法律第二百三十八号(昭二六・六・一五)
◎信用金庫法
目次
第一章 総則(第一条―第九条)
第二章 会員(第十条―第二十一条)
第三章 設立及び事業免許の申請(第二十二条―第三十条)
第四章 管理(第三十一条―第五十二条)
第五章 事業(第五十三条・第五十四条)
第六章 経理(第五十五条―第五十七条)
第七章 合併及び事業の譲渡又は譲受(第五十八条―第六十二条)
第八章 解散及び清算(第六十三条・第六十四条)
第九章 登記(第六十五条―第八十五条)
第十章 雑則(第八十六条―第八十九条)
第十一章 罰則(第九十条―第九十三条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するため、協同組織による信用金庫の制度を確立し、金融業務の公共性にかんがみ、その監督の適正を期するとともに信用の維持と預金者等の保護に資することを目的とする。
(人格)
第二条 信用金庫及び信用金庫連合会(以下「金庫」と総称する。)は、法人とする。
(住所)
第三条 金庫の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(事業免許)
第四条 金庫の事業は、大蔵大臣の免許を受けなければ行うことができない。
(出資の総額の最低限度)
第五条 信用金庫の出資の総額は、左の各号に定める金額以上でなければならない。
一 東京都の特別区の存する地域又は大蔵大臣の指定する人口五十万以上の市に主たる事務所を有する信用金庫にあつては一千万円
二 前号に規定する信用金庫以外の信用金庫にあつては五百万円
2 信用金庫連合会の出資の総額は、一億円以上でなければならない。
(名称)
第六条 金庫は、その名称中に左の文字を用いなければならない。
一 信用金庫にあつては信用金庫
二 信用金庫連合会にあつては信用金庫連合会
2 この法律によつて設立された金庫以外の者は、その名称中に信用金庫又は信用金庫連合会であることを示すような文字を用いることができない。
3 金庫の名称については、商法(明治三十二年法律第四十八号)第十九条から第二十一条まで(商号)の規定を準用する。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)
第七条 左の金庫は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の適用については、同法第二十四条各号に掲げる要件を備える組合とみなす。
一 信用金庫であつて、会員たる事業者の常時使用する従業員の数が百人をこえないもの
二 前号に規定する信用金庫をもつて組織する信用金庫連合会
(登記)
第八条 この法律の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(監督機関)
第九条 大蔵大臣は、この法律の定めるところにより、金庫を監督する。
第二章 会員
(会員たる資格)
第十条 信用金庫の会員たる資格を有する者は、左に掲げる者で定款で定めるものとする。但し、第一号及び第二号に掲げる者にあつては、その常時使用する従業員の数が百人をこえる事業者を除く。
一 その信用金庫の地区内に住所又は居所を有する者
二 その信用金庫の地区内に事業所を有する者
三 その信用金庫の地区内において勤労に従事する者
2 信用金庫連合会の会員たる資格を有する者は、その連合会の地区の一部を地区とする信用金庫であつて、定款で定めるものとする。
(出資)
第十一条 会員(信用金庫及び信用金庫連合会の会員をいう。以下同じ。)は、出資一口以上を有しなければならない。
2 出資の一口の金額は、均一でなければならない。
3 一会員の出資口数は、出資総口数の百分の十をこえてはならない。
4 会員の責任は、その出資額を限度とする。
5 会員は、出資の払込について、相殺をもつて金庫に対抗することができない。
(議決権)
第十二条 会員は、各々一箇の議決権を有する。
2 会員は、定款の定めるところにより、第四十五条の規定により、あらかじめ通知のあつた事項につき、代理人をもつて議決権を行うことができる。但し、他の会員でなければ、代理人となることができない。
3 前項の規定により議決権を行う者は、総会における出席者とみなす。
4 代理人は、代理権を証する書面を金庫に差し出さなければならない。
(加入)
第十三条 金庫に加入しようとする者は、定款の定めるところにより加入につき金庫の承諾を得て引受出資口数に応ずる金額の払込を了した時又は会員の持分の全部若しくは一部を承継した時に会員となる。
第十四条 死亡した会員の相続人で会員たる資格を有するものが、金庫に対し定款で定める期間内に加入の申出をしたときは、前条の規定にかかわらず、相続開始の時に会員になつたものとみなす。この場合においては、相続人たる会員は、被相続人の持分について、その権利義務を承継する。
2 死亡した会員の相続人が数人あるときは、相続人の同意をもつて選定された一人の相続人に限り、前項の規定を適用する。
(持分の譲渡)
第十五条 会員は、金庫の承諾を得て、会員又は会員たる資格を有する者にその持分を譲り渡すことができる。
2 会員たる資格を有する者が持分を譲り受けようとするときは、金庫の承諾を得なければならない。
3 持分の譲受人は、その持分について、譲渡人の権利義務を承継する。
4 会員は、持分を共有することができない。
(自由脱退)
第十六条 会員は、何時でも、その持分の全部の譲渡によつて脱退することができる。この場合において、その譲渡を受ける者がないときは、会員は、金庫に対し、定款で定める期間内にその持分を譲り受けるべきことを、請求することができる。
(法定脱退)
第十七条 会員は、左の事由に因つて脱退する。
一 会員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 破産
四 除名
五 持分の全部の喪失
2 除名は、定款の定める事由に該当する会員につき、総会の議決によつてすることができる。この場合においては、金庫は、その総会の会日の十日前までに、その会員に対しその旨を通知し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
3 除名は、除名した会員にその旨を通知しなければ、これをもつてその会員に対抗することができない。
(脱退者の持分の払戻)
第十八条 会員は、前条第一項第一号から第四号までの規定により脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終における金庫の財産によつて定める。
(時効)
第十九条 前条第一項の規定による請求権は、脱退の時から二年間行わないときは、時効に因つて消滅する。
(払戻の停止)
第二十条 金庫は、脱退した委員が金庫に対する債務を完済するまでは、その持分の払戻を停止することができる。
(金庫の持分取得の禁止)
第二十一条 金庫は、会員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。但し、金庫が権利を実行するため必要がある場合又は第十六条の規定により譲り受ける場合においては、この限りでない。
2 金庫が前項但書の規定によつて会員の持分を取得したときは、速やかに、これを処分しなければならない。
第三章 設立及び事業免許の申請
(発起人)
第二十二条 信用金庫を設立するには、その会員になろうとする七人以上の者が発起人となることを要する。
2 信用金庫連合会を設立するには、その会員になろうとする十五以上の信用金庫が発起人となることを要する。
(定款)
第二十三条 発起人は、金庫の定款を作成し、これに署名しなければならない。
2 前項の定款には、左の事項を記載しなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の名称及び所在地
五 会員たる資格に関する規定
六 会員の加入及び脱退に関する規定
七 出資一口の金額並びにその払込の時期及び方法
八 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
九 準備金の積立の方法
十 役員の定数及びその選任に関する規定
十一 事業年度
十二 公告の方法
十三 金庫の存続期間又は解散の事由を定めたときは、この期間又は事由
3 金庫の定款については、商法第百六十七条(定款の認証)の規定を準用する。
(創立総会)
第二十四条 発起人は、定款作成後、会員になろうとする者を募り、定款を会議の日時及び場所とともに公告して創立総会を開かなければならない。
2 前項の公告は、会議開催日の少くとも二週間前までにしなければならない。
3 発起人が作成した定款の承認、事業計画の設定その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては前項の定款を修正することができる。但し、地区及び会員たる資格に関する規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、会員たる資格を有する者でその会日までに発起人に対し設立の同意を申し出たものの半数以上が出席して、その議決権の三分の二以上の多数で決する。
6 創立総会については、第十二条並びに商法第二百三十九条第四項、第二百四十条(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四条(株主総会の議事録)及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(株主総会の決議の取消又は無効)の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「信用金庫法第四十八条」と読み替えるものとする。
(理事への事務引継)
第二十五条 発起人は創立総会終了後、遅滞なく、その事務を理事に引き継がなければならない。
(出資の払込)
第二十六条 理事は、前条の規定による引継を受けたときは、遅滞なく、出資の全額の払込をさせなければならない。
(成立の時期)
第二十七条 金庫は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることに因つて成立する。
(商法の準用)
第二十八条 金庫の設立については、商法第四百二十八条(株式会社の設立の無効)の規定を準用する。
(事業免許の申請)
第二十九条 金庫は、第四条の規定による事業の免許を受けようとするときは、申請書に左の各号に掲げる書類を添附して、大蔵大臣に提出しなければならない。
一 理由書
二 定款
三 業務方法書(その記載事項は、預金、為替取引その他の業務の種類並びに預金利子及び貸付利子の計算その他の業務の方法とする。)
四 事業計画書(その記載事項は、金庫の事業開始後三事業年度における取引及び収支の予想とする。)
五 創立総会の議事録
六 会員数並びに出資の総口数及び総額を記載した書面
七 登記簿の謄本
八 最近の日計表
九 役員の履歴書
十 事務所の位置に関する書面
(事業開始の届出及び免許の失効)
第三十条 金庫が事業を開始したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
2 金庫が、事業の免許を受けた日から六月以内に、事業を開始しないときは、その免許は効力を失う。
3 やむをえない事由がある場合において、あらかじめ大蔵大臣の承認を受けた場合においては、前項の規定を適用しない。
第四章 管理
(大蔵大臣の認可)
第三十一条 金庫は、左の場合においては、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
一 定款を変更しようとするとき。
二 業務の種類又は方法を変更しようとするとき。
三 事務所の位置を変更しようとするとき。
(役員)
第三十二条 金庫に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定款は、五人以上とし、監事の定数は、二人以上とする。
3 役員は、総会の議決によつて、会員又は会員たる法人の業務を執行する役員のうちから選任する。但し、設立当初の役員は、創立総会の議決によつて、会員になろうとする者又は会員になろうとする法人の業務を執行する役員のうちから選任する。
4 信用金庫連合会にあつては、前項の規定にかかわらず、会員たる信用金庫の業務を執行する役員以外の者のうちから選任することができる。但し、その数は、役員の定数の五分の一をこえてはならない。
(兼職又は兼業の制限)
第三十三条 金庫の常務に従事する役員及び支配人その他の職員は、他の金庫若しくは会社の常務に従事し、又は事業を営んではならない。但し、大蔵大臣の認可を受けたときは、この限りでない。
2 監事は、理事又は支配人その他の職員と兼ねてはならない。
(役員の任期)
第三十四条 役員の任期は、二年とする。但し、定款で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。
2 補欠役員の任期は、前項の規定にかかわらず、前任者の残任期間とする。
3 設立当初の役員の任期は、第一項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
(理事の自己契約等の禁止)
第三十五条 金庫が理事と契約するときは、監事が金庫を代表する。金庫と理事との訴訟についても、また同様とする。
(定款その他の書類の備付及び閲覧)
第三十六条 理事は、定款及び総会の議事録を各事務所に、会員名簿を主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 会員名簿には、各会員について左の事項を記載しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所又は居所
二 加入の年月日
三 出資の口数及び金額並びにその払込の年月日
3 会員及び金庫の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覧を求めることができる。
この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(決算関係書類の提出、備付及び閲覧)
第三十七条 理事は、通常総会の会日の七日前までに、業務報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し、且つ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 理事は、監事の意見書を添えて前項の書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 会員及び金庫の債権者は、何時でも、理事に対し第一項の書類の閲覧を求めることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのに拒んではならない。
(役員の解任)
第三十八条 会員は、総会員の五分の一以上の連署をもつて、役員の解任を請求することができるものとし、その請求につき総会において出席者の過半数の同意があつたときは、その請求に係る役員は、その職を失う。
2 前項の規定による解任の請求は、理事の全員又は監事の全員について、同時にしなければならない。但し、法令又は定款に違反したことを理由として解任を請求するときは、この限りでない。
3 第一項の規定により解任の請求は、解任の理由を記載した書面を金庫に提出してしなければならない。
4 第一項の規定による解任の請求があつたときは、金庫は、その請求を総会の議に附し、且つ、総会の会日の七日前までに、その請求に係る役員に対し、前項の書面を送付し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
5 第四十三条第二項及び第四十四条の規定は、前項の場合に準用する。
(民法及び商法の準用)
第三十九条 理事及び監事については、商法第二百五十四条第二項(取締役と会社との関係)、第二百五十八条第一項(取締役の退任の場合の処置)、第二百六十六条(取締役の責任)、第二百六十七条(取締役に対する訴)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を、理事については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十五条(代理権の委任)及び商法第二百六十条から第二百六十二条まで(取締役の業務の執行及び会社代表)の規定を、監事については、商法第二百七十四条(報告を求め調査をする権限)及び第二百七十八条(取締役と監査役との連帯責任)の規定を準用する。この場合において、商法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「信用金庫法第三十七条第二項」と読み替えるものとする。
(支配人)
第四十条 金庫は、支配人を置くことができる。
2 支配人については、商法第三十八条第一項及び第三項、第三十九条、第四十一条並びに第四十二条(支配人)の規定を準用する。
(支配人の解任)
第四十一条 会員は、総会員の十分の一以上の連署をもつて、理事に対し、支配人の解任を請求することができる。
2 前項の規定による請求は、解任の理由を記載した書面を理事に提出してしなければならない。
3 第一項の規定による請求があつたときは、理事は、その支配人の解任の可否を決しなければならない。
4 理事は、前項の可否を決する日の七日前までに、その支配人に対し、第二項の書面を送付し、且つ、弁明する機会を与えなければならない。
(通常総会の招集)
第四十二条 理事は、定款の定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
(臨時総会の招集)
第四十三条 理事は、必要があると認めるときは、定款の定めるところにより、何時でも、臨時総会を招集することができる。
2 会員が総会員の五分の一以上の同意を得て、会議の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を理事に提出して、総会の招集を請求したときは、理事は、その請求のあつた日から二十日以内に、臨時総会を招集しなければならない。
(総会招集の手続の代行)
第四十四条 理事の職務を行う者がないとき、又は前条第二項の請求があつた場合において理事が正当な事由がないのに総会招集の手続をしないときは、監事は、総会を招集しなければならない。
(総会招集の手続)
第四十五条 総会の招集は、会日の七日前までに、会議の目的たる事項を示し、定款に定めた方法に従つてしなければならない。
(通知又は催告)
第四十六条 金庫の会員に対してする通知又は催告は、会員名簿に記載したその者の住所又は居所(その者が別に通知又は催告を受ける場所を金庫に通知したときは、その場所)にあてれば足りる。
2 前項の通知又は催告は、通常到達すべきであつた時に到達したものとみなす。
(総会の議事)
第四十七条 総会の議事は、この法律又は定款に特別の定のある場合を除いて、出席者の議決権の過半数で決する。
2 総会においては、第四十五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。但し、定款で別段の定をしたときは、この限りでない。
(特別の決議)
第四十八条 左の事項については、総会員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 解散又は合併
三 会員の除名
四 事業の全部の譲渡
(商法の準用)
第四十九条 総会については、商法第二百三十九条第四項、第二百四十条(特別利害関係人の議決権)、第二百四十四条(株主総会の議事録)及び第二百四十七条から第二百五十三条まで(株主総会の決議の取消又は無効)の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「信用金庫法第四十八条」と読み替えるものとする。
(総代金)
第五十条 金庫は、定款の定めるところにより、総会に代るべき総代会を設けることができる。
2 総代は、定款の定めるところにより、会員のうちから公平に選任されなければならない。
3 総代の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
4 総代会については、総会に関する規定を準用する。
5 総代会においては、金庫の解散、合併及び事業の全部の譲渡について議決することができない。
(出資一口の金額の減少)
第五十一条 理由は、総会において出資一口の金額の減少の議決があつたときは、その議決の日から二週間以内に、財産目録及び貸借対照表を作らなければならない。
2 金庫は、前項の期間内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、且つ、預金者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の一定の期間は、一月を下つてはならない。
第五十二条 債権者が前条第二項の一定の期間内に異議を述べなかつたときは、出資一口の金額の減少を承認したものとみなす。
2 債権者が異議を述べたときは、金庫は、弁済し、若しくは相当の担保を供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託業務を営む銀行に相当の財産を信託しなければならない。
3 金庫の出資一口の金額の減少については、商法第三百八十条(株式会社の資本減少の無効)の規定を準用する。
第五章 事業
(信用金庫の事業)
第五十三条 信用金庫は、左の業務及びこれに附随する業務を行うことができる。
一 預金又は定期積金の受入
二 資金の貸付(会員以外の者に対する貸付については、その預金又は定期積金を担保とする場合に限る。)
三 会員のためにする手形の割引
四 会員のためにする内国為替取引
五 会員のためにする有価証券、貴金属その他の物品の保護預り
六 国民金融公庫その他大蔵大臣の指定する者の業務の代理
2 信用金庫は、前項第四号に規定する業務を行おうとするときは、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
(信用金庫連合会の事業)
第五十四条 信用金庫連合会は、会員のために左の業務及びこれに附随する業務を行うことができる。
一 会員の預金の受入
二 会員に対する資金の貸付及び手形の割引
三 内国為替取引
四 有価証券の保護預り
2 信用金庫連合会は、前項第一号及び第二号に規定する業務の外、国、地方公共団体その他営利を目的としない法人から預金を受け入れ、又は大蔵大臣の認可を受けて会員以外の者に対して貸付をすることができる。
第六章 経理
(事業年度)
第五十五条 金庫の事業年度は、四月一日から翌年三月三十一日までとする。
(法定準備金)
第五十六条 金庫は、出資の総額に達するまでは、毎事業年度の剰余金の百分の十に相当する金額以上の金額を準備金として積み立てなければならない。
2 前項の準備金は、損失のてん補に充てる場合を除いては、取りくずしてはならない。
(剰余金の配当)
第五十七条 金庫は、損失をてん補し、前条の準備金を控除した後でなければ、剰余金の配当をしてはならない。
2 剰余金の配当は、定款の定めるところにより、会員の金庫の事業の利用分量又は出資額に応じてしなければならない。
3 出資額に応じてする剰余金の配当の率の最高限度は、定款で定めなければならない。
第七章 合併及び事業の譲渡又は譲受
(合併、事業の譲渡又は譲受)
第五十八条 金庫は、総会の議決を経て、他の金庫と合併し、又はその事業の全部若しくは一部を銀行若しくは他の金庫に譲り渡すことができる。
2 金庫は、総会の議決を経て、他の金庫又は信用協同組合の事業の全部又は一部を譲り受けることができる。
3 前二項の合併又は事業の譲渡若しくは譲受については、大蔵大臣の認可を受けなければならない。
4 第一項及び第二項の合併又は事業の全部の譲渡若しくは譲受については、第五十一条及び第五十二条の規定を準用する。
第五十九条 合併に因つて金庫を設立するには、各金庫がそれぞれ総会において会員のうちから選任した設立委員が共同して定款を作成し、役員を選任し、その他設立に必要な行為をしなければならない。
2 前項の規定による役員は、合併しようとする金庫の会員又は会員たる法人の業務を執行する役員のうちから選任するものとし、その任期は、最初の通常総会の日までとする。
3 第一項の規定による設立委員の選任については、第四十八条の規定を準用する。
(合併の効果)
第六十条 金庫の合併は、合併後存続する金庫又は合併に因つて成立する金庫が、その主たる事務所の所在地において、第七十一条に規定する登記をすることに因つてその効力を生ずる。
2 合併後存続する金庫又は合併に因つて成立した金庫は、合併に因つて消滅した金庫の権利義務を承継する。
(商法等の準用)
第六十一条 金庫の合併については、商法第百四条から第百十一条まで(合名会社の合併の無効)及び非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百三十五条ノ八(債務の負担部分の決定)の規定を準用する。
(事業の全部の譲渡)
第六十二条 金庫がその事業の全部の譲渡をしたときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
2 前項の公告があつたときは、同項の金庫の貸付金の債務者に対して民法第四百六十七条(指名債権譲渡の対抗要件)の規定による確定日附のある証書による通知があつたものとみなす。この場合においては、その公告の日附をもつて確定日附とする。
第八章 解散及び清算
(解散の事由)
第六十三条 金庫は、左の事由に因つて解散する。
一 総会の決議
二 合併
三 破産
四 定款で定める存続期間の満了又は解散事由の発生
五 事業の全部の譲渡
六 事業免許の取消
(商法等の準用)
第六十四条 金庫の解散及び清算については、商法第百十六条、第百二十四条、第百二十五条、第百二十八条、第百二十九条、第百三十一条、第四百十七条から第四百二十四条まで、第四百二十六条及び第四百二十七条(合名会社及び株式会社の清算)並びに非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十六条、第百三十七条から第百三十八条まで及び第百三十八条ノ三(法人の清算の監督)の規定を、金庫の清算人については、第三十五条から第三十七条まで、第四十二条から第四十四条まで並びに商法第二百四十七条(決議の取消)、第二百五十四条第二項(取締役と会社との関係)、第二百六十六条(取締役の責任)、第二百六十七条(取締役に対する訴)及び第二百八十四条(取締役及び監査役の責任の解除)の規定を準用する。この場合において、商法第二百八十四条中「前条第一項」とあるのは「信用金庫法第六十四条において準用する同法第三十七条第二項」と読み替えるものとする。
第九章 登記
(設立の登記)
第六十五条 金庫は、第二十六条の規定による出資の払込があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地において設立の登記をしなければならない。
2 設立の登記には、左の事項を掲げなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所
五 出資の一口の金額、総口数及び総額
六 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
七 役員の氏名及び住所
八 金庫を代表しない理事があるときは、金庫を代表すべき理事の氏名
九 数人の理事が共同し、又は理事が支配人と共同して金庫を代表すべきことを定めたときは、その規定
十 公告の方法
3 金庫は、設立の登記をした日から二週間以内に、従たる事務所の所在地において、前項の事項を登記しなければならない。
(従たる事務所の新設の登記)
第六十六条 金庫の設立後従たる事務所を設けたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内に従たる事務所を設けたことを登記し、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に前条第二項の事項を登記し、他の従たる事務所の所在地においては同期間内にその従たる事務所を設けたことを登記しなければならない。
2 主たる事務所又は従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内において新たに従たる事務所を設けたときは、その従たる事務所を設けたことを登記すれば足りる。
(事務所の移転の登記)
第六十七条 金庫が主たる事務所を移転したときは、旧所在地においては二週間以内に移転の登記をし、新所在地においては三週間以内に第六十五条第二項の事項を登記し、従たる事務所を移転したときは、旧所在地においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地においては四週間以内に同項の事項を登記しなければならない。
2 同一の登記所の管轄区域内において主たる事務所又は従たる事務所を移転したときは、その移転の登記をすれば足りる。
(変更の登記)
第六十八条 前二条に規定するものの外、第六十五条第二項の事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地においては二週間以内、従たる事務所の所在地においては三週間以内に変更の登記をしなければならない。
2 第六十五条第二項第五号の事項中出資の総口数及び総額の変更の登記は、前項の規定にかかわらず、毎事業年度末日現在により、事業年度終了後、主たる事務所の所在地においては四週間以内、従たる事務所の所在地においては五週間以内にすれば足りる。
(支配人の登記)
第六十九条 金庫が支配人を選任したときは、二週間以内にこれを置いた事務所の所在地において、支配人の氏名及び住所、支配人を置いた事務所並びに数人の支配人が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を登記しなければならない。その登記した事項の変更及び支配人の代理権の消滅についても、また同様とする。
(解散の登記)
第七十条 金庫が解散したときは、合併及び破産の場合を除いて、主たる事務所の所在地においては二週間以内、従たる事務所の所在地においては三週間以内に解散の登記をしなければならない。
(合併の場合における登記)
第七十一条 金庫が合併するときは、合併に必要な行為を終つてから、主たる事務所の所在地においては二週間以内、従たる事務所の所在地においては三週間以内に、合併後存続する金庫については変更の登記、合併に因つて消滅する金庫については解散の登記、合併に因つて成立する金庫については第六十五条第二項の事項の登記をしなければならない。
(清算人の登記)
第七十二条 清算人は、その就職の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算人の氏名及び住所を登記しなければならない。
2 前項の規定により登記した事項の変更の登記については、第六十八条第一項の規定を準用する。
(清算結了の登記)
第七十三条 金庫の清算が結了したときは、清算結了の日から、主たる事務所の所在地においては二週間以内、従たる事務所の所在地においては三週間以内に清算結了の登記をしなければならない。
(管轄登記所及び登記簿)
第七十四条 金庫の登記については、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所を管轄登記所とする。
2 各登記所に、信用金庫登記簿及び信用金庫連合会登記簿を備える。
(設立の登記の申請)
第七十五条 金庫の設立の登記は、役員の全員の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、定款、役員たることを証する書面並びに出資の総口数及び第二十六条の規定による出資の払込のあつたことを証する書面を添附しなければならない。
3 合併に因る金庫の設立の登記の申請書には、前項の書面の外、第五十八条第四項において準用する第五十一条第二項の規定による公告及び催告をしたことを証する書面並びに異議を述べた債権者があつたときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
第七十六条 第六十五条第三項の規定による登記は、理事の申請によつてする。
(事務所の新設、移転及び変更の登記の申請)
第七十七条 金庫の事務所の新設又は移転その他第六十五条第二項の事項の変更の登記は、理事又は清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、事務所の新設又は移転その他登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
3 出資一口の金額の減少又は金庫の合併に因る変更の登記の申請書には、前項の書面の外、第五十一条第二項(第五十八条第四項において準用する場合を含む。)の規定による公告及び催告をしたことを証する書面並びに異議を述べた債権者があつたときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は財産を信託したことを証する書面を添附しなければならない。
(支配人の登記の申請)
第七十八条 第六十九条の規定による登記は、理事の申請によつてする。
2 前項の登記のうち、支配人の選任の登記の申請書には、支配人の選任を証する書面及び数人の支配人が共同して代理権を行うべきことを定めたときはその旨を証する書面を、その他の登記の申請書には、その事項を証する書面を添附しなければならない。
(解散の登記の申請)
第七十九条 第七十条の規定による解散の登記は、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、解散の事由を証する書面を添附しなければならない。
第八十条 第七十一条の規定による解散の登記は、合併に因つて消滅する金庫の理事の申請によつてする。
2 前項の申請については、第七十五条第三項及び前条第二項の規定を準用する。
(清算人の登記の申請)
第八十一条 第七十二条第一項の規定による登記の申請書には、理事が清算人でないときは申請人の資格を証する書面を添附しなければならない。
2 第七十二条第二項の規定による登記の申請書には、登記事項の変更を証する書面を添附しなければならない。
(清算結了の登記の申請)
第八十二条 第七十三条の規定による清算結了の登記は、清算人の申請によつてする。
2 前項の登記の申請書には、第六十四条において準用する商法第四百二十七条第一項の規定により決算報告書の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。
(設立無効等の登記の手続)
第八十三条 金庫の設立、合併若しくは出資一口の金額の減少を無効とし、又は総会の決議を取り消し、若しくは無効とする判決が確定した場合の登記については、非訟事件手続法第百三十五条ノ六(裁判による会社の設立無効の登記)の規定を準用する。
(登記事項の公告)
第八十四条 登記した事項は、法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所において、遅滞なく、公告しなければならない。
(非訟事件手続法の準用)
第八十五条 金庫の登記については、非訟事件手続法第百三十九条ノ二、第百四十一条から第百五十一条ノ六まで及び第百五十四条から第百五十七条まで(商業登記の通則)の規定を準用する。
第十章 雑則
(実施規定)
第八十六条 大蔵大臣は、この法律による免許又は認可に関する申請、届出、業務報告書その他の書類の提出その他に関しこの法律を実施するため必要な手続を定めることができる。
(認可事項実行の届出及び認可の失効)
第八十七条 金庫が、この法律の規定による認可を受けた事項を実行したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。
2 金庫が、この法律の規定による認可を受けた日から六月以内に、その認可を受けた事項を実行しないときは、その認可は効力を失う。
3 第三十条第三項の規定は、前項の場合に準用する。
(権限の一部の代行)
第八十八条 大蔵大臣は、この法律による権限の一部を地方支分部局の長に行わせることができる。
(銀行法の準用)
第八十九条 銀行法(昭和二年法律第二十一号)第十条(業務報告書)、第十二条(監査書)、第十八条から第二十六条まで、第二十七条第二項及び第二十八条から第三十一条まで(休日及び休業、払戻の停止、大蔵大臣及び裁判所の監督権限等)の規定は、金庫について準用する。
第十一章 罰則
第九十条 左の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした金庫の役員、支配人その他の職員を一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四条の規定に違反したとき。
二 第八十九条において準用する銀行法(以下本条及び第九十一条中「銀行法」という。)第十条の規定による業務報告書又は銀行法第十二条の規定による監査書の不実の記載その他の方法により官庁又は公衆を欺もうしたとき。
三 銀行法第二十一条の規定による検査に際し、帳簿書類の隠ぺい、不実の申立その他の方法により検査を妨げたとき。
第九十一条 左の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした金庫の役員又は支配人を一万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定に基いて金庫が行うことができる事業以外の事業を行つたとき。
二 この法律に定める登記を怠つたとき。
三 第十七条第二項、第三十八条第四項又は第四十一条第四項の規定に違反したとき。
四 第二十一条の規定に違反して会員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
五 第二十四条第六項若しくは第四十九条において準用する商法第二百四十四条又は第六十四条において準用する商法第四百十九条の規定に違反して総会の議事録、財産目録若しくは貸借対照表を作成せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
六 第三十一条の規定に違反したとき。
七 第三十三条の規定に違反したとき。
八 第三十六条又は第三十七条(第六十四条において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を備えて置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当の理由がないのにその書類の閲覧を拒んだとき。
九 第三十九条において準用する商法第二百七十四条又は第六十四条において準用する商法第四百十九条第一項の規定による調査を妨げたとき。
十 第四十二条、第四十三条第二項又は第四十四条の規定に違反したとき。
十一 第五十一条若しくは第五十二条第二項の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は第五十八条第四項において準用する第五十一条若しくは第五十二条第二項の規定に違反して合併又は事業の全部の譲渡若しくは譲受をしたとき。
十二 第五十一条第二項(第五十八条第四項において準用する場合を含む。)、第六十二条第一項、第六十四条において準用する商法第四百二十一条第一項又は銀行法第十九条に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十三 第五十三条第二項又は第五十四条第二項の規定に違反したとき。
十四 第五十六条又は第五十七条の規定に違反したとき。
十五 第五十八条第三項の規定に違反して合併又は事業の譲渡若しくは譲受をしたとき。
十六 第六十四条において準用する商法第百三十一条の規定に違反して金庫の財産を分配したとき。
十七 第六十四条において準用する商法第四百二十一条第一項の期間を不当に定めたとき。
十八 銀行法第十二条に規定する監査書を備えて置かず、又は銀行法第二十条の規定により大蔵大臣に提出しなければならない書類帳簿の提出を怠り、又はこれに記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をしたとき。
十九 銀行法第二十二条、第二十三条、第二十六条又は第二十九条の規定により大蔵大臣又は裁判所のした命令に違反したとき。
第九十二条 第六条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
第九十三条 金庫の役員、支配人その他の職員がその金庫の業務に関して第九十条の違反行為をしたときは、その行為者を罰する外、その金庫に対しても、同条の罰金刑を科する。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
(法務総裁・大蔵・内閣総理大臣署名)