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法律第五号(昭四六・三・三)

  ◎外国証券業者に関する法律

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 免許等(第三条―第十六条)

 第三章 業務及び財務(第十七条―第二十六条)

 第四章 雑則(第二十七条―第三十二条)

 第五章 罰則(第三十三条―第三十九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、外国証券業者が国内の支店において証券業を営むことができるみちを開き、その営業活動につき適正な規制を加えることにより、資本市場の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 外国証券業者 外国の法令に準拠し、外国において証券業を営む者(証券会社を除く。)をいう。

 二 外国証券会社 次条第一項の免許を受けた外国証券業者をいう。

 三 有価証券、有価証券の募集、有価証券の売出し又は証券会社 それぞれ証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項から第四項まで又は第九項(定義)に規定する有価証券、有価証券の募集、有価証券の売出又は証券会社をいう。

 四 証券業 証券取引法第二条第八項各号に掲げる行為(以下「証券取引行為」という。)のいずれかを行なう営業をいう。

 五 国内 この法律の施行地をいう。

   第二章 免許等

 (営業の免許)

第三条 外国証券業者は、証券取引法第二十八条第一項(証券業の免許)の規定にかかわらず、国内に設ける支店ごとに大蔵大臣の免許を受けた場合に限り、当該支店において当該免許に係る証券業を営むことができる。

2 前項の免許を受けない外国証券業者は、国内にある者を相手方として証券取引行為を行なつてはならない。ただし、証券会社を相手方とする場合その他の場合で政令で定める場合は、この限りでない。

3 第一項の免許は、次に掲げる四種類とする。

 一 有価証券の売買を行なう業務の免許

 二 有価証券の売買の媒介、取次ぎ及び代理並びに有価証券市場(証券取引法第二条第十二項(定義)に規定する有価証券市場をいい、これに類する有価証券の市場で外国に所在するものを含む。)における売買取引の委託の媒介、取次ぎ及び代理を行なう業務の免許

 三 有価証券の引受け及び売出しを行なう業務の免許

 四 有価証券の募集及び売出しの取扱いを行なう業務の免許

4 証券取引法第二十九条(免許の条件)の規定は、第一項の免許について準用する。

 (免許の申請)

第四条 前条第一項の免許を受けようとする者は、当該免許を受けて業務を営もうとする支店につきその業務を担当する代表者(以下「支店の代表者」という。)を定め、次に掲げる事項を記載した免許申請書を大蔵大臣に提出しなければならない。

 一 商号及び本店の所在の場所

 二 資本の額

 三 役員(取締役及び監査役又はこれらに類する役職にある者をいう。以下同じ。)の役職名及び氏名

 四 当該支店の名称及び所在の場所

 五 当該支店の代表者の氏名及び国内の住所

 六 受けようとする免許の種類

 七 免許申請に係る業務と同種類の業務を開始した年月日

 八 本店及び当該支店以外の営業所の名称及び所在の場所

2 前項の免許申請書には、次に掲げる書類を添附しなければならない。

 一 定款及び会社登記簿の謄本(これらに準ずるものを含む。)並びに業務の内容及び方法を記載した書類

 二 当該支店の会社登記簿の謄本及び当該支店における業務の方法を記載した書類

 三 その他大蔵省令で定める書類

 (免許の審査基準)

第五条 大蔵大臣は、第三条第一項の免許をしようとするときは、次の各号に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。

 一 免許申請者及びその申請に係る支店(以下次条までにおいて「予定支店」という。)がその営もうとする業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有し、かつ、当該免許申請者及び当該予定支店の業務の収支の見込みが良好なものであること。

 二 免許申請者及びその予定支店が、その人的構成に照らして、その営もうとする業務を公正かつ的確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有するものであること。

 三 免許申請に係る証券業が、その営まれる地域における有価証券の取引の状況、証券会社及びその営業所の数、外国証券会社の支店(第三条第一項の免許を受けた支店をいう。以下同じ。)の数その他その地域における経済の状況に照らして、必要かつ適当なものであること。

 (免許の拒否要件)

第六条 大蔵大臣は、免許申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、第三条第一項の免許をしてはならない。

 一 株式会社と同種類の法人でないとき。

 二 免許申請に係る業務と同種類の業務を三年以上継続して営んでいる外国証券業者でないとき(政令で定める場合に該当するときを除く。)。

 三 法令上、すべての種類の有価証券に係る証券取引行為のいずれかを、その業務とともに営業として行なうことが認められない者の営む当該業務と同種類の業務を営んでいる者又はその者と密接な関係を有する者として政令で定める要件に該当する者(これらの者のうち政令で定める者を除く。)であるとき。

 四 第十二条第三項に規定する政令で定めるところにより計算した資本の額が、免許の種類、業務の態様及び予定支店の所在地に応じ、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして、証券取引法第三十二条第一号(免許の拒否要件)に規定する政令で定めるところに準じて政令で定める金額以上の法人でないとき。

 五 証券取引法若しくはこの法律(以下「国内証券法」と総称する。)の規定又はこれに相当する外国の法令の規定(以下「外国証券法令の規定」という。)により罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。第七号ロにおいて同じ。)に処せられ、その刑の執行を終わつた後又は執行を受けることがないこととなつた日から五年を経過するまでの者であるとき。

 六 その受けているすべての種類の免許若しくは申請に係る免許と同一種類の免許が第十二条第一項の規定により取り消され、又はその本店の所在する国において受けているすべての種類の証券業に係る免許(当該免許に類する許可、登録その他の行政処分を含む。以下「免許等」という。)若しくは申請に係る免許と同種類の免許等が外国証券法令の規定により取り消され、その取消しの日から五年を経過するまでの者であるとき。

 七 役員(いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該法人に対し役員と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条、第十二条及び第十三条において同じ。)及び予定支店の代表者のうちに次のいずれかに該当する者のある法人であるとき。

  イ 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者

  ロ 禁錮以上の刑若しくはこれに相当する外国の法令による刑又は国内証券法の規定若しくは外国証券法令の規定による罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わつた後又は執行を受けることがないこととなつた日から五年を経過するまでの者

  ハ 証券会社若しくは外国証券会社が、国内証券法の規定によりその受けているすベての種類の免許を取り消された場合において、その取消しの日以前三十日内にその証券会社若しくは外国証券会社の役員(監査役及びこれに類する役職にある者を除く。以下このハにおいて同じ。)若しくはその外国証券会社の支店の代表者であつた者でその取消しの日から五年を経過するまでのもの又は外国証券業者が、その本店の所在する国の外国証券法令の規定によりその受けているすべての種類の免許等を取り消された場合において、その証券業を営んでいた個人若しくはその取消しの日以前三十日内にその外国証券業者の役員であつた者でその取消しの日から五年を経過するまでのもの

  ニ 国内証券法の規定により解任若しくは解職を命ぜられた証券会社若しくは外国証券会社の役員若しくは外国証券会社の支店の代表者又はその本店の所在する国の外国証券法令の規定により解任を命ぜられた外国証券業者の役員で、その処分を受けた日から五年を経過するまでのもの

 (支店の名称の制限)

第七条 証券取引法第四十一条第一項(商号の制限)の規定は、外国証券会社の支店の名称について準用する。

2 証券取引法第四十一条第二項の規定は、外国証券会社には適用しない。

 (営業保証金)

第八条 外国証券会社は、第六条第四号に規定する政令で定める金額で当該外国証券会社につき適用されるものの十分の一に相当する金額(その金額が千万円に満たないときは、千万円)以下において、免許の種類、営業の態様及び支店の所在地に応じて政令で定める額の営業保証金を、支店ごとにそのもよりの供託所に供託しなければならない。

2 外国証券会社は、政令で定めるところにより、当該外国証券会社のために所要の営業保証金が大蔵大臣の命令に応じて供託される旨の契約を締結し、その旨を大蔵大臣に届け出たときは、当該契約の効力の存する間、当該契約において供託されることとなつている金額(以下この条において「契約金額」という。)につき前項の営業保証金の一部の供託をしないことができる。

3 大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、外国証券会社と前項の契約を締結した者又は当該外国証券会社に対し、契約金額に相当する金額の全部又は一部を供託すべき旨を命ずることができる。

4 外国証券会社は、第一項の営業保証金につき供託(第二項の契約の締結を含む。)を行ない、その旨を大蔵大臣に届け出た後でなければ、その免許に係る業務(第十条第二号又は第三号に係る認可を受けたことにより供託すべき営業保証金の額が増加することとなる場合にあつては、その認可に係る業務)を開始してはならない。

5 外国証券会社の支店がした証券取引行為の相手方となつた者(証券会社及び外国証券会社並びにその取引をした時において国内に住所及び居所を有しない個人並びに国内に営業所及び事務所を有しない法人を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該支店に係る営業保証金について、他の債権者に先だち弁済を受ける権利を有する。

6 前項の権利の実行に関し必要な事項は、政令で定める。

7 外国証券会社は、第五項の権利の実行その他の理由により、営業保証金の額(契約金額を含む。第九項において同じ。)が第一項の規定により供託すべき金額に不足することとなつたときは、大蔵省令で定める日から三週間以内にその不足額につき供託(第二項の契約の締結を含む。第三十五条第三号において同じ。)を行ない、その旨を遅滞なく大蔵大臣に届け出なければならない。

8 第一項又は前項の規定により供託する営業保証金は、国債証券、地方債証券その他大蔵省令で定める有価証券をもつてこれに充てることができる。

9 第一項、第三項又は第七項の規定により供託した営業保証金は、第十一条の規定によりその支店におけるすべての証券業の廃止につき認可を受けた場合、第十二条第一項の規定によりその支店に係るすべての種類の免許を取り消された場合又は営業保証金の額が第一項の規定により供託すべき金額をこえることとなつた場合には、政令で定めるところにより、その全部又は一部を取り戻すことができる。

10 前各項に規定するもののほか、営業保証金に関し必要な事項は、法務省令、大蔵省令で定める。

 (職務代行者)

第九条 大蔵大臣は、外国証券会社の支店の代表者が欠けた場合において必要があると認めるときは、一時その職務を行なうべき者(次項において「職務代行者」という。)を選任することができる。この場合には、当該外国証券会社は、支店の所在地においてその登記をしなければならない。

2 大蔵大臣は、前項の規定により職務代行者を選任したときは、外国証券会社に対し、当該職務代行者に相当額の報酬を支払うべき旨を命ずることができる。

 (基本事項の変更の認可)

第十条 外国証券会社は、次に掲げる場合には、大蔵大臣の認可を受けなければならない。

 一 支店の名称を変更しようとするとき。

 二 支店における業務の方法を変更しようとするとき。

 三 支店の位置を変更しようとするとき。

 (営業の譲渡等の認可)

第十一条 次に掲げる事項は、大蔵大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

 一 外国証券会社の支店についての営業の全部若しくは一部の譲渡又は営業の譲受け

 二 外国証券会社の支店における証券業の廃止(二種類以上の免許を受けている場合における一部の種類の免許に係る業務の廃止を含む。)

 (免許の取消し等)

第十二条 大蔵大臣は、外国証券会社が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該外国証券会社の支店に係る免許を取り消し、又は六月以内の期間を定めて当該支店の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 第六条第一号から第五号まで又は第六号(外国証券法令の規定に係る部分に限る。)に該当することとなつたとき。

 二 法令(外国の法令を含む。)、当該法令に基づく行政庁の処分又は当該免許若しくはその本店の所在する国において受けている免許等に附された条件に違反した場合において、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認められるとき。

 三 純財産額が資本の額に満たなくなつた場合その他業務又は財産の状況に照らし支払不能におちいるおそれがある場合において、投資者の受ける損害を防止するためやむを得ないと認められるとき。

 四 役員(次項に規定するものを除く。)が第六条第七号イからニまでのいずれかに該当することとなつた場合又は第二号の行為をした場合において、その役員が在任することにより当該支店における業務の公正な運営が阻害されるおそれがあると認められるとき。

 五 免許申請書又はその添附書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり又は重要な事実の記載が欠けていることが判明したとき。

2 大蔵大臣は、外国証券会社の支店の代表者又は当該支店に駐在する役員が第六条第七号イからニまでのいずれかに該当することとなつたとき、又は前項第二号の行為をしたときは、当該外国証券会社に対して、当該支店の代表者の解任又は当該役員の解職を命ずることができる。

3 第一項第三号に規定する純財産額及び資本の額の計算については、政令で定める。

 (引受業務の一部の許可)

第十三条 外国証券業者(第三条第三項第三号の免許を受けた外国証券会社を除く。)は、同条第二項の規定にかかわらず、大蔵省令で定めるところにより大蔵大臣の許可を受けて、その行なう有価証券の引受けの業務のうち、元引受契約への参加その他の行為で政令で定めるものを国内において行なうことができる。

2 第三条第四項、第五条第一号及び第二号並びに第六条第五号から第七号までの規定は、前項の許可について準用する。

3 大蔵大臣は、第一項の許可を受けた外国証券業者(以下「許可業者」という。)が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該許可を取り消すことができる。

 一 第六条第五号又は第六号に該当することとなつたとき。

 二 法令(外国の法令を含む。)、当該法令に基づく行政庁の処分又は当該許可若しくはその本店の所在する国において受けている免許等に附された条件に違反した場合において、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認められるとき。

 三 前条第一項第三号に該当することとなつたとき。

 四 許可業者の役員(許可業者が外国証券会社である場合にはその支店の代表者を含むものとし、許可業者が個人である場合には当該個人とする。)が、第六条第七号イからニまでのいずれかに該当することとなつた場合又は第二号の行為をした場合において、当該許可に係る行為が公正に行なわれないこととなるおそれがあると認められるとき。

 (行政処分の手続)

第十四条 証券取引法第三十六条第一項(行政処分の手続)の規定は、大蔵大臣が第三条第一項の免許若しくは前条第一項の許可をしないこととし、又は第十二条第一項若しくは第二項若しくは前条第三項の規定に基づく処分をしようとするときについて、同法第三十六条第二項の規定は、大蔵大臣が第三条第一項の免許、前条第一項の許可若しくは第十条若しくは第十一条の認可をし若しくはしないこととしたとき、第三条第四項(前条第二項において準用する場合を含む。)において準用する同法第二十九条第一項(免許の条件)の規定により条件を附することとしたとき、又は第十二条第一項若しくは第二項若しくは前条第三項の規定に基づいて処分をすることとしたときについて準用する。

 (変更等の届出)

第十五条 外国証券会社は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、遅滞なく(第三号及び第四号の場合にあつては、あらかじめ)、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。

 一 第四条第一項第一号から第三号まで、第五号又は第八号に掲げる事項に変更があつたとき。

 二 定款又は業務の方法(支店に係るものを除く。)を変更したとき。

 三 合併し、又は営業の全部若しくは一部の譲渡若しくは譲受け(支店のみに係るものを除く。)をしようとするとき。

 四 解散し、又はその証券業の全部若しくは一部の廃止(支店のみに係るものを除く。)をしようとするとき。

 五 第六条第五号、第六号又は第七号に該当することとなつたとき。

 六 本店又は支店において営業を休止し、又は再開したとき。

 七 その他大蔵省令で定める場合

 (残務の結了)

第十六条 証券取引法第三十八条(残務の結了)の規定は、外国証券会社がその支店における証券業を廃止した場合について準用する。

   第三章 業務及び財務

 (業務の規制)

第十七条 証券取引法第四十二条(取締役の兼職等の制限)の規定は外国証券会社の支店の代表者及び当該支店に駐在する役員(監査役及びこれに類する役職にある者を除く。)について、同法第四十三条から第五十一条まで(兼業の制限、名義貸しの禁止、社債募集の受託の禁止、取引の態様の明示、問屋の介入権の排除、売買報告書の交付、信用取引等の場合の保証金の預託、不公正取引の禁止及び顧客の有価証券の担保提供等の制限)及び第六十一条(引受人の信用供与の制限)の規定は外国証券会社の支店における業務について準用する。

2 証券取引法第四十四条、第四十五条第一項、第五十条及び第六十一条の規定は、許可業者の国内における第十三条第一項の行為について準用する。

 (自己計算取引等の制限)

第十八条 大蔵大臣は、外国証券会社が自己の計算に基づき国内において行なう有価証券の売買若しくは国内にある者から有価証券の売買について売買の別、銘柄、数量及び価格の決定を一任されてその者の計算において行なう売買を制限し、又は外国証券会社が国内において行なう過当な数量の有価証券の売買その他の取引であつて国内における有価証券の市場の秩序を害すると認められるものを制限するため、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める事項を大蔵省令で定めることができる。

 (営業に関する報告)

第十九条 外国証券会社は、その支店ごとに、毎年十月から翌年九月までの期間に係る営業報告書を大蔵省令で定める様式により作成し、当該期間経過後二月以内に大蔵大臣に提出しなければならない。

2 大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、外国証券会社に対し、大蔵大臣の指示するところに従い前項の営業報告書の全部又は一部を新聞紙に掲載すべき旨を命ずることができる。

3 外国証券会社は、大蔵省令で定めるところにより、事業年度ごとに、その営む業務の全部に関し作成した貸借対照表、損益計算書その他財務計算に関する書類及び当該事業年度における業務の概要を記載した書面を、当該事業年度経過後三月以内に、大蔵大臣に提出しなければならない。

 (経営保全命令)

第二十条 証券取引法第五十四条(経営保全命令)の規定は、外国証券会社の支店における営業に関し準用する。

 (報告の徴取及び検査)

第二十一条 大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、外国証券会社に対し若しくはその支店と取引を行なう者に対し、当該外国証券会社の支店の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員をして当該支店の業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

 (外務員登録等)

第二十二条 証券取引法第六十二条から第六十四条の四まで(外務員登録、外務員登録の拒否、外務員の権限、外務員に関する届出事項、外務員に対する行政処分及び外務員登録の抹消)の規定は、外国証券会社の支店における業務について準用する。この場合において、同法第六十二条第一項中「役員」とあるのは「支店の代表者若しくはその支店に駐在する役員」と、同条第三項第一号中「商号」とあるのは「支店の名称」と、同項第二号ハ中「役員」とあるのは「支店の代表者、役員」と、同法第六十三条第一項第一号、第六十四条の二第二号及び第六十四条の三第一項第一号中「第三十二条第四号」とあるのは「外国証券業者に関する法律第六条第七号」と読み替えるものとする。

 (売買損失準備金及び証券取引責任準備金)

第二十三条 証券取引法第五十六条(売買損失準備金)及び第五十七条の二(証券取引責任準備金)の規定は、外国証券会社について準用する。この場合において、これらの規定中「有価証券の売買」とあるのは「その支店における有価証券の売買」と、「積み立て」とあるのは「当該支店において積み立て」と読み替えるものとする。

 (損失準備金)

第二十四条 外国証券会社は、毎決算期において、その支店の営業に係る利益の額に十分の一をこえない範囲内で大蔵大臣の定める率を乗じた額以上の額を、損失準備金として当該支店において積み立てなければならない。

2 前項の準備金は、大蔵大臣の承認を受けて各決算期における当該支店の営業に係る純損失の補てんに充てる場合のほか、使用してはならない。

3 前二項に規定するもののほか、損失準備金の積立て及び使用に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。

 (資産の国内保有)

第二十五条 外国証券会社は、前二条の規定により積み立てられた準備金の額及び当該支店の計算に属する負債のうち政令で定めるものの額を合計した金額に相当する資産を、政令で定めるところにより、国内において保有しなければならない。

 (業務に関する書類の作成等)

第二十六条 証券取引法第百八十四条(業務に関する書類の作成等)の規定は、外国証券会社の支店における業務について準用する。この場合において、同条中「この法律」とあるのは、「外国証券業者に関する法律」と読み替えるものとする。

   第四章 雑則

 (仲介)

第二十七条 証券取引法第六章(仲介)の規定は、外国証券会社がその支店において行なう有価証券の売買その他の取引につき争いがある場合について準用する。

 (審問)

第二十八条 証券取引法第百八十二条(審問)の規定は、次に掲げる規定により大蔵大臣が当該職員をして審問を行なわせる場合について準用する。

 一 第十四条において準用する証券取引法第三十六条第一項(行政処分の手続)

 二 第二十条において準用する証券取引法第五十四条第三項(経営保全命令)

 三 第二十二条において準用する証券取引法第六十三条第二項(外務員登録の拒否)又は第六十四条の三第二項(外務員に対する行政処分)

 四 前条において準用する証券取引法第百六十三条(協定不履行の場合の処分)

 (調査のための処分、検査職員の証票及び旅費等の請求)

第二十九条 証券取引法第百八十三条(調査のための処分)の規定は、第二十七条において準用する同法第百五十七条(仲介の申立て)の規定による仲介、前条各号に掲げる規定による審問又は次条において準用する同法第百八十七条(裁判所の禁止命令等)の規定による申立てについて大蔵大臣が必要な調査をする場合について準用する。

2 証券取引法第百八十五条(検査職員の証票)の規定は、大蔵大臣が第二十一条の規定又は前項において準用する同法第百八十三条第四号の規定により当該職員をして検査させる場合について準用する。

3 証券取引法第百八十六条(旅費等の請求)の規定は、第一項において準用する同法第百八十三条第一号又は第二号の規定により出頭又は鑑定を命ぜられた参考人又は鑑定人について準用する。

 (裁判所の禁止命令等)

第三十条 証券取引法第百八十七条(裁判所の禁止命令等)の規定は、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為をし、又はしようとする者がある場合について準用する。

 (証券関連業務のための施設の届出等)

第三十一条 外国証券業者(証券業と密接な関係を有する業務を営む者で大蔵省令で定めるものを含むものとし、外国証券会社を除く。以下この条において「外国証券業者等」という。)は、有価証券の市場に関する情報の収集及び提供その他有価証券に関連のある業務で大蔵省令で定めるものを行なうため、国内において事務所その他の施設を設置しようとする場合(他の目的をもつて設置している施設において当該業務を行なおうとする場合を含む。)には、あらかじめ、当該業務の内容、当該施設の所在の場所その他大蔵省令で定める事項を大蔵大臣に届け出なければならない。

2 大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、外国証券業者等に対し前項の業務に関する報告又は資料の提出を命ずることができる。

3 外国証券業者等は、第一項の施設又は業務を廃止したときは、遅滞なく、その旨を大蔵大臣に届け出なければならない。

 (権限の委任)

第三十二条 この法律に規定する大蔵大臣の権限は、大蔵省令で定めるところにより、その一部を財務局長に委任することができる。

   第五章 罰則

第三十三条 第三十条において準用する証券取引法第百八十七条の規定による裁判所の命令に違反した者は、三年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第三十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第三条第四項において準用する証券取引法第二十九条第一項の規定により附した条件に違反した者

 二 第八条第四項の規定に違反した者

 三 第十条の規定に違反した者

 四 第十二条第一項の規定による業務の停止の処分に違反した者

 五 第十七条第一項において準用する証券取引法第四十三条ただし書の規定による承認を受けないで証券業以外の業務を営んだ者

 六 第二十二条において準用する証券取引法第六十二条第二項の規定に違反した者

第三十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは五万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第三条第二項の規定に違反した者

 二 第四条の規定又は第二十二条において準用する証券取引法第六十二条の規定による申請書又は添附書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者

 三 第八条第七項の規定に違反して供託を行なわなかつた者

 四 第十三条第二項において準用する第三条第四項において準用する証券取引法第二十九条第一項の規定により附した条件に違反した者

 五 第十七条第一項において準用する証券取引法第四十四条の規定に違反した者

第三十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

 一 第十五条の規定又は第二十六条において準用する証券取引法第百八十四条の規定による届出若しくは報告をせず、又は虚偽の届出若しくは報告をした者

 二 第十七条第一項において準用する証券取引法第四十二条又は第五十一条の規定に違反した者

 三 第十七条第一項において準用する証券取引法第四十八条の規定による売買報告書を交付せず、又は虚偽の記載をした売買報告書を交付した者

 四 第十七条第二項において準用する証券取引法第四十四条の規定に違反した者

 五 第十八条の規定による大蔵省令に違反した者

 六 第十九条第一項若しくは第三項の規定による営業報告書、書類若しくは書面を堤出せず、又は虚偽の記載をした営業報告書、書類若しくは書面を提出した者

 七 第十九条第二項の規定による命令に違反した者

 八 第二十一条の規定による報告若しくは資料を提出せず、又は虚偽の報告若しくは資料を提出した者

 九 第二十一条の規定又は第二十九条第一項において準用する証券取引法第百八十三条第四号の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

 十 第二十二条において準用する証券取引法第六十四条の二の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 十一 第二十六条において準用する証券取引法第百八十四条の規定による書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の書類を作成した者

第三十七条 法人(法人でない団体で、代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前三条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

2 前項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第三十八条 外国証券会社の支店の代表者は、次の場合においては、三万円以下の過料に処する。

 一 第十七条第一項において準用する証券取引法第四十九条第一項又は第六十一条の規定に違反したとき。

 二 第二十条において準用する証券取引法第五十四条第一項の規定による命令に違反したとき。

 三 第二十三条において準用する証券取引法第五十六条若しくは第五十七条の二の規定又は第二十四条の規定に違反して、準備金を積み立てず、又はこれを使用したとき。

 四 第二十五条の規定に違反して資産を国内において保有しないとき。

2 次の各号のいずれかに該当する者は、三万円以下の過料に処する。

 一 第八条第三項の規定による命令に違反した者

 二 第三十一条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 三 第三十一条第二項の規定による報告若しくは資料を提出せず、又は虚偽の報告若しくは資料を提出した者

第三十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一万円以下の過料に処する。

 一 第九条第二項の規定による命令に違反した者

 二 第十七条第二項において準用する証券取引法第六十一条の規定に違反した者

 三 第二十九条第一項において準用する証券取引法第百八十三条第一号又は第二号の規定による処分に違反して、出頭、陳述、意見書若しくは報告書の提出若しくは鑑定をせず、又は虚偽の陳述、虚偽の意見書若しくは報告書の提出若しくは虚偽の鑑定をした者

 四 第二十九条第一項において準用する証券取引法第百八十三条第三号の規定による処分に違反して、物件を提出しない者

 五 第三十一条第三項の規定による届出を怠つた者

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

2 この法律の施行の際現に第三十一条第一項に規定する業務を行なう施設を設置している者は、この法律の施行の日から一月以内に同項に定める届出をしなければならない。

 (関係法律の一部改正)

3 証券取引法の一部を次のように改正する。

  第二条第八項第三号中「有価証券市場」の下に「(これに類する有価証券の市場で外国に所在するものを含む。第二十八条第二項及び第六十二条第一項において同じ。)」を加える。

  第十五条第一項中「証券会社」の下に「(外国証券会社(外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社をいう。第九十条において同じ。)を含む。以下この条、第二十一条第一項及び第四項、第三十一条第三号、第六十二条第三項第二号、第六十三条第一項第三号、第七十一条第三号並びに第百五十六条の九において同じ。)」を加える。

  第三十三条に次の一号を加える。

  七 証券業を営む会社を外国において設立しようとするとき、又は証券業を営む外国の会社の株式をその発行済株式の総数に大蔵省令で定める率を乗じて得た数をこえて取得しようとするとき。

  第三十六条第一項中「することが適当でないと認めるとき」を「しないこととし」に改める。

  第五十七条の二の次に次の一条を加える。

 第五十七条の三 大蔵大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める場合には、証券会社に対し、その資産のうち政令で定める部分を国内において保有することを命ずることができる。

   第三十六条の規定は、前項の規定による処分をする場合に準用する。

  第九十条中「証券会社」の下に「及び政令で定める外国証券会社」を加える。

  第百八十四条第二項を削る。

  第百八十五条第一項中「、第百八十三条第四号又は前条第二項」を「又は第百八十三条第四号」に改める。

  第百九十七条第一号の三及び第三号中「の規定による」を「の規定に違反して大蔵大臣の」に改める。

  第二百五条第五号及び第十四号中「第百八十四条第一項」を「第百八十四条」に改め、同条第十五号中「、第百八十三条第四号又は第百八十四条第二項」を「又は第百八十三条第四号」に改める。

  第二百八条中「一万円以下」を「三万円以下」に改め、第三号の二の次に次の一号を加える。

  三の三 第五十七条の三の規定による命令に違反したとき

  第二百九条中「五千円以下」を「一万円以下」に改める。

  第二百十条中「三千円以下」を「五千円以下」に改める。

4 日本銀行法(昭和十七年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

  第十三条ノ三第七号中「規定スル証券業者」を「規定スル証券会社及外国証券業者に関する法律第二条第二号ニ規定スル外国証券会社」に改める。

5 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。

  第四条第五十号及び第十一条第三号中「証券会社」を「証券業を営む者」に改める。

6 有価証券取引税法(昭和二十八年法律第百二号)の一部を次のように改正する。

  第二条第四項中「規定する証券会社」の下に「及び外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社」を加える。

7 中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)の一部を次のように改正する。

  第五十三条第二項第二号中「証券会社」の下に「(外国証券会社の国内における支店を含む。次項において同じ。)」を加える。

8 小規模企業共済法(昭和四十年法律第百二号)の一部を次のように改正する。

  第五十条第二項第二号中「証券業者」を「証券会社(外国証券会社の国内における支店を含む。次項において同じ。)」に、同条第三項中「証券業者」を「証券会社」に改める。

9 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第二十五号中「証券会社若しくは」を「証券会社、外国証券会社若しくは」に改め、「証券会社の営業の免許」の下に「又は外国証券会社の支店の営業の免許」を加える。

(法務・大蔵・通商産業・労働・内閣総理大臣署名) 

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