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   インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条―第五条)
 第二章 基本的施策(第六条―第十二条)
 第三章 インテリジェンス態勢整備推進本部(第十三条―第二十二条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、国際情勢の複雑化、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備、情報通信技術の活用の進展等に伴い、外国による我が国に対する不当な影響力の行使の脅威が増大する中で、日本国憲法の保障する国民の自由と権利を尊重しつつ、インテリジェンスを適確に実施することが極めて重要となっていることに鑑み、インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関し、基本理念を定め、国の責務を明らかにし、及びインテリジェンスに係る態勢の整備に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、インテリジェンス態勢整備推進本部を設置することにより、インテリジェンスに係る態勢の整備を総合的かつ集中的に推進し、もって我が国及び国民の安全の確保並びに健全な民主主義の根幹の維持に寄与することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「インテリジェンス」とは、国の安全の確保、公の秩序の維持及び公衆の安全の保護(以下この条及び第八条第一項において「国の安全の確保等」という。)に関する政策決定のために必要な情報の収集、整理及び分析並びにその結果の活用(以下この条及び第八条において「情報収集等」という。)を行うとともに、国の安全の確保等に関する重要な情報を保全し及び我が国に対する不当な情報収集等に対処することをいう。
 (基本理念)
第三条 インテリジェンスに係る態勢の整備の推進は、外国の利益を図る目的で行われる活動については、その透明性を確保することが重要であることを旨として行われなければならない。
2 インテリジェンスに係る態勢の整備の推進は、インテリジェンスの実施において政治的中立及び民主的統制が確保されるようにすることを旨として行われなければならない。
3 インテリジェンスに係る態勢の整備の推進は、インテリジェンスに係る体制の整備が国家の存立に関わる重要な課題であるとの認識の下に行われなければならない。
4 インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に当たっては、インテリジェンスの実施において日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならないことに留意しなければならない。
 (国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、インテリジェンスに係る態勢の整備に関する施策を総合的に策定し及び実施する責務を有する。
 (法制上の措置等)
第五条 政府は、インテリジェンスに係る態勢の整備に関する施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後三年以内を目途として講じなければならない。
   第二章 基本的施策
 (外国による不当な影響力の行使の防止のための措置等)
第六条 国は、外国による我が国に対する不当な影響力の行使の防止に資するよう、外国の利益を図る目的で行われる一定の活動を把握し及びこれを国民に周知するための当該活動を行う者に係る国への届出制度の創設その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、外国の利益を図る目的で虚偽の情報、不正確な情報その他誤解を生じさせるおそれのある情報が情報通信技術を用いて拡散されることが我が国の健全な民主主義の発達に及ぼす影響、当該影響に適切に対処するための方策等に関する調査研究を行い、その結果に基づいて、当該影響に適切に対処するために必要な施策を講ずるものとする。
 (行政組織の整備等)
第七条 国は、インテリジェンスを適確に実施することができるようにするため、インテリジェンスに関する事務をつかさどる機関及びこれを管理する独立行政委員会の設置を含めた必要な行政組織の整備、関係機関の連携協力の確保その他必要な体制の整備を行うものとする。
2 国は、前項の体制の整備に当たっては、国会の関与による民主的統制が確保されたものとなるようにしなければならない。
 (情報収集等に係る手法の拡充等)
第八条 国は、インテリジェンスを適確に実施することができるようにするため、国の安全の確保等に関する政策決定のために必要な情報収集等に係る手法の拡充その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 前項の措置を講ずるに当たっては、インテリジェンスの実施に際して国民の自由と権利に制限が加えられる場合にあっても、その制限はインテリジェンスを実施するため必要最小限のものに限られ、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならないことに留意されなければならない。
 (インテリジェンスに係る職務に従事する者等の安全及び適切な処遇の確保)
第九条 国は、インテリジェンスに係る職務に従事する者及びインテリジェンスに協力する者の安全を確保するとともに、これらの者の適切な処遇を確保するために必要な施策を講ずるものとする。
 (人材の確保等)
第十条 国は、インテリジェンスに関する専門的な知識又は技能を有する人材の確保、養成及び資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。
 (検証、調査研究の推進等)
第十一条 国は、インテリジェンスの適確な実施に資するよう、インテリジェンスの実施の状況及びその効果の検証並びにインテリジェンスに関する調査研究の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。
 (国民の理解の増進及び信頼の向上)
第十二条 国は、インテリジェンスに対する国民の理解を増進させ及びその信頼を向上させるため、インテリジェンスの実施の状況の概要の公表、インテリジェンスを実施して得た成果の適時の公表その他の必要な措置を講ずるものとする。
   第三章 インテリジェンス態勢整備推進本部
 (設置)
第十三条 インテリジェンスに係る態勢の整備を総合的かつ集中的に推進するため、内閣に、インテリジェンス態勢整備推進本部(以下「本部」という。)を置く。
 (所掌事務)
第十四条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関する総合調整に関すること。
 二 インテリジェンスに係る態勢の整備を総合的かつ集中的に推進するために必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
 (組織)
第十五条 本部は、インテリジェンス態勢整備推進本部長、インテリジェンス態勢整備推進副本部長及びインテリジェンス態勢整備推進本部員をもって組織する。
 (インテリジェンス態勢整備推進本部長)
第十六条 本部の長は、インテリジェンス態勢整備推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
 (インテリジェンス態勢整備推進副本部長)
第十七条 本部に、インテリジェンス態勢整備推進副本部長(次項及び次条第二項において「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官及びインテリジェンス態勢整備推進担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、インテリジェンスに係る態勢の整備の総合的かつ集中的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)をもって充てる。
2 副本部長は、本部長の職務を助ける。
 (インテリジェンス態勢整備推進本部員)
第十八条 本部に、インテリジェンス態勢整備推進本部員(次項において「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。
 (資料の提出その他の協力)
第十九条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
 (事務)
第二十条 本部に関する事務は、内閣官房において処理し、内閣情報官が掌理する。
 (主任の大臣)
第二十一条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
 (政令への委任)
第二十二条 この章に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章及び附則第三条の規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
 (検討)
第二条 国は、民間事業者、教育研究機関等が保有する情報を保全するための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 (内閣法の一部改正)
第三条 内閣法の一部を次のように改正する。
  第十九条第二項中「第十二条第二項第二号から第五号までに掲げる事務のうち特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。)の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く。)及び第十二条第二項第六号に」を「次に」に改め、同項に次の各号を加える。
  一 第十二条第二項第二号から第五号までに掲げる事務のうち特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。)の保護に関するもの(内閣広報官の所掌に属するものを除く。)
  二 第十二条第二項第六号に掲げる事務
  三 インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関する法律(令和七年法律第   号)第二十条の規定により内閣官房において処理することとされたインテリジェンス態勢整備推進本部に関する事務

     理 由
 国際情勢の複雑化、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備、情報通信技術の活用の進展等に伴い、外国による我が国に対する不当な影響力の行使の脅威が増大する中で、日本国憲法の保障する国民の自由と権利を尊重しつつ、インテリジェンスを適確に実施することが極めて重要となっていることに鑑み、インテリジェンスに係る態勢の整備の推進に関し、基本理念を定め、国の責務を明らかにし、及びインテリジェンスに係る態勢の整備に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、インテリジェンス態勢整備推進本部を設置することにより、インテリジェンスに係る態勢の整備を総合的かつ集中的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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