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法律第二十九号(平六・三・三一)

  ◎平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法

 (趣旨)

第一条 この法律は、一年限りの特例措置として、平成六年分の所得税について、特別減税を行うため必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 一 居住者 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二条第一項第三号に規定する居住者をいう。

 二 非居住者 所得税法第百六十四条第一項各号に掲げる非居住者をいう。

 三 特別減税前の所得税額 平成六年分の所得税につき、この法律の規定を適用せず、かつ、所得税法第二編第二章第四節、第三章及び第四章並びに第百六十五条の規定、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第三条の三第四項後段、第八条の三第四項後段、第八条の四第一項後段、第九条、第九条の三第一項後段、第九条の四第一項後段、第十条、第十条の二第三項及び第四項、第十条の三第三項から第五項まで及び第十一項、第十条の四第三項から第五項まで、第十一項及び第十七項から第二十項まで、第十条の五第四項、第二十四条、第二十五条、第二十八条の四、第二十八条の五、第二章第四節第二款から第八款まで、第三十七条の十、第三十七条の十二、第三十八条、第三十九条、第四十条の二第二項、第二章第五節、第四十一条の七第二項並びに第四十一条の十四から第四十一条の十七までの規定、租税特別措置法の一部を改正する法律(平成三年法律第十六号)附則第九条の規定、租税特別措置法の一部を改正する法律(平成四年法律第十四号)附則第三条及び第四条の規定、租税特別措置法の一部を改正する法律(平成五年法律第六十八号)附則第二条の規定、租税特別措置法の一部を改正する法律(平成六年法律第二十二号)附則第四条、第九条第五項及び第十条の規定並びに災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)第二条の規定を適用して計算した所得税の額をいう。

 四 予定納税基準額 所得税法第百四条第一項に規定する予定納税基準額をいう。

 五 確定申告書 所得税法第二条第一項第三十七号に規定する確定申告書(当該確定申告書に係る国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十九条第三項に規定する修正申告書を含む。)をいう。

 六 給与等 所得税法第百八十三条第一項に規定する給与等をいう。

 七 源泉徴収 所得税法第二条第一項第四十五号に規定する源泉徴収をいう。

 八 納税地 所得税法第一編第五章に規定する納税地をいう。

 (特別減税の額の控除)

第三条 居住者又は非居住者の平成六年分の所得税については、この法律の定めるところにより、その者の特別減税前の所得税額から特別減税の額を控除する。

 (特別減税の額)

第四条 前条に規定する特別減税の額は、居住者又は非居住者の特別減税前の所得税額に百分の二十を乗じて計算した金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)とする。

 (居住者の平成六年分の所得税に係る予定納税基準額の計算の特例)

第五条 居住者の平成六年分の所得税に係る予定納税基準額の計算については、所得税法第百四条第一項第一号中「前年分」とあるのは「平成五年分」と、「とする。)」とあるのは「とする。以下この号において「調整後の所得税額」という。)から当該調整後の所得税額の百分の二十に相当する金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を控除した金額」と、同項第二号中「前年分」とあるのは「平成五年分」と、「、これらの所得」とあるのは「これらの所得」と、「控除した額」とあるのは「、当該各種所得のうちに給与所得がある場合には給与所得の金額を課税総所得金額とみなして第八十九条第一項の規定を適用して計算した所得税の額の百分の二十に相当する金額(当該金額が百万円を超える場合には、百万円)を、それぞれ控除した残額」とする。

 (居住者の確定申告に係る特別減税の額の控除)

第六条 居住者の平成六年分の所得税に係る所得税法第百二十条第一項第三号及び第五号の規定の適用については、同項第三号中「第三章(税額の計算)」とあるのは「第三章(税額の計算)及び平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法(平成六年法律第二十九号)第三条(特別減税の額の控除)」と、同項第五号中「又は当該申告書」とあるのは「若しくは当該申告書」と、「政令で定める金額がある場合には、当該金額」とあるのは「政令で定める金額又は平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法第九条若しくは第十一条(居住者の平成六年一月から同年六月までの間に支払われた給与等に係る特別減税額の控除等)の規定により還付を受けた所得税の額がある場合には、これらの金額」とする。

 (居住者の確定申告書の提出の特例)

第七条 居住者の平成六年分の所得税に係る確定申告書の提出については、次に定めるところによる。

 一 所得税法第百二十条第一項の規定の適用については、同項中「配当控除の額」とあるのは、「配当控除の額と平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法第三条(特別減税の額の控除)の規定により控除される特別減税の額との合計額」とする。

 二 所得税法第百二十条第三項第三号の規定の適用については、同号中「交付される源泉徴収票」とあるのは、「交付される源泉徴収票(当該給与所得に係る第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等のうち第百八十五条第一項第三号(労働した日ごとに支払われる給与等)に掲げる給与等については、当該給与等の金額その他必要な事項を証する書類として大蔵省令で定めるものを含む。)」とする。

 (非居住者の確定申告に係る特別減税の額の控除等)

第八条 前三条の規定は、非居住者の平成六年分の所得税に係る予定納税基準額及び所得税の額の計算並びに確定申告書の提出について準用する。

 (居住者の平成六年一月から同年六月までの間に支払われた給与等に係る特別減税額の控除)

第九条 給与等の支払者(以下この項、次条第二項及び第十二条において「給与支払者」という。)は、当該給与支払者から平成六年一月一日から同年六月三十日までの間に主たる給与等(居住者が所得税法第百九十四条第四項に規定する給与所得者の扶養控除等申告書の提出の際に経由した給与支払者から支払を受ける給与等をいう。以下この項及び第十二条において同じ。)の支払を受ける居住者で、かつ、同年六月一日において当該給与支払者から主たる給与等の支払を受ける者であるものに対し、同年六月(当該給与支払者がこの項の規定による還付を同月以外の月において行うことにつき相当の理由があると認められる場合には、政令で定めるところにより、源泉徴収に係る所得税の納税地の所轄税務署長が当該還付を行うことが適当であると認めた月)において、同年一月一日から同年六月三十日までの間に支払われた当該居住者に対する同年中の主たる給与等(次条第一項の規定の適用を受けたものを除く。)につき同法第四編第二章第一節の規定及び同法別表第二から別表第四までにより徴収された所得税の額の合計額に百分の二十を乗じて計算した金額(当該金額が百万円を超える場合には、百万円)に相当する所得税を還付しなければならない。

2 前項に定めるもののほか、同項の規定による所得税の還付をする場合におけるその還付の方法、源泉徴収に関する所得税法の規定の適用その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (居住者の年末調整に係る給与特別減税額の控除)

第十条 居住者の平成六年中に支払の確定した給与等に対する所得税法第百九十条の規定の適用については、同条第一号に掲げる所得税の額の合計額は、当該合計額に相当する金額から前条第一項の規定により還付を受けた所得税の額を控除した金額に相当する金額とし、同法第百九十条第二号に掲げる税額は、当該税額に相当する金額から給与特別減税額を控除した金額に相当する金額とする。

2 前項に規定する給与特別減税額とは、居住者が所得税法第百九十四条第四項に規定する給与所得者の扶養控除等申告書の提出の際に経由した給与支払者から平成六年中に支払を受けた給与等につき同法第百九十条の規定(租税特別措置法第四十一条の二の規定、租税特別措置法の一部を改正する法律(平成三年法律第十六号)附則第九条の規定又は租税特別措置法の一部を改正する法律(平成五年法律第六十八号)附則第二条の規定の適用がある場合には、これらの規定を含む。)を適用して求めた所得税法第百九十条第二号に掲げる税額に百分の二十を乗じて計算した金額とする。

3 第一項の規定の適用がある場合における所得税法第二条第一項第四十五号の規定の適用については、同号中「第六章まで(源泉徴収)」とあるのは、「第六章まで(源泉徴収)及び平成六年分所得税の特別減税のための臨時措置法第十条第一項(居住者の年末調整に係る給与特別減税額の控除)」とする。

 (居住者の平成六年中に支払われた公的年金等に係る特別減税額の控除)

第十一条 所得税法第二百三条の二に規定する公的年金等(以下この項及び次条において「公的年金等」という。)の支払をする者(以下この項及び次条において「公的年金支払者」という。)は、当該公的年金支払者から平成六年中に公的年金等(居住者が同法第二百三条の五第四項に規定する公的年金等の受給者の扶養親族等申告書の提出の際に経由した公的年金支払者から支払を受けるものに限る。以下この項及び次条において同じ。)の支払を受ける居住者で、かつ、次の各号に掲げる者に該当するものに対し、当該各号に定める期間に属する最終の支払月(当該公的年金支払者がこの項の規定による還付を当該最終の支払月以外の月において行うことにつき相当の理由があると認められる場合には、政令で定めるところにより、源泉徴収に係る所得税の納税地の所轄税務署長が当該還付を行うことが適当であると認めた月)において、当該各号に定める期間内に支払われた当該居住者に対する同年中の公的年金等につき同法第四編第三章の二の規定により徴収された所得税の額の合計額に百分の二十を乗じて計算した金額(当該金額が百万円を超える場合には、百万円)に相当する所得税を、それぞれ還付しなければならない。

 一 平成六年六月一日(政令で定める公的年金等にあっては、政令で定める日)において当該公的年金支払者から公的年金等の支払を受ける者である者 同年一月から同年六月までの期間

 二 平成六年十二月一日(政令で定める公的年金等にあっては、政令で定める日)において当該公的年金支払者から公的年金等の支払を受ける者である者 同年七月から同年十二月までの期間

2 前項に定めるもののほか、同項の規定による所得税の還付をする場合におけるその還付の方法、源泉徴収に関する所得税法の規定の適用その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 (還付金の支払明細書)

第十二条 主たる給与等の支払を受ける居住者又は公的年金等の支払を受ける居住者に対し第九条第一項又は前条第一項の規定により所得税の還付をする給与支払者又は公的年金支払者は、大蔵省令で定めるところにより、その還付金の額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その還付の際、その還付を受ける者に交付しなければならない。

 (政令への委任)

第十三条 第五条から前条までに定めるもののほか、この法律の適用がある場合における所得税法その他の法令の規定に関する必要な技術的読替えその他この法律の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成六年四月一日から施行する。

 (確定申告書に係る特別減税の額の控除に関する経過措置)

第二条 第六条から第八条までの規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に提出する確定申告書に係る平成六年分の所得税について適用する。

 (居住者の年末調整に係る給与特別減税額の控除に関する経過措置)

第三条 第十条の規定は、平成六年中に支払うべき給与等でその最後に支払をする日が施行日以後であるものについて適用する。

 (施行日前に出国をした者に係る更正の請求)

第四条 施行日前に平成六年分の所得税につき所得税法第百二十七条(同法第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による確定申告書を提出した者及び施行日前に同年分の所得税につき国税通則法第二十五条の規定による決定を受けた者は、当該確定申告書に記載された事項又は当該決定に係る事項(これらの事項につき施行日前に同法第二十四条又は第二十六条の規定による更正があった場合には、当該更正後の事項)につきこの法律の規定の適用により異動を生ずることとなったときは、その異動を生ずることとなった事項について、施行日から一年以内に、税務署長に対し、国税通則法第二十三条第一項の更正の請求をすることができる。

 (検討)

第五条 平成七年分以後の所得税については、速やかに、税制全般の在り方について検討を加えて税制改革を行い、抜本的な所得税の減税を行うものとする。

2 国は、前項の税制改革を行うに際し、あわせて行政経費の一層の節減に努めなければならない。

(大蔵・内閣総理大臣署名) 

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