衆議院

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第二一七回

閣第四三号

   譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 譲渡担保契約

  第一節 譲渡担保契約の効力

   第一款 総則

    第一目 通則(第三条−第十二条)

    第二目 根譲渡担保契約の効力(第十三条−第二十六条)

   第二款 動産譲渡担保契約の効力

    第一目 総則(第二十七条−第三十九条)

    第二目 集合動産譲渡担保契約の効力(第四十条−第四十五条)

    第三目 登記又は登録を要する動産についての適用除外(第四十六条)

   第三款 債権譲渡担保契約の効力

    第一目 総則(第四十七条−第五十二条)

    第二目 集合債権譲渡担保契約の効力(第五十三条・第五十四条)

   第四款 その他の財産を目的とする譲渡担保契約の効力(第五十五条−第五十八条)

   第五款 適用除外(第五十九条)

  第二節 譲渡担保権の実行等

   第一款 動産譲渡担保権の実行等

    第一目 総則(第六十条−第六十五条)

    第二目 集合動産譲渡担保権の実行(第六十六条−第七十一条)

    第三目 強制執行等の特例(第七十二条−第七十四条)

    第四目 動産譲渡担保権の実行のための裁判手続(第七十五条−第九十一条)

   第二款 債権譲渡担保権の実行

    第一目 総則(第九十二条・第九十三条)

    第二目 集合債権譲渡担保権の実行(第九十四条・第九十五条)

   第三款 その他の財産を目的とする譲渡担保権の実行(第九十六条)

  第三節 破産手続等における譲渡担保権の取扱い(第九十七条−第百八条)

 第三章 所有権留保契約(第百九条−第百十一条)

 第四章 罰則(第百十二条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 譲渡担保契約及び所有権留保契約の効力、譲渡担保権及び留保所有権の実行、破産手続におけるこれらの権利の取扱い等については、他の法令に定めるもののほか、この法律の定めるところによる。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 譲渡担保契約 金銭債務を担保するため、債務者又は第三者が動産、債権(民法(明治二十九年法律第八十九号)第三編第一章第四節の規定により譲渡されるものに限る。以下この条、第二十三条第二項、第二十六条第一項第九号及び第五十五条において同じ。)その他の財産(次に掲げるものを除く。)を債権者に譲渡することを内容とする契約(第十六号ロに掲げるものを除く。)をいう。

  イ 抵当権の目的とすることができる財産(次に掲げるものを除く。)

   (1) 農業動産信用法(昭和八年法律第三十号)第二条第一項に規定する農業用動産(第三十九条第一項から第三項までにおいて「農業用動産」という。)

   (2) 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)による登録を受けた自動車(大型特殊自動車で建設機械抵当法(昭和二十九年法律第九十七号)第二条に規定する建設機械であるものを除く。第三十九条第四項において「登録自動車」という。)

  ロ 特許権、実用新案権、意匠権及びこれらの実施権、商標権及びその使用権、育成者権及びその利用権、特許、実用新案登録又は意匠登録を受ける権利、商標登録出願により生じた権利並びに防護標章登録に基づく権利

 二 譲渡担保財産 譲渡担保契約の目的である財産をいう。

 三 譲渡担保権 譲渡担保財産の譲渡を受ける者が譲渡担保契約に基づいて譲渡担保財産について取得する権利をいう。

 四 譲渡担保権者 譲渡担保権を有する者をいう。

 五 譲渡担保権設定者 譲渡担保契約の当事者のうち譲渡担保財産を譲渡する者(その者が譲渡担保財産について有する権利を他の者に譲渡した場合にあっては、その権利を現に有する者)をいう。

 六 動産譲渡担保契約 譲渡担保契約のうち、動産を目的とするものをいう。

 七 譲渡担保動産 動産譲渡担保契約の目的である動産をいう。

 八 動産譲渡担保権 譲渡担保動産の譲渡を受ける者が動産譲渡担保契約に基づいて譲渡担保動産について取得する権利をいう。

 九 動産譲渡担保権者 動産譲渡担保権を有する者をいう。

 十 動産譲渡担保権設定者 動産譲渡担保契約の当事者のうち譲渡担保動産を譲渡する者(その者が譲渡担保動産について有する権利を他の者に譲渡した場合にあっては、その権利を現に有する者)をいう。

 十一 債権譲渡担保契約 譲渡担保契約のうち、債権を目的とするものをいう。

 十二 譲渡担保債権 債権譲渡担保契約の目的である債権をいう。

 十三 債権譲渡担保権 譲渡担保債権の譲渡を受ける者が債権譲渡担保契約に基づいて譲渡担保債権について取得する権利をいう。

 十四 債権譲渡担保権者 債権譲渡担保権を有する者をいう。

 十五 債権譲渡担保権設定者 債権譲渡担保契約の当事者のうち譲渡担保債権を譲渡する者(その者が譲渡担保債権について有する権利を他の者に譲渡した場合にあっては、その権利を現に有する者)をいう。

 十六 所有権留保契約 次に掲げる契約をいう。

  イ 動産(抵当権の目的とすることができるもの(第一号イ(1)及び(2)に掲げるものを除く。)を除く。以下同じ。)の所有権を移転することを内容とする売買その他の契約(ロにおいて「売買契約等」という。)であって、当該動産の代金の支払債務その他の金銭債務を担保するため、その金銭債務の全部の履行がされるまでの間は、当該動産の所有権を当該動産の所有権を移転すべき者に留保する旨の定めのあるもの

  ロ 売買契約等の当事者のうち当該売買契約等の目的である動産の所有権の移転を受けるべき者が、第三者に対し、当該動産の所有権を移転すべき者に対する当該動産の代金その他の金銭の支払を委託し、当該者が、その支払を受けたときに、当該金銭の償還債務その他の金銭債務の担保として、当該第三者に当該動産の所有権を取得させることを約する契約であって、その金銭債務の全部の履行がされるまでの間は、当該動産の所有権を当該第三者に留保する旨の定めのあるもの

 十七 所有権留保動産 所有権留保契約の目的である動産をいう。

 十八 留保所有権 所有権留保動産の所有権を留保する者が所有権留保契約に基づいて所有権留保動産について有する権利をいう。

 十九 留保売主等 留保所有権を有する者をいう。

 二十 留保買主等 所有権留保契約の当事者のうち、被担保債権に係る債務の全部の履行がされた場合に所有権留保動産の所有権の移転を受ける者(その者が所有権留保動産について有する権利を他の者に譲渡した場合にあっては、その権利を現に有する者)をいう。

   第二章 譲渡担保契約

    第一節 譲渡担保契約の効力

     第一款 総則

      第一目 通則

 (譲渡担保権の内容)

第三条 譲渡担保権者は、譲渡担保財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

 (譲渡担保権の被担保債権の範囲)

第四条 譲渡担保権は、元本、利息、違約金、譲渡担保権の実行の費用及び債務の不履行によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、譲渡担保契約に別段の定めがあるときは、この限りでない。

 (譲渡担保権者による譲渡担保財産の譲渡)

第五条 譲渡担保権者は、次節の規定による実行手続によらなければ、譲渡担保財産を譲渡することができない。

 (譲渡担保権設定者の処分権限)

第六条 譲渡担保権設定者は、その有する譲渡担保財産についての権利を第三者に譲渡することができる。

 (同一の譲渡担保財産についての重複する譲渡担保契約)

第七条 譲渡担保財産は、重ねて譲渡担保契約の目的とすることができる。

 (譲渡担保権の不可分性)

第八条 譲渡担保権者は、被担保債権の全部の弁済を受けるまでは、譲渡担保財産の全部について、譲渡担保権を行使することができる。

 (物上代位)

第九条 譲渡担保権は、譲渡担保財産の売却、賃貸、滅失又は損傷によって譲渡担保権設定者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。この場合においては、譲渡担保権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。

2 前項前段の規定に基づいて譲渡担保権者が行使する権利は、その金銭その他の物の払渡し又は引渡しを目的とする債権を目的とする質権又は譲渡担保権であって、同項後段の規定による差押えの後に対抗要件を備えたものに優先する。

3 譲渡担保権の目的である財産についてその譲渡担保権に劣後する先取特権、質権又は他の譲渡担保権を有する者(以下この項において「劣後担保権者」という。)は、その順位により、譲渡担保権設定者が支払を受けるべき第四十八条第二項(第五十八条において準用する場合を含む。)に規定する残額、第六十条第四項(第九十三条(第九十六条第一項において準用する場合を含む。以下この条及び第二十六条第一項第五号において同じ。)において準用する場合を含む。)に規定する帰属清算金、第六十一条第五項(第九十三条において準用する場合を含む。)に規定する処分清算金又は第九十二条第一項後段(第九十六条第一項において準用する場合を含む。)に規定する差額に相当する金銭に対しても、その権利を行使することができる。この場合においては、劣後担保権者は、その払渡しの前に差押えをしなければならない。

 (物上保証人の求償権)

第十条 他人の債務を担保するため譲渡担保契約を締結した譲渡担保権設定者は、その債務を弁済し、又は譲渡担保権の実行によって譲渡担保財産を失ったときは、民法に規定する保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。

 (民法の規定の適用除外等)

第十一条 民法第四百九十六条第一項の規定は、供託によって譲渡担保権が消滅した場合には、適用しない。

2 譲渡担保権は、質権とみなして、民法第五百十八条の規定を適用する。

 (仮登記担保契約に関する法律の規定の適用)

第十二条 譲渡担保権は、質権とみなして、仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)の規定を適用する。

      第二目 根譲渡担保契約の効力

 (不特定の債権を担保するための譲渡担保契約)

第十三条 譲渡担保契約は、債務者との間に生ずる一定の範囲に属する不特定の債権を担保するためにも締結することができる。

 (根譲渡担保権の被担保債権の範囲)

第十四条 前条の債権を担保するために締結された譲渡担保契約(以下「根譲渡担保契約」という。)に基づく譲渡担保権(以下「根譲渡担保権」という。)を有する者(以下「根譲渡担保権者」という。)は、確定した元本、利息、違約金、根譲渡担保権の実行の費用及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、その根譲渡担保権を行使することができる。ただし、根譲渡担保契約において極度額(根譲渡担保権を行使することができる被担保債権の上限の額をいう。以下同じ。)の定めがあるときは、当該極度額を限度とする。

 (根譲渡担保権の被担保債権の範囲及び債務者の変更)

第十五条 元本の確定前においては、根譲渡担保権の被担保債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする。

2 根譲渡担保権の極度額の定めがない場合における前項の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。

 (根譲渡担保権の極度額の変更等)

第十六条 根譲渡担保契約の締結後に根譲渡担保権の極度額を定め、又は根譲渡担保権の極度額の定めを変更し、若しくは廃止するには、利害関係を有する者の承諾を得なければならない。

 (根譲渡担保権の元本確定期日の定め)

第十七条 根譲渡担保権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め、又は変更することができる。

2 前項の期日を定め、又は変更するには、根譲渡担保権に劣後する譲渡担保権を有する者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。

3 第一項の期日は、これを定め、又は変更した日から五年以内でなければならない。

 (根譲渡担保権の被担保債権の譲渡等)

第十八条 元本の確定前に根譲渡担保権者から債権を取得した者は、その債権について根譲渡担保権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。

2 元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根譲渡担保権者は、引受人の債務について、その根譲渡担保権を行使することができない。

3 元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者は、民法第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、根譲渡担保権を引受人が負担する債務に移すことができない。

4 元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、第十一条第二項の規定により適用する民法第五百十八条第一項の規定にかかわらず、根譲渡担保権を更改後の債務に移すことができない。元本の確定前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、同様とする。

 (根譲渡担保権者又は債務者の合併)

第十九条 元本の確定前に根譲渡担保権者について合併があったときは、根譲渡担保権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。

2 元本の確定前にその債務者について合併があったときは、根譲渡担保権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。

3 前二項の場合には、根譲渡担保契約における譲渡担保権設定者(以下「根譲渡担保権設定者」という。)は、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、前項の場合において、その債務者が根譲渡担保権設定者であるときは、この限りでない。

4 前項の規定による請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。

5 第三項の規定による請求は、根譲渡担保権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。合併の日から一月を経過したときも、同様とする。

 (根譲渡担保権者又は債務者の会社分割)

第二十条 元本の確定前に根譲渡担保権者を分割をする会社とする分割があったときは、根譲渡担保権は、分割の時に存する債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部若しくは一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する債権を担保する。

2 元本の確定前にその債務者を分割をする会社とする分割があったときは、根譲渡担保権は、分割の時に存する債務のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部若しくは一部を当該会社から承継した会社が分割後に負担する債務を担保する。

3 前条第三項から第五項までの規定は、前二項の場合について準用する。

 (根譲渡担保権の譲渡)

第二十一条 元本の確定前においては、根譲渡担保権者は、根譲渡担保権設定者の承諾を得て、その根譲渡担保権(極度額の定めがあるものに限る。次項及び次条において同じ。)を譲り渡すことができる。

2 根譲渡担保権者は、その根譲渡担保権を二個の権利に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根譲渡担保権を目的とする権利は、譲り渡した根譲渡担保権について消滅する。

3 前項の規定による譲渡をするには、その根譲渡担保権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。

 (根譲渡担保権の一部譲渡)

第二十二条 元本の確定前においては、根譲渡担保権者は、根譲渡担保権設定者の承諾を得て、その根譲渡担保権の一部譲渡(譲渡人が譲受人と根譲渡担保権を共有するため、これを分割しないで譲り渡すことをいう。次条において同じ。)をすることができる。

 (根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡の対抗要件)

第二十三条 根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡は、動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(平成十年法律第百四号。以下「特例法」という。)の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

2 債権を目的とする根譲渡担保権の譲渡又は一部譲渡は、当該譲渡又は一部譲渡及びその譲渡又は一部譲渡につき登記がされたことについて、譲渡人若しくは譲受人が当該債権の債務者に登記事項証明書(特例法第十一条第二項に規定する登記事項証明書をいう。以下同じ。)を交付して通知をし、又は当該債務者が承諾をしなければ、当該債務者に対抗することができない。

 (根譲渡担保権の共有)

第二十四条 根譲渡担保権の共有者は、それぞれその債権額の割合に応じて弁済を受ける。ただし、元本の確定前に、これと異なる割合を定め、又はある者が他の者に先立って弁済を受けるべきことを定めたときは、その定めに従う。

2 根譲渡担保権の共有者は、他の共有者の同意を得て、第二十一条第一項の規定によりその権利を譲り渡すことができる。

 (根譲渡担保権の元本の確定請求)

第二十五条 根譲渡担保権設定者は、根譲渡担保契約に基づく財産の譲渡の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する。

2 根譲渡担保権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する。

3 前二項の規定は、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しない。

 (根譲渡担保権の元本の確定事由)

第二十六条 次に掲げる場合には、根譲渡担保権の担保すべき元本は、確定する。

 一 根譲渡担保権者が譲渡担保財産について強制執行、担保権の実行(担保権の実行としての競売の例による競売を含む。)又は第九条第一項後段若しくは第三項後段の規定による差押えを申し立てたとき。ただし、差押えがあったときに限る。

 二 根譲渡担保権者が譲渡担保財産に対して滞納処分による差押えをしたとき。

 三 根譲渡担保権者が次に掲げるいずれかの事由があったことを知った時から二週間を経過したとき。

  イ 譲渡担保動産に対する強制執行又は担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。次号において同じ。)による差押え(当該根譲渡担保権者の根譲渡担保権が集合動産譲渡担保権(第四十一条第一項に規定する集合動産譲渡担保権をいう。以下この項及び第三十七条において同じ。)である場合における当該根譲渡担保権に係る動産特定範囲(第四十条に規定する動産特定範囲をいう。以下この号及び第三十七条第二号において同じ。)に属する動産に対する強制執行、一般の先取特権に基づく担保権の実行としての競売又は担保権の実行としての競売の例による競売による差押えを除く。)

  ロ 当該根譲渡担保権者の根譲渡担保権が集合動産譲渡担保権である場合における当該根譲渡担保権に係る動産特定範囲に属する動産に対する強制執行、一般の先取特権に基づく担保権の実行としての競売又は担保権の実行としての競売の例による競売における特別の先取特権、質権又は動産譲渡担保権に基づく配当要求

  ハ 譲渡担保財産に対する滞納処分による差押え(当該根譲渡担保権者の根譲渡担保権が集合動産譲渡担保権である場合における当該根譲渡担保権に係る動産特定範囲に属する動産に対する滞納処分による差押えを除く。)

 四 動産を目的とする根譲渡担保権の根譲渡担保権者が譲渡担保動産に対する強制執行又は担保権の実行としての競売において配当要求をしたとき。

 五 根譲渡担保権者が帰属清算の通知(第六十条第一項(第九十三条において準用する場合を含む。)に規定する帰属清算の通知をいう。次号において同じ。)又は処分清算譲渡(第六十一条第一項(第九十三条において準用する場合を含む。)に規定する処分清算譲渡をいう。次号において同じ。)をしたとき。

 六 動産を目的とする根譲渡担保権に劣後する動産譲渡担保権の動産譲渡担保権者が第六十二条第一項の同意を得て帰属清算の通知又は処分清算譲渡をしたとき。

 七 集合動産譲渡担保権である根譲渡担保権の根譲渡担保権者が根譲渡担保権設定者に対して第六十六条第一項の規定による通知をしたとき。

 八 集合動産譲渡担保権である根譲渡担保権に劣後する集合動産譲渡担保権を有する者が第六十七条の同意を得て第六十六条第一項の規定による通知をしたとき。

 九 債権を目的とする根譲渡担保権の根譲渡担保権者が第九十二条第一項前段の規定により譲渡担保債権に係る債務の履行を請求したとき。

 十 その他の財産(第五十五条に規定するその他の財産をいう。)を目的とする根譲渡担保権の根譲渡担保権者が第九十六条第一項において準用する第九十二条第一項前段の規定により当該根譲渡担保権の及ぶ債権に係る債務の履行を請求したとき。

 十一 動産を目的とする根譲渡担保権の根譲渡担保権者が譲渡担保動産について第七十六条第一項の規定による引渡命令を申し立てたとき。ただし、当該引渡命令が発せられたときに限る。

 十二 動産を目的とする根譲渡担保権に劣後する動産譲渡担保権の動産譲渡担保権者が第七十七条の同意を得て譲渡担保動産について第七十六条第一項の規定による引渡命令を申し立てたとき。ただし、当該引渡命令が発せられたときに限る。

 十三 根譲渡担保権者又は債務者について相続が開始したとき。

 十四 債務者又は根譲渡担保権設定者が破産手続開始の決定を受けたとき。

2 前項第三号イの強制執行若しくは担保権の実行としての競売による差押え、同号ロの強制執行、一般の先取特権に基づく担保権の実行としての競売若しくは担保権の実行としての競売の例による競売による差押え若しくは同号ハの滞納処分による差押え、同項第四号の強制執行若しくは担保権の実行としての競売による差押え、同項第七号若しくは第八号の通知、同項第十一号若しくは第十二号の引渡命令又は同項第十四号の破産手続開始の決定の効力が消滅したときは、担保すべき元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその根譲渡担保権又はこれを目的とする権利を取得した者があるときは、この限りでない。

     第二款 動産譲渡担保契約の効力

      第一目 総則

 (動産譲渡担保権の及ぶ範囲)

第二十七条 動産譲渡担保権者は、動産譲渡担保権設定者が動産譲渡担保契約の締結後にその動産の常用に供するために附属させた他の動産であって動産譲渡担保権設定者の所有に属するものについても、動産譲渡担保権を行使することができる。ただし、動産譲渡担保契約に別段の定めがある場合及び動産譲渡担保権設定者の行為について民法第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。

第二十八条 動産譲渡担保権者は、その被担保債権について不履行があったときは、後に収穫すべき譲渡担保動産の天然果実についても、動産譲渡担保権を行使することができる。

 (動産譲渡担保権設定者による譲渡担保動産の使用及び収益)

第二十九条 動産譲渡担保権設定者は、譲渡担保動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。

2 動産譲渡担保権設定者は、善良な管理者の注意をもって、譲渡担保動産の使用及び収益をしなければならない。

 (妨害の停止の請求等)

第三十条 動産譲渡担保権設定者は、次の各号に掲げるときは、当該各号に定める請求をすることができる。

 一 譲渡担保動産の使用又は収益を動産譲渡担保権設定者以外の者が妨害しているとき その者に対する妨害の停止の請求

 二 譲渡担保動産の使用又は収益を動産譲渡担保権設定者以外の者が妨害するおそれがあるとき その者に対する妨害の予防の請求

 三 譲渡担保動産を動産譲渡担保権設定者以外の者が占有しているとき その者に対する返還の請求

2 動産譲渡担保権者は、次の各号に掲げるときは、当該各号に定める請求をすることができる。

 一 第三条に規定する権利の行使を動産譲渡担保権者以外の者が妨害しているとき その者に対する妨害の停止の請求

 二 第三条に規定する権利の行使を動産譲渡担保権者以外の者が妨害するおそれがあるとき その者に対する妨害の予防の請求

 (牽(けん)連性のある金銭債務のみを担保するための動産の譲渡の対抗力)

第三十一条 次に掲げる債務(その利息、違約金、動産譲渡担保権の実行の費用及び債務の不履行によって生じた損害の賠償を含む。第三十七条において「牽(けん)連性のある金銭債務」という。)のみを担保するために締結された動産譲渡担保契約に基づく動産の譲渡は、譲渡担保動産の引渡しがなくても、第三者に対抗することができる。

 一 譲渡担保動産の代金の支払債務

 二 譲渡担保動産の代金の支払債務の債務者から委託を受けた者が当該代金の支払債務を履行したことによって生ずるその者の当該債務者に対する求償権に係る債務

2 前項の場合において、次条及び第三十五条から第三十七条までの規定の適用については、動産譲渡担保契約に基づく動産の譲渡の時に民法第百八十三条に規定する方法(以下「占有改定」という。)以外の方法で当該動産の引渡しがあったものとみなす。

 (動産譲渡担保権の順位)

第三十二条 同一の動産について数個の動産譲渡担保権が互いに競合する場合には、その動産譲渡担保権の順位は、その動産の引渡し(登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない動産にあっては、登記又は登録)の前後による。

 (動産譲渡担保権の順位の変更)

第三十三条 動産譲渡担保権の順位は、各動産譲渡担保権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。

2 前項の規定による順位の変更は、特例法の定めるところに従いその登記をしなければ、その効力を生じない。

 (動産譲渡担保権と先取特権との競合)

第三十四条 同一の動産について動産譲渡担保権と先取特権とが競合する場合には、動産譲渡担保権者は、民法第三百三十条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有する。

2 前項の場合において、動産譲渡担保権者が数人あるときは、各動産譲渡担保権者は、同項及び民法第三百三十二条の規定に従ってこれらの者が弁済を受けるべき金額の合計額について、第三十二条、第三十六条及び第三十七条の規定による順位に従って弁済を受ける。

 (動産譲渡担保権と動産質権との競合)

第三十五条 同一の動産について動産譲渡担保権と動産質権とが競合する場合には、その順位は、動産譲渡担保契約に基づく動産の譲渡についての引渡しと動産質権の設定の前後による。

 (占有改定で対抗要件を備えた動産譲渡担保権の順位の特例)

第三十六条 第三十二条及び前条並びに事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第五十二号)第十八条第一項の規定にかかわらず、占有改定で譲渡担保動産の引渡しを受けることにより対抗要件を備えた動産譲渡担保権は、占有改定以外の方法で譲渡担保動産の引渡し(特例法第三条第一項の規定により引渡しがあったものとみなされる場合を含む。)を受けることにより対抗要件を備えた動産譲渡担保権若しくは動産質権又は企業価値担保権に劣後する。

2 動産譲渡担保権が占有改定以外の方法で譲渡担保動産の引渡し(特例法第三条第一項の規定により引渡しがあったものとみなされる場合を除く。)を受けることにより対抗要件を備えたものであっても、その後に動産譲渡担保権設定者が当該譲渡担保動産を現に所持して占有したときは、前項の規定の適用については、占有改定で引渡しを受けることにより対抗要件を備えたものとみなす。

 (牽連性のある金銭債務を担保する動産譲渡担保権の順位の特例)

第三十七条 第三十二条及び前二条並びに事業性融資の推進等に関する法律第十八条第一項の規定にかかわらず、牽連性のある金銭債務を担保する動産譲渡担保権は、牽連性のある金銭債務を担保する限度において、競合する他の動産譲渡担保権、動産質権又は企業価値担保権に優先する。ただし、動産譲渡担保権者が次に掲げる時のうち最も早いものより後に譲渡担保動産の引渡しを受けたときは、この限りでない。

 一 他の動産譲渡担保権(集合動産譲渡担保権を除く。)の動産譲渡担保権者が譲渡担保動産の引渡し(占有改定による場合を除く。)を受けた時

 二 他の動産譲渡担保権(集合動産譲渡担保権に限る。)の動産譲渡担保権者が第四十一条第一項の引渡し(占有改定による場合を除く。)を受けた時又は譲渡担保動産が動産特定範囲に属した時のいずれか遅い時

 三 動産質権の設定時

 四 譲渡担保動産が事業性融資の推進等に関する法律第六条第八項に規定する担保目的財産に属した時

 (転動産譲渡担保)

第三十八条 動産譲渡担保権は、譲渡担保契約の目的とすることができる。

2 譲渡担保契約に基づく動産譲渡担保権の譲渡(以下この条において「転動産譲渡担保権の設定」という。)は、特例法の定めるところに従いその登記(当該動産譲渡担保権の目的である動産が特例法第三条第一項の規定による譲渡の登記をすることによってはその譲渡を第三者に対抗することができないものである場合にあっては、当該動産の譲渡についての対抗要件。次項において同じ。)を備えなければ、第三者に対抗することができない。

3 動産譲渡担保権者が数人のために二以上の転動産譲渡担保権の設定をしたときは、これらの転動産譲渡担保権の設定を受けた者(以下この条及び次節において「転動産譲渡担保権者」という。)の権利の順位は、登記の前後による。

4 転動産譲渡担保権の設定は、民法第四百六十七条の規定に従い、動産譲渡担保権の被担保債権の債務者に通知をし、又は当該債務者が承諾をしなければ、当該債務者、保証人、動産譲渡担保権設定者及びこれらの者の承継人に対抗することができない。

5 動産譲渡担保権の被担保債権の債務者が前項の規定により通知を受け、又は承諾をしたときは、転動産譲渡担保権者の承諾を得ないでした弁済その他の債務を消滅させる事由は、これをもって当該転動産譲渡担保権者に対抗することができない。

6 前項の規定は、動産を目的とする根譲渡担保権について転動産譲渡担保権の設定をした場合において、根譲渡担保権の被担保債権の債務者が元本の確定前にした弁済その他の債務を消滅させる事由については、適用しない。

7 転動産譲渡担保権の設定の登記がされた場合において、転動産譲渡担保権の設定及びその登記がされたことについて、転動産譲渡担保権者が動産譲渡担保権の被担保債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をしたときは、当該債務者について、第四項の規定による通知があったものとみなす。

 (動産譲渡担保権と抵当権との競合)

第三十九条 同一の農業用動産について動産譲渡担保権と抵当権とが競合する場合には、その順位は、動産譲渡担保契約に基づく農業用動産の譲渡についての引渡しと抵当権の登記の前後による。

2 前項の規定にかかわらず、占有改定で農業用動産の引渡しを受けることにより対抗要件を備えた動産譲渡担保権は、抵当権に劣後する。

3 農業用動産を目的とする動産譲渡担保権が占有改定以外の方法で当該農業用動産の引渡し(特例法第三条第一項の規定により引渡しがあったものとみなされる場合を除く。)を受けることにより対抗要件を備えたものであっても、その後に動産譲渡担保権設定者が当該農業用動産を現に所持して占有したときは、前項の規定の適用については、占有改定で引渡しを受けることにより対抗要件を備えたものとみなす。

4 同一の登録自動車について動産譲渡担保権と抵当権とが競合する場合には、その順位は、登録の前後による。

      第二目 集合動産譲渡担保契約の効力

 (特定範囲所属動産を一体として目的とする動産譲渡担保契約)

第四十条 動産譲渡担保契約は、次に掲げる事項を指定することにより、将来において属する動産を含むものとして定められた範囲(以下「動産特定範囲」という。)によって特定された動産(以下「特定範囲所属動産」という。)を、一体として、その目的とすることができる。

 一 譲渡担保動産の種類

 二 譲渡担保動産の所在場所その他の事項

 (集合動産譲渡担保権についての対抗要件の特例)

第四十一条 特定範囲所属動産を一体として目的とする動産譲渡担保契約(以下「集合動産譲渡担保契約」という。)に基づく動産譲渡担保権(以下「集合動産譲渡担保権」という。)を有する者(以下「集合動産譲渡担保権者」という。)は、動産特定範囲に属する動産の全部の引渡しを受けたときは、当該動産特定範囲に将来において属する動産(次項において「特定範囲加入動産」という。)についても、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有することを第三者に対抗することができる。

2 同一の動産について集合動産譲渡担保権と他の動産譲渡担保権(集合動産譲渡担保権を除く。)又は動産質権とが競合する場合において、当該他の動産譲渡担保権に係る動産譲渡担保権当初設定者(動産譲渡担保契約の当事者のうち譲渡担保動産を譲渡した者をいう。以下同じ。)又は当該動産質権を設定した者がその動産譲渡担保契約の締結又は質権の設定の時点における当該集合動産譲渡担保権に係る動産譲渡担保権設定者以外の者であるときは、特定範囲加入動産についての第三十二条及び第三十五条の規定の適用については、集合動産譲渡担保権者が前項の引渡しを受けた時又は当該特定範囲加入動産が動産特定範囲に属した時のいずれか遅い時に引渡しを受けたものとみなす。

 (集合動産譲渡担保権設定者による動産特定範囲に属する動産の処分)

第四十二条 集合動産譲渡担保契約における動産譲渡担保権設定者(以下「集合動産譲渡担保権設定者」という。)は、動産特定範囲に属する動産の処分をすることができる。ただし、集合動産譲渡担保権設定者が集合動産譲渡担保権者を害することを知っていたときは、この限りでない。

2 前項本文の規定にかかわらず、集合動産譲渡担保契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

3 集合動産譲渡担保権設定者が、集合動産譲渡担保権者を害することを知って動産特定範囲に属する動産の処分をし、又は前項に規定する別段の定めによる処分権限の範囲(次項及び第四十四条において「権限範囲」という。)を超えて動産特定範囲に属する動産の処分をした場合における民法第百九十二条の規定の適用については、同条中「善意であり、かつ、過失がない」とあるのは、「善意である」とする。

4 集合動産譲渡担保権設定者が集合動産譲渡担保権者を害することを知って動産特定範囲に属する動産の処分をするおそれがあるとき、又は権限範囲を超えて動産特定範囲に属する動産の処分をするおそれがあるときは、集合動産譲渡担保権者は、その予防を請求することができる。

 (動産の補充等による価値の維持義務)

第四十三条 集合動産譲渡担保権設定者は、正当な理由がある場合を除き、動産特定範囲に属する動産の補充その他の方法によって、特定範囲所属動産の一体としての価値を、集合動産譲渡担保権者を害しないと認められる範囲を超えて減少することのないように維持しなければならない。

 (集合動産譲渡担保権に基づく物上代位)

第四十四条 第九条第一項の規定にかかわらず、集合動産譲渡担保権者は、集合動産譲渡担保権設定者が前条の義務を履行することができると認められる間は、動産特定範囲に属する動産の売却、賃貸、滅失又は損傷によって集合動産譲渡担保権設定者が受けるべき金銭その他の物に対し、集合動産譲渡担保権を行使することができない。ただし、集合動産譲渡担保権設定者が集合動産譲渡担保権者を害することを知ってした行為又は権限範囲を超えてした行為によって受けるべき金銭その他の物に対しては、この限りでない。

 (動産特定範囲に動産を属させる行為に関する詐害行為取消請求)

第四十五条 集合動産譲渡担保権設定者が動産を動産特定範囲に属させた場合には、その動産を目的とする担保の供与があったものとみなして、民法第四百二十四条の三の規定を適用する。

      第三目 登記又は登録を要する動産についての適用除外

第四十六条 第三十一条、第三十五条から第三十七条まで及び前目の規定は、登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない動産を目的とする動産譲渡担保契約については、適用しない。

     第三款 債権譲渡担保契約の効力

      第一目 総則

 (混同の特例)

第四十七条 ある債権の債務者が債権譲渡担保契約に基づき当該債権の譲渡を受けた場合には、民法第五百二十条本文の規定にかかわらず、当該債権は消滅しない。

 (譲渡担保債権の第三債務者の弁済等)

第四十八条 第三債務者は、債権譲渡担保契約に基づく債権の譲渡について債権譲渡担保権設定者が民法第四百六十七条第一項の規定による通知をし、又は第三債務者が同項の規定による承諾をした時より後に債権譲渡担保権者に対してした弁済その他の債務を消滅させる事由をもって債権譲渡担保権設定者その他の第三者に対抗することができる。この場合において、債権譲渡担保権者は、被担保債権の弁済期が到来するまでは、債権譲渡担保権設定者に対し、その受けた利益の価額に相当する金銭を支払うことを要しない。

2 前項前段の場合において、被担保債権の弁済期が到来したときは、債権譲渡担保権者は、債権譲渡担保権設定者に対し、その受けた利益の価額から被担保債権の額を控除した残額を支払わなければならない。

3 前項の場合において、債権譲渡担保権設定者が、債権譲渡担保権当初設定者(債権譲渡担保契約の当事者のうち譲渡担保債権を譲渡した者をいう。以下この項及び第九十二条第二項において同じ。)が有していた譲渡担保債権についての権利の譲渡を受けた者であるとき(債権譲渡担保権者が当該債権譲渡担保権設定者への譲渡を承諾していたときを除く。)は、債権譲渡担保権者は、当該債権譲渡担保権当初設定者(当該権利について順次二以上の譲渡がされ、かつ、当該債権譲渡担保権者がそのいずれかの譲渡を承諾した場合にあっては、当該債権譲渡担保権者が承諾した直近の譲渡を受けた者)に対する前項の残額の支払の債務の弁済その他の当該債務を消滅させる事由をもって当該債権譲渡担保権設定者その他の第三者に対抗することができる。

4 譲渡担保債権が金銭債権である場合において、被担保債権についての不履行が生ずる前に当該譲渡担保債権の弁済期が到来したときは、債権譲渡担保権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、債権譲渡担保権は、その供託金について存在する。

5 譲渡担保債権が動産の引渡しを目的とするものである場合において、債権譲渡担保権者が弁済としてその動産の引渡しを受けたときは、債権譲渡担保権者は、債権譲渡担保権設定者との間で、その債権譲渡担保権の被担保債権を担保するため、その動産を目的とする動産譲渡担保契約を締結したものとみなす。この場合においては、第二項及び第九十二条第一項後段の規定は、適用しない。

 (債権譲渡担保権の順位)

第四十九条 同一の債権について数個の債権譲渡担保権が互いに競合する場合には、その債権譲渡担保権の順位は、民法第四百六十七条第二項に規定する確定日付のある証書による通知又は承諾の前後による。

 (債権譲渡担保権の順位の変更)

第五十条 債権譲渡担保権の順位は、各債権譲渡担保権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。

2 前項の規定による順位の変更は、特例法の定めるところに従いその登記をしなければ、その効力を生じない。

3 第一項の規定による順位の変更は、当該順位の変更及び当該順位の変更につき登記がされたことについて、いずれかの債権譲渡担保権者が第三債務者に登記事項証明書を交付して通知をし、又は第三債務者が承諾をしなければ、第三債務者に対抗することができない。

 (債権譲渡担保権と債権を目的とする質権との競合)

第五十一条 同一の債権について債権譲渡担保権と質権とが競合する場合には、その順位は、債権譲渡担保契約に基づく債権の譲渡についての民法第四百六十七条第二項に規定する確定日付のある証書による通知又は承諾と質権の設定についての同法第三百六十四条の規定によりその規定に従うこととされる同項に規定する確定日付のある証書による通知又は承諾の前後による。

 (転債権譲渡担保)

第五十二条 債権譲渡担保権は、譲渡担保契約の目的とすることができる。

2 第三十八条第二項から第七項までの規定は、譲渡担保契約に基づく債権譲渡担保権の譲渡(次項及び第四項において「転債権譲渡担保権の設定」という。)について準用する。この場合において、同条第二項中「第三条第一項」とあるのは「第四条第一項」と、同条第三項、第五項及び第七項中「転動産譲渡担保権者」とあるのは「転債権譲渡担保権者」と読み替えるものとする。

3 転債権譲渡担保権の設定は、民法第四百六十七条の規定に従い、譲渡担保債権の債務者に通知をし、又は当該債務者が承諾をしなければ、当該債務者に対抗することができない。

4 転債権譲渡担保権の設定の登記がされた場合において、転債権譲渡担保権の設定及びその登記がされたことについて、転債権譲渡担保権の設定を受けた者が譲渡担保債権の債務者に登記事項証明書を交付して通知をしたときは、当該債務者について、前項の規定による通知があったものとみなす。

      第二目 集合債権譲渡担保契約の効力

 (集合債権譲渡担保権設定者による債権特定範囲に属する債権の取立て)

第五十三条 譲渡担保債権の発生年月日の始期及び終期、発生原因その他の事項を指定することにより将来において属する債権を含むものとして定められた範囲(以下「債権特定範囲」という。)によって特定された債権(第九十四条において「特定範囲所属債権」という。)を一括して目的とする債権譲渡担保契約(以下「集合債権譲渡担保契約」という。)における債権譲渡担保権設定者(以下「集合債権譲渡担保権設定者」という。)は、集合債権譲渡担保契約に債権特定範囲に属する債権を取り立てることができる旨の定めがあるときは、当該債権特定範囲に属する債権を取り立てることができる。

2 前項の規定により集合債権譲渡担保権設定者が債権特定範囲に属する債権を取り立てることができる場合には、集合債権譲渡担保契約における債権譲渡担保権(以下「集合債権譲渡担保権」という。)を有する者(以下「集合債権譲渡担保権者」という。)が第四十八条第一項前段に規定する弁済その他の債務を消滅させる事由により受けた利益については、同項後段の規定は、適用しない。

 (集合動産譲渡担保契約の効力の規定の準用)

第五十四条 第四十三条の規定は、前条第一項の規定により債権特定範囲に属する債権を取り立てることができる集合債権譲渡担保権設定者について準用する。この場合において、第四十三条中「特定範囲所属動産の一体としての」とあるのは「第五十三条第一項に規定する特定範囲所属債権を一括した」と、「集合動産譲渡担保権者」とあるのは「同条第二項に規定する集合債権譲渡担保権者」と読み替えるものとする。

2 第四十五条の規定は、集合債権譲渡担保権設定者が債権特定範囲に属する債権を発生させた場合について準用する。

     第四款 その他の財産を目的とする譲渡担保契約の効力

 (その他の財産を目的とする譲渡担保権の順位)

第五十五条 同一のその他の財産(動産及び債権以外の財産をいう。以下同じ。)について数個の譲渡担保権が互いに競合する場合には、その譲渡担保権の順位は、当該その他の財産の譲渡についての対抗要件を備えた時の前後による。

 (その他の財産を目的とする譲渡担保権と質権との競合)

第五十六条 同一のその他の財産について譲渡担保権と質権とが競合する場合には、その順位は、当該その他の財産の譲渡についての対抗要件を備えた時と当該質権の設定についての対抗要件を備えた時の前後による。

 (その他の財産を目的とする転譲渡担保)

第五十七条 その他の財産を目的とする譲渡担保権は、譲渡担保契約の目的とすることができる。

2 第三十八条第二項から第六項までの規定は、譲渡担保契約に基づくその他の財産を目的とする譲渡担保権の譲渡について準用する。この場合において、同条第二項中「譲渡担保契約に基づく動産譲渡担保権の譲渡(以下この条において「転動産譲渡担保権の設定」とあるのは「譲渡担保契約に基づくその他の財産(第五十五条に規定するその他の財産をいう。以下この条において同じ。)を目的とする譲渡担保権の譲渡(以下この条において「転譲渡担保権の設定」と、「特例法の定めるところに従いその登記(当該動産譲渡担保権の目的である動産が特例法第三条第一項の規定による譲渡の登記をすることによってはその譲渡を第三者に対抗することができないものである場合にあっては、当該動産の譲渡についての対抗要件。次項において同じ。)」とあるのは「当該その他の財産の譲渡についての対抗要件」と、同条第三項中「動産譲渡担保権者が」とあるのは「その他の財産を目的とする譲渡担保契約における譲渡担保権者が」と、同項並びに同条第四項及び第六項中「転動産譲渡担保権の設定」とあるのは「転譲渡担保権の設定」と、同条第三項中「者(以下この条及び次節において「転動産譲渡担保権者」という。)の」とあるのは「者の」と、「登記」とあるのは「当該その他の財産の譲渡についての対抗要件を備えた時」と、同条第四項中「従い、動産譲渡担保権」とあるのは「従い、その他の財産を目的とする譲渡担保権」と、「動産譲渡担保権設定者」とあるのは「その他の財産を目的とする譲渡担保契約における譲渡担保権設定者」と、同条第五項中「動産譲渡担保権の」とあるのは「その他の財産を目的とする譲渡担保権の」と、「転動産譲渡担保権者」とあるのは「転譲渡担保権の設定を受けた者」と、同条第六項中「動産を」とあるのは「その他の財産を」と読み替えるものとする。

3 前項に規定する譲渡担保権の譲渡については、前二項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、第五十二条第三項の規定を準用する。

 (債権譲渡担保契約の効力の規定の準用)

第五十八条 その他の財産を目的とする譲渡担保契約の効力については、この款に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前款(第四十九条から第五十二条までを除く。)の規定を準用する。

     第五款 適用除外

第五十九条 第二十一条から第二十三条まで、第三十三条及び第五十条の規定は、特例法第三条第一項又は第四条第一項の規定による譲渡の登記をすることによってはその譲渡を第三者に対抗することができない財産を目的とする譲渡担保契約については、適用しない。

    第二節 譲渡担保権の実行等

     第一款 動産譲渡担保権の実行等

      第一目 総則

 (動産譲渡担保権の帰属清算方式による実行)

第六十条 動産譲渡担保権の被担保債権について不履行があった後に動産譲渡担保権者が動産譲渡担保権設定者に対して次に掲げる事項の通知(以下この節において「帰属清算の通知」という。)をしたときは、当該被担保債権は、帰属清算の通知の日から二週間を経過した時又は当該動産譲渡担保権者が譲渡担保動産の引渡し(占有改定による場合を除く。以下この項及び次条第一項において同じ。)を受けた時のいずれか早い時(帰属清算の通知の後その時までの間に当該動産譲渡担保権についてその実行の手続の一時の停止を命ずる裁判又はその実行を一時禁止する裁判があった場合にあっては、その時又は当該裁判が効力を失った時のいずれか遅い時、当該動産譲渡担保権者が帰属清算の通知をする前に譲渡担保動産の引渡しを受けてその占有を継続している場合にあっては、帰属清算の通知の時。以下この款において「帰属清算時」という。)に、帰属清算時における譲渡担保動産の価額の限度において消滅する。

 一 譲渡担保動産をもって被担保債権の弁済に充てること。

 二 帰属清算時における譲渡担保動産の見積価額及びその算定根拠

 三 帰属清算時における被担保債権の額

2 前項第二号の見積価額は、合理的な方法により算出したものでなければならない。

3 動産譲渡担保権設定者が、動産譲渡担保権当初設定者が有していた譲渡担保動産についての権利の譲渡を受けた者であるとき(動産譲渡担保権者が当該動産譲渡担保権設定者への譲渡を承諾していたときを除く。)は、動産譲渡担保権者が当該動産譲渡担保権当初設定者(当該権利について順次二以上の譲渡がされ、かつ、当該動産譲渡担保権者がそのいずれかの譲渡を承諾した場合にあっては、当該動産譲渡担保権者が承諾した直近の譲渡を受けた者)に対してした帰属清算の通知は、当該動産譲渡担保権設定者に対してしたものとみなす。

4 動産譲渡担保権者は、帰属清算時における譲渡担保動産の価額が帰属清算時における被担保債権の額を超えるときは、その差額に相当する金銭(以下この目及び第七十六条第二項において「帰属清算金」という。)を動産譲渡担保権設定者に支払わなければならない。この場合において、当該動産譲渡担保権設定者が、動産譲渡担保権当初設定者が有していた譲渡担保動産についての権利の譲渡を受けた者であるとき(当該動産譲渡担保権者が当該動産譲渡担保権設定者への譲渡を承諾していたときを除く。)は、当該動産譲渡担保権者は、当該動産譲渡担保権当初設定者(当該権利について順次二以上の譲渡がされ、かつ、当該動産譲渡担保権者がそのいずれかの譲渡を承諾した場合にあっては、当該動産譲渡担保権者が承諾した直近の譲渡を受けた者)に対する帰属清算金の支払の債務の弁済その他の当該債務を消滅させる事由をもって当該動産譲渡担保権設定者その他の第三者に対抗することができる。

5 民法第五百三十三条の規定は、帰属清算金の支払の債務(第一項第二号の見積価額が帰属清算時における被担保債権の額を超える場合のその差額が帰属清算金の額に満たないときは、当該差額に相当する部分に限る。次項において同じ。)と譲渡担保動産の引渡しの債務の履行について準用する。

6 動産譲渡担保権設定者は、帰属清算金の支払の債務の弁済を受けるまで、譲渡担保動産を留置することができる。

 (動産譲渡担保権の処分清算方式による実行)

第六十一条 動産譲渡担保権の被担保債権について不履行があった後に動産譲渡担保権者が第三者に対して譲渡担保動産の譲渡(以下この節において「処分清算譲渡」という。)をしたときは、当該被担保債権は、次項の規定による通知の日から二週間を経過した時又は当該動産譲渡担保権者若しくは処分清算譲渡を受けた第三者が譲渡担保動産の引渡しを受けた時のいずれか早い時(処分清算譲渡の後その時までの間に当該動産譲渡担保権についてその実行の手続の一時の停止を命ずる裁判又はその実行を一時禁止する裁判があった場合にあっては、その時又は当該裁判が効力を失った時のいずれか遅い時、当該動産譲渡担保権者が処分清算譲渡をする前に譲渡担保動産の引渡しを受けてその占有を継続している場合にあっては、処分清算譲渡の時。以下この款において「処分清算時」という。)に、処分清算時における譲渡担保動産の価額の限度において消滅する。

2 動産譲渡担保権者は、処分清算譲渡をしたときは、遅滞なく、動産譲渡担保権設定者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。

 一 処分清算譲渡をしたこと。

 二 処分清算時における譲渡担保動産の見積価額及びその算定根拠

 三 処分清算時における被担保債権の額

3 前項第二号の見積価額は、合理的な方法により算出したものでなければならない。

4 動産譲渡担保権設定者が、動産譲渡担保権当初設定者が有していた譲渡担保動産についての権利の譲渡を受けた者であるとき(動産譲渡担保権者が当該動産譲渡担保権設定者への譲渡を承諾していたときを除く。)は、動産譲渡担保権者が当該動産譲渡担保権当初設定者(当該権利について順次二以上の譲渡がされ、かつ、当該動産譲渡担保権者がそのいずれかの譲渡を承諾した場合にあっては、当該動産譲渡担保権者が承諾した直近の譲渡を受けた者)に対してした第二項の規定による通知は、当該動産譲渡担保権設定者に対してしたものとみなす。

5 動産譲渡担保権者は、処分清算時における譲渡担保動産の価額が処分清算時における被担保債権の額を超えるときは、その差額に相当する金銭(以下この目及び第七十六条第二項において「処分清算金」という。)を動産譲渡担保権設定者に支払わなければならない。この場合において、当該動産譲渡担保権設定者が、動産譲渡担保権当初設定者が有していた譲渡担保動産についての権利の譲渡を受けた者であるとき(当該動産譲渡担保権者が当該動産譲渡担保権設定者への譲渡を承諾していたときを除く。)は、当該動産譲渡担保権者は、当該動産譲渡担保権当初設定者(当該権利について順次二以上の譲渡がされ、かつ、当該動産譲渡担保権者がそのいずれかの譲渡を承諾した場合にあっては、当該動産譲渡担保権者が承諾した直近の譲渡を受けた者)に対する処分清算金の支払の債務の弁済その他の当該債務を消滅させる事由をもって当該動産譲渡担保権設定者その他の第三者に対抗することができる。

6 民法第五百三十三条の規定は、処分清算金の支払の債務(第二項第二号の見積価額が処分清算時における被担保債権の額を超える場合のその差額が処分清算金の額に満たないときは、当該差額に相当する部分に限る。次項において同じ。)と譲渡担保動産の引渡しの債務の履行について準用する。

7 動産譲渡担保権設定者は、処分清算金の支払の債務の弁済を受けるまで、譲渡担保動産を留置することができる。

 (後順位の動産譲渡担保権者による実行)

第六十二条 後順位の動産譲渡担保権者(他の動産譲渡担保権に劣後する動産譲渡担保権を有する動産譲渡担保権者をいう。以下この条及び第七十七条において同じ。)がした帰属清算の通知又は処分清算譲渡は、当該後順位の動産譲渡担保権者が有する動産譲渡担保権に優先する動産譲渡担保権を有する動産譲渡担保権者(転動産譲渡担保権者が取得した権利を有する者を含む。)の全員の同意を得なければ、その効力を生じない。

2 後順位の動産譲渡担保権者が前項の同意を得て帰属清算の通知又は処分清算譲渡をした場合における前二条の規定の適用については、第六十条第一項及び前条第一項中「当該被担保債権は」とあるのは「当該動産譲渡担保権及びこれに優先する動産譲渡担保権の各被担保債権は、その順位に従って」と、第六十条第一項第一号及び第三号中「被担保債権」とあるのは「各被担保債権」と、同条第四項並びに前条第五項及び第六項中「被担保債権の額」とあるのは「第一項の各被担保債権の合計額」と、第六十条第五項中「被担保債権の額」とあるのは「同項の各被担保債権の合計額」と、前条第二項第三号中「被担保債権」とあるのは「前項の各被担保債権」とする。

3 前項に規定する場合において、各動産譲渡担保権の被担保債権の消滅すべき順位又は額について当該各動産譲渡担保権を有する動産譲渡担保権者(転動産譲渡担保権者が取得した権利を有する者を含む。)間に合意が成立し、かつ、後順位の動産譲渡担保権者が帰属清算時又は処分清算時以前に債務者及び動産譲渡担保権設定者に対してその合意の内容を通知したときは、同項の規定により読み替えて適用する第六十条第一項又は前条第一項の規定にかかわらず、各動産譲渡担保権の被担保債権は、その合意された順位又は額に従って消滅する。

4 動産譲渡担保権設定者が、動産譲渡担保権当初設定者が有していた譲渡担保動産についての権利の譲渡を受けた者であるとき(動産譲渡担保権者が当該動産譲渡担保権設定者への譲渡を承諾していたときを除く。)は、動産譲渡担保権者が当該動産譲渡担保権当初設定者(当該権利について順次二以上の譲渡がされ、かつ、当該動産譲渡担保権者がそのいずれかの譲渡を承諾した場合にあっては、当該動産譲渡担保権者が承諾した直近の譲渡を受けた者)に対してした前項の規定による通知は、当該動産譲渡担保権設定者に対してしたものとみなす。

5 第一項の同意をした動産譲渡担保権者が有する動産譲渡担保権の被担保債権で確定期限の到来していないものは、第二項の規定により読み替えて適用する第六十条第一項若しくは前条第一項の規定又は第三項の規定の適用については、弁済期が到来したものとみなす。

6 前項の被担保債権が無利息であるときは、帰属清算時又は処分清算時から同項の確定期限までの帰属清算時又は処分清算時における法定利率による利息との合算額がその被担保債権の額となるべき元本額をその被担保債権の額とみなす。

 (帰属清算方式又は処分清算方式による実行に必要な行為の受忍義務)

第六十三条 動産譲渡担保権の被担保債権について不履行があった場合において、動産譲渡担保権者が帰属清算の通知又は処分清算譲渡に必要な行為をしようとするときは、動産譲渡担保権設定者は、これを拒むことができない。

 (動産譲渡担保権者による他の動産譲渡担保権者等に対する通知)

第六十四条 動産譲渡担保契約に基づく動産の譲渡につき動産譲渡登記(特例法第三条第二項に規定する動産譲渡登記をいう。以下この項において同じ。)がされた動産譲渡担保権の動産譲渡担保権者は、その被担保債権について不履行があり、かつ、譲渡担保動産の引渡し(占有改定による場合を除く。以下この項において同じ。)を受けたとき(譲渡担保動産の引渡しに先立って帰属清算の通知又は処分清算譲渡をした場合にあっては、帰属清算の通知又は処分清算譲渡をしたとき)は、遅滞なく、その時にその動産譲渡登記の競合担保登記目録(特例法第十条の五第三項に規定する競合担保登記目録をいう。)に特定事項(同条第四項に規定する特定事項をいう。)が記録されている他の動産譲渡登記又は所有権留保登記(特例法第十三条の二第一項に規定する所有権留保登記をいう。)において動産譲渡担保権者又は留保売主等として登記されている全ての者(特例法第十条の二第一項第一号に規定する転譲渡担保権者又は特例法第十三条の二第一項において読み替えて準用する特例法第十条の二第一項に規定する留保所有権を目的とする譲渡担保権の設定を受けた者が登記されている場合にあっては、当該転譲渡担保権者又は当該留保所有権を目的とする譲渡担保権の設定を受けた者を含む。)に対し、その旨を通知しなければならない。

2 前項の規定による通知は、通知を受ける者の動産譲渡登記ファイル(特例法第七条第一項に規定する動産譲渡登記ファイルをいう。)上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる。

 (清算金の支払に関する処分の禁止)

第六十五条 帰属清算金又は処分清算金の支払を目的とする債権については、帰属清算時又は処分清算時までは、譲渡その他の処分をすることができない。

2 帰属清算時又は処分清算時の前にされた帰属清算金又は処分清算金の支払の債務の弁済その他の当該債務を消滅させる事由は、これをもって帰属清算の通知又は処分清算譲渡をした動産譲渡担保権者が有する動産譲渡担保権に劣後する先取特権、質権又は動産譲渡担保権を有する者に対抗することができない。

      第二目 集合動産譲渡担保権の実行

 (集合動産譲渡担保権の実行)

第六十六条 集合動産譲渡担保権の被担保債権について不履行があった場合において、集合動産譲渡担保権者が帰属清算の通知又は処分清算譲渡をしようとするときは、その旨を集合動産譲渡担保権設定者に通知しなければならない。

2 前項の規定による通知をした集合動産譲渡担保権者が有する集合動産譲渡担保権及び当該集合動産譲渡担保権に競合する集合動産譲渡担保権は、当該通知が集合動産譲渡担保権設定者に到達した後に、当該通知をした集合動産譲渡担保権者が有する集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲(次項及び第四項において「実行対象動産特定範囲」という。)に属するに至った動産には及ばない。

3 第一項の規定による通知が集合動産譲渡担保権設定者に到達したときは、当該集合動産譲渡担保権設定者は、第四十二条第一項本文及び第二項の規定にかかわらず、実行対象動産特定範囲に属する動産(前項の規定により集合動産譲渡担保権が及ばない動産を除く。)の処分をすることができない。

4 第一項の規定による通知が到達した時に実行対象動産特定範囲に属していた動産と外形上区別することができる状態で保管する方法により分別して管理されていない動産は、当該通知が到達した時に当該実行対象動産特定範囲に属していたものと推定する。

5 集合動産譲渡担保権者が、第一項の規定による通知において、その集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲を更に第四十条各号に掲げる事項を指定することにより限定し、その限定された範囲に属する動産についてのみ帰属清算の通知又は処分清算譲渡をしようとする旨を示したときは、同項の規定による通知の効力は、その定められた範囲にのみ生ずる。

6 第二項の規定に反する特約は、無効とする。

 (後順位の集合動産譲渡担保権者による実行)

第六十七条 複数の集合動産譲渡担保契約の動産特定範囲が重複するときは、後順位の集合動産譲渡担保権者(その重複する部分につき他の集合動産譲渡担保権に劣後する集合動産譲渡担保権を有する集合動産譲渡担保権者をいう。以下この条において同じ。)がした前条第一項の規定による通知は、その重複する部分につき当該後順位の集合動産譲渡担保権者が有する集合動産譲渡担保権に優先する集合動産譲渡担保権を有する集合動産譲渡担保権者(転動産譲渡担保権者が取得した権利を有する者を含む。)の全員の同意を得なければ、当該重複する部分については、その効力を生じない。

 (通知の撤回)

第六十八条 第六十六条第一項の規定による通知をした集合動産譲渡担保権者は、集合動産譲渡担保契約の動産特定範囲に属する動産の全部又は一部について帰属清算の通知又は処分清算譲渡をするまでの間は、集合動産譲渡担保権設定者の承諾を得て、同項の規定による通知を撤回することができる。

2 前項の規定による通知の撤回は、当該通知が到達した時に遡ってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 (動産特定範囲に属する動産に対する差押え等)

第六十九条 集合動産譲渡担保権者が集合動産譲渡担保権に基づいて次の各号に掲げる行為をしたときは、当該集合動産譲渡担保権は、当該各号に定める動産には及ばない。当該集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲と他の集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲が重複する場合における当該他の集合動産譲渡担保権についても、同様とする。

 一 担保権の実行としての競売による差押え 当該集合動産譲渡担保権に係る特定範囲所属動産のうち当該差押えの後に当該差押えの場所に存することとなった動産

 二 強制執行、一般の先取特権に基づく担保権の実行としての競売又は担保権の実行としての競売の例による競売(以下この号及び次条第一項第二号において「強制執行等」という。)における配当要求 当該集合動産譲渡担保権に係る特定範囲所属動産のうち当該配当要求の後に当該強制執行等による差押えの場所に存することとなった動産

 三 第七十五条第一項第二号若しくは第三号に掲げる保全処分を命ずる決定又は第七十六条第一項の規定による引渡命令の執行 当該集合動産譲渡担保権に係る特定範囲所属動産のうち当該執行の後に当該執行の場所に存することとなった動産

2 集合動産譲渡担保権者が集合動産譲渡担保権に基づいて前項各号に掲げる行為をしたとき(同項第二号に掲げる行為をした場合にあっては、集合動産譲渡担保権設定者が当該行為があったことを知ったとき)は、集合動産譲渡担保権設定者は、第四十二条第一項本文及び第二項の規定にかかわらず、当該集合動産譲渡担保権に係る特定範囲所属動産のうち前項各号に規定する場所に存する動産(同項の規定により集合動産譲渡担保権が及ばない動産を除く。)の処分をすることができない。

3 集合動産譲渡担保権者が集合動産譲渡担保権に基づいて第一項各号に掲げる行為をした時(同項第二号に掲げる行為をした場合にあっては、集合動産譲渡担保権設定者が当該行為があったことを知った時)に当該集合動産譲渡担保権に係る特定範囲所属動産のうち同項各号に規定する場所に存していた動産と外形上区別することができる状態で保管する方法により分別して管理されていない動産は、当該行為があった時(同項第二号に掲げる行為があった場合にあっては、集合動産譲渡担保権設定者が当該行為があったことを知った時)に同項各号に規定する場所に存していたものと推定する。

4 第一項第一号若しくは第二号に規定する差押え又は同項第三号に規定する執行が取り消されたときは、前三項の規定の適用については、当該差押え又は執行はなかったものとみなす。ただし、第三者の権利を害することはできない。

5 第一項の規定に反する特約は、無効とする。

第七十条 集合動産譲渡担保権は、次の各号に掲げる事由があったときは、当該各号に定める動産には及ばない。当該集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲と他の集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲が重複する場合における当該他の集合動産譲渡担保権についても、同様とする。

 一 当該集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲に属する動産に対する担保権の実行としての競売(集合動産譲渡担保権又は一般の先取特権に基づくものを除く。)による差押え 当該集合動産譲渡担保権に係る特定範囲所属動産のうち当該差押えの後に当該差押えの場所に存することとなった動産

 二 当該集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲に属する動産を目的とする強制執行等における特別の先取特権、質権又は動産譲渡担保権(集合動産譲渡担保権を除く。)に基づく配当要求 当該集合動産譲渡担保権に係る特定範囲所属動産のうち当該配当要求の後に当該強制執行等による差押えの場所に存することとなった動産

 三 当該集合動産譲渡担保権に係る動産特定範囲に属する動産を目的とする第七十五条第一項第二号若しくは第三号に掲げる保全処分を命ずる決定(集合動産譲渡担保権に基づくものを除く。)又は第七十六条第一項の規定による引渡命令(集合動産譲渡担保権に基づくものを除く。)の執行 当該集合動産譲渡担保権に係る特定範囲所属動産のうち当該執行の後に当該執行の場所に存することとなった動産

2 前条第二項、第三項、第四項本文及び第五項の規定は、前項の場合について準用する。

 (集合動産譲渡担保権者による超過分の金銭の組入義務等)

第七十一条 第九条第一項若しくは第三項、第六十条第一項若しくは第六十一条第一項の規定により、又は民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第百三十九条第一項若しくは第二項若しくは第百四十二条(これらの規定を同法第百九十二条(同法第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による配当若しくは弁済金の交付により集合動産譲渡担保権の被担保債権の全部又は一部が消滅し、かつ、その消滅した額が次に掲げる額のうちいずれか大きい方の額を超える場合において、集合動産譲渡担保権設定者について破産手続開始の決定(破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百十六条第一項の規定による破産手続廃止の決定がされた場合を除く。)、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定又は特別清算開始の命令があったときは、集合動産譲渡担保権者は、その超える額に相当する金銭(第三項及び第四項において「超過分の金銭」という。)を破産財団、再生債務者財産(民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第十二条第一項第一号に規定する再生債務者財産をいう。第九十七条第三項において同じ。)、更生会社財産(会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第二条第十四項に規定する更生会社財産又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号。以下「更生特例法」という。)第百六十九条第十四項に規定する更生会社財産をいう。第九十七条第四項において同じ。)、更生協同組織金融機関財産(更生特例法第四条第十四項に規定する更生協同組織金融機関財産をいう。第九十七条第四項において同じ。)又は清算株式会社の財産に組み入れなければならない。ただし、当該集合動産譲渡担保権の被担保債権が消滅した日から一年を経過した日以後に破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立てがあったときは、この限りでない。

 一 集合動産譲渡担保権の目的である動産の価額に十分の九を乗じた額

 二 当該集合動産譲渡担保権の実行の費用及び集合動産譲渡担保権(集合動産譲渡担保権が複数ある場合にあっては、その最も優先するもの)の被担保債権の元本の合計額

2 前項の場合において、集合動産譲渡担保権が複数あるときは、各集合動産譲渡担保権者は、その集合動産譲渡担保権の被担保債権が消滅した額を限度として、次の各号に定めるところにより、同項の義務を負担する。

 一 順位を異にする集合動産譲渡担保権があるときは、劣後する集合動産譲渡担保権に係る集合動産譲渡担保権者が先に負担する。

 二 順位を同じくする集合動産譲渡担保権が複数あるときは、各集合動産譲渡担保権者が、その集合動産譲渡担保権の被担保債権の額の割合に応じて負担する。

3 集合動産譲渡担保権者は、超過分の金銭の支払について、相殺をもって債権者に対抗することができない。

4 第一項の場合には、超過分の金銭に相当する金額の被担保債権は、消滅しなかったものとみなす。

5 集合動産譲渡担保権設定者又はその債権者は、第一項の義務の履行を確保するため必要があるときは、集合動産譲渡担保権者に対して相当の担保を請求することができる。

      第三目 強制執行等の特例

 (動産譲渡担保権者による配当要求等及び動産競売の申立て)

第七十二条 動産譲渡担保権者による配当要求及び動産譲渡担保権者に対する配当又は弁済金の交付については、動産譲渡担保権を質権とみなして、民事執行法第百三十三条及び第百四十一条第一項(第四号に係る部分に限る。)(これらの規定を同法第百九十二条(同法第百九十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。以下この項において同じ。)において準用する場合を含む。)並びに同法第百四十二条第二項(同法第百九十二条において準用する場合を含む。)において準用する同法第九十一条第一項(第四号に係る部分に限る。)の規定を適用する。

2 動産譲渡担保権者による担保権の実行としての競売の申立てについては、動産譲渡担保権を質権とみなして、民事執行法第百九十条の規定を適用する。この場合において、同条第一項第三号中「債務者」とあるのは「債務者又は当該動産の所有者(以下この条において「債務者等」という。)」と、同条第二項ただし書中「第百二十三条第二項に規定する場所又は容器」とあるのは「債務者等の住居その他債務者等の占有する場所又は債務者等の占有する金庫その他の容器」と、同条第三項中「債務者」とあるのは「債務者等」とする。

 (動産譲渡担保権者による第三者異議の訴え)

第七十三条 動産譲渡担保権者は、動産譲渡担保権設定者を債務者又は動産の所有者として、譲渡担保動産に対する強制執行又は当該動産譲渡担保権者が有する動産譲渡担保権に劣後する先取特権、質権若しくは動産譲渡担保権に基づく担保権の実行としての競売による差押えがあったときは、民事執行法第三十八条第一項(同法第百九十四条において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)に規定する第三者異議の訴えを提起することができる。ただし、その売得金の額が執行費用のうち共益費用であるもの、被担保債権及びこれに優先する債権のうち配当要求があったものの額の合計額以上となる見込みがあるときは、同項に規定する第三者異議の訴えを提起することができない。

 (売却に伴う動産譲渡担保権の消滅)

第七十四条 譲渡担保動産につき強制執行、担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。)又は企業担保権の実行手続が行われたときは、動産譲渡担保権は、当該譲渡担保動産の売却によって消滅する。

      第四目 動産譲渡担保権の実行のための裁判手続

 (動産譲渡担保権の実行のための保全処分)

第七十五条 裁判所は、動産譲渡担保権の被担保債権について不履行があった場合において、債務者、動産譲渡担保権設定者又は譲渡担保動産の占有者(債務者及び動産譲渡担保権設定者を除く。次項第二号及び第五項において同じ。)が、価格減少行為等(譲渡担保動産の価格を減少させ、又は譲渡担保動産の引渡しを困難にする行為をいう。以下この項において同じ。)をし、又はそのおそれがあるときは、動産譲渡担保権者又は処分清算譲渡を受けた第三者(以下この項及び第八十八条において「動産譲渡担保権者等」という。)の申立てにより、当該動産譲渡担保権者等が譲渡担保動産の引渡しを受けるまでの間、次に掲げる保全処分又は公示保全処分(執行官に、当該保全処分の内容を、譲渡担保動産又はその容器に公示書を貼付する方法、譲渡担保動産の所在する場所に公示書その他の標識を掲示する方法その他の方法により公示させることを内容とする保全処分をいう。以下この条及び第八十八条第一項において同じ。)を命ずることができる。ただし、当該価格減少行為等による価格の減少の程度、引渡しを困難にする程度又はそのおそれの程度が軽微であるときは、この限りでない。

 一 当該価格減少行為等をし、又はそのおそれがある者に対し、当該価格減少行為等を禁止し、又は一定の行為をすることを命ずる保全処分(裁判所が必要があると認める場合にあっては、保全処分及び公示保全処分。次号において同じ。)

 二 次に掲げる事項を内容とする保全処分

  イ 当該価格減少行為等をし、又はそのおそれがある者に対し、譲渡担保動産に対する占有を解いて執行官に引き渡すことを命ずること。

  ロ 執行官に譲渡担保動産の保管をさせること。

 三 次に掲げる事項を内容とする保全処分及び公示保全処分

  イ 前号イ及びロに掲げる事項

  ロ 前号イに規定する者に対し、譲渡担保動産の占有の移転を禁止することを命じ、及び当該譲渡担保動産の使用を許すこと。

2 前項第二号又は第三号に掲げる保全処分は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときでなければ、命ずることができない。

 一 債務者又は動産譲渡担保権設定者が譲渡担保動産を占有する場合

 二 譲渡担保動産の占有者の占有の権原が前項の規定による申立てをした者に対抗することができない場合

3 裁判所は、申立人が第一項の保全処分を命ずる決定の告知を受けた日から一月以内に次の各号に掲げる事項のいずれかを証する文書又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この目及び次節において同じ。)を提出しないときは、相手方又は動産譲渡担保権設定者の申立てにより、その決定を取り消さなければならない。

 一 帰属清算の通知をしたこと。

 二 処分清算譲渡をしたこと。

 三 次条第一項に規定する引渡命令の申立てをしたこと。

 四 民事執行法第百九十条第一項に規定する動産を目的とする担保権の実行としての競売(次項及び次条において「動産競売」という。)の申立てをしたこと。

4 前項第三号又は第四号に掲げる事項を証する文書又は電磁的記録が提出された後に、その申立てが取り下げられ、又は却下された場合には、その文書又は電磁的記録を提出しなかったものとみなす。同項第三号の引渡命令又は同項第四号の動産競売による差押えが取り消された場合も、同様とする。

5 裁判所は、譲渡担保動産の占有者に対し第一項の規定による決定をする場合において、必要があると認めるときは、その者を審尋しなければならない。

6 裁判所が第一項の規定による決定をするときは、申立人に担保を立てさせることができる。ただし、同項第二号に掲げる保全処分については、申立人に担保を立てさせなければ、同項の規定による決定をしてはならない。

7 事情の変更があったときは、裁判所は、申立てにより、第一項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。

8 第一項、第三項又は前項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

9 前項の即時抗告(第一項の申立てについての裁判に対するものに限る。)は、執行停止の効力を有しない。

10 第三項又は第七項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

11 第一項第二号又は第三号に掲げる保全処分又は公示保全処分を命ずる決定は、申立人に告知された日から二週間を経過したときは、執行してはならない。

12 前項に規定する決定は、相手方に送達される前であっても、執行することができる。

 (動産譲渡担保権の実行のための引渡命令)

第七十六条 裁判所は、動産譲渡担保権の被担保債権について不履行があった場合において、動産譲渡担保権者が帰属清算の通知又は処分清算譲渡をするために必要があるときは、当該動産譲渡担保権者が帰属清算の通知又は処分清算譲渡をするまでの間、当該動産譲渡担保権者の申立てにより、担保を立てさせて、動産譲渡担保権設定者又は譲渡担保動産の占有者(動産譲渡担保権設定者を除く。次項及び第七十八条第一項において同じ。)に対し、譲渡担保動産を当該動産譲渡担保権者に引き渡すべき旨を命ずることができる。ただし、当該動産譲渡担保権者に対抗することができる権原により占有していると認められる者(債務者を除く。)に対しては、この限りでない。

2 裁判所は、前項の規定による決定をする場合において、帰属清算金又は処分清算金が生ずることが見込まれるときは、その担保をも立てさせなければならない。ただし、同項の申立てが譲渡担保動産の占有者に対するものであるときは、この限りでない。

3 裁判所は、申立人が第一項の規定による決定の告知を受けた日から一月以内に次の各号に掲げる事項のいずれかを証する文書又は電磁的記録を提出しないときは、相手方又は動産譲渡担保権設定者の申立てにより、その決定を取り消さなければならない。

 一 帰属清算の通知をしたこと。

 二 処分清算譲渡をしたこと。

 三 動産競売の申立てをしたこと。

4 前項第三号に掲げる事項を証する文書又は電磁的記録が提出された後に、その申立てが取り下げられ、又は却下された場合には、その文書又は電磁的記録を提出しなかったものとみなす。同号の動産競売による差押えが取り消された場合も、同様とする。

5 裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。

6 第一項又は第三項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

7 第一項又は第三項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

 (後順位の動産譲渡担保権者による実行のための保全処分等)

第七十七条 後順位の動産譲渡担保権者は、当該後順位の動産譲渡担保権者が有する動産譲渡担保権に優先する動産譲渡担保権を有する動産譲渡担保権者(転動産譲渡担保権者が取得した権利を有する者を含む。)の全員の同意を得なければ、第七十五条第一項に規定する保全処分又は前条第一項に規定する引渡命令の申立てをすることができない。

 (動産譲渡担保権の実行後の引渡命令)

第七十八条 裁判所は、帰属清算時又は処分清算時の後、帰属清算の通知若しくは処分清算譲渡をした動産譲渡担保権者又は処分清算譲渡を受けた第三者(以下この項及び次項において「動産譲渡担保権者等」という。)の申立てにより、動産譲渡担保権設定者又は譲渡担保動産の占有者に対し、譲渡担保動産を動産譲渡担保権者等に引き渡すべき旨(第六十条第一項第二号の見積価額が帰属清算時における被担保債権の額を超える場合又は第六十一条第二項第二号の見積価額が処分清算時における被担保債権の額を超える場合にあっては、それぞれその差額に相当する金銭の支払と引換えに譲渡担保動産を動産譲渡担保権者等に引き渡すべき旨)を命ずることができる。ただし、動産譲渡担保権者等に対抗することができる権原により占有していると認められる者(債務者を除く。)に対しては、この限りでない。

2 動産譲渡担保権者等は、帰属清算時又は処分清算時から一月を経過したときは、前項の申立てをすることができない。

3 裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。

4 第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

5 第一項の規定による決定は、確定しなければその効力を生じない。

 (管轄)

第七十九条 この目に規定する手続に係る事件は、譲渡担保動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

 (任意的口頭弁論)

第八十条 この目に規定する手続に係る裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

 (不服申立て)

第八十一条 この目に規定する手続に係る裁判につき利害関係を有する者は、この目に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し、即時抗告をすることができる。

 (代理人)

第八十二条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五十四条第一項の規定により訴訟代理人となることができる者以外の者は、この目に規定する手続については、即時抗告に係る手続を除き、裁判所の許可を受けて代理人となることができる。

2 裁判所は、いつでも前項の許可を取り消すことができる。

 (担保の提供)

第八十三条 この目の規定により担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所(以下この項において「発令裁判所」という。)の所在地を管轄する地方裁判所又は第七十九条に規定する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は発令裁判所が相当と認める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。

2 民事訴訟法第七十七条、第七十九条及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。

 (非電磁的事件記録の閲覧等)

第八十四条 この目に規定する手続について利害関係を有する者(以下この目において「利害関係者」という。)は、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録(事件の記録中次条第一項に規定する電磁的事件記録を除いた部分をいう。次項及び第三項において同じ。)の閲覧又は謄写を請求することができる。

2 利害関係者は、裁判所書記官に対し、非電磁的事件記録の正本、謄本又は抄本の交付を請求することができる。

3 前二項の規定は、非電磁的事件記録中の録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、利害関係者は、裁判所書記官に対し、これらの物の複製を請求することができる。

4 民事訴訟法第九十一条第五項の規定は、第一項及び前項の規定による請求について準用する。

 (電磁的事件記録の閲覧等)

第八十五条 利害関係者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録(事件の記録中この法律その他の法令の規定により裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この目において同じ。)に備えられたファイルに記録された事項に係る部分をいう。次項及び第三項において同じ。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。

2 利害関係者は、裁判所書記官に対し、電磁的事件記録に記録されている事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。次項及び次条において同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。

3 利害関係者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、電磁的事件記録に記録されている事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを交付し、又は当該事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容が電磁的事件記録に記録されている事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

4 民事訴訟法第九十一条第五項の規定は、第一項及び第二項の規定による請求について準用する。

 (事件に関する事項の証明)

第八十六条 利害関係者は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

 (執行官保管の保全処分中の売却)

第八十七条 第七十五条第一項第二号に掲げる保全処分を命ずる決定の執行に係る譲渡担保動産について、著しい価額の減少を生ずるおそれがあるとき、又はその保管のために不相応な費用を要するときは、執行官は、民事執行法の規定による動産執行の売却の手続によりこれを売却し、その売得金を供託しなければならない。

 (占有移転禁止の保全処分等の効力)

第八十八条 第七十五条第一項第三号に掲げる保全処分及び公示保全処分を命ずる決定の執行がされ、かつ、当該決定の相手方に対して第七十六条第一項又は第七十八条第一項に規定する引渡命令が発せられたときは、当該引渡命令の申立てをした動産譲渡担保権者等は、当該引渡命令に基づき、次に掲げる者に対し、譲渡担保動産の引渡しの強制執行をすることができる。

 一 当該決定の執行がされたことを知って当該譲渡担保動産を占有した者

 二 当該決定の執行後に当該執行がされたことを知らないで当該決定の相手方の占有を承継した者

2 前項の決定の執行後に同項の譲渡担保動産を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定する。

3 第一項の引渡命令について同項の決定の相手方以外の者に対する執行文が付与されたときは、その者は、執行文の付与に対する異議の申立てにおいて、当該引渡命令の申立てをした動産譲渡担保権者等に対抗することができる権原により譲渡担保動産を占有していること、又は自己が同項各号のいずれにも該当しないことを理由とすることができる。

 (手続の停止)

第八十九条 第七十六条に規定する手続は、次の各号に掲げるいずれかの文書の提出があったときは、停止しなければならない。

 一 第七十六条に規定する手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本又は記録事項証明書(裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録されている事項を記載した書面であって裁判所書記官が当該書面の内容が当該ファイルに記録されている事項と同一であることを証明したものをいう。次号及び次項において同じ。)

 二 動産譲渡担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本又は記録事項証明書

2 前項の規定に基づき裁判所に同項各号に規定する裁判に係る記録事項証明書を提出すべき者は、その提出に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、当該各号に規定する裁判に係る事件を特定するために必要な情報として最高裁判所規則で定めるものを提供することができる。この場合において、当該者は、当該記録事項証明書を提出したものとみなす。

 (民事訴訟法の準用)

第九十条 特別の定めがある場合を除き、この目に規定する手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編から第四編までの規定を準用する。この場合において、同法第百三十二条の十一第一項第一号中「第五十四条第一項ただし書」とあるのは「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第八十二条第一項」と、同項第二号中「第二条」とあるのは「第九条において準用する同法第二条」と読み替えるものとする。

 (最高裁判所規則)

第九十一条 この目に定めるもののほか、この目に規定する手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

     第二款 債権譲渡担保権の実行

      第一目 総則

 (債権譲渡担保権者による債権の取立て)

第九十二条 債権譲渡担保権者は、被担保債権について不履行があったときは、譲渡担保債権を直接に取り立てることができる。この場合において、債権譲渡担保権者の受けた利益の価額が被担保債権の額を超えるときは、その差額に相当する金銭を債権譲渡担保権設定者に支払わなければならない。

2 前項後段の場合において、債権譲渡担保権設定者が、債権譲渡担保権当初設定者が有していた譲渡担保債権についての権利の譲渡を受けた者であるとき(債権譲渡担保権者が当該債権譲渡担保権設定者への譲渡を承諾していたときを除く。)は、債権譲渡担保権者は、当該債権譲渡担保権当初設定者(当該権利について順次二以上の譲渡がされ、かつ、当該債権譲渡担保権者がそのいずれかの譲渡を承諾した場合にあっては、当該債権譲渡担保権者が承諾した直近の譲渡を受けた者)に対する同項後段の差額に相当する金銭の支払の債務の弁済その他の当該債務を消滅させる事由をもって債権譲渡担保権設定者その他の第三者に対抗することができる。

 (債権譲渡担保権の帰属清算方式又は処分清算方式による実行)

第九十三条 第六十条(第五項及び第六項を除く。)、第六十一条(第六項及び第七項を除く。)及び第六十五条の規定は、債権譲渡担保権について準用する。この場合において、第六十条第一項中「経過した時又は当該動産譲渡担保権者が譲渡担保動産の引渡し(占有改定による場合を除く。以下この項及び次条第一項において同じ。)を受けた時のいずれか早い時」とあるのは「経過した時」と、「いずれか遅い時、当該動産譲渡担保権者が帰属清算の通知をする前に譲渡担保動産の引渡しを受けてその占有を継続している場合にあっては、帰属清算の通知の時」とあるのは「いずれか遅い時」と、第六十一条第一項中「経過した時又は当該動産譲渡担保権者若しくは処分清算譲渡を受けた第三者が譲渡担保動産の引渡しを受けた時のいずれか早い時」とあるのは「経過した時」と、「いずれか遅い時、当該動産譲渡担保権者が処分清算譲渡をする前に譲渡担保動産の引渡しを受けてその占有を継続している場合にあっては、処分清算譲渡の時」とあるのは「いずれか遅い時」と読み替えるものとする。

      第二目 集合債権譲渡担保権の実行

 (集合債権譲渡担保権の実行)

第九十四条 集合債権譲渡担保権の被担保債権について不履行があった場合において、集合債権譲渡担保権者が集合債権譲渡担保権設定者に対して特定範囲所属債権について第九十二条第一項前段の規定による取立て、前条において準用する第六十条第一項に規定する帰属清算の通知又は前条において準用する第六十一条第一項に規定する処分清算譲渡をしようとする旨を通知したときは、集合債権譲渡担保権設定者は、債権特定範囲に属する債権を取り立てることができない。ただし、第三債務者にもその旨を通知しなければ、これをもって第三債務者に対抗することができない。

 (集合債権譲渡担保権者による超過分の金銭の組入義務等)

第九十五条 第七十一条の規定は、第九条第一項若しくは第三項、第九十二条第一項前段又は第九十三条において準用する第六十条第一項若しくは第六十一条第一項の規定により集合債権譲渡担保権の被担保債権の全部又は一部が消滅した場合について準用する。この場合において、第七十一条第一項中「その消滅した額」とあるのは「その消滅した額(集合債権譲渡担保権設定者について再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があった場合において、集合債権譲渡担保契約に第百七条第二項ただし書の別段の定めがあるときにあっては、当該再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定までに消滅した額に限る。)」と、同項及び同条第五項中「集合動産譲渡担保権設定者」とあるのは「集合債権譲渡担保権設定者」と、同条第一項から第三項まで及び第五項中「集合動産譲渡担保権者」とあるのは「集合債権譲渡担保権者」と、同条第一項第一号中「動産の」とあるのは「債権(集合債権譲渡担保権設定者について再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があった場合において、集合債権譲渡担保契約に第百七条第二項ただし書の別段の定めがあるときにあっては、当該再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定までに発生したものに限る。)の」と読み替えるものとする。

     第三款 その他の財産を目的とする譲渡担保権の実行

第九十六条 その他の財産を目的とする譲渡担保権の実行については、その性質に反しない限り、前款の規定を準用する。

2 前項の譲渡担保権のうち取引所の相場その他の市場の相場がある商品を目的とするものについての同項において準用する第九十三条の規定の適用については、同条中次の表の上欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第六十条第一項中「経過した時

第六十条第一項中「帰属清算の通知の日から二週間を経過した時

)を受けた時のいずれか早い時」とあるのは「経過した時」と、「いずれか遅い時

)を受けた時のいずれか早い時(帰属清算の通知の後その時までの間に当該動産譲渡担保権についてその実行の手続の一時の停止を命ずる裁判又はその実行を一時禁止する裁判があった場合にあっては、その時又は当該裁判が効力を失った時のいずれか遅い時

帰属清算の通知の時」とあるのは「いずれか遅い時

帰属清算の通知の時。」とあるのは「帰属清算の通知の時(

第六十一条第一項中「経過した時

第六十一条第一項中「次項の規定による通知の日から二週間を経過した時

引渡しを受けた時のいずれか早い時」とあるのは「経過した時」と、「いずれか遅い時

引渡しを受けた時のいずれか早い時(処分清算譲渡の後その時までの間に当該動産譲渡担保権についてその実行の手続の一時の停止を命ずる裁判又はその実行を一時禁止する裁判があった場合にあっては、その時又は当該裁判が効力を失った時のいずれか遅い時

処分清算譲渡の時」とあるのは「いずれか遅い時

処分清算譲渡の時。」とあるのは「処分清算譲渡の時(

    第三節 破産手続等における譲渡担保権の取扱い

 (破産手続等における譲渡担保権)

第九十七条 譲渡担保権(破産者が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有し、かつ、その権利が破産財団に属するものに限る。)を有する者については、破産法中破産財団に属する財産につき質権を有する者に関する規定(譲渡担保権(動産譲渡担保権を除く。)を有する者にあっては、同法第百八十四条第二項から第四項までの規定を除く。)を適用する。この場合において、同法第百八十五条第一項中「とき」とあるのは「とき(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第六十条及び第六十一条(これらの規定を同法第九十三条(同法第九十六条第一項において準用する場合を含む。次項において同じ。)において準用する場合を含む。)の方法による実行をする権利を有するときを含む。)」と、同条第二項中「失う」とあるのは「失う。この場合において、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第二条第三号に規定する譲渡担保権(同条第八号に規定する動産譲渡担保権を除く。)を有する者にあっては、同法第九十三条において準用する同法第六十条第一項に規定する帰属清算の通知がされ、かつ、前項の期間の満了時に当該帰属清算の通知の日から二週間が経過したものとみなす」とする。

2 譲渡担保権(破産者が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有し、かつ、その権利が破産財団に属しないものに限る。)を有する者については、破産法中同法第百八条第二項に規定する質権を有する者に関する規定を準用する。

3 譲渡担保権(再生債務者が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有するものに限る。)を有する者については、民事再生法中再生債務者財産につき質権を有する者に関する規定を適用する。この場合において、同法第三十一条第一項中「債権を目的とする質権」とあるのは「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第二条第三号に規定する譲渡担保権(以下この条において単に「譲渡担保権」という。)」と、同条第三項、第四項及び第九項中「債権を目的とする質権」とあるのは「譲渡担保権」とする。

4 譲渡担保権(開始前会社(会社更生法第二条第六項に規定する開始前会社又は更生特例法第百六十九条第六項に規定する開始前会社をいう。以下この項及び第百一条第一項において同じ。)若しくは更生会社(会社更生法第二条第七項に規定する更生会社又は更生特例法第百六十九条第七項に規定する更生会社をいう。)又は開始前協同組織金融機関(更生特例法第四条第六項に規定する開始前協同組織金融機関をいう。以下この項及び第百一条において同じ。)若しくは更生協同組織金融機関(更生特例法第四条第七項に規定する更生協同組織金融機関をいう。)が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有するものに限る。)を有する者については、会社更生法及び更生特例法中開始前会社の財産若しくは更生会社財産又は開始前協同組織金融機関の財産若しくは更生協同組織金融機関財産につき質権を有する者に関する規定を適用する。この場合において、会社更生法第二十四条第一項(同法第四十四条第二項並びに更生特例法第十九条(更生特例法第三十一条において準用する同項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)及び第百八十四条(更生特例法第百九十六条において準用する会社更生法第四十四条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)において準用する場合を含む。)中「債権を目的とする質権の」とあるのは「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第二条第三号に規定する譲渡担保権(第十項において単に「譲渡担保権」という。)の」と、会社更生法第二十四条第十項(同法第四十四条第二項並びに更生特例法第十九条及び第百八十四条において準用する場合を含む。)中「債権を目的とする質権」とあるのは「譲渡担保権」とする。

5 譲渡担保権(特別清算開始の命令を受けた清算株式会社が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有するものに限る。)を有する者については、会社法(平成十七年法律第八十六号)第二編第九章及び第七編第三章第三節中特別清算開始の命令を受けた清算株式会社の財産につき質権を有する者に関する規定(譲渡担保権(動産譲渡担保権を除く。)を有する者にあっては、同法第五百三十八条第二項から第四項までの規定を除く。)を適用する。この場合において、同法第五百十六条第一項中「債権を目的とする質権」とあるのは「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第二条第三号に規定する譲渡担保権(以下この節及び第八百九十一条において単に「譲渡担保権」という。)」と、同条第三項並びに同法第八百九十一条第一項及び第二項中「債権を目的とする質権」とあるのは「譲渡担保権」と、同法第五百三十九条第一項中「とき」とあるのは「とき(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第六十条及び第六十一条(これらの規定を同法第九十三条(同法第九十六条第一項において準用する場合を含む。次項において同じ。)において準用する場合を含む。)の方法による実行をする権利を有するときを含む。)」と、同条第二項中「失う」とあるのは「失う。この場合において、譲渡担保権(譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第二条第八号に規定する動産譲渡担保権を除く。)を有する者にあっては、同法第九十三条において準用する同法第六十条第一項に規定する帰属清算の通知がされ、かつ、前項の期間の満了時に当該帰属清算の通知の日から二週間が経過したものとみなす」とする。

6 譲渡担保権(承認援助手続に係る債務者が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有するものに限る。)を有する者については、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号。以下この節において「承認援助法」という。)中承認援助手続に係る債務者の財産につき質権を有する者に関する規定を適用する。この場合において、承認援助法第二十七条第一項中「債権を目的とする質権」とあるのは「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第二条第三号に規定する譲渡担保権(以下この条において単に「譲渡担保権」という。)」と、同条第五項、第六項及び第十一項中「債権を目的とする質権」とあるのは「譲渡担保権」とする。

第九十八条 破産法第百九十六条第三項及び第百九十八条第四項(これらの規定を同法第二百五条において準用する場合を含む。)の規定は、根譲渡担保権(破産者が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有し、かつ、その権利が破産財団に属するもので、極度額の定めがあるものに限る。)について準用する。

2 破産法第百九十六条第四項及び第百九十八条第四項(これらの規定を同法第二百五条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定は、根譲渡担保権(破産者が譲渡担保権設定者としてその目的である財産について権利を有し、かつ、その権利が破産財団に属しないもので、極度額の定めがあるものに限る。)について準用する。この場合において、同法第百九十六条第四項中「第百八条第二項」とあるのは、「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第九十七条第二項において準用する第百八条第二項」と読み替えるものとする。

3 民事再生法第百四十八条第六項及び第七項、第百六十条第二項、第百六十五条第二項並びに第百八十二条ただし書(極度額の定めがない根譲渡担保権にあっては、同法第百四十八条第六項及び第七項)の規定は、根譲渡担保権について準用する。この場合において、同法第百四十八条第七項中「民法第三百九十八条の二十第二項」とあるのは、「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第二十六条第二項」と読み替えるものとする。

4 会社更生法第百四条第七項及び第八項(これらの規定を更生特例法第六十四条及び第二百三十条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定は、根譲渡担保権について準用する。この場合において、会社更生法第百四条第八項中「民法第三百九十八条の二十第二項」とあるのは、「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第二十六条第二項」と読み替えるものとする。

 (再生手続における担保権の実行手続の取消命令)

第九十九条 裁判所(再生事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。以下この条及び次条第一項において同じ。)は、再生手続開始の申立てがあった場合において、再生債権者の一般の利益に適合し、譲渡担保権者に不当な損害を及ぼすおそれがなく、かつ、再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、民事再生法第二条第二号に規定する再生債務者等(同法第七十九条第二項の規定により保全管理人が選任されている場合にあっては、当該保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第六十六条第一項の規定による通知、動産特定範囲に属する動産に係る担保権の実行としての競売の手続又は第九十四条本文の規定による通知の取消しを命ずることができる。ただし、その譲渡担保権によって担保される債権が再生手続における共益債権又は一般優先債権(同法第百二十二条第一項に規定する一般優先債権をいう。第百七条第四項第二号において同じ。)であるときは、この限りでない。

2 前項の規定による取消しの命令は、その発令前にされた第六十条第一項(第九十三条において準用する場合を含む。第百一条第二項及び第百三条第二項において同じ。)に規定する帰属清算の通知、第六十一条第一項(第九十三条において準用する場合を含む。第百一条第二項及び第百三条第二項において同じ。)に規定する処分清算譲渡、第九十二条第一項前段の規定による取立て又は集合動産譲渡担保権設定者による動産特定範囲に属する動産の処分の効力を妨げない。

3 裁判所は、第一項の規定による取消しの命令を発した場合には、速やかに、譲渡担保権者の意見を聴かなければならない。ただし、あらかじめ譲渡担保権者の意見を聴いたときは、この限りでない。

4 裁判所は、第一項の規定による取消しの命令を変更し、又は取り消すことができる。

5 第一項の規定による取消しの命令及び前項の規定による変更の決定に対しては、譲渡担保権者に限り、即時抗告をすることができる。

6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

7 第五項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その電子裁判書(民事再生法第十八条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、民事再生法第十八条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものをいう。)を当事者に送達しなければならない。

8 再生債務者が集合動産譲渡担保権設定者又は集合債権譲渡担保権設定者である場合における民事再生法第十六条の四及び第三十二条の規定の適用については、同法第十六条の四第一号中「第百九十七条第一項の規定による中止の命令」とあるのは「第百九十七条第一項の規定による中止の命令、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第九十九条第一項の規定による取消しの命令」と、同法第三十二条中「又は第百九十七条第一項の規定による中止の命令」とあるのは「、第百九十七条第一項の規定による中止の命令又は譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第九十九条第一項の規定による取消しの命令」とする。

第百条 裁判所が前条第一項の規定による取消しの命令を発した場合における民事再生法第九条の規定の適用については、同条中「この法律」とあるのは、「この法律及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)」とする。

2 前条第一項の申立てがあった場合における民事再生法第十六条及び第十六条の二の規定の適用については、同法第十六条第一項中「同じ。)」とあるのは「同じ。)及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)」と、同法第十六条の二第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」とする。

 (更生手続における担保権の実行手続の取消命令)

第百一条 裁判所(更生事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。第三項及び次条第一項において同じ。)は、更生手続開始の申立てがあった時から当該申立てについての決定があるまでの間において、開始前会社又は開始前協同組織金融機関の事業の継続のために特に必要があると認めるときは、開始前会社又は開始前協同組織金融機関(会社更生法第三十条第二項又は更生特例法第二十二条第二項若しくは第百八十七条第二項の規定により保全管理人が選任されている場合にあっては、当該保全管理人)の申立てにより、担保を立てさせて、第六十六条第一項の規定による通知又は第九十四条本文の規定による通知の取消しを命ずることができる。ただし、譲渡担保権者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合に限る。

2 前項の規定による取消しの命令及び第九十七条第四項の規定により適用する会社更生法第二十四条第六項(第九十七条第四項の規定により適用する同法第四十四条第二項並びに更生特例法第十九条(第九十七条第四項の規定により適用する更生特例法第三十一条において準用する会社更生法第四十四条第二項において準用する場合を含む。)及び第百八十四条(第九十七条第四項の規定により適用する更生特例法第百九十六条において準用する会社更生法第四十四条第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による取消しの命令(動産特定範囲に属する動産に係る担保権の実行としての競売の手続に係るものに限る。)は、その発令前にされた第六十条第一項に規定する帰属清算の通知、第六十一条第一項に規定する処分清算譲渡、第九十二条第一項前段の規定による取立て又は集合動産譲渡担保権設定者による動産特定範囲に属する動産の処分の効力を妨げない。

3 裁判所は、第一項の規定による取消しの命令を変更し、又は取り消すことができる。

4 第一項の規定による取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

5 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

6 第四項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その電子裁判書(会社更生法第十三条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、会社更生法第十三条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたもの又は更生特例法第十二条(更生特例法第百七十八条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、更生特例法第十二条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものをいう。)を当事者に送達しなければならない。

7 前各項の規定は、更生手続開始の申立てを棄却する決定に対して会社更生法第四十四条第一項(更生特例法第三十一条及び第百九十六条において準用する場合を含む。)の即時抗告があった場合について準用する。

8 開始前会社(会社更生法第二条第六項に規定する開始前会社をいう。)が集合動産譲渡担保権設定者又は集合債権譲渡担保権設定者である場合における同法第十一条の四及び第二十三条の規定の適用については、同法第十一条の四第一号中「第三十九条の二第一項の規定による保全処分」とあるのは「第三十九条の二第一項の規定による保全処分、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第百一条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。第二十三条において同じ。)の規定による取消しの命令」と、同法第二十三条中「又は第三十九条の二第一項の規定による保全処分」とあるのは「、第三十九条の二第一項の規定による保全処分又は譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第百一条第一項の規定による取消しの命令」とする。

9 開始前協同組織金融機関が集合動産譲渡担保権設定者又は集合債権譲渡担保権設定者である場合における更生特例法第十一条及び第十八条の規定の適用については、更生特例法第十一条中「第三十九条の二第一項」とあるのは「第三十九条の二第一項の規定による保全処分」と、「第二十九条の二第一項」とあるのは「第二十九条の二第一項の規定による保全処分、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第百一条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による取消しの命令」と、更生特例法第十八条中「第三十九条の二第一項」とあるのは「又は第三十九条の二第一項の規定による保全処分」と、「更生特例法第二十九条の二第一項」とあるのは「、更生特例法第二十九条の二第一項の規定による保全処分又は譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第百一条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による取消しの命令」とする。

10 開始前会社(更生特例法第百六十九条第六項に規定する開始前会社をいう。)が集合動産譲渡担保権設定者又は集合債権譲渡担保権設定者である場合における更生特例法第百七十七条及び第百八十三条の規定の適用については、更生特例法第百七十七条中「第三十九条の二第一項」とあるのは「第三十九条の二第一項の規定による保全処分」と、「第百九十四条の二第一項」とあるのは「第百九十四条の二第一項の規定による保全処分、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第百一条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による取消しの命令」と、更生特例法第百八十三条中「第三十九条の二第一項」とあるのは「又は第三十九条の二第一項の規定による保全処分」と、「更生特例法第百九十四条の二第一項」とあるのは「、更生特例法第百九十四条の二第一項の規定による保全処分又は譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律第百一条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)の規定による取消しの命令」とする。

第百二条 裁判所が前条第一項の規定による取消しの命令を発した場合における会社更生法第九条(更生特例法第九条及び第百七十四条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用については、会社更生法第九条中「この法律」とあるのは、「この法律及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)」とする。

2 前条第一項の申立てがあった場合における会社更生法第十一条及び第十一条の二の規定の適用については、同法第十一条第一項中「同じ。)」とあるのは「同じ。)及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)」と、同法第十一条の二第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」とする。

3 前条第一項の申立てがあった場合における更生特例法第十一条及び第百七十七条の規定の適用については、更生特例法第十一条中「及び第十一条の二第一項中「この法律」とあるのは「更生特例法」とあるのは「中「この法律」とあるのは「更生特例法」と、「同じ。)」とあるのは「同じ。)及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)」と、同法第十一条の二第一項中「この法律」とあるのは「更生特例法及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」と、更生特例法第百七十七条中「及び第十一条の二第一項中「この法律」とあるのは「更生特例法」とあるのは「中「この法律」とあるのは「更生特例法」と、「同じ。)」とあるのは「同じ。)及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」と、同法第十一条の二第一項中「この法律」とあるのは「更生特例法及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」とする。

 (承認援助手続における担保権の実行手続の取消命令)

第百三条 裁判所(承認援助事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。以下この条及び次条第一項において同じ。)は、債権者の一般の利益に適合し、譲渡担保権者に不当な損害を及ぼすおそれがなく、かつ、承認援助手続の目的を達成するために特に必要があると認めるときは、債務者(外国管財人(承認援助法第二条第一項第七号に規定する外国管財人をいう。)がない場合に限る。)又は承認管財人(承認援助法第二条第一項第九号に規定する承認管財人をいう。)の申立てにより、担保を立てさせて、外国倒産処理手続の承認の決定と同時に又はその決定後、第六十六条第一項の規定による通知、動産特定範囲に属する動産に係る担保権の実行としての競売の手続又は第九十四条本文の規定による通知の取消しを命ずることができる。

2 前項の規定による取消しの命令は、その発令前にされた第六十条第一項に規定する帰属清算の通知、第六十一条第一項に規定する処分清算譲渡、第九十二条第一項前段の規定による取立て又は集合動産譲渡担保権設定者による動産特定範囲に属する動産の処分の効力を妨げない。

3 裁判所は、第一項の規定による取消しの命令を発した場合には、速やかに、譲渡担保権者の意見を聴かなければならない。ただし、あらかじめ譲渡担保権者の意見を聴いたときは、この限りでない。

4 裁判所は、第一項の規定による取消しの命令を変更し、又は取り消すことができる。

5 第一項の規定による取消しの命令及び前項の規定による変更の決定に対しては、譲渡担保権者に限り、即時抗告をすることができる。

6 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

7 第五項に規定する裁判及び同項の即時抗告についての裁判があった場合には、その電子裁判書(承認援助法第十五条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、承認援助法第十五条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものをいう。)を当事者に送達しなければならない。

8 外国倒産処理手続の承認の決定を取り消す決定が確定したときは、第一項の規定による取消しの命令は、その効力を失う。

9 集合動産譲渡担保権設定者又は集合債権譲渡担保権設定者について外国倒産処理手続の承認の決定があった場合における承認援助法第三十一条の規定の適用については、同条第一項第一号中「又は第五十七条第二項」とあるのは「、第五十七条第二項」と、「第六十三条第一項の規定による中止の命令」とあるのは「第六十三条第一項の規定による中止の命令又は譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)第百三条第一項の規定による取消しの命令」とする。

第百四条 裁判所が前条第一項の規定による取消しの命令を発した場合における承認援助法第七条の規定の適用については、同条中「この法律」とあるのは、「この法律及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)」とする。

2 前条第一項の申立てがあった場合における承認援助法第十三条の規定の適用については、同条第一項及び第四項中「又は第十五条」とあるのは「、第十五条」と、同条第一項中「民事訴訟法」とあるのは「民事訴訟法又は譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(令和七年法律第▼▼▼号)」と、同条第四項中「民事訴訟法」とあるのは「民事訴訟法又は譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」とする。

 (再生手続開始の申立て等を権限の消滅事由とする特約の無効)

第百五条 次に掲げる場合に集合動産譲渡担保権設定者が動産特定範囲に属する動産の処分をすることができない旨の特約又は次に掲げる場合に集合債権譲渡担保権設定者が債権特定範囲に属する債権を取り立てることができない旨の特約は、無効とする。

 一 集合動産譲渡担保権設定者又は集合債権譲渡担保権設定者について再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあったとき。

 二 集合動産譲渡担保権設定者又は集合債権譲渡担保権設定者に再生手続開始の原因となる事実(支払不能(その者が法人である場合(破産法第十六条第二項の場合を除く。)にあっては、支払不能又は債務超過(その者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)とする。以下この号において同じ。)が生ずるおそれがある場合又はその者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができない場合のいずれかに該当する事実をいう。第百十条第二号において同じ。)又は更生手続開始の原因となる事実(支払不能が生ずるおそれがある場合又はその者が弁済期にある債務を弁済することとすれば、その事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合のいずれかに該当する事実をいう。同号において同じ。)が生じたとき。

 (破産手続開始決定等後の集合動産譲渡担保権の効力)

第百六条 集合動産譲渡担保権設定者について破産手続開始の決定、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定又は特別清算開始の命令があった場合には、第六十六条第一項の規定による通知があったものとみなして、同条第二項から第四項まで及び第六項の規定を適用する。

 (破産手続開始決定等後の集合債権譲渡担保権の効力)

第百七条 集合債権譲渡担保権設定者について破産手続開始の決定又は特別清算開始の命令があったときは、集合債権譲渡担保権は、その後に発生した債権には及ばない。

2 集合債権譲渡担保権設定者について再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定があったときも、前項と同様とする。ただし、集合債権譲渡担保契約に別段の定めがある場合は、この限りでない。

3 第一項又は前項本文に規定する場合には、第九十四条本文の規定による通知があったものとみなして、同条の規定を適用する。

4 第二項ただし書に規定する場合において、集合債権譲渡担保権設定者についての再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定後に第九条第一項若しくは第三項、第九十二条第一項前段又は第九十三条において準用する第六十条第一項若しくは第六十一条第一項の規定により集合債権譲渡担保権の被担保債権の全部又は一部が消滅したときは、再生債務者である集合債権譲渡担保権設定者若しくは再生手続における管財人又は更生手続における管財人は、次に掲げる債権を弁済するために支出した金額(消滅した被担保債権の額を限度とする。)を集合債権譲渡担保権者から償還させることができる。この場合において、当該金額の被担保債権は、消滅しなかったものとみなす。

 一 再生手続又は更生手続における共益債権

 二 一般優先債権

 三 民事再生法第八十五条第五項に基づき弁済をすることの許可を受けた再生債権又は会社更生法第四十七条第五項(更生特例法第三十四条及び第百九十九条において準用する場合を含む。)に基づき弁済をすることの許可を受けた更生債権

5 第七十一条第二項の規定は、前項前段の場合において、集合債権譲渡担保権が複数あるときについて準用する。この場合において、同条第二項中「同項の義務」とあるのは、「第百七条第四項前段の規定による償還の義務」と読み替えるものとする。

 (動産特定範囲に動産を属させる行為に関する否認等)

第百八条 集合動産譲渡担保権設定者が動産を動産特定範囲に属させた場合において、専ら集合動産譲渡担保権者に弁済を受けさせる目的でしたときは、その動産を目的とする担保の供与があったものとみなして、破産法第百六十二条第一項、第二百三十五条第一項、第二百五十二条第一項(第三号に係る部分に限る。)及び第二百六十六条、民事再生法第百二十七条の三第一項、第百九十条第五項及び第二百五十六条、会社更生法第八十六条の三第一項及び第二百六十七条並びに更生特例法第五十七条の三第一項、第二百二十三条の三第一項及び第五百五十条の規定を適用する。

2 集合債権譲渡担保権設定者が債権特定範囲に属する債権を発生させた場合において、専ら集合債権譲渡担保権者に弁済を受けさせる目的でしたときは、その債権を目的とする担保の供与があったものとみなして、破産法第百六十二条第一項、第二百三十五条第一項、第二百五十二条第一項(第三号に係る部分に限る。)及び第二百六十六条、民事再生法第百二十七条の三第一項、第百九十条第五項及び第二百五十六条、会社更生法第八十六条の三第一項及び第二百六十七条並びに更生特例法第五十七条の三第一項、第二百二十三条の三第一項及び第五百五十条の規定を適用する。

   第三章 所有権留保契約

 (動産の所有権の留保の対抗要件)

第百九条 所有権留保契約に基づく動産の所有権の留保は、所有権留保動産の留保買主等から留保売主等への引渡し(登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない動産にあっては、留保売主等を所有者とする登記又は登録)がなければ、第三者に対抗することができない。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる債務(その利息、違約金、留保所有権の実行の費用及び債務の不履行によって生じた損害の賠償を含む。)のみを担保するために締結された所有権留保契約に基づく動産の所有権の留保は、所有権留保動産(登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない動産を除く。以下この項において同じ。)の引渡しがなくても、第三者に対抗することができる。

 一 第二条第十六号イに規定する所有権留保契約における所有権留保動産の代金の支払債務

 二 第二条第十六号ロに規定する所有権留保契約における償還債務(所有権留保動産の代金の支払債務を履行したことによって生ずるものに限る。)

 (再生手続開始の申立て等を解除事由とする特約等の無効)

第百十条 次に掲げる場合に所有権留保契約(第二条第十六号イに規定するものに限る。以下この条において同じ。)が解除される旨の特約又は次に掲げる場合に該当することを理由として留保売主等に対し所有権留保契約の解除権を付与する特約は、無効とする。

 一 留保買主等について再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあったとき。

 二 留保買主等に再生手続開始の原因となる事実又は更生手続開始の原因となる事実が生じたとき。

 (譲渡担保契約の規定の準用等)

第百十一条 前章(第三十一条第一項、第三十八条、第一節第三款及び第四款並びに第二節第二款及び第三款を除く。)の規定(動産譲渡担保契約に係る部分に限る。)は、留保所有権について準用する。この場合において、これらの規定中「根譲渡担保契約」とあるのは「根所有権留保契約」と、「根譲渡担保権者」とあるのは「根留保売主等」と、「根譲渡担保権設定者」とあるのは「根留保買主等」と、「集合動産譲渡担保契約」とあるのは「集合動産所有権留保契約」と、「集合動産譲渡担保権者」とあるのは「集合動産留保売主等」と、「集合動産譲渡担保権設定者」とあるのは「集合動産留保買主等」と、「動産譲渡担保権当初設定者」とあるのは「当初留保買主等」と、「転動産譲渡担保権者」とあるのは「第百十一条第二項において読み替えて準用する第三十八条第二項に規定する留保所有権を目的とする譲渡担保権の設定を受けた者」と読み替えるほか、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第十四条

根譲渡担保権」

根留保所有権」

 

根譲渡担保権の

根留保所有権の

 

根譲渡担保権を

根留保所有権を

第十五条、第十六条並びに第十七条第一項及び第二項

根譲渡担保権

根留保所有権

第十八条

根譲渡担保権を

根留保所有権を

第十九条第一項及び第二項並びに第二十条第一項及び第二項

根譲渡担保権は

根留保所有権は

第二十一条第一項

その根譲渡担保権

その根留保所有権

第二十一条第二項

その根譲渡担保権

その根留保所有権

 

根譲渡担保権に

根留保所有権に

第二十一条第三項

根譲渡担保権

根留保所有権

第二十二条

その根譲渡担保権

その根留保所有権

 

根譲渡担保権を

根留保所有権を

第二十三条第一項及び第二十四条

根譲渡担保権

根留保所有権

第二十五条第一項

の譲渡

の所有権の留保

第二十六条第一項

、根譲渡担保権

、根留保所有権

第二十六条第一項第三号イ、ロ及びハ

根譲渡担保権が

根留保所有権が

 

集合動産譲渡担保権

集合動産留保所有権

 

根譲渡担保権に

根留保所有権に

第二十六条第一項第四号及び第六号

動産を目的とする根譲渡担保権

根留保所有権

第二十六条第一項第七号

集合動産譲渡担保権である根譲渡担保権

集合動産留保所有権である根留保所有権

第二十六条第一項第八号

集合動産譲渡担保権

集合動産留保所有権

 

根譲渡担保権

根留保所有権

第二十六条第一項第十一号及び第十二号

動産を目的とする根譲渡担保権

根留保所有権

第二十六条第二項ただし書

根譲渡担保権

根留保所有権

第三十一条第二項

前項

第百九条第二項

 

の譲渡

の所有権の留保

第三十五条

の譲渡

の所有権の留保

第三十六条

第三条第一項

第十三条の二第一項において準用する特例法第三条第一項

第三十七条

牽連性のある金銭債務を担保する動産譲渡担保権は、牽連性のある金銭債務

第百九条第二項に規定する債務を担保する留保所有権は、当該債務

第三十七条第一号及び第二号

集合動産譲渡担保権

集合動産留保所有権

第三十九条第一項

の譲渡

の所有権の留保

第三十九条第三項

第三条第一項

第十三条の二第一項において準用する特例法第三条第一項

第四十一条第一項

集合動産譲渡担保権」

集合動産留保所有権」

第四十一条第二項

集合動産譲渡担保権と

集合動産留保所有権と

 

集合動産譲渡担保権を

集合動産留保所有権を

 

譲渡担保動産を譲渡した者

被担保債権に係る債務の全部の履行がされた場合に所有権留保動産の所有権の移転を受ける者

 

集合動産譲渡担保権に

集合動産留保所有権に

第四十四条

集合動産譲渡担保権を

集合動産留保所有権を

第六十四条第一項

の譲渡

の所有権の留保

 

動産譲渡登記(特例法第三条第二項に規定する動産譲渡登記

所有権留保登記(特例法第十三条の二第一項に規定する所有権留保登記

 

その動産譲渡登記

その所有権留保登記

 

第十条の五第三項

第十三条の二第一項において準用する特例法第十条の五第三項

 

同条第四項

特例法第十三条の二第一項において準用する特例法第十条の五第四項

 

動産譲渡登記又は所有権留保登記(特例法第十三条の二第一項に規定する所有権留保登記をいう。)

動産譲渡登記(特例法第三条第二項に規定する動産譲渡登記をいう。)又は所有権留保登記

第六十六条第一項

集合動産譲渡担保権の

集合動産留保所有権の

第六十六条第二項

集合動産譲渡担保権及び当該集合動産譲渡担保権に競合する集合動産譲渡担保権

集合動産留保所有権及び当該集合動産留保所有権に競合する集合動産留保所有権

 

集合動産譲渡担保権に係る

集合動産留保所有権に係る

第六十六条第三項

集合動産譲渡担保権が

集合動産留保所有権が

第六十六条第五項

集合動産譲渡担保権に

集合動産留保所有権に

第六十七条

集合動産譲渡担保権に

集合動産留保所有権に

 

集合動産譲渡担保権を

集合動産留保所有権を

第六十九条第一項

集合動産譲渡担保権に

集合動産留保所有権に

 

集合動産譲渡担保権は

集合動産留保所有権は

第六十九条第二項

集合動産譲渡担保権に

集合動産留保所有権に

 

集合動産譲渡担保権が

集合動産留保所有権が

第六十九条第三項

集合動産譲渡担保権に

集合動産留保所有権に

第七十条第一項

集合動産譲渡担保権

集合動産留保所有権

第七十一条第一項

集合動産譲渡担保権の

集合動産留保所有権の

第七十一条第一項第二号

集合動産譲渡担保権(集合動産譲渡担保権

集合動産留保所有権(集合動産留保所有権

第七十一条第二項

集合動産譲渡担保権が

集合動産留保所有権が

 

集合動産譲渡担保権の

集合動産留保所有権の

第七十一条第二項第一号

集合動産譲渡担保権に

集合動産留保所有権に

第七十五条第一項

第三者(以下この項及び第八十八条において「動産譲渡担保権者等」という。)

第三者

 

動産譲渡担保権者等が

留保売主等又は処分清算譲渡を受けた第三者が

第七十八条第一項

第三者(以下この項及び次項において「動産譲渡担保権者等」という。)

第三者

 

動産譲渡担保権者等に

帰属清算の通知若しくは処分清算譲渡をした留保売主等又は処分清算譲渡を受けた第三者に

第七十八条第二項

動産譲渡担保権者等

帰属清算の通知若しくは処分清算譲渡をした留保売主等又は処分清算譲渡を受けた第三者

第八十八条第一項及び第三項

動産譲渡担保権者等

留保売主等又は第三者(処分清算譲渡を受けた者に限る。)

第九十条

第八十二条第一項

第百十一条第一項において準用する第八十二条第一項

第九十七条第一項

第六十条及び第六十一条(これらの規定を同法第九十三条(同法第九十六条第一項において準用する場合を含む。次項において同じ。)において準用する場合を含む。)

第百十一条第一項において準用する同法第六十条及び第六十一条

第九十七条第三項

第二条第三号に規定する譲渡担保権(以下この条において単に「譲渡担保権

第二条第十八号に規定する留保所有権(以下この条において単に「留保所有権

 

譲渡担保権」とする

留保所有権」とする

第九十七条第四項

第二条第三号に規定する譲渡担保権(第十項において単に「譲渡担保権

第二条第十八号に規定する留保所有権(第十項において単に「留保所有権

 

譲渡担保権」とする

留保所有権」とする

第九十七条第五項

第二条第三号に規定する譲渡担保権(以下この節及び第八百九十一条において単に「譲渡担保権

第二条第十八号に規定する留保所有権(以下この節及び第八百九十一条において単に「留保所有権

 

譲渡担保権」と、

留保所有権」と、

 

第六十条及び第六十一条(これらの規定を同法第九十三条(同法第九十六条第一項において準用する場合を含む。次項において同じ。)において準用する場合を含む。)

第百十一条第一項において準用する同法第六十条及び第六十一条

第九十七条第六項

第二条第三号に規定する譲渡担保権(以下この条において単に「譲渡担保権

第二条第十八号に規定する留保所有権(以下この条において単に「留保所有権

 

譲渡担保権」とする

留保所有権」とする

第九十八条第一項及び第二項

根譲渡担保権

根留保所有権

第九十八条第二項

第九十七条第二項

第百十一条第一項において準用する同法第九十七条第二項

第九十八条第三項及び第四項

根譲渡担保権

根留保所有権

 

第二十六条第二項

第百十一条第一項において準用する同法第二十六条第二項

第九十九条第八項

第九十九条第一項

第百十一条第一項において準用する同法第九十九条第一項

第百一条第八項

第百一条第一項

第百十一条第一項において準用する同法第百一条第一項

 

同条第七項

同法第百十一条第一項において準用する同法第百一条第七項

第百一条第九項及び第十項

第百一条第一項(同条第七項

第百十一条第一項において準用する同法第百一条第一項(同法第百十一条第一項において準用する同法第百一条第七項

第百三条第九項

第百三条第一項

第百十一条第一項において準用する同法第百三条第一項

2 第三十八条の規定は、留保所有権を譲渡担保契約の目的とする場合について準用する。この場合において、同条第二項中「譲渡担保契約に基づく動産譲渡担保権の譲渡(以下この条において「転動産譲渡担保権の設定」とあるのは「譲渡担保契約に基づく留保所有権の譲渡(以下この条において「留保所有権を目的とする譲渡担保権の設定」と、同条第三項、第四項、第六項及び第七項中「転動産譲渡担保権の設定」とあるのは「留保所有権を目的とする譲渡担保権の設定」と、同条第三項中「者(以下この条及び次節において「転動産譲渡担保権者」という。)の」とあるのは「者の」と、同条第五項及び第七項中「転動産譲渡担保権者」とあるのは「留保所有権を目的とする譲渡担保権の設定を受けた者」と、同条第六項中「根譲渡担保権」とあるのは「根留保所有権」と読み替えるものとする。

3 同一の動産について動産譲渡担保権と留保所有権とが競合する場合においては、これを同一の動産について数個の動産譲渡担保権が互いに競合する場合とみなして、第九条第三項、第十七条第二項、第二十六条第一項(第六号、第八号及び第十二号に係る部分に限る。)、第三十二条、第三十三条、第三十四条第二項、第三十六条第一項、第三十七条、第四十一条第二項、第六十二条第一項から第三項まで、第六十五条第二項、第六十六条第二項及び第六項、第六十七条、第六十九条第一項及び第五項(第七十条第二項において準用する場合を含む。)、第七十条第一項、第七十一条、第七十三条並びに第七十七条の規定を適用する。この場合において、第三十四条第二項中「前項の場合」とあるのは「前項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定により動産譲渡担保権者及び留保売主等が民法第三百三十条の規定による第一順位の先取特権者と同一の権利を有することとされる場合」と、第三十六条第一項中「第三条第一項」とあるのは「第三条第一項(特例法第十三条の二第一項において準用する場合を含む。)」と、第六十二条第一項及び第三項、第六十七条並びに第七十七条中「転動産譲渡担保権者」とあるのは「転動産譲渡担保権者及び第百十一条第二項において読み替えて準用する第三十八条第二項に規定する留保所有権を目的とする譲渡担保権の設定を受けた者」とする。

   第四章 罰則

第百十二条 第七十五条第一項(第一号に係る部分に限る。)(前条第一項において準用する場合を含む。)の規定による命令に基づき執行官が公示するために施した公示書その他の標識を損壊した者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第三十八条の規定 公布の日

 二 附則第二十五条から第三十七条までの規定 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和五年法律第五十三号)の施行の日(以下「民事関係手続等整備法施行日」という。)

 (経過措置の原則)

第二条 この法律の規定は、この附則に特別の定めがある場合を除き、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に締結された譲渡担保契約及び所有権留保契約についても適用する。ただし、施行日前に生じた効力を妨げない。

 (根譲渡担保権等の元本確定期日の定めに関する経過措置)

第三条 第十七条第三項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前にされた根譲渡担保権又は第百十一条第一項において読み替えて準用する第十四条に規定する根留保所有権の担保すべき元本の確定すべき期日の定め及び変更については、適用しない。

 (牽連性のある金銭債務のみを担保するための動産の譲渡の対抗力に関する経過措置)

第四条 第三十一条第一項の規定は、施行日前に締結された動産譲渡担保契約に基づく動産の譲渡については、適用しない。

 (占有改定で対抗要件を備えた動産譲渡担保権等の順位の特例等に関する経過措置)

第五条 動産譲渡担保権が施行日前に占有改定で譲渡担保動産の引渡しを受けることにより対抗要件を備えたものである場合において、施行日から起算して二年を経過する日までの間に当該動産譲渡担保権に係る動産譲渡担保契約に基づく動産の譲渡につき特例法第三条第二項に規定する動産譲渡登記(この項の適用を受ける譲渡担保である旨を登記原因として記録したものに限る。)がされたときは、当該動産譲渡担保権は、第三十六条第一項及び第三十七条(これらの規定を第百十一条第三項の規定により適用する場合を含む。)並びに第三十九条第二項の規定の適用については、当該引渡しの時に、占有改定以外の方法で譲渡担保動産の引渡しを受けることにより対抗要件を備えたものとみなす。

2 前項の規定は、留保所有権が施行日前に占有改定で所有権留保動産の第百九条第一項の引渡しを受けることにより対抗要件を備えたものである場合において、施行日から起算して二年を経過する日までの間に当該留保所有権に係る所有権留保契約に基づく動産の所有権の留保につき特例法第十三条の二第一項に規定する所有権留保登記(この項の適用を受ける所有権留保である旨を登記原因として記録したものに限る。)がされたときについて準用する。この場合において、前項中「第三十六条第一項及び第三十七条(これらの規定を第百十一条第三項の規定により適用する場合を含む。)並びに第三十九条第二項」とあるのは、「第百十一条第一項において準用する第三十六条第一項及び第三十七条(これらの規定を第百十一条第三項の規定により適用する場合を含む。)並びに第三十九条第二項」と読み替えるものとする。

 (詐害行為取消請求に関する経過措置)

第六条 第四十五条(第五十四条第二項及び第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定により適用する民法第四百二十四条の三の規定は、施行日前にされた動産を動産特定範囲に属させる行為及び債権特定範囲に属する債権を発生させる行為については、適用しない。

 (集合動産譲渡担保権の実行等に関する経過措置)

第七条 第六十六条第六項及び第六十九条第五項(第七十条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)(これらの規定を第百十一条第一項において準用する場合及び同条第三項の規定により適用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、施行日前にされた第六十六条第六項又は第六十九条第五項の特約については、適用しない。

 (集合動産譲渡担保権者等による超過分の金銭の組入義務等に関する経過措置)

第八条 第七十一条(第九十五条(第九十六条第一項において準用する場合を含む。)及び第百十一条第一項において準用する場合並びに同条第三項の規定により適用する場合を含む。)の規定は、施行日前に締結された集合動産譲渡担保契約、集合債権譲渡担保契約、その他の財産を目的とする譲渡担保契約及び集合動産所有権留保契約(第百十一条第一項において読み替えて準用する第四十一条第一項に規定する集合動産所有権留保契約をいう。附則第十四条第一項において同じ。)については、適用しない。

 (配当要求及び動産競売の申立てに関する経過措置)

第九条 第七十二条第一項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前にされた動産譲渡担保権者又は留保売主等による配当要求については、適用しない。

2 第七十二条第二項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前にされた動産譲渡担保権者又は留保売主等による担保権の実行としての競売の申立てについては、適用しない。

 (第三者異議の訴えに関する経過措置)

第十条 第七十三条(第百十一条第一項において準用する場合及び同条第三項の規定により適用する場合を含む。)の規定は、施行日前に提起された民事執行法第三十八条第一項(同法第百九十四条において準用する場合を含む。)に規定する第三者異議の訴えについては、適用しない。

 (売却に伴う動産譲渡担保権等の消滅に関する経過措置)

第十一条 第七十四条(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前に開始された強制執行、担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。)又は企業担保権の実行の事件については、適用しない。

 (再生手続等における担保権の実行手続の中止命令等に関する経過措置)

第十二条 第九十七条第三項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定により適用する民事再生法第三十一条及び第三十一条の二の規定は、施行日前にされた申立てに係る中止の命令及び施行日前に職権でされた中止の命令については、適用しない。

2 第九十七条第四項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定により適用する会社更生法第二十四条及び第二十四条の二(これらの規定を第九十七条第四項の規定により適用する同法第四十四条第二項並びに更生特例法第十九条(第九十七条第四項の規定により適用する更生特例法第三十一条において準用する会社更生法第四十四条第二項において準用する場合を含む。)及び第百八十四条(第九十七条第四項の規定により適用する更生特例法第百九十六条において準用する会社更生法第四十四条第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前にされた申立てに係る中止の命令及び施行日前に職権でされた中止の命令については、適用しない。

3 第九十七条第五項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定により適用する会社法第五百十六条、第五百十六条の二及び第八百九十一条の規定は、施行日前にされた申立てに係る中止の命令及び施行日前に職権でされた中止の命令については、適用しない。

4 第九十七条第六項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定により適用する外国倒産処理手続の承認援助に関する法律第二十七条及び第二十七条の二の規定は、施行日前にされた申立てに係る中止の命令及び施行日前に職権でされた中止の命令については、適用しない。

 (再生手続開始の申立て等を権限の消滅事由とする特約に関する経過措置)

第十三条 第百五条(第百十一条第一項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、施行日前にされた第百五条の特約については、適用しない。

 (破産手続開始決定等後の集合動産譲渡担保権の効力等に関する経過措置)

第十四条 第百六条(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日前に締結された集合動産譲渡担保契約に係る集合動産譲渡担保権及び集合動産所有権留保契約に係る集合動産留保所有権(第百十一条第一項において読み替えて準用する第四十一条第一項に規定する集合動産留保所有権をいう。)については、適用しない。

2 第百七条の規定は、施行日前に締結された集合債権譲渡担保契約に係る集合債権譲渡担保権については、適用しない。

 (否認等に関する経過措置)

第十五条 第百八条第一項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定により適用する破産法第百六十二条第一項、第二百三十五条第一項及び第二百五十二条第一項(第三号に係る部分に限る。)、民事再生法第百二十七条の三第一項及び第百九十条第五項、会社更生法第八十六条の三第一項並びに更生特例法第五十七条の三第一項及び第二百二十三条の三第一項の規定は、施行日前にされた動産を動産特定範囲に属させる行為については、適用しない。

2 第百八条第二項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定により適用する破産法第百六十二条第一項、第二百三十五条第一項及び第二百五十二条第一項(第三号に係る部分に限る。)、民事再生法第百二十七条の三第一項及び第百九十条第五項、会社更生法第八十六条の三第一項並びに更生特例法第五十七条の三第一項及び第二百二十三条の三第一項の規定は、施行日前にされた債権特定範囲に属する債権を発生させる行為については、適用しない。

 (再生手続開始の申立て等を解除事由とする特約等に関する経過措置)

第十六条 第百十条の規定は、施行日前にされた同条の特約については、適用しない。

 (罰則に関する経過措置)

第十七条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (裁判手続の電子化等に伴う経過措置)

第十八条 施行日から民事関係手続等整備法施行日の前日までの間は、第八十五条及び第九十条(これらの規定を第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は適用せず、次の表の上欄に掲げる規定(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第七十五条第三項

文書又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この目及び次節において同じ。)

文書

第七十五条第四項並びに第七十六条第三項及び第四項

文書又は電磁的記録

文書

第八十六条

交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供する

交付する

第九十九条第七項

電子裁判書(民事再生法第十八条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、民事再生法第十八条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものをいう。)

裁判書

第九十九条第八項

民事再生法第十六条の四

民事再生法第十六条

 

第十六条の四第一号

第十六条第四項第一号

第百条第二項

第十六条及び第十六条の二

第十六条

 

同法第十六条第一項中「同じ。)」とあるのは「同じ

同条第一項中「含む。)」とあるのは、「含む

 

と、同法第十六条の二第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」とする

とする

第百一条第六項(同条第七項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)

電子裁判書(会社更生法第十三条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、会社更生法第十三条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたもの又は更生特例法第十二条(更生特例法第百七十八条において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、更生特例法第十二条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものをいう。)

裁判書

第百一条第八項

第十一条の四及び

第十一条及び

 

第十一条の四第一号

第十一条第四項第一号

第百二条第二項

第十一条及び第十一条の二

第十一条

 

同法第十一条第一項中「同じ。)」とあるのは「同じ

同条第一項中「含む。)」とあるのは、「含む

 

と、同法第十一条の二第一項中「この法律」とあるのは「この法律及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」とする

とする

第百二条第三項

及び第十一条の二第一項中「この

中「この

 

同じ

含む

 

と、同法第十一条の二第一項中「この法律」とあるのは「更生特例法及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」と、更生特例法

と、更生特例法

 

と、同法第十一条の二第一項中「この法律」とあるのは「更生特例法及び譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」とする

とする

第百三条第七項

電子裁判書(承認援助法第十五条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、承認援助法第十五条において準用する民事訴訟法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものをいう。)

裁判書

第百四条第二項

同条第一項及び第四項

同条第一項

 

と、同条第一項中「民事訴訟法

と、「民事訴訟法

 

と、同条第四項中「民事訴訟法」とあるのは「民事訴訟法又は譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」とする

とする

第十九条 施行日から民事関係手続等整備法施行日の前日までの間の第二章第二節第一款第四目(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)に規定する手続(以下「実行のための裁判手続」という。)における期日の呼出し、公示送達、申立てその他の申述、裁判書の作成及び送達並びに民事訴訟法の準用については、次条から附則第二十四条までの規定を適用する。

 (期日の呼出し)

第二十条 実行のための裁判手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。

2 呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない者に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。ただし、その者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。

 (公示送達の方法)

第二十一条 実行のための裁判手続における公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。

 (電子情報処理組織による申立て等)

第二十二条 実行のための裁判手続における申立てその他の申述(以下この条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。

2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。

3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。

4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。

5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。

6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による事件の記録の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。

 (裁判書)

第二十三条 実行のための裁判手続に係る裁判の裁判書を作成する場合には、当該裁判書には、当該裁判に係る主文、当事者及び法定代理人並びに裁判所を記載しなければならない。

2 前項の裁判書を送達する場合には、当該送達は、当該裁判書の正本によってする。

 (民事訴訟法の準用)

第二十四条 特別の定めがある場合を除き、実行のための裁判手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編から第四編までの規定(同法第七十一条第二項、第九十一条の二、第九十二条第九項及び第十項、第九十二条の二第二項、第九十四条、第百条第二項、第一編第五章第四節第三款、第百十一条、同編第七章、第百三十三条の二第五項及び第六項、第百三十三条の三第二項、第百五十一条第三項、第百六十条第二項、第百八十五条第三項、第二百五条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項並びに第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

第百十二条第一項本文

前条の規定による措置を開始した

裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた

第百十二条第一項ただし書

前条の規定による措置を開始した

当該掲示を始めた

第百十三条

書類又は電磁的記録

書類

 

記載又は記録

記載

 

第百十一条の規定による措置を開始した

裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた

第百三十三条の三第一項

記載され、又は記録された書面又は電磁的記録

記載された書面

 

当該書面又は電磁的記録

当該書面

 

又は電磁的記録その他これに類する書面又は電磁的記録

その他これに類する書面

第百五十一条第二項

方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法

方法

第百六十条第一項

最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書(期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記録及び公証をするためにこの法律その他の法令の規定により裁判所書記官が作成する電磁的記録をいう。以下同じ。)

調書

第百六十条第三項

前項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容に

調書の記載について

第百六十条第四項

第二項の規定によりファイルに記録された電子調書

調書

第百六十条第四項ただし書

電子調書

調書

第百六十条の二第一項

前条第二項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容

調書の記載

第百六十条の二第二項

その旨をファイルに記録して

調書を作成して

第二百五条第三項

事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項

事項

第二百十五条第四項

事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項

事項

第二百三十一条の二第二項

方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法

方法

第二百三十一条の三第二項

若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する

又は送付する

第二百六十一条第四項

電子調書

調書

 

記録しなければ

記載しなければ

 (手続費用額の確定手続に関する経過措置)

第二十五条 第九十条(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)において準用する民事訴訟法(以下「準用民事訴訟法」という。)第七十一条第二項の規定は、民事関係手続等整備法施行日以後に開始される実行のための裁判手続に係る事件(以下「民事関係手続等整備法施行後事件」という。)における実行のための裁判手続の費用の負担の額を定める申立てについて、適用する。

 (期日の呼出しに関する経過措置)

第二十六条 準用民事訴訟法第九十四条の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における期日の呼出しについて適用し、民事関係手続等整備法施行日前に開始された実行のための裁判手続に係る事件(以下「民事関係手続等整備法施行前事件」という。)における期日の呼出しについては、なお従前の例による。

 (送達報告書に関する経過措置)

第二十七条 準用民事訴訟法第百条第二項の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における送達報告書の提出について、適用する。

 (公示送達の方法に関する経過措置)

第二十八条 準用民事訴訟法第百十一条から第百十三条までの規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における公示送達について適用し、民事関係手続等整備法施行前事件における公示送達については、なお従前の例による。

 (電子情報処理組織による申立て等に関する経過措置)

第二十九条 準用民事訴訟法第一編第七章の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における準用民事訴訟法第百三十二条の十第一項に規定する申立て等について適用し、民事関係手続等整備法施行前事件における附則第二十二条第一項に規定する申立て等については、同条の規定は、民事関係手続等整備法施行日以後も、なおその効力を有する。

 (釈明処分による電磁的記録の提出に関する経過措置)

第三十条 準用民事訴訟法第百五十一条第二項の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における釈明処分による電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の提出について適用し、民事関係手続等整備法施行前事件における釈明処分による電磁的記録の提出については、なお従前の例による。

 (口頭弁論調書に関する経過措置)

第三十一条 準用民事訴訟法第百六十条の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における口頭弁論調書の作成及び記録並びに口頭弁論の方式に関する規定の遵守に係る証明について適用し、民事関係手続等整備法施行前事件における口頭弁論調書の作成及び記載並びに口頭弁論の方式に関する規定の遵守に係る証明については、なお従前の例による。

2 準用民事訴訟法第百六十条の二の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における口頭弁論調書の更正について適用し、民事関係手続等整備法施行前事件における口頭弁論調書の更正については、なお従前の例による。

 (尋問に代わる書面の提出等に関する経過措置)

第三十二条 準用民事訴訟法第二百五条第二項及び第二百十五条第二項(準用民事訴訟法第二百十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における証人の尋問に代わる書面の提出並びに鑑定人の書面による意見の陳述に代わる意見の陳述の方式及び鑑定の嘱託を受けた者による鑑定書の提出について、適用する。

 (電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べに関する経過措置)

第三十三条 準用民事訴訟法第二百三十一条の二第二項及び第二百三十一条の三第二項の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べについて適用し、民事関係手続等整備法施行前事件における電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べについては、なお従前の例による。

 (電子決定書の作成に関する経過措置)

第三十四条 準用民事訴訟法第百二十二条において準用する準用民事訴訟法第二百五十二条及び第二百五十三条の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における電子決定書(準用民事訴訟法第百二十二条において準用する準用民事訴訟法第二百五十二条第一項の規定により作成される電磁的記録をいう。)の作成について適用し、民事関係手続等整備法施行前事件における決定書の作成については、なお従前の例による。

 (申立ての取下げが口頭でされた場合における期日の電子調書の記録に関する経過措置)

第三十五条 準用民事訴訟法第二百六十一条第四項の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件における申立ての取下げが口頭でされた場合における期日の準用民事訴訟法第百六十条第一項に規定する電子調書の記録について適用し、民事関係手続等整備法施行前事件における申立ての取下げが口頭でされた場合における期日の調書の記載については、なお従前の例による。

 (事件に関する事項の証明に関する経過措置)

第三十六条 第八十六条(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、民事関係手続等整備法施行後事件に関する事項の証明について適用し、民事関係手続等整備法施行前事件に関する事項の証明については、なお従前の例による。

 (電子裁判書の送達に関する経過措置)

第三十七条 第九十九条第七項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、民事関係手続等整備法施行日以後に開始される再生事件における第九十九条第七項に規定する電子裁判書の送達について適用し、民事関係手続等整備法施行日前に開始された再生事件における裁判書の送達については、なお従前の例による。

2 第百一条第六項(同条第七項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)及び第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、民事関係手続等整備法施行日以後に開始される更生事件における第百一条第六項に規定する電子裁判書の送達について適用し、民事関係手続等整備法施行日前に開始された更生事件における裁判書の送達については、なお従前の例による。

3 第百三条第七項(第百十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、民事関係手続等整備法施行日以後に開始される承認援助事件における第百三条第七項に規定する電子裁判書の送達について適用し、民事関係手続等整備法施行日前に開始された承認援助事件における裁判書の送達については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第三十八条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 金銭債務を担保するため、動産、債権その他の財産(不動産等を除く。)を担保の目的とすることを内容とする契約の利用状況に鑑み、譲渡担保契約及び所有権留保契約に関し、譲渡担保権者及び留保売主等の権利の内容、被担保債権の範囲、権利の順位等について定めるとともに、これらの権利の実行の方法等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
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