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法律第六十一号(昭五九・七・二七)

  ◎湖沼水質保全特別措置法

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 指定湖沼の水質の保全に関する計画等(第三条―第六条)

 第三章 指定湖沼の水質の保全に関する特別の措置(第七条―第二十五条)

 第四章 雑則(第二十六条―第三十二条)

 第五章 罰則(第三十三条―第三十八条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、湖沼の水質の保全を図るため、湖沼水質保全基本方針を定めるとともに、水質の汚濁に係る環境基準の確保が緊要な湖沼について水質の保全に関し実施すべき施策に関する計画の策定及び汚水、廃液その他の水質の汚濁の原因となる物を排出する施設に係る必要な規制を行う等の特別の措置を講じ、もつて国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

 (湖沼水質保全基本方針)

第二条 国は、湖沼の水質の保全を図るための基本方針(以下「湖沼水質保全基本方針」という。)を定めなければならない。

2 湖沼水質保全基本方針には、次の事項を定めるものとする。

 一 湖沼の水質の保全に関する基本構想

 二 第四条第一項の湖沼水質保全計画の策定その他指定湖沼の水質の保全のための施策に関する基本的な事項

 三 前二号に掲げるもののほか、湖沼の水質の保全に関する重要事項

3 湖沼水質保全基本方針は、湖沼が健康で文化的な生活の確保に重要な役割を果たしていることにかんがみ、現在及び将来の国民がその恵沢を享受することができるように、湖沼の有する治水、利水、水産その他の公益的機能に十分配慮しつつ、湖沼の特性及び汚濁原因に応じた均衡ある水質保全対策を適切に講ずることを基本理念として定めるものとする。

4 内閣総理大臣は、湖沼水質保全基本方針の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。

5 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があつたときは、遅滞なく、湖沼水質保全基本方針を公表しなければならない。

6 前二項の規定は、湖沼水質保全基本方針の変更について準用する。

   第二章 指定湖沼の水質の保全に関する計画等

 (指定湖沼及び指定地域)

第三条 内閣総理大臣は、都道府県知事の申出に基づき、公害対策基本法(昭和四十二年法律第百三十二号)第九条第一項の規定による水質の汚濁に係る環境上の条件についての基準(第二十三条第一項において「水質環境基準」という。)が現に確保されておらず、又は確保されないこととなるおそれが著しい湖沼であつて、当該湖沼の水の利用状況、水質の汚濁の推移等からみて特に水質の保全に関する施策を総合的に講ずる必要があると認められるものを指定湖沼として指定することができる。

2 内閣総理大臣は、指定湖沼の水質の汚濁に関係があると認められる地域を指定地域として指定するものとする。

3 内閣総理大臣は、指定湖沼又は指定地域を指定しようとするときは、前項の地域を管轄する都道府県知事(指定湖沼の指定については、第一項の申出をした都道府県知事を除く。)の意見を聴かなければならない。

4 都道府県知事は、第一項の申出をし、又は前項の意見を述べようとするときは、関係市町村長の意見を聴かなければならない。

5 内閣総理大臣が指定湖沼又は指定地域の指定をするには、閣議の決定を経なければならない。

6 内閣総理大臣は、指定湖沼又は指定地域を指定するときは、その旨を官報で公示しなければならない。

7 第一項(都道府県知事の申出に係る部分に限る。)及び第三項から前項までの規定は指定湖沼の指定の変更又は解除について、第三項から前項までの規定は指定地域の指定の変更又は解除について準用する。

 (湖沼水質保全計画)

第四条 都道府県知事は、前条の規定により指定湖沼及び指定地域が定められたときは、湖沼水質保全基本方針に基づき、五年ごとに、当該指定地域において当該指定湖沼につき湖沼の水質の保全に関し実施すべき施策に関する計画(以下「湖沼水質保全計画」という。)を定めなければならない。

2 指定地域が二以上の都府県の区域にわたる場合にあつては、関係都府県知事は、その協議によつて湖沼水質保全計画を定めるものとする。

3 湖沼水質保全計画においては、次の事項を定めるものとする。

 一 湖沼の水質の保全に関する方針

 二 下水道及びし尿処理施設の整備、しゆんせつその他の湖沼の水質の保全に資する事業に関すること。

 三 湖沼の水質の保全のための規制その他の措置に関すること。

 四 前三号に掲げるもののほか、湖沼の水質の保全のために必要な措置に関すること。

4 都道府県知事は、湖沼水質保全計画を定めようとするときは、当該湖沼水質保全計画に定められる事業を実施する者(国を除く。)及び関係市町村長の意見を聴き、かつ、当該指定湖沼を管理する河川管理者(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第七条(同法第百条において準用する場合を含む。)に規定する河川管理者をいう。以下同じ。)に協議するとともに、内閣総理大臣の同意を得なければならない。

5 内閣総理大臣は、前項の同意をしようとするときは、公害対策会議の議を経なければならない。

6 都道府県知事は、湖沼水質保全計画を定めたときは、遅滞なく、これを関係市町村長に送付するとともに、公表しなければならない。

7 前三項の規定は、湖沼水質保全計画の変更について準用する。

 (事業の実施)

第五条 湖沼水質保全計画に定められた事業は、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体その他の者が実施するものとする。

 (湖沼水質保全計画の達成の推進)

第六条 国及び地方公共団体は、湖沼水質保全計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。

   第三章 指定湖沼の水質の保全に関する特別の措置

 (規制基準の設定)

第七条 都道府県知事は、指定地域にあつては、水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第二条第二項に規定する特定施設(第十四条の規定により当該特定施設とみなされる施設を含む。第十五条第一項、第二十四条及び第三十二条において同じ。)で政令で定める施設以外のもの(以下「湖沼特定施設」という。)を設置する指定地域内の工場又は事業場で政令で定める規模以上のもの(以下「湖沼特定事業場」という。)から公共用水域(同法第二条第一項に規定する公共用水域をいう。以下同じ。)に排出される水(以下「排出水」という。)の汚濁負荷量(同法第二条第二項第二号に規定する項目のうち化学的酸素要求量その他の項目で指定湖沼ごとに政令で定めるもので表示した汚濁負荷量をいう。次項、次条及び第十条において同じ。)について、湖沼水質保全計画に基づき、総理府令で定めるところにより、指定湖沼の水質を保全するための規制基準を定めなければならない。

2 前項の規制基準は、湖沼特定事業場につき当該湖沼特定事業場から排出される排出水の汚濁負荷量について定める許容限度とする。

3 都道府県知事は、第一項の規制基準を定めるときは、公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。

 (湖沼特定事業場に係る計画変更命令等の特例)

第八条 都道府県知事は、湖沼特定施設について水質汚濁防止法第五条又は第七条(第十四条の規定によりこれらの規定が適用される場合を含む。)の規定による届出があつた場合において、その届出に係る湖沼特定施設が設置される湖沼特定事業場(工場又は事業場、当該湖沼特定施設の設置又は構造等の変更により新たに湖沼特定事業場となるものを含む。)について、当該湖沼特定事業場から排出される排出水の汚濁負荷量が前条第一項の規制基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、当該湖沼特定事業場の設置者に対し、当該湖沼特定事業場における汚水又は廃液の処理の方法の改善その他必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

 (規制基準の遵守義務)

第九条 湖沼特定事業場の設置者は、当該湖沼特定事業場に係る第七条第一項の規制基準を遵守しなければならない。

 (湖沼特定事業場に係る改善命令等の特例)

第十条 都道府県知事は、その汚濁負荷量が第七条第一項の規制基準に適合しない排出水が排出されるおそれがあると認めるときは、当該排出水に係る湖沼特定事業場の設置者に対し、期限を定めて、当該湖沼特定事業場における汚水又は廃液の処理の方法の改善その他必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

 (適用除外等)

第十一条 前三条の規定は、第七条第一項の規制基準の適用の際現に指定地域において湖沼特定施設を設置している者(設置の工事をしている者及び水質汚濁防止法第五条の規定による届出その他の政令で定める設置に係る手続をした者であつて設置の工事に着手していないものを含む。)の当該湖沼特定施設を設置する湖沼特定事業場については、適用しない。ただし、当該規制基準の適用の日以後に、当該湖沼特定施設についてその者が同法第五条第四号から第八号まで(第十四条の規定により適用される場合を含む。)に掲げる事項の変更(その日前に同法第七条の規定による届出その他の政令で定める変更に係る手続が行われた変更及び総理府令で定める軽微な変更を除く。)をしたとき、及び当該湖沼特定事業場についてその者が当該湖沼特定施設以外の湖沼特定施設の設置をしたときは、この限りでない。

2 湖沼特定事業場を譲り受け、若しくは借り受け、又は相続若しくは合併により取得した者は、第八条、前条及び前項の規定の適用については、当該湖沼特定事業場の設置者の地位を承継する。

第十二条 鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第八条第一項に規定する建設物、工作物その他の施設である湖沼特定施設を設置する同法第二条第二項本文に規定する鉱山から排出水を排水する者に関しては当該鉱山について、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第七項に規定する電気工作物又は海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第三条第十四号に規定する廃油処理施設である湖沼特定施設を設置する工場又は事業場から排出水を排出する者に関しては当該湖沼特定施設について、第八条及び第十条の規定を適用せず、これらの法律の相当規定の定めるところによる。

2 都道府県知事は、前項に規定する湖沼特定施設に係る排出水に起因する指定湖沼の水質の汚濁により生活環境に係る被害を生ずるおそれがあると認めるときは、前項に規定する法律に基づく権限を有する国の行政機関の長に対し、第八条又は第十条の規定に相当する鉱山保安法又は電気事業法の規定(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律にあつては、第八条の規定に相当する同法の規定)による措置を採るべきことを要請することができる。

3 水質汚濁防止法第二十三条第五項の規定は、前項の規定による要請について準用する。

 (水質汚濁防止法の適用関係)

第十三条 指定地域における水質汚濁防止法第二十二条第一項の規定の適用については、同項中「この法律」とあるのは、「この法律(湖沼水質保全特別措置法第七条から第十条までの規定を含む。)」とする。

 (みなし特定施設に係る排出水の排出の規制等)

第十四条 指定地域においては、湖沼の水質にとつて水質汚濁防止法第二条第二項第二号に規定する程度の汚水又は廃液を排出する施設として政令で定める施設について、これを同項に規定する特定施設とみなし、同法の規定を適用する。この場合において、同法第六条第一項及び第十二条第二項中「なつた際」とあるのは「なつた際又は一の地域が湖沼水質保全特別措置法第三条第二項の指定地域となつた際」と、「なつた日」とあるのは「なつた日又は当該地域が同項の指定地域となつた日」と、同項中「六月間」とあるのは「一年間」と、「一年間」とあるのは「三年間」と、同法第十三条第四項中「第二条第二項」とあるのは「湖沼水質保全特別措置法第十四条」と、「政令又は」とあるのは「政令若しくは」と、「改正」とあるのは「改正又は同法第三条第二項の指定地域の指定若しくはその変更」とする。

 (指定施設の設置の届出)

第十五条 指定地域において、水質汚濁防止法第二条第二項第二号に規定する項目に関し湖沼の水質の汚濁の原因となる物を発生し、及び公共用水域に排出する施設(同項に規定する特定施設であるものを除く。)であつて、湖沼の水質保全上同法第三条第一項又は第三項の排水基準による規制により難いものとして政令で定めるもの(以下「指定施設」という。)を設置しようとする者は、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該指定施設の設置について河川法第二十六条の規定による河川管理者の許可を受けたときは、この限りでない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

 二 指定施設の所在地

 三 指定施設の種類

 四 指定施設の構造

 五 指定施設の使用の方法

 六 その他総理府令で定める事項

2 河川管理者は、前項ただし書の許可をしたときは、その旨を都道府県知事に通報するものとする。

 (経過措置)

第十六条 一の施設が指定施設となつた際現に指定地域においてその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。以下この項において同じ。)又は一の地域が指定地域となつた際現にその地域において指定施設を設置している者は、当該施設が指定施設となつた日又は当該地域が指定地域となつた日から三十日以内に、総理府令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。

2 前条第一項ただし書及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。

 (指定施設の構造等の変更の届出)

第十七条 第十五条第一項又は前条第一項の規定による届出をした者(第十五条第二項(前条第二項において準用する場合を含む。)の通報に係る者を含む。次条第一項において同じ。)は、第十五条第一項第四号から第六号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、総理府令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2 前項に規定する者は、第十五条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又は届出に係る指定施設の使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

3 第十五条第一項ただし書及び第二項の規定は、前二項の場合について準用する。

 (承継)

第十八条 水質汚濁防止法第十一条第一項及び第二項の規定は、第十五条第一項又は第十六条第一項の規定による届出をした者の地位の承継について準用する。

2 前項において準用する水質汚濁防止法第十一条第一項又は第二項の規定により前項に規定する者の地位を承継した者は、その承継があつた日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、河川法第三十三条第三項の規定による届出をしたときは、この限りでない。

3 第十五条第二項の規定は、前項ただし書に規定する場合について準用する。

 (基準遵守義務)

第十九条 指定地域において指定施設を設置している者は、当該指定施設について、総理府令で定めるところにより都道府県知事が定める構造及び使用の方法に関する基準を遵守しなければならない。

2 第七条第三項の規定は、前項の基準について準用する。

 (改善勧告及び改善命令)

第二十条 都道府県知事は、指定地域において指定施設を設置している者が前条第一項の基準を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて、当該指定施設の構造又は使用の方法を改善すべきことを勧告することができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないで当該指定施設を使用しているときは、その者に対し、期限を定めて、当該指定施設の構造又は使用の方法の改善を命ずることができる。

3 前二項の規定は、前条第一項の基準の適用の際現に指定地域において指定施設を設置している者(設置の工事をしている者及び第十五条第一項の規定による届出その他の政令で定める設置に係る手続をした者であつて設置の工事に着手していないものを含む。)に係る当該指定施設については、当該基準の適用の日から一年間(当該施設が政令で定める施設である場合にあつては、三年間)は、適用しない。ただし、当該基準の適用の際その者に適用されている地方公共団体の条例の規定で第一項の規定に相当するものがあるとき、及び当該基準の適用の日以後当該施設についてその者が第十五条第一項第四号から第六号までに掲げる事項の変更(その日前に第十七条第一項の規定による届出その他の政令で定める変更に係る手続が行われた変更及び総理府令で定める軽微な変更を除く。)をしたときは、この限りでない。

4 都道府県知事は、小規模の事業者に対する第一項又は第二項の規定の適用に当たつては、その者の事業活動の遂行に著しい支障を生ずることのないよう当該勧告又は命令の内容について特に配慮しなければならない。

 (報告及び検査)

第二十一条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、指定施設を設置している者に対し、指定施設の状況その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、その者の当該施設を設置する場所に立ち入り、指定施設その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (準用指定施設)

第二十二条 前三条の規定は、湖沼特定施設であつて、指定施設に準ずるものとして政令で定めるものについて準用する。この場合において、第二十条第三項中「第十五条第一項の規定」とあるのは「水質汚濁防止法第五条の規定」と、「第十七条第一項の規定」とあるのは「同法第七条の規定」と読み替えるものとする。

 (汚濁負荷量の総量の削減)

第二十三条 都道府県知事は、人口及び産業の集中等により、生活又は事業活動に伴い排出された水が大量に流入する指定湖沼であり、かつ、水質汚濁防止法第三条第一項又は第三項の排水基準及び第四条から前条までに規定する措置のみによつては水質環境基準の確保が困難であると認められる指定湖沼であつて政令で定めるもの(以下「総量削減指定湖沼」という。)における第七条第一項の政令で定める項目のうち政令で定める項目に係る水質の汚濁の防止を図るため、総量削減指定湖沼に係る指定地域(以下「総量削減指定地域」という。)について、当該総量削減指定湖沼に係る湖沼水質保全計画において、当該項目で表示した汚濁負荷量(以下単に「汚濁負荷量」という。)の総量の削減に関する計画(以下「湖沼総量削減計画」という。)を定めるものとする。

2 湖沼総量削減計画においては、当該総量削減指定地域における削減の目標、目標年度、目標達成の方途その他汚濁負荷量の総量の削減に関し必要な事項を定めるものとする。この場合において、削減の目標に関しては、水質汚濁防止法第四条の二第二項後段の例に準じて定めるものとする。

3 都道府県知事は、第一項に規定する要件に該当すると認められる指定湖沼があるときは、同項の総量削減指定湖沼を定める政令の立案について、内閣総理大臣に対し、その旨の申出をすることができる。

4 内閣総理大臣は、第一項の総量削減指定湖沼を定める政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、当該指定湖沼に係る指定地域を管轄する都道府県知事(前項の申出をした都道府県知事を除く。)の意見を聴かなければならない。

5 都道府県知事は、第三項の申出をし、又は前項の意見を述べようとするときは、関係市町村長の意見を聴かなければならない。

6 第一項の規定により定めた湖沼総量削減計画に基づく汚濁負荷量の削減については、湖沼総量削減計画を水質汚濁防止法第四条の三に規定する総量削減計画とみなし、同法の規定(第十四条の規定により適用される同法の規定を含み、同法第四条の二及び第四条の三の規定を除く。)を適用する。この場合において、同法中「指定地域」とあるのは「湖沼水質保全特別措置法第二十三条第一項に規定する総量削減指定地域」と、同法第二条第三項中「特定施設」とあるのは「特定施設(湖沼水質保全特別措置法第十四条の規定により特定施設とみなされる施設を含む。以下同じ。)」と、同法第六条第二項中「第四条の二第一項の地域を定める政令の施行の際」とあるのは「一の地域が湖沼水質保全特別措置法第二十三条第一項に規定する総量削減指定地域となつた際」と、「当該政令の施行の日」とあるのは「当該地域が総量削減指定地域となつた日」と、同法第十三条第四項中「第四条の二第一項の地域を定める政令又は」とあるのは「湖沼水質保全特別措置法第十四条の施設を定める政令若しくは」と、「改正」とあるのは「改正又は同法第三条第二項の指定地域の指定若しくはその変更」と、同法第十六条第三項中「指定水域」とあるのは「湖沼水質保全特別措置法第二十三条第一項に規定する総量削減指定湖沼」とする。

 (指導等)

第二十四条 都道府県知事は、水質汚濁防止法第二条第二項に規定する特定施設又は指定施設を設置する者以外の者であつて、指定地域において同項第二号に規定する項目に関し汚水、廃液その他の湖沼の水質の汚濁の原因となる物を公共用水域に排出するものに対し、湖沼水質保全計画を達成するために必要な指導、助言及び勧告をすることができる。

 (湖辺の自然環境の保護)

第二十五条 国及び地方公共団体は、この章に定める他の施策と相まつて指定湖沼の水質の保全に資するよう緑地の保全その他湖辺の自然環境の保護に努めなければならない。

   第四章 雑則

 (助言その他の措置)

第二十六条 国は、地方公共団体が湖沼水質保全計画に基づく事業を円滑に実施することができるよう、当該地方公共団体に対し、助言その他必要な援助を行うように努めなければならない。

第二十七条 国は、事業者が行う指定湖沼の水質の汚濁の防止のための施設の整備について、必要な資金のあつせん、技術的な助言その他の措置を講ずるように努めなければならない。

2 前項の措置を講ずるに当たつては、中小企業者に対する特別の配慮がなされなければならない。

 (関係行政機関の協力等)

第二十八条 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、必要な資料の送付その他の協力を求め、又は指定湖沼の水質の保全に関し意見を述べることができる。

2 河川管理者、港湾管理者(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第一項に規定する港湾管理者をいう。)その他指定地域内の公共用水域の管理を行う者で政令で定めるものは、この法律の施行に関して当該公共用水域の管理上必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、指定湖沼の水質の保全に関して意見を述べることができる。

 (研究の推進等)

第二十九条 国は、湖沼の水質の保全に関する研究及び技術の開発を推進し、その成果の普及に努めなければならない。

2 国は、湖沼の水質の保全に関し、知識の普及を図るとともに、国民の協力を求めるように努めなければならない。

 (経過措置)

第三十条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置及び経過措置に関する罰則を含む。)を定めることができる。

 (事務の委任等)

第三十一条 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務(第三条第一項(同条第七項において準用する場合を含む。)、第四条第一項、第七条第一項、第十九条第一項(第二十二条において準用する場合を含む。)並びに第二十三条第一項及び第三項に規定する事務を除く。)は、指定地域の全部又は一部が政令で定める市の区域内にある場合には、その区域については、政令で定めるところにより、当該市の長に委任することができる。

2 前項の政令で定める市の長は、この法律の施行に必要な事項で総理府令で定めるものを都道府県知事に通知しなければならない。

 (条例との関係)

第三十二条 この法律の規定は、指定地域において、地方公共団体が、指定施設(第二十二条の政令で定める施設を含む。以下同じ。)について、水質汚濁防止法第二条第二項第二号に規定する項目以外の項目に関し、及び指定施設以外の同号に規定する項目に関して湖沼の水質の汚濁の原因となる物を排出する施設(同項に規定する特定施設であるものを除く。)について、その施設の構造又は使用の方法に関し、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない。

   第五章 罰則

第三十三条 第八条又は第十条の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第三十四条 第二十条第二項(第二十二条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第三十五条 第十五条第一項又は第十七条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の罰金に処する。

第三十六条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

 一 第十六条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 二 第二十一条第一項(第二十二条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第三十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第三十三条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

第三十八条 第十七条第二項又は第十八条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日等)

1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二条並びに第三条第一項(都道府県知事の申出に係る部分に限る。)、第三項及び第四項の規定は、公布の日から施行する。

2 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律(昭和五十八年法律第五十八号)第五条の規定により海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第三条第十一号の規定が同条第十四号に改められるまでの間は、第十二条第一項中「第三条第十四号」とあるのは、「第三条第十一号」と読み替えるものとする。

 (水質汚濁防止法の一部改正)

3 水質汚濁防止法の一部を次のように改正する。

  第四条の二第一項中「湖沼及び」を削る。

 (環境庁設置法の一部改正)

4 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第四条第十五号中「及び瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和四十八年法律第百十号)」を「、瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和四十八年法律第百十号)及び湖沼水質保全特別措置法(昭和五十九年法律第六十一号)」に改める。

(内閣総理・大蔵・厚生・農林水産・通商産業大臣臨時代理・運輸・建設・ 

   自治大臣署名)

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