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法律第百七号(昭三二・五・一七)

  ◎国有財産法の一部を改正する法律

 国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第四章 台帳、報告書及び計算書」を

第三章の二 立入及び境界確定

第四章 台帳、報告書及び計算書

に改める。

 第二章中第九条の次に次の五条を加える。

 (国有財産審議会)

第九条の二 大蔵省に国有財産中央審議会(以下「中央審議会」という。)を、財務局ごとに国有財産地方審議会(以下「地方審議会」という。)を置く。

第九条の三 中央審議会は、大蔵大臣の諮問に応じ、国有財産の管理及び処分に関する基本方針その他国有財産に関する重要事項を調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議する。

2 地方審議会は、財務局長の諮問に応じ、国有財産の管理及び処分について調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を財務局長に建議する。

3 地方審議会は、前項に規定するもののほか、第三十一条の四第三項の規定により諮問される事項を調査審議する。

第九条の四 中央審議会及び地方審議会は、それぞれ委員三十人以内で組織する。

2 特別の事項を調査審議するために必要があるときは、中央審議会又は地方審議会に臨時委員を置くことができる。

3 中央審議会又は地方審議会の委員及び臨時委員は、関係行政機関又は地方公共団体の職員及び学識経験のある者のうちから、それぞれ大蔵大臣又は財務局長が任命する。

4 中央審議会及び地方審議会にそれぞれ会長を置き、委員の互選によつて定める。ただし、関係行政機関又は地方公共団体の職員は、会長となることができない。

5 学識経験のある者のうちから任命された中央審議会又は地方審議会の委員の任期は、二年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 中央審議会又は地方審議会の委員及び臨時委員は、再任されることができる。

7 中央審議会又は地方審議会の委員及び臨時委員は、非常勤とする。

第九条の五 第三十一条の四第三項の規定により諮問される事項を調査審議するため、地方審議会に境界査定部会を置く。

2 境界査定部会は、学識経験のある者のうちから任命された地方審議会の委員五人以内で組織する。

3 地方審議会は、境界査定部会の議決をもつてその議決とすることができる。

第九条の六 前二条に定めるもののほか、中央審議会及び地方審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

 第十一条の次に次の一条を加える。

第十一条の二 各省各庁の長は、その所管に属する普通財産について、毎会計年度、政令で定めるところにより、その管理及び処分に関する計画を定め、前年度末までに、これを大蔵大臣に通知しなければならない。

2 各省各庁の長は、前項の計画を著しく変更する必要があると認めるときは、そのつど、その変更に係る計画を大蔵大臣に通知しなければならない。

 第十四条に次の一号を加える。

 七 行政財産を国以外の者に使用させ、又は収益させようとするとき。

 第三章の次に次の一章を加える。

   第三章の二 立入及び境界確定

 (他人の土地への立入)

第三十一条の二 各省各庁の長は、その所管に属する国有財産の調査又は測量を行うためやむを得ない必要があるときは、その所属の職員を他人の占有する土地に立ち入らせることができる。

2 各省各庁の長は、前項の規定によりその職員を他人の占有する土地に立ち入らせようとするときは、あらかじめその占有者にその旨を通知しなければならない。この場合において、通知を受けるべき者の所在が知れないときは、当該通知の内容を公告して、これに代えることができる。

3 第一項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとする者は、立入の際あらかじめその旨を当該土地の占有者に告げなければならない。

4 第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

5 各省各庁の長は、第一項の規定による立入により損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

6 前項の規定により補償を受けることのできる者がその金額の決定について不服があるときは、その金額の決定の通知を受けた日から三月以内に訴をもつて補償金額の増加を請求することができる。

 (境界確定の協議)

第三十一条の三 各省各庁の長は、その所管に属する国有財産の境界が明らかでないためその管理に支障がある場合には、隣接地の所有者に対し、立会場所、期日その他必要な事項を通知して、境界を確定するための協議を求めることができる。

2 前項の規定により協議を求められた隣接地の所有者は、やむを得ない場合を除き、同項の通知に従い、その場所に立ち会つて境界の確定につき協議しなければならない。

3 第一項の協議がととのつた場合には、各省各庁の長及び隣接地の所有者は、書面により、確定された境界を明らかにしなければならない。

4 第一項の協議がととのわない場合には、境界を確定するためにいかなる行政上の処分も行われてはならない。

 (境界の決定)

第三十一条の四 各省各庁の長は、前条第一項の規定により協議を求めた隣接地の所有者が立ち会わないため協議することができないときは、当該隣接地の所在する市町村の職員の立会を求めて、境界を定めるための調査を行うものとする。ただし、当該隣接地の所有者が正当な理由により立ち会うことができない場合において、その旨をあらかじめ当該各省各庁の長に通知したときは、この限りでない。

2 各省各庁の長は、前項の調査に基いてその調査に係る境界を定めることができる。

3 各省各庁の長は、前項の規定により境界を定めようとするときは、当該境界の存する地域を管轄する財務局に置かれた地方審議会に諮問し、その意見に基いて、これを定めなければならない。

4 地方審議会は、前項の諮問に係る事案を調査審議する際、当該事案に係る隣接地の所有者及び当該隣接地の知れたその他の権利者に対して意見を述べる機会を与えなければならない。

5 各省各庁の長は、第二項の規定により境界を定めた場合には、当該境界及びこれを定めた経過を当該隣接地の所有者及び当該隣接地の知れたその他の権利者に通知するとともにこれを公告しなければならない。この場合において、当該通知及び公告には、次条第一項の期間内に同項の規定による通告がないときは、境界の確定に関し、当該隣接地の所有者の同意があつたものとみなされる旨を附記しなければならない。

第三十一条の五 隣接地の所有者その他の権利者は、前条の規定により各省各庁の長が定めた境界に異議がある場合には、同条第五項の公告のあつた日から起算して六十日以内に、理由を附して、当該各省各庁の長に対し、その定めた境界に同意しない旨を通告することができる。

2 前項の期間内に前条第五項の通知を受けた隣接地の所有者から前項の規定による通告がなかつた場合には、当該期間満了の時に、境界の確定に関し、その者の同意があつたものとみなす。ただし、同項の期間内に当該隣接地のその他の権利者から同項の規定による通告があつたときは、この限りでない。

3 前項の規定により同意があつたものとみなされる場合には、各省各庁の長は、すみやかに、境界が確定した旨を当該隣接地の所有者及び当該隣接地の知れたその他の権利者に通知するとともにこれを公告しなければならない。

4 第三十一条の三第四項の規定は、第一項の期間内に同項の通告があつた場合について準用する。

 第三十四条第二項中「各省各庁の国有財産増減及び現在額報告書」を「国有財産の増減及び現在額に関する説明書」に改める。

 第三十七条第二項中「各省各庁の国有財産無償貸付状況報告書」を「国有財産の無償貸付状況に関する説明書」に改める。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 改正後の国有財産法第十一条の二第一項の規定による普通財産の管理及び処分に関する計画の通知の期限は、昭和三十二年度分に限り、同項の規定にかかわらず、昭和三十二年五月三十一日とする。

3 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第十七条第一項の表中資産再評価審議会の項の次に次のように加える。

国有財産中央審議会

大蔵大臣の諮問に応じて、国有財産の管理及び処分に関する基本方針その他国有財産に関する重要事項を調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を大蔵大臣に建議すること。

 第二十一条の次に次の一条を加える。

 (附属機関)

第二十一条の二 国有財産地方審議会は、財務局の附属機関として置かれるものとし、その設置の目的は、財務局長の諮問に応じて国有財産の管理及び処分につき調査審議し、並びにこれに関し必要と認める事項を財務局長に建議するほか、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第三十一条の四第三項の規定により諮問される事項を調査審議することとする。

4 国有林野法(昭和二十六年法律第二百四十六号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第二章 境界の確定(第三条―第六条)」を「第二章 削除」に改める。

 第二章を次のように改める。

   第二章 削除

 第三条から第六条まで 削除

5 この法律の施行前に前項の規定による改正前の国有林野法第三条から第六条までの規定に基いてした手続その他の行為は、この法律による改正後の国有財産法第三十一条の三から第三十一条の五までの相当規定に基いてした手続その他の行為とみなす。

(大蔵・農林・内閣総理大臣署名) 

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