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法律第五十号(昭三六・三・三一)

  ◎核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第六章 核燃料物質の使用等に関する規制(第五十二条―第六十一条)」を

第六章 核燃料物質の使用等に関する規制(第五十二条―第六十一条)

第六章の二 国際規制物資の使用に関する規制(第六十一条の二―第六十一条の八)

に改める。

 第一条中「必要な規制を行う」の下に「ほか、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束を実施するために、国際規制物資の使用に関して必要な規制を行なう」を加える。

 第二条に次の二項を加える。

8 この法律において「国際規制物資」とは、原子力の研究、開発及び利用に関する条約その他の国際約束(以下単に「国際約束」という。)に基づく保障措置の適用その他の規制を受ける核原料物質、核燃料物質、原子炉その他の資材又は設備をいう。

9 前項の国際規制物資は、内閣総理大臣が告示する。

 第十条第二項第四号及び第二十条第二項第四号中「第六十二条第一項」の下に「又は第二項」を加える。

 第二十九条の次に次の一条を加える。

 (定期検査)

第二十九条の二 日本原子力研究所及び原子炉設置者は、原子炉施設のうち政令で定めるものの性能について、内閣総理大臣が毎年一回定期に行なう検査を受けなければならない。

2 前項の検査は、その原子炉施設の性能が総理府令で定める技術上の基準に適合しているかどうかについて行なう。

 第三十条中「原子炉の運転計画」を「原子炉(政令で定める原子炉を除く。)の運転計画」に改める。

 第三十三条第二項第六号中「第六十二条第一項」の下に「又は第二項」を加える。

 第三十六条中「内閣総理大臣は、」の下に「原子炉施設の性能が第二十九条の二第二項の技術上の基準に適合していないと認めるとき、又は」を加え、「若しくは原子炉の運転又は」を「原子炉の運転若しくは」に改める。

 第五十三条第三号中「廃棄施設」の下に「(以下「使用施設等」という。)」を加え、同条第四号を次のように改める。

 四 核燃料物質の使用を適確に行なうに足りる技術的能力があること。

 第五十五条の次に次の一条を加える。

 (施設検査)

第五十五条の二 使用者は、総理府令で定めるところにより、政令で定める核燃料物質の使用施設等の工事について内閣総理大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、当該使用施設等を使用してはならない。その使用施設を変更する場合における当該使用施設等についても、同様とする。

2 前項の検査においては、その使用施設等の工事が総理府令で定める技術上の基準に適合しているときは、合格とする。

 第五十六条第二号中「前条」を「第五十五条」に改め、同条第四号中「第六十二条第一項」の下に「又は第二項」を加え、同号を同条第五号とし、同条第三号中「次条」を「第五十七条」に改め、同号を同条第四号とし、同条第二号の次に次の一号を加える。

 三 第五十六条の三第一項若しくは第四項の規定に違反し、又は同条第三項の規定による命令に違反したとき。

 第五十六条の次に次の二条を加える。

 (記録)

第五十六条の二 使用者は、総理府令で定めるところにより、核燃料物質の使用に関し総理府令で定める事項を記録し、これをその工場又は事業所に備えて置かなければならない。

 (保安規定)

第五十六条の三 使用者は、政令で定める核燃料物質を使用する場合においては、総理府令で定めるところにより、保安規定を定め、使用開始前に、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 内閣総理大臣は、保安規定が核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物による災害の防止上十分でないと認めるときは、前項の認可をしてはならない。

3 内閣総理大臣は、核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物による災害の防止のため必要があると認めるときは、使用者に対し、保安規定の変更を命ずることができる。

4 使用者及びその従業者は、保安規定を守らなければならない。

 第六十一条ただし書中「条約その他の」を削り、同条に次の一号を加える。

 十 第六十一条の八の規定による命令により核燃料物質を譲り渡す場合

 第六章の次に次の一章を加える。

   第六章の二 国際規制物資の使用に関する規制

 (使用の許可)

第六十一条の二 国際規制物資を使用しようとする者は、政令で定めるところにより、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。

 一 原子燃料公社及び製錬事業者が国際規制物資を製錬の事業の用に供する場合

 二 原子燃料公社及び加工事業者が国際規制物資を加工の事業の用に供する場合

 三 日本原子力研究所及び原子炉設置者が国際規制物資を原子炉の設置又は運転の用に供する場合

 四 原子燃料公社及び日本原子力研究所が国際規制物資を再処理の事業の用に供する場合(日本原子力研究所にあつては、日本原子力研究所法第二十二条第二項の認可を受けて再処理の事業を行なう場合に限る。)

 五 使用者が国際規制物資を第五十二条第一項の許可を受けた使用の目的に使用する場合

2 前項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 二 使用の目的及び方法

 三 国際規制物資の種類及び数量

 四 使用の場所

 五 予定使用期間

 (許可の欠格条項)

第六十一条の三 次の各号の一に該当する者には、前条第一項の許可を与えない。

 一 第六十一条の五の規定により前条第一項の許可を取り消され、取消しの日から二年を経過していない者

 二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた後、二年を経過していない者

 三 禁治産者

 四 法人であつて、その業務を行なう役員のうちに前各号の一に該当する者のあるもの

 (変更の届出)

第六十一条の四 第六十一条の二第一項の許可を受けた者(以下「国際規制物資使用者」という。)は、同条第二項第二号から第四号までに掲げる事項を変更しようとするときは、総理府令で定めるところにより、あらかじめその旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

2 国際規制物資使用者は、第六十一条の二第二項第一号又は第五号に掲げる事項を変更したときは、変更の日から三十日以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

 (許可の取消し等)

第六十一条の五 内閣総理大臣は、国際規制物資使用者が次の各号の一に該当するときは、第六十一条の二第一項の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて国際規制物資の使用の停止を命ずることができる。

 一 第六十一条の三第二号から第四号までの一に該当するに至つたとき。

 二 前条第一項の規定により届出をしなければならない事項を届出をしないでしたとき。

 三 第六十二条第二項の条件に違反したとき。

 (記録)

第六十一条の六 国際規制物資使用者は、総理府令で定めるところにより、国際規制物資の使用に関し総理府令で定める事項を記録し、これをその工場又は事務所に備えて置かなければならない。

 (使用の届出)

第六十一条の七 次の各号の一に該当するときは、当該各号に規定する者は、総理府令(第一号に該当するときにあつては、総理府令、通商産業省令)で定めるところにより、あらかじめ、その使用する国際規制物資の種類及び数量並びに予定使用期間を内閣総理大臣(第一号に該当するときにあつては、内閣総理大臣及び通商産業大臣)に届け出なければならない。

 一 製錬事業者が国際規制物資を製錬の事業の用に供しようとするとき。

 二 加工事業者が国際規制物資を加工の事業の用に供しようとするとき。

 三 原子炉設置者が国際規制物資を原子炉の設置又は運転の用に供しようとするとき。

 四 使用者が国際規制物資を第五十二条第一項の許可を受けた使用の目的に使用しようとするとき。

 (返還命令等)

第六十一条の八 内閣総理大臣は、次の各号の一に該当するときは、国際規制物資を使用している者に対し、国際規制物資の返還又は譲渡を命ずることができる。

 一 国際約束が停止され、若しくは廃棄され、又は国際約束の期間が満了したとき。

 二 国際約束に基づき国際規制物資の供給当事国政府(国際機関を含む。以下同じ。)が購入優先権を行使したとき。

 第六十二条第一項中「許可には」の下に「、次項に定める場合を除くほか」を加え、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 第三条第一項の指定又は第十三条第一項、第二十三条第一項、第五十二条第一項若しくは第六十一条の二第一項の許可には、国際規制物資の用途又は譲渡の制限その他国際約束を実施するために必要な条件を附することができる。

 第六十五条第一項中「又は使用者が当該許可に係る核燃料物質のすべての使用を廃止し」を「使用者が当該許可に係る核燃料物質のすべての使用を廃止し、又は国際規制物資使用者が当該許可に係る国際規制物資のすべての使用を廃止し」に、「又は使用者は」を「、使用者又は国際規制物資使用者は」に改め、同条第二項中「若しくは第五十二条第一項」を「、第五十二条第一項若しくは第六十一条の二第一項」に改め、同条第四項中「使用者」の下に「又は国際規制物資使用者」を加える。

 第六十六条第一項中「若しくは第五十六条」を「、第五十六条若しくは第六十一条の五」に、「若しくは使用者」を「、使用者若しくは国際規制物資使用者」に、「又は核燃料物質」を「若しくは核燃料物質」に、「廃棄する」を「廃棄し、又は国際規制物資(核燃料物質を除く。)を譲り渡す」に改め、同条第三項中「核燃料物質」の下に「若しくは国際規制物資」を加え、「若しくは使用者」を「、使用者若しくは国際規制物資使用者」に改める。

 第六十七条中「又は使用者」を「、使用者又は国際規制物資使用者」に改める。

 第六十七条の次に次の一条を加える。

 (原子力施設検査官)

第六十七条の二 科学技術庁に、原子力施設検査官を置く。

2 原子力施設検査官は、第二十八条から第二十九条の二まで、第四十六条又は第五十五条の二の検査に関する事務に従事する。

3 原子力施設検査官の定数及び資格に関し必要な事項は、政令で定める。

 第六十八条第一項中「又は使用者」を「、使用者又は国際規制物資使用者」に改め、同条に次の一項を加える。

4 国際規制物資の供給当事国政府の指定する者は、主務大臣の指定するその職員の立会いのもとに、国際約束で定める範囲内において、国際規制物資を使用している者の事務所又は工場若しくは事業所(原子炉を船舶に設置する場合にあつては、その船舶)に立ち入り、その者の帳簿、書類その他必要な物件を検査し、関係者に質問し、又は試験のため必要な最少限度の量に限り、核原料物質、核燃料物質その他の必要な試料を収去することができる。

 第六十九条第一項中「又は第五十六条」を「、第五十六条又は第六十一条の五」に改める。

 第七十一条第一項中「又は第三十九条第一項」を「若しくは第三十九条第一項」に、「処分をする」を「処分をし、又は第六十二条第二項の規定により条件を附する」に改め、同条第四項中「第四十条第二項」の下に「、第六十一条の七」を加える。

 第七十二条中「届出」の下に「(国際規制物資使用者に係る届出を除く。)」を加える。

 第七十三条中「第二十九条」を「第二十九条の二」に改める。

 第七十五条第二号中「又は第五十五条第一項」を「、第五十五条第一項又は第六十一条の二第一項」に改め、同条第四号中「又は第四十六条第一項(第五十一条において準用する場合を含む。)」を、「第四十六条第一項(第五十一条において準用する場合を含む。)又は第五十五条の二第一項」に改める。

 第七十八条中第九号を第十号とし、第八号を第九号とし、第七号の次に次の一号を加える。

 八 第五十五条の二第一項の規定に違反して使用施設等を使用した者

 第七十九条第一号中「又は第五十条第一項(第五十一条において準用する場合を含む。)」を「、第五十条第一項(第五十一条において準用する場合を含む。)又は第五十六条の三第一項」に改め、同条第二号中「又は第五十条第三項(第五十一条において準用する場合を含む。)」を「、第五十条第三項(第五十一条において準用する場合を含む。)又は第五十六条の三第三項」に改め、同条第七号を同条第十号とし、同条第六号中「第六十二条第一項」の下に「又は第二項」を加え、同号を同条第九号とし、同条第五号の次に次の三号を加える。

 六 第六十一条の二第一項の許可を受けないで国際規制物資を使用した者

 七 第六十一条の五の規定による国際規制物資の使用の停止の命令に違反した者

 八 第六十一条の八の規定による命令に違反した者

 第八十条第一号中「又は第四十七条(第五十一条において準用する場合を含む。)」を「、第四十七条(第五十一条において準用する場合を含む。)、第五十六条の二又は第六十一条の六」に改め、同条第四号中「第一項」を「第一項又は第四項」に、「若しくは検査」を「、検査若しくは収去」に改め、同号を同条第六号とし、同条中第三号を第五号とし、第二号を第四号とし、第一号の次に次の二号を加える。

 二 第六十一条の四第一項の規定による届出をしないで第六十一条の二第二項第二号から第四号までに掲げる事項を変更した者

 三 第六十一条の七の規定による届出をしないで国際規制物資を使用した者

 第八十三条中「又は第五十五条第二項」を「、第五十五条第二項又は第六十一条の四第二項」に改める。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「法」という。)第六十七条の次に一条を加える改正規定は、昭和三十六年四月一日から施行する。

2 この法律の施行の際現に使用されている改正後の法(以下「新法」という。)第五十五条の二第一項に規定する使用施設等については、同項前段の規定は、適用しない。

3 この法律の施行の際現に新法第五十六条の三第一項に規定する核燃料物質を使用している使用者について同項の規定を適用する場合には、同項中「使用開始前に」とあるのは、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律(昭和三十六年法律第五十号)の施行の日から起算して三十日以内に」とする。

4 この法律の施行の際現に国際規制物資を使用している者(新法第六十一条の二第一項各号に該当する場合における当該各号に規定する者を除く。)は、この法律の施行の日から起算して六十日間は、新法第六十一条の二第一項の許可を受けないでも、引き続き国際規制物資を使用することができる。その者が、その期間内に同項の許可の申請をした場合において、許可をする旨又は許可をしない旨の通知を受ける日までの期間についても、同様とする。

5 この法律の施行の際現に国際規制物資を使用している新法第六十一条の七各号に規定する者について同条の規定を適用する場合には、同条中「総理府令(第一号に該当するときにあつては、総理府令、通商産業省令)で定めるところにより、あらかじめ」とあるのは、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律の施行の日から起算して六十日以内に」とする。

(内閣総理・通商産業大臣署名) 

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