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法律第百十九号(昭四一・七・四)

  ◎小型船造船業法

 (目的)

第一条 この法律は、小型船造船業における造船技術の適正な水準を確保することにより、小型船造船業の健全な発達を図るとともに、小型船の船質の向上に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「小型船造船業」とは、小型船の製造又は修繕(改造を含み、ドック又は引揚船台を使用してするものに限る。以下同じ。)を行なう事業をいう。

2 この法律において「小型船」とは、小型鋼船及び木船をいい、「小型鋼船」とは、総トン数二十トン以上又は長さ十五メートル以上の鋼製の船舶(総トン数五百トン以上又は長さ五十メートル以上のものを除く。)をいい、「木船」とは、総トン数二十トン以上又は長さ十五メートル以上の木製の船舶をいう。

 (種類)

第三条 小型船造船業の種顆は、次に掲げるものとする。

 一 小型鋼船造船業(小型鋼船の製造及び修繕を行なう事業)

 二 小型鋼船製造業(小型鋼船の製造を行なう事業)

 三 小型鋼船修繕業(小型鋼船の修繕を行なう事業)

 四 木船造船業(木船の製造及び修繕を行なう事業)

 五 木船製造業(本船の製造を行なう事業)

 六 木船修繕業(木船の修繕を行なう事業)

 (登録)

第四条 小型船造船業を営もうとする者は、小型船造船業の種類及び事業場ごとに、運輸大臣の登録を受けなければならない。

 (登録の申請)

第五条 前条の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその役員の氏名

 二 小型船造船業の種類

 三 事業場の名称及び所在地

 四 当該事業の用に供する特定設備(小型船の製造又は修繕のための設備であつて、小型船造船業の種類ごとに運輸省令で定めるものをいう。以下同じ。)の種類及び能力別の数

2 前項の申請書には、事業場の図面その他の運輸省令で定める書類を添附しなければならない。

 (登録の実施)

第六条 運輸大臣は、前条第一項の規定による登録の申請があつたときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、遅滞なく、前条第一項各号に掲げる事項並びに登録年月日及び登録番号を小型船造船業者登録簿に登録しなければならない。

2 運輸大臣は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を登録の申請者に通知しなければならない。

 (登録の拒否)

第七条 運輸大臣は、登録の申請者が次の各号の一に該当するとき、又は第五条第一項の規定による登録の申請に係る特定設備が運輸省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、その登録を拒否しなければならない。

 一 この法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から一年を経過しない者

 二 第十七条第一項の規定により小型船造船業の登録を取り消され、その取消しの日から一年を経過しない者

 三 営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者又は禁治産者で、その法定代理人が前二号の一に該当するもの

 四 法人で、その役員のうちに前三号の一に該当する者があるもの

2 運輸大臣は、前項の規定による登録の拒否をしたときは、遅滞なく、理由を附してその旨を登録の申請者に通知しなければならない。

 (登録申請手数料)

第八条 第五条第一項の規定による登録の申請をしようとする者は、二千円をこえない範囲内で政令で定める額の手数料を納めなければならない。ただし、第十六条第三項後段に規定する期間内にされた登録の申請については、手数料を納めなくてもよい。

 (事業開始の届出)

第九条 第四条の登録を受けた者(以下「小型船造船業者」という。)は、事業を開始したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

 (主任技術者)

第十条 小型船造船業者は、小型船の製造又は修繕の工事に関する技術上の管理を行なわせるため、事業場ごとに、専任の主任技術者を選任しなければならない。ただし、小型船造船業者が自ら主任技術者となる事業場(事業場が二以上あるときは、一の事業場に限る。)については、この限りでない。

2 小型船造船業者は、前項の規定により主任技術者を選任したとき、又は自ら主任技術者となつたときは、その日から十五日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。主任技術者を変更したときも、同様とする。

 (主任技術者の資格)

第十一条 次の各号の一に該当する者でなければ、小型鋼船造船業、小型鋼船製造業又は小型鋼船修繕業の登録を受けた者の事業場につき、前条第一項の主任技術者となることができない。

 一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。以下同じ。)又は高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。以下同じ。)において、造船に関する学科を修得して卒業した後、鋼製の船舶の製造又は修繕に関して三年以上の実務の経験を有する者

 二 学校教育法による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。以下同じ。)において、造船に関する学科を修得して卒業した後、鋼製の船舶の製造又は修繕に関して七年(小型鋼船修繕業に係る主任技術者の場合にあつては、五年)以上の実務の経験を有する者

 三 運輸大臣が前二号の一に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有するものと認定した者

2 次の各号の一に該当する者でなければ、木船造船業、木船製造業又は木船修繕業の登録を受けた者の事業場につき、前条第一項の主任技術者となることができない。

 一 学校教育法による大学又は高等専門学校において、造船に関する学科を修得して卒業した後、木船の製造又は修繕に関して三年以上の実務の経験を有する者

 二 学校教育法による高等学校において、造船に関する学科を修得して卒業した後、木船の製造又は修繕に関して七年(木船修繕業に係る主任技術者の場合にあつては、五年)以上の実務の経験を有する者

 三 木船の製造又は修繕に関して十五年(木船修繕業に係る主任技術者の場合にあつては、十年)以上の実務の経験を有する者

 四 運輸大臣が前三号の一に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有するものと認定した者

3 第十三条の規定による命令に基づき、主任技術者の職を解任され、又はその職をやめた者で、解任され、又はやめた日から一年を経過しないものは、主任技術者となることができない。

 (主任技術者の義務)

第十二条 主任技術者は、小型船の製造又は修繕の工事に関する技術上の管理を行なう場合においては、製造又は修繕に係る小型船が船舶安全法(昭和八年法律第十一号)及び同法に基づく命令に定める小型船の構造及び設備に関する基準に適合するようにしなければならない。

 (主任技術者の変更命令)

第十三条 運輸大臣は、主任技術者が前条の規定に違反したときは、小型船造船業者に対し、主任技術者の変更を命ずることができる。

 (変更登録等)

第十四条 小型船造船業者は、第五条第一項第四号に掲げる事項を変更しようとするときは、運輸大臣の変更登録を受けなければならない。

2 第六条から第八条までの規定は、前項の変更登録について準用する。

3 小型船造船業者は、第五条第一項第一号、第三号又は第四号に掲げる事項に変更があつた場合(第一項の変更登録に係る場合を除く。)は、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。その届出があつた場合には、運輸大臣は、遅滞なく、当該登録を変更するものとする。

 (特定設備の維持等)

第十五条 小型船造船業者は、当該事業の用に供する特定設備を第七条第一項の運輸省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。

2 運輸大臣は、当該事業の用に供する特定設備が第七条第一項の運輸省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、小型船造船業者に対し、その是正のために必要な修理、改造その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

 (事業の休止、廃止等)

第十六条 小型船造船業者は、事業を休止したときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

2 小型船造船業者が次の各号の一に掲げる場合に該当することとなつたときは、当該各号に掲げる者は、その日(第一号の場合にあつては、その事実を知つた日)から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

 一 小型船造船業者が死亡したときは、その相続人

 二 小型船造船業者である法人が合併により解散したときは、その法人を代表する役員であつた者

 三 小型船造船業者である法人が破産により解散したときは、その破産管財人

 四 小型船造船業者である法人が合併又は破産以外の理由により解散したときは、その清算人

 五 小型船造船業を廃止したときは、小型船造船業者であつた個人又は小型船造船業者であつた法人を代表する役員

3 小型船造船業者が死亡したときは、相続人は、被相続人の死亡の日から六十日以内は、被相続人の営んでいた小型船造船業を引き続き営むことができる。その期間内に第四条の登録を申請した場合において、その申請について登録をする旨又は登録を拒否する旨の通知を受けるまでの期間についても、同様とする。

 (登録の取消し等)

第十七条 運輸大臣は、小型船造船業者が次の各号の一に該当するときは、六月以内の期間を定めて事業の停止を命じ、又は当該小型船造船業の登録を取り消すことができる。

 一 この法律又はこの法律に基づく処分に違反したとき。

 二 第七条第一項第一号、第三号又は第四号に該当することとなつたとき。

 三 不正の手段により第四条の登録又は第十四条第一項の変更登録を受けたとき。

2 第七条第二項の規定は、前項の規定による処分をした場合について準用する。

 (登録の消除)

第十八条 運輸大臣は、次の各号の一に該当するときは、当該小型船造船業の登録を消除しなければならない。

 一 第十六条第二項の規定による届出があつたとき。

 二 前条第一項の規定により小型船造船業の登録を取り消したとき。

 (報告及び検査)

第十九条 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、小型船造船業者に対してその事業に関し必要な報告をさせ、又はその職員に小型船造船業者の事務所若しくは事業場に立ち入り、小型船の製造若しくは修繕のための設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (聴聞)

第二十条 運輸大臣は、第十三条又は第十七条第一項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当の期間をおいて予告をした上、公開による聴聞を行なわなければならない。

2 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。

3 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

 (適用除外)

第二十一条 この法律の規定は、造船法(昭和二十五年法律第百二十九号)第二条第一項又は第三条第一項の規定による許可を受けた者が当該許可に係る造船台、ドック又は引揚船台を使用して小型船造船業を営む場合については、適用しない。

 (造船法の適用除外)

第二十二条 小型船造船業を営む者は、当該小型船造船業について造船法第六条の規定による届出をしなくてもよい。

 (職権の委任)

第二十三条 この法律の規定により運輸大臣の職権に属する事項は、運輸省令で定めるところにより、海運局長に行なわせることができる。

 (罰則)

第二十四条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

 一 第四条の規定に違反して小型船造船業を営んだ者

 二 第十七条第一項の規定による事業の停止の命令に違反した者

第二十五条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第十条第一項の規定に違反して主任技術者を選任しなかつた者

 二 第十三条又は第十五条第二項の規定による命令に違反した者

 三 第十四条第一項の規定に違反して第五条第一項第四号に掲げる事項を変更した者

 四 第十九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第二十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の刑を科する。

第二十七条 第九条、第十条第二項、第十四条第三項又は第十六条第一項若しくは第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。

 (経過規定)

2 この法律の施行の際現に、造船法第六条第一項の規定による届出をして同項第一号又は第二号に掲げる事業を営んでいる者であつて、第二条第一項に規定する小型船造船業に相当する事業を営んでいるものは、この法律の施行の日から二年間は、当該事業について第四条の登録を受けたものとみなす。その者がその期間内に同条の登録の申請をした場合において、その申請について登録をする旨又は登録を拒否する旨の通知を受けるまでの期間についても、同様とする。

3 前項の規定の適用を受ける者については、同項の規定により第四条の登録を受けたものとみなされる間は、第十条第一項、第十四条第一項及び第三項、第十五条並びに第十六条第三項の規定を適用しない。

4 附則第二項の規定の適用を受ける者は、この法律の施行の日から六十日以内に、第五条第一項第一号、第三号及び第四号に掲げる事項を運輸大臣に届け出なければならない。

5 附則第二項の規定の適用を受ける者は、同項の規定により第四条の登録を受けたものとみなされる間において、第五条第一項第一号、第三号又は第四号に掲げる事項に変更があつたときは、その日から三十日以内に、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。

6 附則第二項の規定の適用を受ける者が同項の規定により第四条の登録を受けたものとみなされる間に死亡したときは、相続人は、被相続人のこの法律の規定による地位を承継する。

7 附則第四項又は第五項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の過料に処する。

8 この法律の施行前にした造船法第六条の規定に違反する行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (運輸省設置法の一部改正)

9 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第十六号の四の次に次の一号を加える。

  十六の五 小型船造船業を登録すること。

(運輸・内閣総理大臣署名) 

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