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法律第八十八号(昭四二・七・二七)

  ◎会社更生法等の一部を改正する法律

 (会社更生法の一部改正)

第一条 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)の一部を次のように改正する。

  目次中「管財人」を「管財人及び調査委員」に、「第百一条」を「第百一条の三」に、「第二百十条」を「第二百十条の二」に改める。

  第十四条第一項中「又は株主」及び「若しくは株主名簿」を削り、「その者」を「社債権者」に改め、同条第四項中「第一項及び第二項」を「第一項から第三項まで」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項中「前二項」を「前三項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

 3 この法律の規定によつてする会社の株主に対する送達は、株主名簿に記載した住所若しくは株主が会社に通知した住所又は株主が第百三十一条の規定によつて管財人に届け出た住所にあてて、書類を通常の取扱いによる郵便に付してすることができる。

  第十五条第三項中「前条第四項」を「前条第五項」に改める。

  第十七条の見出し中「更生手続開始の」を削る。

  第十八条の次に次の二条を加える。

 第十八条の二 第三十九条第一項後段の規定による処分をしたときは、裁判所は、職権で遅滞なく、嘱託書に決定書の謄本又は抄本を添附してその処分の登記を会社の本店及び支店(外国に本店があるときは、日本における営業所)の所在地の登記所に嘱託しなければならない。

 2 前項の規定は、同項の規定により登記すべき事項に変更が生じた場合及び第三十九条第一項後段の規定による処分の取消しがあつた場合に準用する。

 3 前条第一項の規定は、登記のある権利に関し第三十九条第一項前段又は第七十二条第一項第二号若しくは第二項の規定による処分があつた場合及びその処分の変更又は取消しがあつた場合に準用する。

 第十八条の三 第二百十一条第三項又は第二百四十八条の二第一項の規定により会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利が取締役に付与されたときは、裁判所は、職権で遅滞なく、嘱託書に更生計画認可の決定書又は同項の規定による権利付与の決定書の謄本又は抄本を添附してその旨の登記を会社の本店及び支店(外国に本店があるときは、日本における営業所)の所在地の登記所に嘱託しなければならない。

 2 前項の規定は、第二百十一条第三項の規定による更生計画の定め又は第二百四十八条の二第一項の規定による決定が取り消された場合に準用する。

  第十九条の見出しを削り、同条中「前条第一項」を「第十八条第一項」に改める。

  第二十条第一項中「前三条」を「第十七条から前条まで」に改める。

  第二十二条を次のように改める。

  (登録への準用)

 第二十二条 第十八条、第十八条の二第三項及び前三条の規定は、登録のある権利について準用する。

  第二十五条中「若しくは第二百七十四条」を「から第二百七十四条まで」に改める。

  第三十五条第二項中「業務を監督する行政庁及び」を「事業を所管する行政庁、」に改め、「徴収の権限を有する者」の下に「その他裁判所が相当と認める者」を加える。

  第三十九条第一項に後段として次のように加える。

   保全管理人による管理又は監督員による監督を命ずる処分についても、また同様である。

  第三十九条に次の三項を加える。

 4 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。

 5 裁判所は、第一項後段の規定による処分をしたときは、その旨を公告しなければならない。公告した事項に変更が生じた場合及びその処分の取消しがあつた場合も、また同様である。

 6 第十五条の規定は、前項の場合には適用しない。

  第四十条から第四十四条までを次のように改める。

  (保全管理人)

 第四十条 前条第一項後段の規定により保全管理人による管理の命令があつたときは、会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した保全管理人に専属する。ただし、保全管理人が会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。

 2 前項ただし書の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、善意の第三者に対抗することができない。

  (保全管理人代理)

 第四十一条 保全管理人は、必要があるときは、その職務を行なわせるため、自己の責任で保全管理人代理を選任することができる。

 2 前項の保全管理人代理の選任は、裁判所の許可を得なければならない。

  (監督員)

 第四十二条 第三十九条第一項後段の規定により監督員による監督の命令があつたときは、会社が裁判所の指定した行為をするには、裁判所が選任した監督員の同意を得なければならない。

  (管財人に関する規定等の準用)

 第四十三条 第五十四条から第五十五条まで、第九十四条、第九十五条、第九十六条第一項、第九十七条及び第九十八条の二から第百条までの規定は、保全管理人に準用する。

 2 第六十八条から第七十条までの規定は、第三十九条第一項後段の規定により保全管理人による管理を命ずる処分があつた場合及びその処分の取消しがあつた場合に準用する。

 3 第九十八条の二第一項、第二項及び第九十八条の三から第九十八条の五までの規定は、監督員に準用する。

  (手続開始の申立ての取下げの制限)

 第四十四条 第三十九条第一項の規定による処分があつた後においては、裁判所の許可を得なければ、更生手続開始の申立てを取り下げることができない。

  第四十六条第一号中「、更生担保権及び株式」を「及び更生担保権」に改める。

  第四十七条第二項中「調査委員の意見」を「更生手続を開始することの当否についての調査委員の意見」に改める。

  第四十八条第一項中「調査委員」を「同条第二項の調査委員」に改める。

  第四十九条中「並びに調査委員の調査書類及び意見書」を削る。

  第五十三条に次のただし書を加える。

   ただし、第二百十一条第三項又は第二百四十八条の二第一項の規定によりその権利が取締役に付与されたときは、この限りでない。

  第五十四条中第九号を第十号とし、第八号の次に次の一号を加える。

  九 第百六十一条の二の規定による留置権の消滅請求その他更生担保権に係る担保の変換

  第五十四条の次に次の一条を加える。

  (管財人の自己取引)

 第五十四条の二 管財人は、裁判所の許可を得なければ、会社の製品その他の財産を譲り受け、会社に対し自己の製品その他の財産を譲り渡し、その他自己又は第三者のために会社と取引をすることができない。

  第五十五条中「前条」を「前二条」に改める。

  第七十二条第一項中「、第三十九条に定める処分の外」を削り、同条第二項中「前でも」の下に「、保全管理人の申立てにより又は職権で」を加え、同条第三項中「及び第三項」を「から第四項まで」に改める。

  「第三章 管財人」を「第三章 管財人及び調査委員」に改める。

  第九十四条の見出しを「(管財人の選任)」に改める。

  第九十六条に次の二項を加える。

 2 前項の規定は、第二百十一条第三項又は第二百四十八条の二第一項の規定により会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利が取締役に付与された場合において、その後に提起された訴えについては、適用しない。

 3 第六十八条及び第六十九条の規定は、第二百十一条第三項の規定による更生計画の定め又は第二百四十八条の二第一項の規定による決定が取り消された場合に、前項の訴えについて準用する。

  第九十八条の次に次の四条を加える。

  (管財人の調査)

 第九十八条の二 管財人は、会社の取締役、監査役及び支配人その他の使用人に対し、会社の業務及び財産の状況につき報告を求め、会社の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。

 2 管財人は、必要があるときは、裁判所の許可を得て鑑定人を選任することができる。

 3 管財人は、調査をするにあたり、裁判所の許可を得て執行官の援助を求めることができる。

  (管財人の監督等)

 第九十八条の三 管財人は、裁判所の監督に属する。

 2 裁判所は、管財人に対しその選任を証する書面を交付しなければならない。

 3 管財人は、その職務を行なうにあたり、利害関係人の請求があるときは、前項の書面を示さなければならない。

  (管財人の注意義務)

 第九十八条の四 管財人は、善良な管理者の注意をもつてその職務を行なわなければならない。

 2 管財人が前項の注意を怠つたときは、その管財人は、利害関係人に対して連帯して損害賠償の責めに任ずる。

  (管財人の解任)

 第九十八条の五 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより又は職権で、管財人を解任することができる。この場合においては、その管財人を審尋しなければならない。

  第百一条を次のように改める。

  (調査委員)

 第百一条 裁判所は、必要があると認めるときは、一人又は数人の調査委員を選任することができる。

 2 調査委員は、裁判所の命ずるところにより、次に掲げる事項について、調査してその結果を裁判所に報告し、又は裁判所に意見を陳述しなければならない。

  一 更生手続開始の原因たる事実及び第三十八条第二号から第七号までに掲げる事由の有無、会社の業務及び財産の状況その他更生手続の開始に必要な事項並びに更生手続を開始することの当否

  二 第三十九条第一項若しくは第二項又は第七十二条に定める処分を必要とする事情の有無及びその処分の要否

  三 管財人の作成する財産目録及び貸借対照表の当否並びに会社の業務及び財産の管理状況その他裁判所の命ずる事項に関する管財人の報告の当否

  四 更生計画案又は更生計画の当否

  五 その他更生事件に関し調査委員による調査報告又は意見の陳述を必要とする事項

 3 調査委員は、その職務を行なうに適した者で利害関係のないもののうちから、選任しなければならない。

  第三章中第百一条の次に次の二条を加える。

 第百一条の二 調査委員の調査報告又は意見に関する書類は、利害関係人の閲覧に供するため裁判所に備えて置かなければならない。

 第百一条の三 第九十五条、第九十七条第一項及び第九十八条の二から第九十八条の五までの規定は、調査委員に準用する。

  第百四条の次に次の一条を加える。

  (継続的給付を目的とする双務契約)

 第百四条の二 会社に対して継続的給付の義務を負う双務契約の相手方は、更生手続開始の申立て前の給付に係る更生債権又は更生担保権について弁済がないことを理由としては、更生手続開始後は、その義務の履行を拒むことができない。

 2 前項の双務契約の相手方が更生手続開始の申立て後更生手統開始前にした給付に係る請求権(一定期間ごとに債権額を算定すべき継続的給付については、申立ての日の属する期間内の給付に係る請求権を含む。)は、共益債権とする。

 3 前二項の規定は、労働契約には、適用がないものとする。

  第百十二条中「但し」を「ただし、次条第一項及び第四項に掲げる請求権については、管財人が裁判所の許可を得て弁済をする場合」に改め、「任意に給付をする場合」の下に「、徴収の権限を有する者が還付金又は過誤納金をもつて充当をする場合」を加える。

  第百十二条の次に次の一条を加える。

  (更生債権の弁済の許可)

 第百十二条の二 会社を主要な取引先とする中小企業者が、その有する更生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障をきたす虞れがあるときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより、又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。

 2 裁判所は、前項の規定による許可をするについては、会社と同項の中小企業者との取引の状況、会社の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない。

 3 管財人は、更生債権者から第一項の申立てをすベきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告し、なお、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なくその事情を裁判所に報告しなければならない。

 4 少額の更生債権を早期に弁済することにより更生手続を円滑に進行することができるときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。

  第百十九条の次に次の二条を加える。

  (使用人の退職手当の請求権)

 第百十九条の二 更生計画認可の決定前に退職した会社の使用人の退職手当の請求権は、退職前六月間の給料の総額に相当する額又はその退職手当の額の三分の一に相当する額のうちいずれか多い額を限度として、共益債権とする。

 2 前項の退職手当の請求権で定期金債権であるものは、同項の規定にかかわらず、各期における定期金につき、その額の三分の一に相当する額を共益債権とする。

 3 前二項の規定は、第二百八条の規定により共益債権とされる退職手当の請求権については、適用しない。

  (開始前の借入金等)

 第百十九条の三 会社の取締役又は保全管理人が更生手続開始の申立て後更生手続開始前に、裁判所の許可を得て、資金の借入れ、原材料の購入その他会社の事業の継続に欠くことができない行為をしたときは、その行為によつて生じた請求権は、共益債権とする。

  第百二十二条第一項中「二年」を「三年」に改め、同条第三項中「第一項」の下に「又は第二項」を加え、同項を同第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 更生手続開始の決定の日から一年を経過する日(その日までに更生計画認可の決定があるときは、その決定の日)までの間に生ずる延滞税、利子税又は延滞金について、前項の規定により徴収の権限を有する者の同意を要するものとされる定めをするには、同項の規定にかかわらず、その者の意見を聞くものとする。納税の猶予又は滞納処分による財産の換価の猶予の定めをする場合におけるその猶予期間に係る延滞税又は延滞金についても、また同様である。

  第百二十三条第一項に次のただし書を加える。

   ただし、利息又は不履行による損害賠償若しくは違約金の請求権については、更生手続開始後一年を経過する時(その時までに更生計画認可の決定があるときは、その決定の時)までに生ずるものに限る。

  第百二十三条第二項中「第百十二条」を「第百十二条の二」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 前項ただし書の規定は、社債に関しては、適用しない。

  第百二十四条第三項の次のただし書を加える。

   ただし、更生手続開始後の利息並びに不履行による損害賠償及び違約金の額は、被担保債権の額に算入しない。

  第百二十四条の次に次の一条を加える。

  (更生担保権に係る担保権の目的の価額)

 第百二十四条の二 更生担保権に係る担保権の目的の価額は、会社の事業が継続するものとして評定した更生手続開始の時における価額とする。

  第百二十五条に次の一項を加える。

 4 更生債権の消滅その他届け出た事項について他の更生債権者の利益を害しない変更が生じたときは、更生債権者又は管財人は、遅滞なくその旨を裁判所に届け出、かつ、証拠書類又はその謄本若しくは抄本を提出しなければならない。

  第百二十六条第二項中「前条第三項」の下に「及び第四項」を加える。

  第百二十七条の次に次の一条を加える。

  (退職手当の請求権の届出の特例)

 第百二十七条の二 会社の使用人の退職手当の請求権については、その届出は、退職した後にするものとする。

 2 会社の使用人が裁判所の定めた届出期間経過後更生計画認可の決定前に退職したときは、その退職手当の請求権の届出は、退職後一月の不変期間内にすれば足りる。

 3 前二項の規定は、会社の取締役、代表取締役又は監査役の退職手当の請求権に準用する。この場合において、前項中「退職したとき」とあるのは、「退職したとき、又は第二百五十二条第三項の規定により解任されたとき」と読み替えるものとする。

  第百三十条及び第百三十一条を次のように改める。

 第百三十条 記名株式を有する株主として更生手続に参加することができる者は、株主名簿の記載によつて定める。

 2 裁判所は、前項の規定により更生手続に参加することができる者を定めるため必要があるときは、二月をこえない期間を定め、会社に対してその期間内株主名簿の記載の変更をしないことを命ずることができる。

 3 裁判所は、前項の期間をその二週間前に公告しなければならない。

 第百三十一条 無記名式の株券を有する者が更生手続に参加するには、管財人に、株券を預託し、かつ、その氏名及び住所を届け出なければならない。

  第百三十一条の次に次の一条を加える。

  (株主の参加の許可)

 第百三十一条の二 裁判所は、株主名簿に記載のない株主又は前条の規定による株券の預託をすることができない株主の申立てにより、その株主が更生手続に参加することを許可することができる。この場合においては、その許可に係る株式については、前二条の規定にかかわらず、許可を受けた者以外の者は、株主として更生手続に参加することができない。

 2 裁判所は、株主の申立てにより又は職権で、前項の規定による決定を変更し、又は取り消すことができる。

 3 前二項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

  第百三十二条(見出しを含む。)中「、更生担保権者表及び株主表」を「及び更生担保権者表」に改め、同条中

株主表

一 株主の氏名及び住所

二 株式の額面無額面の別、種類及び数

 を削る。

  第百三十三条中「、更生担保権者表及び株主表」を「及び更生担保権者表」に改める。

  第百三十四条の見出し中「書類等の備置」を「書類の備置き等」に改め、同条中「、更生担保権及び株式」を「及び更生担保権」に、「、更生担保権者表並びに株主表」を「並びに更生担保権者表」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 管財人は、利害関係人の請求があつたときは、第百三十一条の規定による株式の届出に関する書類を閲覧させなければならない。

  第百三十六条第二項中「、更生担保権者及び」を「及び更生担保権者並びに」に改める。

  第百四十一条第一項中「会社並びに」を「会社、」に、「、更生担保権者及び」を「及び更生担保権者並びに」に改め、同条第三項中「第十四条第三項及び第四項」を「第十四条第四項及び第五項」に改め、同条に次の一項を加える。

 4 会社が無記名式の株券を発行しているときは、裁判所は、第一項の期日を公告しなければならない。この場合には、第十五条第二項の規定は、適用しない。

  第百四十三条の次に次の一条を加える。

  (退職手当の請求権の調査及び確定の特例)

 第百四十三条の二 第百二十七条の二第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定による届出があつた場合においては、その届出があつた退職手当の請求権については、第百三十五条から第百四十二条までの規定による調査は行なわず、裁判所は、直ちにその届出があつた旨を管財人及び会社に通知しなければならない。その届出があつた事項について他の更生債権者又は更生担保権者の利益を害すべき変更が加えられた場合も、また同様である。

 2 前条の規定は、前項の通知があつた日から三日内に同項の退職手当の請求権について管財人の異議がなかつた場合に準用する。

  第百四十六条に後段として次のように加える。

   第百四十三条の二第一項の規定による通知があつた日から三日内に同項の退職手当の請求権について管財人の異議があつた場合も、また同様である。

  第百四十七条第二項中「調査」の下に「(前条後段の場合にあつては、同条後段の規定による通知)」を加える。

  第百五十九条第三項中「会社並びに」を「会社、」に、「、更生担保権者及び」を「及び更生担保権者並びに」に改め、同条第五項中「第百四十一条」を「第百四十一条第一項から第三項まで」に改める。

  第百六十一条の次に次の一条を加える。

  (商法による留置権の消滅請求)

 第百六十一条の二 管財人は、更生手続開始当時会社財産につき商法による留置権を有する者に対して、その留置権によつて担保された債権額、その債権額が留置権の目的の価額をこえるときは、その目的の価額に相当する金銭を供託して、留置権の消滅を請求することができる。

 2 前項の規定により留置権が消滅したときは、その留置権を有していた者は、同項の供託金の上に質権者と同一の権利を有する。

  第百六十三条中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

  二 更生債権者又は更生担保権者が支払の停止又は破産、和議開始、更生手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立てがあつたことを知つて会社に対して債務を負担したとき。ただし、その負担が法定の原因に基づくとき、更生債権者若しくは更生担保権者が支払の停止若しくは破産、和議開始、更生手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立てがあつたことを知つた時より前に生じた原因に基づくとき、又は破産宣告、和議開始、更生手続開始、整理開始若しくは特別清算開始のいずれの時よりも一年以上前に生じた原因に基づくときは、この限りでない。

  第百六十四条第一項中「、更生担保権者及び」を「及び更生担保権者、」に改める。

  第百六十九条中「並びに届出をした更生債権者、更生担保権者及び」を「、届出をした更生債権者及び更生担保権者並びに」に改める。

  第百七十六条第二項に後段として次のように加える。

   第二百十一条第三項又は第二百四十八条の二第一項の規定により会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利が取締役に付与されたときも、また同様である。

  第百七十七条中「一切の財産の価額」を「一切の財産につき手続開始の時における価額」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 前項の規定による評定は、会社の事業を継続するものとしてしなければならない。

  第百七十八条第一項中「更生手続開始後遅滞なく、」を「前条の規定による評定を完了したときは、直ちに」に改め、同条第二項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 裁判所は、前条の規定による評定の完了前において必要があると認めるときは、管財人に対し、まだその評定の終わらない財産については商法第二百八十五条ノ二から第二百八十五条ノ七まで(財産の評価)の規定による価額を附して、更生手続開始の時における財産目録及び貸借対照表を作成すべきことを命ずることができる。

  第百八十条第三号を削る。

  第百八十二条を次のように改める。

 第百八十二条 前条の財産目録及び貸借対照表に記載すべき財産の評価については、第百七十七条の規定により評定した価額を取得価額とみなして、商法第二百八十五条ノ二から第二百八十五条ノ七まで(財産の評価)の規定を準用する。

 2 更生計画案又は更生計画において譲渡することが定められている財産については、前項の規定にかかわらず、処分価額を附することができる。ただし、更生計画認可の決定前においては、裁判所の許可を得なければならない。

 3 清算を内容とする計画案の作成について裁判所の許可があつた場合においては、第一項の規定にかかわらず、一切の財産について処分価額を附さなければならない。

  第百八十八条中「会社並びに」を「会社、」に「、更生担保権者及び」を「及び更生担保権者並びに」に改める。

  第百八十九条第一項中「、更生担保権及び株式」を「及び更生担保権」に改める。

  第百九十条第一項及び第百九十三条中「会社並びに」を「会社、」に、「、更生担保権者及び」を「及び更生担保権者並びに」に改める。

  第百九十四条第一項中「業務を監督する」を「事業を所管する」に、「その他の行政機関」を「その他裁判所が相当と認める者」に改め、同条第三項中「業務を監督する」を「事業を所管する」に改める。

  第二百条第二項中「、更生担保権者及び株主(議決権を行使することができない者を除く。)」を「及び更生担保権者、株主」に改め、同項に次のただし書を加える。

   ただし、議決権を行使することができない更生債権者、更生担保権者及び株主に対しては、この限りでない。

  第二百五条中「又は」を「については議決権を行使することができる更生担保権者の議決権の総額の五分の四以上に当たる議決権を有する者、」に改める。

  第二百八条第五号中「管財人が」を「管財人又は会社の取締役が更生手続開始後に」に改める。

  第六章中第二百十条の次に次の一条を加える。

  (共益債権に基づく強制執行の中止等)

 第二百十条の二 共益債権に基づき会社財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが会社の更生に著しい支障を及ぼし、かつ、会社が他に換価の容易な財産を有するときは、裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、担保を供させ、又は供させないで、その強制執行又は仮差押えの中止又は取消しを命ずることができる。

 2 裁判所は、前項の規定による中止の決定を変更し、又は取り消すことができる。

 3 会社財産が共益債権の総額を弁済するのに足りないことが明らかになつたときは、裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、第一項の強制執行又は仮差押えの取消しを命ずることができる。

 4 前三項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。

  第二百十一条に次の一項を加える。

 3 計画においては、会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利を取締役に付与する旨を定めることができる。

  第二百十五条の次に次の一条を加える。

  (弁済した更生債権等)

 第二百十五条の二 更生債権及び更生担保権については、第百十二条の二第一項又は第四項(第百二十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定による裁判所の許可を得て弁済したものを明示しなければならない。

  第二百三十七条第一項中「、更生担保権者又は株主」を「又は更生担保権者」に改める。

  第二百三十九条中「、更生担保権者表及び株主表」を「及び更生担保権者表」に改める。

  第二百四十一条中「但し、」を「ただし、更生手続開始後会社の取締役、代表取締役、監査役又は使用人であつた者で、更生計画認可の決定後も引き続き会社の取締役、代表取締役、監査役又は使用人として在職しているものの退職手当の請求権並びに」に改める。

  第二百四十四条の見出し中「届出をしない」及び同条中「株式の届出をしなかつた」を「更生手続に参加しなかつた」に改める。

  第二百四十七条中第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。

 2 第二百十一条第三項又は第二百四十八条の二第一項の規定により会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利が取締役に付与された場合においては、管財人は、取締役が計画を実行するにつき、これを監督する。

  第二百四十七条に次の一項を加える。

 4 第二項の規定は、新会社(合併によつて設立される新会社を除く。以下本項中同じ。)の計画の実行に対する管財人の監督について、第九十八条の二の規定は、新会社に対する管財人の調査について準用する。

  第二百四十八条の次に次の一条を加える。

  (更生計画認可後の取締役に対する権利付与)

 第二百四十八条の二 裁判所は、更生計画に第二百十一条第三項の規定による定めがない場合においても、相当と認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利を取締役に付与することができる。

 2 裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、前項の規定による決定を取り消すことができる。

 3 裁判所は、前二項の規定による決定をしたときは、その旨を公告しなければならない。

  この場合には、第十五条の規定は、適用しない。

  第二百五十四条第一項中「決定の時」の下に「又は計画において特に定めた時」を加える。

  第二百五十五条第四項中「又は株主」を「又ハ株主」に改める。

  第二百六十九条第五項中「第十九条」を「第十八条の二から第十九条まで」に改め、同条第六項本文を次のように改め、同項を同条第九項とする。

   計画において新会社が会社から不動産又は船舶に関する権利の移転又は設定を受けることを定めた場合におけるその移転又は設定の登記の登録免許税の税率は、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、千分の四とする。

  第二百六十九条第五項の次に次の三項を加える。

 6 計画において会社が新株を発行することを定めた場合(次項に該当する場合を除く。)における資本の増加の登記の登録免許税の税率は、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)第九条(課税標準及び税率)の規定にかかわらず、千分の一(増加した資本の金額のうち、更生債権者、更生担保権者又は株主に対しあらたに払込み又は現物出資をさせないで新株を発行する部分に相当する金額以外の金額に対応する部分については、千分の三・五)とする。

 7 計画において会社が他の会社と合併することを定めた場合における新会社の設立又は合併による資本の増加の登記の登録免許税の税率は、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、千分の一(それぞれ資本の金額又は合併により増加した資本の金額のうち、合併により消滅した会社の当該合併の直前における資本の金額に対応する部分に相当する金額及び更生債権者又は更生担保権者に株式を割り当てる部分に相当する金額以外の金額に対応する部分については、千分の三・五)とする。

 8 計画において合併によらないで新会社を設立することを定めた場合における新会社の設立の登記の登録免許税の税率は、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、千分の一(資本の金額のうち、更生債権者、更生担保権者又は株主に対しあらたに払込み又は現物出資をさせないで株式を発行する部分に相当する金額以外の金額に対応する部分については、千分の三・五)とする。

  第二百七十条第二項中「更生手続開始後の」を削る。

  第二百七十一条第一項中「会社又は」を「会社、」に、「、更生担保権者若しくは」を「若しくは更生担保権者又は」に改め、同条中第三項を第四項とし、第二項の次に次の一項を加える。

 3 計画の変更により第二百十一条第三項の規定による定めを取り消したときは、裁判所は、その旨を公告しなければならない。この場合には、第十五条の規定は、適用しない。

  第二百七十三条の見出しを「(更生計画認可前の廃止)」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 第二百七十三条の二 更生計画認可の決定前に更生の見込みがないことが明らかになつたときは、裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、更生手続廃止の決定をしなければならない。

  第二百七十四条の見出しを削る。

  第二百八十三条中「又は第二百七十四条」を「から第二百七十四条まで」に改める。

  第二百八十五条第一項中「調査委員」の下に「、保全管理人、監督員」を、「法律顧問」の下に「、保全管理人代理」を加える。

  第二百九十二条第一項中「調査委員」の下に「、保全管理人、監督員」を、「法律顧問」の下に「、保全管理人代理」を加え、同条第二項中「管財人が法人であるときは、管財人」を「調査委員、保全管理人又は管財人(以下本条中「管財人等」という。)が法人であるときは、管財人等」に、「管財人が法人である場合」を「管財人等が法人である場合」に、「管財人の職務に関し管財人」を「管財人等の職務に関し管財人等」に改め、同条第三項中「管財人」を「管財人等」に改める。

  第二百九十四条中「第四十一条第一項に掲げる者が同条(第百一条において準用する場合を含む。)」を「会社又は新会社(合併によつて設立される新会社を除く。)の取締役、監査役又は支配人その他の使用人が第九十八条の二第一項(第四十三条第一項、第三項、第百一条の三又は第二百四十七条第四項において準用する場合を含む。」に改める。

  第二百九十五条第一項中第二号を第三号とし、第一号を第二号とし、同号の前に次の一号を加える。

  一 第百三十条第二項の規定による裁判所の命令に違反したとき。

  第二百九十五条第二項中「前項第一号」を「前項第二号」に改める。

 (破産法の一部改正)

第二条 破産法(大正十一年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。

  第百四条中第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

  二 破産債権者ガ支払ノ停止又ハ破産ノ申立アリタルコトヲ知リテ破産者ニ対シテ債務ヲ負担シタルトキ但シ其ノ負担ガ法定ノ原因ニ基クトキ、破産債権者ガ支払ノ停止若ハ破産ノ申立アリタルコトヲ知リタル時ヨリ前ニ生ジタル原因ニ基クトキ又ハ破産宣告ノ時ヨリ一年前ニ生ジタル原因ニ基クトキハ此ノ限ニ在ラズ

  第百二十条の次に次の一条を加える。

 第百二十条ノ二 前条ノ規定ハ破産財団ニ属スル権利ニシテ登記シタルモノニ関シ第百五十五条第一項ノ規定ニ依ル処分アリタル場合及其ノ処分ノ変更又ハ取消アリタル場合ニ之ヲ準用ス

  第百二十一条中「前二条」を「第百十九条及第百二十条」に改める。

  第百二十二条中「前三条」を「前四条」に改める。

  第百二十四条中「前四条」を「前五条」に改める。

  第百五十五条に次の一項を加える。

  第一項又ハ第二項ノ規定ニ依ル裁判ニ対スル即時抗告ハ執行停止ノ効力ヲ有セズ

 (和議法の一部改正)

第三条 和議法(大正十一年法律第七十二号)の一部を次のように改正する。

  第八条に次の一項を加える。

  破産法第百二十条ノ二、第百二十二条及第百二十四条ノ規定ハ債務者ノ財産ニシテ登記又ハ登録シタルモノニ関シ第二十条第一項ノ規定ニ依ル処分アリタル場合及其ノ処分ノ変更又ハ取消アリタル場合ニ之ヲ準用ス

  第二十条に次の一項を加える。

  前項ノ即時抗告ハ執行停止ノ効力ヲ有セズ

 (地方税法の一部改正)

第四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第七十三条の七第二号の次に次の一号を加える。

  二の二 会社更生法(昭和二十七年法律第百七十二号)第二百二十六条の規定により更生計画において会社から新会社に移転すべき不動産を定めた場合における新会社の当該不動産の取得

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和四十二年九月二十日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律の施行前に更生手続開始の申立てがあつた事件(以下「旧更生事件」という。)については、この附則に別段の定めがある場合を除き、第一条の規定による改正後の会社更生法(以下「新法」という。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。

3 新法第十八条の二第三項、第十八条の三及び第二十条(第二十二条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第二十五条、第三十五条第二項、第四十七条第二項、第四十八条第一項、第四十九条、第五十三条、第五十四条第九号、第五十四条の二、第五十五条、第九十六条第二項及び第三項、第九十八条の二(第百一条の三において準用する場合を含む。)、第百一条、第百一条の二、第百一条の三において準用する第九十五条及び第九十七条第一項、第百十二条、第百十二条の二、第百十九条の三、第百二十三条第三項、第百二十五条第四項、第百二十六条第二項、第百六十一条の二、第百七十六条第二項、第百九十四条第一項及び第三項、第二百八条第五号、第二百十一条第三項、第二百十五条の二、第二百四十七条第二項、第二百四十八条の二、第二百五十四条第一項、第二百六十九条第五項、第二百七十一条第三項、第二百七十三条の二並びに第二百八十三条の規定並びに新法の罰則でこれらの規定に係るものは、旧更生事件についても適用する。

4 新法第百六十三条第二号の規定は、この法律の施行後に更生手続開始の申立てがあつた事件については、この法律の施行後に債務負担の原因が生じ、かつ、債務を負担した場合に限り適用する。

5 新法第二百六十九条第六項から第九項までの規定は、この法律の施行の日以後に受ける登記又は登録につき課されるべき登録免許税について適用し、同日前に受けた登記又は登録につき課した又は課すべきであつた登録免許税については、なお従前の例による。

6 この法律の施行前に破産の申立て又は職権による破産の宣告があつた事件については、第二条の規定による改正後の第百五十五条第四項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

7 第二条の規定による改正後の破産法第百四条第二号(和議法第五条並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第四百三条第一項及び第四百五十六条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行前に破産の申立て若しくは職権による破産の宣告、和議開始の申立て、整理開始の申立て若しくは職権による整理開始の命令又は特別清算開始の申立て若しくは職権による特別清算開始の命令があつた事件については、適用せず、この法律の施行後にそれらの申立て、宣告又は命令があつた事件については、この法律の施行後に債務負担の原因が生じ、かつ、債務を負担した場合に限り適用する。

8 この法律の施行前に和議開始の申立てがあつた事件については、第三条の規定による改正後の和議法第二十条第四項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

9 第四条の規定による改正後の地方税法第七十三条の七第二号の二の規定は、この法律の施行の日以後の不動産の取得について適用し、同日前の不動産の取得については、なお従前の例による。

 (商業登記法の一部改正)

10 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第一項中「又は支配人若しくは」を「、支配人又は」に改め、「管財人」の下に「若しくは保全管理人」を加える。

(法務・大蔵・自治・内閣総理大臣署名) 

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