衆議院

メインへスキップ



   行政監視院法案要綱


第一 目的及び設置
   国会が国権の最高機関であって国の唯一の立法機関であることに鑑み、国会による行政の監視及び立法に関する機能の充実強化を図り、もって民意を反映した国政の健全な発展に寄与するため、国会に、国の行政機関等の業務に関する監視、調査及び評価を行うとともに、その結果に基づいて必要な法律の制定及び改廃等に関して意見を述べる行政監視院を置くこと。(第一条関係)
第二 組織等
 一 組織
  1 行政監視院は、行政監視委員三人をもって組織すること。(第二条関係)
  2 行政監視委員は、国の行政機関等(法律の規定に基づき内閣に置かれる各機関、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれる各機関及び内閣の所轄の下に置かれる機関並びに行政執行法人をいう。以下同じ。)の業務に関する監視、調査及び評価(以下単に「監視」という。)に関して優れた識見を有する者のうちから、両議院の議長が、両議院の承認を得て、これを任命すること。(第三条関係)
  3 行政監視委員の任期は、六年とし、再任されることができること。(第四条関係)
  4 行政監視委員は、心身の故障のため職務の執行ができないこと又は職務の執行上の義務違反があったことについて両議院の議決があったときを除いては、罷免されることはないこと。(第五条関係)
  5 行政監視委員の服務(第六条関係)
   (1) 行政監視委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治活動をしてはならないこと。
   (2) 行政監視委員は、他の官職を兼ね、又は公選による公職の候補者となり、若しくは公選による公職と兼ねてはならないこと。
  6 行政監視院に院長を置き、両議院の議長が、両議院の承認を得て、行政監視委員のうちからこれを任命すること。(第七条関係)
  7 行政監視委員会議(第八条関係)
   (1) 行政監視委員会議の議長は、院長をもって、これに充てること。
   (2) 行政監視院がこの法律の規定によってその所掌に属させられた事項を決定する場合においては、行政監視委員会議の議決を経なければならないこと。
 二 事務局(第九条から第十六条まで関係)
   行政監視院の事務を処理させるため、行政監視院に事務局を置くこと。            
第三 権限
 一 国の行政機関等の業務に関する監視等
  1 行政監視院は、各議院の常任委員会若しくは特別委員会又は参議院の調査会(以下「常任委員会等」という。)の要求に応じ、必要な期間継続して、当該要求に係る国の行政機関等の業務に関し、必要な監視を行うことができること。この要求は、当該議院の議長を経由して、行うものとすること。(第十七条関係)
  2 行政監視院は、1の監視を行った結果を記載した報告書を、1の要求をした常任委員会等の属する議院の議長に提出しなければならないこと。この報告書が提出されたときは、議長は、これを1の要求をした常任委員会等に送付するものとすること。(第十八条関係)
  3 議員は、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成者と連署して、行政監視院に対し、国の行政機関等の業務に関して必要な監視を行うことを要求することができること。1及び2は、この要求について準用すること。(第十九条関係)
 二 法律の制定又は改廃等に関する意見具申等
  1 行政監視院は、常任委員会等から、一の監視の結果を踏まえて、必要な法律の制定又は改廃、予算の議決等に関して意見を求められたときは、これに対して意見を述べることができること。一1及び2は、この要求について準用すること。(第二十条関係)
  2 議員は、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成者と連署して、行政監視院に対し、一の監視の結果を踏まえて、必要な法律の制定又は改廃、予算の議決等に関して意見を求めることができること。1は、この要求について準用すること。(第二十一条関係)
 三 資料の提出の要求等
  1 資料の提出の要求(第二十二条関係)
   (1) 行政監視院は、一又は二の監視又は意見具申のため必要があると認めるときは、国の行政機関等、地方公共団体その他の者に対して、資料の提出を要求することができること。
   (2) (1)の要求を受けた国の行政機関等及び地方公共団体は、当該要求を受けた日から二十日以内に、当該要求に係る資料を提出しなければならないこと。ただし、その期間内に当該資料を提出することができないことについて正当の理由がある場合において、その理由及び提出することができる合理的な期限を明示したときは、この限りでないこと。
   (3) (2)ただし書に規定する場合においては、当該要求を受けた国の行政機関等及び地方公共団体は、当該明示した期限内に、当該要求に係る資料を提出しなければならないこと。  
  2 職務上の秘密に関する資料の提出(第二十三条関係)
   (1) 行政監視院は、1(1)の要求に係る資料について、当該要求を受けた国の行政機関等又は地方公共団体が職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、その監督庁の承認を得なければならないこと。
   (2) 監督庁が(1)の承認を拒むときは、その理由を疎明しなければならないこと。この場合において、その理由を行政監視院において受諾し得るときは、国の行政機関等又は地方公共団体は、当該要求を受けた資料を提出する必要がないこと。 
   (3) (2)の理由を受諾することができない場合は、行政監視院は、一1若しくは3又は二1若しくは2の要求(5及び第五の二において「監視又は意見具申の要求」という。)をした常任委員会等又は議員の属する議院の議長に対して、1(1)の要求に係る資料の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求するよう求めることができること。
   (4) (3)の求めを受けた各議院の議長が(3)の声明を要求し、これに対して(3)の声明があった場合は、(1)の要求を受けた国の行政機関等又は地方公共団体は、当該資料を提出する必要がないこと。
   (5) (4)の要求後十日以内に、内閣が(3)の声明を出さないときは、(1)の要求を受けた国の行政機関等又は地方公共団体は、当該資料を提出しなければならないこと。
  3 行政監視院は、一又は二の監視又は意見具申のため必要があると認めるときは、専門調査員又は調査員に官公署その他必要な場所に立ち入らせて、必要な調査をさせることができること。(第二十四条関係)
  4 行政監視院は、一又は二の監視又は意見具申のため必要があると認めるときは、参考人の出頭を求め、その意見を聴くことができること。(第二十五条関係)
  5 行政監視院は、3の立入調査又は4の参考人の出頭の求めを受けた国の行政機関等又は地方公共団体の職員がこれに応じないときは、当該監視又は意見具申の要求をした常任委員会等又は議員の属する議院の議長に対して、当該職員の任命権者に対し懲戒の処分を要求するよう求めることができること。この懲戒の処分の要求は、内閣を経由して、行うものとすること。(第二十六条関係)
 四 国民の意見等の把握等
   行政監視院は、その所掌事務の円滑な遂行に資するため、国の行政機関等の業務に関し、幅広く国民の意見等を把握し、及び資料を収集すること等に努めるものとすること。(第二十七条関係)
第四 議院運営委員会による審査
   両議院の議院運営委員会は、少なくとも六箇月に一回以上これを開会し、行政監視院の業務の処理状況に関する院長の報告、行政監視院の業務の執行上院長の定める諸規程、行政監視院の予算及びその他の事務につき審査すること。各議院の議院運営委員長は、この審査の結果をその議院に報告すること。(第二十八条関係)
第五 雑則
 一 年次報告等
   行政監視院は、毎年、両議院の議長に対し、その業務についての報告書を提出しなければならないこと。両議院の議長は、この報告書の提出を受けたときは、これを広く国民に公表する措置を講ずるものとすること。(第二十九条関係)
 二 会計検査院に対する協力依頼
   行政監視院は、第三の一又は二の監視又は意見具申のため特に必要があると認めるときは、当該監視又は意見具申の要求をした常任委員会等又は議員の属する議院の議長を経由して、会計検査院に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を依頼することができること。第三十条関係)
第六 施行期日等(附則関係)
 一 施行期日
   この法律は、国会法の一部を改正する法律(令和元年法律第   号)の施行の日から施行すること。
 二 その他所要の規定の整備を行うこと。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.