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法律第百三十四号(昭三七・五・一五)

  ◎不当景品類及び不当表示防止法

 (目的)

第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の特例を定めることにより、公正な競争を確保し、もつて一般消費者の利益を保護することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に附随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、公正取引委員会が指定するものをいう。

2 この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行なう広告その他の表示であつて、公正取引委員会が指定するものをいう。

 (景品類の制限及び禁止)

第三条 公正取引委員会は、不当な顧客の誘引を防止するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。

 (不当な表示の禁止)

第四条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号に掲げる表示をしてはならない。

 一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

 二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示

 三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認めて公正取引委員会が指定するもの

 (公聴会及び告示)

第五条 公正取引委員会は、第二条若しくは前条第三号の規定による指定若しくは第三条の規定による制限若しくは禁止をし、又はこれらの変更若しくは廃止をしようとするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、公聴会を開き、関係事業者及び一般の意見を求めるものとする。

2 前項に規定する指定並びに制限及び禁止並びにこれらの変更及び廃止は、告示によつて行なうものとする。

 (排除命令)

第六条 公正取引委員会は、第三条の規定による制限若しくは禁止又は第四条の規定に違反する行為があるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行なわれることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる。その命令は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、することができる。

2 公正取引委員会は、前項の規定による命令(以下「排除命令」という。)をしようとするときは、当該事業者に対し、あらかじめ期日及び場所を指定して、聴聞をしなければならない。聴聞に際しては、当該事業者に、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。

3 公正取引委員会は、排除命令をしたときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、告示しなければならない。

 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)

第七条 前条第一項に規定する違反行為は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第八条第一項第五号及び第二十五条の規定の適用については同法の不公正な取引方法と、同法第八章第二節(第四十八条の規定を除く。)の規定の適用については同法第十九条に違反する行為とみなす。

2 前条第一項に規定する違反行為についての審決においては、同項前段に規定する事項を命ずることができる。

3 公正取引委員会は、前条第一項に規定する違反行為について審判手続を開始し、又は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第六十七条第一項の申立てをしたときは、当該違反行為について排除命令をすることができない。

 (審判手続等)

第八条 排除命令に不服がある者は、公正取引委員会規則で定めるところにより、第六条第三項の規定による告示があつた日から三十日以内に、公正取引委員会に対し、当該命令に係る行為について、審判手続の開始を請求することができる。

2 公正取引委員会は、前項の規定による請求があつた場合は、遅滞なく、当該行為について審判手続を開始しなければならない。この場合については、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第五十条第四項の規定を適用しない。

3 公正取引委員会は、排除命令に係る行為については、前項に規定する場合を除き、審判手続を開始し、及び前条第三項に規定する申立てをすることができない。

 (排除命令の効力等)

第九条 排除命令(前条第一項の規定による請求があつたものを除く。)は、同項に規定する期間を経過した後は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二十六条及び第九十条第三号の規定の適用については、確定した審決とみなす。

2 前条第一項の規定による請求があつた行為について審決(当該請求を不適法として却下する審決を除く。)をしたときは、当該行為に係る排除命令は、その効力を失なう。

3 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第六十四条及び第六十六条第二項の規定は、排除命令について準用する。

 (公正競争規約)

第十条 事業者又は事業者団体は、公正取引委員会規則で定めるところにより、景品類又は表示に関する事項について、公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し、又は設定することができる。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 公正取引委員会は、前項の協定又は規約(以下「公正競争規約」という。)が次の各号に適合すると認める場合でなければ、前項の認定をしてはならない。

 一 不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するために適切なものであること。

 二 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。

 三 不当に差別的でないこと。

 四 公正競争規約に参加し、又は公正競争規約から脱退することを不当に制限しないこと。

3 公正取引委員会は、第一項の認定を受けた公正競争規約が前項各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、当該認定を取り消さなければならない。この場合については、第六条第二項の規定を準用する。

4 公正取引委員会は、第一項又は前項の規定による処分をしたときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、告示しなければならない。

5 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第四十八条、第四十九条、第六十七条第一項及び第七十三条の規定は、第一項の認定を受けた公正競争規約及びこれに基づいてする事業者又は事業者団体の行為には、適用しない。

6 第一項又は第三項の規定による公正取引委員会の処分について不服があるものは、第四項の規定による告示があつた日から三十日以内に、公正取引委員会に対し、不服の申立てをすることができる。この場合において、公正取引委員会は、審判手続を経て、審決をもつて、当該申立てを却下し、又は当該処分を取り消し、若しくは変更しなければならない。

 (行政不服審査法の適用除外等)

第十一条 この法律の規定により公正取引委員会がした処分については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第   号)による不服申立てをすることができない。

2 第八条第一項の規定による請求又は前条第六項の申立てをすることができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。

   附 則

1 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

2 第二条若しくは第四条第三号の規定による指定又は第三条の規定による制限若しくは禁止に係る公聴会は、この法律の施行の日前においても、行なうことができる。

3 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を次のように改正する。

  第三十五条の四に次の一号を加える。

  六 不当景品類及び不当表示防止法の施行に関すること(他の所掌に属するものを除く。)。

(内閣総理大臣署名) 

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