衆議院

メインへスキップ



法律第二百二十二号(昭二九・一二・一五)

  ◎昭和二十九年の台風による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法

 (目的)

第一条 この法律は、昭和二十九年の台風第五号、台風第十二号、台風第十三号、台風第十四号又は台風第十五号(以下「台風」という。)によつて損失を受けた漁業者又は水産業協同組合に対する資金の融通を円滑にする措置を講じて、その経営の安定に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律で「被害漁業者等」とは、台風によりその所有する漁船、漁具又は政令で定めるその他の施設が沈没し、流失し、滅失し、又は損壊したため、著しい損失を受けた漁業者又は水産業協同組合をいう。

2 この法律で「金融機関」とは、農林中央金庫その他政令で定める金融機関をいう。

3 この法律で「復旧資金」とは、金融機関が昭和三十年六月三十日までに被害漁業者等に貸し付ける漁船、漁具又は第一項の施設の復旧に必要な資金(これらの施設が復旧されるまでの間の農林大臣の定める用途に必要な資金で農林大臣の定める被害漁業者等に貸し付けられるものを含む。)であつて、次の各号に該当するものをいう。

 一 一被害漁業者等に対する当該金融機関の貸付金が千万円以内であること。

 二 償還期限が一年以上五年以内のものであること。

 三 利率が年六分五厘以内のものであること。

4 この法律で「転貸資金」とは、金融機関が昭和三十年六月三十日までに貸し付ける次に掲げる資金をいう。

 一 被害漁業者等の加入する漁業協同組合又は漁業協同組合連合会で当該被害漁業者等に復旧資金を貸し付けようとするものに対し当該資金に充てるために貸し付ける資金

 二 漁業協同組合連合会で前号の資金を貸し付けようとするものに対し当該資金に充てるために貸し付ける資金

 (国庫補助)

第三条 政府は、都道府県に対し、予算の範囲内で次の各号に掲げる経費の全部又は一部を補助する。

 一 都道府県が、金融機関との契約により、その金融機関に対し、その金融機関が被害漁業者等に貸し付けた復旧資金(転貸資金をもつて貸し付けたものを除く。第三号、第五号及び第七号において同じ。)につき利子補給を行う場合に、その利子補給に要する経費

 二 都道府県が、金融機関との契約により、その金融機関に対し、その金融機関が漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に貸し付けた転貸資金(その貸付を受けた前条第四項第二号の転貸資金をもつて貸し付けた同項第一号の転貸資金を除く。第四号、第六号及び第八号において同じ。)につき利子補給を行う場合に、その利子補給に要する経費

 三 市町村が、金融機関との契約により、その金融機関に対し、その金融機関が被害漁業者等に貸し付けた復旧資金につき利子補給を行うのに要する経費の全部又は一部を都道府県が補助する場合に、その補助に要する経費

 四 市町村が、金融機関との契約により、その金融機関に対し、その金融機関が漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に貸し付けた転貸資金につき利子補給を行うのに要する経費の全部又は一部を都道府県が補助する場合に、その補助に要する経費

 五 都道府県が、金融機関との契約により、その金融機関に対し、その金融機関が被害漁業者等に復旧資金を貸し付けたことによつて受けた損失を、農林大臣の承認を得て、補償する場合に、その損失補償に要する経費

 六 都道府県が、金融機関との契約により、その金融機関に対し、その金融機関が漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に転貸資金を貸し付けたことによつて受けた損失を、農林大臣の承認を得て、補償する場合に、その損失補償に要する経費

 七 市町村が、金融機関との契約により、その金融機関に対し、その金融機関が被害漁業者等に復旧資金を貸し付けたことによつて受けた損失を補償するのに要する経費につき、漁船に係るものにはその六分の五以内、漁船以外の施設に係るものにはその五分の四以内を都道府県が補助する場合に、その補助に要する経費

 八 市町村が、金融機関との契約により、その金融機関に対し、その金融機関が漁業協同組合又は漁業協同組合連合会に転貸資金を貸し付けたことによつて受けた損失を補償するのに要する経費につき、漁船に係るものにはその六分の五以内、漁船以外の施設に係るものにはその五分の四以内を都道府県が補助する場合に、その補助に要する経費

2 前項第五号から第八号までの契約には、次の各号に掲げる事項を含まなければならない。

 一 当該契約の当事者である金融機関は、当該契約により損失補償を受けた後も善良な管理者の注意をもつて当該融資に係る債権の回収に努めなければならないこと。

 二 当該契約の当事者である金融機関は、当該契約により損失補償を受けた後に当該融資に係る債権の回収によつて得た金額のうちから、債権行使のために必要とした費用を控除し、残額があるときは、これで当該融資についての損失補償を受けない損失をうめ、なお残額があるときは、当該契約により都道府県又は市町村から受けた損失補償の金額に達するまでの金額を当該都道府県又は当該市町村に納付しなければならないこと。

3 第一項第五号から第八号までの損失は、融資元本の償還期限の到来後三月を経過してもなお元本又は利子(政令で定める遅延利子を含む。)の全部又は一部が回収されなかつた場合のその回収されなかつた金額とする。

第四条 前条第一項の規定により政府が都道府県に対し補助する場合のその補助に係る同項各号の復旧資金及び転貸資金の総額は、十五億円を限度とする。

2 前条第一項の規定により政府が都道府県に対して交付する補助金は、同項第一号から第四号までの経費については、当該利子補給額の二分の一に相当する額又は当該利子補給の対象となつた貸付金の総額につき年二分五厘の割合で計算した額のどちらか低い額の範囲内とし、同項第五号から第八号までの経費については、次に掲げる額のどちらか低い額の範囲内とする。

 一 当該損失補償額の二分の一に相当する額

 二 当該損失補償の対象となつた貸付金のうち、漁船に係るものの総額の百分の三十に相当する額と漁船以外の施設に係るものの総額の百分の二十五に相当する額とを加えた額

 (政府への納付金)

第五条 第三条第一項の規定により補助金の交付を受けた都道府県は、金融機関から同条第二項第二号の契約事項により納付金を受けたときは、その一部を政府から補助を受けた割合に応じて政府に納付しなければならない。

2 第三条第一項の規定により補助金の交付を受けた都道府県は、その都道府県から補助金の交付を受けた市町村が金融機関から同条第二項第二号の契約事項により納付金を受けたときは、その全部又は一部をその市町村が都道府県から補助を受けた割合に応じてその市町村から納付させ、その納付金の全部又は一部を政府から補助を受けた割合に応じて政府に納付しなければならない。

 (補助金の打切又は返還)

第六条 政府は、都道府県若しくはその補助を受けた市町村がこの法律若しくはこの法律に基く命令に違反したとき、又は都道府県若しくは市町村と第三条第五号から第八号までの契約を結んだ金融機関が同条第二項各号の契約事項に違反したときは、その都道府県に対し交付すべき補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は既に交付した補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 昭和二十八年台風第二号による被害農家及び被害漁家に対する資金の融通に関する特別措置法(昭和二十八年法律第百八十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条に次の一項を加える。

 4 漁業協同組合その他の金融機関が、被害漁家で昭和二十九年の台風による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法(昭和二十九年法律第二百二十二号)第二条第一項の被害漁業者等にも該当することとなつたものに対し、その者が貸付を受けている経営資金の償還に充てるための資金として、政令で定める額の範囲内において、償還期限三年以内及び利率年六分五厘以内の条件で昭和三十年三月三十一日までに貸し付ける資金は、これを経営資金とみなす。

3 昭和二十八年六月及び七月の水害並びに同年八月及び九月の風水害による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法(昭和二十八年法律第二百三十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条に次の一項を加える。

 7 漁業協同組合又は金融機関が、被害漁業者で昭和二十九年の台風による漁業災害の復旧資金の融通に関する特別措置法(昭和二十九年法律第二百二十二号)第二条第一項の被害漁業者等にも該当することとなつたものに対し、その者が貸付を受けている経営資金の償還に充てるための資金として、政令で定める額の範囲内において、償還期限が政令の定めるところにより四年以内及び利率が年六分五厘以内の条件で昭和三十年三月三十一日までに貸し付ける資金は、これを経営資金とみなす。

  第四条第二項但書中「又は第六項」を「、第六項又は第七項」に改める。

(大蔵・農林・内閣総理大臣署名) 

 

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.