会員(その任期が令和八年九月三十日までのものを除く。)に対して前項の総会(以下この条において「成立時総会」という。)の招集の通知を発しなければならない。
3 第三十六条第一項第一号及び第六号から第八号までに掲げる事項に関する成立時総会の議案については、同条第二項及び第三項の規定にかかわらず、役員会の議を経ること及び運営助言委員会の意見を聴くことを要しない。
4 前三項に定めるもののほか、議事の手続その他成立時総会の運営に関し必要な事項は、第十三条第五項の規定にかかわらず、会長職務代行者が定める。
(会員の員数等に関する経過措置)
第二十三条 施行日から令和十一年九月三十日までの間における第九条第一項、第二十五条第三項及び第二十八条第一項の規定の適用については、第九条第一項中「二百五十人」とあるのは「二百三十人」と、第二十五条第三項中「会員の」とあるのは「附則第六条第三項に規定する候補者選考委員であった者の」と、第二十八条第一項中「その員数の半数」とあるのは「百二十五人」とする。
(事業年度に関する経過措置)
第二十四条 会議の最初の事業年度は、準用通則法第三十六条第一項の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、その後最初の三月三十一日に終わるものとする。
(中期的な活動計画等に関する経過措置)
第二十五条 第四十二条の規定は令和九年四月一日に始まる事業年度以後の六事業年度に係る中期的な活動計画から、第四十三条の規定は同日に始まる事業年度の年度計画から、第四十四条の規定は当該事業年度の終了後に行う自己点検評価から、それぞれ適用する。
(政令への委任)
第二十六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第二十七条 政府は、この法律の施行後六年を目途として、この法律の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(日本学術会議法の廃止)
第二十八条 日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号)は、廃止する。
(国家公務員法の一部改正)
第二十九条 国家公務員法の一部を次のように改正する。
第二条第三項第十二号の二を削る。
(特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)
第三十条 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。
第一条第七十二号を次のように改める。
七十二 削除
(地方税法の一部改正)
第三十一条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第七号中「及び脱炭素成長型経済構造移行推進機構」を「、脱炭素成長型経済構造移行推進機構及び日本学術会議」に改める。
(行政事件訴訟法の一部改正)
第三十二条 行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)の一部を次のように改正する。
別表脱炭素成長型経済構造移行推進機構の項の次に次のように加える。
日本学術会議 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
(所得税法の一部改正)
第三十三条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一都道府県職業能力開発協会の項の次に次のように加える。
日本学術会議 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
(法人税法の一部改正)
第三十四条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二都道府県職業能力開発協会の項の次に次のように加える。
日本学術会議 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
(印紙税法の一部改正)
第三十五条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二土地区画整理組合の項の次に次のように加える。
日本学術会議 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
(消費税法の一部改正)
第三十六条 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
別表第三第一号の表都道府県職業能力開発協会の項の次に次のように加える。
日本学術会議 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の一部改正)
第三十七条 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の一部を次のように改正する。
別表第一脱炭素成長型経済構造移行推進機構の項の次に次のように加える。
日本学術会議 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
(個人情報の保護に関する法律の一部改正)
第三十八条 個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。
別表第一脱炭素成長型経済構造移行推進機構の項の次に次のように加える。
日本学術会議 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
(公文書等の管理に関する法律の一部改正)
第三十九条 公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。
別表第一脱炭素成長型経済構造移行推進機構の項の次に次のように加える。
日本学術会議 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
(内閣府設置法の一部改正)
第四十条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第三項中第五十二号を削り、第五十三号を第五十二号とし、第五十四号を第五十三号とし、第五十四号の二を第五十四号とし、第五十四号の三を第五十四号の二とし、第五十四号の四を第五十四号の三とし、第五十四号の五を第五十四号の四とし、第五十四号の六を第五十四号の五とし、同号の次に次の一号を加える。
五十四の六 日本学術会議の組織及び運営一般に関すること。
第三十七条第三項の表新技術等効果評価委員会の項の次に次のように加える。
日本学術会議評価委員会 |
日本学術会議法(令和七年法律第▼▼▼号) |
第四十条第三項の表日本学術会議の項を削る。
理 由
学術の向上発達を図るとともに、学術に関する知見を活用して社会の課題の解決に寄与するため、学術に関する重要事項に係る審議、大学、研究機関、学会その他の学術に関係する者の間における連携の確保及び強化、学術に関する研究を円滑に進めるための社会環境の整備、学術に関する外国の団体及び国際団体との交流等を行うことを目的とする法人として、日本学術会議を設立することとし、その目的、業務の範囲等に関する事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。