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法律第四十五号(昭二六・三・二九)

  ◎社会福祉事業法

目次

 第一章 総則(第一条―第五条)

 第二章 社会福祉審議会(第六条―第十二条)

 第三章 福祉に関する事務所(第十三条―第十六条)

 第四章 社会福祉主事(第十七条・第十八条)

 第五章 指導監督及び訓練(第十九条―第二十一条)

 第六章 社会福祉法人

  第一節 通則(第二十二条―第二十八条)

  第二節 設立(第二十九条―第三十三条)

  第三節 管理(第三十四条―第四十三条)

  第四節 解散及び合併(第四十四条―第五十三条)

  第五節 助成及び監督(第五十四条―第五十六条)

 第七章 社会福祉事業(第五十七条―第七十条)

 第八章 共同募金及び社会福祉協議会(第七十一条―第八十三条)

 第九章 雑則(第八十四条―第八十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、社会福祉事業の全分野における共通的基本事項を定め、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)その他の社会福祉を目的とする法律と相まつて、社会福祉事業が公明且つ適正に行われることを確保し、もつて社会福祉の増進に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。

2 左の各号に掲げる事業を第一種社会福祉事業とする。

 一 生活保護法にいう養老施設、救護施設、更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料金で収容して生活の扶助を行うことを目的とする施設を経営する事業及び生計困難者に対して助葬を行う事業

 二 児童福祉法にいう乳児院、母子寮、養護施設、精神薄弱児施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、し体不自由児施設又は教護院を経営する事業

 三 身体障害者福祉法にいう身体障害者更生指導施設、中途失明者更生施設又は身体障害者収容授産施設を経営する事業

 四 公益質屋又は授産施設を経営する事業及び生計困難者に対して無利子又は低利で資金を融通する事業

3 左の各号に掲げる事業を第二種社会福祉事業とする。

 一 生計困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品若しくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業

 二 児童福祉法にいう助産施設、保育所又は児童厚生施設を経営する事業及び児童の福祉の増進について相談に応ずる事業

 三 無料又は低額な料金で身体障害者福祉法にいう義し要具製作施設、点字図書館又は点字出版施設を経営する事業及び身体障害者の更生相談に応ずる事業

 四 生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業

 五 生計困難者のために、無料又は低額な料金で診療を行う事業

 六 前項各号及び前各号の事業に関する連絡又は助成を行う事業

4 この法律における「社会福祉事業」には、左の各号に掲げる事業は、含まれないものとする。

 一 更生緊急保護法(昭和二十五年法律第二百三号)にいう更生保護事業

 二 実施期間が六月(前項第六号に掲げる事業にあつては、三月)をこえない事業

 三 社団又は組合の行う事業であつて、社員又は組合員のためにするもの

 四 第二項各号及び前項第一号から第五号までに掲げる事業であつて、常時保護を受ける者が、収容保護を行うものにあつては五人、その他のものにあつては二十人に満たないもの

 五 第三項第六号に掲げる事業のうち、社会福祉事業の助成を行うものであつて、助成の金額が毎年度五十万円に満たないもの又は助成を受ける社会福祉事業の数が毎年度五十に満たないもの

 (社会福祉事業の趣旨)

第三条 社会福祉事業は、援護、育成又は更生の措置を要する者に対し、その独立心をそこなうことなく、正常な社会人として生活することができるように援助することを趣旨として経営されなければならない。

 (社会福祉事業の経営主体)

第四条 社会福祉事業のうち、第一種社会福祉事業は、国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則とする。

 (事業経営の準則)

第五条 国、地方公共団体、社会福祉法人その他社会福祉事業を経営する者は、左の各号に掲げるところに従い、それぞれの責任を明確ならしめなければならない。

 一 国及び地方公共団体は、法律により帰せられたその責任を他の社会福祉事業を経営する者に転嫁し、又はこれらの者の財政的援助を求めないこと。

 二 国及び地方公共団体は、他の社会福祉事業を経営する者に対し、その自主性を重んじ、不当な関与を行わないこと。

 三 社会福祉事業を経営する者は、不当に国及び地方公共団体の財政的、管理的援助を仰がないこと。

2 前項第一号の規定は、国又は地方公共団体が、その経営する社会福祉事業について、要援護者等に関する収容その他の措置を他の社会福祉事業を経営する者に委託することを妨げるものではない。

   第二章 社会福祉審議会

 (社会福祉審議会)

第六条 社会福祉事業の全分野における共通的基本事項その他重要な事項を調査審議するため、社会福祉審議会を置く。

2 社会福祉審議会は、厚生大臣の監督に属し、その諮問に答え、又は関係行政庁に意見を具申するものとする。

 (組織)

第七条 社会福祉審議会は、委員三十人以内で組織する。

2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、社会福祉審議会に、委員の総数の三分の一以内の臨時委員を置くことができる。

 (委員)

第八条 社会福祉審議会の委員及び臨時委員は、左の各号に掲げる者のうちから、厚生大臣が任命する。

 一 社会福祉事業に従事する者

 二 社会福祉事業に関して学識経験がある者

 三 関係行政庁の職員

2 関係行政庁の職員のうちから任命される委員の数は、委員の総数の三分の一をこえてはならない。

3 社会福祉事業に従事する者又は社会福祉事業に関して学識経験がある者のうちから任命される委員の任期は、一年とし、欠員を生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 (委員長)

第九条 社会福祉審議会に委員の互選による委員長一人を置く。委員長は、会務を総理する。

 (専門分科会)

第十条 社会福祉審議会に、生活保護法の施行に関する事項を調査審議するため、生活保護専門分科会を置く。

2 社会福祉審議会は、前項の事項以外の事項を調査審議するため、必要な専門分科会を置くことができる。

3 専門分科会に属すべき委員及び臨時委員は、委員長が指名する。

4 第八条第二項の規定は、専門分科会に属すべき委員に準用する。

 (庶務)

第十一条 社会福祉審議会の庶務は、厚生省社会局において処理する。

 (運営)

第十二条 この法律で定めるものの外、議事の手続その他社会福祉審議会の運営に関し必要な事項は、社会福祉審議会が定める。

   第三章 福祉に関する事務所

 (設置)

第十三条 都道府県及び地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五条第二項の市は、その区域(都道府県にあつては、市及び福祉に関する事務所を設ける町村の区域を除く。)につき、条例で、福祉地区を設け、その地区ごとに、当該地区を所管区域とする福祉に関する事務所を設置しなければならない。

2 前項の福祉地区の数は、別表の通りとする。

3 第一項の市以外の市は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置しなければならない。

4 町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができる。

5 町村は、必要がある場合には、地方自治法の規定により一部事務組合を設けて、前項の事務所を設置することができる。この場合には、当該組合内の町村の区域をもつて、事務所の所管区域とする。

6 福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法及び身体障害者福祉法に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務をつかさどるところとする。

7 町村の福祉に関する事務所の設置又は廃止の時期は、会計年度の始期又は終期でなければならない。

8 町村は、福祉に関する事務所を設置し、又は廃止するには、その六月前までに、都道府県知事の承認を受けなければならない。

 (組織)

第十四条 福祉に関する事務所には、長及び少くとも左の所員を置かなければならない。但し、所の長が、その職務の遂行に支障がない場合において、みずから現業事務の指導監督を行うときは、第一号の所員を置くことを要しない。

 一 指導監督を行う所員

 二 現業を行う所員

 三 事務を行う所員

2 所の長は、都道府県知事又は市町村長の指揮監督を受けて、所務を掌理する。

3 指導監督を行う所員は、所の長の指揮監督を受けて、現業事務の指導監督をつかさどる。

4 現業を行う所員は、所の長の指揮監督を受けて、援護、育成又は更生の措置を要する者等の家庭を訪問し、又は訪問しないで、これらの者に面接し、本人の資産、環境等を調査し、保護その他の措置の必要の有無及びその種類を判断し、本人に対し生活指導を行う等の事務をつかさどる。

5 事務を行う所員は、所の長の指揮監督を受けて、所の庶務をつかさどる。

6 第一項第一号及び第二号の所員は、社会福祉主事でなければならない。

 (所員の定数)

第十五条 所員の定数は、条例で定める。但し、現業を行う所員の数は、各事務所につき、それぞれ左の各号に掲げる数以上でなければならない。

 一 都道府県の設置する事務所にあつては、生活保護法の適用を受ける被保護世帯(以下「被保護世帯」という。)の数が三百九十以下であるときは、六とし、被保護世帯の数が六十五を増すごとに、これに一を加えた数

 二 市の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が二百四十以下であるときは、三とし、被保護世帯数が八十を増すごとに、これに一を加えた数

 三 町村の設置する事務所にあつては、被保護世帯の数が百六十以下であるときは、二とし、被保護世帯数が八十を増すごとに、これに一を加えた数

 (服務)

第十六条 所の長並びに第十四条第一項第一号及び第二号の所員は、それぞれ同条第二項から第四項までに規定する職務にのみ従事しなければならない。但し、同条第一項但書の場合において、所の長が現業事務の指導監督を行い、又は町村の設置する福祉に関する事務所において、現業を行う所員の職務の遂行に支障がない場合に、これらの所員が、当該町村における他の社会福祉に関する事務を行うことを妨げない。

   第四章 社会福祉主事

 (設置)

第十七条 都道府県及び市に、社会福祉主事を置く。

2 町村に、社会福祉主事を置くことができる。

3 前二項の社会福祉主事は、この法律、生活保護法、児童福祉法及び身体障害者福祉法の施行に関する都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助することを職務とする。

 (資格)

第十八条 社会福祉主事は、事務吏員又は技術吏員とし、年齢二十年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、且つ、左の各号の一に該当するもののうちから任用しなければならない。

 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基く大学、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基く大学、旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)に基く高等学校又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基く専門学校において、厚生大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者

 二 厚生大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者

 三 厚生大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者

   第五章 指導監督及び訓練

 (指導監督)

第十九条 都道府県知事及び地方自治法第百五十五条第二項の市の長は、この法律、生活保護法、児童福祉法及び身体障害者福祉法の施行に関しそれぞれその所部の職員の行う事務について、その指導監督を行うために必要な計画を樹立し、これを実施しなければならない。

 (訓練)

第二十条 この法律、生活保護法、児童福祉法及び身体障害者福祉法の施行に関する事務に従事する職員の素質を向上するため、都道府県知事はその所部の職員及び市町村の職員に対し、地方自治法第百五十五条第二項の市の長はその所部の職員に対し、それぞれ必要な訓練を行わなければならない。

 (指導監督又は訓練の実施にあたる職員)

第二十一条 前二条の指導監督又は訓練の実施にあたる職員は、三年以上国又は地方公共団体において社会福祉に関する事務に従事した経験を有する社会福祉主事でなければならない。

   第六章 社会福祉法人

    第一節 通則

 (定義)

第二十二条 この法律において「社会福祉法人」とは、社会福祉事務を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。

 (名称)

第二十三条 社会福祉法人以外の者は、その名称中に、「社会福祉法人」又はこれに紛らわしい文字を用いてはならない。

 (要件)

第二十四条 社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない。

 (収益事業)

第二十五条 社会福祉法人は、その経営する社会福祉事業に支障がない限り、その収益を社会福祉事業の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができる。

2 前項の収益事業に関する会計は、当該社会福祉法人の行う社会福祉事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければならない。

 (住所)

第二十六条 社会福祉法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。

 (登記)

第二十七条 社会福祉法人は、政令の定めるところにより、その設立、従たる事務所の新設、事務所の移転その他登記事項の変更、解散、合併、清算人の就任又はその変更及び清算の結了の各場合に、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

3 登記した事項は、登記所において遅滞なく公告しなければならない。

 (準用規定)

第二十八条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十三条(法人の権利能力)及び第四十四条(不法行為能力)の規定は、社会福祉法人に準用する。

    第二節 設立

 (申請)

第二十九条 社会福祉法人を設立しようとする者は、定款をもつて少くとも左の各号に掲げる事項を定め、厚生省令で定める手続に従い、当該定款について厚生大臣の認可を受けなければならない。

 一 目的

 二 資産の総額

 三 名称

 四 社会福祉事業の種類

 五 事務所の所在地

 六 役員に関する事項

 七 会議に関する事項

 八 資産の管理及び会計に関する事項

 九 評議員会を置く場合には、これに関する事項

 十 収益を目的とする事業を行う場合には、その事業の種類

 十一 解散に関する事項

 十二 定款の変更に関する事項

 十三 公告の方法

2 設立当初の役員は、定款で定めなければならない。

3 第一項第十一号に掲げる事項中に、残余財産の帰属すべき者に関する規定を設ける場合には、その者は、社会福祉法人その他社会福祉事業を行う者のうちから選定されるようにしなければならない。

 (認可)

第三十条 厚生大臣は、前条第一項の規定の認可の申請があつたときは、当該申請にかかる社会福祉法人の資産が第二十四条の要件に該当しているかどうか、その定款の内容及び設立の手続が、法令の規定に違反していないかどうか等を審査した上で、当該定款の認可を決定しなければならない。

 (定款の補充)

第三十一条 社会福祉法人を設立しようとする者が、第二十九条第一項第三号から第十三号までの各号に掲げる事項を定めないで死亡した場合には、厚生大臣は、利害関係人の請求により又は職権で、これらの事項を定めなければならない。

 (成立の時期)

第三十二条 社会福祉法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

 (準用規定)

第三十三条 民法第四十一条(贈与、遺贈の規定の準用)、第四十二条(寄附財産の帰属)及び第五十一条第一項(財産目録)(法人設立の時に関する部分に限る。)の規定は、社会福祉法人の設立に準用する。この場合において、同法第四十二条第一項中「法人設立ノ許可ノアリタル時」とあるのは、「社会福祉法人成立ノ時」と読み替えるものとする。

    第三節 管理

 (役員の定数、任期、選任及び欠格)

第三十四条 社会福祉法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。

2 役員の任期は、二年をこえることはできない。但し、再任を妨げない。

3 役員のうちには、各役員について、その役員、その配偶者及び三親等以内の親族が役員の総数の二分の一をこえて含まれることになつてはならない。

4 左の各号の一に該当する者は、社会福祉法人の役員になることができない。

 一 生活保護法、児童福祉法、身体障害者福祉法又はこの法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなるまでの者

 二 第五十四条第二項の規定による厚生大臣の解散命令により解散を命ぜられた社会福祉法人の解散当時の役員

 (役員の欠員補充)

第三十五条 理事又は監事のうち、その定数の三分の一をこえる者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない。

 (理事の代表権)

第三十六条 理事は、すべて社会福祉法人の業務について、社会福祉法人を代表する。但し、定款をもつて、その代表権を制限することができる。

 (業務の決定)

第三十七条 社会福祉法人の業務は、定款に別段の定がないときは、理事の過半数をもつて決する。

 (監事の業務)

第三十八条 監事は、左の各号に掲げる職務を行う。

 一 理事の業務執行の状況を監査すること。

 二 社会福祉法人の財産の状況を監査すること。

 三 理事の業務執行の状況又は社会福祉法人の財産の状況について監査した結果、不整の点があることを発見したとき、これを評議員会(評議員会のないときは、厚生大臣)に報告すること。

 四 前号の報告をするために必要があるとき、理事に対して評議員会の招集を請求すること。

 五 理事の業務執行の状況又は社会福祉法人の財産の状況について、理事に意見を述べること。

 (監事の兼職禁止)

第三十九条 監事は、理事、評議員又は社会福祉法人の職員を兼ねてはならない。

 (評議員会)

第四十条 社会福祉法人に、評議員会を置くことができる。

2 評議員会は、理事の定数の二倍をこえる数の評議員をもつて組織する。

3 社会福祉法人の業務に関する重要事項は、定款をもつて、評議員会の議決を要するものとすることができる。

 (定款の変更)

第四十一条 定款の変更は、厚生大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2 第三十条の規定は、前項の認可に準用する。

 (会計)

第四十二条 社会福祉法人の会計年度は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。

2 社会福祉法人は、毎会計年度終了後二月以内に事業報告書、財産目録、貸借対照表及び収支計算書を作り、常に、これを各事務所に備えて置かなければならない。

3 理事は、前項の書類を監事に提出しなければならない。

 (準用規定)

第四十三条 民法第五十五条から第五十七条まで(代表権の制限及び委任、仮理事、特別代理人)及び非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第一項(裁判所の管轄)の規定は、社会福祉法人に準用する。この場合において、民法第五十五条中「定款、寄附行為又ハ総会ノ決議」とあるのは「定款」と、同法第五十六条中「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは「厚生大臣ハ利害関係人ノ請求ニヨリ又は職権ヲ以テ」と読み替えるものとする。

    第四節 解散及び合併

 (解散事由)

第四十四条 社会福祉法人は、左の事由によつて解散する。

 一 理事の三分の二以上の同意及び定款でさらに評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決

 二 定款に定めた解散事由の発生

 三 目的たる事業の成功の不能

 四 合併

 五 破産

 六 厚生大臣の解散命令

2 前項第一号又は第三号に掲げる事由による解散は、厚生大臣の認可又は認定がなければ、その効力を生じない。

3 清算人は、第一項第二号又は第五号に掲げる事由によつて解散した場合には、遅滞なくその旨を厚生大臣に届け出なければならない。

 (残余財産の帰属)

第四十五条 解散した社会福祉法人の残余財産は、合併及び破産の場合を除く外、厚生大臣に対する清算結了の届出の時において、定款の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。

2 前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

 (合併)

第四十六条 社会福祉法人は、他の社会福祉法人と合併することができる。

 (合併手続)

第四十七条 社会福祉法人が合併するには、理事の三分の二以上の同意及び定款でさらに評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決がなければならない。

2 合併は、厚生大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

3 第三十条の規定は、前項の認可に準用する。

第四十八条 社会福祉法人は、前条第二項に規定する厚生大臣の認可があつたときは、その認可の通知のあつた日から二週間以内に財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。

2 社会福祉法人は、前項の期間内に、その債権者に対し、異議があれば一定の期間内に述べるべき旨を公告し、且つ、判明している債権者に対しては、各別にこれを催告しなければならない。但し、その期間は、二月を下ることができない。

第四十九条 債権者が、前条第二項の期間内に合併に対して異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。

2 債権者が異議を述べたときは、社会福祉法人は、これに弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。

第五十条 合併により社会福祉法人を設立する場合においては、定款の作成その他社会福祉法人の設立に関する事務は、各社会福祉法人において選任した者が共同して行わなければならない。

 (合併の効果)

第五十一条 合併後存続する社会福祉法人又は合併によつて設立した社会福祉法人は、合併によつて消滅した社会福祉法人の一切の権利義務(当該社会福祉法人がその行う事業に関し行政庁の認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。

 (合併の時期)

第五十二条 社会福祉法人の合併は、合併後存続する社会福祉法人又は合併によつて設立する社会福祉法人の主たる事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。

 (準用規定)

第五十三条 民法第七十条、第七十三条から第七十六条まで、第七十七条第二項(届出に関する部分に限る。)及び第七十八条から第八十三条まで(法人の解散及び清算)並びに非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十六条から第百三十七条まで及び第百三十八条(法人の清算の監督)の規定は、社会福祉法人の解散及び清算に準用する。この場合において、民法第七十七条第二項及び第八十三条中「主務官庁」とあるのは、「厚生大臣」と読み替えるものとする。

    第五節 助成及び監督

 (一般的監督)

第五十四条 厚生大臣は、法令、法令に基いてする行政庁の処分及び定款が遵守されているかどうかを確かめるため必要があると認めるときは、社会福祉法人からその業務又は会計の状況に関し、報告を徴し、又は当該職員に、社会福祉法人の業務及び財産の状況を検査させることができる。

2 厚生大臣は、社会福祉法人が、法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款に違反したときは、解散を命ずることができる。但し、他の方法により監督の目的を達することができない場合に限る。

3 厚生大臣は、前項の規定により社会福祉法人の解散を命ずる場合には、当該社会福祉法人に、厚生大臣の指定した職員に対して弁明する機会を与えなければならない。この場合においては、当該社会福祉法人に対し、あらかじめ、書面をもつて、弁明をなすべき日時、場所及びその処分をなすべき理由を通知しなければならない。

4 前項の通知を受けた社会福祉法人は、代理人を出頭させ、且つ、自己に有利な証拠を提出することができる。

5 弁明を聴取した者は、聴取書及び処分の決定についての意見を附した報告書を作り、これを厚生大臣に提出しなければならない。

 (収益事業の停止)

第五十五条 厚生大臣は、第二十五条第一項の規定により収益を目的とする事業を行う社会福祉法人につき、左の各号の一に該当する事由があると認めるときは、当該社会福祉法人に対して、その事業の停止を命ずることができる。

 一 当該社会福祉法人が定款で定められた事業以外の事業を行うこと。

 二 当該社会福祉法人が当該事業から生じた収益を当該社会福祉法人の行う社会福祉事業以外の目的に使用すること。

 三 当該事業の継続が当該社会福祉法人の行う社会福祉事業に支障があること。

 (助成及び監督)

第五十六条 国又は地方公共団体は、社会福祉法人の経営する社会福祉事業施設が災害によつて破損した場合において、緊急にこれを復旧する必要があると認めるときは、省令又は当該地方公共団体の条例で定める手続に従い、社会福祉法人に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも当該社会福祉法人に有利な条件で、貸付金を支出し、若しくはその他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。但し、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)及び地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第八条第一項(地方公共団体の財産の処分の制限)の規定の適用を妨げない。

2 前項の規定により、社会福祉法人に対する助成がなされたときは、厚生大臣又は地方公共団体の長は、その助成の目的が有効に達せられることを確保するため、当該社会福祉法人に対して、左の各号に掲げる権限を有する。

 一 事業又は会計の状況に関し報告を徴すること。

 二 助成の目的に照して、社会福祉法人の予算が不適当であると認める場合において、その予算について必要な変更をすべき旨を勧告すること。

 三 社会福祉法人の役員が法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款に違反した場合において、その役員を解職すべき旨を勧告すること。

3 国又は地方公共団体は、社会福祉法人が前項の規定による措置に従わなかつたときは、交付した補助金若しくは貸付金又は譲渡し、若しくは貸し付けたその他の財産の全部又は一部の返還を命ずることができる。

4 第五十四条第三項から第五項までの規定は、第二項第三号の規定により解職を勧告し、又は前項の規定による返還を命令する場合に準用する。

   第七章 社会福祉事業

 (施設の設置)

第五十七条 市町村(特別区を含む。この章において以下同じ。)又は社会福祉法人は、施設を設置して、第一種社会福祉事業を経営しようとするときは、その事業の開始前に、その施設(以下「社会福祉施設」という。)を設置しようとする地の都道府県知事に、左の各号に掲げる事項を届け出なければならない。

 一 施設の名称及び種類

 二 設置者の氏名又は名称、住所、経歴及び資産状況

 三 条例、定款その他の基本約款

 四 建物その他の設備の規模及び構造

 五 事業開始の予定年月日

 六 施設の管理者及び実務を担当する幹部職員の氏名及び経歴

 七 要援護者等に対する処遇の方法

2 国、都道府県、市町村及び社会福祉法人以外の者は、社会福祉施設を設置して、第一種社会福祉事業を経営しようとするときは、その事業の開始前に、その施設を設置しようとする他の都道府県知事の許可を受けなければならない。

3 前項の許可を受けようとする者は、第一項各号に掲げる事項の外、左の各号に掲げる事項を記載した申請書を当該都道府県知事に提出しなければならない。

 一 当該事業を経営するための財源の調達及びその管理の方法

 二 施設の管理者の資産状況

 三 建物その他の設備の使用の権限

 四 経理の方針

 五 事業の経営者又は施設の管理者に事故があるときの処置

4 都道府県知事は、第二項の許可の申請があつたときは、第六十条の規定により厚生大臣が定める最低基準に適合するかどうかを審査する外、左の各号に掲げる基準によつて、その申請を審査しなければならない。

 一 当該事業を経営するために必要な経済的基礎があること。

 二 当該事業の経営者が社会的信望を有すること。

 三 実務を担当する幹部職員が社会福祉事業に関する経験、熱意及び能力を有すること。

 四 当該事業の経理が他の経理と分離できる等その性格が社会福祉法人に準ずるものであること。

 五 脱税その他不正の目的で当該事業を経営しようとするものでないこと。

5 都道府県知事は、前項に規定する審査の結果、その申請が、同項に規定する基準に適合していると認めるときは、社会福祉施設設置の許可を与えなければならない。

6 都道府県知事は、前項の許可を与えるに当つて、当該事業の適正な運営を確保するために必要と認める条件を附することができる。

 (変更)

第五十八条 前条第一項の規定による届出をした者は、その届け出た事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。

2 前条第二項の規定による許可を受けた者は、同条第一項第四号、第五号及び第七号並びに同条第二項第一号、第四号及び第五号に掲げる事項を変更しようとするときは、当該都道府県知事の許可を受けなければならない。

3 前条第四項から第六項までの規定は、前項の規定による許可の申請があつた場合に準用する。

 (廃止)

第五十九条 第五十七条第一項の規定による届出をし、又は同条第二項の規定による許可を受けて、社会福祉事業を経営する者は、その事業を廃止しようとするときは、廃止の日の一月前までに、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。

 (施設の最低基準)

第六十条 厚生大臣は、社会福祉施設の設備の規模及び構造並びに被援護者等に対する処遇の方法について、必要とされる最低の基準を定めなければならない。

2 社会福祉施設の設置者は、前項の基準を遵守しなければならない。

 (管理者)

第六十一条 社会福祉施設には、専任の管理者を置かなければならない。

 (施設を必要としない第一種社会福祉事業の開始)

第六十二条 市町村又は社会福祉法人は、施設を必要としない第一種社会福祉事業を開始したときは、事業開始の日から一月以内に、事業経営地の都道府県知事に左の各号に掲げる事項を届け出なければならない。

 一 経営者の名称及び主たる事務所の所在地

 二 事業の種類及び内容

 三 条例、定款その他の基本約款

2 国、都道府県、市町村及び社会福祉法人以外の者は、施設を必要としない第一種社会福祉事業を経営しようとするときは、その事業の開始前に、その事業を経営しようとする地の都道府県知事の許可を受けなければならない。

3 前項の許可を受けようとする者は、第一項各号並びに第五十七条第三項第一号、第四号及び第五号に掲げる事項を記載した申請書を当該都道府県知事に提出しなければならない。

4 都道府県知事は、第二項の許可の申請があつたときは、第五十七条第四項各号に掲げる基準によつて、これを審査しなければならない。

5 第五十七条第五項及び第六項の規定は、前項の場合に準用する。

 (変更及び廃止)

第六十三条 前条第一項の規定による届出をし、又は同条第二項の規定による許可を受けて社会福祉事業を経営する者は、その届け出た事項又は許可申請書に記載した事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を廃止したときも、同様とする。

 (第二種社会福祉事業)

第六十四条 国及び都道府県以外の者は、第二種社会福祉事業を開始したときは、事業開始の日から一月以内に、事業経営地の都道府県知事に第六十二条第一項各号に掲げる事項を届け出なければならない。

2 前項の規定による届出をした者は、その届け出た事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を廃止したときも、同様とする。

 (調査)

第六十五条 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため、社会福祉事業を経営する者に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員をして、施設、帳簿、書類等を検査し、その他の事業経営の状況を調査させることができる。

 (改善命令)

第六十六条 都道府県知事は、第五十七条第一項の規定による届出をし、又は同条第二項の規定による許可を受けて社会福祉事業を経営する者の施設が、第六十条の最低基準に適合しないと認められるに至つたときは、その事業を経営する者に対し、同条の基準に適合するために必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。

 (許可の取消等)

第六十七条 都道府県知事は、第五十七条第一項、第六十二条第一項若しくは第六十四条第一項の届出をし、又は第五十七条第二項若しくは第六十二条第二項の許可を受けて社会福祉事業を経営する者が、第五十七条第六項(第五十八条第三項及び第六十二条第五項において準用する場合を含む。)若しくは第六十九条第二項の規定による条件に違反し、第五十八条第一項若しくは第二項、第六十三条若しくは第六十四条第二項の規定に違反し、第六十五条の規定による報告の求に応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、同条の規定による当該職員の検査若しくは調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、前条の規定による命令に違反し、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは被援護者等の処遇につき不当な行為をしたときは、その者に対し、社会福祉事業を経営することを制限し、その停止を命じ、又は第五十七条第二項若しくは第六十二条第二項の許可を取り消すことができる。

2 都道府県知事は、第五十七条第一項若しくは第二項、第六十二条第一項若しくは第二項又は第六十四条第一項の規定に違反して社会福祉事業を経営する者が、その事業に関し不当に営利を図り、若しくは被援護者等の処遇につき不当の行為をしたときは、その者に対し、社会福祉事業を経営することを制限し、又はその停止を命ずることができる。

 (聴聞)

第六十八条 第五十四条第三項から第五項までの規定は、都道府県知事が前条の規定により社会福祉事業を制限し、その停止を命じ、又は許可の取消をする場合に準用する。

 (寄附金の募集)

第六十九条 社会福祉事業を営み、又は営もうとする者は、その事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集しようとするときは、その募集に着手する一月前までに、厚生省令で定める手続に従い、募集しようとする地域の都道府県知事(募集しようとする地域が二以上の都道府県の区域にわたるときは、厚生大臣)に対し、募集の期間、地域、方法及び使途等を明らかにした書面を提出して、その許可を受けなければならない。

2 前項の許可には、募集の期間、寄附金の使途及び寄附金によつて取得する財産の処分につき、条件を附することができる。

3 第一項の許可を受けて寄附金を募集した者は、厚生省令で定める手続に従い、募集の期間経過後遅滞なく、寄附金の募集の許可を受けた行政庁に対し、募集の結果を報告しなければならない。

 (適用除外)

第七十条 第五十七条から第六十八条までの規定は、他の法律によつて、その設置につき、行政庁の許可、認可又は行政庁への届け出を要するものとされている施設については、適用しない。

   第八章 共同募金及び社会福祉協議会

 (共同募金)

第七十一条 この法律において「共同募金」とは、都道府県の区域を単位としてあまねく行う寄附金の募集であつて、その区域内において社会福祉事業又は更生緊急保護法による更生保護事業を経営する者(国及び地方公共団体を除く。)の過半数にその寄附金を配分することを目的とするものをいう。

 (共同募金会)

第七十二条 共同募金を行う事業は、第二条の規定にかかわらず、第一種社会福祉事業とする。

2 共同募金事業を行うことを目的として設立される社会福祉法人を共同募金会と称する。

3 共同募金会以外の者は、共同募金事業を行つてはならない。

4 共同募金会及びその連合会以外の者は、その名称中に、「共同募金会」又はこれと紛らわしい文字を用いてはならない。

 (共同募金会の認可)

第七十三条 厚生大臣は、共同募金会の設立の認可に当つては、第三十条に規定する事項の外、左の各号に掲げる事項をも審査しなければならない。

 一 当該共同募金の区域内に社会福祉協議会が存すること。

 二 特定人の意思によつて事業の経営が左右されるおそれがないものであること。

 三 当該共同募金の配分を受ける者が役員又は評議員に含まれないこと。

 四 役員又は評議員が、当該共同募金の区域内における民意を公正に代表するものであること。

 (社会福祉協議会)

第七十四条 前条第一号の社会福祉協議会(以下「協議会」という。)は、都道府県の区域を単位とし、左の各号に掲げる事業を行うことを目的とする団体であつて、その区域内において社会福祉事業又は厚生保護事業を経営する者の過半数が参加するものでなければならない。

 一 社会福祉を目的とする事業に関する調査

 二 社会福祉を目的とする事業の総合的企画

 三 社会福祉を目的とする事業に関する連絡、調整及び助成

 四 社会福祉を目的とする事業に関する普及及び宣伝

2 関係行政庁の職員は、協議会又はその連合会の役員となることができる。但し、役員の総数の五分の一をこえてはならない。

3 協議会は、社会福祉事業若しくは更生保護事業を経営する者又は社会福祉事業に奉仕する者から参加の申出があつたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。

 (共同募金の期間)

第七十五条 共同募金会は、毎年一回、厚生大臣が定める期間内に限つて共同募金を行うことができる。

 (計画の公告及び届出)

第七十六条 共同募金会は、共同募金を行うには、あらかじめ、協議会の意見をきき、共同募金の目標額、受配者の範囲及び配分の方法を定め、これを公告するとともに、都道府県知事に届け出なければならない。

 (共同募金の性格)

第七十七条 共同募金は、寄附者の自発的な協力を基礎とするものでなければならない。

 (共同募金の配分)

第七十八条 共同募金は、社会福祉を目的とする事業を経営する者以外の者に配分してはならない。

2 国及び地方公共団体は、寄附金の配分について干渉してはならない。

 (結果の公告及び届出)

第七十九条 共同募金会は、寄附金の配分を終了したときは、一月以内に、募金の総額、配分を受けた者の氏名又は名称及び配分した額を公告するとともに、都道府県知事に届け出なければならない。

 (共同募金会に対する解散命令)

第八十条 厚生大臣は、共同募金会については、第五十四条第二項の事由が生じた場合の外、第七十三条各号に規定する基準に適合しないと認められるに至つた場合においても、解散を命ずることができる。但し、他の方法により監督の目的を達することができない場合に限る。

 (受配者の寄附金募集の禁止)

第八十一条 共同募金の配分を受けた者は、その配分を受けた後一年間は、その事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集してはならない。

 (適用除外)

第八十二条 第六十九条の規定は、共同募金会が行う共同募金については、適用しない。

 (連合会)

第八十三条 共同募金会又は協議会は、それぞれ、相互の連絡及び事業の調整を行うため、全国を単位として、共同募金会連合会又は社会福祉協議会連合会を設立することができる。

   第九章 雑則

 (罰則)

第八十四条 左の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

 一 第五十五条に規定する停止命令に違反して引き続きその事業を行つた者

 二 第五十七条第二項又は第六十二条第二項の規定に違反した者

 三 第六十七条第一項若しくは第二項に規定する制限若しくは停止の命令に違反した者又は同条第一項の規定により許可を取り消されたにかかわらず、引き続きその社会福祉事業を経営した者

 四 第六十九条第一項の規定による許可を受けないで、又は同条第二項の許可条件に違反して寄附金を募集した者

 五 第六十九条第二項の規定による条件に違反して寄附金を使用し、又はこれによつて取得した財産を処分した者

第八十五条 左の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。

 一 第六十九条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 二 第七十六条又は第七十九条の規定による公告及び届出を怠つた者

第八十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の事業に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又はその人に対しても各本条の罰金刑を科する。但し、法人の役員(理事、取締役その他これらに準ずべき者をいう。)又は人(人が無能力者であるときは、その法定代理人とする。)がその法人又は人の代理人又は使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため相当の注意を怠らなかつたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。

第八十七条 左の各号の一に該当する場合においては、社会福祉法人の理事、監事又は清算人は、一万円以下の過料に処する。

 一 この法律に基く政令の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。

 二 第三十三条において準用する民法第五十一条第一項の規定による財産目録の備付を怠り、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。

 三 第四十二条第二項の規定による書類の備付を怠り、その書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。

 四 第四十八条又は第四十九条第二項の規定に違反したとき。

 五 第五十三条において準用する民法第七十条又は第八十一条第一項の規定による破産宣告の請求を怠つたとき。

 六 第五十三条において準用する民法第七十九条第一項又は第八十一条第一項の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。

第八十八条 第二十三条又は第七十二条第四項の規定に違反した者は、五千円以下の過料に処する。

 (実施命令)

第八十九条 この法律に特別の定があるものを除く外、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な細則は、厚生省令で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和二十六年六月一日から施行する。但し、第四章、第五章並びに附則第三項から第六項まで及び第十項の規定は、同年四月一日から、第三章及び附則第七項から第九項までの規定は、同年十月一日から施行する。

 (関係法律の廃止)

2 社会事業法(昭和十三年法律第五十九号)は、廃止する。

3 社会福祉主事の設置に関する法律(昭和二十五年法律第百八十二号)は、廃止する。

 (社会福祉主事に関する経過規定)

4 第四章の規定の施行の際、現に社会福祉主事の設置に関する法律による社会福祉主事に任用されている者は、この法律により任用された社会福祉主事とみなす。

5 第四章の規定の施行の際、現に社会福祉事業に従事している者で、左の各号の一に該当するものは、第十八条の規定にかかわらず、同条に規定する資格を有する者とみなす。

 一 昭和二十一年一月一日以降において、二年以上、国若しくは地方公共団体の公務員又は厚生大臣の指定した団体若しくは施設の有給専任職員として社会福祉事業に関する事務に従事した経験を有する者

 二 昭和二十年五月十五日以降において、三年以上、社会福祉、公衆衛生、学校教育、社会教育、職業安定、婦人年少者保護又は更生保護に関する事務に従事した経験を有する者

6 社会福祉主事の設置に関する法律第二条第一項第一号又は第二号の規定によつてした厚生大臣の指定は、第十八条第一号又は第二号の規定によつてした指定とみなす。

 (福祉に関する事務所に関する経過規定)

7 都道府県は、当分の間、第十三条第一項の規定にかかわらず、地方自治法第百五十五条第一項の規定による支庁又は地方事務所に、第十三条第六項に定める事務を行う組織を置くことができる。

8 第十四条から第十六条までの規定は、前項の組織に準用する。

9 第十三条第一項及び第三項から第五項までの事務所の長は、当分の間、第十六条の規定にかかわらず、当該都道府県又は市町村の社会福祉に関する事務をつかさどる他の職を兼ねることができる。

10 町村は、昭和二十六年度に限り、第十三条第七項の規定にかかわらず、同年十月一日に福祉に関する事務所を設置することができる。この場合においては、その町村は、同年四月三十日までに、都道府県知事の承認を受けなければならない。

 (社会福祉法人への組織変更)

11 この法律の施行の際、現に民法第三十四条の規定により設立した法人で、社会福祉事業を経営しているもの(以下「公益法人」という。)は、昭和二十七年五月三十一日までに、その組織を変更して社会福祉法人となることができる。

12 前項の規定により、公益法人がその組織を変更して社会福祉法人となるには、その公益法人の定款又は寄附行為の定めるところにより、組織変更のため必要な定款又は寄附行為の変更をし、厚生大臣の認可を受けなければならない。この場合においては、財団たる公益法人は、寄附行為に寄附行為の変更に関する規定がないときでも、厚生大臣の承認を得て、理事の定める手続に従い、寄附行為の変更をすることができる。

13 前項の組織変更は、社会福祉法人の主たる事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。

14 前項の規定による登記に関し必要な事項は、政令で定める。

 (社会事業を行う者の経過規定)

15 この法律の施行の際、現に社会事業法の定めるところにより、届出をして社会事業を経営している者は、昭和二十七年五月三十一日までは、その事業又は施設につき、この法律により許可を受け、又は届出をしたものとみなす。

 (寄附金の募集の経過規程)

16 この法律の施行前に社会事業法第五条の規定によつて都道府県知事又は厚生大臣がした寄附金募集の許可及びそれに附した条件は、第六十九条の規定によつてした許可及びそれに附した条件とみなす。

 (共同募金の経過規定)

17 この法律の施行の際、現にその名称中に「共同募金会」又はこれと紛らわしい文字を用いている者は、昭和二十七年五月三十一日までは、第七十二条第四項の規定にかかわらず、その文字を用いることができる。

18 この法律の施行の際、現に共同募金の事業を行つている者は、昭和二十七年五月三十一日までは、第七十二条第三項の規定にかかわらず、その事業を行うことができる。

 (社会事業法の罰則の適用に関する経過規定)

19 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (公益質屋法の一部改正)

20 公益質屋法(昭和二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  第一条、第三条、第十七条及び第十九条中「公益法人」を「社会福祉法人」に改める。

 (登録税法の一部改正)

21 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第七号中「労働組合、」の下に「社会福祉法人、」を、「労働組合法、」の下に「社会福祉事業法、」を加える。

  第十九条第十四号の二の次に次の一号を加える。

  十四ノ三 社会福祉事業法ニヨル社会福祉法人ガ社会福祉事業ノ用ニ供スル土地及建物ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記

 (地方税法の一部改正)

22 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十八条中「又は社会事業法(昭和十三年法律第五十九号)第二条の規定による事業開始の届出をした社会事業(以下「社会事業」という。)」を「社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の規定により届出をし、又は許可を受けて経営する社会福祉事業(以下「社会福祉事業」という。)」に改める。

  第三百四十八条第二項第九号中「社会事業」を「社会福祉事業」に改める。

 (所得税法の一部改正)

23 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第九号中「宗教法人」を「社会福祉法人、宗教法人」に改める。

 (法人税法の一部改正)

24 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第一号中「宗教法人」を「社会福祉法人、宗教法人」に改める。

 (厚生省設置法の一部改正)

25 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

  第二十九条の表中、中央社会事業審議会の項を次のように改める。

社会福祉審議会

厚生大臣の諮問に応じて、社会福祉事業の全分野における共通的基本事項その他重要な事項を調査審議すること。

 (旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律の一部改正)

26 旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律(昭和二十三年法律第七十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「社会事業施設」を「社会福祉事業施設」に改め、同条第四項を次のように改める。

 4 第一項の社会福祉事業施設とは、社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条に規定する社会福祉事業の用に供する施設及び保護を要する引揚者又は戦災者の寮をいう。

別表

区分

福祉地区の数

区の存する区域

おおむね人口十万ごとに一

その他の区域

地方事務所又は支庁の管轄する区域

地方事務所又は支庁ごとに一

その他の区域

おおむね人口十万ごとに一

道府県

地方事務所又は支庁(道にあつては、支庁出張所を含む。)の管轄する区域

地方事務所又は支庁(道にあつては、支庁出張所を含む。)ごとに一

その他の区域

おおむね人口十万ごとに一

地方自治法第百五十五条第二項の市

 

おおむね人口十万ごとに一

(内閣総理大臣・法務総裁・大蔵・厚生大臣署名) 

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