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第二二二回

閣第一九号

   法人等の実質的支配者に係る情報の把握等に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 実質的支配者に係る情報の把握

  第一節 法人等による実質的支配者に係る情報の把握等(第三条−第七条)

  第二節 実質的支配者情報ファイル(第八条−第十五条)

 第三章 信託関係当事者に係る情報の把握(第十六条−第十八条)

 第四章 雑則(第十九条−第二十四条)

 第五章 罰則(第二十五条−第三十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、我が国を取り巻く国際経済環境の変化等に伴い、法人格等及び信託の違法な利用を防止することの重要性が増大していることに鑑み、法人等によるその実質的支配者に係る情報の把握及び信託の受託者によるその信託関係当事者に係る情報の把握について定め、実質的支配者に係る情報の記録を正確かつ統一的に行う実質的支配者情報ファイルの制度を設けること等により、法人格等及び信託の違法な利用の防止を図るとともに、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査並びに利用及び取得の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号)その他の法令で定める事務であって実質的支配者に係る情報の把握を要するものの適正な遂行を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「法人等」とは、次に掲げるものをいう。

 一 法人(次に掲げる法人を除く。)

  イ 上場会社(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十六項に規定する金融商品取引所又は外国金融商品取引所(同項に規定する金融商品取引所に類するもので外国の法令に基づき設立されたものをいい、国家公安委員会、金融庁長官、法務大臣及び財務大臣が指定する国又は地域に所在するものに限る。)に上場されている株式を発行している会社をいう。次号及び第四号において同じ。)

  ロ 国、地方公共団体その他これらに準ずるものとして政令で定める法人

 二 会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第二号に規定する外国会社(上場会社を除く。)であって、同法第八百十七条第一項の規定に基づき国内における代表者を定めたもの(第五条第三項第二号において「特定外国会社」という。)

 三 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十五条第一項ただし書に規定する外国法人(外国の中央銀行及び我が国が加盟している国際機関を除く。)であって、国内に事務所を設けたもの(第五条第三項第三号において「特定外国法人」という。)

 四 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体(上場会社、外国の中央銀行及び我が国が加盟している国際機関を除く。)であって、国内にある土地又は建物について所有者として登記がされているもの(前二号に掲げるものを除く。第五条第三項第四号において「土地等所有外国法人」という。)

 五 投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合(第五条第三項第一号及び第十九条において「投資事業有限責任組合」という。)

 六 有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第二条に規定する有限責任事業組合(以下「有限責任事業組合」という。)

2 この法律において「特定信託」とは、次に掲げるもの(違法に利用されるおそれが少ないことその他の事由により信託関係当事者に係る情報を把握する必要がないものとして政令で定めるものを除く。)をいう。

 一 信託法(平成十八年法律第百八号)第二条第一項に規定する信託

 二 外国の法令に準拠した信託であって、信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第六項に規定する外国信託会社が国内においてその引受けを行うもの

3 この法律において「実質的支配者」とは、次の各号に掲げる法人等の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。

 一 資本多数決法人(法人等(第一項第五号及び第六号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。)の社員が株式その他の細分化された当該法人等の社員の地位(以下この号において「株式等」という。)の数又は株式等の数の株式等の総数に占める割合に応じて議決権を有する法人等(定款の定めにより当該法人等に該当することとなる法人等を除く。)をいう。以下この項において同じ。)のうち、政令で定める算定方法により、その議決権(会社法第三百八条第一項その他これに類する法令の定めにより行使することができないとされる議決権を含み、同法第四百二十三条第一項に規定する役員等(会計監査人を除く。)の選任及び定款の変更に関する議案その他資本多数決法人の経営に重要な影響を与える議案の全部につき株主総会その他これに類する機関において議決権を行使することができない株式等に係る議決権を除く。以下この号において同じ。)の総数の四分の一を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人、第一項第一号イ及びロに掲げる法人、外国の中央銀行、我が国が加盟している国際機関その他政令で定める者(以下この号から第三号までにおいて「自然人等」という。)(金銭の信託契約その他の契約に基づき議決権の行使について指図を受ける者、心身の故障によりその議決権を行使するに当たって必要となる認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者その他資本多数決法人の事業経営を実質的に支配する意思又は能力を有していないことが明らかな者として政令で定める者を除く。)があるもの 当該自然人等

 二 資本多数決法人のうち、出資、融資、取引その他の関係を通じて当該資本多数決法人の事業活動に支配的な影響力を有する自然人等があるもの(前号に掲げるものを除く。) 当該自然人等

 三 資本多数決法人以外の法人等のうち、次のイ又はロに該当する自然人等があるもの 当該自然人等

  イ 法令又は当該法人等の定款、寄附行為その他これらに準ずるものにより当該法人等の事業から生じた収益又は当該事業に係る財産の総額の四分の一を超える収益の配当又は財産の分配を受けることができる権利を有している自然人等(金銭の信託契約その他の契約に基づき配当金又は分配金について指図を受ける者、心身の故障によりその権利を行使するに当たって必要となる認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者その他当該法人等の事業経営を実質的に支配する意思又は能力を有していないことが明らかな者として政令で定める者を除く。)

  ロ 出資、融資、取引その他の関係を通じて当該法人等の事業活動に支配的な影響力を有する自然人等

 四 前三号に定める者がない法人等 当該法人等を代表し、その業務を執行する自然人

4 この法律において「信託関係当事者」とは、特定信託に係る次に掲げる者をいう。

 一 委託者(信託法第二条第四項に規定する委託者をいう。)

 二 受託者(信託法第二条第五項に規定する受託者をいう。以下同じ。)

 三 受益者(信託法第二条第六項に規定する受益者をいう。第十六条第一項第三号において同じ。)

 四 出資、融資、取引その他の関係を通じて信託による財産の管理又は処分及びその他の信託の目的の達成のために必要な行為に支配的な影響力を有する自然人(前三号に掲げる者を除く。)

 五 前各号に掲げる者に準ずる者として政令で定めるもの

   第二章 実質的支配者に係る情報の把握

    第一節 法人等による実質的支配者に係る情報の把握等

 (法人等による実質的支配者に係る情報の把握)

第三条 法人等は、当該法人等に係る実質的支配者について、次に掲げる事項を把握し、かつ、これらの事項に係る情報を正確かつ最新の内容に保つため、必要な措置を講じなければならない。

 一 実質的支配者の氏名又は名称及び住所

 二 前号の者が前条第三項各号に定める者のいずれに該当するかの別

 三 前二号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

 (実質的支配者に係る情報の照会等)

第四条 法人等は、次条第一項又は第六条第一項の規定による届出をするために必要があるときは、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める事項を照会することができる。

 一 当該法人等に係る実質的支配者に該当すると思料するに足りる相当な理由がある者 その者の氏名又は名称及び住所その他法務省令で定める事項

 二 当該法人等に係る実質的支配者を知っていると思料するに足りる相当な理由がある者(当該法人等の株主、社員その他これらに準ずる者として政令で定める者に限る。) 当該法人等に係る実質的支配者の氏名又は名称及び住所その他法務省令で定める事項

2 前項の規定による照会は、同項各号に規定する相当な理由を明らかにしてしなければならない。

3 第一項の規定により法人等から照会を受けた者は、当該法人等に対し、遅滞なく、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める事項に係る情報を提供しなければならない。ただし、その提供をしないことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

 一 次号に掲げる場合以外の場合 当該照会に係る事項

 二 自らが第一項各号に掲げる者に該当しない場合 その旨及び当該者に該当しない理由

4 実質的支配者は、自らが実質的支配者となったことを知った場合には、その法人等に対し、遅滞なく、その旨を通知するよう努めなければならない。実質的支配者が、自らが実質的支配者であることを知っている場合において、前条各号に掲げる事項に変更があったことを知ったとき、又は実質的支配者であった者が実質的支配者でなくなったことを知ったときも、同様とする。

 (実質的支配者に係る情報の届出)

第五条 法人等は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を法務大臣に届け出なければならない。

 一 法人等の商号又は名称及び住所

 二 会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下この号及び第十二条第二項第三号において同じ。)を有する法人等にあっては、当該法人等の会社法人等番号

 三 第三条各号に掲げる事項

 四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

2 法人等は、前項の規定による届出をする場合には、法務省令で定めるところにより、第三条第一号及び第二号に掲げる事項を証する情報その他の法務省令で定める情報を併せて提供しなければならない。ただし、法務大臣が、法務省令で定めるところにより、直接に、又は電子情報処理組織を使用して、国の機関から当該情報を入手することができるときは、この限りでない。

3 第一項の規定による届出は、次の各号に掲げる法人等の区分に応じ、当該各号に定める日から三十日以内にしなければならない。

 一 第二条第一項第一号に掲げる法人、投資事業有限責任組合及び有限責任事業組合 成立の日

 二 特定外国会社 会社法第八百十七条第一項の規定に基づき初めて国内における代表者を定めた日

 三 特定外国法人 国内に事務所を設けた日

 四 土地等所有外国法人 初めて国内にある土地又は建物について所有者として登記をした日

 (変更等の届出)

第六条 法人等は、実質的支配者情報ファイル(第八条第一項に規定する実質的支配者情報ファイルをいう。次条において同じ。)に記録されている前条第一項各号に掲げる事項について、変更があったこと又は誤りがあることを知ったときは、これを知った日から三十日以内に、法務省令で定めるところにより、その旨を法務大臣に届け出なければならない。

2 法人等は、前条第一項第一号又は第三号に掲げる事項について前項の規定による届出をする場合には、法務省令で定めるところにより、第三条第一号又は第二号に掲げる事項について変更があったこと又は誤りがあることを証する情報その他の法務省令で定める情報を併せて提供しなければならない。ただし、法務大臣が、法務省令で定めるところにより、直接に、又は電子情報処理組織を使用して、国の機関から当該情報を入手することができるときは、この限りでない。

 (国の機関等による実質的支配者に係る情報の提供)

第七条 国の機関又は特定事業者(犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)第二条第二項に規定する特定事業者をいい、法務省令で定める者に限る。以下同じ。)は、法令又は契約による事務に関連して、法人等から第五条第一項各号に掲げる事項に係る情報及び同条第二項又は前条第二項に規定する情報の提供を受けた場合において、当該法人等に対し、当該法人等の提供に係る情報を法務大臣に提供し、実質的支配者情報ファイルに当該情報が記録されることについて説明を行い、当該法人等の同意を得たときは、法務省令で定めるところにより、法務大臣にこれらの情報を提供することができる。

2 法務大臣は、前項の規定により第五条第一項各号に掲げる事項に係る情報及び同条第二項又は前条第二項に規定する情報の提供があった場合には、これらの情報を実質的支配者情報ファイルに記録するものとする。

3 第一項の規定による情報の提供があった場合には、当該情報の提供に係る法人等は、同項の同意をした日に、第五条第一項又は前条第一項の規定による届出をしたものとみなす。

    第二節 実質的支配者情報ファイル

 (実質的支配者情報ファイルの作成)

第八条 法務大臣は、法人等ごとに第五条第一項各号に掲げる事項並びに同条第二項及び第六条第二項に規定する情報を記録するファイルであって法務大臣の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に備えられたもの(以下「実質的支配者情報ファイル」という。)を作成するものとする。

2 法務大臣は、実質的支配者情報ファイルに記録されている第五条第一項各号に掲げる事項に変更があったこと又は誤りがあることを知ったときは、法務省令で定めるところにより、当該変更又は当該誤りの訂正に係る記録を行うとともに、当該変更又は訂正前の同項各号に掲げる事項及び当該変更又は訂正の年月日を併せて記録するものとする。

 (実質的支配者情報ファイルの記録等)

第九条 実質的支配者情報ファイルの記録又は記録の修正若しくは消去は、この法律の規定による届出に基づき、又は職権で行うものとする。

2 法務大臣は、実質的支配者情報ファイルの記録を、法人等の清算結了の登記の時その他の法務省令で定める時から七年間保存するものとする。

 (法人等又は実質的支配者の請求による実質的支配者情報ファイルの閲覧)

第十条 法人等及び実質的支配者情報ファイルに実質的支配者として記録されている者は、法務大臣に対し、法務省令で定めるところにより、実質的支配者情報ファイルに記録されている事項又は情報(法務省令で定めるものを除く。)であって当該法人等に係るもの(実質的支配者として記録されている者にあっては、当該者に係るものに限る。)について、当該事項又は情報を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求をすることができる。

2 前項の規定による請求をする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

3 前項の手数料の納付は、収入印紙をもってしなければならない。ただし、法務省令で定める方法で第一項の規定による請求をするときは、法務省令で定めるところにより、現金をもってすることができる。

 (国又は地方公共団体の機関の請求による実質的支配者情報ファイルの閲覧等)

第十一条 国又は地方公共団体の機関は、法令で定める事務(実質的支配者に係る情報の把握を要するものに限る。次項第二号において同じ。)の遂行のために必要である場合には、法務大臣に対し、法務省令で定めるところにより、実質的支配者情報ファイルに記録されている事項又は情報(法務省令で定めるものを除く。)について、次に掲げる請求をすることができる。

 一 当該事項又は情報を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

 二 当該事項又は情報を法務大臣の使用に係る電子計算機と当該機関の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものにより提供することの請求

2 前項の規定による請求は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

 一 当該請求をする国又は地方公共団体の機関の名称

 二 請求事由(当該請求が犯罪捜査に関するものその他特別の事情により請求事由を明らかにすることが事務の性質上困難であるもの(次項において「犯罪捜査等のための請求」という。)にあっては、法令で定める事務の遂行のために必要である旨及びその根拠となる法令の条項)

 三 前項第一号の閲覧をし、又は同項第二号の提供を受ける者の職名及び氏名

 四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

3 法務大臣は、毎年少なくとも一回、第一項の規定による請求に係る閲覧又は提供(犯罪捜査等のための請求に係るものを除く。)の状況について、当該請求をした国又は地方公共団体の機関の名称、請求事由の概要その他法務省令で定める事項を公表するものとする。

 (特定事業者の請求による実質的支配者情報ファイルの閲覧等)

第十二条 特定事業者は、犯罪による収益の移転防止に関する法律第二章の規定による措置を講ずるために必要である場合には、法務省令で定めるところにより、あらかじめ法人等の同意を得て、法務大臣に対し、実質的支配者情報ファイルに記録されている事項又は情報(法務省令で定めるものを除く。)であって当該法人等に係るものについて、次に掲げる請求をすることができる。ただし、特定事業者が預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第一項に規定する金融機関その他これに準ずるものとして政令で定める者である場合には、当該法人等の同意を要しない。

 一 当該事項又は情報を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

 二 当該事項又は情報を法務大臣の使用に係る電子計算機と当該特定事業者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものにより提供することの請求

2 前項の規定による請求は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を明らかにするとともに、同項ただし書に規定する場合を除き、同項の同意を得たことを証する情報として法務省令で定めるものを提供してしなければならない。

 一 当該請求をする特定事業者の氏名又は名称及び住所

 二 前項第一号の閲覧をし、又は同項第二号の提供を受ける者の氏名

 三 当該請求の対象とする法人等の会社法人等番号又は商号若しくは名称及び住所

 四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

3 第一項の規定による請求をする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。この場合においては、第十条第三項の規定を準用する。

4 特定事業者は、第一項第一号の閲覧をし、又は同項第二号の提供を受けた事項又は情報を、犯罪による収益の移転防止に関する法律第二章の規定による措置を講ずる目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

 (実質的支配者に係る情報に係る通報)

第十三条 国若しくは地方公共団体の機関又は特定事業者は、実質的支配者情報ファイルに記録されている第五条第一項各号に掲げる事項について、変更があったこと又は誤りがあることを知ったときは、その事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある場合を除き、遅滞なく、その旨を法務大臣に通報しなければならない。

 (実質的支配者情報ファイルの正確な記録を確保するための措置)

第十四条 法務大臣は、実質的支配者情報ファイルに記録されている第五条第一項各号に掲げる事項について、変更があったこと若しくは漏れ若しくは誤りがあることを知ったとき、又はその疑いがあると思料するときは、同項又は第六条第一項の規定による届出をすべき法人等に対し、相当の期間を定めて、その期間内に届出をすべき旨の催告をするとともに、必要に応じ、その他実質的支配者情報ファイルの正確な記録を確保するため必要な措置を講ずるものとする。

 (法務大臣による情報の提供その他の協力)

第十五条 法務大臣は、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査並びに利用及び取得の規制等に関する法律第十九条第七項の規定により内閣総理大臣から情報の提供その他の協力の求めがあったときは、当該求めに応じ、同項に規定する情報の提供その他の協力をするものとする。

   第三章 信託関係当事者に係る情報の把握

 (受託者による信託関係当事者に係る情報の把握)

第十六条 特定信託に係る受託者は、当該特定信託について、次に掲げる事項を把握し、かつ、当該事項に係る情報を正確かつ最新の内容に保つため、必要な措置を講じなければならない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

 一 信託関係当事者の氏名又は名称及び住所

 二 信託関係当事者が第二条第三項第一号に規定する法人等である場合にあっては、当該信託関係当事者に係る実質的支配者の氏名又は名称及び住所

 三 受益者が現に存しない場合その他の政令で定める場合にあっては、受益者となるべき者を指定する信託行為の定め

 四 前三号に掲げるもののほか、内閣府令・法務省令・財務省令で定める事項

2 特定信託に係る受託者は、特定信託のうち、違法に利用されるおそれが比較的少ないため前項各号に掲げる事項に係る情報の全てを把握する必要性が乏しいもの又は違法に利用されることを防ぐため同項各号に掲げる事項以外の事項に係る情報の把握が必要となるものその他の政令で定めるものについては、同項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事項に代えて、特定信託が違法に利用されることを防止するために把握すべきものとして当該特定信託の種類に応じ政令で定める事項を把握し、かつ、当該事項に係る情報を正確かつ最新の内容に保つため、必要な措置を講じなければならない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

 (信託関係当事者に係る情報の記録及び保存)

第十七条 特定信託に係る受託者は、内閣府令・法務省令・財務省令で定める期間内に、前条第一項各号に掲げる事項(同条第二項に規定する特定信託にあっては、同項に規定する事項)を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成しなければならない。

2 特定信託に係る受託者は、前項に規定する書面又は電磁的記録を作成した場合には、その作成の日から特定信託の清算の結了の日後七年を経過する日までの間、当該書面又は電磁的記録(当該書面又は電磁的記録に記載され、又は記録された事項と同一の事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を新たに作成した場合にあっては、当該新たに作成した書面又は電磁的記録)を保存しなければならない。

3 特定信託に係る受託者は、前項に規定する書面又は電磁的記録に記載され、又は記録された事項と同一の事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を新たに作成したときは、当該同項に規定する書面又は電磁的記録については、同項の規定にかかわらず、当該新たに作成した書面又は電磁的記録の作成の日から七年間保存しなければならない。

 (国又は地方公共団体の機関による書面又は電磁的記録の提示の求め)

第十八条 国又は地方公共団体の機関は、法令で定める事務(信託関係当事者に係る情報の把握を要するものに限る。)の遂行のために必要である場合には、特定信託に係る受託者に対し、その理由を示して、前条第一項に規定する書面又は電磁的記録の提示を求めることができる。

   第四章 雑則

 (届出をしていない法人等に関する措置)

第十九条 法務大臣は、法人等(登記されている法人等に限る。以下この条において同じ。)が第五条第一項の規定による届出をしないで同条第三項に定める届出の期限が経過した日から三年を経過したときは、当該法人等の本店又は主たる事務所(本店又は主たる事務所が外国にあるときは、国内における営業所(外国会社の登記をした外国会社であって国内に営業所を設けていないものにあっては、国内における代表者の住所又は事務所))の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、登記の閉鎖その他のその法人格又は投資事業有限責任組合若しくは有限責任事業組合に係る契約の違法な利用の防止を図るため必要な措置をとることを命ずることができる。法人等が第六条第一項の規定による届出をしないで同項に定める届出の期限が経過した日から三年を経過したときも、同様とする。

 (関係行政機関の協力)

第二十条 法務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料又は情報の提供その他の協力を求めることができる。

 (行政手続法の適用除外)

第二十一条 この法律の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章及び第三章の規定は、適用しない。

 (審査請求等)

第二十二条 次の各号に掲げる処分又は不作為についての審査請求は、当該各号に定める者を経由してしなければならない。

 一 次条第一項の規定による委任を受けた法務局又は地方法務局の長(以下この条において「法務局長等」という。)の処分又はその不作為 当該法務局長等

 二 次条第二項の規定による委任を受けた法務局若しくは地方法務局の支局又はこれらの出張所の長(以下この条において「支局長等」という。)の処分又はその不作為 当該支局長等

2 法務局長等又は支局長等は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、相当の処分をしなければならない。

3 法務局長等又は支局長等は、前項に規定する場合を除き、審査請求の日から三日以内に、事件を法務大臣に送付しなければならない。

4 行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第十三条、第十五条第六項、第十八条、第二十一条、第二十五条第二項から第七項まで、第二十九条第一項及び第四項、第三十一条並びに第三十七条の規定は、第一項の審査請求については、適用しない。

 (権限の委任)

第二十三条 この法律に規定する法務大臣の権限は、法務省令で定めるところにより、その全部又は一部を法務局又は地方法務局の長に委任することができる。

2 前項の規定により法務局又は地方法務局の長に委任された権限は、法務省令で定めるところにより、法務局若しくは地方法務局の支局又はこれらの出張所の長に委任することができる。

 (政令への委任)

第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   第五章 罰則

第二十五条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第五条第一項又は第六条第一項の規定による届出について虚偽の届出をし、又は正当な理由がなく第十四条の規定による催告の期間内に当該催告に係る届出をしなかったとき。

 二 第七条第一項に規定する国の機関又は特定事業者に対し、同項の法令又は契約による事務に関連して、第五条第一項各号に掲げる事項に係る情報について、虚偽の情報の提供をし、かつ、第七条第一項に規定する説明を受けた場合において、同項に規定する同意をしたとき(同項の規定による法務大臣に対する情報の提供があった場合に限る。)。

第二十六条 法人等の代表者若しくは管理人又は法人等の代理人、使用人その他の従業者が、その法人等の業務に関して、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人等に対しても、同条の罰金刑を科する。

2 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第二十七条 法人等の代表者(有限責任事業組合にあっては、その組合員)又は清算人が、正当な理由がなく第五条第一項又は第六条第一項の規定による届出をしなかったときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その者のその行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

第二十八条 特定信託に係る受託者が、第十七条第一項の規定に違反して、同項に規定する書面若しくは電磁的記録を作成せず、若しくは虚偽の書面若しくは電磁的記録を作成し、又は同条第二項若しくは第三項の規定に違反して、これらの規定に規定する書面若しくは電磁的記録を保存しなかったときは、百万円以下の過料に処する。

第二十九条 偽りその他不正の手段により第十二条第一項の規定による実質的支配者情報ファイルに記録されている事項若しくは情報の閲覧をし、若しくは提供を受けた者又は同条第四項の規定に違反して、当該事項若しくは情報を同項に規定する目的以外の目的のために利用し、若しくは提供した者は、三十万円以下の過料に処する。

第三十条 第四条第三項の規定に違反して、情報の提供をせず、又は虚偽の情報の提供をした者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第五条の規定 公布の日

 二 次条(第一項を除く。)の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日

 三 第十五条の規定 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日

 四 第十二条(第一項第二号に係る部分に限る。)の規定 公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日

 (実質的支配者の届出に関する経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に存する法人等(次項及び第三項において「既存法人等」という。)についての第五条の規定の適用については、同条第三項中「当該各号に定める日」とあるのは、「この法律の施行の日」とする。

2 既存法人等は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、第五条第一項及び第二項の規定の例により、法務大臣に届出をすることができる。この場合において、その届出をした既存法人等は、施行日において同条第一項の規定による届出をしたものとみなす。

3 前項の規定による届出をした既存法人等が施行日前にその届出に係る事項についての変更があったこと又は誤りがあることを知った場合における第六条の規定の適用については、同条第一項中「これを知った日」とあるのは、「この法律の施行の日」とする。

4 国の機関又は特定事業者は、施行日前においても、第七条第一項の規定の例により、法務大臣に情報の提供をすることができる。この場合において、同条第二項及び第三項の規定の適用については、同条第二項中「前項」とあるのは「附則第二条第四項」と、同条第三項中「第一項の規定による情報」とあるのは「附則第二条第四項の規定による情報」と、「同項の同意をした日」とあるのは「この法律の施行の日」とする。

5 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第二項の規定による届出について、虚偽の届出をしたとき。

 二 前項に規定する国の機関又は特定事業者に対し、同項の規定によりその例によることとされる第七条第一項の法令又は契約による事務に関連して、第五条第一項各号に掲げる事項に係る情報について、虚偽の情報の提供をし、かつ、前項の規定によりその例によることとされる第七条第一項に規定する説明を受けた場合において、同項に規定する同意をしたとき(前項前段の規定による法務大臣に対する情報の提供があった場合に限る。)。

6 法人等の代表者若しくは管理人又は法人等の代理人、使用人その他の従業者が、その法人等の業務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人等に対しても、同項の罰金刑を科する。

7 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

 (特定事業者の請求による実質的支配者情報ファイルの閲覧等に関する経過措置)

第三条 施行日から附則第一条第四号に定める日の前日までの間における第十二条及び第二十九条の規定の適用については、第十二条第二項第二号中「し、又は同項第二号の提供を受ける」とあるのは「する」と、同条第四項中「し、又は同項第二号の提供を受けた」とあり、及び第二十九条中「し、若しくは提供を受けた」とあるのは「した」とする。

 (信託関係当事者に係る情報の記録及び保存に関する経過措置)

第四条 この法律の施行の際現に存する特定信託に係る受託者(以下この条において「既存受託者」という。)についての第十七条第一項の規定の適用については、同項中「内閣府令・法務省令・財務省令で定める期間内」とあるのは、「この法律の施行の日から三十日以内」とする。ただし、既存受託者が施行日前に同項に規定する書面又は電磁的記録に相当する書面又は電磁的記録を作成し、かつ、施行日において当該書面又は電磁的記録を保存している場合は、この限りでない。

2 前項ただし書の場合において、既存受託者は、施行日において第十七条第一項に規定する書面又は電磁的記録を作成したものとみなす。

 (政令への委任)

第五条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第六条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (調整規定)

第七条 施行日が重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律の一部を改正する法律(令和八年法律第▼▼▼号)の施行の日前である場合には、同日の前日までの間における第一条の規定の適用については、同条中「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査並びに利用及び取得の規制等に関する法律」とあるのは、「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」とする。


     理 由

 我が国を取り巻く国際経済環境の変化等に伴い、法人格等及び信託の違法な利用を防止することの重要性が増大していることに鑑み、法人等によるその実質的支配者に係る情報の把握及び信託の受託者によるその信託関係当事者に係る情報の把握について定め、実質的支配者に係る情報の記録を正確かつ統一的に行う実質的支配者情報ファイルの制度を設ける等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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