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法律第百十二号(昭四八・一〇・一二)

  ◎有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、有害物質を含有する家庭用品について保健衛生上の見地から必要な規制を行なうことにより、国民の健康の保護に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「家庭用品」とは、主として一般消費者の生活の用に供される製品(別表に掲げるものを除く。)をいう。

2 この法律において「有害物質」とは、家庭用品に含有される物質のうち、水銀化合物その他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定める物質をいう。

 (事業者の責務)

第三条 家庭用品の製造又は輸入の事業を行なう者は、その製造又は輸入に係る家庭用品に含有される物質の人の健康に与える影響をはあくし、当該物質により人の健康に係る被害が生ずることのないようにしなければならない。

 (家庭用品の基準)

第四条 厚生大臣は、保健衛生上の見地から、厚生省令で、家庭用品を指定し、その家庭用品について、有害物質の含有量、溶出量又は発散量に関し、必要な基準を定めることができる。

2 厚生大臣は、保健衛生上の見地から、厚生省令で、毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)第二条第一項に規定する毒物又は同条第二項に規定する劇物である有害物質を含有する家庭用品を指定し、その家庭用品について、その容器又は被包に関し、必要な基準を定めることができる。

3 厚生大臣は、前二項の規定により基準を定めようとするときは、あらかじめ、生活環境審議会の意見をきくとともに、当該家庭用品についての主務大臣に協議しなければならない。

 (販売等の禁止)

第五条 前条第一項又は第二項の規定により基準が定められた家庭用品の製造、輸入又は販売の事業を行なう者は、その基準に適合しない家庭用品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で陳列してはならない。

 (回収命令等)

第六条 厚生大臣又は都道府県知事(保健所を設置する市にあつては、市長とする。以下この条及び次条において同じ。)は、第四条第一項又は第二項の規定により基準が定められた家庭用品の製造、輸入又は販売の事業を行なう者がその基準に適合しない家庭用品を販売し、又は授与したことにより人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認める場合において、当該被害の発生を防止するため特に必要があると認めるときは、その者に対し、当該家庭用品の回収を図ることその他当該被害の発生を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

2 厚生大臣又は都道府県知事は、家庭用品によるものと認められる人の健康に係る重大な被害が生じた場合において、当該被害の態様等からみて当該家庭用品に当該被害と関連を有すると認められる人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質が含まれている疑いがあるときは、当該被害の拡大を防止するため必要な限度において、当該家庭用品の製造又は輸入の事業を行なう者に対し、当該家庭用品の回収を図ることその他当該被害の拡大を防止するために必要な応急の措置をとるべきことを命ずることができる。

 (立入検査等)

第七条 厚生大臣又は都道府県知事は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、家庭用品の製造、輸入若しくは販売の事業を行なう者に対し、必要な報告をさせ、又はその職員に、これらの者の事務所、工場、事業場、店舗若しくは倉庫に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験に必要な限度において当該家庭用品を収去させることができる。

2 前項の規定により職員が立入検査、質問又は収去をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査、質問及び収去の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (家庭用品衛生監視員)

第八条 前条第一項の規定による立入検査、質問及び収去に関する職務を行なわせるため、国、都道府県及び保健所を設置する市に、家庭用品衛生監視員を置く。

2 家庭用品衛生監視員は、国、都道府県又は保健所を設置する市の職員で、厚生省令で定める資格を有するもののうちから、厚生大臣、都道府県知事又は市長が任命する。

 (経過措置)

第九条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 (罰則)

第十条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の徴役又は三十万円以下の罰金に処する。

 一 第五条の規定に違反した者

 二 第六条第一項又は第二項の規定による命令に違反した者

第十一条 第七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者は、五万円以下の罰金に処する。

第十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第四条第三項の規定は、公布の日から施行する。

 (毒物及び劇物取締法の一部改正)

2 毒物及び劇物取締法の一部を次のように改正する。

  第二十二条の二及び第二十五条第八号を削る。

 (毒物及び劇物取締法の一部改正に伴う経過措置)

3 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (厚生省設置法の一部改正)

4 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

  第五条第三十五号の二の次に次の二号を加える。

  三十五の三 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(昭和四十八年法律第百十二号)の定めるところにより、家庭用品について基準を定めること。

  三十五の四 家庭用品衛生監視員をして、必要な立入検査を行なわせ、必要な場合において試験用物品を収去させること。

  第九条の二第四号の次に次の一号を加える。

  四の二 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律を施行すること。

別表

 一 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第二条第一項に規定する食品、同条第二項に規定する添加物、同条第四項に規定する器具及び同条第五項に規定する容器包装並びに同法第二十九条第一項に規定するおもちや及び同条第二項に規定する洗浄剤

 二 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品、同条第三項に規定する化粧品及び同条第四項に規定する医療用具

 三 前二号に掲げるもののほか、政令で定める法律の規定に基づき、規格又は基準を定めて、その製造、輸入又は販売を規制しており、かつ、当該規制によつて有害物質による人の健康に係る被害が生ずるおそれがないと認められる製品で政令で定めるもの

(法務・厚生・内閣総理大臣署名) 

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