刑事訴訟法の一部を改正する法律案要綱
第一 再審又は再審の請求に係る被告事件の裁判等に関与した裁判官の除斥及び忌避(第20条新第8号関係)
裁判官の除斥及び忌避の事由に、「裁判官が再審又は再審の請求の手続について、当該再審若しくは再審の請求に係る被告事件の裁判又はその裁判の基礎となった取調べに関与したとき」を追加する。
第二 再審の請求の手続に係る規定の整備
一 再審の請求の手続を行う期日の指定等(新第444条の2関係)
1 再審の請求を受けた裁判所は、再審請求人等の申立てにより又は職権で、再審の請求の手続を行う期日を指定し、又はこれを変更することができる。
2 1の期日には、検察官を出席させることができる。
3 1の期日は、これを再審請求人等及び2により出席させる検察官に通知しなければならない。
二 裁判長の手続指揮権等(新第444条の3関係)
1 一の1の期日においては、裁判長が手続を指揮する。
2 一の1の期日における手続については、調書を作成しなければならない。
3 2の調書は、電磁的記録をもって作成し、ファイルに記録しなければならない。
第三 再審の請求の手続における検察官保管証拠等の開示命令等
一 請求による検察官保管証拠等の開示命令(新第444条の4関係)
1 再審の請求を受けた裁判所は、検察官、司法警察職員その他の公務員が保管する当該再審の請求に係る被告事件に関する証拠又は送致書類等目録(検察官以外の公務員が保管するものにあっては、検察官が入手することができるものに限る。以下「検察官保管証拠等」という。)であって、当該再審の請求の理由に関連すると認められるものについて、再審請求人等から開示の請求があった場合においては、次に掲げるときを除き、決定で、検察官に対し、再審請求人等に対する開示を命じなければならない。この場合において、裁判所は、開示の時期若しくは方法を指定し、又は開示の条件を付することができる。
再審の請求が不適法であるとき。
再審の請求に理由がないことが明らかなとき。
再審の請求の理由と開示の請求に係る検察官保管証拠等との関連性の程度その他の開示の必要性の程度並びに開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮して相当でないと認めるとき。
2 再審請求人等は、1の開示の請求をするときは、次に掲げる事項を明らかにしなければならない。
開示の請求に係る検察官保管証拠等を識別するに足りる事項
再審の請求の理由と開示の請求に係る検察官保管証拠等との関連性その他の開示の必要性
3 1の開示は、次に掲げる相手方の区分に応じ、それぞれ次に定める機会を与える方法によりするものとする。
再審の請求をした者 検察官保管証拠等を閲覧する機会(当該検察官保管証拠等の全部又は一部が電磁的記録である場合における当該電磁的記録については、その内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを視聴する機会)
弁護人 検察官保管証拠等を閲覧し、及び謄写する機会(当該検察官保管証拠等の全部又は一部が電磁的記録である場合における当該電磁的記録については、その内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを視聴し、及び当該電磁的記録を複写し、若しくは印刷し、又はその内容を表示し若しくは再生したものを記載し若しくは記録する機会)
4 再審の請求を受けた裁判所は、1の開示の請求について決定をするときは、検察官の意見を聴かなければならない。
5 1の開示の請求についてした決定に対しては、即時抗告をすることができる。
二 職権による検察官保管証拠等の開示命令(新第444条の5関係)
1 再審の請求を受けた裁判所は、検察官保管証拠等について、再審請求人等に対する開示の必要性の程度並びに開示によって生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮して相当と認めるときは、職権で、決定で、検察官に対し、再審請求人等に対する開示を命ずることができる。この場合においては、一の1の後段を準用する。
2 1の開示については一の3を、1の決定については一の4及び5を準用する。
三 検察官保管証拠等の提示命令(新第444条の6関係)
1 再審の請求を受けた裁判所は、一の1又は二の1の決定をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官に対し、検察官保管証拠等の提示を命ずることができる。この場合において、当該検察官保管証拠等の全部又は一部が電磁的記録であるときは、当該電磁的記録については、その内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを視聴する方法により、提示を受けるものとする。
2 再審の請求を受けた裁判所は、一の1又は二の1の決定をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官に対し、検察官保管証拠等であって、裁判所の指定する範囲に属するものの標目の一覧表を提示することを命ずることができる。この場合において、検察官が当該一覧表を電磁的記録をもって作成したときは、当該一覧表については、その内容を表示したものを閲覧する方法により、提示を受けるものとする。
3 1又は2の場合においては、再審の請求を受けた裁判所は、何人にも、当該検察官保管証拠等又は当該一覧表の閲覧又は謄写をさせることができない。
4 1から3までは、一の5(二の2において準用する場合を含む。)の即時抗告が係属する抗告裁判所について準用する。
第四 再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止(新第450条の2関係)
検察官は、再審開始の決定に対しては、即時抗告、異議の申立て及び特別抗告をすることはできないものとする。
第五 施行期日等
一 施行期日(附則第1条関係)
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
二 検討(附則第2条関係)
政府は、この法律の施行後3年を目途として、捜査機関が作成した書類及び収集した証拠物の目録の作成及び保存の在り方、再審の請求をしようとする者に対する検察官保管証拠等の開示の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
三 経過措置(附則第3条関係)
新法の規定は、この法律の施行の際現に係属している再審及び再審の請求の手続についても、適用する。
四 関係法律の整備(附則第4条関係)
この法律の施行に伴う関係法律の整備については、別に法律で定める。

