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法律第一号(昭二四・一・一二)

◎教育公務員特例法

目次

 第一章 総則(第一条―第三条)

 第二章 任免、分限、懲戒及び服務(第四条―第十八条)

  第一節 大学の学長、教員及び部局長(第四条―第十二条)

  第二節 大学以外の学校の校長及び教員(第十三条―第十五条)

  第三節 教育長及び専門的教育職員(第十六条―第十八条)

 第三章 研修(第十九条・第二十条)

 第四章 雑則(第二十一条・第二十二条)

 附則(第二十三条―第三十四条)

第一章 総則

 (この法律の趣旨)

第一条 この法律は、教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任の特殊性に基き、教育公務員の任免、分限、懲戒、服務及び研修について規定する。

 (定義)

第二条 この法律で「教育公務員」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に定める学校で、同法第二条に定める国立学校及び公立学校の学長、校長(園長を含む。以下同じ。)、教員及び部局長並びに教育委員会の教育長及び専門的教育職員をいう。

2 この法律で「教員」とは、前項の学校の教授、助教授、教諭、助教諭、養護教論及び講師(常時勤務の者に限る。以下同じ。)をいう。

3 この法律で「部局長」とは、大学の学部長その他政令で指定する部局の長をいう。

4 この法律で「専門的教育職員」とは、教育委員会の職員のうち、免許状を有することを必要とする者(教育長を除く。以下同じ。)をいう。

 (身分)

第三条 国立学校の学長、校長、教員及び部局長は国家公務員、公立学校の学長、校長、教員及び部局長並びに教育長及び専門的教育職員は地方公務員としての身分を有する。

第二章 任免、分限、懲戒及び服務

 第一節 大学の学長、教員及び部局長

 (採用及び昇任の方法)

第四条 学長及び部局長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとし、その選考は、大学管理機関が行う。

2 前項の選考は、学長については、人格が高潔で、学識がすぐれ、且つ、教育行政に関し識見を有する者について、大学管理機関の定める基準により、学部長については、当該学部の教授会の議に基き、教員及び学部長以外の部局長については、大学管理機関の定める基準により、行わなければならない。

 (転任)

第五条 学長、教員及び部局長は、大学管理機関の審査の結果によるのでなければ、その意に反して転任されることはない。

2 大学管理機関は、前項の審査を行うに当つては、その者に対し、審査の事由を記載した説明書を交付しなければならない。

3 審査を受ける者から、前項の説明書を受領した後三十日以内に請求があつたときは、大学管理機関は口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その者から請求があつたときは公開して行わなければならない。

4 審査を受ける者は、すべての口頭審理に出席し、自己の代理人として弁護人を選任し、陳述を行い、証人を出席せしめ並びに書類、記録その他のあらゆる適切な事実及び資料を提出することができる。

5 前項に掲げる者以外の者は、当該事案に関し、大学管理機関に対し、あらゆる事実及び資料を提出することができる。

 (降任及び免職)

第六条 学長、教員及び部局長は、大学管理機関の審査の結果によるのでなければ、その意に反して免職されることはない。教員の降任についても、また同様とする。

2 第五条第二項から第五項までの規定は、前項の審査の場合に準用する。

 (休職の期間)

第七条 学長、教員及び部局長の休職の期間は、心身の故障のため長期の休養を要する場合の休職においては、個々の場合について、大学管理機関が定める。

 (任期及び停年)

第八条 学長及び部局長の任期については、大学管理機関が定める。

2 教員の停年については、大学管理機関が定める。

 (懲戒)

第九条 国立大学の学長、教員及び部局長は、大学管理機関の審査の結果によるのでなければ、懲械処分を受けることはない。

2 第五条第二項から第五項までの規定は、前項の審査の場合に準用する。

 (任命権者)

第十条 大学の学長、教員及び部局長の任用、免職、休職、復職、退職及び懲戒処分は、大学管理機関の申出に基いて、任命権者が行う。

 (服務)

第十一条 国立大学の学長、教員及び部局長の服務について、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第九十六条第一項の根本基準の実施に関し必要な事項は、同法第九十七条から第百五条までに定めるものを除いては、大学管理機関が定める。

 (勤務成績の評定)

第十二条 学長、教員及び部局長の勤務成績の評定及び評定の結果に応じた措置は、大学管理機関が行う。

2 前項の勤務成績の評定は、大学管理機関が定める基準により、行わなければならない。

 第二節 大学以外の学校の校長及び教員

 (採用及び昇任の方法)

第十三条 校長及び教員の採用は、選考によるものとし、その選考は、採用志願者名簿に記載された者のうちから、大学附置の学校にあつてはその大学の学長、大学附置の学校以外の国立学校にあつては文部大臣、大学附置の学校以外の公立学校にあつてはその校長又は教員の属する学校を所管する教育委員会の教育長(選考権者という。この条中以下同じ。)が行う。

2 前項の採用志願者名簿は、校長又は教員の免許状を有する者で、採用を願い出た者について、免許状の種類に応じ、国立学校にあつては人事院、公立学校にあつては都道府県の教育委員会が作成する。

3 前二項に定めるものを除くほか、採用志願者名簿に関し必要な事項は、国立学校にあつては人事院規則、公立学校にあつては都道府県の教育委員会規則で定める。

4 教員の昇任は、従前の勤務実績に基く選考によるものとし、その選考は、選考権者が行う。

5 選考権者は、教員について第一項及び前項の選考を行うに当つては、その学校の校長の意見を聞いて行わなければならない。

 (休職の期間及び効果)

第十四条 校長及び教員の休職の期間は、結核性疾患のため長期の休養を要する場合の休職においては、満二年とする。

2 前項の規定による休職者には、その休職の期間中、給与の全額を支給する。

 (任命権者)

第十五条 公立学校の校長及び教員の任命権は、その校長又は教員の属する学校を所管する教育委員会に属する。

2 前項の校長及び教員の任用、免職、休職、復職、退職及び懲戒処分については、任命権者が行う。

3 任命権者が、校長又は教員に対し、その意に反して降任し、免職し、その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行い、又は懲戒処分を行う場合については、国家公務員法第八十九条から第九十二条第二項までの規定を準用する。但し、この場合において、「人事院」とあるのは「任命権者」と読み替えるものとする。

 第三節 教育長及び専門的教育職員

 (採用及び昇任の方法)

第十六条 教育長及び専門的教育職員の採用は、選考によるものとし、その選考は、採用志願者名簿に記載された者のうちから、教育長については、当該教育委員会、専門的教育職員については、当該教育委員会の教育長が行う。

2 前項の採用志願者名簿は、教育長又は専門的教育職員の免許状を有する者で、採用を願い出た者について、免許状の種類に応じ、都道府県の教育委員会が作成する。

3 前二項に定めるものを除くほか、採用志願者名簿に関し必要な事項は、都道府県の教育委員会規則で定める。

4 専門的教育職員の昇任は、従前の勤務実績に基く選考によるものとし、その選考は、当該教育委員会の教育長が行う。

 (教育長の退職)

第十七条 教育長は、教育委員会の承認を得て、任期中退職することができる。

 (任命権者)

第十八条 教育長及び専門的教育職員の任命権は、当該教育委員会に属する。

2 第十五条第二項及び第三項の規定は、教育長及び専門的教育職員に準用する。

第三章 研修

 (研修)

第十九条 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。

2 大学及び大学附置の学校の教育公務員については大学管理機関、大学及び大学附置の学校以外の国立学校の教育公務員については文部大臣、大学及び大学附置の学校以外の公立学校の教育公務員並びに教育長及び専門的教育職員については当該教育委員会(所轄庁という。以下同じ。)は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。

 (研修の機会)

第二十条 教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。

2 教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。

3 教育公務員は、所轄庁の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

第四章 雑則

 (他の職務の従事)

第二十一条 教育公務員は、法律若しくは人事院規則に特別の定がある場合又は所轄庁において教育に関する他の職務に従事することが本務の遂行に支障がないと認める場合のほかは、給与を受け、又は受けないで他の職務に従事してはならない。

 (教育公務員以外の者に対するこの法律の準用)

第二十二条 国立又は公立の学佼において教員の職務に準ずる職務を行う者並びに国立又は公立の各種学校の校長及び教員については、政令の定めるところにより、この法律の規定を準用する。

附 則

 (施行期日)

第二十三条 この法律は、公布の日から施行する。

2 この法律中の規定が、国家公務員法の規定に矛盾し、又はてい触すると認められるに至つた場合は、国家公務員法の規定が優先する。

 (旧制の学校の教員等に対するこの法律の準用)

第二十四条 この法律に定める国立又は公立の大学の学長、教員及び部局長に関する規定は、それぞれ学校教育法第九十八条第一項に規定する国立又は公立の大学の学長(数個の学部を置く大学にあつては総長。以下同じ。)、教員及び政令で指定する者に準用する。

2 この法律に定める国立又は公立の大学の学長、教員及び部局長に関する規定は、政令で別段の定をした場合のほか、それぞれ学校教育法第九十八条第一項に規定する国立又は公立の大学予科、高等学校、専門学校及び教員養成諸学校の校長、教員及び政令で指定する者に準用する。

3 この法律に定める大学以外の国立又は公立の学校の校長及び教員に関する規定は、それぞれ学校教育法第九十八条第一項に規定する国立又は公立の中等学校、盲学校及び聾唖学校の校長及び教員に準用する。

 (大学管理機関等の読替)

第二十五条 この法律中「大学管理機関」とあるのは、当分の間、次の各号の区別に従つて読み替えるものとする。

 一 第四条第一項については、学長にあつては「評議員(一個の学部を置く大学にあつては教授会の構成員。以下同じ。)及び部局長で構成する会議(協議会という。以下同じ。)」、部局長にあつては「学長」、教員にあつては「教授会の議に基き学長」

 二 第四条第二項中学長の選考に関する部分、第七条、第八条第一項、第十一条及び第十二条第二項については、「協議会の議に基き学長」

 三 第四条第二項中教員及び学部長以外の部局長の選考に関する部分については、教員にあつては「評議会(一個の学部を置く大学にあつては、教授会。以下同じ。)の議に基き学長」、学部長以外の部局長にあつては「協議会の議に基き学長」

 四 第五条、第六条及び第九条については、学長にあつては「協議会」、教員にあつては「評議会」、部局長にあつては「学長」

 五 第八条第二項については、「評議会の議に基き学長」

 六 第十条については、「学長」

 七 第十二条第一項については、学長にあつては「協議会」、教員及び学部長にあつては「教授会の議に基き学長」、学部長以外の部局長にあつては「学長」

 八 第十九条第二項については、「文部大臣」

2 第十条中「任命権者」とあるのは、公立大学の学長、教員及び部局長については、当分の間、「その大学を設置する地方公共団体の長」と読み替えるものとする。

 (従前の規定による休職者等の取扱)

第二十六条 大学の学長、教員及び部局長で、従前の規定により休職を命ぜられた者又は懲戒手続中の者若しくは懲戒処分を受けた者の休職又は懲戒に関しては、第七条及び第九条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

第二十七条 この法律施行の際、現に結核性疾患のため休職中の者は、第十四条第一項の規定の適用については、従前の休職期間を通算する。

 (公立大学の学長等の懲戒)

第二十八条 公立大学の学長、教員及び部局長の懲戒に関しては、別に地方公共団体の職員に関して規定する法律が制定施行されるまでの間は、第九条の規定を準用する。

 (専門的教育職員の免許状の経過措置)

第二十九条 第二条第四項に規定する専門的教育職員の免許状を有することを必要とする者については、別に教育職員の免許に関して規定する法律が制定施行されるまでの間は、政令で定める。

 (この法律施行の際における学長等の職にある者の取扱)

第三十条 この法律施行の際、現に国立学校の学長、校長、教員又は部局長の職にある者は、この法律により、それぞれ学長、校長、教員又は部局長の職についた者とみなす。

第三十一条 この法律施行の際、現に公立学校の学長、校長、教員及び部局長で文部教官、文部事務官、地方教官又は地方事務官たるもの並びに教育長及び専門的教育職員は、この法律若しくはこれに基く政令又は他の法律で別に定めるものを除くほか、それぞれ現にある級及び現に受ける号俸に相当する給料をもつて、この法律により当該地方公共団体の公務員に任用され、引き続き現にある職に相当する職についたものとする。

 (恩給法の準用)

第三十二条 この法律施行の際、現に恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員たる者が引き続き公立の学校の職員となつた場合には、同法第二十二条に規定する教育職員として勤続するものとみなし、当分の間、これに同法の規定を準用する。

 (公立学校の学長等に関する特別規定)

第三十三条 この法律若しくはこれに基く命令又は他の法律の特別の定があるものを除くほか、公立学校の学長、校長、教員及び部局長について必要があるときは、別に地方公共団体の職員に関して規定する法律が制定施行されるまでの間は、政令で、特別の定をすることができる。

 (他の法律の改廃)

第三十四条 教育委員会法(昭和二十三年法律第百七十号)の一部を次のように改正する。

 第九十五条を削る。

(内閣総理・文部大臣署名)

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