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法律第百八十一号(昭二二・一二・一三)

◎臨時金利調整法

第一条 この法律において、金融機関とは、銀行、信託会社、保険会社、無尽会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫、恩給金庫、庶民金庫、地方農業会、漁業会、市街地信用組合その他貯金の受入又は資金の融通を業とするものをいう。

この法律において、金利とは、全国各地における金融機関の実際に行う預金又は貯金の利率、定期積金の利廻、無尽掛金の利廻、指定金銭信託の予定配当率、貸付の利率、手形の割引率、当座貸越の利率、コールローン又はコールマネーの利率並びに有価証券の引受料、戻料その他これらに準ずるものをいう。

第二条 大蔵大臣は、当分の間、経済一般の状況に照し必要があると認めるときは、日本銀行総裁をして、金融機関の金利の最高限度を定めさせることができる。但し、金融機関の金利の最高限度が、他の法律に基き定められ得る場合は、この限りでない。

大蔵大臣は、経済一般の情況に照し必要があると認めるときは、日本銀行総裁をして、前項の規定により日本銀行総裁が決定した金利の最高限度を変更又は廃止させることができる。変更させたものについても、また、同様とする。

前二項の規定により、日本銀行総裁が、金利の最高限度を定め、変更し、又は廃止しようとする場合には、金利調整委員会(以下委員会という。)に諮問しなければならない。

大蔵大臣は、第一項又は第二項の規定により、日本銀行総裁をして金利の最高限度を定め、変更し、又は廃止させたときは、直ちに、その旨を公告しなければならない。

第三条 日本銀行総裁は、前条第一項又は第二項の規定により金融機関の金利の最高限度を定める場合においては、金融機関別に、又、地域別に、これを定めることができる。

第四条 この法律により定められる金融機関の金利の最高限度は、常に、一般金融市場の情況に相応するようなものでなければならない。

第五条 この法律により金融機関の金利の最高限度が定められたときは、当該金融機関は、当該金利については、その最高限度を超えて、これを契約し、支払い、又は受領してはならない。その最高限度以下で第三者との間において、これを契約し、支払い、又は受領することは、全く自由である。

第六条 委員会は、大蔵大臣の所轄に属し、日本銀行総裁の諮問に応じ、諮問された事項につき、調査審議し、その結果を日本銀行総裁に答申する。

委員会は、金融機関の金利に関し、大蔵大臣又は日本銀行総裁に、随時意見を具申することができる。

第七条 委員会は、委員十五人を以て、これを組織する。

委員のうちの一人を委員長とする。委員長は、委員の互選により、これを定める。

第八条 委員は、左に掲げる者を以て、これに充てる。

一 大蔵省銀行局長

二 経済安定本部財政金融局長

三 日本銀行副総裁

四 金融界を代表する者七人

五 産業界を代表する者三人

六 学職経験のある者二人

前項第四号乃至第六号に掲げる委員は、大蔵大臣がこれを命ずる。この場合において、委員の選定に当つては、特定の地域に於ける利益の代表に偏しないように、又労働、農業その他産業の各界の利益が適当に代表されるように相当の考慮を払わなければならない。

第一項第四号乃至第六号に掲げる委員の任期は、一年とする。但し、禁錮以上の刑に処せられたとき又は心身の故障に因り職務を行うに適しないこととなつたときは、これを解任することを妨げない。

委員が欠員となつたときは、遅滞なく、補欠委員を命じなければならない。補欠委員は、前任者の残任期間在任する。

第九条 委員長は、会務を総理する。

委員長に事故があるときは、委員長の指名する委員がその職務を代理する。

第十条 委員会の議事は、すべて秘密とする。

第十一条 委員会に書記若干人を置く。

書記は、日本銀行職員の中から、大蔵大臣がこれを命ずる。

書記は、庶務に従事する。

第十二条 委員若しくは書記又は委員若しくは書記で在つた者が、委員会の議事に関して知得した秘密を他に洩し、又は窃用したときは、これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。

附 則

この法律は、昭和二十二年十二月十五日から、これを施行する。

(大蔵・内閣総理大臣署名)

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