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法律第三十七号(昭三〇・六・三〇)

  ◎輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律

 (趣旨)

第一条 この法律は、酒税法(昭和二十八年法律第六号)、砂糖消費税法(明治三十四年法律第十三号)、物品税法(昭和十五年法律第四十号)、揮発油税法(昭和二十四年法律第四十四号)、地方道路税法(昭和三十年法律第百四号)又は骨牌税法(明治三十五年法律第四十四号)(以下「酒税法等」という。)及び国税犯則取締法(明治三十三年法律第六十七号)の規定において定めるもののほか、輸入する物品に対する内国消費税の賦課、徴収及び免除等について定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 「内国消費税」とは、酒税法等の規定により課される酒税、砂糖消費税、物品税、揮発油税、地方道路税又は骨ぱい税をいう。

 二 「内国消費税課税物品」とは、酒税法第二条第一項(定義)に規定する酒類、砂糖消費税法第一条(課税物件)に規定する砂糖、糖みつ若しくは糖水、物品税法第一条(課税物件)に規定する物品、揮発油税法第二条第一項(定義)に規定する揮発油(同法第十五条(揮発油とみなす場合)の規定により揮発油とみなされる物を含む。)又は骨牌税法第一条(課税物件)に規定する骨ぱいをいう。

 三 「保税地域」とは、関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条(保税地域の種類)に規定する保税地域をいう。

 四 「輸入」とは、関税法第二条第一号(定義)に規定する輸入をいう。

 (保税地域以外の場所からの輸入品に対する課税)

第三条 内国消費税課税物品を保税地域以外の場所から輸入する場合には、その輸入を保税地域からの引取とみなして酒税法等の規定を適用する。

 (郵便物の内国消費税の納付等)

第四条 内国消費税課税物品を内容とする郵便物を輸入する場合には、保税地域からの引取の際の申告書に関する酒税法等の規定は、適用しない。この場合においては、税関は、その内国消費税の額を郵政官署に通知しなければならない。

2 郵政官署は、前項の通知を受けたときは、郵便物を交付する前に、その内国消費税の額を名あて人に通知しなければならない。

3 前項の郵便物を受け取ろうとする者は、政令で定める場合を除くほか、当該郵便物を受け取る際、印紙をもつてその内国消費税を納付しなければならない。

 (保税運送等の場合の免税及び徴収)

第五条 内国消費税課税物品を関税法第六十一条第一項(保税工場外における保税作業)の規定により保税工場以外の場所に出し、又は同法第六十三条第一項(保税運送)の規定により保税地域から運送する場合には、政令で定めるところにより、その際に課すべき内国消費税を免除する。ただし、第三項の規定の適用がある場合においては、この限りでない。

2 税関長(関税法第百七条(税関長の権限の委任)の規定によりその権限の一部を委任された税関支署長を含む。以下第十三条において同じ。)は、関税法第六十一条第二項(保税工場外の保税作業の場合の担保)又は第六十三条第二項(保税運送の場合の担保)の規定により担保を提供させることができる場合には、当該担保に係る物品に課すべき内国消費税額に相当する担保を提供させることができる。

3 第一項本文の規定の適用を受けた物品について関税法第六十一条第五項(指定期間の経過による関税の徴収)又は第六十五条(運送の期間の経過による関税の徴収)の規定により関税を徴収する場合には、当該関税の納税義務者から、直ちにその内国消費税を徴収する。

 (輸入の許可前における引取)

第六条 砂糖消費税法第六条、揮発油税法第十三条、地方道路税法第九条第二項及び骨牌税法第九条(未納税品の引取制限)の規定は、関税法第七十三条第一項(輸入の許可前における貨物の引取)の規定により内国消費税課税物品を引き取る場合には、適用しない。

2 関税法第七十三条第一項の規定により引き取る内国消費税課税物品の当該引取により徴収すべき内国消費税は、当該物品について同法第八条第二項(納税の告知)の規定により指定された関税の納期日において徴収する。

3 前項の規定の適用を受ける物品については、関税法第七十三条第一項の規定により関税額に相当する担保を提供する際、当該物品について課すべき内国消費税額に相当する担保を提供しなければならない。

 (免税)

第七条 次の各号に掲げる物品で当該各号に規定する規定により関税を免除するものについては、政令で定めるところにより、その内国消費税を免除する。ただし、第三項の規定の適用がある場合においては、この限りでない。

 一 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)第十四条第一号から第四号まで、第七号から第九号まで又は第十三号(無条件免税)に掲げるもの

 二 関税定率法第十五条第一項第一号から第三号まで又は第九号(特定用途免税)に掲げるもの

 三 関税定率法第十六条第一項各号(外交官用貨物等の免税)に掲げるもの

 四 関税定率法第十七条第一項第一号又は第四号から第十号まで(再輸出免税)に掲げるもの

2 税関長は、前項第四号の規定により内国消費税を免除する場合において、必要があると認めるときは、その免除に係る内国消費税額に相当する担保を提供させることができる。

3 第一項第二号から第四号までに掲げる物品について関税定率法第十五条第二項(特定用途免税物品の用途外使用の場合の徴収)、第十六条第二項(外交官用等免税物品の用途外使用の場合の徴収)又は第十七条第三項(再輸出免税物品の用途外使用の場合の徴収)の規定により関税を徴収する場合には、当該関税の納税義務者から、直ちにその内国消費税を徴収する。この場含において、同法第十五条第二項ただし書(変質等の場合の軽減)又は第十六条第二項ただし書(減もう等の場合の軽減)の規定により関税を軽減するときは、政令で定めるところにより、これらの規定に準じてその内国消費税を軽減することができる。

 (担保の種類)

第八条 第五条第二項、第六条第三項又は前条第二項の規定により提供する担保の種類は、次に掲げるものとする。

 一 金銭

 二 国債及び地方債

 三 税関長が確実と認める社債(特別の法律により設立された法人が発行する債券を含む。)

 四 税関長が確実と認める保証人の保証

2 前項の担保の提供について必要な事項は、政令で定める。

 (担保の処分等)

第九条 第五条第二項、第六条第三項又は第七条第二項の規定により金銭を担保として提供した納税義務者は、政令で定めるところにより、担保として提供した金銭をもつて内国消費税の納付に充てることができる。

2 第五条第二項、第六条第三項又は第七条第二項の規定により担保を提供した場合において、納税義務者が納期限までに内国消費税を納付しないときは、直ちに、その担保として提供された金銭をもつて内国消費税に充て、若しくは金銭以外の担保物を国税滞納処分の場合の財産の処分の例により処分してその代金をもつて内国消費税及びその処分費に充て、又は保証人にその旨を通知して内国消費税を納付させる。

3 前項の場合において、担保として提供された金銭又は担保物を処分した代金をもつて徴収すべき内国消費税及び処分費に充て、なお不足があるときは、納税義務者の他の財産について滞納処分を行い、また、保証人がその納付すべき内国消費税を完納しないときは、まず納税義務者に対して滞納処分を行い、なお不足があるとき、又は不足があると認めるときは、保証人に対して滞納処分を行う。

4 前項の保証人は、国税徴収法(明治三十年法律第二十一号)第三十二条(財産をかくす等の罪)の規定の適用については、納税者とみなす。

5 国税徴収法第七条ノ四第四項(担保物についての国税の先取権)の規定は、第五条第二項、第六条第三項又は第七条第二項の規定により提供された担保物について準用する。

 (違約品の返送の場合の還付)

第十条 輸入した内国消費税課税物品の品質又は数量等が契約の内容と相違することによりこれを返送のため輸出する場合において、当該物品につき関税定率法第二十条(違約品の返送の場合のもどし税)の規定により関税額に相当する金額を払いもどすこととなるときは、政令で定めるところにより、その内国消費税額に相当する金額を還付することができる。

 (罰則)

第十一条 偽りその他不正の行為により前条の規定による内国消費税額に相当する金額の還付を受けた者は、五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 前項の犯罪に係る還付金相当額の十倍が五十万円をこえるときは、情状により、同項の罰金は、五十万円をこえ当該相当額の十倍以下とすることができる。

第十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。

 (犯則事件の調査及び処分)

第十三条 内国消費税課税物品の輸入に係る内国消費税の犯則事件の調査及び処分については、税関長又は税関職員を国税局長若しくは税務署長又は収税官吏とみなして、国税犯則取締法の規定(同法第十一条(事物管轄)及び第十二条第一項(土地管轄)の規定を除く。)を適用する。

2 国税犯則取締法第十一条第五項(先着手した収税官吏ヘの引継)の規定は、前項の犯則事件を国税庁、国税局又は税務署の収税官吏及び税関職員が発見した場合について準用する。この場合において、「所轄税務署ノ収税官吏」とあるのは「所轄税務署ノ収税官吏(税関職員ガ最初ニ発見シタルトキハ当該発見地又ハ犯則物件ノ輸入地所轄税関ノ税関職員)」と、「所轄国税局ノ収税官吏」とあるのは「所轄国税局ノ収税官吏(税関職員ガ最初ニ発見シタルトキハ当該発見地又ハ犯則物件ノ輸入地所轄税関ノ税関職員)」と読み替えるものとする。

   附 則

1 この法律は、昭和三十年七月一日から施行する。

2 酒税等ノ徴収ニ関スル法律(明治四十四年法律第四十五号)は、廃止する。

3 この法律の施行前に課した、又は課すべきであつた内国消費税については、なお従前の例による。

4 旧酒税等ノ徴収ニ関スル法律第二条の規定の適用を受けた運送及び同条の規定により提供された担保は、第五条第一項の規定の適用を受けた運送及び同条第二項の規定により提供された担保とみなす。

5 第六条第二項の規定は、この法律の施行後に関税法第七十三条第一項の規定により引き取る内国消費税課税物品(物品税法第一条に規定する物品を除く。)について適用する。

6 物品税法の一部を次のように改正する。

  第十条第四項を削る。

  第十条ノ二第一項中「又ハ第四項」及び「又ハ輸入ノ許可ヲ受ケタル際」を削り、同条第二項中「又ハ第四項」を削る。

7 前項の規定による改正前の物品税法第十条第四項の規定により提供された担保は、第六条第三項の規定により提供されたものとみなす。

8 酒税法の一部を次のように改正する。

  第四十五条中「又はこうじ」を「若しくはこうじ又は輸入したこれらのもので関税法第六十七条の規定による輸入の許可を受けないもの」に改める。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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