第二一七回
閣第三七号
保険業法の一部を改正する法律案
保険業法(平成七年法律第百五号)の一部を次のように改正する。
第百条の二の二第一項中「又はその親金融機関等」を「、当該保険会社を所属保険会社等とする兼業特定保険募集人又は当該保険会社の親金融機関等」に、「又はその子金融機関等が行う業務(保険業その他の内閣府令で定める業務に限る。)に係る顧客」を「、当該兼業特定保険募集人又は当該子金融機関等が行う保険関連業務(第九十七条、第九十八条及び第九十九条(これらの規定を第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定並びに他の法律により保険会社又は外国保険会社等が行うことができる業務をいう。以下同じ。)に係る顧客(当該兼業特定保険募集人にあっては、当該保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)」に、「当該業務」を「当該保険関連業務」に改め、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の「兼業特定保険募集人」とは、第二百七十六条に規定する特定保険募集人のうち、第二百九十四条の三第一項に規定する保険募集の業務以外の業務(当該業務の対価にその所属保険会社等から保険契約に基づき支払われる保険金が充てられる業務であって当該保険金の支払に不当な影響を及ぼすおそれがある業務として内閣府令で定めるものに限る。)を行う者をいう。
第百九十三条の二第一項中「又はその親金融機関等」を「、当該外国保険会社等を所属保険会社等とする兼業特定保険募集人(第百条の二の二第二項に規定する兼業特定保険募集人をいう。以下この項において同じ。)又は当該外国保険会社等の親金融機関等」に、「又はその子金融機関等が行う業務(保険業その他の内閣府令で定める業務に限る。)に係る顧客」を「、当該兼業特定保険募集人又は当該子金融機関等が行う保険関連業務に係る顧客(当該兼業特定保険募集人にあっては、当該外国保険会社等から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)」に、「当該業務」を「当該保険関連業務」に改める。
第二百七十一条の二十一の三第一項中「その子会社である保険会社」を「その子会社である保険会社、当該保険会社を所属保険会社等とする兼業特定保険募集人(第百条の二の二第二項に規定する兼業特定保険募集人をいう。以下この項において同じ。)」に、「保険持株会社の子会社である保険会社又は当該保険持株会社の」を「保険会社、当該兼業特定保険募集人又は当該」に、「業務(保険業その他の内閣府令で定める業務に限る。)に係る顧客」を「保険関連業務に係る顧客(当該兼業特定保険募集人にあっては、当該保険会社から委託を受けた業務に係る顧客に限る。)」に、「当該業務」を「当該保険関連業務」に改める。
第二百九十条第一項に次の一号を加える。
八 その他内閣府令で定めるとき 内閣府令で定める者
第二百九十四条の三第一項中「この条」の下に「、次条」を加え、同条の次に次の一条を加える。
(特定大規模乗合損害保険代理店の業務運営に関する措置)
第二百九十四条の四 特定大規模乗合損害保険代理店(損害保険代理店のうち、二以上の所属保険会社等を有する法人であって各事業年度における所属保険会社等から保険募集の業務に関して受領した手数料、報酬その他の対価の額が内閣府令で定める額以上であることその他内閣府令で定める要件に該当するものをいう。第二号及び第四号において同じ。)は、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 保険募集の業務を行う営業所又は事務所ごとに、当該営業所又は事務所において保険募集の業務を行う役員又は使用人に対し、これらの者が法令等(法令、法令に基づく行政官庁の処分又は定款その他の規則をいう。次号において同じ。)を遵守して保険募集の業務を実施するため必要な助言又は指導を行う者(同号において「法令等遵守責任者」という。)を設置すること。
二 本店又は主たる事務所に、法令等遵守責任者を指揮するとともに、特定大規模乗合損害保険代理店の役員又は使用人に対し、これらの者が法令等を遵守して保険募集の業務を実施するため必要な助言又は指導を行う者を設置すること。
三 保険募集の業務に係る苦情を受け付けるための体制の整備、当該苦情の処理に関する記録を作成しこれを保存することその他の保険募集の業務に係る苦情の適切かつ迅速な処理を確保するために必要な措置として内閣府令で定める措置
四 第百条の二の二第二項に規定する兼業特定保険募集人である特定大規模乗合損害保険代理店にあっては、次に掲げる措置
イ その行う保険募集の業務以外の業務(第百条の二の二第二項に規定する保険募集の業務以外の業務をいい、保険金の支払の請求に関するものに限る。以下この号において同じ。)が保険金の支払に不当な影響を及ぼさないよう適切に監視することその他の当該特定大規模乗合損害保険代理店が行う保険募集の業務以外の業務により当該特定大規模乗合損害保険代理店又はその所属保険会社等が行う保険関連業務に係る顧客の利益が不当に害されることを防止するために必要な措置として内閣府令で定める措置
ロ その行う保険募集の業務以外の業務に係る苦情を受け付けるための体制の整備、当該苦情の処理に関する記録を作成しこれを保存することその他の当該特定大規模乗合損害保険代理店が行う保険募集の業務以外の業務に係る苦情の適切かつ迅速な処理を確保するために必要な措置として内閣府令で定める措置
五 その他内閣府令で定める措置
第三百条第一項第五号中「又は被保険者」を「若しくは被保険者又はこれらの者と内閣府令で定める密接な関係を有する者」に、「、割戻し」を「又は割戻し、物品の購入、役務の提供その他の取引であって取引上の社会通念に照らし相当であると認められないもの」に改め、同項第八号中「当該保険契約者又は被保険者に」を削り、「)が」の下に「当該保険契約者若しくは被保険者又はこれらの者と内閣府令で定める密接な関係を有する者に」を加える。
第三百一条第一号中「又は被保険者」を「若しくは被保険者又はこれらの者と内閣府令で定める密接な関係を有する者」に改め、同条第二号中「被保険者」の下に「若しくはこれらの者と内閣府令で定める密接な関係を有する者」を加える。
第三百一条の二第一号中「保険会社等又は」を「保険会社等若しくは」に、「又は被保険者」を「若しくは被保険者又はこれらの者と内閣府令で定める密接な関係を有する者」に改め、同条第二号中「保険会社等又は」を「保険会社等若しくは」に改め、「被保険者」の下に「又はこれらの者と内閣府令で定める密接な関係を有する者」を加える。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(消費生活協同組合法及び中小企業等協同組合法の一部改正)
第二条 次に掲げる法律の規定中「第三百条第一項第七号及び第九号」を「第三百条第一項第五号及び第七号から第九号まで」に改める。
一 消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第十二条の二第三項
二 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の七の五第一項
(保険業法等の一部を改正する法律の一部改正)
第三条 保険業法等の一部を改正する法律(平成十七年法律第三十八号)の一部を次のように改正する。
附則第四条の二の表第三百条第一項第七号の項中「第三百条第一項第七号」を「第三百条第一項第五号及び第七号」に改め、同表第三百条第一項第八号の項を次のように改める。
第三百条第一項第八号 |
特定関係者(第百条の三(第二百七十二条の十三第二項において準用する場合を含む。第三百一条において同じ。)に規定する特定関係者及び第百九十四条に規定する特殊関係者のうち、当該保険会社等又は外国保険会社等を子会社とする保険持株会社及び少額短期保険持株会社(以下この条及び第三百一条の二において「保険持株会社等」という。)、当該保険持株会社等の子会社(保険会社等及び外国保険会社等を除く。)並びに保険業を行う者以外の者 |
子会社等(平成十七年改正法附則第四条第一項において準用する保険業法第百三十二条第一項に規定する子会社等 |
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内閣府令 |
主務省令 |
(検討)
第四条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の保険業法の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、同法の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
理 由
保険業に対する信頼性の確保及びその健全な発展を図るため、特定大規模乗合損害保険代理店の業務運営に関する体制整備義務を創設するほか、保険会社等による顧客の利益の保護のための体制整備義務の範囲を兼業特定保険募集人が行う取引に拡大し、保険契約の締結等に関する禁止行為に物品の購入、役務の提供その他の取引であって取引上の社会通念に照らし相当であると認められないものの提供等を追加する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。