第二一九回
閣第四号
気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案
(気象業務法の一部改正)
第一条 気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。
第十三条の二第一項中「及び波浪」を「、波浪及び洪水」に改め、同条中第五項を第九項とし、第四項の次に次の四項を加える。
5 気象庁は、水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)第十一条の三第一項の規定により指定された海岸について第一項の規定により高潮の警報をする場合において、水位の変動の状況、堤防、水門等の損壊の状況その他の当該海岸の状況に関する情報を必要とするときは、水防に関する事務を行う国土交通大臣又は関係都道府県知事に対し、当該情報の提供を求めることができる。
6 気象庁は、次の各号に掲げる河川について第一項の規定により洪水の警報をする場合において、水位又は流量の変動の状況、堤防、水門等の損壊の状況その他の当該河川の状況に関する情報を必要とするときは、当該各号に定める者に対し、当該情報の提供を求めることができる。
一 水防法第十条第二項の規定により指定された河川 水防に関する事務を行う国土交通大臣
二 水防法第十一条第一項の規定により指定された河川 関係都道府県知事
7 前二項の規定により情報の提供の求めを受けた国土交通大臣又は都道府県知事は、当該求めに応じて、当該情報を提供しなければならない。
8 気象庁は、前項の規定により提供を受けた情報を活用するに当たつて、特に専門的な知識を必要とする場合には、当該情報を提供した国土交通大臣又は都道府県知事の技術的助言を求めなければならない。
第十四条の二第六項を削り、同条第五項中「第三項まで」を「第四項まで」に、「それぞれ、単独で、」を「同条第一項の場合にあつては単独で、同条第二項の場合にあつては水防に関する事務を行う国土交通大臣及び都道府県知事と共同して、同条第三項の場合にあつては」に、「又は」を「、同条第四項の場合にあつては」に改め、同項を同条第六項とし、同条中第四項を第五項とし、第三項を第四項とし、同条第二項中「(昭和二十四年法律第百九十三号)」を削り、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 気象庁は、水防法第十一条の三第一項の規定により指定された海岸について、水防に関する事務を行う国土交通大臣及び都道府県知事と共同して、水位を示して高潮についての水防活動の利用に適合する予報及び警報をしなければならない。
第十五条第一項中「第三項まで」を「第四項まで」に改める。
第十五条の二第一項中「及び波浪」を「、波浪及び洪水」に改める。
第十七条第二項中「(以下この章において「許可」という。)」を削り、「の許可に」を「に係る同項の許可に」に、「第十九条第一項及び第四十六条第三号」を「次条第一項第三号」に改め、同条第三項中「の許可」を「に係る第一項の許可」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(予報業務の許可の申請)
第十七条の二 前条第一項の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を気象庁長官に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 外国法人等(外国の法人及び団体並びに外国に住所を有する個人をいう。次条第二項第四号及び第二十一条第二項において同じ。)にあつては、国内における代表者(同号及び同項において「国内代表者」という。)又は国内における代理人(以下「国内代理人」という。)の氏名又は名称及び国内の住所並びに法人である国内代理人にあつてはその代表者の氏名
三 予報業務の目的及び範囲
四 その他国土交通省令で定める事項
2 前項の申請書には、次条第二項第一号から第三号までに該当しないことを誓約する書面その他国土交通省令で定める書類を添付しなければならない。
第十八条第一項中「許可」を「前条第一項」に改め、同条第二項中「次の」を「次に掲げる」に改め、同項第一号中「許可」を「第十七条第一項の許可」に改め、「法律」の下に「又はこれに相当する外国の法令」を、「刑」の下に「(これに相当する外国の法令による刑を含む。)」を加え、同項第二号中「許可を」を「第十七条第一項の許可を」に、「第二十一条」を「第二十一条第一項若しくは第二項」に、「許可の」を「当該許可の」に、「その」を「又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該許可に相当する行政処分の取消しを受け、当該」に改め、同項第三号中「許可」を「第十七条第一項の許可」に、「第一号又は前号」を「前二号のいずれか」に改め、同項に次の二号を加える。
四 第十七条第一項の許可を受けようとする者が、外国法人等である場合において、国内代表者又は国内代理人を定めていない者であるとき。
五 前条第一項の申請書又はその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき。
第十八条第三項中「土砂崩れ又は」の下に「高潮若しくは」を加え、「の許可」を「に係る第十七条第一項の許可」に改める。
第十九条の見出しを「(変更認可等)」に改め、同条第一項中「許可」を「第十七条第一項の許可」に、「第十七条第二項の予報業務の目的又は範囲」を「第十七条の二第一項第三号に掲げる事項」に改め、同条第二項中「前条」を「第十七条の二第二項及び前条(第二項第一号から第四号までを除く。)」に、「前項の場合に」を「第一項の認可について」に改め、同項に後段として次のように加える。
この場合において、第十七条の二第二項中「前項」とあるのは「第十九条第二項」と、「次条第二項第一号から第三号までに該当しないことを誓約する書面その他国土交通省令で定める書類」とあるのは「国土交通省令で定める書類」と、前条第一項及び第二項第五号中「前条第一項」とあるのは「次条第二項」と読み替えるものとする。
第十九条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の認可を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、変更に係る事項を記載した申請書を気象庁長官に提出しなければならない。
第十九条に次の一項を加える。
4 第十七条第一項の許可を受けた者は、第十七条の二第一項各号(第三号を除く。)に掲げる事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を気象庁長官に届け出なければならない。
第十九条の二各号及び第十九条の三中「の許可」を「に係る第十七条第一項の許可」に改める。
第二十条中「許可」を「第十七条第一項の許可」に改める。
第二十条の二中「、許可」を「、第十七条第一項の許可」に、「その他許可」を「その他当該許可」に改める。
第二十一条中「、許可」を「、第十七条第一項の許可」に改め、「、又は」の下に「その」を加え、同条第二号中「又は第三号」を「から第四号まで(第二号にあつては、この法律に相当する外国の法令の規定に係る部分に限る。)のいずれか」に改め、同条に次の二項を加える。
2 気象庁長官は、第十七条第一項の許可を受けた者の所在(法人(外国の法人を除く。)にあつてはその代表者の所在、外国法人等にあつては国内代表者又は国内代理人(法人である国内代理人にあつては、その代表者)の所在)を確知できないときは、国土交通省令で定めるところにより、その事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該者から申出がないときは、その許可を取り消すことができる。
3 前項の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。
第二十二条中「許可」を「第十七条第一項の許可」に改める。
第二十六条第一項中「行つた」の下に「国内の」を加え、同条第二項中「第十八条第一項(」を「第十七条の二並びに第十八条第一項(」に、「並びに」を「の規定は前項の許可について、第十九条第四項及び」に、「、前項の場合に」を「当該許可を受けた者について、それぞれ」に改め、「おいて」の下に「、第十七条の二第一項第三号中「予報業務の目的及び範囲」とあるのは「国内の気象の観測の成果を発表する業務の目的」と、第十八条第一項第一号、第二十条の二及び第二十二条(見出しを含む。)中「予報業務」とあるのは「国内の気象の観測の成果を発表する業務」と、同号中「観測その他の予報資料の収集及び予報資料の解析」とあるのは「観測及びその成果の収集」と」を加え、「あり、及び」を「あるのは「第二十六条第二項において準用する第十八条第一項第一号」と、「その施設及び要員又はその現象の予想の方法」とあるのは「その施設及び要員」と、」に、「、「第十八条第一項第一号」を「「同号」に改める。
第四十条の二第一項中「許可又は」を「第十七条第一項若しくは第二十六条第一項の許可又は第十九条第一項の」に改める。
第四十二条の次に次の一条を加える。
(法令等違反行為を行つた者の氏名等の公表)
第四十二条の二 気象庁長官は、気象業務の健全な発達を図り、公共の利益を確保するため必要があると認めるときは、国土交通省令で定めるところにより、この法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反する行為(以下この条において「法令等違反行為」という。)を行つた者の氏名又は名称その他法令等違反行為による被害の発生及び拡大を防止するために必要な事項を公表することができる。
第四十六条第三号中「第十九条」を「第十九条第一項」に、「予報業務の目的又は範囲」を「第十七条の二第一項第三号に掲げる事項」に改め、同条第五号中「第二十一条」を「第二十一条第一項」に改め、同条第七号中「受けないで」の下に「国内の」を加える。
第五十条第一号中「第二十二条(」を「第十九条第四項又は第二十二条(これらの規定を」に改める。
(水防法の一部改正)
第二条 水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)の一部を次のように改正する。
第二条第六項中「第七条第三項において」を「以下」に、「並びに下水道管理者」を「、下水道管理者」に、「において同じ。)の協力」を「及び第二十四条の二第一項において同じ。)並びに海岸管理者(海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条第三項に規定する海岸管理者をいう。第七条第四項及び第二十四条の二において同じ。)の協力」に改める。
第七条第四項中「下水道管理者」の下に「又は海岸管理者」を加える。
第十一条の見出し中「都道府県知事が」の下に「気象庁長官と共同して」を加える。
第十一条の二の次に次の一条を加える。
(国土交通大臣が気象庁長官及び都道府県知事と共同して行う高潮予報)
第十一条の三 国土交通大臣は、高潮により国民経済上重大な損害を生ずるおそれがあるものとして指定した海岸について、高潮のおそれがあると認められるときは、気象庁長官及び当該海岸の存する都道府県の知事と共同して、その状況を水位を示して直ちに当該都道府県の水防計画で定める水防管理者及び量水標管理者に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。
2 国土交通大臣は、前項の規定による指定をしようとするときは、当該海岸の存する都道府県の知事に協議するものとする。
第十二条第一項中「若しくは第十一条第一項」を「、第十一条第一項若しくは前条第一項」に改める。
第十三条の三中「存する海岸」の下に「(第十一条の三第一項の規定により国土交通大臣が指定した海岸を除く。)」を加える。
第十三条の四中「国土交通大臣又は」を「国土交通大臣、」に、「若しくは前条」を「、前条若しくは第二十五条第二項」に改め、「都道府県知事」の下に「、第十一条の三第一項の規定により通知をした国土交通大臣及び都道府県知事又は第二十四条の二第二項の規定により通知をした都道府県知事若しくは国土交通大臣」を加える。
第十四条の三第一項第一号中「第十三条の三」を「第十一条の三第一項の規定により指定され、又は第十三条の三」に改める。
第十五条第一項第一号中「若しくは第二項又は第十一条第一項」を「の規定により気象庁長官が行う予報、同条第二項の規定により国土交通大臣及び気象庁長官が行う予報、第十一条第一項の規定により都道府県知事及び気象庁長官が行う予報、第十一条の三第一項」に改め、「気象庁長官、」を削り、「及び気象庁長官又は都道府県知事及び気象庁長官」を「、気象庁長官及び都道府県知事」に改め、同項第四号中「第三項」の下に「及び第二十四条の二第一項」を加える。
第二十四条の次に次の一条を加える。
(氾濫等の通報)
第二十四条の二 河川管理者、下水道管理者又は海岸管理者は、その管理する河川、下水道又は海岸について、浸水想定区域における氾濫による著しい危険が切迫していると認められるときは、都道府県の水防計画で定めるところにより、直ちにその状況を関係都道府県知事その他関係者に通報しなければならない。
2 前項の通報を受けた都道府県知事(当該通報をした者が河川管理者又は海岸管理者である国土交通大臣の場合にあつては、国土交通大臣)は、その状況により相当な損害を生ずるおそれがあると認められるときは、当該通報に係る事項を直ちに都道府県の水防計画で定める水防管理者及び量水標管理者並びに気象庁長官に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。
第二十五条中「これを」の下に「関係都道府県知事その他」を加え、同条に次の一項を加える。
2 前項の通報を受けた都道府県知事は、決壊により相当な損害を生ずるおそれがあると認められるときは、当該通報に係る事項を直ちに都道府県の水防計画で定める水防管理者及び量水標管理者並びに気象庁長官に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。
第二十九条の見出し中「立退き」を「立退き等」に改め、同条中「ことを」を「こと又は高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での待避その他の緊急に安全を確保すべきことを」に改める。
第三十一条の見出し中「重要河川」を「重要河川等」に改め、同条中「河川」の下に「又は海岸」を加える。
第三十二条第三項中「第二十五条」を「第二十五条第一項」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条の規定は、公布の日から施行する。
(気象業務法の一部改正に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に改正前の気象業務法第十七条第一項又は第二十六条第一項の許可を受けている者であって、外国法人等(この法律による改正後の気象業務法(以下「新気象業務法」という。)第十七条の二第一項第二号に規定する外国法人等をいう。)であるものについては、この法律の施行の日において同号(新気象業務法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)に掲げる事項について変更があったものとみなして、新気象業務法第十九条第四項(新気象業務法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定(当該規定に係る罰則を含む。)を適用する。
(政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(検討)
第四条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新気象業務法の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
理 由
水災による被害の軽減を図るため、洪水の特別警報の創設、国土交通大臣等が共同して行う高潮の予報及び警報の創設、河川管理者等による氾濫等の通報の実施等の措置を講ずるとともに、情報通信技術の進展を踏まえ、予報業務の利用者の保護を図るため、外国法人等が行う予報業務の許可に関する規定の整備等を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

