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法律第四十五号(昭五九・五・二五)

  ◎国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律

 (国籍法の一部改正)

第一条 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条中「左の」を「次の」に改め、同条第一号中「父」の下に「又は母」を加え、同条第三号を削り、同条第四号中「生れた」を「生まれた」に改め、同号を同条第三号とする。

  第十一条から第十三条までを削る。

  第十条第一項中「日本国民は」の下に「、法務大臣に届け出ることによつて」を加え、同条第二項を次のように改める。

 2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。

  第十条第三項を削り、同条を第十三条とする。

  第九条中「外国で生れたことによつてその国の国籍を取得した日本国民」を「出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたもの」に改め、同条を第十二条とする。

  第八条に次の一項を加え、同条を第十一条とする。

 2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。

  第七条中「第四条」を「第五条第一項」に改め、同条を第九条とし、同条の次に次の一条を加える。

第十条 法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。

2 帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。

  第六条中「左の」を「次の」に、「第四条第一号」を「第五条第一項第一号」に改め、同条第一号を削り、同条第二号を同条第一号とし、同条第三号中「且つ」を「かつ」に改め、同号を同条第二号とし、同条第四号を同条第三号とし、同条に次の一号を加え、同条を第八条とする。

  四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの

  第五条中「左の」を「次の」に、「前条第一号」を「前条第一項第一号」に改め、同条第一号を削り、同条第二号を同条第一号とし、同条第三号中「生れた」を「生まれた」に改め、同号を同条第二号とし、同条第四号を同条第三号とし、同条を第六条とし、同条の次に次の一条を加える。

 第七条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。

  第四条中「左の」を「次の」に改め、同条第四号を次のように改める。

  四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。

  第四条に次の一項を加え、同条を第五条とする。

 2 法務大臣は、外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において、日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは、その者が前項第五号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

  第三条を第四条とし、第二条の次に次の一条を加える。

  (準正による国籍の取得)

 第三条 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

 2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

  本則に次の六条を加える。

  (国籍の選択)

 第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。

 2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。

 第十五条 法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍の選択をしないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。

 2 前項に規定する催告は、これを受けるべき者の所在を知ることができないときその他書面によつてすることができないやむを得ない事情があるときは、催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。この場合における催告は、官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。

 3 前二項の規定による催告を受けた者は、催告を受けた日から一月以内に日本の国籍の選択をしなければ、その期間が経過した時に日本の国籍を失う。ただし、その者が天災その他その責めに帰することができない事由によつてその期間内に日本の国籍の選択をすることができない場合において、その選択をすることができるに至つた時から二週間以内にこれをしたときは、この限りでない。

 第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。

 2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。

 3 法務大臣は、前項の宣告をしようとするときは、当該宣告に係る者に対して、あらかじめ期日及び場所を指定して、公開による聴聞を行わなければならない。聴聞に際しては、その者に意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。

 4 第二項の宣告は、官報に告示してしなければならない。

 5 第二項の宣告を受けた者は、前項の告示の日に日本の国籍を失う。

  (国籍の再取得)

 第十七条 第十二条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のものは、日本に住所を有するときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

 2 第十五条第二項の規定による催告を受けて同条第三項の規定により日本の国籍を失つた者は、第五条第一項第五号に掲げる条件を備えるときは、日本の国籍を失つたことを知つた時から一年以内に法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。ただし、天災その他その者の責めに帰することができない事由によつてその期間内に届け出ることができないときは、その期間は、これをすることができるに至つた時から一月とする。

 3 前二項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

  (法定代理人がする届出等)

 第十八条 第三条第一項若しくは前条第一項の規定による国籍取得の届出、帰化の許可の申請、選択の宣言又は国籍離脱の届出は、国籍の取得、選択又は離脱をしようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてする。

  (省令への委任)

 第十九条 この法律に定めるもののほか、国籍の取得及び離脱に関する手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。

 (戸籍法の一部改正)

第二条 戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の一部を次のように改正する。

  第六条ただし書中「但し、配偶者がない者についてあらたに」を「ただし、日本人でない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がない者について新たに」に改める。

  第十六条に次の一項を加える。

   日本人と外国人との婚姻の届出があつたときは、その日本人について新戸籍を編製する。ただし、その者が戸籍の筆頭に記載した者であるときは、この限りでない。

  第二十条の次に次の一条を加える。

 第二十条の二 第百七条第二項又は第三項の規定によつて氏を変更する旨の届出があつた場合において、その届出をした者の戸籍に在る者が他にあるときは、その届出をした者について新戸籍を編製する。

   第百七条第四項において準用する同条第一項の規定によつて氏を変更する旨の届出があつたときは、届出事件の本人について新戸籍を編製する。

  第二十五条第二項中「日本の国籍を有しない者」を「外国人」に改める。

  第四十一条中「一箇月以内」を「三箇月以内」に改める。

  第四十九条第一項中「十四日以内」の下に「(国外で出生があつたときは、三箇月以内)」を加え、同条第二項中「左の」を「次の」に改め、同項第三号中「若し、日本の国籍を有しないときは、その旨」を「、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍」に改める。

  第五十二条に次の一項を加える。

   第一項又は第二項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には、その者以外の法定代理人も、届出をすることができる。

  第五十四条第二項中「第五十二条第三項」の下に「及び第四項」を加える。

  第八十六条第一項中「七日以内」の下に「(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)」を加える。

  第百二条を次のように改める。

 第百二条 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第三条第一項又は第十七条第一項若しくは第二項の規定によつて国籍を取得した場合の国籍取得の届出は、国籍を取得した者が、その取得の日から一箇月以内(その者がその日に国外に在るときは、三箇月以内)に、これをしなければならない。

   届書には、次の事項を記載し、国籍取得を証すべき書面を添付しなければならない。

  一 国籍取得の年月日

  二 国籍取得の際に有していた外国の国籍

  三 父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍

  四 配偶者の氏名及び本籍、配偶者が外国人であるときは、その氏名及び国籍

  五 その他命令で定める事項

  第百二条の次に次の一条を加える。

 第百二条の二 帰化の届出は、帰化した者が、告示の日から一箇月以内に、これをしなければならない。この場合における届書の記載事項については、前条第二項の規定を準用する。

  第百三条第一項中「届出は」の下に「、届出事件の本人」を加え、「その事実」を「国籍喪失の事実」に、「一箇月以内に、国籍喪失を証すべき書面を添附して」を「一箇月以内(届出をすべき者がその事実を知つた日に国外に在るときは、その日から三箇月以内)に」に改め、同条第二項中「左の事項を記載し」を「次の事項を記載し、国籍喪失を証すべき書面を添付し」に改め、同項第二号中「あらたに」を「新たに外国の」に改める。

  第百四条第一項を次のように改める。

   国籍法第十二条に規定する国籍の留保の意思の表示は、出生の届出をすることができる者(第五十二条第三項の規定によつて届出をすべき者を除く。)が、出生の日から三箇月以内に、日本の国籍を留保する旨を届け出ることによつて、これをしなければならない。

  第百四条第二項中「前項の出生届出義務者の責に帰することの」を「第一項に規定する者の責めに帰することが」に、「これを起算する」を「十四日とする」に改め、同条第一項の次に次の一項を加える。

   前項の届出は、出生の届出とともにこれをしなければならない。

  第百四条の次に次の二条を加える。

 第百四条の二 国籍法第十四条第二項の規定による日本の国籍の選択の宣言は、この宣言をしようとする者が、その旨を届け出ることによつて、これをしなければならない。

   届書には、その者が有する外国の国籍を記載しなければならない。

 第百四条の三 市町村長は、戸籍事務の処理に際し、国籍法第十四条第一項の規定により国籍の選択をすべき者が同項に定める期限内にその選択をしていないと思料するときは、その者の氏名、本籍その他命令で定める事項を監督法務局又は地方法務局の長に通知しなければならない。

  第百六条を次のように改める。

 第百六条 外国の国籍を有する日本人がその外国の国籍を喪失したときは、その者は、その喪失の事実を知つた日から一箇月以内(その者がその事実を知つた日に国外に在るときは、その日から三箇月以内)に、その旨を届け出なければならない。

   届書には、外国の国籍の喪失の原因及び年月日を記載し、その喪失を証すべき書面を添付しなければならない。

  第百七条第二項を次のように改める。

   外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。

  第百七条に次の二項を加える。

   前項の規定によつて氏を変更した者が離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日以後にその氏を変更の際に称していた氏に変更しようとするときは、その者は、その日から三箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。

   第一項の規定は、父又は母が外国人である者(戸籍の筆頭に記載した者又はその配偶者を除く。)でその氏をその父又は母の称している氏に変更しようとするものに準用する。

  第四章第十五節中第百七条の次に次の一条を加える。

 第百七条の二 正当な事由によつて名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

  第百十九条中「第百七条」を「第百七条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第百七条の二」に、「申立」を「申立て」に改める。

  第百二十四条中「十万円」を「二十万円」に、「日本の国籍を有しない者」を「外国人」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、昭和六十年一月一日から施行する。

 (帰化及び国籍離脱に関する経過措置)

第二条 この法律の施行前に帰化の許可の申請又は国籍離脱の届出をした者の帰化又は国籍の離脱については、なお従前の例による。

 (国籍の選択に関する経過措置)

第三条 この法律の施行の際現に外国の国籍を有する日本国民は、第一条の規定による改正後の国籍法(以下「新国籍法」という。)第十四条第一項の規定の適用については、この法律の施行の時に外国及び日本の国籍を有することとなつたものとみなす。この場合において、その者は、同項に定める期限内に国籍の選択をしないときは、その期限が到来した時に同条第二項に規定する選択の宣言をしたものとみなす。

 (国籍の再取得に関する経過措置)

第四条 新国籍法第十七条第一項の規定は、第一条の規定による改正前の国籍法第九条の規定により日本の国籍を失つた者で二十歳未満のものについても適用する。

 (国籍の取得の特例)

第五条 昭和四十年一月一日からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までに生まれた者(日本国民であつた者を除く。)でその出生の時に母が日本国民であつたものは、母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、施行日から三年以内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

2 前項に規定する届出は、国籍を取得しようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わつてする。

3 第一項に規定する届出をしようとする者が天災その他その責めに帰することができない事由によつて同項に定める期間内に届け出ることができないときは、その届出の期間は、これをすることができるに至つた時から三月とする。

4 第一項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

第六条 父又は母が前条第一項の規定により日本の国籍を取得したときは、子(日本国民であつた者を除く。)は、同項に定める期間内に、法務省令で定めるところにより法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。ただし、その父又は母が養親であるとき、又は出生の後に認知した者であるときは、この限りでない。

2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の場合について準用する。

 (外国人と婚姻をした者の戸籍の編製に関する経過措置)

第七条 この法律の施行前に日本国民と日本国民でない者との婚姻の届出があつた場合の戸籍の編製については、なお従前の例による。

 (出生等の届出に関する経過措置)

第八条 出生、死亡若しくは帰化の届出又は国籍の留保の意思の表示に係る届出に関する第二条の規定による改正後の戸籍法(以下「新戸籍法」という。)の規定は、この法律の施行前に出生、死亡又は帰化があつた場合において同条の規定による改正前の戸籍法の規定により算定するとしたならばその期間の満了の日が施行日以後となる届出についても適用し、同条の規定による改正前の戸籍法の規定により算定するとしたならばその期間の満了の日が施行日前となる届出については、なお従前の例による。

 (国籍の喪失があつた場合の戸籍の届出に関する経過措置)

第九条 この法律の施行前に国籍の喪失があつた場合の国籍喪失の届出については、なお従前の例による。

2 この法律の施行前に国籍を喪失した者は、国籍喪失の届出をすることができる。この場合においては、新戸籍法第百三条第二項の規定を準用する。

 (外国の国籍の喪失の届出に関する経過措置)

第十条 新戸籍法第百六条第一項の規定は、この法律の施行前に外国の国籍を喪失した場合については、適用しない。

2 外国の国籍をも有していた日本国民でこの法律の施行前にその外国の国籍を喪失したものは、その喪失の届出をすることができる。この場合においては、新戸籍法第百六条第二項の規定を準用する。

 (外国人との婚姻による氏変更に関する経過措置)

第十一条 この法律の施行前に日本国民でない者と婚姻をした者が新戸籍法第百七条第二項の規定により施行日に氏の変更の届出をすることができる場合においては、その届出の期間は、施行日から六月とする。

 (罰則の適用に関する経過措置)

第十二条 この法律の施行前にした行為及び附則第八条又は第九条第一項の規定により従前の例によることとされる届出事件に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (附則第五条第一項又は第六条第一項の規定によつて国籍を取得した場合の届出)

第十三条 新戸籍法第百二条の規定は、附則第五条第一項又は第六条第一項の規定によつて国籍を取得した場合の国籍取得の届出について準用する。

(法務・外務・内閣総理大臣署名) 

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