衆議院

メインへスキップ



法律第百二十五号(昭三八・七・九)

  ◎商業登記法

目次

 第一章 登記所及び登記官(第一条―第五条)

 第二章 登記簿等(第六条―第十三条)

 第三章 登記手続

  第一節 通則(第十四条―第二十六条)

  第二節 商号の登記(第二十七条―第四十二条)

  第三節 未成年者及び後見人の登記(第四十三条―第五十条)

  第四節 支配人の登記(第五十一条―第五十三条)

  第五節 合名会社の登記(第五十四条―第七十三条)

  第六節 合資会社の登記(第七十四条―第七十八条)

  第七節 株式会社の登記(第七十九条―第九十三条)

  第八節 有限会社の登記(第九十四条―第百二条)

  第九節 外国会社の登記(第百三条―第百六条)

  第十節 登記の更正及び抹消(第百七条―第百十三条)

 第四章 雑則(第百十四条―第百二十条)

 附則

   第一章 登記所及び登記官

 (管轄登記所)

第一条 商業登記の事務は、当事者の営業所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所が、管轄登記所としてつかさどる。

 (事務の委任)

第二条 法務大臣は、一の登記所の管轄に属する事務を他の登記所に委任することができる。

 (事務の停止)

第三条 登記所においてその事務を停止しなければならない事故が生じたときは、法務大臣は、期間を定めて、その停止を命ずることができる。

 (登記官)

第四条 登記所における事務は、法務局若しくは地方法務局又はその支局若しくは出張所に勤務する法務事務官で、法務局又は地方法務局の長が指定した者が、登記官として取り扱う。

第五条 登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族(配偶者又は四親等内の親族であつた者を含む。以下この項において同じ。)が申請人であるときは、当該登記官は、その配偶者及び四親等内の親族以外の成年者二人以上の立会いがなければ、登記をすることができない。登記官又はその配偶者若しくは四親等内の親族が申請人を代表して申請するときも、同様とする。

2 前項の場合には、登記官は、調書を作り、立会人と共にこれに署名押印しなければならない。

   第二章 登記簿等

 (商業登記簿)

第六条 登記所に次の商業登記簿を備える。

 一 商号登記簿

 二 未成年者登記簿

 三 後見人登記簿

 四 支配人登記簿

 五 合名会社登記簿

 六 合資会社登記簿

 七 株式会社登記簿

 八 有限会社登記簿

 九 外国会社登記簿

 (登記簿等の持出禁止)

第七条 登記簿及びその附属書類は、事変を避けるためにする場合を除き、登記所外に持ち出してはならない。ただし、登記簿の附属書類については、裁判所の命令又は嘱託があつたときは、この限りでない。

 (登記簿の滅失と回復)

第八条 登記簿の全部又は一部が滅失したときは、法務大臣は、一定の期間を定めて、登記の回復に必要な処分を命ずることができる。

 (登記簿等の滅失防止)

第九条 登記簿又はその附属書類が滅失するおそれがあるときは、法務大臣は、必要な処分を命ずることができる。

 (登記簿等の閲覧)

第十条 何人でも、登記簿の閲覧を請求することができる。登記簿の附属書類についても、利害関係がある部分に限り、同様とする。

 (謄抄本の交付等)

第十一条 何人でも、手数料を納付して、登記簿の謄本又は抄本の交付を請求することができる。登記事項に変更がないこと、ある事項の登記がないこと又は登記簿の謄本若しくは抄本の記載事項に変更がないことの証明についても、同様とする。

2 何人でも、手数料のほか郵送料を納付して、登記簿の謄本若しくは抄本又は前項後段の規定による証明書の送付を請求することができる。

 (印鑑証明)

第十二条 第二十条の規定により印鑑を登記所に提出した者又は支配人若しくは会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)による管財人でその印鑑を登記所に提出した者は、手数料を納付して、その印鑑の証明書の交付を請求することができる。

2 前条第二項の規定は、前項の証明書に準用する。

 (手数料)

第十三条 前二条の手数料の額は、物価の状況、登記簿の謄本の交付等に要する実費その他一切の事情を考慮して、政令で定める。

   第三章 登記手続

    第一節 通則

 (当事者申請主義)

第十四条 登記は、法令に別段の定めがある場合を除くほか、当事者の申請又は官庁の嘱託がなければ、することができない。

 (嘱託による登記)

第十五条 官庁の嘱託による登記の手続については、法令に別段の定めがある場合を除くほか、申請による登記に関する規定を準用する。

 (当事者出頭主義)

第十六条 登記の申請は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、当事者又はその代理人が登記所に出頭してしなければならない。

2 官庁による登記の嘱託については、嘱託者又はその代理人は、登記所に出頭することを要しない。

 (登記申請の方式)

第十七条 登記の申請は、書面でしなければならない。

2 申請書には、次の事項を記載し、申請人又はその代表者若しくは代理人が記名押印しなければならない。

 一 申請人の氏名及び住所、申請人が会社であるときは、その商号及び本店並びに代表者の氏名及び住所

 二 代理人によつて申請するときは、その氏名及び住所

 三 登記の事由

 四 登記すべき事項

 五 登記すべき事項につき官庁の許可を要するときは、許可書の到達した年月日

 六 登録税額及びこれにつき課税標準の金額があるときは、その金額

 七 年月日

 八 登記所の表示

3 会社の支店の所在地においてする登記の申請書には、その支店をも記載しなければならない。

 (申請書の添附書面)

第十八条 代理人によつて登記を申請するには、申請書にその権限を証する書面を添附しなければならない。

第十九条 官庁の許可を要する事項の登記を申請するには、申請書に官庁の許可書又はその認証がある謄本を添附しなければならない。

 (印鑑の提出)

第二十条 登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。改印したときも、同様とする。

2 前項の規定は、委任による代理人によつて登記の申請をする場合には、委任をした者又はその代表者について適用する。

3 前二項の規定は、会社の支店の所在地においてする登記の申請については、適用しない。

 (受附)

第二十一条 登記官は、登記の申請書を受け取つたときは、受附帳に登記の種類、申請人の氏名、会社が申請人であるときはその商号、受附の年月日及び受附番号を記載し、申請書に受附の年月日及び受附番号を記載しなければならない。

 (受領証)

第二十二条 登記官は、登記の申請書その他の書面を受け取つた場合において、申請人の請求があつたときは、受領証を交付しなければならない。

 (登記の順序)

第二十三条 登記官は、受附番号の順序に従つて登記をしなければならない。

 (申請の却下)

第二十四条 登記官は、次の場合には、理由を附した決定で、申請を却下しなければならない。ただし、申請の不備が補正することができるものである場合において、申請人が即日にこれを補正したときは、この限りでない。

 一 事件がその登記所の管轄に属しないとき。

 二 事件が登記すべき事項以外の事項の登記を目的とするとき。

 三 事件がその登記所においてすでに登記されているとき。

 四 事件が申請の権限を有しない者の申請によるとき。

 五 第十六条第一項の規定に違反して、当事者又はその代理人が出頭しないとき。

 六 申請書が方式に適合しないとき。

 七 第二十条の規定による印鑑の提出がないとき、又は申請書、委任による代理人の権限を証する書面若しくは第三十条第二項若しくは第三十一条第二項に規定する譲渡人の承諾書に押された印鑑が第二十条の規定により提出された印鑑と異なるとき。

 八 申請書に必要な書面を添附しないとき。

 九 申請書又はその添附書面の記載が申請書の添附書面又は登記簿の記載と抵触するとき。

 十 登記すべき事項につき無効又は取消しの原因があるとき。

 十一 申請につき経由すべき登記所を経由しないとき。

 十二 同時にすべき他の登記の申請を同時にしないとき。

 十三 事件が第二十七条の規定により登記することができない商号の登記又は仮登記を目的とするとき。

 十四 事件が法令の規定により使用を禁止された商号の登記又は仮登記を目的とするとき。

 十五 商号の登記を抹消されている会社が商号の登記をしないで他の登記を申請したとき。

 十六 事件が第三十五条第三項の規定に違反し、又は第三十六条第一項ただし書の規定に該当するとき。

 十七 登録税を納付しないとき。

 (提訴期間経過後の登記)

第二十五条 登記すべき事項につき訴えをもつてのみ主張することができる無効又は取消しの原因がある場合において、その訴えがその提起期間内に提起されなかつたときは、前条第十号の規定は、適用しない。

2 前項の場合の登記の申請書には、同項の訴えがその提起期間内に提起されなかつたことを証する書面及び登記すべき事項の存在を証する書面を添附しなければならない。この場合には、第十八条の書面を除き、他の書面の添附を要しない。

3 会社は、その本店の所在地を管轄する地方裁判所に、第一項の訴えがその提起期間内に提起されなかつたことを証する書面の交付を請求することができる。

 (行政区画等の変更)

第二十六条 行政区画、郡、区、市町村内の町若しくは字又はそれらの名称の変更があつたときは、その変更による登記があつたものとみなす。

    第二節 商号の登記

 (類似商号登記の禁止)

第二十七条 商号の登記は、同市町村内においては、同一の営業のため他人が登記したものと判然区別することができないときは、することができない。

 (登記事項等)

第二十八条 商号の登記は、営業所ごとにしなければならない。

2 商号の登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。

 一 商号

 二 営業の種類

 三 営業所

 四 商号使用者の氏名及び住所

 (変更等の登記)

第二十九条 商号の登記をした者は、その営業所を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、旧所在地においては営業所移転の登記を、新所在地においては前条第二項各号に掲げる事項の登記を申請しなければならない。

2 商号の登記をした者は、前条第二項各号に掲げる事項に変更を生じたとき、又は商号を廃止したときは、その登記を申請しなければならない。

 (商号の譲渡又は相続の登記)

第三十条 商号の譲渡による変更の登記は、譲受人の申請によつてする。

2 前項の登記の申請書には、譲渡人の承諾書及び商法(明治三十二年法律第四十八号)第二十四条第一項の規定に該当することを証する書面を添附しなければならない。

3 商号の相続による変更の登記を申請するには、申請書に相続を証する書面を添附しなければならない。

 (営業譲渡の際の免責の登記)

第三十一条 商法第二十六条第二項の登記は、譲受人の申請によつてする。

2 前項の登記の申請書には、譲渡人の承諾書を添附しなければならない。

 (相続人による登記)

第三十二条 相続人が前三条の登記を申請するには、申請書にその資格を証する書面を添附しなければならない。

 (商号の登記の抹消)

第三十三条 商法第三十一条の規定によつて商号の登記の抹消を申請する者は、申請者に抹消につき利害関係を有することを証する書面を添附しなければならない。

2 第百十条から第百十二条までの規定は、前項の申請があつた場合に準用する。

3 登記官は、前項で準用する第百十一条の規定により異議が理由があるとする決定をしたときは、第一項の申請を却下しなければならない。

第三十四条 第二十八条、第二十九条並びに第三十条第一項及び第二項の規定は、会社については、適用しない。

 (商号の仮登記)

第三十五条 会社は、その本店を移転しようとするときは、移転すべき地を管轄する登記所に商号の仮登記を申請することができる。

2 商号の仮登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。

 一 商号

 二 目的

 三 本店を移転すべき市町村

 四 本店

 五 本店移転の登記までの予定期間

3 前項第五号の期間(以下「予定期間」という。)は、三年をこえることができない。

4 商号の仮登記をするには、政令で定める額の金銭を供託しなければならない。

第三十六条 会社は、政令で定める額の金銭を供託して、予定期間の伸長の登記を申請することができる。ただし、伸長により前条第三項の規定に反することとなるときは、この限りでない。

2 会社は、前条第二項第二号又は第四号に掲げる事項に変更を生じたときは、その登記を申請しなければならない。

第三十七条 会社は、商号を変更したとき、その他商号の仮登記の必要がなくなつたときは、その抹消を申請しなければならない。

2 商法第三十一条及びこの法律第三十三条の規定は、会社が前項の規定による申請をしない場合に準用する。

第三十八条 商号の仮登記の申請書には、会社の登記簿の謄本、登記所が作成した会社の代表者の印鑑の証明書及び供託物受入の記載がある供託書の謄本を添附しなければならない。

2 第三十六条又は前条第一項の規定による申請をするには、申請書に会社の代表者の資格を証する書面及び登記所が作成した会社の代表者の印鑑の証明書を添附しなければならない。

3 第三十六条第一項の登記の申請書には供託物受入の記載がある供託書の謄本を、同条第二項の登記の申請書には会社の本店の所在地において変更の登記をしたことを証する書面を添附しなければならない。

4 第二十条第一項及び第二項の規定は、商号の仮登記に関する申請については、適用しない。

第三十九条 商号の仮登記は、第二十七条の規定の適用については、商号の登記とみなす。

第四十条 登記官は、会社が予定期間内に本店移転の登記をしたとき、又は会社が本店移転の登記をしないで予定期間が経過したときは、商号の仮登記を抹消しなければならない。

第四十一条 会社は、予定期間内に本店移転の登記をしたときは、供託金を取り戻すことができる。ただし、商号の仮登記をした後にその商号を変更したときは、この限りでない。

2 商号の仮登記が抹消されたときは、前項の場合を除き、供託金は、国庫に帰属する。

 (市町村の意義)

第四十二条 第二十七条及び第三十五条第二項第三号の市町村は、商法第十九条の市町村とする。

    第三節 未成年者及び後見人の登記

 (未成年者登記の登記事項等)

第四十三条 商法第五条の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。

 一 未成年者の氏名、出生の年月日及び住所

 二 営業の種類

 三 営業所

2 第二十九条の規定は、未成年者の登記に準用する。

 (申請人)

第四十四条 未成年者の登記は、未成年者の申請によつてする。

2 営業の許可の取消しによる消滅の登記又は営業の許可の制限による変更の登記は、法定代理人も申請することができる。

3 未成年者の死亡による消滅の登記は、法定代理人の申請によつてする。

4 未成年者が成年に達したことによる消滅の登記は、登記官が、職権ですることができる。

 (添附書面)

第四十五条 商法第五条の規定による登記の申請書には、法定代理人の許可を得たことを証する書面を添附しなければならない。ただし、申請書に法定代理人の記名押印があるときは、この限りでない。

2 後見人が未成年者の営業を許可した場合において、後見監督人がないときはその旨を証する書面を、後見監督人があるときはその同意を得たことを証する書面を、前項の申請書に添附しなければならない。

3 前二項の規定は、営業の種類の増加による変更の登記の申請に準用する。

第四十六条 未成年者がその営業所を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請書には、旧所在地においてした登記を証する書面を添附しなければならない。

第四十七条 未成年者の死亡による消滅の登記の申請書には、未成年者が死亡したことを証する書面を添附しなければならない。

 (後見人登記の登記事項等)

第四十八条 商法第七条第一項の規定による登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。

 一 後見人の氏名及び住所

 二 無能力者の氏名及び住所

 三 営業の種類

 四 営業所

2 第二十九条の規定は、後見人の登記に準用する。

 (申請人)

第四十九条 後見人の登記は、後見人の申請によつてする。

2 無能力者が能力者となつたことによる消滅の登記は、その者も申請することができる。

3 後見人の退任による消滅の登記は、新後見人も申請することができる。

 (添附書面)

第五十条 前条第二項又は第三項の登記の申請書には、無能力者が能力者となつたこと又は後見人が退任したことを証する書面を添附しなければならない。

2 第四十五条第二項及び第三項並びに第四十六条の規定は、後見人の登記に準用する。

    第四節 支配人の登記       ・

 (登記事項等)

第五十一条 支配人の登記において登記すべき事項は、次のとおりとする。

 一 支配人の氏名及び住所

 二 営業主の氏名及び住所

 三 営業主が数個の商号を使用して数種の営業をするときは、支配人が代理すべき営業及びその使用すべき商号

 四 支配人を置いた営業所    、

 五 数人の支配人が共同して代理権を行なうべきことを定めたときは、その規定

2 第二十九条の規定は、支配人の登記に準用する。

 (会社の支配人の特則)

第五十二条 会社の支配人の登記は、会社の登記簿にする。

2 前項の登記においては、前条第一項第二号に掲げる事項を登記することを要しない。

第五十三条 会社の支配人の選任の登記の申請書には、支配人の選任及び第五十一条第一項第五号に掲げる事項を証する書面を添附しなければならない。

2 会社の支配人の代理権の消滅又は第五十一条第一項第五号に掲げる事項の設定、変更若しくは消滅の登記の申請書には、これを証する書面を添附しなければならない。

3 会社の支配人の登記の申請書には、本店の所在地の登記所に申請する場合を除き、登記所が作成した会社の代表者の印鑑の証明書を添附しなければならない。

    第五節 合名会社の登記

 (添附書面の通則)

第五十四条 登記すべき事項につき総社員の同意又はある社員若しくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意又は一致があつたことを証する書面を添附しなければならない。

 (設立の登記)

第五十五条 設立の登記は、会社を代表すべき者の申請によつてする。

2 前項の登記の申請書には、定款を添附しなければならない。

 (支店所在地における登記)

第五十六条 第十六条第一項の規定は、本店及び支店の所在地において登記すべき事項について支店の所在地においてする登記の申請については、適用しない。

2 前項の登記の申請書には、本店の所在地においてした登記を証する書面を添附しなければならない。この場合には、他の書面の添附を要しない。

3 支店の所在地において商法第六十四条第一項に掲げる事項を登記する場合には、会社成立の年月日並びに支店を設置し、又は移転した旨及びその年月日をも登記しなければならない。

 (本店移転の登記)

第五十七条 本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。第二十条第一項又は第二項の規定により新所在地を管轄する登記所にする印鑑の提出も、同様とする。

2 前項の登記の申請と旧所在地における登記の申請とは、同時にしなければならない。

3 第一項の登記の申請書には、第十八条の書面を除き、他の書面の添附を要しない。

第五十八条 旧所在地を管轄する登記所においては、前条第二項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号に掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。

2 旧所在地を管轄する登記所においては、前項の場合を除き、遅滞なく、前条第一項の登記の申請書及びその添附書類並びに同項の印鑑を新所在地を管轄する登記所に送付しなければならない。

3 新所在地を管轄する登記所においては、前項の申請書の送付を受けた場合において、前条第一項の登記をしたとき、又はその登記の申請を却下したときは、遅滞なく、その旨を旧所在地を管轄する登記所に通知しなければならない。

4 旧所在地を管轄する登記所においては、前項の規定により登記をした旨の通知を受けるまでは、本店移転の登記をすることができない。

5 新所在地を管轄する登記所において前条第一項の登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は、却下されたものとみなす。

第五十九条 第五十六条第三項の規定は、新所在地における登記に準用する。

 (入退社の登記)

第六十条 社員の入社又は退社による変更の登記の申請書には、その事実を証する書面を添附しなければならない。

 (解散の登記)

第六十一条 解散の登記において登記すべき事項は、解散の旨、その事由及び年月日とする。

2 定款に定めた事由の発生による解散の登記の申請書には、その事由の発生を証する書面を添附しなければならない。

3 会社を代表すべき清算人の申請に係る解散の登記の申請書には、その資格を証する書面を添附しなければならない。ただし、商法第百二十九条第二項の規定により会社を代表する清算人については、この限りでない。

 (清算人の登記)

第六十二条 業務執行社員が清算人となつた場合の清算人の登記の申請書には、定款を添附しなければならない。

2 社員が選任した清算人の選任の登記の申請書にはその者が就任を承諾したことを証する書面を、裁判所が選任した清算人の選任の登記の申請書にはその選任並びに商法第百二十三条第一項第二号及び第三号に掲げる事項を証する書面を添附しなければならない。

第六十三条 清算人の退任による変更の登記の申請書には、退任を証する書面を添附しなければならない。

2 裁判所が選任した清算人に関する商法第百二十三条第一項第二号又は第三号に掲げる事項の変更の登記の申請書には、変更の事由を証する書面を添附しなければならない。

 (清算結了の登記)

第六十四条 商法第百十九条ノ二の規定による登記の申請書には、会社財産の処分が完了したことを証する総社員が作成した書面を添附しなければならない。

2 商法第百三十四条の規定による登記の申請書には、清算人がその計算の承認を得たことを証する書面を添附しなければならない。

 (継続の登記)

第六十五条 会社の設立の無効又は取消しの判決が確定した場合において、会社を継続したときは、継続の登記の申請書には、その判決の謄本を添附しなければならない。

 (合併の登記)

第六十六条 合併による変更又は設立の登記においては、合併により消滅する会社(以下「消滅会社」という。)の商号及び本店並びに合併した旨をも登記しなければならない。

第六十七条 合併による変更の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 消滅会社の総社員の同意があつたことを証する書面

 二 商法第百条第一項の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、その者に対し弁済し、若しくは担保を供し、又は信託したことを証する書面

 三 消滅会社の登記簿の謄本。ただし、当該登記所の管轄区域内に消滅会社の本店又は支店がある場合を除く。

第六十八条 合併による設立の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 定款

 二 前条各号に掲げる書面

 三 設立委員の資格を証する書面

2 第五十五条第一項の規定は、前項の登記に準用する。

第六十九条 合併による解散の登記の申請については、合併後存続する会社(以下「存続会社」という。)又は合併により設立した会社(以下「新設会社」という。)を代表すべき者が消滅会社を代表する。

2 本店の所在地における前項の登記の申請は、当該登記所の管轄区域内に存続会社又は新設会社の本店がないときは、その本店の所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。

3 本店の所在地における第一項の登記の申請と第六十六条の登記の申請とは、同時にしなければならない。

4 申請書の添附書面に関する規定並びに第二十条第一項及び第二項の規定は、本店の所在地における第一項の登記の申請については、適用しない。

第七十条 存続会社又は新設会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第三項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号に掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。

2 存続会社又は新設会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第二項の場合において、合併による変更又は設立の登記をしたときは、遅滞なく、その登記の日を同項の登記の申請書に記載し、これを消滅会社の本店の所在地を管轄する登記所に送付しなければならない。

 (組織変更の登記)

第七十一条 合名会社が合資会社に組織を変更した場合の合資会社についてする登記においては、会社成立の年月日、合名会社の商号、組織を変更した旨及びその年月日をも登記しなければならない。

第七十二条 前条の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 定款

 二 有限責任社員を加入させたときは、その加入を証する書面

 三 第七十四条に規定する書面

第七十三条 合名会社が合資会社に組織を変更した場合の合名会社についての登記の申請と合資会社についての登記の申請とは、同時にしなければならない。

2 申請書の添附書面に関する規定は、合名会社についての前項の登記の申請については、適用しない。

3 登記官は、第一項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号に掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。

    第六節 合資会社の登記

 (設立の登記)

第七十四条 設立の登記の申請書には、有限責任社員が出資につき履行した部分を証する書面を添附しなければならない。

 (出資履行の登記)

第七十五条 有限責任社員の出資の履行による変更の登記の申請書には、その履行があつたことを証する書面を添附しなければならない。

 (合併の登記)

策七十六条 第七十四条の規定は、合併による変更又は設立の登記に準用する。

 (準用規定)

第七十七条 第五十四条から第七十条までの規定は、合資会社の登記に準用する。

 (組織変更等の登記)

第七十八条 合資会社が合名会社として会社を継続し、又は合名会社に組織を変更した場合の合名会社についてする登記の申請書には、定款を添附しなければならない。

2 第七十一条及び第七十三条の規定は、前項の場合に準用する。

    第七節 株式会社の登記

 (添附書面の通則)

第七十九条 登記すべき事項につき株主総会、取締役会又は清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添附しなければならない。

 (設立の登記)

第八十条 設立の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 定款

 二 株式の申込み及び引受けを証する書面

 三 発起人が商法第百六十八条ノ二に規定する事項を定めたときは、これを証する書面

 四 取締役及び監査役又は検査役の調査報告書及びその附属書類

 五 検査役の報告に関する裁判があつたときは、その謄本

 六 発起人が取締役及び監査役を選任したときは、これに関する書類

 七 創立総会の議事録

 八 取締役、代表取締役及び監査役が就任を承諾したことを証する書面

 九 名義書換代理人又は登録機関を置いたときは、これらの者との契約を証する書面

 十 払込みを取り扱つた銀行又は信託会社の払込金の保管に関する証明書

 (取締役等の変更の登記)

第八十一条 取締役、代表取締役又は監査役の就任による変更の登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面を添附しなければならない。

2 取締役、代表取締役又は監査役の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添附しなければならない。

 (新株発行による変更の登記)

第八十二条 新株発行による変更の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 株式の申込み及び引受けを証する書面

 二 商法第二百八十条ノ八の規定により検査役の調査を要するときは、検査役の調査報告書及びその附属書類

 三 検査役の報告に関する裁判があつたときは、その謄本

 四 払込みを取り扱つた銀行又は信託会社の払込金の保管に関する証明書

 (転換株式等の転換による変更の登記)

第八十三条 転換株式又は転換社債の転換による変更の登記の申請書には、株式又は社債の転換の請求を証する書面を添附しなければならない。

 (準備金の資本組入による変更の登記)

第八十四条 準備金の資本組入による変更の登記の申請書には、準備金の存在を証する書面を添附しなければならない。

 (株式の分割による変更の登記)

第八十五条 株式の分割による変更の登記の申請書には、第八十七条第二号に掲げる書面を添附しなければならない。

 (株式の消却による変更の登記)

第八十六条 株主に配当すべき利益をもつてする株式の消却による変更の登記の申請書には、利益の存在を証する書面及び次条第二号に掲げる書面を添附しなければならない。

 (資本減少による変更の登記)

第八十七条 資本減少による変更の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 第六十七条第二号に掲げる書面

 二 株式の併合又は消却をしたときは、商法第三百七十七条第一項の規定による公告をしたことを証する書面

 (名義書換代理人等の設置による変更の登記)

第八十八条 名義書換代理人又は登録機関を置いたことによる変更の登記の申請書には、定款及びこれらの者との契約を証する書面を添附しなければならない。

 (転換社債の登記)

第八十九条 転換社債の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 転換社債の申込み及び引受けを証する書面

 二 商法第三百三条の払込みがあつたことを証する書面

2 第二回以後の転換社債の払込みによる変更の登記の申請書には、その払込みがあつたことを証する書面を添附しなければならない。

 (合併の登記)

第九十条 合併による変更の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 合併契約書

 二 消滅会社の株主総会若しくは社員総会の議事録又は総社員の同意があつたことを証する書面

 三 第六十七条第二号及び第三号に掲げる書面

 四 合併により株式の併合又は分割をしたときは、第八十七条第二号に掲げる書面

第九十一条 合併による設立の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 前条各号に掲げる書面

 二 第八十条第一号及び第七号から第九号までに掲げる書面

 三 第六十八条第一項第三号に掲げる書面

 (準用規定)

第九十二条 第五十五条第一項、第五十六条から第五十九条まで、第六十一条から第六十三条まで、第六十四条第二項、第六十六条、第六十八条第二項、第六十九条及び第七十条の規定は、株式会社に準用する。

 (組織変更の登記)

第九十三条 株式会社が有限会社に組織を変更した場合の有限会社についてする登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 定款

 二 第六十七条第二号に掲げる書面

 三 会社に現存する純資産額を証する書面

 四 第九十五条第三号及び第四号に掲げる書面

 五 社債の償還を完了したことを証する書面

2 第七十一条及び第七十三条の規定は、前項の場合に準用する。

    第八節 有限会社の登記

 (添附書面の通則)

第九十四条 登記すべき事項につき社員総会の決議又はある取締役若しくは清算人の一致を要するときは、申請書に社員総会の議事録又はある取締役若しくは清算人の一致があつたことを証する書面を添附しなければならない。

 (設立の登記)

第九十五条 設立の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 定款

 二 出資全額の払込み又は現物出資の目的たる財産全部の給付があつたことを証する書面

 三 取締役が就任を承諾したことを証する書面

 四 監査役を置いたときは、監査役が就任を承諾したことを証する書面

 (資本増加による変更の登記)

第九十六条 資本増加による変更の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 出資の引受けを証する書面

 二 出資全額の払込み又は現物出資の目的たる財産全部の給付があつたことを証する書面

 (資本減少による変更の登記)

第九十七条 資本減少による変更の登記の申請書には、第六十七条第二号に掲げる書面を添附しなければならない。

 (合併の登記)

第九十八条 合併による変更の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 合併契約書

 二 消滅会社の社員総会又は株主総会の議事録

 三 第六十七条第二号及び第三号に掲げる書面

 四 消滅会社が株式会社であるときは、第九十三条第一項第五号に掲げる書面

第九十九条 合併による設立の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 前条各号に掲げる書面

 二 第九十五条第一号、第三号及び第四号に掲げる書面

 三 第六十八条第一項第三号に掲げる書面

 (継続の登記)

第百条 継続の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 新たに社員を加入させたときは、その加入を証する書面

 二 会社の設立の取消しの判決が確定した場合において、会社を継続したときは、その判決の謄本

 (準用規定)

第百一条 第八十一条及び第九十二条の規定は、有限会社に準用する。

 (組織変更の登記)

第百二条 有限会社が株式会社に組織を変更した場合の株式会社についてする登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 定款

 二 第八十条第八号及び第九号に掲げる書面

 三 第九十三条第一項第二号及び第三号に掲げる書面

2 第七十一条及び第七十三条の規定は、前項の場合に準用する。

    第九節 外国会社の登記

 (申請人)

第百三条 外国会社の登記の申請については、日本における代表者が外国会社を代表する。

 (営業所設置の登記)

第百四条 外国会社の営業所の設置の登記の申請書には、次の書類を添附しなければならない。

 一 本店の存在を認めるに足りる書面

 二 日本における代表者の資格を証する書面

 三 外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面

2 前項の書類は、外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けたものでなければならない。

3 第一項の登記の申請書に他の登記所の登記簿の謄本で当該営業所を設置した旨の記載があるものを添附したときは、同項の書類の添附を要しない。

 (変更の登記)

第百五条 日本における代表者の変更又は外国において生じた登記事項の変更についての登記の申請書には、その変更の事実を証する外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けた書面を添附しなければならない。

2 前項の登記の申請書に他の登記所においてすでに同項の登記をしたことを証する書面を添附したときは、同項の書面の添附を要しない。

 (移転の登記)

第百六条 外国会社がその営業所を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請書には、旧所在地においてした登記を証する書面を添附しなければならない。

    第十節 登記の更正及び抹消

 (更正)

第百七条 登記に錯誤又は遺漏があるときは、当事者は、その登記の更正を申請することができる。

2 更正の申請書には、錯誤又は遺漏があることを証する書面を添附しなければならない。ただし、氏、名又は住所の更正については、この限りでない。

第百八条 登記官は、登記に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、遅滞なく、登記をした者にその旨を通知しなければならない。ただし、その錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであるときは、この限りでない。

2 前項ただし書の場合においては、登記官は、遅滞なく、監督法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければならない。

 (抹消の申請)

第百九条 登記が次の各号に談当するときは、当事者は、その登記の抹消を申請することができる。

 一 第二十四条第一号から第三号までに掲げる事由があること。

 二 登記された事項につき無効の原因があること。ただし、訴えをもつてのみその無効を主張することができる場合を除く。

2 第百七条第二項の規定は、前項第二号の場合に準用する。

 (職権抹消)

第百十条 登記官は、登記が前条第一項各号に該当することを発見したときは、登記をした者に、一月をこえない一定の期間内に書面で異議を述べないときは登記を抹消すべき旨を通知しなければならない。

2 登記官は、登記をした者の住所又は居所が知れないときは、前項の通知に代え官報で公告しなければならない。

3 登記官は、官報のほか相当と認める新聞紙に同一の公告を掲載することができる。

第百十一条 登記官は、異議を述べた者があるときは、その異議につき決定をしなければならない。

第百十二条 登記官は、異議を述べた者がないとき、又は異議を却下したときは、登記を抹消しなければならない。

第百十三条 前三条の規定は、本店及び支店の所在地において登記すベき事項の登記については、本店の所在地においてした登記にのみ適用する。ただし、支店の所在地における登記のみにつき抹消の事由があるときは、この限りでない。

2 前項本文の場合において、登記を抹消したときは、登記官は、遅滞なく、その旨を支店の所在地の登記所に通知しなければならない。

3 前項の通知を受けたときは、登記官は、遅滞なく、登記を抹消しなければならない。

   第四章 雑則

 (審査請求事由)

第百十四条 登記官の処分を不当とする者は、監督法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。

 (審査請求書)

第百十五条 審査請求をするには、登記官に審査請求書を提出しなければならない。

 (審査請求事件の処理)

第百十六条 登記官は、審査請求を理由があると認めるときは、相当の処分をしなければならない。

第百十七条 登記官は、審査請求を理由がないと認めるときは、三日内に、意見を附して事件を監督法務局又は地方法務局の長に送付しなければならない。

第百十八条 法務局又は地方法務局の長は、審査請求を理由があると認めるときは、登記官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか利害関係人に通知しなければならない。

 (行政不服審査法の規定の適用除外)

第百十九条 行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)第十四条、第十七条、第二十四条、第二十五条第一項ただし書、第三十四条第二項から第六項まで、第三十七条第六項、第四十条第三項から第六項まで及び第四十三条の規定は、第百十四条の審査請求については、適用しない。

 (省令への委任)

第百二十条 この法律に定めるもののほか、登記簿の調製、登記申請書の様式及び添附書面その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。

   附 則

1 この法律は、昭和三十九年四月一日から施行する。

2 この法律の施行に伴い必要な経過措置その他の事項は、別に法律で定める。

(法務・内閣総理大臣署名) 

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.