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   菅内閣不信任決議案(第二〇四回国会、決議第四号)


 本院は、菅内閣を信任せず。
  右決議する。

     理 由
 安倍前内閣同様、菅内閣は、新型コロナウイルス感染症への対応で失策を重ね続けている。
 昨年一月、わが国で初めて感染者が確認されたが、本格的な対策を検討し始めるまでに一か月間もの貴重な時間を空費するなど、初動対応を完全に誤った。その後も「アベノマスク」や「GoToキャンペーン」に象徴される的外れ、非科学的、後手後手、支離滅裂、朝令暮改の対応に終始、緊急事態宣言とその解除を何度も繰り返す事態に陥った。この結果、多くの国民が、十分な補償もないままに生活、事業などあらゆる面で不自由を強いられ、生活に困窮し、事業継続を断念する事態に追い込まれた。
 主要国でワクチン接種が進む中、わが国もようやくワクチン接種が始まったが、まさに遅きに失したと言わざるを得ない。
 こうした事態にもかかわらず、菅内閣は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を強行しようとしている。多くの専門家が指摘し、大多数の国民が不安を抱いているように、現下の感染状況では、国民の命と健康を守りながらオリンピック・パラリンピックを開催することは極めて困難である。オリンピック・パラリンピックを自らの政権浮揚に利用しようという菅内閣の邪心は、断じて容認することができない。
 菅内閣にはそもそも、国民への説明責任を果たそうという姿勢が欠如している。専門家の意見であっても、自らに都合の悪い意見は「自主的な研究」などと切り捨てる。国会においても、国民の疑問に正面から答えることをしない。国家的危機であるにもかかわらず、会期を延長し、新型コロナウイルス感染症対策の補正予算を編成すべきだという主張も黙殺。ただひたすら、国民の監視や批判から逃れたいという一心が透けて見える。
 もう一つ、菅内閣には看過できない問題がある。それは、安倍前内閣時代から続く、政治の私物化、政治・官僚腐敗の進行である。総理主催「桜を見る会」事件では、安倍前総理公設秘書が政治資金規正法違反で有罪となり、安倍前総理が過去の国会での虚偽答弁を訂正するという極めて異例な事態となった。そして次に発覚したのが、菅総理の長男と東北新社、総務省との癒着構造である。菅総務大臣の下で秘書官を務めた長男は、その後東北新社社員となり、父親の影響力を誇示して総務省幹部を接待漬けにした。この結果、総務省は、東北新社の外資規制違反を黙認、まさに行政が歪められる事態となった。
 また、自民党からの一億五千万円もの巨額の資金を選挙区内にばらまいた河井克行元法務大臣と案里夫妻の違法行為は、常習的に香典や祝儀をばらまいた菅原一秀元経済産業大臣の違法行為とともに、票をカネで買うという、民主主義の根幹を揺るがす許し難い行為である。
 さらには、こともあろうに大臣室で鶏卵業者から賄賂を受け取った吉川貴盛元農林水産大臣、IR事業参入をめざす中国企業から賄賂を受け取った、あきもと司元内閣府副大臣など、政務三役の収賄事件が続発しているのも、近年稀に見る深刻な事態である。まさに菅内閣の体質、政治姿勢を反映するものと言うほかない。
 以上が本決議案を提出する理由である。

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