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法律第四十五号(昭五一・六・一)

  ◎漁船船主責任保険臨時措置法

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 漁船保険組合の漁船船主責任保険事業等(第三条−第十七条)

 第三章 漁船保険中央会の再保険事業(第十八条−第二十三条)

 第四章 雑則(第二十四条−第二十六条)

 第五章 罰則(第二十七条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、漁船の運航に伴つて生ずることのある漁船の所有者又は借受人の費用及び責任等を漁業経営の安定を図る見地から適切に保険する制度の確立に資するため、漁船保険組合による漁船船主責任保険事業等及び漁船保険中央会によるこれらの事業に係る保険責任についての再保険事業を試験的に実施するための必要な措置を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「漁船」とは、漁船損害補償法(昭和二十七年法律第二十八号)第三条第一項に規定する漁船をいう。

2 この法律において「漁船船主責任保険」とは、戦争、変乱その他農林省令で定める特殊な事由によるものを除き、漁船の所有者又は借受人が、その所有し、借り受け、若しくは用船し、若しくは回航を請け負う漁船の運航に伴つて生じた費用で自己が負担しなければならないものを負担し、又は当該漁船の運航に伴つて生じた損害につき自己の賠償責任に基づき賠償することによる損害をてん補する保険をいう。

3 この法律において「漁船乗組船主保険」とは、漁船の所有者又は借受人であつてその所有し又は借り受ける漁船の乗組員であるものにつき当該漁船の運航に伴つて死亡その他の農林省令で定める事故が生じた場合に一定の金額を支払う保険をいう。

   第二章 漁船保険組合の漁船船主責任保険事業等

 (漁船船主責任保険事業等)

第三条 漁船保険組合は、漁船損害補償法第四条の規定により漁船保険事業を行うほか、この法律で定めるところにより、漁船船主責任保険事業及び漁船乗組船主保険事業を行うことができる。ただし、漁船乗組船主保険事業は、漁船船主責任保険事業と併せて行うのでなければ、これを行うことができない。

 (認可)

第四条 漁船保険組合は、漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業を行おうとするときは、農林省令で定めるところにより、事業計画及び漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款を定め、農林大臣の認可を受けなければならない。

2 漁船保険組合は、前項の認可の申請をするには、あらかじめ、その事業計画及び漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款につき、総会又は総代会の議決を経なければならない。

3 第一項の認可は、漁船保険組合が行う漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業が第一条に規定する制度の確立に資することとなるように効率的に行われることを旨としてしなければならない。

 (事業計画の遵守)

第五条 前条第一項の認可を受けた漁船保険組合(以下「認可組合」という。)は、その事業計画に従つて漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業を行わなければならない。

 (事業計画等の変更)

第六条 認可組合は、その事業計画又は漁船船主責任保険約款若しくは漁船乗組船主保険約款を変更しようとするときは、その変更につき、農林大臣の認可を受けなければならない。

2 第四条第二項及び第三項の規定は、前項の認可について準用する。

 (認可の取消し)

第七条 農林大臣は、認可組合が漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業に係る業務又は会計につき法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は漁船船主責任保険約款若しくは漁船乗組船主保険約款に違反したときは、第四条第一項の認可を取り消すことができる。

 (被保険者の資格)

第八条 漁船船主責任保険の被保険者たる資格を有する者は、漁船の所有者又は借受人(これらの者が当該漁船以外の漁船を用船し又は当該漁船以外の漁船につき回航を請け負う者であるときは、漁船船主責任保険約款で定める要件に該当する場合に限る。)とする。

2 漁船乗組船主保険の被保険者たる資格を有する者は、漁船の所有者又は借受人であつてその所有し又は借り受ける漁船の乗組員であるものとする。

 (保険契約者の資格)

第九条 漁船船主責任保険の保険契約を認可組合との間に締結することができる者は、漁船の所有者又は借受人であつて次の各号のいずれかに該当する者であるものとし、当該保険契約の成立によつて被保険者となる者に限るものとする。

 一 当該認可組合の組合員(漁船損害補償法第九十六条第二項(同条第三項及び同法第九十六条の二第三項において準用する場合を含む。)又は同法第九十六条の三第二項の規定により組合員とみなされる者を含む。次号において同じ。)

 二 当該認可組合の組合員以外の者であつて、当該認可組合の区域内にその者の住所又は当該漁船の主たる根拠地があるもの

2 漁船乗組船主保険の保険契約を認可組合との間に締結することができる者は、漁船乗組船主保険の被保険者たる資格を有する者であつて前項各号のいずれかに該当する者であるものとし、当該保険契約の成立によつて被保険者となる者に限るものとする。

 (漁船乗組船主保険の保険契約の締結の制限)

第十条 認可組合は、漁船船主責任保険を申し込む者が併せて漁船乗組船主保険を申し込む場合又は漁船船主責任保険を当該認可組合との間で締結している者(第十二条の規定によりその者の当該保険関係に関して有する権利義務を承継した者を含む。)が漁船乗組船主保険を申し込む場合でなければ、その者と漁船乗組船主保険の保険契約を締結してはならない。

 (保険契約の成立)

第十一条 漁船船主責任保険の保険契約又は漁船乗組船主保険の保険契約は、当該保険契約を認可組合との間に締結することができる者から当該認可組合が保険料(漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款の定めるところに従い保険料の分割支払がされる場合にあつては、保険料のうちその第一回の支払に係るもの)を受け取つた時に成立する。

 (漁船船主責任保険の保険関係に関する権利義務の承継)

第十二条 漁船船主責任保険の保険契約に係る漁船の譲受人は、認可組合に通知して、譲渡人が当該漁船に係る当該保険関係に関して有する権利義務を承継することができる。ただし、認可組合が、正当な事由により、当該通知を受けた後直ちに当該譲受人に通知してその承継を拒んだときは、この限りでない。

2 前項の規定は、漁船船主責任保険の保険契約に係る漁船につき、相続その他の包括承継又は遺贈があつた場合について準用する。

 (保険期間)

第十三条 漁船船主責任保険の保険期間及び漁船乗組船主保険の保険期間は、それぞれ一年とする。ただし、認可組合は、農林省令で定めるところにより、漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款で別段の定めをすることができる。

 (純保険料率)

第十四条 漁船船主責任保険の純保険料率及び漁船乗組船主保険の純保険料率は、認可組合が、漁船船主責任保険の保険責任及び漁船乗組船主保険の保険責任に係る危険の態様を勘案して、漁船船主責任保険約款及び漁船乗組船主保険約款でそれぞれ定める割合とする。

 (認可組合の責任)

第十五条 認可組合は、漁船船主責任保険においては、戦争、変乱その他第二条第二項の農林省令で定める特殊な事由によるものを除き、漁船の所有者又は借受人が、その所有し、借り受け、若しくは用船し、若しくは回航を請け負う漁船の運航に伴つて生じた費用で自己が負担しなければならないものを負担し、又は当該漁船の運航に伴つて生じた損害につき自己の賠償責任に基づき賠償することによる損害をてん補する。

2 認可組合は、漁船乗組船主保険においては、漁船の所有者又は借受人であつてその所有し又は借り受ける漁船の乗組員であるものにつき当該漁船の運航に伴つて死亡その他の第二条第三項の農林省令で定める事故が生じた場合に一定の金額を支払う。

3 前二項の規定によりてん補すべき損害の範囲及び支払うべき金額の基準に関して必要な事項は、農林省令で定める。

 (経理の区分)

第十六条 認可組合は、漁船損害補償法第百五条の二の規定によるほか、漁船船主責任保険事業と漁船乗組船主保険事業とを区分して経理するとともに、これらの事業を他の事業と区分して経理しなければならない。

 (漁船損害補償法及び商法の準用等)

第十七条 漁船損害補償法第四十四条第四項及び第五項の規定は、漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款について準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

2 漁船損害補償法第五十一条、第九十三条から第九十五条まで、第九十七条から第百四条まで及び第百七条から第百九条まで並びに商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百四十四条、第六百四十五条、第六百四十七条、第六百四十八条、第六百五十二条、第六百六十二条及び第六百六十三条の規定は、漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業について準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

3 認可組合が漁船船主責任保険事業又は漁船乗組船主保険事業を行う場合における漁船損害補償法第八十五条及び第八十六条第一項の規定の適用については、同法第八十五条第一項中「又は定款」とあるのは「、定款、漁船船主責任保険約款又は漁船乗組船主保険約款」と、同条第二項及び同法第八十六条第一項中「若しくは定款」とあるのは「、定款、漁船船主責任保険約款若しくは漁船乗組船主保険約款」とする。

   第三章 漁船保険中央会の再保険事業

 (再保険事業)

第十八条 漁船保険中央会(以下「中央会」という。)は、漁船損害補償法第百三十二条に規定する事業のほか、この法律で定めるところにより、漁船船主責任保険及び漁船乗組船主保険に係る再保険事業を行うことができる。

 (認可)

第十九条 中央会は、前条の再保険事業を行おうとするときは、農林省令で定めるところにより、再保険約款を定め、農林大臣の認可を受けなければならない。

2 中央会は、前項の認可の申請をするには、あらかじめ、その再保険約款につき、総会の議決を経なければならない。

3 第六条第一項及び前項の規定は再保険約款の変更について、第七条の規定は第一項の認可の取消しについて、それぞれ準用する。

 (再保険契約の当然成立)

第二十条 漁船船主責任保険の保険契約又は漁船乗組船主保険の保険契約が認可組合と保険契約者との間に成立したときは、中央会と当該認可組合との間に、当該保険契約により認可組合が負う保険責任を再保険する再保険契約が成立するものとする。

 (純再保険料率)

第二十一条 純再保険料率は、中央会がその再保険責任に係る危険の態様を勘案して再保険約款で定める割合とする。

 (経理の区分)

第二十二条 中央会は、第十八条の再保険事業につき漁船船主責任保険に係るものと漁船乗組船主保険に係るものとを区分して経理するとともに、その再保険事業を他の事業と区分して経理しなければならない。

 (漁船損害補償法及び商法の準用等)

第二十三条 漁船損害補償法第四十四条第四項及び第五項の規定は、再保険約款について準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

2 漁船損害補償法第五十一条、第百七条第一項、第百八条、第百九条、第百十八条及び第百十九条から第百二十一条まで並びに商法第六百六十二条及び第六百六十三条の規定は、第十八条の再保険事業について準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

3 中央会が第十八条の再保険事業を行う場合における漁船損害補償法第百三十八条第七項において準用する同法第八十五条及び第八十六条第一項の規定の適用については、同法第八十五条第一項中「又は定款」とあるのは「、定款又は再保険約款」と、同条第二項及び同法第八十六条第一項中「若しくは定款」とあるのは「、定款若しくは再保険約款」とする。

   第四章 雑則

 (国の援助)

第二十四条 国は、この法律による漁船船主責任保険事業及び漁船乗組船主保険事業並びに再保険事業の適切な実施を確保するため、認可組合及び中央会に対し、必要な助言、指導その他の援助を行うように努めるものとする。

 (報告の徴収)

第二十五条 農林大臣は、この法律の施行の状況を明らかにするため必要があると認めるときは、認可組合又は中央会から報告を徴収することができる。

 (印紙税の非課税)

第二十六条 この法律による漁船船主責任保険及び漁船船主責任保険に係る再保険に関する書類には、印紙税を課さない。

   第五章 罰則

第二十七条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした認可組合又は中央会の役員は、一万円以下の過料に処する。

 一 第十六条又は第二十二条の規定に違反したとき。

 二 第十七条第二項又は第二十三条第二項において準用する漁船損害補償法第百八条又は第百九条の規定に違反したとき。

   附 則

1 この法律は、昭和五十一年十月一日から施行する。

2 この法律は、施行の日から起算して五年を超えない範囲内において別に法律で定める日にその効力を失う。

3 この法律の失効に伴い必要な経過措置は、別に法律で定める。

4 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。

  第七十七条第八号中「及び漁船積荷保険」を「、漁船積荷保険、漁船船主責任保険及び漁船乗組船主保険」に改める。

5 船主相互保険組合法(昭和二十五年法律第百七十七号)の一部を次のように改正する。

  第八条本文中「基いて」を「基づいて」に改め、同項ただし書中「但し、」を「ただし、特別の法律に基づいて設立された法人で特別の法律の規定に基づいてこれを行うもの及び」に、「基いて」を「基づいて」に改める。

(大蔵・農林・運輸・内閣総理大臣署名) 

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