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法律第百二十四号(昭四六・一二・一六)

  ◎国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、アメリカ合衆国における輸入課徴金の賦課等の国際経済上の調整措置の実施により事業活動に支障を生じている輸出取引に関連のある中小企業者に対し、経営の安定を図るための措置を講ずるとともに、あわせて事業の転換に際しこれを円滑にするための措置等を講じ、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「中小企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。

 一 資本の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、工業、鉱業、運送業その他の業種(次号に掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

 二 資本の額又は出資の総額が一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、商業又はサービス業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの

 三 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であつて、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの

 四 企業組合

 五 協業組合

 六 事業協同組合又は協同組合連合会、商工組合又は商工組合連合会その他の特別の法律により設立された組合又はその連合会であつて、政令で定めるもの

 (認定)

第三条 中小企業者は、次の各号の一に該当することについてその住所地を管轄する都道府県知事の認定を受けることができる。

 一 その業種の事業活動が全国的に輸出取引に密接な関連を有すると認められる業種であつて、アメリカ合衆国における輸入課徴金の賦課、本邦における外国為替相場の変動幅の制限の停止その他これらに準ずる国際経済上の調整措置(以下この条において単に「調整措置」という。)により、当該業種に属する事業の目的物たる物品若しくはこれを使用した物品の輸出が減少し、又は減少する見通しがあるため、当該事業を行なう相当数の中小企業者の事業活動に支障を生じていると認められる業種として通商産業大臣及び当該事業を所管する大臣(以下「主務大臣」と総称する。)が指定するものに属する事業を行ない、かつ、主務省令で定める基準に該当する中小企業者であること。

 二 前号の主務大臣が指定する業種以外の業種であつて次の要件に該当する業種として主務大臣が地域を限つて指定するものに属する事業を行ない、かつ、主務省令で定める基準に該当する中小企業者であること。

  イ 当該業種の事業活動の一部が特定の地域に集中して行なわれており、かつ、その地域内における当該業種の事業活動が輸出取引に密接な関連を有すると認められること。

  ロ 調整措置により、その地域内において当該業種に属する事業を行なう事業者の事業の目的物たる物品若しくはこれを使用した物品の輸出が減少し、又は減少する見通しがあるため、その地域内において当該業種に属する事業を行なう相当数の中小企業者の事業活動に支障を生じていると認められること。

 三 前二号の主務大臣が指定する業種以外の業種に属する事業を行なう中小企業者であつて、調整措置により、その者の事業の目的物たる物品若しくはこれを使用した物品の輸出が減少し、又は減少する見通しがあるため、その事業活動に支障を生じていると認められるものであること。

2 主務大臣は、前項第二号の規定による指定をしようとするときは、当該地域を管轄する都道府県知事の意見をきかなければならない。

 (中小企業近代化資金等助成法による貸付金の償還期間の延長)

第四条 都道府県は、中小企業近代化資金等助成法(昭和三十一年法律第百十五号)第三条第一項に規定する貸付けに係る貸付金であつて、前条第一項の認定を受けた中小企業者(以下「認定中小企業者」という。)が主務省令で定める日前に貸付けを受けたもの(同法第三条第一項第二号の貸与機関が同日前に、認定中小企業者に対しその事業の用に供する設備を譲り渡し、又は貸し付けた場合における当該設備の譲渡又は貸付けに充てるため貸付けを受けたものを含む。)については、同法第五条の規定にかかわらず、その償還期間を二年をこえない範囲内において延長することができる。

 (中小企業信用保険法による輸出中小企業関連保証の特例)

第五条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)第三条第一項に規定する普通保険(以下「普通保険」という。)、同法第三条の二第一項に規定する無担保保険(以下「無担保保険」という。)又は同法第三条の三第一項に規定する特別小口保険(以下「特別小口保険」という。)の保険関係であつて、輸出中小企業関連保証(同法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証であつて、認定中小企業者(第二条第六号に掲げる者であつて、その構成員の三分の二以上が認定中小企業者であるものを含む。)が経営の安定を図るのに必要な資金又は認定中小企業者が次条第一項の認定を受けた計画に従つて事業の転換を行なうのに必要な資金に係るものをいう。以下同じ。)を受けた中小企業者に係るものについての同法第三条第一項、第三条の二第一項及び第三項並びに第三条の三第一項及び第二項の規定の適用については、同法第三条第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律第五条第一項に規定する輸出中小企業関連保証(以下「輸出中小企業関連保証」という。)に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同法第三条の二第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「輸出中小企業関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第三項中「当該保証をした」とあるのは「輸出中小企業関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、「当該債務者」とあるのは「輸出中小企業関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」と、同法第三条の三第一項中「保険価額の合計額が」とあるのは「輸出中小企業関連保証に係る保険関係の保険価額の合計額とその他の保険関係の保険価額の合計額とがそれぞれ」と、同条第二項中「当該保証をした」とあるのは「輸出中小企業関連保証及びその他の保証ごとに、それぞれ当該保証をした」と、「当該債務者」とあるのは「輸出中小企業関連保証及びその他の保証ごとに、当該債務者」とする。

2 普通保険の保険関係であつて、輸出中小企業関連保証に係るものについての中小企業信用保険法第三条第二項及び同法第五条の規定の適用については、同法第三条第二項中「百分の七十」とあり、同法第五条中「百分の七十(無担保保険及び特別小口保険にあつては、百分の八十)」とあるのは、「百分の八十」とする。

3 普通保険、無担保保険又は特別小口保険の保険関係であつて、輸出中小企業関連保証に係るものについての保険料の額は、中小企業信用保険法第四条の規定にかかわらず、保険金額に年百分の二以内において政令で定める率を乗じて得た額とする。

 (転換計画の認定)

第六条 認定中小企業者であつて、当該認定に係る事業の転換を行なおうとするものは、当該事業の転換に関する計画をその住所地を管轄する都道府県知事に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができる。

2 前項に規定するもののほか、同項の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。

 (資金の確保)

第七条 国は、認定中小企業者が前条第一項の認定を受けた計画(以下「認定転換計画」という。)に従つて事業の転換を行なうのに必要な資金の確保又はその融通のあつせんに努めるものとする。

 (課税の特例)

第八条 認定中小企業者が当該認定に係る事業の用に供している減価償却資産を認定転換計画に従つて廃棄又は譲渡をするときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、当該認定中小企業者に対する法人税又は所得税の課税について特別の措置を講ずる。

 (就職のあつせん等)

第九条 国は、認定中小企業者が行なう事業に従事していた者について、職業訓練の実施、就職のあつせん、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法(昭和四十六年法律第六十八号)の規定による中高年齢失業者等求職手帳の有効期間の延長を行なうことその他の措置を講ずるよう努めるものとする。

 (報告の徴収)

第十条 都道府県知事は、認定中小企業者に対し、認定転換計画の実施状況について報告を求めることができる。

 (事務の委任)

第十一条 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、市町村長又は特別区の長に委任することができる。

 (主務省令)

第十二条 この法律において、主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

 (罰則)

第十三条 第十条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同項の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (この法律の失効)

2 この法律は、公布の日から起算して三年を経過した日に、その効力を失う。ただし、その時までに成立している第五条の規定による保険関係については、なお従前の例によるものとし、その時までにした行為に対する罰則の適用については、この法律は、その時以後も、なおその効力を有する。

 (経過措置等)

3 認定中小企業者が昭和四十六年十月一日以後その認定を受けた日までの間に、経営の安定を図るのに必要な資金に係る中小企業信用保険法第三条第一項、第三条の二第一項又は第三条の三第一項に規定する債務の保証を受けた場合には、その債務の保証を輸出中小企業関連保証とみなして、第五条の規定を適用する。

4 この法律の施行の日から起算して一年を経過した日以後においては、第五条第一項中「認定中小企業者(第二条第六号に掲げる者であつて、その構成員の三分の二以上が認定中小企業者であるものを含む。)が経営の安定を図るのに必要な資金又は認定中小企業者が次条第一項の認定を受けた計画に従つて事業の転換を行なうのに必要な資金」とあるのは、「認定中小企業者が次条第一項の認定を受けた計画に従つて事業の転換を行なうのに必要な資金」と読み替えるものとする。ただし、同日前に成立している第五条の規定による保険関係については、なお従前の例による。

 (中小企業庁設置法の一部改正)

5 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第七号の五の次に次の一号を加える。

  七の六 国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十四号)の施行に関すること。

  第四条第三項中「及び第七号の五」を「、第七号の五及び第七号の六」に改める。

(法務・大蔵大臣臨時代理・通商産業・内閣総理大臣署名) 

 

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