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法律第四十六号(昭五九・五・二五)

  ◎著作権法の一部を改正する法律

 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第九十五条」を「第九十五条の二」に、「第九十六条・第九十七条」を「第九十六条―第九十七条の二」に改める。

 第二条第八項中「前項」を「前二項」に改め、同項を同条第九項とし、同条第七項の次に次の一項を加える。

8 この法律にいう「貸与」には、いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず、これと同様の使用の権原を取得させる行為を含むものとする。

 第三条第一項及び第二項中「映画の著作物にあつては、」を削り、「第二十六条」の下に「又は第二十六条の二」を加える。

 第二十六条の次に次の一条を加える。

 (貸与権)

第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

 第三十条中「場合には」の下に「、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製するときを除き」を加える。

 第三十八条第一項中「提示」を「提供又は提示」に、「次項」を「以下この条」に、「行なう」を「行う」に改め、同条に次の二項を加える。

3 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。

4 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるものは、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

 第六十八条第二項中「行なう」を「行う」に、「第三十八条」を「第三十八条第一項及び第二項」に改める。

 第八十九条第一項中「第九十一条及び第九十二条」を「第九十一条第一項、第九十二条第一項及び第九十五条の二第一項」に改め、「二次使用料」の下に「及び第九十五条の二第三項に規定する報酬」を加え、同条第二項中「第九十六条」を「第九十六条第一項及び第九十七条の二第一項」に、「及び」を「並びに」に改め、「二次使用料」の下に「及び第九十七条の二第三項に規定する報酬」を加え、同条第五項中「二次使用料」の下に「及び報酬」を加える。

 第九十一条第二項中「この節」の下に「及び次節」を加える。

 第四章第二節中第九十五条の次に次の一条を加える。

 (貸与権等)

第九十五条の二 実演家は、その実演をそれが録音されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。

2 前項の規定は、国内において最初に販売された日から起算して一月以上十二月を超えない範囲内において政令で定める期間を経過した商業用レコード(複製されているレコードのすべてが当該商業用レコードと同一であるものを含む。以下「期間経過商業用レコード」という。)の貸与による場合には、適用しない。

3 商業用レコードの公衆への貸与を営業として行う者(以下「貸レコード業者」という。)は、期間経過商業用レコードの貸与により実演を公衆に提供した場合には、当該実演(著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係る実演家に相当な額の報酬を支払わなければならない。

4 前条第二項から第十一項までの規定は、前項の報酬を受ける権利について準用する。この場合において、同条第七項中「放送事業者等」とあり、及び同条第九項中「第九十五条第一項の放送事業者等」とあるのは、「第九十五条の二第三項の貸レコード業者」と読み替えるものとする。

5 第一項に規定する権利を有する者の許諾に係る使用料を受ける権利は、前項において準用する前条第二項の団体によつて行使することができる。

6 前条第四項から第十一項までの規定は、前項の場合について準用する。この場合においては、第四項後段の規定を準用する。

 第四章第三節中第九十七条の次に次の一条を加える。

 (貸与権等)

第九十七条の二 レコード製作者は、そのレコード(第八条第三号に掲げるものを除く。)をそれが複製されている商業用レコードの貸与により公衆に提供する権利を専有する。

2 前項の規定は、期間経過商業用レコードの貸与による場合には、適用しない。

3 貸レコード業者は、期間経過商業用レコードの貸与によりレコードを公衆に提供した場合には、当該レコード(第八条第一号又は第二号に掲げるレコードで著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に相当な額の報酬を支払わなければならない。

4 前条第二項の規定は、前項の報酬を受ける権利の行使について準用する。

5 第九十五条第三項から第十一項までの規定は、第三項の報酬及び前項において準用する前条第二項に規定する団体について準用する。この場合においては、第九十五条の二第四項後段の規定を準用する。

6 第一項に規定する権利を有する者の許諾に係る使用料を受ける権利は、第四項において準用する前条第二項の団体によつて行使することができる。

7 第五項の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、第五項中「第九十五条第三項」とあるのは、「第九十五条第四項」と読み替えるものとする。

 第百二条第一項中「第三十八条第一項」の下に「及び第三項」を加え、「及び」を「並びに」に改め、同条第二項中「第四項第一号において」を「以下」に改める。

 第百十九条を次のように改める。

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 一 著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物又は実演等の複製を行つた者を除く。)

 二 営利を目的として、第三十条に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者

 第百二十条中「三十万円」を「百万円」に改める。

 第百二十一条中「十万円」を「三十万円」に改める。

 第百二十二条中「一万円」を「十万円」に改める。

 附則第二条第三項中「及び第九十七条」を 「、第九十五条の二第三項及び第四項、第九十七条並びに第九十七条の二第三項から第五項まで」に改め、同条第五項中「第九十五条」の下に「並びに第九十五条の二第三項及び第四項」を加える。

 附則第四条の次に次の一条を加える。

 (書籍等の貸与についての経過措置)

第四条の二 新法第二十六条の二の規定は、書籍又は雑誌(主として楽譜により構成されているものを除く。)の貸与による場合には、当分の間、適用しない。

 附則第五条の次に次の一条を加える。

 (自動複製機器についての経過措置)

第五条の二 新法第三十条及び第百十九条第二号の規定の適用については、当分の間、これらの規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和六十年一月一日から施行する。

 (暫定措置法の廃止)

2 商業用レコードの公衆への貸与に関する著作者等の権利に関する暫定措置法(昭和五十八年法律第七十六号。以下「暫定措置法」という。)は、廃止する。

 (暫定措置法の廃止に伴う経過措置)

3 この法律の施行前に暫定措置法の規定により商業用レコードの公衆への貸与について許諾を得た者は、改正後の著作権法第二十六条の二、第九十五条の二及び第九十七条の二の規定にかかわらず、その許諾に係る条件の範囲内において当該商業用レコードに複製されている著作物、実演及びレコードを当該商業用レコードの貸与により公衆に提供することができる。

4 この法律の施行前にした暫定措置法第四条第一項の規定に違反する行為については、暫定措置法(これに基づく政令を含む。)の規定は、なおその効力を有する。

(文部・内閣総理大臣署名) 

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