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法律第二百十一号(昭二八・八・一四)

  ◎青年学級振興法

目次

 第一章 総則(第一条―第四条)

 第二章 青年学級の開設及び運営(第五条―第十七条)

 第三章 国の補助(第十八条―第二十三条)

 第四章 雑則(第二十四条)

 附則

   第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、勤労青年教育がわが国の産業の振興に寄与し、且つ、民主的で文化的な国家を建設するための基盤をなすものであることにかんがみ、社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)の精神に基き、青年学級の開設及び運営に関して必要な事項を定め、その健全な発達を図り、もつて国家及び社会の有為な形成者の育成に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「青年学級」とは、勤労に従事し、又は従事しようとする青年(以下「勤労青年」という。)に対し、実際生活に必要な職業又は家事に関する知識及び技能を習得させ、並びにその一般的教養を向上させることを目的として、この法律の定めるところにより市(特別区を含む。以下同じ。)町村が開設する事業をいう。

 (青年学級の基本方針)

第三条 青年学級は、勤労青年の自主性を尊重し、旦つ、勤労青年の生活の実態及び地方の実情に即応して、開設し、及び運営しなければならない。

 (青年学級による教育を受ける機会の供与)

第四条 青年学級による教育を受けようとする勤労青年に対しては、できる限り、その機会が与えられなければならない。

   第二章 青年学級の開設及び運営

 (開設及び実施機関)

第五条 青年学級は、市町村が開設する。

2 市町村の教育委員会は、青年学級の開設を決定するには、あらかじめ、議会の議決を経なければならない。この場合においては、その議案の作成及び提出については、教育委員会法(昭和二十三年法律第百七十号)第六十一条の規定の適用があるものとする。

3 青年学級の実施機関(以下「実施機関」という。)は、原則として、市町村の設置する公民館又は学校(大学を除く。)とする。

 (開設の申請)

第六条 同一市町村の区域内に住所を有する十五人以上の勤労青年は、当該市町村の教育委員会に対し、青年学級の開設を申請することができる。

2 前項の申請をする場合には、左に掲げる事項を記載し、且つ、申請者全員が署名した申請書を提出しなければならない。

 一 開設期日

 二 開設期間

 三 開設場所

 四 学習内容

 五 学習時間数

 六 申請者の氏名及び住所

 七 代表者の氏名

3 前二項に定めるもののほか、青年学級の開設の申請に関し必要な事項は、市町村の教育委員会規則で定める。

第七条 市町村の教育委員会は、前条の規定による申請を受けたときは、その申請に係る青年学級を開設するか又は開設しないかを決定し、その旨を代表者に通知しなければならない。この場合において、青年学級の開設を決定するについては、あらかじめ、市町村長と連絡し、当該市町村の財政事情を考慮するものとする。

 (開設の公示)

第八条 市町村の教育委員会は、青年学級の開設を決定したときは、左の各号に掲げる事項を公示しなければならない。

 一 名称

 二 実施機関

 三 開設期日

 四 開設期間

 五 開設場所

 六 学習内容

 七 学習時間数

 八 学級生の募集に関する事項

 九 その他必要な事項

2 第六条の規定による申請に係る青年学級については、前項各号に掲げるもののほか、代表者の氏名をも公示しなければならない。

 (青年学級主事)

第九条 実施機関に青年学級主事を置く。

2 青年学級主事は、市町村の教育委員会の事務局又は市町村の教育委員会の所管に属する教育機関の職員のうちから、これを命ずる。

3 青年学級主事は、上司の命を受けて、青年学級に関する事務をつかさどり、学級生の指導に当る。

 (青年学級講師、青年学級講師補佐)

第十条 実施機関に青年学級講師を置く。

2 実施機関に青年学級講師補佐を置くことができる。

3 青年学級講師は、学級生の教育をつかさどる。

4 青年学級講師補佐は、青年学級講師の職務を助ける。

 (禁止行為)

第十一条 実施機関は、青年学級において、左の各号に掲げる行為を行つてはならない。

 一 もつぱら営利を目的として事業を行い、又は特定の営利事業を援助すること。

 二 特定の政党その他の政治的団体の利害に関する事業を行い、又は公私の選挙に関し特定の候補者を支持し若しくはこれに反対すること。

 三 特定の宗教を支持し、又はこれに反対すること。

 (指導、助言)

第十二条 文部大臣及び都道府県の教育委員会は、青年学級の開設及び運営に関し、市町村の教育委員会に対し、専門的、技術的な指導又は助言を与えることができる。

 (廃止)

第十三条 市町村の教育委員会は、学級生の著しい減少その他の事情により青年学級の継続を困難と認めた場合に限り、これを廃止することができる。

2 市町村の教育委員会は、青年学級を廃止したときは、その旨を公示しなければならない。

 (報告)

第十四条 市町村の教育委員会は、青年学級を開設し、若しくは廃止したとき、又は青年学級が開設期間の満了により終了したときは、その旨を都道府県の教育委員会に報告しなければならない。

2 前項の報告に関し必要な事項は、都道府県の教育委員会規則で定める。

第十五条 都道府県の教育委員会は、文部大臣に対し、その求めに応じて、当該都道府県の区域内の市町村の開設する青年学級の開設、廃止又は終了に関し、報告しなければならない。

 (禁止行為の停止命令等)

第十六条 実施機関が第十一条の規定に違反する行為を行つたときは、市町村の教育委員会は、当該実施機関に対し、当該行為の停止又は禁止を命ずることができる。

2 前項の場合においては、都道府県の教育委員会は、市町村の教育委員会に対し、当該行為の停止又は禁止を命ずべき旨を勧告することができる。

 (罰則)

第十七条 前条第一項の規定による命令に違反する行為をした者は、一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金に処する。

   第三章 国の補助

 (国庫補助)

第十八条 国は、左の各号に掲げる要件をそなえる青年学級を開設する市町村に対し、予算の範囲内で、その運営に要する経費の三分の一以内を補助する。

 一 学級生が三十人以上であること。

 二 開設期間が一年以上であること。

 三 学習時間数が年間百時間以上であること。

 四 学習が継続的に行われること。但し、当該地方の実情によりその継続が困難であると認められる期間については、この限りでない。

 五 次条各号の一に規定する資格を有する青年学級主事が担当すること。

 六 第二十条第一項各号の一に規定する資格を有する青年学級講師三人以上が担当すること。但し、青年学級講師三人のうち一人は、同条第二項各号の一に規定する資格を有する青年学級講師補佐をもつて足りる。

第十九条 前条第五号の青年学級主事の資格は、左に掲げるものとする。

 一 大学に二年以上在学して六十二単位以上を修得したこと。

 二 教育職員の普通免許状又は仮免許状を有すること。

 三 社会教育主事、司書又は学芸員となる資格を有すること。

 四 公民館、図書館又は博物館の長の職にあり、又はあつたこと。

 五 教育委員会の事務局若しくは教育委員会の所管に属する教育機関の事務職員若しくは技術職員の職(教育委員会設置前のこれらの職に相当するものを含む。)又は官公署における文部大臣の指定する職の一又は二以上にあつて、その年数が通算して三年以上であること。

 六 教育委員会の委員、社会教育委員、公民館運営審議会の委員、図書館協議会の委員又は博物館協議会の委員の職にあつたこと。

 七 次条第二項各号の一に規定する資格を得た後、第五号に掲げる職又は青年学級講師若しくは青年学級講師補佐の職の一又は二以上にあつて、その年数が通算して五年以上であること。

第二十条 第十八条第六号の青年学級講師の資格は、左に掲げるものとする。

 一 前条各号の一に該当すること。

 二 前条第六号に掲げる職にあること。

 三 三年以上社会教育関係団体における文部大臣の指定する職にあつたこと。

 四 青年学級講師となるのに十分な学識経験を有する者である旨の都道府県の教育委員会の認定を受けたこと。

2 第十八条第六号の青年学級講師補佐の資格は、左に掲げるものとする。

 一 高等学校を卒業したこと。

 二 一年以上前条第五号に掲げる職にあつたこと。

 三 第十八条各号に掲げる要件をそなえた青年学級において三百時間以上学習し、且つ、二十才以上であること。

 (都道府県の補助についての報告)

第二十一条 都道府県が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十一条の規定により、青年学級の開設及び運営に要する経費を補助する場合においては、文部大臣は、政令で定めるところにより、その補助金の額、補助の比率、補助の方法その他必要な事項につき報告を求めることができる。

 (補助金の返還)

第二十二条 国は、国庫から補助金の交付を受けた市町村が左の各号の一に該当するに至つたときは、当該年度におけるその後の補助金の全部又は一部の交付をやめるとともに、すでに交付した当該年度の補助金の全部又は一部を返還させることができる。

 一 この法律若しくはこの法律に基く命令又はこれらに基いてした処分に違反したとき。

 二 補助金交付の条件に違反したとき。

 三 虚偽の方法により補助金の交付を受けたことが明らかになつたとき。

2 当該国の補助に係る青年学級が第十八条各号に規定する要件を欠くに至つたとき、又は第十三条第一項の規定により廃止されたときにおいて、当該青年学級に係る補助金についても、また前項と同様とする。

 (政令への委任)

第二十三条 この章に定めるものを除くほか、国が補助する場合の経費の範囲、補助金交付の手続その他国の補助に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 雑則

 (青年学級類似事業)

第二十四条 青年学級に類する事業は、何人もこれを開設することができる。

3 文部大臣及び教育委員会は、前項の事業の開設及び運営に関し、その求めに応じて、指導又は助言を与えることができる。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (経過規定)

2 この法律施行の際、現に市町村の行う事業で青年学級に類するものは、昭和二十九年三月三十一日までは、この法律により開設された青年学級とみなす。

3 市町村の教育委員会は、前項の青年学級に関し、この法律施行の日から二月以内に、第八条第一項第一号、第二号及び第四号から第七号までに掲げる事項その他必要な事項を公示するとともに、都道府県の教育委員会に報告しなければならない。

 (昭和二十八年度における特例)

4 第十八条第二号及び第三号に規定する開設期間及び学習時間数は、昭和二十八年度においては、これらの規定にかかわらず、政令の定めるところによる。

 (青年学級主事等の資格に関する特例)

5 第十九条の規定の適用については、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)、旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)、旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)若しくは旧教員養成諸学校官制(昭和二十一年勅令第二百八号)の規定による大学、大学予科、高等学校高等科、専門学校若しくは教員養成諸学校を卒業し若しくは修了した者又は文部省令で定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者は、大学に二年以上在学して六十二単位以上を修得した者とみなす。

6 第二十条第二項の規定の適用については、旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)、旧高等学校令若しくは旧青年学校令(昭和十四年勅令第二百五十四号)の規定による中等学校、高等学校尋常科若しくは青年学校本科を卒業し若しくは修了した者又は文部省令で定めるところによりこれらの者と同等以上の学力があると認められる者は、高等学校を卒業した者とみなす。

 (社会教育法の一部改正)

7 社会教育法の一部を次のように改正する。

  第五条中第十四号を第十五号とし、第五号から第十三号までを順次一号ずつ繰り下げ、第四号の次に次の一号を加える。

  五 青年学級の開設及び運営に関すること。

  第六条中「第三号」の下に「及び第五号」を加え、同条中第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。

  四 青年学級の奨励に関すること。

  第二十二条中第六号を第七号とし、第一号から第五号までを順次一号ずつ繰り下げ、同条に第一号として次の一号を加える。

  一 青年学級を実施すること。

  第四十条中「都道府県の教育委員会」を「市町村の設置する公民館にあつては市町村の教育委員会、法人の設置する公民館にあつては都道府県の教育委員会」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 前項の場合においては、都道府県の教育委員会は、市町村の設置する公民館につき、市町村の教育委員会に対し、その事業又は行為の停止を命ずべき旨を勧告することができる。

  第四十一条中「前条」を「前条第一項」に、「違反し」を「違反する行為をし」に改める。

  第四十七条の次に次の一条を加える。

  (青年学級)

 第四十七条の二 学校(大学を除く。以下本条において同じ。)の管理機関は、その管理に属する学校に対し、その教員組織及び学校の施設の状況に応じ、学校施設の利用による青年学級の実施を求めることができる。

 (地方税法の一部改正)

8 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十八条第一項中「第二十一条の公民館、」の下に「青年学級振興法(昭和二十八年法律第二百十一号)第二条の青年学級(以下「青年学級」という。)を開設する者、」を、「公民館が行う社会教育、」の下に「青年学級、」を加える。

  第百十四条の二第一項中「の行事」を「又は青年学級の行事」に、「又は生徒」を「、生徒又は学級生」に改める。

(内閣総理・大蔵・文部大臣署名) 

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