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法律第百六十五号(昭二二・一二・一二)

◎郵便法

第一章 総則

第一条(この法律の目的) この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。

第二条(郵便の国営及び逓信大臣の職責) 郵便は、国の行う事業であつて、逓信大臣が、これを管理する。

逓信大臣は、この法律の目的を達成するため、左の職責を有する。

一 郵便に関する条約及び法律に従い、省令を発すること。

二 法律に触れない範囲において、郵便局を設置し、又は廃止し、郵便局の窓口取扱時間及び取扱事務の範囲を定めること。

三 郵便物の取集、逓送及び配達に関する施設をすること。

四 郵便の業務に従事する者をその職務につき指揮監督すること。

五 法律に触れない範囲において、郵便の業務に従事する者の能率の向上を図るため必要な厚生、保健その他の施設をし、且つ、郵便の業務に従事する者の訓練を行うこと。

六 郵便事業を行うため、財政及び会計に関する法令の定めるところに従い、必要な契約をすること。

七 前各号に掲げるものを除いて、郵便に関し逓信大臣の職責として法令の定める事項を掌理すること。

第三条(逓信大臣の職権の委任) 逓信大臣は、この法律に定める職権で細目の事項に関するものを、条件を定めて、逓信局長又は郵便局長に委任することができる。

第四条(郵便の業務に従事する官吏) 郵便の業務に従事する官吏(特定郵便局長を含む。)の身分、給与及び服務に関する事項並びに特定郵便局長の郵便局の運営に関する事項は、この法律でこれを定めず、別に法律でこれを定める。

第五条(事業の独占) 何人も、郵便の業務を業とし、又、国の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。但し、逓信大臣が、法律の定めるところに従い、契約により逓信官署のため郵便の業務の一部を行わせることを妨げない。

何人も、信書の送達を営業としてはならない。

運送営業者、その代表者又はその代理人その他の従業者は、その運送方法により他人のために信書の送達をしてはならない。但し、貨物に添附する無封の添状又は送状は、この限りでない。

第六条(利用の公平) 何人も、郵便の利用について差別されることがない。

第七条(利用の制限及び業務の停止) 逓信大臣は、天災その他やむを得ない事由がある場合において、重要な郵便物の取扱を確保するため必要があるときは、郵便の利用を制限し、又は郵便の業務の一部を停止することができる。

第八条(検閲の禁止) 郵便物の検閲は、これをしてはならない。

第九条(秘密の確保) 逓信官署の取扱中に係る信書の秘密は、これを侵してはならない。

郵便の業務に従事する者は、在職中郵便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。

第十条(郵便物運送の義務) 左の者は、郵便物の運送に関する法律の定めるところにより、逓信大臣の要求があつたときは、郵便物の運送をしなければならない。

一 国の経営する鉄道、船舶又は路線を定める一般自動車運送事業を管理する者

二 地方鉄道法による地方鉄道業者

三 軌道法による軌道経営者

四 一般交通の用に供するため航路を定め定期に船舶を運航して運送業を営む者

五 路線を定める一般自動車運送事業を営む者

六 索道事業を営む者

七 前各号に掲げるものを除いて、一般交通の用に供するため航路又は路線を定め定期に舟車馬を運行して運送業を営む者

前項の場合には、逓信大臣は、郵便物の運送に関する法律の定めるところにより、相当の運送料金を支払わなければならない。

第十一条(海損の分担の免除) 郵便物及びその取扱に必要な物件は、海損を分担しない。

第十二条(検疫の優先) 郵便物が検疫を受くべき場合には、他の物件に先だつて、直ちに検疫を受ける。

第十三条(郵便に関する条約) 郵便に関し条約に別段の定のある場合には、その規定による。

第二章 郵便物及びその料金

第一節 通則

第十四条(郵便禁制品) 左の物は、これを郵便物として差し出すことができない。

一 爆発性、発火性その他の危険性のある物で逓信大臣の指定するもの

二 毒薬、劇薬、毒物及び劇物(官公署、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師又は毒劇物営業者が差し出すものを除く。)

三 生きた病源体及び生きた病源体を含有し、又は生きた病源体が附着していると認められる物(官公署、細菌検査所、医師又は獣医師が差し出すものを除く。)

四 法令に基き移動又は頒布を禁止された物

第十五条(省令による差出の禁止) 逓信大臣は、郵便の業務に従事する者又は他の郵便物に対する傷害又は損害を避けるため必要があると認めるときは、省令で物を指定して、その物を郵便物として差し出すことを禁止することができる。

第十六条(郵便物の種類) 郵便物は、通常郵便物及び小包郵便物とし、通常郵便物は、第一種乃至第五種とする。

第十七条(容積及び重量の制限) 郵便物の容積及び重量は、左の制限を超えることができない。

一 通常郵便物

容積 長さ

厚さ

四十五センチメートル

三十センチメートル

十五センチメートル

重量

(い)第一種

四キログラム

(ろ)第三種乃至第五種((は)に掲げるものを除く。)

千二百グラム

(は)第四種のうち

商品の見本及びひな形

盲人用点字のみを掲げた印刷物

三百グラム

三キログラム

二 小包郵便物

容積 長さ、幅及び厚さ各々五十センチメートル又は長さ一メートル、幅及び厚さ各々二十センチメートル

重量 四キログラム

逓信大臣は、取扱上支障がないと認めるときは、必要な取扱条件を定め、容積において前項の長さ、幅及び厚さの各々二倍を、重量において二十キログラムを超えない小包郵便物を取り扱うことができる。

第十八条(包装の仕方及びあて名等の記載方) 逓信大臣は、省令で、郵便物の包装の仕方及びあて名その他郵便物の取扱上必要な事項の記載方を定めることができる。

第十九条(通貨及び貴重品の差出方) 通貨を郵便物として差し出すときは、これを保険扱の郵便物としなければならない。

逓信大臣の指定する貴金属、宝玉石その他の貴重品を郵便物として差し出すときは、これを書留又は保険扱の郵便物としなければならない。但し、通貨とともに包装するときは、前項の規定による。

第二十条(無料郵便) 郵便、電信、電話、郵便為替、郵便貯金、郵便振替貯金、簡易生命保険、郵便年金、年金及び恩給の支給その他国庫金の受入払渡又は収入印紙の売さばきの事務に関する郵便物で左のものは、無料でこれを差し出すことができる。

一 逓信官署から差し出されるもの

二 逓信官署の依頼により逓信官署にあてて差し出されるもの

無料郵便物は、他の法律に規定のあるもの及び逓信大臣が指定するものを除いて、これを特殊取扱とすることができない。

第二節 通常郵便物

第二十一条(第一種郵便物) 左の郵便物は、第一種郵便物とする。

一 筆書した書状(特定の人にあてた通信文を紙又はこれに類する物に筆書(印章又はタイプライターによる場合を含む。)したもので、郵便葉書でないもの)を内容とするもの

二 郵便切手、返信切手券、料額印面のついた郵便葉書、収入印紙、紙幣、銀行券、公債証券、社債券、株券、貨物引換証、船荷証券、倉庫証券、為替手形、約束手形、小切手、郵便為替証書、商品券又はこれらに類する証票、証券若しくは証書で逓信大臣の指定するものを内容とするもの

三 他の種類の郵便物に該当しないもの

第一種郵便物の料金は、重量二十グラム又はその端数ごとに一円二十銭とする。

第二十二条(第二種郵便物) 郵便葉書は、第二種郵便物とし、通常葉書及び往復葉書とする。

第二種郵便物の料金は、通常葉書にあつては五十銭、往復葉書にあつては一円とする。

郵便葉書は、逓信大臣が、省令でその規格及び様式を定めて、これを発行する。但し、省令の定めるところにより、逓信大臣の発行する郵便葉書の規格及び様式を標準として、これを私製することを妨げない。

郵便葉書は、その表面に差出人及び受取人の氏名及び住所又は居所以外の事項を記載し、他の物を添附し、又は原形を変えてこれを差し出すことができない。但し、逓信大臣は、省令で別段の定をすることができる。

前項の規定に違反して差し出された郵便葉書は、これを第一種郵便物として取り扱う。

第二十三条(第三種郵便物) 第三種郵便物の認可のあることをあらわす文字を掲げた定期刊行物を内容とする郵便物で開封とするものは、第三種郵便物とする。

第三種郵便物とすべき定期刊行物は、逓信大臣の認可のあるものに限る。

逓信大臣は、左の条件を具備する定期刊行物につき前項の認可をする。

一 毎月一回以上号を逐つて定期に発行するものであること。

二 掲載事項の性質上発行の終期を予定し得ないものであること。

三 政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。

第三種郵便物の料金は、重量百グラム又はその端数ごとに五十銭とする。但し、毎月三回以上発行する新聞紙、官報及び公報で発行人又は売さばき人から差し出されるその一日分又は一部を内容とするものの料金は、重量百グラム又はその端数ごとに十五銭とする。

第二項の認可を受けた者は、直ちにその料金として二百円を納付しなければならない。

第二十四条(第三種郵便物の認可の取消) 逓信大臣は、前条第二項の認可をした定期刊行物が同条第三項の条件を具備しなくなつたときは、その認可を取り消すことができる。

第二十五条(第三種郵便物の題号等の変更) 第二十三条第二項の認可を受けた定期刊行物の題号、掲載事項の種類又は、発行人の変更については、省令の定めるところにより、逓信大臣の認可を受けなければならない。

前項の認可を受けた者は、直ちにその料金として、一事項の変更の場合にあつては百円、二事項以上の変更の場合にあつては百五十円を納付しなければならない。

第二十六条(第四種郵便物) 左の物を内容とする郵便物で開封とするものは、第四種郵便物とする。

一 印刷物(盲人用点字のみを掲げたものは、これを印刷物とみなす。)

二 業務用書類(特定の人にあてた通信文でない事項を紙又はこれに類する物に記載した物)

三 写真、書、画及び図

四 商品の見本及びひな形並びに学術上の標本

第四種郵便物の料金は、重量百グラム又はその端数ごとに一円二十銭とする。但し、盲人用点字のみを掲げた印刷物を内容とするものの料金は、重量一キログラム又はその端数ごとに十五銭とする。

第二十七条(第五種郵便物) 左の物を内容とする郵便物で開封とするものは、第五種郵便物とする。蚕種を内容とする郵便物で逓信官署の承認のもとに密閉したものも、同様とする。

一 省令の定める植物種子、苗、苗木、茎及び根、樹皮並びにきのこで栽植又は培養の用に供するもの

二 蚕種、家きんの卵、蜂及び食用がえるで繁殖又は飼養の用に供するもの

三 法令の規定に基いて行う食糧の検査のため官公署相互間に発受する食糧の標本

第五種郵便物の料金は、重量百グラム又はその端数ごとに十五残とする。

第二十八条(第三種乃至第五種郵便物の記載事項等の制限) 第三種郵便物、第四種郵便物及び第五種郵便物の外部には、差出人及び受取人の氏名及び住所又は居所以外の事項を記載し、又は他の物を添附することができない。但し、逓信大臣は、省令で別段の定をすることができる。

前項に規定する郵便物の内容たる物には、省令の定めるところにより、その物の送付にあたり必要な事項を記載し、又は他の物を添附することができる。

前二項の規定に違反して差し出された郵便物は、これを異種の通常郵便物をともに包装したものとみなす。

第二十九条(異種合装) 異種の通常郵便物をともに包装したものは、これをその種類中の最高料金を納付すべき郵便物として取り扱う。但し、第二種郵便物を他種の郵便物とともに包装した郵便物は、これを第一種郵便物として取り扱う。

第三節 小包郵便物

第三十条(要件) 信書以外の物を内容とする郵便物で、その包装の表面のみやすい所に小包なる文字を掲げたものは、小包郵便物とする。

小包郵便物には、第二十八条第一項及び第二項の規定を準用する。

第三十一条(料金) 小包郵便物の料金は、重量二キログラムまで五円とし、二キログラムを超える二キログラム又はその端数ごとに三円を増す。

逓信大臣は、省令で、都の区の存する区域内、同一特別市内又は同一市町村内のみにおいて発着する小包郵便物の料金を前項の料金の半額まで低減することができる。

第三章 郵便に関する料金の納付及び還付

第三十二条(料金納付の方法及び時期) 郵便に関する料金は、この法律に別段の定のある場合を除いて、郵便切手でこれを前納しなければならない。

料額印面のついた郵便葉書については、これを郵便物として差し出したときに、その印面にあらわされた金額の限度において料金の納付があつたものとする。

郵便に関する料金は、省令の定めるところにより、これを通貨で納付することができ、又、郵便物の料金及び特殊取扱の料金は、省令の定めるところにより、一箇月内に差し出す郵便物の料金及び特殊取扱の料金の概算額の三倍以上の額に相当する通貨を担保としてこれを後納することができる。

第三十三条(切手類の発行及び売さばき) 郵便切手その他郵便に関する料金をあらわす証票は、逓信大臣が、これを発行し、郵便局及び別に法律の定める売さばき人において、これを売りさばく。

第三十四条(切手類の記号) 郵便切手その他郵便に関する料金をあらわす証票は、逓信大臣の承認を受けて、記号を施してこれを使用することができる。

前項の記号に関する事項は、逓信大臣が、省令でこれを定める。

第一項の承認を受けた者は、直ちにその料金として百円を納付しなければならない。

第三十五条(無効な切手類) 汚染し、若しくはき損された郵便切手又は料額印面の汚染し、若しくはき損された郵便葉書は、これを無効とする。

第三十六条(料金納付の義務の消滅) 郵便に関する料金納付の義務は、その納付すべき日から六箇月以内に納付の告知を受けないことに因つて消滅する。

第三十七条(料金の不納金額の徴収) 郵便に関する料金の不納金額は、逓信大臣が、国税滞納処分の例によりこれを徴収する。

前項の不納金額につき、逓信大臣は、国税に次いで先取特権を有する。

第三十八条(料金の還付) 郵便に関する既納の料金は、左のものに限り、これを納付した者の請求に因りこれを還付する。

一 過納の料金

二 特殊取扱その他この法律に定める特別の取扱をする郵便物について、不可抗力に因る場合を除いて、逓信官署がその取扱をしなかつた場合、又はその取扱をしないのと同様の結果を生じた場合における特殊取扱その他特別の取扱の料金

三 逓信大臣が損害賠償をしなければならない場合における当該郵便物の料金及び特殊取扱の料金(書留料及び保険扱料を除く。)

四 郵便差出箱の私設又は郵便私書箱の使用を廃止した場合における廃止した月の翌月以後の料金

第三十九条(料金の還付の請求) 前条の規定による料金の還付の請求は、前条第一号及び第二号の料金については、その料金を納付した日から一年、同条第三号の料金については、逓信大臣から損害賠償をする旨の通知を受けた日から六箇月、同条第四号の料金については、私設又は使用を廃止した日から、六箇月を経過したときは、これをすることができない。

第四章 郵便物の取扱

第四十条(引受の際の申告及び開示) 逓信官署は、郵便物引受の際、郵便物の内容たる物の種類及び性質につき、差出人に申告を求めることができる。

前項の場合において、郵便物が差出人の申告と異なりこの法律又はこの法律に基く省令の規定に違反して差し出された疑があるときは、逓信官署は、差出人にその開示を求めることができる。

差出人が第一項の申告又は前項の開示を拒んだときは、逓信官署は、その郵便物の引受をしないことができる。

第四十一条(取扱中に係る郵便物の開示) 逓信官署は、その取扱中に係る郵便物がこの法律又はこの法律に基く省令の規定に違反して差し出された疑があるときは、差出人又は受取人にその開示を求めることができる。

差出人又は受取人が前項の開示を拒んだとき、又は差出人若しくは受取人に開示を求めることができないときは、逓信大臣の指定する逓信官署において、その郵便物を開くことができる。但し、封かんした第一種郵便物は、開かないで差出人にこれを還付する。

第四十二条(危険物の処置) 逓信官署は、その取扱中に係る郵便物が第十四条第一号乃至第三号に掲げる物を内容とするときは、危険の発生を避けるため棄却その他必要な処置をすることができる。この場合には、直ちに差出人にその旨を通知しなければならない。

第四十三条(あて名変更及び取もどし) 郵便物の差出人は、当該郵便物の配達前又は交付前に限り、あて名の変更又は取もどしを差出郵便局に請求することができる。

あて名変更料及び取もどし料は、左の通りとする。

一 当該郵便物の発送準備完了前であるとき

二円五十銭

二 当該郵便物の発送準備完了後であるとき

郵便によるもの

 

五円

電信によるもの

あて名変更

取もどし

四十円

三十円

三 差出郵便局が当該郵便物を配達すべきとき

二円五十銭

第四十四条(転送) 郵便物の受取人がその住所又は居所を変更した場合において、あらたな住所又は居所が判明しているときは、その郵便物は、これをそのあらたな住所又は居所に転送する。

書留、保険扱若しくは速達とした通常郵便物又は小包郵便物を転送したときは、逓信官署は、配達の際あらたに受取人に当該郵便物の料金及び書留料、保険扱料又は速達料を納付させる。受取人が納付しないときは、差出人が、これを納付しなければならない。

第四十五条(受取人の証明) 逓信官署は、郵便物の受取人の真偽を調査するため、受取人に対して必要な証明を求めることができる。

第四十六条(正当の交付) この法律又はこの法律に基く省令に規定する手続を経て郵便物を交付したときは、正当の交付をしたものとみなす。

第四十七条(郵便差出箱の私設) 郵便差出箱は、逓信官署の承認を受けて、これを私設することができる。

前項の郵便差出箱の私設に関する条件は、逓信大臣が、省令でこれを定める。

第四十八条(私設郵便差出箱の取集料) 私設郵便差出箱の取集料の額は、一年につき、左の金額の合計額とする。

一 一日の取集度数による金額

六度以上のもの

三度以上のもの

二度以下のもの

三百六十円

三百円

二百四十円

二 一日の取集路程による金額

当該郵便差出箱の設置に因り取集のための路程がのびた場合において、そののびた路程に一日の取集度数に乗じたものの百メートル又はその端数ごとに

二十円

前項第二号の路程は、逓信官署の定めるところによる。

第四十九条第一項に規定する期の中途において郵便差出箱の私設の承認があつた場合におけるその期の取集料及び一年にみたない期間を限り設置する私設郵便差出箱の取集料は、月割額による。

第四十九条第一項に規定する期の中途において取集度数又は取集路程に異動を生じたときは、その期の料金は、これを改定しない。

第四十九条(私設郵便差出箱の料金の納付期日) 前条の取集料は、四月一日から九月三十日まで及び十月一日から翌年三月三十一日までの二期に分ち、毎期分を当該期の初日の前日までに納付しなければならない。

前項の期の中途において郵便差出箱私設の承認があつた場合におけるその期の取集料は、これを直ちに、一年に満たない期限を限り設置する私設郵便差出箱の取集料は、その全額をその期間の初日の前日までに納付しなければならない。

第五十条(郵便私書箱) 逓信大臣は、郵便局に郵便私書箱を設け、省令でその使用に関する条件を定めることができる。

郵便私書箱の使用料は、一年につき、左の通りとする。

一 当該郵便局に設けられた郵便私書箱の数が二百以上であるとき

二 当該郵便局に設けられた郵便私書箱の数が百以上二百未満であるとき

三 当該郵便局に設けられた郵便私書箱の数が百未満であるとき

二百円

百二十円

八十円

同一の郵便私書箱について二箇以上のかぎを貸与するときは、前項の使用料は、かぎ一箇を超える一箇ごとに二十円を増す。

郵便私書箱の使用料には、第四十八条第三項及び第四項並びに前条の規定を準用する。

第五十一条(料金未納又は料金不足の通常郵便物) 料金未納又は料金不足の通常郵便物で特殊取扱としないものは、受取人が、その不納金額の二倍に相当する額の料金を納付してこれを受け取ることができる。

第五十二条(郵便物の還付) 受取人に交付することができない郵便物は、これを差出人に還付する。

この法律又はこの法律に基く省令の規定に違反して差し出された郵便物は、第二十二条第五項及び第八十一条に規定する場合、第四十二条の規定により棄却された場合並びに前条の規定により受取人が受け取つた場合を除いて、これを差出人に還付する。

郵便物の差出人が還付すべき郵便物の受取を拒んだときは、その郵便物は、国庫に帰属する。

第五十三条(郵便物の還付の際の料金) 書留若しくは保険扱とした通常郵便物又は小包郵便物を差出人に還付すべきときは、差出人は、あらたに当該郵便物の料金及び書留料又は保険扱料を納付しなければならない。

前条の規定により郵便物を差出人に還付すべきときは、差出人は、左の各号の区分に従い、夫々その号に掲げる額の料金を納付しなければならない。

一 料金が未納又は不足であるとき

その不納金額の二倍に相当する額

二 当該郵便物が第十九条の規定に違反して差し出されたとき

書留料の二倍に相当する額

第五十四条(還付不納の郵便物) 差出人に還付すべき郵便物で、差出人不明その他の事由に因り還付することができないものは、逓信大臣の指定する逓信官署において、これを開くことができる。

前項の規定により開いても、なお配達することも還付することもできない郵便物は、逓信大臣の指定する逓信官署において、これを保管する。

前項の規定により保管した郵便物で有価物でないものは、その保管を開始した日から三箇月以内にその交付を請求する者がないときは、これを棄却し、有価物で滅失若しくはき損のおそれがあるもの又はその保管に過分の費用を要するものは、直ちにこれを売却し、その売却代金の一割に相当する金額を以て売却手数料に充てた上その残額を保管する。

前項の規定より売却された有価物以外の有価物及び同項の規定により保管される売却代金は、当該郵便物の保管を開始した日から一年以内にその交付を請求する者がないときは、国庫に帰属する。

第五十五条(誤配達郵便物の処理) 郵便物の誤配達を受けた者は、その郵便物にその旨を表示して郵便差出箱に差し入れ、又はその旨を逓信官署に通知しなければならない。

前項の場合において誤つてその郵便物を開いた者は、これを修補し、且つ、その旨並びに氏名及び住所又は居所を郵便物に表示しなければならない。

第五十六条(省令への委任) この法律に規定するものの外、郵便物の差出、交付及び配達に関し必要な事項は、逓信大臣が、省令でこれを定める。

第五章 郵便物の特殊取扱

第五十七条(特殊取扱の種類) 逓信大臣は、郵便物の特殊取扱として、この章に定めるところにより、書留、保険扱、速達、引受時刻証明、配達証明、内容証明、代金引換、特別送達及び年賀特別郵便の取扱を実施する。

第五十八条(書留) 書留の取扱においては、逓信官署において、当該郵便物の引受から配達に至るまでの経路を明かにしておくため必要な記録をする。

書留の取扱は、保険扱とする郵便物以外の郵便物につき、これをするものとする。

書留料は、五円とする。

第五十九条(保険扱) 保険扱においては、逓信官署において、当該郵便物の引受から配達に至るまでの経路を明かにしておくため必要な記録をし、若し、送達の途中において当該郵便物を亡失し、又はき損した場合には、差出の際逓信官署に申出のあつた損害要償額の全部又は一部を賠償する。

保険扱は、書留とする郵便物以外の郵便物につき、これをするものとする。

第一項の損害要償額は、五千円以下とし、郵便物の内容たる物が、通貨であるときは、その金額を、通貨以外の物であるときは、その時価を超えることができない。

保険扱料は、左の通りとする。

一 損害要償額が五百円以下であるとき

通貨      十五円

通貨以外のもの 十 円

二 損害要償額が五百円を超えるとき

五百円又はその端数ごとに五円を前号の料金額に加えた金額

第六十条(速達) 速達の取扱においては、逓信官署において、当該郵便物を他の郵便物に優先して送達する。

速達の取扱は、配達郵便局から陸路四キロメートル以内の場所に配達すべき通常郵便物につき、これをするものとする。

速達料は、四円とする。

第二項に規定する路程は、逓信官署の定めるところによる。

第六十一条(引受時刻証明) 引受時刻証明の取扱においては、逓信官署において、当該郵便物を引き受けた時刻を証明する。

引受時刻証明の取扱は、書留又は保険扱とする郵便物につき、これをするものとする。

引受時刻証明料は、十円とする。

第六十二条(配達証明) 配達証明の取扱においては、逓信官署において、当該郵便物を配達し、又は交付した事実を証明する。

配達証明の取扱は、書留又は保険扱とする郵便物につき、これをするものとする。

配達証明の取扱は、郵便物を差し出した後でも、その差出の日から六箇月以内に限り、これをすることができる。

配達証明料は、十円とし、前項の規定による取扱をするときは、十円を増す。

第六十三条(内容証明) 内容証明の取扱においては、逓信官署において、当該郵便物の内容たる文書の内容を省令の定める謄本によつて証明する。

内容証明の取扱は、仮名、漢字、数字その他省令の定める文字又は記号を記載した文書一通のみを内容とする通常郵便物で書留とするものにつき、これをするものとする。

内容証明料は、当該郵便物の内容たる文書の謄本が一枚であるときは、十円とし、一枚を超える一枚ごとに五円を増す。

二箇以上の郵便物でその内容たる文書の内容を同じくするもの並びに内容たる文書のうち名あて人の氏名及び住所又は居所のみを異にする二箇以上の郵便物で夫々その名あて人にあてたものについての内容証明料の額は、そのうち一箇は前項に規定する額とし、その他は一箇ごとにその半額とする。

第六十四条(代金引換) 代金引換の取扱においては、逓信官署において、当該郵便物を差出人の指定した額の金銭と引き換えに名あて人に交付し、その額の金銭を差出人の指定に従つて郵便為替又は郵便振替貯金により差出人に送付する。

代金引換の取扱は、書留又は保険扱とする郵便物につき、これをするものとする。

第一項の規定により引き換える金額は、五千円以下とする。

代金引換料は、十円とする。但し、この料金には、第一項に規定する郵便為替及び郵便振替貯金の料金を含まない。

第六十五条(代金引換の取消及び引換金額の変更) 代金引換の郵便物の差出人は、当該郵便物の交付前に限り、代金引換の取消又は引換金額の変更を差出郵便局に請求することができる。

代金引換の取消料の額は、第四十三条第二項に規定する取もどし料と同額とし、引換金額の変更料の額は、同項に規定するあて名変更料と同額とする。

第六十六条(特別送達) 特別送達の取扱においては、逓信官署において、当該郵便物を民事訴訟法第百六十九条、第百七十一条及び第百七十七条に掲げる方法により、送達し、その送達の事実を証明する。

特別送達の取扱は、法律の規定に基いて民事訴訟法第百六十九条、第百七十一条及び第百七十七条に掲げる方法により送達すべき書類を内容とする通常郵便物で書留とするものにつき、これをするものとする。

特別送達料は、十円とする。

第六十七条(年賀特別郵便) 逓信大臣は、省令で年賀特別郵便の取扱に関し必要な事項を定めることができる。

第六章 損害賠償

第六十八条(事由及び金額) 逓信大臣は、この法律又はこの法律に基く省令の規定に従つて差し出された郵便物が左の各号の一に該当する場合に限り、その損害を賠償する。

一 書留又は保険扱とした郵便物の全部若しくは一部を亡失し、又はき損したとき。

二 引換金を取り立てないで代金引換とした郵便物を交付したとき。

前項の場合における賠償金額は、左の通りとする。

一 書留として郵便物の全部若しくは一部を亡失し、又はき損したとき

百円(実損額が百円未満であるときは、その実損額)

二 保険扱とした郵便物の全部を亡失したとき

損害要償額の全部

三 保険扱とした郵便物の全部若しくは一部をき損し、又はその一部を亡失したとき

損害要償額を限度とする実損額

四 引換金を取り立てないで代金引換とした郵便物を交付したとき

引換金額

第六十九条(免責) 損害が差出人若しくは受取人の過失、当該郵便物の性質若しくは欠陥又は不可抗力に因り発生したものであるときは、逓信大臣は、前条の規定にかかわらず、その損害を賠償しない。

第七十条(無損害の推定) 郵便物を交付する際外部に破損の跡がなく、且つ、重量に変りがないときは、損害がないものと推定する。

第七十一条(損害の険査) 逓信大臣の賠償すべき損害があると認められる場合において、郵便物の受取人又は差出人がその郵便物の受取を拒んだときは、逓信官署は、その者の出頭を求め、その立会のもとに当該郵便物を開いて、損害の有無及び程度につき険査をしなければならない。

前項の場合において、当該郵便物の受取を拒んだ者が受取を拒んだ日から十日以内に正当の事由なく立会のため出頭しなかつたときは、逓信官署は、その郵便物をその者に配達し、又は還付する。

第七十二条(郵便物受取に因る損害賠償請求権の消滅) 郵便物の受取人又は差出人は、その郵便物を受け取つた後、又は前条第一項の規定により受取を拒んだ場合において、同条第二項に規定する期間内に正当の事由なく立会のため出頭しなかつたときは、その郵便物につき、損害賠償の請求をすることができない。

第七十三条(損害賠償の請求権者) 損害賠償の請求をすることができる者は、当該郵便物の差出人又はその承諾を得た受取人とする。

第七十四条(損害賠償を請求することができる期間) 損害賠償の請求権は、当該郵便物を差し出した日から一年間これを行わないことに因つて消滅する。

第七十五条(損害賠償後の郵便物発見) 逓信官署は、損害賠償があつた後その郵便物の全部又は一部を発見したときは、その旨をその賠償受領者に通知しなければならない。この場合において、賠償受領者は、その通知を受けた日から三箇月以内に、省令の定めるところにより、賠償金の全部又は一部を返付して、その郵便物の交付を請求することができる。

第七章 罰則

第七十六条(事業の独占をみだす罪) 第五条の規定に違反した者は、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。

前項の場合において、金銭物品を収得したときは、これを没収する。既に消費し、又は譲渡したときは、その価額を追徴する。

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第一項の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても同項の罰金刑を科する。

第七十七条(郵便物を開く等の罪) 逓信官署の取扱中に係る郵便物を正当の事由なく開き、き損し、隠匿し、放棄し、又は受取人でない者に交付した者は、これを三年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。但し、刑法第二百五十八条又は第二百五十九条に該当する場合には、同条の刑に処する。

第七十八条(郵便用物件を損傷する等の罪) 郵便専用の物件又は現に郵便の用に供する物件に対し損傷その他郵便の障害となるべき行為をした者は、これを五年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。

第七十九条(郵便物の取扱をしない等の罪) 郵便の業務に従事する者がことさらに郵便の取扱をせず、又はこれを遅延させたときは、これを一年以下の懲役又は二千円以下の罰金に処する。

郵便の業務に従事する者が重大な過失に因つて郵便物を失つたときは、これを二千円以下の罰金に処する。

第八十条(信書の秘密を侵す罪) 逓信官署の取扱中に係る信書の秘密を侵した者は、これを一年以下の懲役又は二千円以下の罰金に処する。

郵便の業務に従事する者が前項の行為をしたときは、これを二年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。

第八十一条(郵便禁制品を差し出す罪) 第十四条の規定の違反があつたときは、その違反行為をした者を五千円以下の罰金又は科料に処し、その郵便物として差し出した物を没収する。

第八十二条(第三種郵便物の認可をいつわる罪) 第三種郵便物の認可のない定期刊行物に第三種郵便物の認可のあることをあらわす文字を掲げたときは、その定期刊行物の発行人を三千円以下の罰金に処する。

第八十三条(料金を免かれる罪) 不法に郵便に関する料金を免かれ、又は他人にこれを免かれさせた者は、これを二千円以下の罰金又は科料に処する。

郵便の業務に従事する者が前項の行為をしたときは、これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。

第八十四条(切手類を偽造する等の罪) 行使の目的を以て逓信大臣又は外国政府の発行する郵便切手その他郵便に関する料金をあらわす証票を偽造し、若しくは変造し、又はその使用の跡を除去した者は、これを十年以下の懲役に処する。偽造し、変造し、若しくは使用の跡を除去した郵便切手その他郵便に関する料金をあらわす証票を行使し、又は行使の目的を以てこれを輸入し、他人に交付し、若しくはその交付を受ける者も、同様とする。

前項の規定は、何人でも国外でその罪を犯した者に、これを適用する。

第八十五条(未遂罪及び予備罪) 第七十六条乃至第七十八条、第八十条、第八十三条及び前条の未遂罪は、これを罰する。

前条の罪を犯す目的でその予備をした者は、これを二年以下の懲役又は千円以下の罰金に処し、その用に供した物は、これを没収する。

附 則

第八十六条 この法律は、第十条の規定を除いて、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。

第十条の規定施行の期日は、政令でこれを定める。但し、その期日は、昭和二十三年四月一日以前でなければならない。

第八十七条 明治三十三年法律第五十四号郵便法は、これを廃止する。

第八十八条 この法律施行前に差し出された郵便物については、なお従前の例による。

第八十九条 旧法の規定又はこれに基く省令によりした処分、手続その他の行為は、この法律中これに相当する規定がある場合には、この法律によりこれをしたものとみなす。

第九十条 旧法第三条の規定は、第八十七条の規定にかかわらず、第八十六条第二項に規定する期日の前日までは、なおその効力を有する。

第九十一条 この法律施行の際現に郵便切手其の他郵便に関する料金をあらわす証票の売さばきの認可を受けている者は、これを第三十三条に規定する法律の定める売さばき人とみなす。

第九十二条 この法律施行前(第九十条の場合には、同条の規定により旧法第三条の規定がその効力を有する間)にした行為の処罰については、なお従前の例による。

(逓信・内閣総理大臣署名)

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