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法律第八十六号(昭四三・六・一)

  ◎金融機関の合併及び転換に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条―第六条)

 第二章 合併(第七条―第二十二条)

 第三章 転換(第二十三条―第二十八条)

 第四章 雑則(第二十九条―第三十一条)

 第五章 罰則(第三十二条―第三十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、他の法律による同種の金融機関相互間の合併に加えて、異種の金融機関相互間の合併及び転換の制度を設けることにより、金融機関が相互に適正な競争を行なうことができるような環境を整備して金融の効率化を図り、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げる者をいう。

 一 銀行法(昭和二年法律第二十一号)第二条(営業の免許)の免許を受けた銀行(以下「普通銀行」という。)及び相互銀行(以下「銀行」と総称する。)

 二 信用金庫

 三 信用協同組合

2 この法律において「転換」とは、金融機関が第四条の規定により異種の金融機関になることをいう。

3 この法律において「消滅金融機関」、「存続金融機関」又は「新設金融機関」とは、それぞれこの法律による合併により消滅する金融機関、当該合併後存続する金融機関又は当該合併により設立される金融機関をいう。

4 この法律において「総会」とは、銀行の株主総会又は信用金庫若しくは信用協同組合の通常総会若しくは臨時総会(信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十条第一項(総代会)の総代会を含む。)をいう。

 (合併)

第三条 次の各号に掲げる異種の金融機関は、合併を行なうことができる。この場合において、存続金融機関又は新設金融機関は、当該各号に掲げる金融機関のいずれか(第四号の場合にあつては、銀行)とする。

 一 普通銀行及び相互銀行

 二 銀行及び信用金庫

 三 信用金庫及び信用協同組合

 四 銀行及び信用協同組合

 (転換)

第四条 金融機関は、次に定めるところにより異種の金融機関になることができる。

 一 普通銀行が相互銀行になり、又は相互銀行が普通銀行になること。

 二 銀行がその組織を変更して信用金庫になること。

 三 信用金庫がその組織を変更して銀行又は信用協同組合になること。

 四 信用協同組合がその組織を変更して銀行又は信用金庫になること。

 (合併に関する適用法規の原則)

第五条 消滅金融機関、存続金融機関又は新設金融機関が銀行である場合には、この法律に定めるものを除くほか、当該銀行の合併に関する事項については、その営業の免許の基礎となつている法律及び商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の銀行又は株式会社の合併に関する規定に従い、又はその場合の例による。

2 消滅金融機関、存続金融機関又は新設金融機関が信用金庫である場合には、この法律に定めるものを除くほか、当該信用金庫の合併に関する事項については、信用金庫法に定める合併の場合の例による。

3 消滅金融機関、存続金融機関又は新設金融機関が信用協同組合である場合には、この法律に定めるものを除くほか、当該信用協同組合の合併に関する事項については、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)に定める合併の場合の例による。

 (認可)

第六条 この法律による金融機関の合併及び転換は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2 大蔵大臣は、前項の認可をしようとするときは、次の各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。

 一 合併又は転換が金融の効率化に資するものであること。

 二 合併又は転換により当該地域の中小企業金融に支障を生じないこと。

 三 合併又は転換が金融機関相互間の適正な競争関係を阻害する等金融秩序を乱すおそれがないこと。

 四 当該金融機関が合併又は転換後に行なおうとする業務を的確に遂行する見込みが確実であること。

3 大蔵大臣は、前項第二号又は第三号の基準につき審査しようとする場合において、合併又は転換が同種の金融機関相互間の合併を妨げることとならないよう配慮しなければならない。

4 大蔵大臣は、第二項各号の基準に照らし公益上必要があると認めるときは、その必要な限度において、第一項の認可に条件を附することができる。

5 第一項の認可を受けた合併又は転換による新設金融機関若しくは存続金融機関(合併により異種の金融機関になつたものに限る。)又は転換後の金融機関は、その種類に応じ、銀行法第二条、相互銀行法(昭和二十六年法律第百九十九号)第三条第一項若しくは信用金庫法第四条(営業又は事業の免許)の免許又は中小企業等協同組合法第二十七条の二第一項(設立の認可)の認可を受けたものとみなす。

6 大蔵大臣は、第一項の認可をしようとする場合において、消滅金融機関又は転換前の金融機関が中小企業等協同組合法第百十一条第一項(所管行政庁)の規定により都道府県知事を行政庁とする信用協同組合であるときは、当該都道府県知事の意見をきかなければならない。

7 存続金融機関若しくは新設金融機関又は転換後の金融機関が前項の信用協同組合である場合における第一項から第四項までの規定の適用については、これらの規定中「大蔵大臣」とあるのは、「都道府県知事」とする。この場合において、当該都道府県知事は、第一項の認可に関する処分をしようとするときは、大蔵大臣の承認を受けなければならない。

   第二章 合併

 (合併契約書の承認)

第七条 金融機関は、第三条第二号から第四号までの規定による合併(第十七条を除き、以下「合併」という。)を行なうには、合併契約書を作成して総会の承認を受けなければならない。

2 合併を行なう銀行における前項の承認の決議(以下「合併決議」という。)については、次に定めるところによる。

 一 存続金融機関又は新設金融機関が銀行であるときは、商法第四百八条第三項及び第四項(合併契約書の承認)の規定を準用する。

 二 存続金融機関又は新設金融機関が信用金庫であるときは、総株主の過半数であつて、かつ、発行済株式の総数の三分の二以上に当たる多数によつてしなければならない。この場合には、商法第三百四十八条第二項(議決権のない株主)の規定を準用する。

3 前項第二号の場合において、存続金融機関又は新設金融機関たる信用金庫の会員となる資格を有しない株主があるときは、同号の合併決議のほか、当該株主による特定株主総会の決議があることを必要とする。

4 この法律及び商法の株主総会に関する規定は、前項の特定株主総会について準用する。この場合において、当該特定株主総会の決議については、第二項第二号の規定を準用する。

5 合併を行なう信用金庫又は信用協同組合における合併決議については、それぞれ信用金庫法第四十八条又は中小企業等協同組合法第五十三条(特別の決議)の規定を準用する。

 (総会招集の通知)

第八条 銀行は、合併決議を行なう場合には、商法第二百三十二条(株主総会の招集通知)の規定による通知及び公告において、合併契約書の要領をも示さなければならない。

2 信用金庫又は信用協同組合が合併決議を行なう場合には、前条第一項の総会(以下「合併総会」という。)の招集は、その会日の二週間前までに、会議の目的たる事項のほか、合併契約書の要領を示してしなければならない。

 (会員等に対する新株の割当てに関する措置)

第九条 存続金融機関又は新設金融機関たる銀行は、合併契約書に定める割当ての期日における消滅金融機関たる信用金庫又は信用協同組合の会員又は組合員(第十四条第一項の請求をしている者その他政令で定める者を除く。)に対して合併により発行する新株を割り当てるものとする。

2 銀行を存続金融機関又は新設金融機関とする合併を行なおうとする信用金庫又は信用協同組合は、前項の規定により新株の割当てを受けるべき会員又は組合員の権利の保全等に資するため、一定の日を定めてその日以後当該信用金庫若しくは信用協同組合への新たな出資又は持分の譲渡を承諾しないことができる。

3 信用金庫又は信用協同組合は、前項の日を定めたときは、これを公告しなければならない。

 (新設合併の設立委員等)

第十条 合併により金融機関を設立する場合には、定款の作成その他設立に関する行為(信用金庫又は信用協同組合を設立する場合にあつては、役員の選任を含む。)は、合併を行なう各金融機関において選任した設立委員が共同して行なわなければならない。

2 前項に規定する役員の選任については、次に定めるところによるものとし、その任期は、合併後最初の通常総会の日までとする。

 一 新設金融機関が信用金庫である場合には、当該信用金庫の会員になろうとする者(法人にあつては、その役員)のうちから選任するものとする。

 二 新設金融機関が信用協同組合である場合には、役員の定数の少なくとも三分の二は、当該信用協同組合の組合員になろうとする者(法人にあつては、その役員)のうちから選任するものとする。

 (債権者の異議)

第十一条 合併を行なう金融機関は、合併決議の日から二週間以内に、債権者に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、かつ、預金者、掛金者、定期積金の積金者及び金銭信託の受益者以外の知れている債権者には、各別にこれを通知しなければならない。

2 前項の期間は、一月を下つてはならない。

3 債権者が第一項の期間内に異議を述べなかつたときは、合併を承認したものとみなす。

4 債権者が第一項の期間内に異議を述べたときは、金融機関は、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は債権者に弁済を受けさせることを目的として信託業務を営む銀行若しくは信託会社に相当の財産を信託しなければならない。

5 普通銀行等の貯蓄銀行業務又は信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第七条第二項(異議のある受益者)の規定は、第十七条第二項の規定の適用がある場合を除くほか、信託業務を営む銀行の合併につき異議を述べた受益者がある場合について準用する。

 (合併に反対する株主の株式買取請求権)

第十二条 銀行と信用金庫又は信用協同組合とが合併を行なう場合において、存続金融機関又は新設金融機関が銀行であるときは、合併を行なう銀行の株主で、合併総会に先だつて当該銀行に対し書面をもつて合併に反対の意思を通知し、かつ、当該総会において合併契約書の承認に反対したものは、当該銀行に対し、その者の所有する株式を、合併決議がなかつたならばその株式の有していたであろう公正な価格で買い取るべき旨の請求をすることができる。

2 商法第二百四十五条ノ三(買取請求の手続)及び第二百四十五条ノ四(買取請求の失効)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百二十六条第一項(管轄裁判所)及び第百三十二条ノ六(株式買取価格の決定)の規定は、前項の請求について準用する。

3 第一項の合併を行なう銀行は、同項の請求に基づき取得した自己の株式を相当の時期に処分しなければならない。

 (合併に反対する株主の支払請求権等)

第十三条 銀行と信用金庫とが合併を行なう場合において、存続金融機関又は新設金融機関が信用金庫であるときは、消滅金融機関たる銀行は、次に掲げる株主に対し、合併決議がなかつたならばその者の所有する株式の有していたであろう公正な価格に相当する金額を合併の日に支払わなければならない。

 一 合併総会に先だつて当該銀行に対し書面をもつて合併に反対の意思を通知し、かつ、当該総会において合併契約書の承認に反対した株主で、合併決議の日から二十日以内に当該銀行に対し書面をもつて当該金額の支払を請求したもの

 二 合併契約書に定める出資の割当ての期日において当該信用金庫の会員たる資格を有しない株主

2 前項の信用金庫は、同項各号に掲げる者に対しては、出資の割当てをしないものとする。

3 第一項の規定により支払うべき金額の決定について、合併決議の日から六十日以内(同項第二号に掲げる株主については、出資の割当ての期日から三十日以内)に、同項の銀行と株主との間で協議が整わないときは、株主は、裁判所に対し価格の決定を請求することができる。

4 前項の価格の決定があつたときは、存続金融機関又は新設金融機関たる信用金庫は、裁判所の決定する価格に対する合併の日後の法定利息をも支払わなければならない。

5 非訟事件手続法第百二十六条第一項(管轄裁判所)並びに第百三十二条ノ六第二項及び第三項(株式買取価格の決定)の規定は、第三項の請求による価格の決定について準用する。

 (合併に反対する会員等の持分払戻請求権)

第十四条 合併を行なう信用金庫又は信用協同組合の会員又は組合員で、合併総会に先だつて当該信用金庫又は信用協同組合に対し書面をもつて合併に反対の意思を通知したものは、合併決議の日から二十日以内に書面をもつて持分の払戻しを請求することにより、合併の日に当該信用金庫又は信用協同組合を脱退することができる。

2 信用金庫法第十八条又は中小企業等協同組合法第二十条(脱退者の持分の払戻し)の規定は、前項の規定により脱退する場合について準用する。この場合には、合併の日をこれらの規定に規定する脱退した事業年度の終りとみなす。

 (合併の登記)

第十五条 金融機関が合併を行なうときは、存続金融機関については変更の登記を、新設金融機関については設立の登記を、消滅金融機関については解散の登記をしなければならない。

2 前項の登記の申請書に添附すべき書類については、政令で別段の定めをすることができる。

 (合併の効力発生及び効果)

第十六条 金融機関の合併は、存続金融機関又は新設金融機関が、その本店又は主たる事務所の所在地において、合併による変更又は設立の登記をすることによつてその効力を生ずる。

2 存続金融機関又は新設金融機関は、消滅金融機関の権利義務を承継する。

 (業務の継続の特例)

第十七条 存続金融機関又は新設金融機関は、その営業又は事業に関する法令により行なうことができない業務に属する契約又は制限されている契約に係る権利義務を合併により承継した場合には、これらの契約のうち、期限の定めのあるものについては期限満了まで、期限の定めのないものについては承継の日から一年以内の期間に限り、これらの契約に関する業務を継続することができる。

2 外国為替業務又は信託業務を営む銀行が合併により消滅する場合において、存続金融機関又は新設金融機関がこれらの業務を営むことができない金融機関であるときは、前項の規定は、当該外国為替業務又は信託業務(これらの附随業務を含む。)については適用しない。

 (準備金の積立て)

第十八条 金融機関が合併を行なつた場合において、消滅金融機関から承継した財産の価額が、当該金融機関から承継した債務の額及び当該金融機関の株主、会員又は組合員に支払つた金額並びに存続金融機関の増加した資本若しくは出資の額又は新設金融機関の資本若しくは出資の額をこえるときは、そのこえる額については、次に定めるところによる。

 一 存続金融機関又は新設金融機関が銀行であるときは、商法第二百八十八条ノ二第一項(資本準備金)の資本準備金として積み立てなければならない。この場合には、同条第二項(合併の場合の準備金の積立て)の規定を準用する。

 二 存続金融機関又は新設金融機関が信用金庫又は信用協同組合であるときは、政令で定める額を除くほか、これらの金融機関が法律の規定により積み立てるべき準備金として積み立てなければならない。

 (質権の効力)

第十九条 消滅金融機関の株式又は持分を目的とする質権は、当該消滅金融機関の株主、会員又は組合員が合併により受けるべき金銭、株式又は持分の上に存在する。

2 消滅金融機関は、合併決議を行なつたときは、当該決議の日から二週間以内に、その旨を前項の質権を有する者で知れているものに各別に通知しなければならない。

 (差押えの効力)

第二十条 消滅金融機関の株式又は持分の差押え(仮差押えを含む。次項において同じ。)は、当該消滅金融機関の株主、会員又は組合員が合併により受けるべき金銭、株式又は持分にその効力を有する。

2 前項の規定は、消滅金融機関たる銀行の株式については、その差押えにつき執行官又は滞納処分(その例による処分を含む。)を執行する機関から当該銀行に対し通知があつたものに限り適用する。

3 前二項の規定の適用について必要な手続は、最高裁判所が定めるものを除くほか、政令で定める。

 (商法等の準用)

第二十一条 商法第四百八条ノ二(貸借対照表の備置き等)の規定は、合併を行なう信用金庫又は信用協同組合について準用する。

2 商法第三百七十九条(端株の処置)並びに非訟事件手続法第百二十六条第一項(管轄裁判所)及び第百三十二条ノ三(端株の任意売却許可の申請)の規定は、次の場合について準用する。

 一 銀行を存続金融機関又は新設金融機関とする合併を行なう信用金庫又は信用協同組合につき新株の割当てに適しない端数の出資がある場合

 二 信用金庫を存続金融機関又は新設金融機関とする合併を行なう銀行につき出資の割当てに適しない端数の株式がある場合

3 商法第百四条(合併に係る銀行については、同条第一項及び第三項並びに同法第四百十五条)、第百五条、第百六条及び第百八条から第百十一条まで(合併無効の訴え)並びに非訟事件手続法第百二十六条第一項(管轄裁判所)、第百三十五条ノ七(合併無効の登記)及び第百四十条(裁判の謄本の添附)の規定は、金融機関の合併について準用する。

 (私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)

第二十二条 銀行と合併を行なう信用金庫又は信用協同組合は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第十五条(会社の合併)に係る規定の適用については、会社とみなす。

   第三章 転換

 (転換計画書の承認等)

第二十三条 金融機関は、転換を行なうには、転換計画書を作成して、商法第三百四十三条、信用金庫法第四十八条(同法第五十条第五項において準用する場合を含む。)又は中小企業等協同組合法第五十三条(特別の決議)の決議により、総会の承認を受けなければならない。この場合において、信用金庫に転換を行なう銀行については、第七条第二項第二号、第三項及び第四項の規定を準用する。

2 前項の総会においては、同項の決議により、第四条第一号の転換については転換前の金融機関の定款の変更を、同条第二号から第四号までの転換については転換後の金融機関の定款の作成をしなければならない。

3 第十条第二項の規定は、第一項の総会において転換後の金融機関たる信用金庫又は信用協同組合の役員を選任する場合について準用する。

4 信用金庫法第五十条第六項(合併等の決議に係る通知)及び第五十条の二(総会と総代会の関係)の規定は、信用金庫の転換について準用する。

 (合併に関する規定の準用)

第二十四条 次の各号に掲げる規定は、当該各号に掲げる場合について準用する。

 一 第八条 金融機関が前条第一項の承認の決議(以下「転換決議」という。)を行なう場合

 二 第九条及び第二十一条第二項第一号 信用金庫又は信用協同組合が銀行に転換を行なう場合

 三 第十一条第一項から第四項まで及び第十八条から第二十条まで 金融機関が第四条第二号から第四号までの規定による転換を行なう場合

 四 第十三条及び第二十一条第二項第二号 銀行が信用金庫に転換を行なう場合

 五 第十四条 信用金庫又は信用協同組合が転換を行なう場合

 六 第十七条 金融機関が転換を行なう場合

2 前項の場合において、同項各号に掲げる規定中「合併」とあるのは「転換」と、「合併決議」とあるのは「転換決議」と、「合併契約書」とあるのは「転換計画書」と、「合併総会」とあるのは「第二十三条第一項の総会」と、「消滅金融機関」とあるのは「転換前の金融機関」と、「存続金融機関又は新設金融機関」とあるのは「転換後の金融機関」と、第八条第一項中「要領」とあるのは「要領及び転換後の金融機関の定款に関する議案の要領」と、それぞれ読み替えるものとする。

 (資本等の総額及び取締役等のてん補責任)

第二十五条 金融機関が転換(第四条第一号の規定による転換を除く。第三十九条第二号を除き、以下同じ。)を行なう場合には、転換に際して発行する株式の発行価額の総額又は転換に際して定められる出資の総額は、当該金融機関に現に存する純資産額をこえることができない。

2 前項の場合において、転換後の金融機関に現に存する純資産額が同項に規定する総額に不足するときは、転換決議の当時の銀行の取締役又は信用金庫若しくは信用協同組合の理事は、それぞれ転換後の金融機関に対し連帯してその不足額を支払う義務を負う。

3 前項の義務は、総会の決議がなければ免除することができない。

 (転換の登記)

第二十六条 金融機関が転換を行なつたときは、転換の日から本店又は主たる事務所の所在地においては二週間以内に、支店又は従たる事務所の所在地においては三週間以内に、転換前の金融機関については解散の登記を、転換後の金融機関については当該金融機関の設立の登記に関する規定に定める登記をしなければならない。

2 商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七十一条及び第七十三条(組織変更の登記)の規定は、前項の場合について準用する。

3 第一項の登記の申請書に添附すべき書類については、政令で別段の定めをすることができる。

 (転換無効の訴え)

第二十七条 金融機関の転換の無効は、本店又は主たる事務所の所在地において転換の日から六月以内に、訴えをもつてのみ主張することができる。

2 商法第百四条第二項(転換に係る銀行については、同法第四百十五条)及び第三項、第百五条第二項から第四項まで、第百六条並びに第百八条から第百十条まで(合併無効の訴え)並びに非訟事件手続法第百二十六条第一項(管轄裁判所)、第百三十五条ノ七(合併無効の登記)及び第百四十条(裁判の謄本の添附)の規定は、前項の訴えについて準用する。

 (事業年度)

第二十八条 金融機関が事業年度の中途において転換を行なう場合には、当該転換前の金融機関の事業年度は、転換の日に終了したものとみなす。

   第四章 雑則

 (認可事項実行の届出及び認可の失効)

第二十九条 金融機関が第六条第一項の認可を受けた事項を実行したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。

2 金融機関が第六条第一項の認可を受けた日から六月以内に、その認可を受けた事項を実行しないときは、その認可は、効力を失う。

3 前項の規定は、やむを得ない理由がある場合において、あらかじめ大蔵大臣の承認を受けたときは、適用しない。

4 存続金融機関若しくは新設金融機関又は転換後の金融機関が第六条第六項の信用協同組合である場合における第一項及び前項の規定の適用については、これらの規定中「大蔵大臣」とあるのは、「都道府県知事」とする。

 (権限の委任)

第三十条 大蔵大臣は、この法律による権限の一部を地方支分部局の長に行なわせることができる。

 (政令への委任)

第三十一条 第七条第一項の合併契約書又は第二十三条第一項の転換計画書に記載すべき事項その他この法律の執行に関し必要な事項は、政令で定める。

   第五章 罰則

第三十二条 第十条第一項の設立委員は、合併により銀行を設立する場合において、自己若しくは第三者の利益を図り又は新設金融機関たる銀行に損害を加える目的で、その任務にそむき当該銀行に財産上の損害を加えたときは、七年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

2 前項の未遂罪は、罰する。

第三十三条 金融機関の役員(銀行にあつては、商法第二百五十八条第二項又は第二百七十条第一項(これらの規定を同法第二百八十条において準用する場合を含む。)の職務代行者を含む。)は、第二十五条第一項の純資産額につき官公署又は総会(第二十三条第一項後段において準用する第七条第三項に規定する特定株主総会を含む。)に対して不実の申立てを行ない、又は事実を隠ペいしたときは、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

第三十四条 前二条の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

第三十五条 第十条第一項の設立委員は、合併により銀行を設立する場合において、その職務に関し不正の請託を受けて財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

2 前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者も、同項と同様とする。

第三十六条 次に掲げる事項に関し不正の請託を受けて財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をした者は、一年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

 一 第七条第三項(第二十三条第一項後段において準用する場合を含む。)に規定する特定株主総会又は第五条第一項の規定によりその例によることとされる商法(次号を除き、以下「商法」という。)第四百十二条若しくは第四百十三条に規定する株主総会若しくは創立総会(以下「総会等」と総称する。)における発言又は議決権の行使

 二 存続金融機関又は新設金融機関が銀行である場合の第二十一条第三項において準用する商法第百四条第一項に規定する訴えの提起

 三 転換後の金融機関が銀行である場合の第二十七条第一項に規定する訴えの提起

 四 総会等の決議に対する商法第二百四十七条第一項、第二百五十二条又は第二百五十三条第一項(これらの規定を第七条第四項(第二十三条第一項後段において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)に規定する訴えの提起

2 前項の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者も、同項と同様とする。

第三十七条 第三十五条第一項又は前条第一項の場合において、収受した財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

第三十八条 第三十五条第二項又は第三十六条第二項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。

第三十九条 金融機関の役員若しくは清算人(銀行にあつては、商法第二百五十八条第二項又は第二百七十条第一項(これらの規定を同法第二百八十条又は第四百三十条第二項において準用する場合を含む。)の職務代行者を含む。)又は第十条第一項の設立委員は、次の各号の一に該当する場合には、三十万円以下の過料に処する。ただし、その行為につき刑を科すべきときは、この限りでない。

 一 この法律に定める合併又は転換に関する登記を怠つたとき。

 二 この法律に定める合併若しくは転換に関する公告若しくは通知をすることを怠り、又は不正の公告若しくは通知をしたとき。

 三 合併又は転換に関して官公署又は総会等に対して不実の申立てを行ない、又は事実を隠ペいしたとき。

 四 第十一条第四項(第二十四条第一項第三号において準用する場合を含む。)の規定に違反して合併又は転換を行なつたとき。

 五 商法第四百八条ノ二(第二十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反して貸借対照表を備えて置かず、正当な理由がないのにその貸借対照表の閲覧を拒み、又はその謄本若しくは抄本の交付を拒んだとき。

 六 第十二条第三項の規定に違反して株式の処分を怠つたとき。

 七 総会等を定款に定めた地以外の地において、又は商法第二百三十三条(第七条第四項(第二十三条第一項後段において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定に違反して招集したとき。

 八 第十条第一項若しくは第二十三条第二項の規定により作成すべき定款又は総会等の議事録に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。

 九 第十八条(第二十四条第一項第三号において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。

   附 則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第一の第二十四号に次のように加える。

(八) 金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和四十三年法律第八十六号)第六条第一項(認可)の規定による合併(当該合併後存続する法人又は当該合併により設立する法人が同条第五項の規定により、当該合併を行なう法人の当該合併直前において受けていた免許と異なる種類の免許を受けたものとみなされるものに限る。)又は転換(当該転換後の法人が信用協同組合であるものを除く。)の認可

合併又は転換の件数

一件につき五万円

(法務・大蔵・内閣総理大臣署名) 

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