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法律第九十三号(昭三四・四・一)

  ◎臨時てん菜糖製造業者納付金法

 (目的)

第一条 この法律は、てん菜生産振興臨時措置法(昭和二十八年法律第二号)の施行前の設置に係るてん菜糖の製造場につきてん菜糖の製造を業とする者について、同法によるてん菜糖の政府買入制度のもとにおいては、その買入の価格がその生産費を基準として定められることとなつているため他のてん菜糖製造業者に比較して多額の利益金を生ずることがなかつたが、関税法率法の一部を改正する法律(昭和三十四年法律第五十六号)による砂糖の関税率の引上げの措置及び砂糖消費税法の一部を改正する法律(昭和三十四年法律第五十五号)による砂糖消費税の税率の引下げの措置の実施後においては、これらの措置により当該製造場に係る償却費に関する負担の寡少等による低額の生産費に応じ他のてん菜糖製造業者に比較して特別の利益金を生ずることとなり、これを放置すれば、てん菜の生産の現状とてん菜糖工業の特殊性から、てん菜糖製造業者間における公正な競争の基礎が失われると認められることにかんがみ、これらの法律に係る措置によつて当該てん菜糖製造業者に生ずる利益の調整を図り、もつててん菜の生産の振興とてん菜糖工業の健全な発展に資することを目的とする。

 (納付金を納める義務)

第二条 てん菜糖の製造を業とする者で、昭和二十九年から昭和三十三年まで毎年、その製造したてん菜糖の全部又は大部分をてん菜生産振興臨時措置法第四条第一項の規定により政府に買い入れられたものが昭和三十四年一月一日において現にてん菜糖の製造事業の用に供していたてん菜糖の製造場(以下「指定製造場」という。)についててん菜糖の製造を業とする者(以下「特別てん菜糖製造業者」という。)は、指定製造場において製造したてん菜糖を昭和三十四年十月一日から昭和三十九年九月三十日までの期間内において当該指定製造場から移出したときは、その移出したてん菜糖につき、その重量に応じて、一キログラム当り六円の割合で計算した金額を納付金として政府に納めなければならない。

2 農林大臣は、指定製造場の位置その他必要な事項を告示しなければならない。

 (みなし移出)

第三条 昭和三十九年九月三十日までに指定製造場において製造され、同日までに当該指定製造場から移出されていないてん菜糖については、同日に移出されたものとみなして、この法律の規定を適用する。

 (納付金の軽減又は免除)

第四条 次の各号の一に該当する場合には、農林大臣は、特別てん菜糖製造業者の申請に基き、政令で定めるところにより、第二条第一項の納付金(以下単に「納付金」という。)の額を軽減し、又は免除することができる。

 一 特別てん菜糖製造業者が指定製造場に係る震災、風水害、火災その他の災害により著しい損害を受けたとき。

 二 砂糖の価格の長期にわたる異常な低落その他特別てん菜糖製造業者の責に帰することができない理由によりその者に納付金を納めさせることが適当でないと認められるとき。

 (移出重量等の申告)

第五条 特別てん菜糖製造業者は、指定製造場ごとに、昭和三十五年から昭和三十九年まで、毎年十月十日までに、その日の属する年の前年の十月一日から一年間に当該指定製造場から移出したてん菜糖の重量その他政令で定める事項を記載した申告書を農林大臣に提出しなければならない。

 (移出重量の決定通知)

第六条 前条の申告書を提出すべき者がこれを提出しなかつたとき、又は当該申告書の提出があつた場合において当該申告書に記載された移出に係るてん菜糖の重量が農林大臣において調査したところと異なるときは、農林大臣は、その調査によつてその者の移出に係るてん菜糖の重量を決定し、これを当該申告書を提出すべき者又は当該申告書を提出した者に通知する。

 (納付金の徴収)

第七条 納付金は、昭和三十五年から昭和三十九年まで、毎年十月三十一日を納期限として、農林大臣が、その納期限の属する年の前年の十月一日から一年間に指定製造場から移出したてん菜糖に係る分を徴収する。

 (徴収猶予)

第八条 農林大臣は、特別てん菜糖製造業者が指定製造場に係る震災、風水害、火災その他の災害により損害を受けた場合、砂糖の価格が長期にわたり政令で定める価格水準より低落した場合その他政令で定めるやむを得ない理由がある場合において、特別てん菜糖製造業者が納付金を一時に納めることが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、その納めることが困難であると認められる金額を限度として、その者の申請に基き、三年以内の期間を限り、その徴収を猶予することができる。

2 農林大臣は、前項の規定により徴収を猶予した場合において、その猶予した期間内にその猶予した金額を納めることができないやむを得ない理由があると認めるときは、特別てん菜糖製造業者の申請に基き、その期間を延長することができる。ただし、その期間は、同項の期間とあわせて五年をこえることができない。

 (督促等)

第九条 農林大臣は、特別てん菜糖製造業者が納付金をその納期限までに納めないときは、期限を指定してその納付を督促しなければならない。

2 前項の規定による督促は、督促状によつて行うものとする。この場合において、督促状により指定すベき同項の期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。

3 第一項の規定による督促は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。

第十条 農林大臣は、前条第一項の規定による督促を受けた特別てん菜糖製造業者が、同項の規定により指定された期限までに納付金及び次条第一項の延滞金を納めないときは、国税滞納処分の例により、これを処分する。

第十一条 農林大臣は、第九条第一項の規定による督促をしたときは、その滞納に係る納付金の金額百円につき一日三銭の割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。

2 農林大臣は、前項の延滞金のうち、第八条の規定により徴収の猶予をした期間に対応する部分の額を免除することができる。

第十二条 第十条の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税につぐものとする。

 (報告の徴取等)

第十三条 農林大臣は、この法律を施行するため必要があるときは、特別てん菜糖製造業者に対し、業務及び財産の状況に関し報告を求め、又はその職員に、特別てん菜糖製造業者の事務所若しくは事業所に立ち入り、特別てん菜糖製造業者に対し質問させ、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により職員が立ち入り、質問し、又は検査する場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入、質問及び検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (罰則)

第十四条 第五条の規定による申告書の提出を怠り、又は虚偽の申告書を提出した者は、十万円以下の罰金に処する。

第十五条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金又は科料に処する。

 一 第十三条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 二 第十三条第一項の規定による職員の質問に対し、答弁をせず、又は虚偽の答弁をした者

 三 第十三条第一項の規定による帳簿、書類その他の物件の検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

 (両罰規定)

第十六条 特別てん菜糖製造業者の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が当該特別てん菜糖製造業者の業務又は財産に関し、前二条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、当該特別てん菜糖製造業者に対しても、各本条の刑を科する。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

(大蔵・農林・内閣総理大臣署名) 

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