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法律第百五十号(昭三七・九・六)

  ◎激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助(第三条・第四条)

 第三章 農林水産業に関する特別の助成(第五条―第十一条)

 第四章 中小企業に関する特別の助成(第十二条―第十五条)

 第五章 その他の特別の財政援助及び助成(第十六条―第二十四条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)に規定する著しく激甚である災害が発生した場合における国の地方公共団体に対する特別の財政援助又は被災者に対する特別の助成措置について規定するものとする。

 (激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定)

第二条 国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ、当該災害による地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別の助成を行なうことが特に必要と認められる災害が発生した場合には、当該災害を激甚災害として政令で指定するものとする。

2 前項の指定を行なう場合には、次章以下に定める措置のうち、当該激甚災害に対して適用すべき措置を当該政令で指定しなければならない。

3 前二項の政令の制定又は改正の立案については、内閣総理大臣は、あらかじめ中央防災会議の意見をきかなければならない。

   第二章 公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助

 (特別の財政援助及びその対象となる事業)

第三条 国は、激甚災害に係る次の各号に掲げる事業で、政令で定める基準に該当する都道府県又は市町村(以下「特定地方公共団体」という。)がその費用の全部又は一部を負担するものについて、当該特定地方公共団体の負担を軽減するため、交付金を交付し、又は当該特定地方公共団体の国に対する負担金を減少するものとする。

 一 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)の規定の適用を受ける公共土木施設の災害復旧事業

 二 前号の災害復旧事業の施行のみでは再度災害の防止に十分な効果が期待できないと認められるためこれと合併して行なう公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第三条に掲げる施設で政令で定めるものの新設又は改良に関する事業

 三 公立学校施設災害復旧費国庫負担法(昭和二十八年法律第二百四十七号)の規定の適用を受ける公立学校の施設の災害復旧事業

 四 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第八条第二項の規定の適用を受ける公営住宅又は共同施設の建設又は補修に関する事業

 五 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第四十条又は第四十一条の規定により設置された保護施設の災害復旧事業

 六 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十五条第二項から第四項までの規定により設置された児童福祉施設の災害復旧事業

 七 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第二十七条第二項又は第三項の規定により都道府県又は市町村が設置した身体障害者更生援護施設の災害復旧事業

 八 精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第十九条の規定により都道府県又は市町村が設置した精神薄弱者援護施設の災害復旧事業

 九 売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第三十六条の規定により都道府県が設置した婦人保護施設(市町村又は社会福社法人が設置した婦人保護施設で都道府県から収容保護の委託を受けているものを含む。)の災害復旧事業

 十 伝染病予防法(明治三十年法律第三十六号)第十七条第一項の規定により設置された伝染病院、隔離病舎、隔離所又は消毒所の災害復旧事業

 十一 激甚災害のための伝染病予防法第二十二条の規定による都道府県の支弁又は同法第二十一条若しくは第二十二条の規定による地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の支弁に係る伝染病予防事業及び伝染病予防法第十九条第二項の規定により市長が行なう伝染病予防事業

 十二 激甚災害に伴い発生した土砂等の流入、崩壊等により河川、道路、公園その他の施設で政令で定めるものの区域内に堆積した政令で定める程度に達する異常に多量の泥土、砂礫、岩石、樹木等(以下「堆積土砂」という。)の排除事業で地方公共団体又はその機関が施行するもの(他の法令に国の負担若しくは補助に関し別段の定めがあるもの又は国がその費用の一部を負担し、若しくは補助する災害復旧事業に附随して行なうものを除く。)

 十三 激甚災害に伴い発生した前号に規定する区域外の堆積土砂であつて、市町村長が指定した場所に集積されたもの又は市町村長がこれを放置することが公益上重大な支障があると認めたものについて、市町村が行なう排除事業(他の法令に国の負担又は補助に関し別段の定めがあるものを除く。)

 十四 激甚災害の発生に伴い浸入した水で浸入状態が政令で定める程度に達するもの(以下「湛水」という。)の排除事業で地方公共団体が施行するもの

2 前項第六号に掲げる児童福祉施設の激甚災害に係る災害復旧事業については、児童福祉法第五十六条の二第一項第一号に該当しないもの(地方公共団体が設置したものを除く。)が同項第二号に該当する場合には、当該施設については、同条及び同法第五十六条の三の規定を準用する。

 (特別財政援助額等)

第四条 前条の規定により国が交付し、又は減少する金額の特定地方公共団体ごとの総額(以下この条において「特別財政援助額」という。)は、特定地方公共団体である都道府県にあつては、政令で定めるところにより算出した同条第一項各号に掲げる事業ごとの都道府県の負担額を合算した額を次の各号に定める額に区分して順次に当該各号に定める率を乗じて算定した額を合算した金額とする。

 一 激甚災害が発生した年の四月一日の属する会計年度における当該都道府県の標準税収入(公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法第二条第四項に規定する標準税収入をいい、以下この項において「標準税収入」という。)の百分の十をこえ、百分の五十までに相当する額については、百分の五十

 二 前号に規定する標準税収入の百分の五十をこえ、百分の百までに相当する額については、百分の五十五

 三 第一号に規定する標準税収入の百分の百をこえ、百分の二百までに相当する額については、百分の六十

 四 第一号に規定する標準税収入の百分の二百をこえ、百分の四百までに相当する額については、百分の七十

 五 第一号に規定する標準税収入の百分の四百をこえ、百分の六百までに相当する額については、百分の八十

 六 第一号に規定する標準税収入の百分の六百をこえる額に相当する額については、百分の九十

2 特定地方公共団体である市町村に係る特別財政援助額の算定方法は、前項に規定する算定方法に準じて政令で定める。

3 前二項の特別財政援助額は、政令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事業ごとの特定地方公共団体の負担額に応じ当該各事業ごとに区分して、交付等を行なうものとする。この場合において、事業ごとに区分して交付される交付金は、当該事業についての負担又は補助に係る法令の規定の適用については、当該法令の規定による負担金又は補助金とみなす。

4 前条第一項第十二号から第十四号までに掲げる事業に係る前項による交付金の交付の事務は、政令で定める区分に従つて農林大臣又は建設大臣が行なう。

5 激甚災害に係る前条第一項第五号、第六号及び第九号に掲げる事業のうち、地方公共団体以外の者が設置した施設に係る事業については、国は、政令で定めるところにより、当該施設の設置者に交付すべきものとして、当該施設の災害復旧事業費の十二分の一に相当する額を当該施設の所在する都道府県又は指定都市に交付するものとする。

6 第一項から第三項までの規定により国が交付等を行なう特別財政援助額の交付等の時期その他当該特別財政援助額の交付等に関し必要な事項は、政令で定める。

   第三章 農林水産業に関する特別の助成

 (農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置)

第五条 激甚災害を受けた政令で定める地域における当該激 甚災害に係る農地、農業用施設若しくは林道の災害復旧事業(農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和二十五年法律第百六十九号。以下「暫定措置法」という。)の適用を受ける災害復旧事業をいう。以下この条において同じ。)又は当該農業用施設若しくは林道の災害復旧事業に係る災害関連事業(当該災害復旧事業の施行のみでは再度災害の防止に十分な効果が期待できないと認められるため、これと合併して行なう必要がある農業用施設又は林道の新設又は改良に関する事業をいう。以下この条において同じ。)については、国は、都道府県に対し、災害復旧事業にあつては暫定措置法第三条第一項の規定による補助、災害関連事業にあつては通常の補助のほか、予算の範囲内において、次に掲げる経費を補助することができる。

 一 都道府県が行なう災害復旧事業又は災害関連事業に要する経費の一部

 二 都道府県以外の者の行なう災害復旧事業又は災害関連事業につき、都道府県が当該事業を自ら行なうものとした場合においてこの条の規定により補助を受けるべき額を下らない額による補助をする場合におけるその補助に要する経費(その額をこえて補助する場合には、そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の全部

2 前項第一号の規定により国が行なう補助の額は、当該災害復旧事業又は当該災害関連事業に要する経費の額(災害復旧事業にあつては暫定措置法第三条第一項の規定による補助、災害関連事業にあつては通常の補助の額に相当する部分の額を除く。)のうち政令で定める額に相当する部分の額を政令で定めるところにより区分し、その区分された部分の額にそれぞれ十分の九の範囲内において政令で定める率を乗じて得た額を合算した額とする。

3 前二項の規定により国が補助する額の交付に関し必要な事項は、政令で定める。

 (農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例)

第六条 激甚災害を受けた暫定措置法第二条第四項に規定する共同利用施設のうち、政令で定める地域内の施設については、暫定措置法第二条第六項及び第七項中「十万円」とあるのは「三万円」と、同法第三条第二項第五号中「十分の二」とあるのは「十分の四(当該事業費のうち政令で定める額に相当する部分については、十分の九)」とし、その他の地域内の施設については、同号中「十分の二」とあるのは、「十分の三(当該事業費のうち政令で定める額に相当する部分については、十分の五)」とする。

 (開拓者等の施設の災害復旧事業に対する補助)

第七条 国は、激甚災害を受けた政令で定める地域において、当該激甚災害を受けた次に掲げる施設(暫定措置法第二条第一項に規定する農業用施設又は同条第四項に規定する共同利用施設に該当するものを除く。)の災害復旧事業であつて施設ごとの工事の費用が三万円以上のものに要する経費につき、都道府県が十分の九(第三号に掲げる施設については、十分の九の範囲内で政令で定める率。以下この条において同じ。)を下らない率による補助をする場合には、予算の範囲内において、当該都道府県に対し、その補助に要する経費(都道府県が十分の九をこえる率による補助をする場合には、そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の全部を補助することができる。

 一 開拓者の住宅、農舎その他政令で定める施設

 二 開拓者の共同利用に供する施設で政令で定めるもの

 三 水産動植物の養殖施設で政令で定めるもの

 (天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置の特例)

第八条 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法(昭和三十年法律第百三十六号。以下「天災融資法」という。)第二条第一項の規定による天災が激甚災害として指定された場合における政令で定める都道府県の区域に係る当該天災についての同法の適用については、同法第二条第四項第一号中「十五万円(北海道にあつては二十万円、漁具の購入資金として貸し付けられる場合は一千万円)とあるのは「二十万円(北海道にあつては二十五万円、政令で定める経営資金として貸し付けられる場合は五十万円、漁具の購入資金として貸し付けられる場合は一千万円)」とし、同項第二号中「五年」とあるのは「五年(政令で定める経営資金については七年)」とする。

2 天災融資法第二条第三項の規定による天災が激甚災害として指定された場合における政令で定める都道府県の区域に係る当該天災についての同法の適用については、同法第二条第七項中「五百万円(連合会に貸し付けられる場合は一千万円)」とあるのは、「一千万円(連合会に貸し付けられる場合は一千五百万円)以内で政令で定める額」とする。

 (森林組合等の行なう堆積土砂の排除事業に対する補助)

第九条 国は、激甚災害を受けた政令で定める区域において森林組合その他政令で定める者が施行する政令で定める林業用施設に係る 堆積土砂の排除事業の事業費につき、都道府県が三分の二を下らない率による補助をする場合には、予算の範囲内において、当該都道府県に対し、その補助に要する経費(都道府県が三分の二をこえる率による補助をする場合には、そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の全部を補助することができる。

 (土地改良区等の行なう 堪水排除事業に対する補助)

第十条 国は、激甚災害を受けた政令で定める区域において土地改良区又は土地改良区連合が政令で定めるところにより堪水の排除事業を施行する場合において、その事業費につき、都道府県が十分の九を下らない率による補助をするときは、予算の範囲内において、当該都道府県に対し、その補助に要する経費(都道府県が十分の九をこえる率による補助をする場合には、そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の全部を補助することができる。

 (共同利用小型漁船の建造費の補助)

第十一条 国は、激甚災害に係る小型漁船の被害が著しい政令で定める都道府県が、漁業協同組合の必要とする共同利用小型漁船建造費につき、当該漁業協同組合に対し、三分の二を下らない率による補助をする場合には、予算の範囲内において、当該都道府県に対し、その補助に要する経費(都道府県が三分の二をこえる率による補助をする場合には、そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の二分の一を補助することができる。

2 前項の共同利用小型漁船建造費とは、政令で定める要件に該当する漁業協同組合が、政令で定める小型漁船で激甚災害を受けたもの(沈没、滅失その他政令で定める著しい被害を受けたものに限る。)を激甚災害の発生の際に所有し、かつ、その営む漁業の用に供していた組合員の共同利用に供するため、政令で定めるところにより小型の漁船を建造するために要する経費をいうものとする。

   第四章 中小企業に関する特別の助成

 (中小企業信用保険法による災害関係保証の特例)

第十二条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条第一項の保険関係であつて、災害関係保証(政令で定める日までに行なわれた次の各号に掲げる者の事業(第二号に掲げる者にあつては、その直接又は間接の構成員たる第一号に掲げる者の事業)の再建に必要な資金に係る同項に規定する債務の保証をいう。以下この条において同じ。)を受けた当該各号に掲げる者に係るものについての同法第三条第一項、第五項、第六項及び第七項の規定の適用については、同条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第十二条第一項に規定する災害関係保証(以下この条において「災害関係保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、「その合計額が」とあるのは「災害関係保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第五項中「債務の保証をしたときは」とあるのは「債務の保証をしたときは、災害関係保証及びその他の保証ごとに」と、同条第六項中「当該保証をした」とあるのは「災害関係保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、同条第七項中「債務の保証をした場合において」とあるのは「債務の保証をした場合において、災害関係保証及びその他の保証ごとに」とする。

 一 政令で定める地域内に事業所を有し、かつ、激甚災害を受けた中小企業者及び中小企業等協同組合その他の主として中小規模の事業者を直接又は間接の構成員とする団体

 二 中小企業等協同組合その他の主として中小規模の事業者を直接又は間接の構成員とする団体であつて、その直接又は間接の構成員のうちに前号に掲げる者を含むもの

2 中小企業信用保険法第三条第一項の保険関係であつて、災害関係保証に係るものについての同条第二項及び同法第五条の規定の適用については、これらの規定中「百分の七十」とあるのは、「百分の八十」とする。

 (中小企業振興資金等助成法による貸付金の償還期間の特例)

第十三条 都道府県は、中小企業振興資金等助成法(昭和三十一年法律第百十五号)第三条第一項に規定する貸付けに係る貸付金であつて、激甚災害を受けた者で政令で定めるものが当該災害を受ける以前に貸付けを受けたものについては、同法第五条の規定にかかわらず、その償還期間を二年をこえない範囲内において延長することができる。

 (事業協同組合等の施設の災害復旧事業に対する補助)

第十四条 国は、都道府県が、激甚災害を受けた事業協同組合、事業協同小組合若しくは協同組合連合会又は商工組合若しくは商工組合連合会の倉庫、生産施設、加工施設その他の共同施設であつて政令で定めるものの災害復旧事業に要する経費につき四分の三を下らない率により補助する場合には、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、当該補助に要する経費(都道府県が四分の三をこえる率による補助をする場合には、そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の三分の二を補助することができる。

 (中小企業者に対する資金の融通に関する特例)

第十五条 商工組合中央金庫は、次の各号に掲げる者に対して、その事業(第二号に掲げる者にあつてはその直接又は間接の構成員たる第一号に掲げる者の事業)の再建に必要な資金を政令で定める日までに貸し付ける場合には、第一号に掲げる中小企業者に対する貸付金にあつては一人につき百万円を、同号に掲げる団体に対する貸付金にあつては一団体につき三百万円を、第二号に掲げる団体に対する貸付金にあつてはその直接又は間接の構成員たる第一号に掲げる者(当該貸付金の転貸を受ける者に限る。)一人につき百万円をそれぞれこえない範囲内において政令で定める額を限度として年六分五厘の利率により貸し付けるものとし、国は、必要と認める場合には、政令で定めるところにより、当該貸付けにつき、貸付け後三年間を限り利子補給金を支給する旨の契約を商工組合中央金庫と結ぶことができる。

 一 政令で定める地域内に事業所を有し、かつ、激甚災害を受けた中小企業者及び中小企業等協同組合その他の主として中小規模の事業者を直接又は間接の構成員とする団体で政令で定めるもの

 二 中小企業等協同組合その他の主として中小規模の事業者を直接又は間接の構成員とする団体であつて、その直接又は間接の構成員のうちに前号に掲げる者を含むもの

   第五章 その他の特別の財政援助及び助成

 (公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助)

第十六条 国は、激甚災害を受けた公立の公民館、図書館、体育館その他の社会教育(社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第二条に規定する社会教育をいう。)に関する施設であつて政令で定めるものの建物、建物以外の工作物、土地及び設備(以下次項及び次条において「建物等」という。)の災害の復旧に要する本工事費、附帯工事費(買収その他これに準ずる方法により建物を取得する場合にあつては、買収費)及び設備費(以下次項及び次条において「工事費」と総称する。)並びに事務費について、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その三分の二を補助することができる。

2 前項に規定する工事費は、当該施設の建物等を原形に復旧する(原形に復旧することが不可能な場合において当該建物等の従前の効用を復旧するための施設をすること及び原形に復旧することが著しく困難であるか又は不適当である場合において当該建物等に代わるべき必要な施設をすることを含む。)ものとして算定するものとする。この場合において、設備費の算定については、政令で定める基準によるものとする。

3 国は、政令で定めるところにより、都道府県の教育委員会が文部大臣の委任に基づいて第一項の補助の実施に関する事務を行なうために必要な経費を都道府県に交付するものとする。

 (私立学校施設災害復旧事業に対する補助)

第十七条 国は、激甚災害を受けた私立の学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいう。以下同じ。)の用に供される建物等であつて政令で定めるもの(以下次条において「被災私立学校施設」という。)の災害の復旧に要する工事費及び事務費について、当該私立の学校の設置者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その二分の一を補助することができる。

2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により国が補助する場合について準用する。この場合において、同条第二項中「当該施設の建物等」とあるのは「当該私立の学校の用に供される建物等」と、同条第三項中「都道府県の教育委員会」とあるのは「都道府県知事」とそれぞれ読み替えるものとする。

3 私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第五十九条第三項から第六項までの規定は、第一項の規定により国が補助する場合について準用する。この場合において、同条第三項第三号及び第六項中「役員」とあるのは、学校法人以外の私立の学校の設置者については、「職員」と読み替えるものとする。

 (私立学校振興会の業務の特例)

第十八条 私立学校振興会は、私立学校振興会法(昭和二十七年法律第十一号)第二十二条第一項及び第二項の規定による業務を行なうほか、学校法人(同法附則第十一項の規定により民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人を含むものとされる学校法人をいう。)以外の私立の学校の設置者に対する被災私立学校施設の災害の復旧に必要な資金の貸付業務を行なうことができる。

2 私立学校振興会法第二十五条及び第二十八条の規定は、前項の規定による貸付業務について準用する。

 (市町村が施行する伝染病予防事業に関する負担の特例)

第十九条 特定地方公共団体である市町村(指定都市を除く。)が激甚災害のための伝染病予防事業に関して行なつた伝染病予防法第二十一条の支弁(同条第一項第四号に規定する施設についての災害の復旧に要する費用及び同法第十九条第二項に関する諸費を除く。)については、同法第二十四条中「三分ノ二」とあるのは「全額」と、同法第二十五条第一項中「二分ノ一」とあるのは「三分ノ二」と読み替えて、それぞれ同法第二十四条又は第二十五条第一項の規定を適用する。

 (母子福祉資金に関する国の貸付けの特例)

第二十条 特定地方公共団体である都道府県(指定都市を含む。以下この条において同じ。)に対し、国が母子福祉資金の貸付等に関する法律(昭和二十七年法律第三百五十号。以下この条において「貸付法」という。)によつて貸し付ける金額は、激甚災害を受けた会計年度(以下この条において「被災年度」という。)及びその翌年度に限り、同法第十三条第一項の規定にかかわらず、同項の規定によつて貸し付けるものとされる金額と、当該都道府県が当該災害による被害を受けた者(以下この条において「被災者」という。)に対する貸付金の財源として特別会計に繰り入れる金額との合計額に相当する金額とする。

2 前項の都道府県が被災年度の翌年度の末日までに被災者に対し貸し付けた金額が、当該都道府県が被災年度及びその翌年度において被災者に対する貸付金の財源として特別会計に繰り入れた金額の四倍に相当する金額に満たないこととなつた場合には、当該都道府県は、被災年度の翌翌年度において、その満たない額の八分の一に相当する金額を特別会計に繰り入れ、又はその満たない額の四分の一に相当する金額を国に償還しなければならない。

3 前項の規定により都道府県が特別会計に繰り入れなければならない金額については、貸付法第十三条第一項の規定は、適用しない。

 (水防資材費の補助の特例)

第二十一条 激甚災害であつて政令で定める地域に発生したものに関し、都道府県又は水防法(昭和二十四年法律第百九十三号)第二条第一項に規定する水防管理団体が水防のため使用した資材に関する費用で政令で定めるものについては、国は、予算の範囲内において、その費用の三分の二を補助することができる。

 (罹災者公営住宅建設事業に対する補助の特例)

第二十二条 国は、地方公共団体が激甚災害を受けた政令で定める地域にあつた住宅であつて当該激甚災害により滅失したものにその災害の当時居住していた者に賃貸するため第二種公営住宅を建設する場合には、公営住宅法第八条第一項の規定にかかわらず、予算の範囲内において、その費用の四分の三を補助することができる。ただし、当該災害により滅失した住宅の戸数の五割に相当する戸数をこえる分については、この限りでない。

2 前項の規定による第二種公営住宅の建設に要する費用についての国の補助金額の算定については、公営住宅法第七条第三項の規定を準用する。

 (産業労働者住宅建設資金融通の特例)

第二十三条 住宅金融公庫は、激甚災害を受けた政令で定める地域にあつた産業労働者住宅その他の住宅であつて当該激 甚災害により滅失したものにその災害の当時居住していた産業労働者の居住の用に供するため政令で定める日から二年以内に住宅を建設しようとする事業者で、主務大臣の定める条件に該当し、かつ、当該激 甚災害により産業労働者住宅又は事業場に著しい損害を受けたものに対し、産業労働者住宅資金融通法(昭和二十八年法律第六十三号)第七条の規定により必要な資金を貸し付ける場合において、当該事業者が当該災害のため同法第九条第一項の償還期間内に償還することが困難な状況にあると認めるときは、同項の規定にかかわらず、同項の規定による償還期間(すえおき期間を含む。)を三年以内延長し、かつ、貸付けの日から起算して三年以内のすえおき期間を設けることができる。

 (公共土木施設、農地及び農業用施設等小災害に係る地方債の元利補給等)

第二十四条 激甚災害を受けた地方公共団体が政令で定める地域において施行する当該災害によつて必要を生じた公共土木施設及び公立学校施設に係る災害復旧事業のうち、公共土木施設に係るものについては、一箇所の工事の費用が都道府県及び指定都市にあつては十万円以上十五万円未満、その他の市町村にあつては五万円以上十万円未満のもの、公立学校施設に係るものについては、一学校ごとの工事の費用が十万円をこえるもの(公立学校施設災害復旧費国庫負担法第三条の規定による国の負担のないものに限る。)の費用に充てるため発行が許可された地方債については、国は、毎会計年度、当該年度分の元利償還金のうち政令で定める額に相当する金額の地方債元利補給金を当該地方公共団体に交付するものとする。

2 激甚災害を受けた地域で農地その他の農林水産業施設に係る被害の著しいものを包括する市町村のうち政令で定めるもの(以下この項において「被災市町村」という。)が施行する農地、農業用施設又は林道に係る災害復旧事業のうち、一箇所の工事の費用が三万円以上十万円未満のものの事業費に充てるため、農地に係るものにあつては当該事業費の百分の五十、農業用施設又は林道に係るものにあつては当該事業費の百分の六十五に相当する額の範囲内(被災市町村の区域のうち政令で定めるところにより特に被害の著しい地域とされる地域にあつては、当該事業費のうち政令で定める部分については百分の九十の範囲内において政令で定める率に相当する額の範囲内)で発行が許可された地方債については、国は、毎会計年度、当該年度分の元利償還金のうち政令で定める額に相当する額の地方債元利補給金を当該市町村に交付するものとする。

3 前二項の地方債は、資金事情の許す限り、国が、資金運用部資金又は簡易生命保険及郵便年金特別会計の積立金(以下次項において「政府資金」という。)をもつてその全額を引き受けるものとする。

4 第一項又は第二項に規定する地方債を政府資金で引き受けた場合における当該地方債の利息の定率及び償還の方法並びにこれらの規定による地方債元利補給金の交付に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十七年四月一日以後に発生した災害について適用する。

(内閣総理・大蔵・文部・厚生・農林・通商産業・運輸・建設・自治大臣署名) 

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