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法律第二十号(昭三三・三・二七)

  ◎国立競技場法

目次

 第一章 総則(第一条―第七条)

 第二章 役員及び職員(第八条―第十五条)

 第三章 評議員会(第十六条・第十七条)

 第四章 業務(第十八条・第十九条)

 第五章 財務及び会計(第二十条―第二十九条)

 第六章 監督(第三十条・第三十一条)

 第七章 雑則(第三十二条・第三十三条)

 第八章 罰則(第三十四条―第三十七条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 国立競技場は、その設置する体育施設を適切かつ効率的に運営し、体育の普及振興を図り、もつて国民の心身の健全な発達に寄与することを目的とする。

 (法人格)

第二条 国立競技場(以下「競技場」という。)は、法人とする。

 (事務所)

第三条 競技場の事務所は、東京都に置く。

 (資本金)

第四条 競技場の資本金は、競技場の設立の際現に国の有する別表に掲げる不動産及び政令で定めるその他の財産の価格の合計額に相当する金額とし、政府がその全額を出資する。

2 政府は、必要があると認めるときは、競技場に追加して出資することができる。この場合において、競技場は、その出資額により資本金を増加するものとする。

3 政府は、前項の規定により競技場に出資するときは、金銭以外の財産を出資の目的とすることができる。

4 政府が出資の目的とする金銭以外の財産の価格は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価格とする。

5 評価委員その他前項に規定する評価に関し必要な事項は、政令で定める。

 (定款)

第五条 競技場は、定款をもつて次の事項を規定しなければならない。

 一 目的

 二 名称

 三 事務所の所在地

 四 資本金及び資産に関する事項

 五 役員に関する事項

 六 評議員会及び評議員に関する事項

 七 業務及びその執行に関する事項

 八 会計に関する事項

2 定款の変更は、文部大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 (登記)

第六条 競技場は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。

2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (民法の準用)

第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条、第五十条及び第五十四条の規定は、競技場に準用する。

   第二章 役員及び職員

 (役員)

第八条 競技場に、役員として、会長一人、理事長一人、理事三人以内及び監事二人を置く。

 (役員の職務)

第九条 会長は、競技場を代表し、その業務を総理する。

2 理事長は、競技場を代表し、定款で定めるところにより、会長を補佐して競技場の業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。

3 理事は、定款で定めるところにより、会長及び理事長を補佐して競技場の業務を掌理し、会長及び理事長にともに事故があるときはその職務を代理し、会長及び理事長がともに欠員のときはその職務を行う。

4 監事は、競技場の業務を監査する。

 (役員の任命及び任期)

第十条 役員は、文部大臣が任命する。

2 役員の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 役員は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第十一条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。

 一 国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員若しくは地方公共団体の長又は政党の役員

 二 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)

 (役員の解任)

第十二条 文部大臣は、役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。

2 文部大臣は、役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

 二 職務上の義務違反があるとき。

 (役員の兼職禁止等)

第十三条 役員は、他の職業に従事してはならない。ただし、文部大臣が役員としての職務の執行に支障がないものと認めて許可した場合は、この限りでない。

2 前項ただし書の規定による許可を受けた役員及びその役員を役員とする法人は、自己の営業に関し、競技場と取引してはならない。

 (代表権の制限)

第十四条 競技場と会長又は理事長との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が競技場を代表する。

 (職員の任命)

第十五条 競技場の職員は、会長が任命する。

   第三章 評議員会

 (評議員会)

第十六条 競技場に評議員会を置く。

2 評議員会は、二十人以内の評議員をもつて組織する。

3 評議員会は、会長の諮問に応じ、競技場の業務の運営に関する重要事項を審議する。

4 評議員会は、競技場の業務の運営につき、会長に対して意見を述べることができる。

 (評議員)

第十七条 評議員は、競技場の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する者のうちから、文部大臣が任命する。

2 第十条第二項及び第三項並びに第十二条第二項の規定は、評議員について準用する。

   第四章 業務

 (業務)

第十八条 競技場は、第一条の目的を達成するため、次の各号に掲げる業務を行う。

 一 その設置する体育施設及び附属施設を運営すること。

 二 体育に関する内外の資料を収集し、整理し、保存し、及び一般の利用に供すること。

 三 その他その設置する体育施設及び附属施設を利用して、体育の普及振興のため必要な業務を行うこと。

2 競技場は、前項各号に掲げる業務を行うほか、第一条の目的の達成に支障のない限り、その設置する体育施設及び附属施設を一般の利用に供することができる。

 (業務方法書)

第十九条 競技場は、業務方法書を作成し、これに文部省令で定める事項を記載しなければならない。

2 競技場は、業務方法書を変更しようとするときは、文部大臣の認可を受けなければならない。

   第五章 財務及び会計

 (事業年度)

第二十条 競技場の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。

 (予算等の認可)

第二十一条 競技場は、毎事業年度、収入及び支出の予算並びに事業計画及び資金計画を作成し、事業年度開始前に文部大臣の認可を受けなければならない。これに重要な変更を加えようとするときも、同様とする。

 (決算)

第二十二条 競技場は、毎事業年度の決算を翌年度の五月三十一日までに完結しなければならない。

 (財務諸表)

第二十三条 競技場は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、これに予算の区分に従つて作成した当該事業年度の決算報告書を添附し、監事の意見をつけて、決算完結後一月以内に文部大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2 競技場は、前項の規定による文部大臣の承認を受けた財産目録、貸借対照表及び損益計算書を事務所に備えて置かなければならない。

 (利益及び損失の処理)

第二十四条 競技場は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。

2 競技場は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

 (一時借入金)

第二十五条 競技場は、文部大臣の認可を受けて、一時借入金をすることができる。

2 前項の規定による一時借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。

 (余裕金の運用)

第二十六条 競技場は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

 一 国債の取得

 二 銀行その他文部大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金

 (財産の処分等の制限)

第二十七条 競技場は、文部省令で定める重要な財産を譲り受け、譲渡し、又は担保に供しようとするときは、文部大臣の認可を受けなければならない。

 (給与及び退職手当の支給の基準)

第二十八条 競技場は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、又は変更しようとするときは、文部大臣の承認を受けなければならない。

 (文部省令への委任)

第二十九条 この法律及びこれに基く命令に規定するもののほか、競技場の財務及び会計に関し必要な事項は、文部省令で定める。

   第六章 監督

 (監督)

第三十条 競技場は、文部大臣が監督する。

2 文部大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、競技場に対して、その業務に関し、監督上必要な命令をすることができる。

 (報告及び検査)

第三十一条 文部大臣は、必要があると認めるときは、競技場に対して業務及び資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に競技場の事務所若しくはその他の施設に立入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

   第七章 雑則

 (解散)

第三十二条 競技場の解散については、別に法律で定める。

 (大蔵大臣との協議)

第三十三条 文部大臣は、この法律の規定により認可(第五条第二項及び附則第二条第四項の規定による認可を除く。)若しくは承認をしようとするとき、又はこの法律の規定に基き文部省令を定めようとするときは、あらかじめ大蔵大臣と協議しなければならない。

   第八章 罰則

 (収賄等)

第三十四条 競技場の役員又は職員が、その職務に関してわいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、五年以下の懲役に処する。

2 競技場の役員又は職員であつた者がその在職中に請託を受けて職務上不正な行為をし、又は相当の行為をしなかつたことに関しわいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。

3 競技場の役員又は職員がその職務に関し請託を受けて第三者にわいろを供与させ、又はその供与を約束したときは、三年以下の懲役に処する。

4 犯人又は情を知つた第三者の収受したわいろは、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

 (贈賄)

第三十五条 前条第一項から第三項までに掲げる者に対してわいろを供与し、又はその申込若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 (報告義務違反等)

第三十六条 第三十一条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合においては、その違反行為をした競技場の役員又は職員を三万円以下の罰金に処する。

 (過料)

第三十七条 次の各号の一に該当する場合においては、その違反行為をした競技場の役員又は職員を三万円以下の過料に処する。

 一 この法律の規定により文部大臣の許可、認可又は承認を受けなければならない場合において、その許可、認可又は承認を受けなかつたとき。

 二 この法律又はこの法律に基く政令の規定に違反して、登記をすることを怠つたとき。

 三 第十八条に規定する業務以外の業務を行つたとき。

 四 第二十六条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 五 第三十条第二項の規定による文部大臣の命令に違反したとき。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、昭和三十三年四月一日から施行する。ただし、第十一条第二号の規定は同年十月一日から、附則第二条第一項から第七項までの規定は公布の日から施行する。

 (競技場の設立)

第二条 文部大臣は、第十条第一項の例により、会長、理事長、理事又は監事となるべき者を指名する。

2 前項の規定により指名された会長、理事長、理事又は監事となるべき者は、競技場の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ会長、理事長、理事又は監事に任命されたものとする。

3 文部大臣は、設立委員を命じて、競技場の設立に関する事務を処理させる。

4 設立委員は、定款を作成して、文部大臣の認可を受けなければならない。

5 政府は、競技場の設立に際し、第四条第一項に規定する不動産その他の財産を出資するものとする。

6 設立委員は、第四項の規定による認可を受けたときは、政府に対し、出資の目的たる財産の給付を求めなければならない。

7 設立委員は、出資の目的たる財産の給付があつたときは、その事務を第一項の規定により指名された会長となるべき者に引き継がなければならない。

8 第一項の規定により指名された会長となるべき者は、前項の事務の引継を受けた日において、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。

9 競技場は、設立の登記をすることによつて成立する。

 (経過規定)

第三条 競技場は、競技場の成立後遅滞なく、業務方法書を作成し、文部大臣の認可を受けなければならない。

2 競技場の最初の事業年度の収入及び支出の予算並びに事業計画及び資金計画については、第二十一条中「事業年度開始前に」とあるのは、「競技場の成立後遅滞なく」と読み替えるものとする。

 (登録税法の一部改正)

第四条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第十九条第七号中「日本中央競馬会」を「国立競技場、日本中央競馬会」に、「日本中央競馬会法」を「国立競技場法、日本中央競馬会法」に改め、同条に次の一号を加える。

  二十八 国立競技場ガ国立競技場法第十八条ノ業務ノ用ニ供スル建物又ハ土地ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記

 (印紙税法の一部改正)

第五条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。

  第五条第六号ノ二の次に次の一号を加える。

  六ノ二ノ二 国立競技場ノ発スル証書、帳簿

 (所得税法の一部改正)

第六条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第十号中「及び日本中央競馬会」を「、国立競技場及び日本中央競馬会」に改める。

 (法人税法の一部改正)

第七条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三号中「及び日本中央競馬会」を「、国立競技場及び日本中央競馬会」に改める。

 (地方税法の一部改正)

第八条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十二条の四第一項第三号中「及び日本中央競馬会」を「、国立競技場及び日本中央競馬会」に改める。

  第七十三条の四第一項に次の一号を加える。

  十一 国立競技場が直接その業務の用に供する不動産

  第三百四十八条二項に次の一号を加える。

  十八 国立競技場が直接その業務の用に供する固定資産

別表

 一 土地

  東京都新宿区霞ヶ丘町十番地の一 所在

   雑種地    五町八段一歩

  東京都新宿区霞ヶ丘町十番地の二 所在

   雑種地    九段九畝十歩

  東京都新宿区霞ヶ丘町十番地の三 所在

   雑種地    六段四畝二十四歩

  東京都新宿区霞ヶ丘町十番地の四 所在

   雑種地    三畝二十九歩

 二 建物

  東京都新宿区霞ヶ丘町十番地の一

  東京都新宿区霞ヶ丘町十番地の二

  東京都新宿区霞ヶ丘町十番地の三

  東京都新宿区霞ヶ丘町十番地の四 所在

   鉄筋コンクリート造四階建競技場 一棟

    建坪    七千六百六坪九合一勺

    二階    千六百四十九坪八合九勺

    三階    二千三百十坪二合八勺

    四階    四百四十六坪二合八勺

    塔屋    六坪二合六勺

(内閣総理・法務・大蔵・文部大臣署名) 

 

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