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法律第八十七号(昭五五・一一・二五)

  ◎自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、自転車に係る道路交通環境の整備及び交通安全活動の推進、自転車の安全性の確保、自転車駐車場の整備等に関し必要な措置を定め、もつて自転車の交通に係る事故の防止と交通の円滑化を図り、あわせて自転車利用者の利便の増進に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 自転車 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第十一号の二に規定する自転車をいう。

 二 自転車駐車場 一定の区画を限つて設置される自転車の駐車のための施設をいう。

 三 道路 道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。

 四 道路管理者 道路法第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。

 (国及び地方公共団体の責務)

第三条 国及び地方公共団体は、第一条の目的を達成するため、自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する全般的な施策が有効かつ適切に実施されるよう必要な配慮をしなければならない。

 (良好な自転車交通網の形成)

第四条 道路管理者は、自転車の利用状況を勘案し、良好な自転車交通網を形成するため必要な自転車道、自転車歩行者道等の整備に関する事業を推進するものとする。

2 都道府県公安委員会は、自転車の利用状況を勘案し、良好な自転車交通網を形成するため、自転車の通行することのできる路側帯、自転車専用車両通行帯及び自転車横断帯の設置等の交通規制を適切に実施するものとする。

3 道路管理者、都道府県警察等は、自転車交通網の形成と併せて適正な道路利用の促進を図るため、相互に協力して、自転車の通行する道路における放置物件の排除等に努めるものとする。

 (自転車駐車対策の総合的推進)

第五条 地方公共団体又は道路管理者は、通勤、通学、買物等のための自転車利用の増大に伴い、自転車の駐車需要の著しい地域においては、一般公共の用に供される自転車駐車場の設置に努めるものとする。この場合において、地方公共団体又は道路管理者から鉄道用地の提供について申入れがあつたときは、鉄道事業者は、その事業との調整に努め、当該鉄道用地の譲渡、貸付けその他の措置を講ずることにより、当該自転車駐車場の設置に積極的に協力しなければならない。ただし、鉄道事業者が自ら旅客の利便に供するため、自転車駐車場を設置する場合は、この限りでない。

2 官公署、学校、図書館、公会堂等公益的施設の設置者及び百貨店、スーパーマーケット、銀行、遊技場等自転車の大量の駐車需要を生じさせる施設の設置者は、周辺の土地利用状況を勘案し、その施設の利用者のために必要な自転車駐車場を、当該施設若しくはその敷地内又はその周辺に設置するように努めなければならない。

3 地方公共団体は、商業地域及び近隣商業地域内で条例で定める区域内において百貨店、スーパーマーケット、銀行、遊技場等自転車の大量の駐車需要を生じさせる施設で条例で定めるものを新築し、又は増築しようとする者に対し、条例で、当該施設若しくはその敷地内又はその周辺に自転車駐車場を設置しなければならない旨を定めることができる。

4 都道府県公安委員会は、自転車駐車場の整備と相まつて、歩行者及び自転車利用者の通行の安全を確保するための計画的な交通規制の実施を図るものとする。

5 地方公共団体、道路管理者、都道府県警察、鉄道事業者等は、駅前広場等の良好な環境を確保し、その機能の低下を防止するため、必要があると認めるときは、法令の規定に基づき、相互に協力して、道路に駐車中の自転車の整理、相当の期間にわたり放置された自転車の撤去等に努めるものとする。

 (自転車駐車場の構造及び設備の基準)

第六条 一般公共の用に供される自転車駐車場の構造及び設備は、利用者の安全が確保され、かつ、周辺の土地利用状況及び自転車の駐車需要に適切に対応したものでなければならない。

2 国は、前項の自転車駐車場の安全性を確保するため、その構造及び設備に関して必要な技術的指針を定めることができる。

 (都市計画等における配慮)

第七条 道路、都市高速鉄道、駐車場その他駅前広場の整備に関連する都市施設に関する都市計画その他の都市環境の整備に関する計画は、当該地域における自転車の利用状況を適切に配慮して定めなければならない。

 (交通安全活動の推進)

第八条 国及び地方公共団体は、関係機関及び関係団体の協力の下に、自転車の安全な利用の方法に関する交通安全教育の充実を図るとともに、自転車の利用者に対する交通安全思想の普及に努めるものとする。

 (自転車利用者の責務)

第九条 自転車を利用する者は、道路交通法その他の法令を遵守する等により歩行者に危害を及ぼさないようにする等自転車の安全な利用に努めなければならない。

2 自転車を利用する者は、自転車駐車場以外の場所に自転車を放置することのないように努めなければならない。

3 自転車を利用する者は、その利用する自転車について、防犯登録を受けるように努めるものとする。

 (自転車の安全性の確保)

第十条 国は、自転車について、その利用者等の生命又は身体に対する危害の発生を防止するため必要な品質の基準を整備すること等により、その安全性を確保するための措置を講ずるものとする。

 (自転車製造業者等の責務)

第十一条 自転車の製造(組立を含む。以下同じ。)を業とする者は、その製造する自転車について、前条に定める基準の遵守その他の措置を講ずるとともに、欠陥による損害のてん補の円滑な実施に必要な措置を講ずる等安全性及び利便性の向上に努めなければならない。

2 自転車の小売を業とする者は、自転車の販売に当たつては、当該自転車の取扱方法、定期的な点検の必要性等の自転車の安全利用のための十分な情報を提供するとともに、防犯登録の勧奨並びに自転車の点検及び修理業務の充実に努めなければならない。

3 国は、自転車の製造を業とする者及び自転車の小売を業とする者に対し、前二項の規定の施行に必要な指導及び助言その他の措置を講じなければならない。

 (国の助成措置等)

第十二条 国は、予算の範囲内において、地方公共団体が都市計画事業として行う自転車駐車場の設置に要する費用のうち、施設の整備に要する費用及び用地の取得に要する費用の一部を補助することができる。

2 国は、地方公共団体が一般公共の用に供される自転車駐車場の設置に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。

3 国は、前二項に定めるもののほか、地方公共団体が実施する自転車に係る道路交通環境の整備、交通安全活動の推進その他の自転車の安全利用に関する施策及び自転車駐車場の整備に関する施策が円滑に実施されるよう助成その他必要な配慮をするものとする。

4 国及び地方公共団体は、民営自転車駐車場事業の育成を図るため、当該事業を行う者で必要と認めるものに対し、資金のあつせんその他必要な措置を講ずるものとする。

5 国は、地方公共団体が設置する一般公共の用に供される自転車駐車場の用に供するため必要があると認めるときは、当該地方公共団体に対し、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)及び道路法で定めるところにより、普通財産を無償で貸し付け、又は譲与することができる。

   附 則

 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(内閣総理・大蔵・文部・通商産業・運輸・建設・自治大臣署名) 

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