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法律第八十一号(昭三四・三・三一)

  ◎塩業整備臨時措置法

 (目的)

第一条 この法律は、塩の需給を調整するため、塩業整理交付金の交付等の措置を講じて塩業の過剰生産力の円滑かつ適正な整理を行い、もつて国内塩業の基盤の強化及び塩専売事業の健全な運営に資することを目的とする。

 (交付金の交付等)

第二条 日本専売公社(以下「公社」という。)は、昭和三十四年四月一日から昭和三十五年三月三十一日までの間に塩専売法(昭和二十四年法律第百十二号)第十二条第一項の許可を申請した同項の製造者で、当該許可を受けて公社の指定する日までに塩又はかん水の製造を廃止したもの(その者が死亡し、又は合併により解散した場合には、その相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人。以下「廃止業者」という。)に対し、塩業整理交付金(以下「交付金」という。)を交付することができる。

2 塩専売法第六条第一項の許可を受けてかん水を製造する者のうち、第六条第一項の規定による製造の許可の取消を受けた者にかん水を供給していたもので、当該取消に伴つてかん水の製造を継続することが困難となつたため同法第十二条第一項の許可の申請をしたものその他政令で定めるものについては、前項の規定にかかわらず、同項の申請の期限は、昭和三十六年一月三十一日とする。

3 公社は、第一項の期間内において、塩専売法第六条第一項の許可を受けて塩又はかん水を製造する者に対し、その者の製造場でその生産能率が著しく劣ると認められるものにつき、同法第十二条第一項の許可の申請をすべき旨の勧告をすることができる。

 (交付金の額)

第三条 交付金の額は、その交付を受けるべき廃止業者につき、その製造の廃止の際に当該製造の用に供されている製塩施設の当該廃止による減価をうめるための費用、当該廃止に伴つて必要とされる退職金を支払うための費用、当該廃止の際に当該製造の用に供されている塩田を他の用途に転用するものとした場合に必要とされる費用その他政令で定める事項についてそれぞれ政令で定める算定基準により算定した金額の合計額とする。

2 前項に規定するもののほか、同項に規定する製塩施設及び塩田の範囲、当該製塩施設の減価の算定方法その他交付金の額の算定に関し必要な事項は、政令で定める。

 (交付金の請求及び交付の手続) 

第四条 第二条第一項の規定により交付金の交付を受けようとする者は、公社に対し、その製造の廃止前に、あらかじめその廃止の日を届け出るとともに、その日から二月以内に、政令で定めるところにより、塩業整理交付金交付請求書(以下「請求書」という。)を提出しなければならない。

2 公社は、特にやむを得ない理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の請求書の提出期限を延期することができる。

3 公社は、請求書が提出されたときは、これを審査し、交付すべきであると認めたときは、その交付すべき交付金の額を決定し、これを当該請求書を提出した者に通知しなければならない。

4 公社は、政令で定めるところにより、交付金を分割して交付することができる。

 (鑑定人)

第五条 公社は、交付金の額の算定に当つては、第三条第一項に規定する製塩施設の減価の算定の基礎となるべき事項について、あらかじめ二人以上の鑑定人の意見を聞かなければならない。

2 鑑定人は、前項に規定する事項に関し専門的知識を有する者のうちから公社の総裁が委嘱する。

 (許可の取消)

第六条 公社は、第一条の目的を達成するため必要があると認めるときは、昭和三十五年四月一日から同年十二月三十一日までの間に限り、塩専売法第十八条の規定にかかわらず、同法第六条第一項の許可を受けて塩を製造する者(以下「塩の製造者」という。)の製造場でその生産能率が著しく劣ると認められるものにつき、臨時塩業整備審議会の意見を聞いて、製造の許可を取り消すことができる。

2 公社は、前項の規定により製造の許可を取り消そうとするときは、あらかじめ当該取消をしようとする者にその旨を通知し、その者又はその代理人の出頭を求めて、公社の指定する職員に聴聞をさせなければならない。

3 公社は、第一項の規定により製造の許可を取り消したときは、直ちに、その旨を当該取消を受けた者に通知しなければならない。

 (損失の補償等)

第七条 公社は、前条第一項の規定による製造の許可の取消によつて生じた損失を当該取消を受けた者に対し補償しなければならない。

2 前項の規定により補償すべき損失は、同項の取消によつて通常生ずべき損失とする。

3 第一項の規定による補償金の額は、公社が臨時塩業整備審議会の意見を聞いて決定し、これを当該取消を受けた者に通知する。

4 第五条の規定は、補償金の額の算定について準用する。この場合において、同条第一項中「第三条第一項に規定する製塩施設の減価」とあるのは、「第七条第一項の製造の許可の取消の際に当該製造の用に供されている製塩施設の当該取消による減価」と読み替えるものとする。

5 補償金の額がその交付を受ける者に第二条第一項の規定による交付金を交付するものとした場合における当該交付金の額に満たないときは、公社は、その者に対し、当該補償金のほか、その満たない額に相当する金額をこえない範囲内において政令で定めるところにより算定した額の塩業整理特別交付金(以下「特別交付金」という。)を交付することができる。

6 特別交付金の額は、公社が決定し、これを第三項の通知にあわせて通知する。

7 第四条第四項の規定は、特別交付金について準用する。

 (納付金)

第八条 塩の製造者(塩専売法第二十条の規定により製造者とみなされる者その他政令で定める者を除く。以下第十一条第一項において同じ。)は、昭和三十五年四月一日から昭和三十九年三月三十一日までの間に公社に納付する塩(同法第十四条第四項の規定により納付があつたものとみなされるものを含み、同法第四十二条第二項の規定の適用を受けて納付するものを除く。以下次項において同じ。)について、一トンにつき二百円をこえない範囲内において政令で定める額の納付金を、その収納代金の支払を受けるつど、公社に納付しなければならない。

2 公社は、前項の納付金を納付すべき者に対して支払う塩の収納代金から、支払のつど、当該塩に係る納付金に相当する金額を控除することができる。

3 第一項の規定により納付金を納付した者が廃止業者に該当することとなり、又は第六条第一項の規定により製造の許可を取り消された場合には、公社は、その者に対し、その既納の納付金の額に相当する金額を還付するものとする。

 (異議の申立)

第九条 この法律の規定に基く公社の処分に対し異議のある者は、その処分の通知を受けた日(その通知がないときは、その処分があつたことを知つた日)から三十日以内に、書面で、公社の総裁に異議の申立をすることができる。

2 公社の総裁は、特にやむを得ない理由があると認めるときは、前項の期間が経過した後においても、異議の申立を受理することができる。

3 公社の総裁は、異議の申立に対する決定をしたときは、その理由を附した書面により、その異議の申立をした者に通知しなければならない。

4 前三項に規定するもののほか、異議の申立、審査及び決定の手続について必要な事項は、政令で定める。

 (課税の特例)

第十条 廃止業者が交付を受ける交付金(当該交付金の交付の目的に応じその者を通じて他の者が支払を受けるものを含む。)のうち、第三条第一項に規定する製塩施設の減価をうめるための費用に対応する部分の金額に対する所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)及び法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の規定の適用については、政令で定めるところにより、当該金額のうち、当該製塩施設の取得価額又は帳簿価額を減額すべき額として政令で定める金額は、その交付又は支払を受ける日の属する年分又は事業年度分の所得の計算上、総収入金額又は益金に算入しない。この場合において、当該製塩施設は、その交付又は支払を受ける日において、その処分見込価額として政令で定める金額をもつて取得されたものとみなす。

2 前項の交付金のうち、第三条第一項に規定する塩田を他の用途に転用するものとした場合に必要とされる費用に対応する部分の金額に対する所得税法及び法人税法の規定の適用については、政令で定めるところにより、当該金額のうち、その交付又は支払を受けた日以後二年以内に政令で定める資本的支出に充てた金額は、総収入金額又は益金に算入しない。この場合において、当該金額を支出した資産については、当該金額に相当する金額の取得価額がなかつたものとみなす。

3 第一項の交付金の交付又は支払を受ける者が個人である場合には、当該交付金のうち、前項に規定する費用に対応する部分の金額で同項に規定する資本的支出に充てられなかつたものは、政令で定めるところにより、所得税法第九条第一項第九号に規定する総収入金額とみなして、同項の規定により計算した同号に規定する所得の金額を総所得金額に算入する。

4 前三項の規定は、第六条第一項の規定による製造の許可の取消を受けた者が第七条の規定により受ける補償金及び特別交付金(当該補償金及び特別交付金の交付の目的に応じその者を通じて他の者が支払を受けるものを含む。)のうちに第一項又は第二項に規定する費用に対応する部分の金額に準ずる金額がある場合における当該金額に対する所得税法及び法人税法の規定の適用について準用する。

5 前各項に規定するもののほか、第一項の交付金並びに前項の補償金及び特別交付金に係る所得の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

 (事業合理化計画書)

第十一条 昭和三十六年一月一日以降引き続いて塩を製造しようとする塩の製造者は、公社の定めるところにより、事業合理化計画書を作成して、これを公社に提出しなければならない。

2 前項の事業合理化計画書は、政令で定める基準価格により塩の収納代金を受けるものとした場合に昭和三十七年において健全な経営をすることができることを目標として、作成するものとする。

 (臨時塩業整備審議会)

第十二条 公社に臨時塩業整備審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、公社の総裁の諮問に応じ、第六条第一項の規定による製造の許可の取消、第七条第一項の規定による補償金の額その他塩業の整備に関する重要事項を調査審議する。

3 審議会は、委員七人以内で組織する。

4 委員は、学識経験のある者のうちから公社の総裁が委嘱する。

5 委員は、非常勤とする。

6 前各項に規定するもののほか、審議会の組識及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

 (省令への委任)

第十三条 この法律に特別の規定があるもののほか、この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、大蔵省令で定める。

   附 則

1 この法律は、昭和三十四年四月一日から施行する。

2 日本専売公社法(昭和二十三年法律第二百五十五号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「及びたばこ耕作組合法(昭和三十三年法律第百三十五号)」を「、たばこ耕作組合法(昭和三十三年法律第百三十五号)及び塩業整備臨時措置法(昭和三十四年法律第八十一号)」に改める。

  第二十七条第一項第七号中「及びたばこ耕作組合法」を「、たばこ耕作組合法及び塩業整備臨時措置法」に改める。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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