衆議院

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法律第八十七号(昭二四・五・二〇)

◎失業保険法の一部を改正する法律

失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)の一部を次のように改正する。

第四条第一項但書中「臨時に支払われたもの、三箇月を超える期間ごとに支払われるもの及び」を削る。

第六条を次のように改める。

(当然被保険者)

第六条 左の各号に規定する事業主に雇用される者は、失業保険の被保険者とする。

一 五人以上の労働者(第三十八条の二の日雇労働者を含む。本条において以下同じ。)を雇用する事業主。但し、左に掲げる事業を行うものを除く。

イ 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業

ロ 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産養蚕又は水産の事業

ハ 教育、研究又は調査の事業

ニ 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業

ホ 社会事業、司法保護事業その他営利を目的としない事業

二 前号イからホまでに掲げる事業を行う法人たる事業主であつて五人以上の労働者を雇用するもの。但し、この場合には、被保険者となるべき者は、その事務所に雇用される者に限る。

三 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものであつて前各号に該当しないもの。

前項の事業主は、命令の定めるところによつて、前項の規定に該当することについて、その該当するに至つた日から起算して十日以内に、政府に届け出なければならない。

第七条中「恩給、退隠料その他これらに準ずる」を削り、「政令」を「命令」に改める。

第八条第一項中「第六条に規定する事業所以外の事業所の事業主」を「第六条第一項の事業主以外の事業主」に、その「事業所に雇用される従業員」を「その雇用する労働者」に、同条第四項中「その事業所に雇用される従業員」を「その事業主に雇用される労働者」に改める。

第九条から第十一条までを次のように改める。

第九条 第六条第一項の事業主が同条同項の規定に該当しなくなつたときは、その事業主に雇用される者は、前条の規定による被保険者となつたものとみなす。

(被保険者から除外される者)

第十条 第六条第一項、第八条及び前条の規定にかかわらず、左の各号の一に該当する者は、これを被保険者としない。但し、第一号に該当する者が第三十八条の三第一項各号の一に該当するに至つた場合若しくは二月の各月において十八日以上若しくは六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用されるに至つた場合、第二号中季節的業務に雇用される者が所定の期間を超えて引き続き同一事業主に雇用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き同一事業主に雇用されるに至つた場合は、この限りでない。

一 日雇労働者であつて第三十八条の三第一項各号の一に該当しないもの

二 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて雇用される者又は季節的に雇用される者

三 船員保険の被保険者

四 試の雇用期間中の者

五 事業所の所在地の一定しない事業(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業を除く。)に雇用される者

(被保険者資格の取得)

第十一条 第六条第一項又は第八条の規定によつて被保険者となるべき者は、その事業主に雇用された日、第八条第一項の認可があつた日又は前条但書の規定に該当するに至つた日(前条第一号に掲げる者であつて二月の各月において十八日以上又は六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用されるに至つたものについては、その翌月の最初の日)から、その資格を取得する。

第十二条中「若しくは離職した日又は第十条本文の規定に該当するに至つた日」を「又は離職した日」に改める。

第十六条中「政令」を「命令」に改め、同条に次の二項を加える。

失業の認定は、求職の申込を受けた公共職業安定所において、受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して一週間に二回ずつ、これを行うものとする。但し、労働大臣は、必要があると認めるときは、中央職業安定審議会の意見を聞いて、失業の認定の回数について別段の定をすることができる。

受給資格者は、左の各号の一に該当する場合は、前項の規定にかかわらず、命令の定めるところによつて、その事由を記載した証明書により、失業の認定を受けることができる。

一 疾病又は負傷のために公共職業安定所に出頭することができない場合において、その期間が継続して十五日未満であるとき。

二 公共職業安定所の紹介に応じて求人者に面接するために公共職業安定所に出頭することができないとき。

三 公共職業安定所の指示した職業の補導を受けるために公共職業安定所に出頭することができないとき。

四 天災その他避けることができない事故のために公共職業安定所に出頭することができないとき。

第十七条を次のように改める。

(失業保険金の日額)

第十七条 失業保険金の日額は、被保険者の賃金日額に百分の六十を乗じて得た額を基準とし、労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定める失業保険金額表における被保険者の賃金日額の属する賃金等級に応じて定められた金額とする。但し、三百円を超えてはならない。

第十七条の次に次の三条を加える。

(賃金日額)

第十七条の二 賃金日額は、被保険者の離職した月前において第十四条の被保険者期間として計算された最後の六月(月の末日において離職した場合は、その月及びその前五月)に支払われた賃金の総額を百八十で除して得た額とする。

前項の額が左の各号の額に満たないときは、賃金日額は、前項の規定にかかわらず、左の各号の額とする。

一 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められている場合においては、前項の期間に支払われた賃金の総額をその期間中に労働した日数で除して得た額の百分の七十に相当する額

二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められている場合においては、その部分の総額をその期間の総日数(月の場合は、一箇月を三十日として計算する。)で除して得た額と前号の額との合算額

(失業保険金額の自動的変更)

第十七条の三 労働大臣は、労働省において作成する毎月勤労統計における工場労働者の平均給与額が、失業保険金額表の制定又は改正の基礎となつたその統計における当該平均給与額の百分の百二十を超え、又は百分の八十を下るに至つたと認めるときは、失業保険金額表を改正し、その平均給与額の上昇又は低下した比率に応じて、その賃金等級に属する賃金日額及び失業保険金の日額(第十七条但書に規定する額を含む。)をあらたに定めなければならない。

前項の規定によつて失業保険金額表が改正された場合においては、改正前に離職した者に支給すべき失業保険金は、最初の離職の日に効力を有した失業保険金額表においてその者の賃金日額の属する賃金等級につき、あらたに定められた失業保険金の日額によるものとする。

(失業保険金の減額)

第十七条の四 受給資格者が、第十六条の規定によつて公共職業安定所において認定を受けた失業の期間中に、自己の労働によつて収入を得るに至つた場合において、その収入の一日分に相当する額から十円を控除した額と失業保険金の日額との合計額が、賃金日額の百分の八十に相当する額を超えないときは、失業保険金の日額の全額を支給し、その合計額が、賃金日額の百分の八十に相当する額を超えるときは、その超過額を失業保険金の日額から控除した残りの額を支給し、その超過額が、失業保険金の日額を超えるときは、失業保険金は、これを支給しない。

受給資格者は、公共職業安定所において失業の認定を受けた期間中に、自己の労働によつて収入を得たとき、又は就職した日があるときは、命令の定めるところによつて、その収入の額又は就職した日数を公共職業安定所に届け出なければならない。

第二十一条第一項第四号中「職業安定法」を「職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)」に、同条第二項中「失業保険委員会」を「中央職業安定審議会」に改める。

第二十二条第一項中「やむを得ない事由」を「正当な事由」に、同条第二項中「失業保険委員会」を「中央職業安定審議会」に改める。

第二十四条第一項中「以前の七日分」を「前の七日分」に、「失業保険委員会」を「中央職業安定審議会」に改める。

第二十七条第二項中「失業保険委員会」を「中央職業安定審議会」に改める。

第三十条第一項中「被保険者及び被保険者を雇用する事業主について、各々千分の十一」を「百分の二」に、同条第二項中「政令の定める場合においては、失業保険委員会の意見を聞いて、保険料率を変更する手続をとらなければならない。但し、毎年三月末日又は九月末日において、過去六箇月間に」を「毎月末日において、すでに」に、「四箇月間」を「六箇月間」に、「労働大臣は、失業保険委員会」を「中央職業安定審議会」に、同条第三項中「前項但書」を「前項」に、「同項但書」を「同項」に改め、同条第二項及び第三項をそれぞれ第三項及び第四項とし、同条第二項として次の一項を加える。

労働大臣は、毎年三月末日又は九月末日において、過去六箇月間に支給した保険給付総額が、当該期間内に徴収した保険料総額の百分の百五十以上になつた場合には、中央職業安定審議会の意見を聞いて、保険料率を引き上げるため、その変更の手続をとらなければならない。

第三十一条及び第三十二条を次のように改める。

(保険料額)

第三十一条 納付すべき保険料額は、各月につき、事業主がその雇用するすべての被保険者(第三十八条の五の日雇労働被保険者を除く。)に支払つた賃金の総額に保険料率を乗じて得た額とする。但し、円位未満の端数は、これを切り捨てるものとする。

(保険料の負担)

第三十二条 保険料は、被保険者及び被保険者を雇用する事業主(以下事業主という。)が、各々その二分の一を負担するを原則とする。

被保険者の負担すべき保険料額は、労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定める失業保険保険料額表によつて計算する。

事業主の負担すべき保険料額は、前条の規定によつて計算した額から被保険者の負担すべき保険料額の合計額を控除した額とする。

第三十三条中「前条の規定により納付する被保険者の負担する保険料」を「前条第二項の規定によつて計算された被保険者の負担すべき保険料額に相当する額」に改める。

第三十四条を次のように改める。

(保険料額の申告及び納付)

第三十四条 事業主は、第六条第二項に規定する届出又は第八条第一項の認可があつた月及びその後において、毎月被保険者に支払つた賃金の総額、納付すべき保険料額その他必要な事項を記載した申告書に添えて、その申告書に記載した額の保険料を、翌月末日までに、政府に、納付しなければならない。

前項の規定によつて提出した申告書の内容が事実と異ることを発見したときは、事業主は、その日から起算して七日以内に修正すべき事項を記載した申告書(以下修正申告書という。)を政府に提出し、納付すべき保険料額に不足額があるときは、併せて、これを納付しなければならない。

通信、交通その他の状況により、政府において、やむを得ない事由があると認めるときは、政府は、命令の定めるところによつて、第一項に規定する申告書の提出期限を延長することができる。

第三十四条の次に次の三条を加える。

(保険料額の決定及び更正)

第三十四条の二 事業主が前条第一項に規定する期限までに申告書を提出しなかつた場合、又はその申告若しくは修正申告にかかる保険料額が納付すべき保険料額と異ると認められる場合においては、政府は、命令の定めるところによつて、その納付すべき保険料額又はすでに納付した保険料額を決定し又は更正することができる。

事業主が第六条第二項に規定する届出をしなかつた場合又は定められた期限経過後に届出をした場合においては、政府は、事業主が第六条第一項の規定に該当するに至つた日にさかのぼつて、納付すべき保険料額を決定することができる。但し、その保険料額は、事業主が第六条第二項に規定する届出をなすべきことを命ぜられた日の属する月の前六箇月分を超えては、これを決定しない。

前二項の規定によつて決定又は更正がなされた場合においては、決定された保険料額又は更正により増加した保険料額は、決定又は更正がなされた日から十四日以内に、これを政府に納付しなければならない。

(保険料の充当)

第三十四条の三 政府は、事業主が納付した保険料額がその納付すべき保険料額を超過することを知つたときは、命令の定めるところによつて、その超過額を、その事業主に還付し、又はその保険料が納付された月の翌月から六箇月を超えない期間において納付されるべき保険料に、順次これを充当することができる。

前項の場合においては、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第三十一条の六の規定を準用する。

(追徴金)

第三十四条の四 事業主が納付した保険料額がその納付すべき保険料額に満たない場合又は納付すべき期限を経過した日から起算して十四日以内に保険料を納付しない場合は、政府は、命令の定めるところによつて、追徴金を徴収する。

前項の追徴金は、左の各号に掲げる金額とする。

一 申告書に故意に事実と異る記載をした場合は、第三十四条の二第一項の規定による更正によつて増加した保険料額に百分の二十五を乗じて得た額

二 第三十四条第一項に規定する期限を経過した日から起算して十四日以内に申告書を提出しなかつた場合又は第三十四条の二第二項の規定に該当する場合は、納付された保険料額又は第三十四条の二第一項若しくは同条第二項の規定によつて決定された保険料額に百分の十を乗じて得た額

三 第三十四条第二項の修正申告書を提出しなかつた場合は、第三十四条の二第一項の規定による更正によつて増加した保険料額に百分の十を乗じて得た額

前項の追徴金の徴収又は計算については、第三十六条第一項但書又は同条第二項の規定を、追徴金の納付については、第三十四条の二第三項の規定を準用する。

第三十五条第一項中「保険料」を「保険料その他この法律の規定による徴収金」に、同条第二項中「政令で定める金額」を「十円」に改める。

第三十六条を次のように改める。

第三十六条 前条の規定によつて督促をしたときは、政府は、保険料額百円につき一日二十銭の割合で、納期限の翌日から保険料完納又は財産差押の日の前日までの日数によつて計算した延滞金を徴収する。但し、一月分の保険料額が百円未満であるときは、延滞金は、これを徴収しない。

延滞金の計算において、前項の保険料額に百円未満の端数があるときは、その端数は、これを切り捨てるものとする。

前二項の規定によつて計算した延滞金の額に一円未満の端数があるときは、その端数は、これを切り捨てるものとする。

延滞金は、左の各号の一に該当する場合には、これを徴収しない。

一 督促状の指定期限までに徴収金を完納したとき。

二 納付義務者の住所又は居所が不明なため、公示送達の方法によつて督促したとき。

三 延滞金の額が十円未満のとき。

第五章を次のように改める。

第五章 日雇労働被保険者に関する特例

(日雇労働者)

第三十八条の二 この法律で、日雇労働者とは、左の各号の一に該当する労働者をいう。但し、前二月の各月において十八日以上又は前六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用された者は、この限りでない。

一 日日雇用される者

二 一月において三十日以内の期間を定めて雇用される者

(日雇労働被保険者)

第三十八条の三 被保険者であつて、左の各号の一に該当する日雇労働者に関する特例については、本章の定めるところによる。

一 公共職業安定所の所在する市(東京都の区の存する区域を含む。)町村、又はこれに隣接する市町村であつて労働大臣が指定するものの区域(以下適用区域という。)に居住し、第六条第一項の事業主又は第八条第一項の認可を受けた事業主(以下単に事業主という。)に雇用される者

二 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある事業主の事務所に雇用される者

三 適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある事業主の事務所であつて、日雇労働の労働市場の状況その他の事情に基いて労働大臣が指定したものに雇用される者

被保険者たる日雇労働者は、前項各号の一に該当することについて、その該当するに至つた日から起算して五日以内に公共職業安定所に届け出て、日雇労働被保険者手帳の交付を受けなければならない。

第三十八条の四 前条第一項の規定に該当しない日雇労働者が、事業主に雇用される場合は、公共職業安定所長の認可を受けて、失業保険の被保険者となることができる。

前項の認可を受けた者は、公共職業安定所において、日雇労働被保険者手帳の交付を受けなければならない。

第一項の規定によつて被保険者となつた者に関する特例については、本章の定めるところによる。

第三十八条の五 前二条の規定に該当する者(以下日雇労働被保険者という。)に関しては、第六条第二項、第九条、第十条、第十三条から第二十条まで、第二十一条第一項、第二十二条、第二十三条第一項、第二十四条、第二十七条、第三十条から第三十二条まで、第三十四条から第三十四条の四まで及び第四十九条第二項の規定は、これを適用しない。

日雇労働被保険者が二月の各月において十八日以上又は六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用された場合は、その翌月の最初の日から、本章の規定は、これを適用しない。

(受給要件)

第三十八条の六 日雇労働被保険者が失業した場合において、失業の日の属する月の前二月間に、その者について、通算して三十二日分以上の保険料が納付されているときは、保険給付として、失業保険金を支給する。

日雇労働被保険者が、二月の各月において十八日以上又は六月において通算して六十日以上同一事業主に雇用され、その翌月に離職し、前項の規定に該当するときは、前条第二項の規定にかかわらず、第三十八条の八の失業保険金の支給を受けることができる。

第三十八条の七 第十七条の失業保険金の支給を受けることのできる者が前条の規定に該当する場合において、第十七条の失業保険金の支給を受けたときは、その支給を受けた期間は、前条の規定による失業保険金は、これを支給しない。

 前項の場合において、その者が前条の規定による失業保険金の支給を受けたときは、その支給を受けた期間は、第十七条の失業保険金は、これを支給しない。

(失業保険金の日額)

第三十八条の八 失業保険金の日額は、第一級百四十円、第二級九十円とする。

(失業保険金の支給)

第三十八条の九 失業保険金は、日雇労働被保険者が失業した日の属する月の前二月間に、その者について通算して三十二日分の保険料が納付されているときは、その失業した日の属する月において、通算して十三日分を支給し、納付された保険料が三十二日分を超えるときは、三十二日分を超える四日分ごとに、十三日分の失業保険金に、一日分を加えて支給する。但し、通算して、十七日分を超えては支給しない。

前項の規定によつて支給すべき失業保険金の日額は、左の各号によるものとする。

一 納付された保険料の中、第一級の保険料が三十二日分以上である者については、第一級の失業保険金の日額

二 納付された保険料の中、第一級の保険料が三十二日分に満たない者については、第二級の失業保険金の日額

第三十八条の六の規定に該当する者が、失業保険金の支給を受けるには、命令の定めるところによつて、公共職業安定所に出頭し求職の申込をした上、失業の認定を受けなければならない。

失業保険金は、公共職業安定所において、失業の認定を行つた日について、その日分を支給する。

失業保険金は、日雇労働被保険者が失業した日の属する月における失業の日数が、通算して七日又は継続して五日に満たない間は、これを支給しない。

この法律施行の日から六箇月を経過した日以後において、過去四箇月間に徴収した保険料総額が当該期間内に支給した保険給付総額の百分の百二十を超えるに至つた場合は、労働大臣は、前項に規定する七日又は五日の期間を、六日又は四日に、過去四箇月間に支給した保険給付総額が当該期間内に徴収した保険料総額の百分の百二十を超えるに至つた場合は、九日又は六日に改めるものとする。

(給付制限)

第三十八条の十 失業保険金の支給を受けることのできる者が公共職業安定所の紹介する業務に就くことを拒んだときは、その日から、通算して七日間は、失業の認定及び失業保険金の支給は、これを行わない。但し、左の各号の一に該当するときは、この限りでない。

一 紹介された業務が、その者の能力からみて不適当と認められるとき。

二 紹介された業務に対する賃金が、同一地域における同種の業務及び技能について行われる一般の賃金水準に比べて不当に低いとき。

三 職業安定法第二十条の規定に違反して、労働争議の発生している事業所に紹介されたとき。

四 その他正当な理由のあるとき。

失業保険金の支給を受けることのできる者が、詐欺その他不正の行為によつて失業保険金の支給を受け又は受けようとしたときは、その月及びその翌月から三箇月間は、失業保険金を支給しない。

第二十一条第二項の規定は、第一項の場合に、第二十三条第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。

(保険料額及び保険料の負担)

第三十八条の十一 保険料額は、一日につき、第一級六円、第二級五円とし、日雇労働保険者に支払われた賃金の日額が百六十円以上の場合は、第一級、百六十円未満の場合は、第二級とする。

日雇労働被保険者の負担すべき保険料額は、第一級については三円、第二級については二円とし、事業主の負担すべき保険料額は、第一級及び第二級につき各々三円とする。

毎月末日において、すでに徴収した保険料総額と支給した保険給付総額との差額が、当該月の翌月から六箇月間に支給されるべき保険給付額の二分の一に相当する額に満たないと認められるに至つた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために、保険料額変更の手続をすることができない場合であつて、緊急の必要があるときは、労働大臣は、中央職業安定審議会の意見を聞いて、第一項の保険料額を変更することができる。この場合には、第三十条第四項の規定を準用する。

(保険料の納付義務及び納付の方法)

第三十八条の十二 事業主は、その雇用する日雇労働被保険者に賃金を支払うつど、その者及び自己の負担する保険料を、失業保険印紙をもつて納付しなければならない。

事業主は、保険料を納付するには、日雇労働被保険者が所持する日雇労働被保険者手帳に失業保険印紙を貼付し、これに消印しなければならない。

事業主は、日雇労働被保険者を雇用する場合は、その所持する日雇労働被保険者手帳を提出させなければならない。その提出を受けた日雇労働被保険者手帳は、その者から請求があつたときは、これを返還しなければならない。

日雇労働被保険者手帳、失業保険印紙その他保険料の納付の手続に関して必要な事項は、命令でこれを定める。

(保険料の決定及び追徴金)

第三十八条の十三 事業主が、前条の規定による保険料の納付を怠つたときは、政府は、その調査に基いて、その納付すべき保険料額を決定する。

事業主が正当な事由がないと認められるにもかかわらず前条の規定による保険料の納付を怠つたときは、政府は、命令の定めるところによつて、前項の規定によつて決定された保険料額の百分の二十五の額の追徴金を徴収する。

前項の追徴金の徴収又は計算については、第三十六条第一項但書又は同条第二項の規定を、その納付については、第三十四条の二第三項の規定を準用する。

(帳簿の備付及び報告)

第三十八条の十四 事業主は、日雇労働被保険者を雇用した場合は、命令の定めるところによつて、その事業所ごとに、失業保険印紙の受払に関する帳簿を備え付け、その受払状況を、翌月末日までに政府に報告しなければならない。

(受給資格の調整)

第三十八条の十五 日雇労働被保険者が二月の各月において十八日以上同一事業主に雇用され、その翌月において離職した場合は、離職の日の属する月の前二月を第十四条に規定する被保険者期間として計算することができる。但し、その者が第三十八条の六第二項の規定によつて失業保険金の支給を受けた場合は、この限りでない。

第六章を第七章とし、以下順次一章ずつ繰り下げ、第六章として次の一章を加える。

第六章 諮問機関

(諮問機関)

第三十九条 労働大臣は、失業保険事業の運営に関する重要事項については、あらかじめ、職業安定法第十二条に規定する中央職業安定審議会の意見を聞いて、これを決定しなければならない。

中央職業安定審議会は、労働大臣の諮問に応ずる外、必要に応じ、失業保険事業の運営に関し、関係行政庁に建議し、又はその報告を求めることができる。

第四十一条第三項中「受給資格者若しくはその事業主であつた者」を「受給資格者その他審査の請求をした者若しくは受給資格者を雇用した事業主」に改め、同条第二項を削る。

第四十三条中「被保険者」を「被保険者(日雇労働被保険者を含む。以下同じ。)」に改める。

第四十七条第一項中「失業保険金」を「失業保険金又は第二十七条に規定する移転に要する費用」に改める。

第四十九条第一項中「文書を提出させることができる。」を「文書の提出を命ずることができる。」に改める。

第五十条中「受給資格者」を「受給資格者(第三十八条の六の規定に該当するものを含む。以下同じ。)」に、「文書の提出をさせ、又は出頭させることができる。」を「文書の提出又は出頭を命ずることができる。」に改める。

第五十二条中「政令」を「命令」に改める。

第五十三条及び第五十四条を次のように改める。

第五十三条 事業主が左の各号の一に該当するときは、これを六箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

一 第六条第二項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした場合

二 第八条第三項の規定に違反した場合

三 第三十三条の規定によつて被保険者の賃金から控除し又は被保険者から徴収した被保険者の負担すべき保険料を第三十四条第一項に規定する期限までに納付しなかつた場合

四 第三十四条第一項若しくは同条第二項の規定に違反して虚偽の事項を記載した申告書若しくは修正申告書を提出し、又は修正申告書を提出しなかつた場合

五 第三十八条の十二第二項の規定に違反して失業保険印紙を貼付せず、又は消印しなかつた場合

六 第三十八条の十四の規定に違反して帳簿を備え付けず、若しくは報告をせず、又は虚偽の報告をした場合

七 第四十九条第二項の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合

八 第四十一条第二項又は第四十九条第一項の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、又は出頭しなかつた場合

九 第五十一条の規定による当該官吏の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

第五十四条 被保険者、受給資格者その他の関係者が左の各号の一に該当するときは、これを六箇月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。

一 第三十八条の三第二項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした場合

二 第四十一条第二項又は第五十条の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書を提出せず、若しくは虚偽の記載をした文書を提出し、又は出頭しなかつた場合

三 第五十一条の規定による当該官吏の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

附則第二項及び第三項を削る。

附 則

1 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。但し、第三十四条、第三十四条の二及び第三十四条の四の規定は、昭和二十四年八月一日から、第三十八条の二及び第三十八条の三の規定は、昭和二十四年九月一日から、第三十八条の四から第三十八条の十五までの規定は、昭和二十四年十一月一日から適用する。

2 この法律施行の日から、昭和二十四年七月三十一日までは、第六条第一項の規定にかかわらず、左の各号に掲げる事業を行う事業主に雇用される者は、失業保険の被保険者としない。

一 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業

二 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業

三 旅館、料理店、飲食店、その他接客業又は娯楽場の事業

3 第三十四条の規定が適用される日の前日までは、第三十二条に規定する保険料の納付に関しては、従前の例によるものとする。

4 この法律施行前から引き続き失業保険金の支給を受けていた者の失業保険金の日額が第十七条の失業保険金の日額より高いときは、この法律施行後においてその者に支給すべき失業保険金の日額については、なお従前の例によるものとする。

5 この法律施行前において、改正前の第六条の規定に該当することについて政府になされた届出は、第六条第二項の規定による届出とみなす。

6 左に掲げる法令は、廃止する。

一 失業手当法(昭和二十二年法律第百四十五号)

二 失業手当法施行令(昭和二十二年政令第二百五十八号)

三 失業保険法施行令(昭和二十二年政令第二百五十九号)

四 失業手当審査官及び失業手当審査会規程(昭和二十三年政令第九十二号)

7 失業手当金の支給に関する処分についての不服の申立に関しては、失業手当法第十七条及び同法第二十一条の規定は、なお効力を有するものとする。

8 失業手当法第十八条の失業手当審査官及び同法第十九条の失業手当審査会の職務は、第四十一条の失業保険審査官及び第四十三条の失業保険審査会が、それぞれ行うものとする。

9 この法律の施行前になした行為に対する罰則の適用に関しては、なお従前の例によるものとする。

(大蔵・労働・内閣総理大臣署名)

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